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介護施設の居室と廊下を定期に撮った写真から、床の物・コードの這わせ方・ベッドの高さ・手すりの前の障害物など転倒につながる環境の候補を見分けて、居室ごとの点検記録を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

介護施設の居室と廊下を、利用者が写らない時間に月1回撮った写真から、床の物・コード・ベッドの高さのずれ・手すりの前の障害物など転倒につながる環境の候補を拾います。居室ごとの決まった配置と照らし、点検記録とフロアへの直しの連絡の下書きを作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
介護/医療
対象部門
品質管理
対象業務
内容確認・チェック/記録・議事録作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
画像認識
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
45h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
60%
年間削減
324h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. フロアの職員が、利用者が居室を離れている時間に居室と廊下を回り、決めた位置から写真を撮って点検表に印を付ける
  2. 写真をフロアのフォルダに入れる
  3. 事故防止の担当が、写真を居室ごとに開き、点検表の印と照らして点検の記録に書き写す
  4. 前回の写真と比べて、床の物や家具の位置が変わったところを探す
  5. 気になる居室について、フロアに直しを頼む連絡を書く
  6. 事故防止の委員会で、点検の結果と転倒の報告を合わせて見直す
導入後(After)
  1. 人フロアの職員が、利用者が居室を離れている時間に、決めた位置から写真を撮り、ファイル名に居室番号を付けてフォルダに入れる
  2. 自動Make のシナリオが写真を拾い、居室の台帳から決まった配置を引く
  3. 自動Gemini API が、6つの着眼点ごとに環境の候補と写真の上の位置を返す
  4. 自動シナリオが、決まった配置と前回の答えと照らして居室ごとの区分を付け、点検記録の下書きと直しの連絡の下書きを作る
  5. 人事故防止の担当が、「配置のずれ」「要確認」「見えない」の居室だけ写真で確かめ、区分を確定する
  6. 人フロアに直しを頼み、直ったことを次の写真か職員の報告で確かめる
  7. 人事故防止の委員会で、点検の結果と転倒の報告を合わせて見直す
各工程の詳しい説明を読む
  1. フロアの職員が、利用者が居室を離れている時間に居室と廊下を回り、決めた位置から写真を撮って点検表に印を付ける
  2. 写真をフロアのフォルダに入れる
  3. 事故防止の担当が、写真を居室ごとに開き、点検表の印と照らして点検の記録に書き写す
  4. 前回の写真と比べて、床の物や家具の位置が変わったところを探す
  5. 気になる居室について、フロアに直しを頼む連絡を書く
  6. 事故防止の委員会で、点検の結果と転倒の報告を合わせて見直す

(a)書き写しが多い。 居室と区画で月450件、「問題なし」の居室も、問題なしであることを記録に書いています。 写真のファイル名と居室番号が合っていないものを探す手間もかかります。

(b)前回からの変化を見落とす。 前回の写真は別のフォルダにあり、比べる作業は忙しい月に省かれます。ベッドの横に置いていた衝撃吸収マットがいつから無いのかを、転倒の報告が上がってから写真で探すことがあります。

(c)見方が担当ごとに違う。 コードが通り道を横切っているのを気にする担当もいれば、気にしない担当もいます。施設ごとに点検の目が違い、法人の委員会で比べられません。

(d)見えなかったことが記録に残らない。 カーテンの陰の床やベッドの下は、写真では見えないことがあります。それでも点検表では「問題なし」と同じ印になります。

  1. 【人】 フロアの職員が、利用者が居室を離れている時間に、決めた位置から写真を撮り、ファイル名に居室番号を付けてフォルダに入れる
  2. 【自動】 Make のシナリオが写真を拾い、居室の台帳から決まった配置を引く
  3. 【自動】 Gemini API が、6つの着眼点ごとに環境の候補と写真の上の位置を返す
  4. 【自動】 シナリオが、決まった配置と前回の答えと照らして居室ごとの区分を付け、点検記録の下書きと直しの連絡の下書きを作る
  5. 【人】 事故防止の担当が、「配置のずれ」「要確認」「見えない」の居室だけ写真で確かめ、区分を確定する
  6. 【人】 フロアに直しを頼み、直ったことを次の写真か職員の報告で確かめる
  7. 【人】 事故防止の委員会で、点検の結果と転倒の報告を合わせて見直す

5番目が、この設計の分かれ目です。 事故防止の担当が写真を開くのは、区分が「配置のずれ」「要確認」「見えない」の居室だけです。「問題なし」の居室は一覧で確かめます。全部の写真を開き直す設計にすると、①②の時間はほとんど減りません。

日々の見守りは、これまでどおり残します。 床の水こぼれや置き忘れは、月1回の写真では捕まえきれません。この構成が拾うのは、月をまたいで続いている環境の候補と、決まった配置のずれです。

02今回想定するシステム構成

構成図
フロアの職員(施設のタブレット)
   │  利用者が居室を離れている時間に、決めた位置から撮影。ファイル名に居室番号
   ▼ Google ドライブの施設のフォルダ
【トリガー】Make の Watch Files in a Folder
Make
   ├── Download a File ── 写真の取り出し
   ├── 居室の台帳 ── 決まった配置(ベッドの高さ・マット・センサー)
   ├──▶ Google Gemini AI の Make an API call
   ▼
Gemini API ── 6つの着眼点ごとの環境の候補・位置(box_2d)
   ▼
Make ── 決まった配置 × 前回の答え → 居室ごとの区分
   ▼
点検記録の下書き / フロアへの直しの連絡の下書き
   ▼
【事故防止の担当が「配置のずれ」「要確認」「見えない」を写真で確かめる】
   └──▶ フロアへ直しの依頼 / 委員会の資料
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(居室と廊下の写真から転倒につながる環境の候補を判定)Claude API、OpenAI API
連携Make(写真の検知、呼び出し、配置との照合、下書きの作成)Power Automate、n8n
連携Google スプレッドシート(居室の台帳、点検記録、直しの連絡の一覧)Microsoft Lists
保管Google ドライブ(施設ごとの写真のフォルダ)法人のファイルサーバー
撮影施設のタブレット施設のスマートフォン

つなぎには Make を使います。 Google Drive のモジュールの Watch Files in a Folder は、選んだフォルダにファイルが作られたか変更されたときにシナリオを動かします。Download a File でファイルを取り出し、Google Gemini AI のアプリの Make an API call で、出力の形を指定した呼び出しを組みます。Gemini AI のアプリは、API キーを登録した接続を作って使います。

写真を見る土台は、Gemini API の画像理解です。 対応する形式は PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF で、1回のリクエストに複数の画像を入れられます。 画像を直接入れる場合は、指示などと合わせたリクエスト全体が20MBまでです。位置は [ymin, xmin, ymax, xmax] の形で、0から1000に正規化した座標で返せます。この座標を、事故防止の担当が写真のどこを見ればよいかの印に使います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

写真が施設のフォルダに入ったことを起点にします。 Make の Watch Files in a Folder が新しい写真を拾い、シナリオが動きます。撮影は食事や入浴の時間に合わせてフロアごとに行われるため、シナリオの実行の間隔は1時間ごとで足ります。

1つの居室の写真がそろってから処理します。 決まりは「入口から部屋全体」「ベッドの横(高さの目印が写る向き)」「ベッドから出入口までの通り道」「トイレ・洗面の前」の4枚です。ファイル名を「施設_居室番号_撮影日_撮り場所」とし、同じ居室の4枚がそろった居室から処理します。 廊下・共用の区画は、区画の番号ごとに両方向から2枚撮ります。

その月の点検の予定日を過ぎても写真が1枚も無い居室を、一覧にします。 写真の無い居室は、点検されていない居室かもしれません。点検の結果より先に、この一覧を事故防止の担当に見せます。

転倒の報告が上がった居室では、臨時の点検をします。 報告の翌日までに同じ4枚を撮り、ファイル名に「臨時」を付けます。区分を通常の点検より先に並べ、前回の写真と並べて委員会の資料にします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
居室・区画の写真撮り場所ごとの写真。施設、居室番号、撮影日、撮った職員施設のフォルダ
居室の台帳居室番号、ベッドの種類、決まった配置(ベッドの高さ・衝撃吸収マット・センサーマット・家具の位置)、配置を決めた日居室の台帳
前回の記録同じ居室の前回の答え、確定した区分、頼んだ直し点検記録
区分の規則着眼点 × 決まった配置 × 前回からの変化で区分を決める表区分の規則の表

質を決めるのは、居室の台帳の「決まった配置」です。 衝撃吸収マットを敷くと決めた居室で、写真にマットが写っていなければ、それは配置のずれです。同じマットが、決まっていない居室で通り道にはみ出していれば、つまずきの候補です。 台帳にこの区別が無いと、区分が決まりません。

ベッドの高さは、目印で見ます。 写真から高さを測ることはできないため、決まった高さの位置で、ベッドの脚の横の壁に目印のシールを貼っておきます。 AIには、ベッドの枠の下の端が目印に合っているか、上か下かを答えさせます。目印のある居室を台帳に持ちます。

決まった配置の中身は、AIに渡しません。 「この居室は衝撃吸収マットあり」と渡すと、写っていないマットを「ある」と答えやすくなります。 AIには写っているものを答えさせ、配置と照らすのはシナリオです。利用者の名前や身体の状態も、もちろん渡しません。

Step3

データの取得方法を決める

Make のシナリオが、次の順に集めます。

取るものどこから何に使うか
写真Download a FileAIに渡す
施設・居室番号・撮影日・撮り場所ファイル名台帳の引き当て
決まった配置・目印の有無居室の台帳配置のずれの判定
前回の答えと確定した区分点検記録前回からの変化の判定
区分の規則区分の規則の表区分の決定

写真は Download a File で取り出したものを base64 にして、撮り場所の名前と合わせて Make an API call の本文に入れます。 1居室4枚なので、縮めた写真ならリクエスト全体20MBの上限には通常届きません。本文の response_format に後で示すスキーマを入れます。API キーは Make の接続の側に持たせて、シナリオの本文には書きません。

居室の台帳は、介護記録のシステムから直接は引きません。 事故防止の担当が、カンファレンスで決まった配置を居室の台帳に書き写します。ケアプランの中身そのものを、このシナリオに通さないためです。 台帳に持つのは、居室番号と配置だけです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 枚数と名前の確認 … 居室番号が台帳にあるか、4枚の撮り場所がそろっているかを見ます
  2. 向きの補正 … 写真の向きの情報で、横倒しの写真を正しくします
  3. 写りの確認 … 暗い写真、ぶれた写真は「撮り直し」とします
  4. 人の写り込みの確認 … 人が写った写真は、AIに送らず撮り直しにします
  5. 私物の写り込みへの配慮 … 写真立て、手紙、名前の書かれた物が大きく写った写真は、撮る位置を変えて撮り直します
  6. 大きさの調整 … 長辺が大きすぎる写真は縮めます。床のコードやマットの端が潰れない大きさを残します

4番目と5番目は、この題材で欠かせません。 居室は利用者の暮らしの場で、写真には家族の写真や名前の入った私物も写ります。 撮る位置を床と通り道が中心になる高さと向きに決め、部屋を広く見せる写真は撮りません。 人が写った写真は、利用者でも職員でもAIに送りません。

3番目の暗さは、カーテンを閉めた居室で起きます。 撮るときはカーテンを開け、照明をつける決まりにします。床の色とコードの色が近いと、暗い写真ではまったく見分けられません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、写真ごとに、6つの着眼点について次の答えを返すことだけです。

着眼点答え方判断できないときの扱い
床に置かれた物(通り道・ベッドの横)found / none / not_visible / uncertain。物の種類を短く家具の陰で床が見えなければ not_visible
通り道を横切るコード同上同上
ベッドの高さの目印とのずれat_marker / above / below / not_visible目印が写っていなければ not_visible
手すりの前の障害物(廊下・トイレ)found / none / not_visible / uncertain手すりが写っていなければ not_visible
床の濡れ・こぼれ同上反射と見分けられなければ uncertain
めくれた・ずれたマットや敷物同上同上

found と uncertain と目印とのずれのときは、写真の番号と box_2d を返させます。 事故防止の担当は、印の付いた位置を見るだけで済みます。

させないこと理由
利用者が転びやすいかの評価個人の要因は写真に写らない。多職種で評価する
ベッドの高さの数値の推測写真から寸法は確かめられない。目印で見る
置いてある物が決まった配置かの判断台帳と照らしてシナリオが決める
対策の提案(柵を増やす、家具を動かす)ケアプランと身体拘束の考え方に関わる。人が決める
私物や写っている人についての記述点検に要らない

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 ベッドの横の床に物が多い写真を見せると、AIは「ベッド柵を追加することをおすすめします」と書きます。柵や家具の配置は、利用者の動きを縛ることにもつながり、ケアの方針として決めることです。 AIには見えたものだけを答えさせ、対策は書かせません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは、介護施設の居室と廊下を、利用者がいない時間に撮った写真を見て、転倒につながりうる環境を書き出す立場です。
同じ居室の写真を撮り場所の名前と一緒に渡します。写真に見えるものだけを答えてください。

【撮り場所】{spots}

【着眼点】
floor_object(通り道やベッドの横の床に置かれた物)、cord(通り道を横切るコード)、
bed_marker(ベッドの枠の下の端と、壁の高さの目印との位置)、
handrail_block(手すりの前をふさぐ物)、wet_floor(床の濡れ・こぼれ)、mat_edge(めくれた・ずれたマットや敷物)

【着眼点ごとに答えること】
- bed_marker:at_marker / above / below / not_visible
- それ以外:found / none / not_visible / uncertain
- found と uncertain、above と below のときは、photo_no と box_2d と、見えた物の種類を短く note に
迷ったときに none を選ばないでください。

【厳守事項】
- 家具の陰、カーテンの陰、画角の外で見えない部分は not_visible にしてください。見えない部分を none にしないでください。
- 床に置かれた物がわざと置かれたものかどうか(マット、センサーなど)を判断しないでください。見えた物の種類だけを書いてください。
- ベッドの高さを数値で書かないでください。目印との位置だけを答えてください。
- 利用者が転びやすいかどうか、対策の提案を書かないでください。
- 写真立て、手紙、名前の書かれた物の内容を書かないでください。
- 写真に写っている人について、何も書かないでください。

「わざと置かれたものかを判断しない」を明記しないと、AIは衝撃吸収マットを「転倒予防のマットのため問題なし」と答えます。 一見よさそうですが、決まっていない居室でマットが通り道にはみ出していても、同じように「問題なし」になります。 種類だけを答えさせ、決まった配置かは台帳で決めます。

「見えない部分を none にしない」は、ベッドの下とカーテンの陰のために入れています。 コードはベッドの下から出てくることが多く、写真で見えないのに「コードなし」と答えると、いちばん見たい場所が空欄になります。

Step7

出力形式を固定する

構造化出力で、居室ごとに次の形のJSONを受け取ります。

{
  "room_id": "A2-215",
  "checks": [
    { "item": "floor_object | cord | bed_marker | handrail_block | wet_floor | mat_edge",
      "status": "found | none | not_visible | uncertain | at_marker | above | below",
      "photo_no": 2,
      "box_2d": [0, 0, 0, 0],
      "note": "" }
  ],
  "retake_needed": false
}

着眼点と状態を enum にして、決めた値以外を返させません。 Gemini API の構造化出力は、/v1beta/interactions の response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れて指定し、enum と required が使えます。ただし、JSONとして正しくても値が正しいとは限らないため、アプリケーションの側で値を確かめるよう案内されています。 シナリオで、6つの着眼点がすべて返っているか、bed_marker に found のような合わない値が入っていないかを確かめ、合わなければ「確認が要る」にします。

区分は、シナリオが台帳と前回の答えと照らして決めます。

区分条件の例
配置のずれ台帳で決まった配置(マット・センサー)が写っていない。目印のある居室で above / below
要確認通り道の floor_object・cord・mat_edge が found。手すりの前の handrail_block が found
前回から前回は none で、今回 found になった着眼点がある
見えないベッドの横・通り道の着眼点が not_visible
問題なしすべて none で、目印が at_marker、決まった配置がそろっている

「配置のずれ」をいちばん上にしているのは、ケアの方針として決めた備えが外れているからです。 マットを片付けたまま戻していない、ベッドを介助のために上げたまま下ろしていない。どちらも、日々の介助の中で起きやすく、気づかれにくいずれです。 規則の中身は事故防止の委員会で決め、表として持ちます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google ドライブWatch Files in a Folder、Download a File写真の検知と取り出し
居室の台帳・点検記録Google スプレッドシートのモジュール台帳の読み取りと、下書きの列への書き込み
Gemini APIGoogle Gemini AI の Make an API call6つの着眼点の判定
直しの連絡の一覧Google スプレッドシートフロアごとの直しの連絡の下書き

点検記録には、下書きの列だけに書きます。 確定の列は事故防止の担当が埋めます。フロアへの直しの依頼も、担当が確定してから出します。 シナリオから外へは何も送りません。

介護記録のシステムには書き込みません。 点検記録は環境の記録で、利用者ごとの記録とは分けて持ちます。 転倒の報告と合わせて見るのは、事故防止の委員会の場です。

Step9

人が確認する

すべての居室で、事故防止の担当の確定を通します。 写真を開く居室は区分で絞ります。

  1. 「配置のずれ」を最初に見る … 写真で確かめ、その日のうちにフロアのリーダーに伝えて元に戻してもらいます
  2. 「要確認」と「前回から」を見る … 通り道の物やコードを写真で確かめ、直しの連絡を確定します
  3. 「見えない」をまとめる … 翌月の点検で撮る位置を変える居室の一覧にします
  4. 「問題なし」は一覧で確定する … 下書きを流し見て、まとめて確定します

1番目を省かないでください。 決まった配置は、その利用者の転倒への備えとして多職種で決めたものです。外れているのを写真で見つけた時点で、フロアに伝えるまでを1つの手順にします。

目標は、450件をならして1件2.4分です。 「問題なし」の居室は一覧で数十秒、「配置のずれ」の居室はフロアへの連絡まで含めて数分かかります。

最初の2か月は、事故防止の担当がこれまでどおり全部の写真を見て、AIの区分と並べます。 担当が気になると判断した居室に、AIが候補を出していたかを照らします。出していなかった居室は、撮る位置か着眼点の書き方を直す材料です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
居室番号が台帳に無い処理せず担当に知らせる。居室の移動や番号の付け間違いを疑う
4枚の撮り場所がそろわない「撮り漏れ」として下書きに出す
暗い・ぶれで見えない「撮り直し」。カーテンと照明の決まりを伝える
人が写っているAIに送らず撮り直し
私物が大きく写っている撮る位置を変えて撮り直し
目印のシールがはがれているnot_visible で「見えない」。フロアに貼り直しを頼む
居室の利用者が替わった台帳の決まった配置を空にし、カンファレンスで決まるまで「配置なし」で区分を付ける
転倒の報告が上がった居室「臨時」で撮り、区分を先に並べる
Gemini API が応答しないその居室は「未処理」。事故防止の担当がこれまでどおり写真を見る

「未処理」と「見えない」を「問題なし」に混ぜないでください。 混ぜると、見ていない居室が見た居室と同じ記録になり、(d)の問題がそのまま残ります。

Step11

記録を残す

  • 居室ごとの写真と、撮影日、撮った職員
  • AIの答え(着眼点ごとの状態・位置・メモ)
  • 区分と、そのとき使った台帳の決まった配置と規則の版
  • 事故防止の担当が直した区分と、確定した日
  • フロアに頼んだ直しと、直ったことを確かめた日
  • 転倒の報告が上がった居室の、直前の点検の記録との対応

点検記録の下書きは、たとえば次の形にします。

【居室の環境の点検】A施設 2階 2026-10-12(撮影 ○○)
 A2-215 配置:衝撃吸収マット → 写真に無し → 配置のずれ
 A2-216 cord found(写真3 ベッドの下から入口へ)前回なし → 要確認・前回から
 A2-217 bed_marker not_visible(目印のシールが見えない)→ 見えない:貼り直し
 A2-218 すべて none、目印 at_marker → 問題なし

最後の行の対応は、事故防止の委員会の材料になります。 運営の基準は、事故やそれに至る危険のある事態が報告され、その分析を通じた改善策を従業者に周知する体制を求めています。転倒の報告と直前の環境の記録が結び付いていれば、環境の要因があったかどうかを委員会で確かめられます。

04実装レベルの3段階

最小構成:写真と撮り場所を手でAIの画面に貼り、着眼点ごとに答えさせる / 1室ごとの見直し
半自動化:上記+フォルダを起点に Make で呼び出し、答えを点検記録の下書きに書き出す / 全部の居室の書き写し
本格構成:上記+居室の台帳と前回の答えと照らして区分を付け、直しの連絡の下書きまで出す / 書き写し・比較・連絡の下書きまで

最小構成では、月450件をさばけません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件6分が4分程度になります。 書き写しは無くなりますが、決まった配置との照合と前回との比較が手で残ります。 本格構成で2.4分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、②の比較と③の連絡の下ごしらえが規則で行われるためです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の下書きを1か月見ると、「見えない」が多い居室と、目印のはがれやすい場所が分かります。そこを直してから区分を付けるほうが、フロアの職員が一覧を信用します。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
450 件
1件あたり現在時間
6 分
1件あたり導入後時間
2.4 分
現在  450件 × 6分 ÷ 60 = 45 時間/月
導入後 450件 × 2.4分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
27h
削減率
60%
年間削減時間
324h
年間金額換算(時間単価3,000円)
97万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 複数の特別養護老人ホームや介護老人保健施設を運営し、居室と廊下の環境の点検を毎月行っているが、写真を見て点検表に書き写す作業と、前回からの変化の見直しが、事故防止の担当者の手作業になっている法人。居室ごとに、ベッドの高さや衝撃吸収マットの置き方など決まった配置がケアプランで決まっている場合。利用者が居室にいない時間に撮る決まりを各フロアに通せる場合。
向いていない
  1. 居室が数十室で、担当者が目で見て回る点検で足りる場合。利用者が居室にいない時間を作れず、利用者を写さずに撮れない場合。居室の写真を外部のサービスに送ることについて、法人の個人情報の取扱いの規程で整理がつかない場合。なお、利用者ごとの転倒のリスクの評価、ケアプランの見直し、身体の状態に応じた対策の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の点検から、直しを頼んだ居室と頼まなかった居室を合わせて20室選ぶ
  2. その20室の写真を用意する(人と私物の内容が写っていないもの)
  3. 手元の Gemini の画面に、1室分の写真と撮り場所の名前を貼り付ける
  4. 「床に置かれた物、通り道を横切るコード、ベッドの枠と壁の目印の位置、手すりの前の障害物、床の濡れ、めくれたマットについて、見えるか、見えないか、分からないかを答え、見える場合は場所を示してください。わざと置いた物かどうか、転びやすいかどうか、対策は書かないでください」と指示する
  5. 当時の点検の記録と、直しを頼んだ内容と突き合わせる

試すときも、法人で使ってよいと決めた有料の枠で行います。

出てきた内容判断
直しを頼んだ居室で候補が出ている居室の台帳とシナリオに進む
対策の提案まで書いてしまう指示の書き方で直る。構成は有効
暗くて床が見えない撮り方が先。 AIの問題ではない

3行目は、カーテンを閉めたままの居室でよく出ます。 写真で見えない床は、夜の居室で利用者が歩く床でもあります。撮るときの明るさの決まりを作ると、夜間の足元の明るさを見直すきっかけにもなります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
見えない床を「問題なし」と答えるnot_visible を用意し、迷ったらそれを選ばせる
衝撃吸収マットを「問題なし」と判断する種類だけを答えさせ、決まった配置かは台帳で決める
対策(柵の追加など)を提案する対策を書かせない。ケアの方針として人が決める
ベッドの高さを数値で書く目印との位置だけを答えさせる
暗くて床とコードが見分けられないカーテンを開け、照明をつけて撮る決まりにする
利用者が写った写真を送ってしまう居室を離れている時間に撮り、写り込みは送らない
私物の内容が記録に残る床と通り道が中心になる位置で撮り、内容を書かせない
前回の答えを渡して、無いコードを答える前回の記録はAIに渡さず、比較はシナリオで行う
利用者が替わっても配置が古いまま入退所のたびに台帳の配置を空にする
目印のシールがはがれるnot_visible を貼り直しの連絡につなげる

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、写真に見えるものに意味や対策まで付けることから起きます。AIには見えるものだけを答えさせ、意味は台帳に、対策は人に持たせれば、施設が増えても指示は変わりません。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 居室と廊下の写真、居室の台帳(居室番号と決まった配置)、点検記録です。居室の写真は利用者の暮らしを写すもので、私物や家族の写真が写り込むおそれがあります。

  1. 利用者を写さない、写った写真を送らない … 利用者が居室を離れている時間に撮り、人が写った写真はAIに送りません。AIへの指示でも、人と私物の内容について何も書かせません
  2. 居室の写真の扱いを規程で整理する … 居室の写真を外部のサービスに送ることを、法人の個人情報の取扱いの規程と、利用者・家族への説明の中で整理してから始めます。台帳には利用者の名前を持たせず、居室番号で結び付けます
  3. 規約の年齢の条件を確かめる … Gemini API の規約は18歳以上の利用を条件とし、18歳未満を対象とする、または18歳未満が利用しうるサービスでの利用を禁じています。 この構成を使うのは職員だけです
  4. 有料の枠で使う … 無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあるとされ、個人の情報を送らないよう案内されています。有料の枠では、プロンプトや応答を製品の改善に使わず、限った期間だけ記録するとされています。内容はどの国でも一時的に保存・キャッシュされうるともされています
  5. 転倒のリスクの評価と対策をAIに寄せない … 介護施設内での転倒に関するステートメントは、転倒の原因は多彩かつ複合的で、予防策を実施していても一定の確率で起こり、すべてが過失による事故ではないとしています。そのうえで、予防策と発生時の対策を講じて定期的に見直すことを求めています。この構成が出すのは環境の候補までで、対策の判断は多職種のカンファレンスで行います
  6. 点検の結果で利用者の行動を縛らない … 床の物やベッドの高さの候補が出ても、利用者の動きを制限する方向の対策をAIの答えから直接決めないでください。 対策はケアの方針として検討します

誤りが起きた場合のリスクは、転倒につながる環境を見落とすことと、点検していない居室を点検したことにしてしまうことの2つです。 前者は not_visible を none に混ぜると起き、後者は「未処理」や「撮り漏れ」を「問題なし」に混ぜると起きます。どちらも、見えないことと撮っていないことを記録に残すことで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:1つのフロアで居室の台帳を作る

1つのフロアを選び、カンファレンスで決まった配置(ベッドの高さ・衝撃吸収マット・センサーマット)を居室の台帳に書き写します。ベッドの高さを決めている居室には、目印のシールを貼ります。

2週目:20室で試す

先月の点検の写真から20室を選び、手元の Gemini の画面で着眼点ごとに答えさせます。当時の点検の記録と直しの内容と突き合わせ、見えない床を「問題なし」と答えていないか、対策を書いていないかを最優先で見ます。

3週目:撮り方と区分の規則を決める

フロアの職員と、撮る時間・4枚の撮り場所・カーテンと照明の決まりを決めます。事故防止の委員会で、配置のずれ・要確認・前回から・見えないの規則の表を作ります。

4週目:フォルダから下書きまでをつなぐ

Make で、Watch Files in a Folder から Make an API call までをつなぎ、点検記録の下書きに書き出すところまで作ります。 区分はまだ付けず、事故防止の担当の見直しと並べます。

2か月目: 台帳と前回の答えと照らして区分を付け、直しの連絡の下書きを出します。3か月目以降: ほかの施設に広げ、1件6分が何分になったかを実測します。転倒の報告が上がった居室について、直前の環境の記録を委員会ですぐに並べられるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-12/最終更新:2026-10-13
確認した内容情報源確認日
転倒(転落を含む)は原因が極めて多彩かつ複合的で、予防対策の有無にかかわらず一定の確率で発生し、すべてが過失による事故ではないこと。予防策と発生時の対応手順を整備し、定期的に見直すこと。転倒の要因に個人の要因と環境要因があり、環境要因として滑りやすい床表面、目の粗いじゅうたん、カーペットのほころび、固定していない障害物、照明の不良などが挙げられること。施設内で転倒の状況を検証し、その後の予防に活かす体制づくりが求められること(日本老年医学会・全国老人保健施設協会、2021年6月)全国老人保健施設協会: 介護施設内での転倒に関するステートメント2026-10-12
転倒・転落の要因として建物・器具の整備不足、物品・コード類の整理整頓不足、水こぼれの放置など床面の管理不足が挙げられ、ベッドの高さ・柵の位置・車椅子のブレーキ等の使用前の点検、定期的な物品・設備の点検と整備、ベッド周辺のコード類の整理が対策として示されていること(医療機関向けの資料)厚生労働省: 医療事故防止のための要点と対策(転倒・転落)2026-10-12
指定介護老人福祉施設が、事故発生の防止のための指針の整備、事故やそれに至る危険性がある事態の報告と分析を通じた改善策の周知の体制、委員会と研修、担当者の配置を行うこと。事故が発生した場合の連絡と記録(第35条)e-Gov 法令API: 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準2026-10-12
対応する画像の形式が PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF であること。画像を直接入れる場合、指示などと合わせたリクエスト全体が20MBまでであること。1回のリクエストに複数の画像を入れられること。位置を [ymin, xmin, ymax, xmax] の0〜1000の座標で返すことGemini API: Image understanding2026-10-12
構造化出力を /v1beta/interactions の response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れて指定すること。enum と required が使えること。JSONとして正しくても値はアプリケーションの側で検証するよう案内されていることGemini API: Structured output2026-10-12
18歳以上の利用を条件とし、18歳未満を対象とする、または利用しうるサービスでの利用を禁じていること。無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあり、個人の情報を送らないよう案内されていること。有料の枠では製品の改善に使わず、限った期間だけ記録すること。どの国でも一時的に保存・キャッシュされうることGemini API Additional Terms of Service2026-10-12
Make の Google Gemini AI のアプリに Make an API call のモジュールがあり、API キーを登録した接続で使うことMake: Google Gemini AI2026-10-12
Make の Google Drive のアプリに、選んだフォルダでファイルが作られたか変更されたときに動く Watch Files in a Folder と、Download a File のモジュールがあることMake: Google Drive modules2026-10-12

厚生労働省の転倒・転落の要点は医療機関向けの資料です。 介護施設での点検の着眼点は、法人の事故防止の指針と委員会で確かめてください。本記事は上の資料で確認できた範囲を扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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