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物流部が複数の運送会社から集めた運賃の見積を、条件をそろえて比較し、選定の理由を添えた稟議書の下書きを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

複数の運送会社から届いた運賃の見積を、車格・料金の建て方・付帯の料金の条件をそろえた比較表にします。比較の結果をもとに、選定の理由と残る懸念を書いた稟議書の下書きを作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
EC/商社/小売/製造
対象部門
物流/購買
対象業務
書類作成/比較検討
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
9h/月
想定削減
70%
年間削減
252h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 運送会社3〜4社に見積を依頼し、届いた見積(PDF・表計算・メール本文)を案件のフォルダに保存する
  2. 担当者が見積を1社ずつ開き、運賃、燃料サーチャージ、高速道路の料金、待機料、荷役の料金、有効期限を比較表に書き写す
  3. 料金の建て方が違う会社は、月の想定の運行回数や物量を掛けて月額に換算する
  4. 書かれていない料金があれば、運送会社に電話かメールで確かめる
  5. 比較表から選ぶ会社を決め、稟議書のひな形に、目的・比較の結果・選定の理由・費用の影響を書く
  6. 上長の確認を受けて稟議を上げる。差し戻されたら比較表と稟議書を直す
導入後(After)
  1. 人運送会社に見積を依頼し、届いた見積を案件のフォルダに保存する
  2. 人案件ごとの Copilot Notebooks に、見積依頼書、届いた見積、比べ方の決まり(比較の項目と換算の前提)を参照として追加する
  3. 【AI】 各社の見積から、比較の項目ごとに金額・単位・条件を拾い、「含む/別途/記載なし」を付けて一覧にする
  4. 人一覧を比較表のブックに貼り、Excel の Copilot に、月の想定の運行で比べる計算式の列を作らせる
  5. 人計算式を確かめ、「記載なし」の項目を運送会社に確かめる
  6. 【AI】 確かめた後の比較表と、担当者が書いた選定の理由のメモから、Word の Copilot が稟議書の下書きを作る
  7. 人稟議書の数字を比較表と突き合わせ、選定の理由を直して稟議を上げる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 運送会社3〜4社に見積を依頼し、届いた見積(PDF・表計算・メール本文)を案件のフォルダに保存する
  2. 担当者が見積を1社ずつ開き、運賃、燃料サーチャージ、高速道路の料金、待機料、荷役の料金、有効期限を比較表に書き写す
  3. 料金の建て方が違う会社は、月の想定の運行回数や物量を掛けて月額に換算する
  4. 書かれていない料金があれば、運送会社に電話かメールで確かめる
  5. 比較表から選ぶ会社を決め、稟議書のひな形に、目的・比較の結果・選定の理由・費用の影響を書く
  6. 上長の確認を受けて稟議を上げる。差し戻されたら比較表と稟議書を直す

(a)条件がそろっていない。 「4t車1運行 35,000円(高速代別途、燃料サーチャージ別途)」と「1ケース 180円(諸経費込み)」を並べても比べられません。担当者は3番目で想定の物量を掛けて月額にしますが、何を掛けたかは比較表に残りません。 次に同じ区間を見直すとき、前回の換算の前提が分かりません。

(b)書かれていない料金を見落とす。 待機料と荷役の料金は、書いていない見積が多い項目です。書いていないものを「かからない」と読むと、安く見えた会社が、運行が始まってから待機料を請求してきます。 担当者によって確かめる会社と確かめない会社があります。

(c)稟議書を毎回一から書く。 目的、比較の結果、選定の理由、費用の影響、リスクを毎回書きます。比較表の数字を稟議書に写し直すときに、桁や会社名を取り違えることがあります。決裁者からの差し戻しの理由で多いのは、「なぜ最安でない会社を選ぶのか」の説明が足りないことです。

(d)選定の理由が残らない。 「この会社は時間指定に強い」「この会社は荷扱いが丁寧」といった、金額以外の理由は担当者の頭の中にあります。担当者が替わると、同じ区間を見直すときに前回なぜその会社を選んだかが分かりません。

  1. 【人】 運送会社に見積を依頼し、届いた見積を案件のフォルダに保存する
  2. 【人】 案件ごとの Copilot Notebooks に、見積依頼書、届いた見積、比べ方の決まり(比較の項目と換算の前提)を参照として追加する
  3. 【AI】 各社の見積から、比較の項目ごとに金額・単位・条件を拾い、「含む/別途/記載なし」を付けて一覧にする
  4. 【人】 一覧を比較表のブックに貼り、Excel の Copilot に、月の想定の運行で比べる計算式の列を作らせる
  5. 【人】 計算式を確かめ、「記載なし」の項目を運送会社に確かめる
  6. 【AI】 確かめた後の比較表と、担当者が書いた選定の理由のメモから、Word の Copilot が稟議書の下書きを作る
  7. 【人】 稟議書の数字を比較表と突き合わせ、選定の理由を直して稟議を上げる

5番目が、この設計の分かれ目です。 「記載なし」が残ったまま稟議書を書かせると、書かれていない料金が0円として比較された稟議書ができます。 確かめてから次へ進みます。

6番目で、選定の理由のメモを人が書いているのも意図してのことです。 「時間指定に強い」「前回の事故の対応が早かった」は、見積のどこにも書かれていません。AIに選定の理由を考えさせると、比較表の数字だけからもっともらしい理由を作ります。 理由の中身は人が書き、AIには文章に整えさせます。

02今回想定するシステム構成

構成図
運送会社の見積(PDF/表計算/メール本文)
   │  案件のフォルダ(SharePoint)に保存
   ▼【トリガー】予定した社数の見積がそろう
Copilot Notebooks(案件ごとに1つ)
   │  参照:見積依頼書、各社の見積、比べ方の決まり
   └──▶ 比較の項目ごとの一覧(金額・単位・含む/別途/記載なし)
   ▼
比較表のブック ── Excel の Copilot(編集)
   │  月の想定の運行で比べる計算式の列を作る
   ▼
【担当者が計算式を確かめ、記載なしを運送会社に確認】
   ▼
Word の Copilot ── 稟議書の下書き(/ で比較表と理由のメモを指定)
   ▼
【担当者が数字を突き合わせて稟議を上げる】
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Copilot Notebooks とアプリ内の Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管SharePoint(案件のフォルダ、比較表のブック、稟議書のひな形)社内のファイルサーバー
共有Microsoft Teams(物流部のチャネル)Outlook のメール

新しく足すのは、物流部4名分の Copilot のライセンスだけです。 道具を変えずに、写す・換算する・書くの3つの工程に Copilot を入れます。

見積の読み取りに Copilot Notebooks を使うのは、参照を案件ごとに閉じるためです。 公式のページでは、ノートブックの参照に対応する形式は .docx、.pptx、.xlsx、.pdf、.loop、.page、.txt、.rtf と OneNote のページです。メール本文で届いた見積は、本文をPDFかテキストにして参照に入れます。

計算を Excel の Copilot に作らせるのは、計算式として残るからです。 公式の FAQ では、Excel の Copilot には編集・計画・チャットの3つのモードがあり、編集のモードではブックを直接編集するとされています。AIが答えた数字ではなく、ブックに書かれた計算式が比較の根拠になります。 計算式なら、人が1つずつ確かめられます。

利用の条件も確かめておきます。 公式の FAQ では、ファイルは .xlsx などの新しい形式で保存すること、Copilot の編集は計算方法の設定が「自動」のときだけ対応すること、SharePoint でチェックアウトが必須のサイトのファイルではデスクトップ版で動かないことが挙げられています。日本語は対応言語に含まれています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

予定した社数の見積がそろった時点を起点にします。 見積依頼のときに回答の期限を決め、期限の翌朝に担当者が案件のフォルダを見て、そろっていれば始めます。

1社ずつ届いた順に読ませません。 先に届いた会社の一覧だけで比較表を作り始めると、後から届いた見積の書式に合わせて比較の項目を足すことになり、最初の会社の見積を読み直す手間が出ます。

期限までにそろわなかった会社があるときは、その会社を外して比べるか、待つかを担当者が決めます。 外したときは、外した会社と理由を稟議書に書きます。決裁者から「なぜ3社ではなく2社か」と聞かれるからです。

運賃の改定の申し出が来たときも、起点になります。 いまの運送会社から値上げの申し出があり、他社の見積と比べて判断するときです。このときは、申し出の書面も参照に入れます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
見積依頼書区間、発地と着地、荷姿、1回あたりの物量、月の運行回数の想定、時間指定、付帯作業、回答の期限案件のフォルダ
各社の見積運賃、料金の建て方、燃料サーチャージ、高速道路の料金、待機料、荷役の料金、有効期限、支払条件、貨物保険同上
比べ方の決まり比較の項目の一覧と、月額に換算するときの前提(運行回数、物量、待機の想定時間)物流部で用意する1枚の文書
選定の理由のメモ金額以外の理由(対応力、過去の事故の対応、車両の確保のしやすさ)担当者が書く
稟議書のひな形目的、比較の結果、選定の理由、費用の影響、リスク、添付SharePoint

質を決めるのは、見積依頼書と比べ方の決まりです。 見積依頼書に月の運行回数の想定と付帯作業が書かれていなければ、運送会社もそれぞれの前提で見積を作ります。依頼の段階で条件をそろえておくほど、後で換算する手間が減ります。

比べ方の決まりには、換算の前提を数字で書きます。 「月20運行、1運行あたり待機30分、積み込みはドライバーが行う」のように書いておけば、個建ての見積も貸切の見積も、同じ前提で月額にできます。 この前提が担当者ごとに違ったことが、第3章の(a)の原因でした。

Step3

データの取得方法を決める

見積はすでに案件のフォルダに保存されています。取得の仕組みは作らず、ノートブックの参照に追加するだけです。

取るものどこからどうやって
見積依頼書・各社の見積案件のフォルダノートブックの参照に1ファイルずつ追加
メール本文の見積Outlook本文をPDFにして案件のフォルダに保存し、参照に追加
比べ方の決まり物流部のサイト参照に追加(全案件で同じ版)
比較表のブック案件のフォルダひな形をコピーして使う
選定の理由のメモ担当者Word の文書で書き、案件のフォルダに保存

メール本文の見積を参照に入れ忘れないようにします。 小さな運送会社ほど、見積をメールの本文に書いてきます。参照に入っていない会社は、一覧に出てきません。 一覧の会社の数が見積依頼の社数と合っているかを最初に確かめます。

過去の同じ区間の見積は、参照に入れません。 前回の見積が混ざると、今回の金額と取り違えます。前回との比較が要るときは、前回の比較表の数字を、人が比較表のブックの別の列に入れます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 社数の確認 … 見積依頼の社数と、届いた見積の数が合っているかを確かめます
  2. 形式の確認 … 画像だけのPDF(スキャンやFAX)は、文字として読めるかを先に確かめます
  3. ファイル名の統一 … 「運送会社名_見積_日付」にそろえます
  4. 版の整理 … 見積の出し直しが届いたら、古い版を参照から外します
  5. 有効期限の確認 … 期限が切れた見積は使いません
  6. 比較表のブックの準備 … ひな形をコピーし、計算方法の設定が「自動」になっているかを確かめます
  7. 保存先の確認 … ブックを SharePoint の案件のフォルダに置き、チェックアウトが必須のライブラリでないことを確かめます

2番目と6番目を軽く見ないでください。 FAXで届いた見積は、読めない部分が「記載なし」として一覧に出て、運送会社に聞かなくてよいことを聞くことになります。計算方法が「手動」のブックでは、Copilot の編集が動きません。

Step5

AIに処理させる

させることは3つです。 見積から比較の項目を拾うこと、比較表に計算式の列を作ること、稟議書の下書きを書くことです。

工程させること判断できないときの扱い
見積の読み取り(Copilot Notebooks)比較の項目ごとに金額・単位・条件を拾い、「含む/別途/記載なし」を付ける読めない、どちらとも取れる記載は「要確認」
比較表の計算(Excel の Copilot)比べ方の決まりの前提で、月額に換算する計算式の列を作る前提が決まりに無い項目は計算せず空欄
稟議書の下書き(Word の Copilot)比較表と理由のメモから、ひな形の各欄を書く理由のメモに無い理由を足さない

真ん中の行で作らせる計算式は、料金の建て方ごとに型を決めておきます。 比べ方の決まりにこの表を載せ、Excel の Copilot への指示で参照させます。

料金の建て方月額の計算式の型前提のシートに要る値
貸切1運行1運行の運賃 × 月の運行回数月の運行回数
個建て(1ケース)1ケースの運賃 × 1運行の物量 × 月の運行回数1運行の物量(ケース数)
重量建て重量帯の運賃 × 月の運行回数1運行の重量
待機料想定の待機時間のうち無料の時間を超えた分 × 単価 × 月の運行回数1運行の待機の想定時間
燃料サーチャージ見積に書かれた算定方法のとおり。算定方法が無ければ計算しない算定に使う軽油の価格(自社で決める)

燃料サーチャージは、算定方法が会社ごとに違うため、型に当てはめられないことがあります。 算定方法が見積に書かれていないときは「要確認」にし、自社で勝手に率を置いて計算しません。 置いた率が実際の請求と違えば、比較の結論が変わります。

一番上の行の「含む/別途/記載なし」が、この構成でいちばん大事な区別です。 「高速道路料金込み」は含む、「高速道路料金は実費」は別途、何も書かれていなければ記載なしです。記載なしを「含む」とも「かからない」とも読ませません。

させないこと理由
見積の金額をAIの文章の中で足し算する計算は計算式で行い、人が確かめる
「記載なし」の料金を0円として計算する後から請求される料金を見落とす
選ぶ会社を決める金額以外の理由は人が持っている
理由のメモに無い選定の理由を作るもっともらしい理由が決裁者を誤らせる
運賃の交渉の文面を作って送る運送会社との協議は人が行う(第13章)

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 待機料が書かれていない見積を計算に入れると、計算式は空欄を0として扱い、その会社がいちばん安く見えます。 記載なしの項目がある会社は、比較表の上で色を変え、確かめるまで稟議書に進ませません。

Step6

指示内容を固定する

見積の読み取り(Copilot Notebooks):

あなたは製造業の物流部で、運送会社の運賃の見積を比べる担当です。
このノートブックの参照だけを使ってください。参照にない情報で補わないでください。

【やること】
各社の見積から、次の比較の項目ごとに、金額・単位・条件を拾ってください。
1. 運賃(料金の建て方:貸切1運行/個建て/重量建て/距離建て のどれか)
2. 燃料サーチャージ
3. 高速道路の料金
4. 待機料(何分から、いくら)
5. 荷役の料金(積み込み・取り卸し)
6. 付帯作業の料金(時間指定、ラベル貼りなど)
7. 有効期限
8. 支払条件
9. 貨物保険(補償の上限)

【区分】
- 含む ...... 運賃に含むと書かれている
- 別途 ...... 別に請求すると書かれている(金額や算定方法も写す)
- 記載なし .. 見積のどこにも書かれていない
- 要確認 .... 記載はあるが、含むか別途か決められない

【厳守事項】
- 書かれていない料金は「記載なし」にしてください。「かからない」「0円」と書かないでください。
- 金額は書かれているとおりに写してください。単位(1運行あたり、1ケースあたり、月額)も写してください。
  合計、月額への換算、税込みへの換算をしないでください。
- 根拠にした文書名と、ページまたは行を必ず書いてください。
- どの会社が安いか、どの会社を選ぶべきかは書かないでください。
- 出力は、1行が「会社名×項目」の表にしてください。

比較表の計算(Excel の Copilot、編集のモード):

この表の各行は「会社名×項目」の見積の値です。
シート「前提」の運行回数・1運行の物量・待機の想定時間を使って、
会社ごとに月額の見込みを出す計算式の列を作ってください。
区分が「記載なし」「要確認」の行は計算に入れず、月額の列を空欄のままにし、
会社名の列に「未確認あり」と表示する列を足してください。
値を直接入力せず、必ず計算式で求めてください。

「値を直接入力せず、必ず計算式で求める」を最後に書いているのは、確かめられる形で残すためです。 計算した結果の数字だけが入ると、何を掛けたかが第3章の(a)と同じように消えます。

稟議書の下書き(Word の Copilot):

/比較表_区間A.xlsx と /選定の理由メモ_区間A.docx を使い、
/稟議書ひな形.docx の各欄を埋めた下書きを作ってください。
金額は比較表の値をそのまま使い、計算し直さないでください。
選定の理由は、理由メモに書かれていることだけを使ってください。
最安でない会社を選ぶ場合は、差額と、その差額を払う理由を並べて書いてください。
比較表に「未確認あり」の会社が残っている場合は、下書きを作らずにそのことを伝えてください。
Step7

出力形式を固定する

見積の読み取りの結果は、1行が「会社名×項目」の表で受け取ります。

【見積の比較項目】
| 会社 | 項目 | 区分 | 金額 | 単位 | 条件 | 根拠 |
| A運送 | 運賃 | - | 35,000 | 1運行(4t車) | 貸切 | A運送_見積 1行目 |
| A運送 | 高速道路の料金 | 別途 | 実費 | - | 領収書を添付 | A運送_見積 備考 |
| A運送 | 待機料 | 記載なし | - | - | - | - |
| B物流 | 運賃 | - | 180 | 1ケース | 個建て、諸経費込み | B物流_見積 p.1 |
| B物流 | 待機料 | 別途 | 3,000 | 30分ごと | 到着から60分を超えた分 | B物流_見積 p.2 |

比較表のブックでは、この表を会社ごとの列に組み替え、月額の列を計算式で足します。

【比較表(月の想定:20運行、1運行200ケース、待機30分)】
| 項目 | A運送 | B物流 | C急送 |
| 運賃(月額) | =35000*20 | =180*200*20 | … |
| 燃料サーチャージ(月額) | =… | 含む | … |
| 待機料(月額) | 未確認 | 0(60分以内のため) | … |
| 月額の見込み | 未確認あり | =SUM(…) | … |

1つ目の理由は、区分の列で確認の要る行がすぐ分かることです。 「記載なし」「要確認」の行だけを拾えば、そのまま運送会社への確認の一覧になります。

2つ目は、単位を写しておくと、換算を比較表の1か所に集められることです。 1運行あたりと1ケースあたりを混ぜずに受けておけば、月額への換算は比較表の計算式だけで行います。 換算の前提を変えたいときも、前提のシートを直すだけで全社の月額が変わります。

3つ目は、根拠の列で稟議書の添付が作りやすいことです。 決裁者から「この金額はどこに書いてあるのか」と聞かれたら、根拠の列の見積を開けば答えられます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
案件のフォルダ(SharePoint)ノートブックの参照見積依頼書と各社の見積を読む
比較表のブックExcel の Copilot(編集のモード)月額の換算の計算式の列を作る
稟議書のひな形Word の Copilot(/ で参照を指定)稟議書の下書きを作る
稟議のワークフローのシステム人が起票稟議書と比較表を添付して上げる
運送会社人がメール・電話記載なしの項目を確かめる

API の連携はありません。 月10件の比較なら、画面の操作で回すほうが早く始められます。稟議のワークフローのシステムへの起票も、人が行います。 起票の前に、稟議書の数字と比較表を突き合わせるためです。

Word の Copilot では、入力欄で / を入力してファイルを選ぶと、そのファイルを参照させられます。 比較表のブック、理由のメモ、稟議書のひな形の3つを指定して下書きを作ります。

Step9

人が確認する

  1. 一覧の会社の数を確かめる … 見積依頼の社数と合っているか。合わなければ参照の入れ忘れです
  2. 「記載なし」「要確認」を運送会社に確かめる … 確かめた結果を比較表に書き込みます
  3. 計算式を確かめる … 運行回数と物量の前提のセルを参照しているか、単位を取り違えていないかを見ます
  4. 稟議書の数字を比較表と突き合わせる … 会社名と金額の組み合わせが合っているかを見ます
  5. 選定の理由を直す … 下書きの理由がメモと合っているか、言い過ぎていないかを見ます

3番目を省かないでください。 個建ての見積に月の運行回数だけを掛けて、1運行の物量を掛け忘れる、といった誤りは、計算式を見ればすぐ分かりますが、結果の数字だけを見ても気づけません。

5番目では、最安でない会社を選ぶ稟議の書き方を特に見ます。 下書きが差額を書かずに「品質が高い」とだけ書いていれば、決裁者から差し戻されます。差額と、その差額で何を買うのか(時間指定の確実さ、事故の少なさ、車両の確保)を並べて書けているかを確かめます。理由のメモが薄ければ、下書きを直すのではなく、メモを書き足してから作り直させます。

目標は、1件54分です。 確認の電話やメールの待ち時間は含めません。54分を大きく超えるのは、記載なしの項目が多い案件です。 その場合は、見積依頼書に書く条件を足します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
FAXやスキャンの見積で読めない部分がある「要確認」として扱い、運送会社にPDFか表計算で出し直しを頼む
料金の建て方が比べ方の決まりに無い(時間制など)換算の前提を決まりに足してから計算する。その場で決めない
見積の有効期限が切れている使わない。出し直しを頼む
見積の出し直しが届いた古い版を参照から外し、その会社の分だけ読ませ直す
一覧に出てこない会社がある参照に入っているかを確かめる。メール本文の見積で起きやすい
計算方法が「手動」で Copilot が編集できないブックの計算方法を「自動」に戻す
チェックアウトが必須のライブラリでデスクトップ版が動かないチェックインし直すか、Web版で開く
運送会社から運賃の改定の協議を求められている比較の結果にかかわらず、協議に応じる(第13章)

最後の行は、AIの処理の例外ではありません。 比較表で他社が安いと分かっても、いまの運送会社からの協議の求めに応じずに運賃を決めることは、取引の進め方として問題になりえます。 比較は協議の材料であって、協議の代わりではありません。

Step11

記録を残す

  • 案件ごとのノートブックと、参照した見積の一覧(会社名と版)
  • 比較表のブック(前提のシートと計算式を含む)
  • 運送会社に確かめた記録 … どの項目を、いつ、誰に確かめ、何と答えたか
  • 選定の理由のメモと、稟議書の最終版
  • 運送会社との協議の記録 … 改定の申し出と、その協議の経過

3つ目と5つ目は、次に同じ区間を見直すときの材料になります。 待機料を確かめた答えが残っていれば、次の見積依頼書に「待機料の算定方法を記載すること」と書けます。協議の記録は、取引の進め方を後から説明するためにも残します。

04実装レベルの3段階

最小構成:過去の区間で、見積を Copilot Notebooks に入れて比較の項目の一覧を作らせる / 見積の書き写しと区分
半自動化:上記+比べ方の決まりを固定し、比較表のブックで計算式の列を作らせ、Word の Copilot で稟議書の下書きまで作る / 書き写し、換算、稟議書の下書き
本格構成:上記+見積依頼書の回答の書式を全社で統一し、比較表のひな形と前提のシートを全区間で共通にする / 依頼から稟議書の下書きまで

本記事の想定は、半自動化です。 本格構成で変わるのは、見積の書式です。 運送会社が同じ書式で回答するようになれば、読み取りの「要確認」がほとんど出なくなります。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の段階で、どの運送会社のどの項目が「記載なし」になりやすいかを1か月見ると、見積依頼書に何を書き足せばよいかが分かります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
10 件
1件あたり現在時間
180 分
1件あたり導入後時間
54 分
現在  10件 × 180分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 10件 × 54分 ÷ 60 = 9 時間/月
月間削減時間
21h
削減率
70%
年間削減時間
252h
年間金額換算(時間単価3,500円)
88万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 拠点間の輸送、新しい納品先への配送、チャーター便の見直しで、毎月いくつもの区間について複数の運送会社から見積を取り、比較表と稟議書を手で作っている製造業・商社・卸の物流部。見積の書式が運送会社ごとにばらばらで、燃料サーチャージや待機・荷役の料金の扱いが見積によって違う場合。Microsoft 365 を使っており、見積と稟議書のひな形を SharePoint に置ける場合。
向いていない
  1. 運送会社と年間の運賃表を結んでおり、区間ごとの見積を取らない場合。見積の比較が月に1〜2件で、手で足りる場合。運賃の決定を運送会社との協議なしに一方的に決める運用になっている場合(まず取引の進め方を見直す)。なお、どの運送会社を選ぶか、運賃の交渉をどう進めるかの判断はこの構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月稟議を上げた区間を1件選ぶ(当時の比較表と稟議書、差し戻しがあればその理由も用意する)
  2. その区間の見積依頼書と各社の見積を、Copilot Notebooks の参照に入れる
  3. 第7章の指示で、比較の項目の一覧を作らせる
  4. 一覧を比較表のブックに貼り、Excel の Copilot に月額の計算式の列を作らせる
  5. 当時の比較表と、記載なしの拾い方と月額を突き合わせる

記載なしの拾い方を最優先で見ます。 当時、運送会社に確かめた項目が「記載なし」として出てくれば、確認の漏れを機械的に拾えるということです。

出てきた内容判断
当時確かめた項目が「記載なし」で出た。月額が当時と合った稟議書の下書きまで進める
書かれていない料金を「含む」「0円」とした指示の書き方で直る。構成は有効
FAXの見積が読めず「要確認」が並んだ見積の受け取り方が先。 PDFか表計算で出してもらう

3行目が出ることは珍しくありません。 その場合は、次の見積依頼書に「回答はPDFか表計算のファイルで」と書き足します。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
書かれていない料金が「含む」や0円になる記載なしを区分として持たせる。 指示に明記する
記載なしの会社がいちばん安く見える月額の列を空欄にし、「未確認あり」を表示させる
個建てと貸切が同じ前提で比べられていない換算の前提を前提のシートに数字で書く
月額がAIの文章の中で計算される計算は計算式で。 値を直接入力させない
Copilot がブックを編集できない計算方法を「自動」にする。チェックアウトが必須のライブラリを避ける
メール本文の見積が一覧に出てこないPDFにして参照に入れる。一覧の社数を最初に確かめる
前回の見積の金額が混ざる過去の見積を参照に入れない
FAXの見積が読めない見積依頼書で回答の形式を指定する
稟議書の金額が比較表と合わない金額は比較表の値をそのまま使わせ、突き合わせを人が行う
稟議書に、メモに無い選定の理由が書かれる理由はメモに書かれたことだけを使わせる
比較表の結果だけで運賃を決めてしまう運送会社からの協議の求めには応じる。比較は協議の材料

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、書かれていない料金を「かからない」と読むところから起きます。記載なしを区分として持たせ、計算に入れないようにしてあるかどうかで、比較表が使えるかが決まります。

最後の行は、AIの問題ではありません。 運送会社との協議を省く道具にしないでください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 運送会社の見積(各社の運賃と料金の体系)、自社の物量と納品先、選定の理由のメモです。運送会社の運賃は、他社に知られたくない情報です。

  1. 他社の見積を交渉に流用しない … 比較表は社内の判断の材料です。A社の見積の金額をB社に示して値下げを求めるやり方は、取引の信頼を損ねます。 見積を依頼するときに、見積の扱いを伝えておきます
  2. 運送会社からの協議の求めに応じる … 政府広報オンラインの解説では、2026年1月1日に施行された取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)で、「特定運送委託」が対象の取引に加わり、事業者が販売する物品などを取引の相手方に運送する場合に、その運送を他の事業者に委託する取引がこれに当たるとされています。また、中小受託事業者から価格の協議を求められたのに応じず、必要な説明をせずに一方的に代金を決めることが、新たに禁止されたとされています。自社と運送会社が規模の基準に当たるかは法務と確かめ、比較の結果を、協議に応じない理由にしないでください
  3. 発注の内容を明示する … 同じ解説では、委託事業者には給付の内容、代金の額、支払期日、支払方法などを書面か電子メールなどで明示する義務があり、支払期日は受領日から60日以内のできる限り短い期間内に設定する義務があるとされています。稟議が通ったら、比較表の条件を発注の書面に落とします
  4. Web検索を止める … 公式のページでは、Web検索が有効なとき、アプリの中でのプロンプトや文書の指定によって、生成される検索語が文書の内容の影響を受けうるとされ、生成された検索語には DPA が適用されないとされています。管理者が Allow web search in Copilot のポリシーで、この業務を行う人の Web検索を止める前提にします
  5. 案件のフォルダの権限を絞る … 公式のページでは、Copilot は利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを表示するとされています。運賃の見積を置くフォルダは、物流部と購買の担当だけが見られるようにします
  6. 財務の判断をAIに任せない … 公式の FAQ では、財務・法務・医療のような慎重さを要する分野の判断に Copilot を使うことを避けるよう注意されています。比較表は判断の材料で、選ぶのは担当者と決裁者です

学習への利用について: 公式のページでは、プロンプト、応答、Microsoft Graph のデータは基盤モデルの学習に使われないとされています。

誤りが起きた場合のリスクは、書かれていない料金を見落として高い会社を選ぶことと、比較の結果を理由に運送会社との協議を省くことの2つです。 前者は記載なしの区分で、後者は運用の決めごとで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:比べ方の決まりを1枚にまとめる

比較の項目(運賃、燃料サーチャージ、高速道路の料金、待機料、荷役の料金、付帯作業、有効期限、支払条件、貨物保険)と、月額に換算するときの前提(運行回数、物量、待機の想定時間)を、物流部で合意して1枚にします。

2週目:先月の区間で試す

先月稟議を上げた区間を1件選び、見積を Copilot Notebooks に入れて一覧を作らせ、比較表のブックで計算式の列を作らせます。当時の比較表と、記載なしの拾い方と月額を突き合わせます。

3週目:ひな形と取引の決めごとを整える

比較表のひな形に前提のシートを作り、稟議書のひな形を見直します。法務と、取適法の対象になる運送会社の範囲と、協議の求めへの対応の手順を確かめます。 管理者と Web検索の扱いを決めます。

4週目:本番の区間で使う

次に見積を取る区間から、一覧・比較表・稟議書の下書きまでを作ります。この時点では、人が作った比較表と並べて、どこが違うかを見ます。

2か月目: 全区間で使い、運送会社ごとに「記載なし」になりやすい項目を数えます。3か月目以降: 見積依頼書に回答の書式と書き足す条件を入れ、1件180分が何分になったかを実測します。稟議の差し戻しが減り、前回の選定の理由を誰でも読める状態になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Excel の Copilot に編集・計画・チャットの3つのモードがあり、編集のモードではブックを直接編集すること。Copilot の編集は計算方法が「自動」のときだけ対応すること。.xlsx などの新しい形式で保存すること。SharePoint でチェックアウトが必須のサイトのファイルではデスクトップ版で動かず、Web版なら使えること。日本語が対応言語に含まれること。財務・法務・医療のような分野の判断に使うことを避けるよう注意していることMicrosoft Support: Frequently asked questions about Copilot in Excel2026-10-14
Copilot Notebooks の参照に対応する形式が .docx、.pptx、.xlsx、.pdf、.loop、.page、.txt、.rtf と OneNote のページであることMicrosoft Support: Add reference files to your Microsoft 365 Copilot Notebooks2026-10-14
Word の Copilot で、特定の情報源を使うときは / を入力してファイルを選ぶことMicrosoft Support: Draft and add content with Copilot in Word2026-10-14
Copilot が利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを表示すること。プロンプト・応答・Microsoft Graph のデータが基盤モデルの学習に使われないことMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-14
Web検索が有効なとき、アプリの中でのプロンプトや文書の指定によって生成される検索語が文書の内容の影響を受けうること。生成された検索語に DPA が適用されないこと。Allow web search in Copilot のポリシーで止められることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for web search in Microsoft Copilot and Microsoft Copilot Chat2026-10-14
取適法が令和8年(2026年)1月1日から施行されたこと。対象の取引に「特定運送委託」が加わり、事業者が販売する物品などを取引の相手方に運送する場合にその運送を他の事業者に委託する取引がこれに当たること。協議に応じない一方的な代金決定の禁止が加わったこと。発注内容の明示義務(給付の内容、代金額、支払期日、支払方法)と、受領日から60日以内の支払期日の設定義務政府広報オンライン: 取適法の解説2026-10-14

自社と運送会社が取適法の対象になるか、協議の求めにどう対応するかは、法務と確かめてください。 本記事は、上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。Copilot の機能は段階的に提供されるものがあり、利用できる範囲はライセンスと組織の設定によって異なります。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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