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海外ブランドから届く英語の広告クリエイティブを日本向けに訳し、ブランドの用語集と日本の表示ルールにそろえて、直訳では伝わらない表現の代案を出す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

海外ブランドから届く英語の広告コピー、バナーの文字、動画の字幕を日本語に訳し、ブランドの用語集にそろえます。言葉遊びや文化に根ざした表現など直訳では伝わらない箇所には代案を出し、日本の表示ルールに照らして確認が要る箇所に印を付けます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Power Automate
対象業界
EC/小売/広告
対象部門
マーケティング
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
翻訳
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
180h/月
AI導入後
80h/月
想定削減
56%
年間削減
1,200h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. ブランドから届いた素材を開き、コピー・バナー・字幕ごとに訳す範囲を確かめる
  2. バナーは画像の中の文字を書き出し、字幕はファイルを開いて行ごとに確かめる
  3. 用語集を横に開きながら日本語に訳す
  4. 星印や注記を探し、どの強調表示に対する注記かを確かめて訳す
  5. 言葉遊びや慣用句など、直訳では伝わらない箇所の訳を考え、案をメモする
  6. 用語集の語が守られているか、表記の決まり(数字、単位、記号)を見直す
  7. 訳と案をスプレッドシートにまとめ、ブランドの担当者に確認を依頼する
導入後(After)
  1. 人ブランドから届いた素材を、ブランドごとの受付のフォルダに入れる(これまでと同じ置き場所)
  2. 自動定時に処理が動き、新しい素材を見つけて、コピー・バナー・字幕に分ける
  3. 自動バナーは画像の中の文字を位置付きで書き出し、字幕はタイムコードと行に分ける
  4. 自動用語集をそのブランドの行に絞り、素材に出てくる語だけを選ぶ
  5. 自動行ごとに訳し、用語集の適用、強調表示と注記の組、直訳では伝わらない箇所の代案を返す
  6. 自動用語集の語が訳に入っているか、字幕の文字数が決まりに収まるかを規則で確かめる
  7. 自動訳と代案と印を、確認用のスプレッドシートに書き出す
  8. 人担当者が行ごとに訳を確かめ、代案を選び、印の付いた箇所を直す
  9. 人確認の依頼をブランドの担当者に出す。必要なものは法務に相談する
各工程の詳しい説明を読む
  1. ブランドから届いた素材を開き、コピー・バナー・字幕ごとに訳す範囲を確かめる
  2. バナーは画像の中の文字を書き出し、字幕はファイルを開いて行ごとに確かめる
  3. 用語集を横に開きながら日本語に訳す
  4. 星印や注記を探し、どの強調表示に対する注記かを確かめて訳す
  5. 言葉遊びや慣用句など、直訳では伝わらない箇所の訳を考え、案をメモする
  6. 用語集の語が守られているか、表記の決まり(数字、単位、記号)を見直す
  7. 訳と案をスプレッドシートにまとめ、ブランドの担当者に確認を依頼する

(a)訳す作業が一部の担当者に頼っている。 コピーの訳は、英語が読めるだけではできません。直訳では伝わらない箇所に気づき、日本の広告として自然な案を出せる担当者は限られ、その人に仕事が集まります。 担当者が休むと、掲載の日に間に合わない素材が出ます。

(b)用語集の確認が目視になっている。 用語集は数百行あり、新しい製品の行は先週追加されたばかりということもあります。3番目と6番目で用語集を見比べても、追加されたばかりの行を見落とします。 ブランドの担当者からの差し戻しの多くが、用語集の語の違いです。

(c)打消し表示の扱いが訳で崩れる。 英語の「Results may vary.」「Limited time only.」「*Based on a survey of 100 women.」のような注記は、訳すと文字数が増えます。バナーで同じ位置に収まらず、離れた場所に移したり、文字を小さくしたりすることがあります。 動画では、注記の画面の表示時間が日本語では読み切れない長さになります。

  1. 【人】 ブランドから届いた素材を、ブランドごとの受付のフォルダに入れる(これまでと同じ置き場所)
  2. 【自動】 定時に処理が動き、新しい素材を見つけて、コピー・バナー・字幕に分ける
  3. 【自動】 バナーは画像の中の文字を位置付きで書き出し、字幕はタイムコードと行に分ける
  4. 【自動】 用語集をそのブランドの行に絞り、素材に出てくる語だけを選ぶ
  5. 【自動】 行ごとに訳し、用語集の適用、強調表示と注記の組、直訳では伝わらない箇所の代案を返す
  6. 【自動】 用語集の語が訳に入っているか、字幕の文字数が決まりに収まるかを規則で確かめる
  7. 【自動】 訳と代案と印を、確認用のスプレッドシートに書き出す
  8. 【人】 担当者が行ごとに訳を確かめ、代案を選び、印の付いた箇所を直す
  9. 【人】 確認の依頼をブランドの担当者に出す。必要なものは法務に相談する

8番目が、この設計の分かれ目です。 担当者は訳を書くのではなく、訳と代案の表を読んで選ぶ仕事になります。一から訳す時間は無くなりますが、どの案を採るかの判断は残ります。

6番目を規則で行っているのも、意図してのことです。 用語集の語が入っているか、字幕が決まった文字数に収まるかは、AIに尋ねなくても機械で数えられます。数えられるものは数え、AIには訳と代案と気づきだけをさせます。

02今回想定するシステム構成

構成図
ブランドの本国 ── 英語のコピー・バナー・動画の字幕
   ▼ ブランドごとの受付のフォルダ(Google ドライブ)
【トリガー】定時の実行(1時間ごと)
Google Apps Script ── 素材の種類の判定、字幕のタイムコードの分割
   ├── バナー ──▶ Gemini API ── 画像の中の文字を位置付きで書き出す
   ▼
Google スプレッドシート ── ブランドの用語集(素材に出る語だけに絞る)
   ▼
Gemini API ── 行ごとの訳、用語集の適用、強調表示と注記の組、代案、気づき
   ▼
Google Apps Script ── 用語集の語の有無、字幕の文字数の確認(規則)
   ▼
確認用のスプレッドシート(素材ごとのシート)
   ▼
【担当者が確認して選ぶ】──▶ ブランドの担当者へ確認の依頼
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(バナーの文字の書き出し、行ごとの訳と代案、気づき)Claude API、OpenAI API
連携Google Apps Script(定時の実行、素材の分割、規則の確認、書き出し)Make、Power Automate
連携Google スプレッドシート(用語集、確認用の表)Microsoft Lists
保管Google ドライブ(ブランドから届く素材)Microsoft OneDrive

ドライブとスプレッドシートは、新しく足すものではありません。 受付のフォルダと用語集はいまのものを使い、確認用のスプレッドシートのひな形を1つ足すだけです。

訳の土台は Gemini API のテキスト生成です。 いまの公式ページは Interactions API の書き方で、/v1beta/interactions に送ります。ブランドの訳し方の決まりは system_instruction で渡します。 呼び出しごとに変わらない決まり(文体、表記、してはいけないこと)を system_instruction に、素材と用語集を入力に分けると、指示の管理がしやすくなります。考える深さは generation_config の thinking_level で変えられます。

バナーの文字は、画像理解で書き出します。 対応する形式は PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF で、画像を直接入れる場合はリクエスト全体が20MBまでです。文字の位置は [ymin, xmin, ymax, xmax] の形で、0から1000に正規化した座標で返させます。位置があれば、星印の付いた強調表示と、それに対する注記が画像のどこにあるかを並べられます。

構造化出力は、response_format に mime_type に application/json と schema を渡す形です。 スキーマには enum、required、additionalProperties などが使えますが、すべての JSON Schema の機能に対応しているわけではなく、大きすぎる・深すぎるスキーマは拒否されることがあるとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

1時間ごとの定時の実行を起点にします。 Apps Script のインストール型のトリガーで、受付のフォルダを見て、まだ確認用のシートが作られていない素材を拾います。インストール型のトリガーは作った人のアカウントで動くので、個人ではなくチームの共用のアカウントで作ります。担当者が異動すると、トリガーが止まるためです。

時間主導のトリガーは、実行の時刻が少しずれます。 公式のページでは、毎日9時のトリガーが9時から10時の間のどこかで動く例が示されています。掲載の日に追われる素材でも、1時間の遅れは許容できるとして、定時の実行にしています。急ぐ素材は、担当者がスプレッドシートのメニューから手で動かせるようにします。

1回の実行が「1つの素材」です。 コピーのセットなら1つの文書、バナーならサイズ違いをまとめた1組、字幕なら1本の動画の字幕のファイルです。サイズ違いのバナーは1組で扱い、訳を共通にします。 サイズごとに訳すと、同じコピーの訳が少しずつ違ってしまいます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
コピー見出し、本文、注記。どの見出しに星印が付いているか受付のフォルダ(文書)
バナー画像。サイズ違いの組受付のフォルダ(画像)
字幕タイムコード付きの字幕のファイル受付のフォルダ(字幕のファイル)
用語集英語の語、決まった訳、表記の注意、追加した日ブランドの用語集のスプレッドシート
表記の決まり数字・単位・記号・カタカナの長音などの社内の決まり、字幕の1行と1秒あたりの文字数社内の決まりの表
過去の承認済みの訳ブランドの担当者が承認したスローガンや定番の言い回し過去の確認用のシート

質を決めるのは、用語集と過去の承認済みの訳です。 用語集が無ければ、AIは製品名を毎回少しずつ違う形で訳します。過去の承認済みの訳があれば、ブランドが好む言い回しに寄せられます。

用語集は、素材に出てくる語だけに絞ってから渡します。 数百行をすべて渡すと、素材に関係の無い語まで訳に持ち込もうとします。素材の英文に出てくる語を Apps Script で探し、当たった行だけを渡します。 追加したばかりの行も、素材に出ていれば必ず入ります。

Step3

データの取得方法を決める

受付のフォルダから素材を読み、ファイルの種類で分けます。

取るものどこから何に使うか
コピーの文文書のファイル行ごとの訳
バナーの文字と位置画像を Gemini API に渡して書き出す行ごとの訳、強調表示と注記の位置
字幕の行とタイムコード字幕のファイルを Apps Script で分割行ごとの訳、表示時間の確認
用語集の該当行用語集のスプレッドシート訳の決まり
表記の決まり社内の決まりの表system_instruction と規則の確認

字幕のタイムコードは、AIに渡しますが書き換えさせません。 訳は行ごとに返させ、タイムコードは Apps Script が元のものを付け直します。表示の時間から1行の文字数の上限を出し、訳がそれを超えたら印を付けます。 上限は社内の決まり(1秒あたりの文字数)から計算します。

バナーの文字は、まず書き出しだけを1回させます。 書き出しと訳を1回でさせると、読み取りの誤りが訳に混ざって見分けがつきません。書き出した英文を担当者が見られる形で残し、訳はその英文に対して行います。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 素材の種類の判定 … 拡張子と中身から、コピー・バナー・字幕に分けます
  2. バナーの組の判定 … ファイル名のサイズの表記から、同じコピーのサイズ違いをまとめます
  3. 字幕の分割 … タイムコードと行に分け、各行の表示時間を計算します
  4. 星印と注記の対応付け … 星印・ダガー・数字の注番号を探し、どの行に付いているかと、対応する注記の行を結びます
  5. 用語集の絞り込み … 素材の英文に出る語の行だけを選びます
  6. 大きさの確認 … バナーの画像を、リクエスト全体で20MBに収まるように縮めます

4番目を前処理で行うのは、AIに組を探させないためです。 星印と注記の対応は、記号の照合でほとんど決まります。機械で結べたものは結んでから渡し、結べなかったもの(記号が無いのに注記らしい文がある、など)だけをAIに尋ねます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、行ごとの訳と、用語集の適用の記録と、直訳では伝わらない箇所の代案と、表示ルールに照らした気づきを返すことです。

見るもの判定の仕方判断できないときの扱い
訳用語集の語は決まった訳を使い、表記の決まりにそろえる用語集に無い固有名詞は英字のまま残し new_term
直訳で伝わるか言葉遊び、慣用句、英語圏の行事、韻、比喩迷ったら needs_alternative にして代案を出す
強調表示と注記の組前処理で結んだ組を、訳でも同じ組として返す組が分からない注記らしい文は orphan_note
表示ルールの気づき体験談、比較・順位、価格・割引、期間限定、効果・性能の表現気づきとして印を付けるだけ。可否は書かない
数字と単位原文の数字をそのまま残す通貨・単位の換算が要るものは needs_conversion

表示ルールの気づきは、可否ではなく「確認が要る種類」で返させます。 消費者庁のページは、商品・サービスの品質などの不当表示(優良誤認表示)と、価格などの取引条件の不当表示(有利誤認表示)を挙げ、効果や性能の表示には裏付けとなる合理的な根拠の資料が求められうるとしています。AIには「効果・性能の表現」「価格・割引の表現」と種類を付けさせ、根拠があるかはブランドに確かめます。

体験談には、別の印を付けます。 消費者庁の資料は、体験談を用いた広告では「個人の感想です」といった打消し表示があっても、一般消費者が「大体の人に効果がある」と受け止めることがあるとしています。英語の広告で体験談と注記が並んでいるとき、注記を訳して済ませず、担当者に回します。

させないこと理由
表示が法令に適合するかの判断法務と、必要なら専門家が決める
注記の削除・短縮・移動打消し表示の扱いは、ブランドと法務が決める
数字の換算(ドルから円、ポンドからキロなど)価格や分量は日本での条件をブランドに確かめる
効果・性能の表現の強め・弱め原文の主張を変えない。変えるなら代案として出す
用語集に無い製品名の訳を決めること英字のまま残し、新しい語として印を付ける

2行目が、いちばん起きやすい失敗です。 日本語にすると長くなる注記を、AIは「簡潔に」して短くしがちです。短くした注記は、原文の条件を落としていることがあります。 注記は原文の条件をすべて残して訳させ、長すぎるなら印を付けて人に回します。

Step6

指示内容を固定する

(system_instruction)
あなたは広告会社で、海外ブランドの英語の広告を日本向けに訳す担当です。
訳と、用語集の適用と、直訳では伝わらない箇所の代案と、確認が要る箇所の印を返します。
訳の採否と、表示が法令に適合するかは、担当者と法務が決めます。

【表記の決まり】{style_rules}
【このブランドの過去の承認済みの訳】{approved_phrases}

【厳守事項】
- 用語集にある語は、決まった訳だけを使う。言い換えない。
- 用語集に無い製品名・成分名は英字のまま残し、new_term に入れる。
- 注記(星印やダガーの付いた文、Results may vary などの条件の文)を
  削らない、短くしない、別の行に移さない。原文の条件をすべて訳す。
- 注記は、対応する強調表示と同じ pair_id で返す。
- 数字は原文のまま残す。通貨や単位の換算をしない。換算が要るものは needs_conversion。
- 効果・性能の表現を強めたり弱めたりしない。
- 言葉遊び、慣用句、英語圏の行事、韻、比喩で、直訳では意味が通らない、
  または別の意味になる箇所は needs_alternative にし、代案を2〜3個、
  それぞれ何を優先したか(意味/響き/ブランドの口調)を添えて出す。
- 体験談、比較・順位(No.1 など)、価格・割引、期間限定、効果・性能の表現には、
  claim_type を付ける。適法かどうか、表示してよいかは書かない。
- 迷ったら、印を付けて人に回す側に倒す。

(入力)
【素材の種類】{asset_type}
【行の一覧】{segments}(行番号、英文、前処理で結んだ pair_id、字幕なら表示時間)
【用語集の該当行】{glossary_rows}

「注記を短くしない」を明記しないと、ほぼ必ず短くします。 「*Based on a consumer survey of 100 women aged 25-45 after 4 weeks of use.」を「※当社調べ」のように縮めると、原文にあった人数・年齢・期間の条件が消えます。 長すぎるときに縮めるかどうかは、ブランドと法務が決めることです。

「適法かどうかを書かない」も同じです。 表示ルールの気づきを求めると、AIは「景品表示法に違反するおそれがあります」と書きがちです。下書きの段階で可否の言葉が入ると、担当者がそれを判断として扱ってしまいます。 AIには種類だけを付けさせます。

system_instruction と入力を分けているのは、決まりの版を管理するためです。 表記の決まりや厳守事項を直したとき、どの版で訳したかを記録に残せます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "asset_id": "",
  "asset_type": "copy | banner | subtitle",
  "segments": [
    { "seg_no": 1, "source": "", "target": "",
      "pair_id": "", "role": "claim | note | body",
      "glossary_applied": [""], "new_term": [""],
      "status": "ok | needs_alternative | needs_conversion | orphan_note",
      "alternatives": [ { "text": "", "priority": "meaning | sound | brand_voice" } ],
      "claim_type": "none | testimonial | comparison | price | limited_time | efficacy" }
  ]
}

スキーマでは role・status・claim_type を enum にし、segments の各要素の additionalProperties を false にします。

1つ目の理由は、規則の確認を機械で行えることです。 Apps Script は、glossary_applied と用語集の該当行を突き合わせ、用語集の語が原文にあるのに訳に決まった訳が入っていない行に印を付けます。AIが「適用した」と返していても、訳の文に決まった訳の文字列が無ければ印を付けます。

規則確認用のシートでの扱い
用語集の語が原文にあり、訳に決まった訳が無い「用語集の違い」の印
role が note で、同じ pair_id の claim が無い「注記の組が崩れた」の印
字幕の訳の文字数が、表示時間から出した上限を超える「字幕が長い」の印
注記を含む字幕の行の表示時間が、訳の文字数に対して短い「注記が読み切れない」の印
claim_type が none 以外「表示の確認」の印と、種類

4行目が要です。 消費者庁の資料は、動画広告で打消し表示を含む画面の表示時間が短く、読み終えられない場合に問題となるおそれがあるとしています。日本語の注記が長くなったとき、表示時間が足りるかを訳の段階で数えて、動画の編集の担当に伝えます。

2つ目は、バナーで注記の位置を確かめられることです。 書き出しの段階で返した位置の枠から、強調表示と注記の距離が分かります。訳の後で注記が長くなり、同じ位置に収まりそうにないものに印を付けます。 文字の大きさや配置を決めるのは、制作の担当です。

3つ目は、代案を表で選べることです。 確認用のシートでは、needs_alternative の行に代案が横に並び、担当者は1つを選ぶか自分で書きます。選んだ案と理由が残るので、次から同じ言い回しを過去の承認済みの訳として使えます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google ドライブApps Script で読み取りブランドごとの受付のフォルダの素材
Gemini APIApps Script から呼び出しバナーの文字の書き出し、行ごとの訳と代案
Google スプレッドシートApps Script で読み書き用語集の該当行の読み取り、確認用のシートへの書き出し
チャットApps Script から通知確認用のシートができた知らせ、印の数

ブランドへの確認の依頼は、人が出します。 確認用のシートを整えた後、担当者がブランドの担当者に送ります。このプログラムは社外へ何も送りません。 素材はブランドの機密で、掲載の前の情報だからです。

用語集には書き込みません。 new_term に入った語は確認用のシートに並び、ブランドに訳を確かめてから、担当者が用語集に足します。

Step9

人が確認する

訳は全件を担当者が確かめます。 広告として世に出る文で、ブランドの声を決める仕事だからです。

  1. 印の付いた行を先に見る … 注記の組、用語集の違い、字幕の長さ、表示の確認の順に見ます
  2. 代案を選ぶ … needs_alternative の行で、代案から選ぶか書き直します。選んだ理由を一言残します
  3. 表示の確認の印を法務に回すか決める … 体験談と効果・性能の表現は、商品の分野によって法務に相談します
  4. 残りの行を流し読みする … 訳の自然さと、ブランドの口調に合っているかを見ます
  5. 確認の依頼をブランドに出す

目標は、1件をならして20分です。 印の少ないコピーは10分前後、注記の多い動画の字幕は30分を超えます。それを大きく超える月は、用語集が古いか、過去の承認済みの訳が足りていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
素材の種類が分からない処理せず、担当者に種類の指定を求める
バナーの画像が大きすぎるリクエスト全体で20MBまで。縮めて再投入
バナーの文字が装飾的で読めない書き出しで読めなかった箇所を印にし、ブランドに元のコピーを求める
字幕のファイルの形式が崩れている分割できた範囲だけ処理し、残りを担当者に返す
注記はあるが対応する強調表示が無いorphan_note として担当者に回す
用語集にブランドの行が無い処理はするが、全行に「用語集なし」の印を付ける
Gemini API が応答しない・形が崩れる確認用のシートを作らず、次の定時の実行で拾い直す
トリガーが動かない作ったアカウントの状態を確かめる。個人のアカウントで作らない

3行目は、ブランドに頼むのが早道です。 装飾的な書体の文字を画像から読み取ると、1文字の違いが訳の違いになります。元のコピーの文書をもらえば、読み取りの誤りそのものが無くなります。 届く素材にコピーの文書を添えてもらう取り決めを、最初にしておきます。

Step11

記録を残す

  • 受け取った素材と、受け取った日時
  • バナーの書き出しの結果(英文と位置)
  • 訳のJSONの全文と、呼び出した日時、使ったモデルの名前、system_instruction の版
  • 規則の確認の結果と、印の一覧
  • 担当者が選んだ代案と、直した訳と、理由
  • ブランドの承認の結果(承認・差し戻しとその理由)

5つ目と6つ目が、次の訳を良くする材料です。 承認された言い回しを過去の承認済みの訳に足すと、同じブランドの次の素材で、代案を選ぶ手間が減ります。

04実装レベルの3段階

最小構成:素材と用語集をAIの画面に貼り、訳と代案を返させる / 1件ごとの訳の下書き
半自動化:上記+Apps Script で素材を読み、行ごとの訳を確認用のシートに書き出す / 素材の分割と訳の一覧化
本格構成:上記+バナーの文字の書き出し、注記の組の対応付け、規則の確認の印 / 素材の受け取りから確認用のシートまで

最小構成では件数がさばけません。 1件ずつ貼るので、月240件には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件45分が30分程度になります。 訳は一覧で出ますが、バナーの文字の書き出しと、注記の組と字幕の長さの確認が残ります。本格構成で20分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、言い換えの多い用語と、代案が採られにくいブランドが分かります。そこを用語集と過去の承認済みの訳に足してから規則を作るほうが、印の空振りが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
45 分
1件あたり導入後時間
20 分
現在  240件 × 45分 ÷ 60 = 180 時間/月
導入後 240件 × 20分 ÷ 60 = 80 時間/月
月間削減時間
100h
削減率
56%
年間削減時間
1,200h
年間金額換算(時間単価4,000円)
480万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 海外の化粧品・アパレル・家電・食品などのブランドの日本での広告を受け持つ広告会社や、海外ブランドの日本法人のマーケティング部門。英語のコピー・バナー・動画の字幕が毎月まとめて届き、日本語の版を作る作業が一部の担当者の語学力と経験に頼っている場合。ブランドごとの用語集や表記の決まりがあるのに、訳すたびに守られているかを目で確かめている場合。
向いていない
  1. 届くクリエイティブが月に数本で、担当者が訳しても負担にならない場合。日本向けにコピーを一から作り直す方針で、英語の原稿を訳す工程が無い場合。医薬品・医療機器・健康食品など、表示の可否を法務や薬事の専門家が1本ずつ判断する必要がある広告の、可否の判断そのもの。なお、表示が法令に適合するかの判断と、コピーの採否は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月のブランドの素材から10件を選ぶ(コピー、バナー、注記の多い動画の字幕を混ぜる)
  2. 掲載が終わった素材だけを使う(掲載前の素材は使わない)
  3. 社内で使ってよいと認められた生成AIの画面に、素材と用語集の該当行を貼る
  4. 第7章の指示で、行ごとの訳と代案と印を返させる
  5. 当時の訳と、ブランドの承認の結果と比べる

比べるのは、訳のうまさだけではありません。 見るのは、注記を短くしていないか、用語集の語を言い換えていないか、可否の言葉を書いていないか、の3つです。

出てきた内容判断
当時の承認済みの訳に近く、注記の条件がすべて残ったApps Script との連携に進む
注記を短くした・可否を書いた指示の書き方で直る。構成は有効
用語集の語を言い換える用語集の絞り込みと規則の確認で拾える
代案がどれもブランドの口調に合わない過去の承認済みの訳を集めるのが先

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
注記を「簡潔に」して条件を落とす注記を短くしないと指示し、長すぎるものは印で人に回す
「違反のおそれ」と可否を書く可否を書かせず、claim_type で種類だけを返させる
用語集の語を言い換える用語集を素材の語に絞って渡し、訳の文字列を規則で照合する
サイズ違いのバナーで訳がばらつく1組で扱い、訳を共通にする
バナーの読み取りの誤りが訳に混ざる書き出しと訳を分けて呼ぶ
字幕のタイムコードを書き換えるタイムコードは渡すが、付け直しは Apps Script が行う
価格をドルから円に換算する数字は原文のまま。換算は needs_conversion で人に回す
体験談の注記を訳して済ませる体験談に印を付け、法務に回すか担当者が決める
新しい製品名を勝手にカタカナにする英字のまま残し new_term にする
トリガーが担当者の異動で止まるインストール型のトリガーは作った人で動く。共用のアカウントで作る

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIが「良い訳」を目指して原文の条件や決まりを変えてしまう失敗です。変えてはいけないものを指示と規則の両方で縛れば、残りは調整で直ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 掲載前の広告のコピー・バナー・字幕、ブランドの用語集、過去の承認済みの訳です。新製品の名前、発売の時期、価格は、掲載の日まで公開されない情報です。

  1. 有料の利用条件で使う … 規約では、有料のサービスでは送った内容を製品の改善に使わないとされています。無償の枠では使いません
  2. ブランドとの契約を確かめる … 掲載前の素材を外部のサービスで処理してよいかを、ブランドとの契約の秘密保持の条項で確かめてから使います
  3. 表示の可否の判断を代替させない … 消費者庁のページは、ステルスマーケティングについて、規制の対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主)としています。インフルエンサー向けの素材で「広告」「PR」の表記をどう入れるかも含め、表示の判断はブランドと法務が決めます
  4. 注記を変える操作を自動にしない … 注記の削除・短縮・移動は、必ず人が決めます
  5. 社外へ自動で送らない … このプログラムは社内のシートまでで止め、ブランドへの送付は人が行います
  6. 利用者の年齢の条件を確かめる … 規約は、APIの利用者が18歳以上であることを求めています。使うのはローカライズのチームに限ります

誤りが起きた場合のリスクは、注記の条件が訳で落ちることと、AIの気づきが表示の判断として扱われることの2つです。 前者は注記を短くさせると起き、後者は可否を書かせると起きます。どちらも、変えてはいけないものと、AIに書かせないものを最初に決めることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:用語集と表記の決まりを整える

ブランドごとの用語集に「追加した日」の列を足し、社内の表記の決まり(数字、単位、記号、字幕の文字数)を1枚の表にします。過去にブランドが承認したスローガンや言い回しを集めます。

2週目:10件で試す

掲載が終わった素材から10件を選び、生成AIの画面で訳と代案と印を返させます。注記を短くしていないか、可否を書いていないかを最優先で見ます。

3週目:コピーと字幕を Apps Script でつなぐ

受付のフォルダから素材を読み、行ごとの訳を確認用のシートに書き出すところまで作ります。バナーはまだ手で扱い、トリガーは共用のアカウントで作ります。

4週目:規則の確認を足す

用語集の照合と字幕の文字数の確認を足し、印を付けます。この時点では代案を担当者が選ぶだけにし、選んだ理由を残します。

2か月目: バナーの文字の書き出しと、注記の組の対応付けを足します。印の種類ごとの数を毎週数えます。3か月目以降: 1件45分が何分になったかを実測します。承認された言い回しを過去の承認済みの訳に足し続け、ブランドからの用語集の差し戻しが無くなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
商品・サービスの品質などの不当表示(優良誤認表示)と、価格などの取引条件の不当表示(有利誤認表示)。指定告示の類型に、事業者の表示であることを判別しにくい表示(ステルスマーケティング)が含まれること。効果・性能の表示について、期間を定めて合理的な根拠を示す資料の提出を求められうること消費者庁: 表示規制の概要2026-10-08
令和5年10月1日からステルスマーケティングが景品表示法違反となったこと。規制の対象が商品・サービスを供給する事業者(広告主)で、依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は対象とならないこと消費者庁: ステルスマーケティングに関する景品表示法の規制2026-10-08
打消し表示の文字の大きさ、強調表示との文字の大きさのバランス、配置箇所、背景との区別、動画広告で打消し表示を含む画面の表示時間や別の画面に表示されるかなどから総合的に判断されること。体験談を用いた広告では打消し表示があっても「大体の人に効果がある」と受け止められうること(PDFの原文を取得して確認)消費者庁: 打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ、平成30年6月7日)2026-10-08
テキスト生成が /v1beta/interactions で、system_instruction でモデルの振る舞いを決められること。generation_config で thinking_level などを指定できることGemini API: Text generation2026-10-08
対応する画像の形式が PNG・JPEG・WEBP・HEIC・HEIF であること。画像を直接入れる場合はリクエスト全体で20MBまでであること。位置を [ymin, xmin, ymax, xmax] で0〜1000に正規化して返すことGemini API: Image understanding2026-10-08
構造化出力が response_format に mime_type と schema を渡す形であること。enum・required・additionalProperties などが使えること。大きすぎる・深すぎるスキーマは拒否されうることGemini API: Structured output2026-10-08
利用者は18歳以上であること。無償のサービスでは送った内容が製品の改善に使われ人が読むことがあり、機密・個人の情報を送らないこと。有料のサービスでは製品の改善に使わないことGemini API: Additional Terms of Service2026-10-08
時間主導のトリガーがあり、実行の時刻が少しずれうること(9時のトリガーが9時から10時の間に動く例)。インストール型のトリガーは作った人のアカウントで動くことApps Script: Installable triggers2026-10-08

表示が法令に適合するかは、ブランドと法務、必要なら専門家に確かめてください。 本記事は公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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