規程を作る前に止める3つの使い方|整う前の穴をふさぐ

規程を作る前に止める3つの使い方|整う前の穴をふさぐ

「規程を作っている最中なので、それができてから現場に伝えます」「まだ何も決まっていないので、いまは各自の判断に任せています」——AIの社内ルールをこれから整えようとしている会社で、繰り返し返ってくる答えです。手順としては筋が通っています。ただ、この段取りには穴が1つあります。規程を書いている数か月のあいだも、社内ではAIが毎日使われ続けているからです。危ないのは規程が無いことではなく、規程ができるまで何も止めていないことです。この記事では、規程を書き始める前に今日から止められる3つの使い方と、その止め方を手順の形で整理します。


カメ先生カメ先生

「規程ができてから」という順番は、一見きちんとして見えるんだ。ところが規程を1本書き上げるには、案の作成から決裁まで、早くて3か月、承認の段が多い会社では半年かかる。その間も現場は毎日使っている。


カメ子カメ子

書いている途中でも、先に止めておける部分があるということですか。


カメ先生カメ先生

そう。全部を決めなくても、取り返しがつかない使い方だけなら先に止められる。順番を決める物差しは1つで、間違えたときに後から戻せるかどうか、それだけで並ぶんだよ。


カメ子カメ子

戻せるかどうかで並べると、規程を書く前に決めることと、書いてから決めることが分かれてくるのですね。


この記事のポイント
  • 規程ができるまで待つ必要はない。先に止めるのは、後から戻せない3つの使い方だけでよい
  • 止め方は新しい通達ではなく、いま毎日使われている承認や手続きの様式に1行足す形にする
  • 暫定で止めたことには期限を切る。期限の無い暫定は、規程を書かない言い訳になる

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目次

「規程ができるまで待つ」が、いちばん危ない

社内でAIの利用ルールを整えようとしている会社に話を聞くと、ほとんどが同じ段取りを取っています。まず規程の案を作り、法務と情報システムの確認を通し、決裁を取り、それから現場に届ける。進め方としては正しい順番です。ただ、案を書き始めてから現場に届くまでには、早くて3か月、承認の段が多い会社では半年かかります。その数か月のあいだ、社内のAI利用は止まっていません

止まっていないどころか、その期間がいちばん増えます。新しい道具の話題が社内で回っているとき、決まりが無いことは「使ってよい」と受け取られるからです。禁止と書かれていないのだから問題ないはずだ、という理屈になります。決まりの無い期間は、何も決まっていない期間ではなく、全部が許されている期間として現場に読まれます

この記事で扱うのは、その数か月をどう乗り切るかだけです。規程ができた後の話は扱いません。例外をどう申請させるか、決まりが形だけにならないようにどう点検するか、現場にどう届けるか。いずれも規程ができてからの仕事です。決まりを社内のどの文書に載せるかという話にも入りません。やることは、今日から止められることを選び、止める場所を決め、見直す日を入れる。この3つだけです。

数字で見る。決まりは、使い方に追いついていない

アスノシステムが2026年7月に会社員・役員・経営者300名へ行った調査では、勤務先の生成AIの利用ルールについて「整備されていない」が45.3%でした。「明確に整備されている」は15.3%、「一部整備されている」が21.0%、「分からない」が18.3%です。整備されていないと分からないを足すと、6割を超えます。同じ調査では、利用経験のある人は約49.0%でした。

会社の側から数えた調査も、近い形をしています。レポートオーシャンが2026年3月から4月にかけて実施し、5月2日に公表した調査では、「正式なルールはなく、各自の判断に任されている」が31%、「包括的なルールを整備済み」は12%でした。使っている会社のほうが、決めている会社より多い状態が続いています。

帝国データバンクが2026年3月に実施し、1万312社から回答を得た調査(2026年5月14日公表)では、業務で生成AIを活用している企業は34.5%。活用にあたっての課題は「情報の正確性」が50.4%で最も多く、「情報漏洩のリスク」が33.5%、「ルール整備」が25.5%と続きます。現場が困っている中身は、使いこなし方ではなく、出てきたものの正しさと、入れた情報の行き先です。3つの調査から読めることは1つで、使う側が先に進み、決まりが後を追っています。

止める順番は、戻せるかどうかで決める

止める候補はいくらでも出てきます。全部を同時に止めれば安全ですが、現場が動かなくなります。では何から止めるのか。物差しの候補は3つあります。起きる件数が多い順、損害の金額が大きい順、そして間違えたときに後から戻せない順です。ここで採るのは3つ目です。

件数の多さで並べると、社内向けの下書きのような、起きても実害の小さい使い方が上位に来ます。損害の金額で並べると、金額を見積もれないものばかりが並んで順位が付きません。戻せなさで並べると、順位がはっきり付きます。社外に出てしまったもの、他社の仕組みに渡ってしまったものは、取り消しが効きません

この考え方は、国の機関の文書にも同じ形で書かれています。個人情報保護委員会が2021年6月30日に公表した文書は、一度漏えいした個人情報等を回収するなどして、事故が発生する前の状態に戻すことは不可能だ、と述べています。だから設計の段階で手を打つほうが、後から直すより結局は安く済む。暫定で止める対象も、同じ物差しで選びます。戻せなさで並べると、先に止めるべき使い方は3つに絞られます。

この物差しには、社内で説明しやすいという利点もあります。件数や金額で並べると、なぜその使い方が上位なのかを毎回説明することになりますが、外に出たら戻らない、入れたら取り消せない、という理由は1文で伝わります。止める線は、納得されないかぎり守られません。説明の短さは、そのまま守られやすさになります。

工程1:いま何に使われているかを、1週間で書き出す

止める対象を決める前に、社内で何に使われているかを知る必要があります。ここに時間をかけると、それだけで1か月が溶けます。集めるのは部署ごとに3行だけと決めてしまいます。何の作業に使っているか、どの道具を使っているか、そして出てきたものをどこに出しているか。この3つです。

3つ目が肝心です。同じ「要約」という作業でも、社内の会議録を短くしているだけなら影響は社内で止まります。同じ要約が取引先に送る議事録になっていれば、外に出ます。作業の名前ではなく、出力の行き先で危なさが変わるということです。聞くときも、行き先を必ず書かせます。

聞き方には注意が要ります。「許可なく使っていないか」と聞くと、返ってくる行数が減ります。責める質問だと受け取られるからです。「いま業務で助かっている使い方を教えてください」と聞くと、同じ人から具体的な行が返ってきます。この段階では、正すことより見えることを優先します。締切は1週間で切り、返ってこない部署があっても先へ進みます。完全な一覧を待つと、止めるのが1か月遅れます。

集める単位は、部署ではなく課や班にします。部署の単位でまとめさせると、代表して1人が書くことになり、実際に使っている人の行が落ちるからです。返す先も、上長を経由させずに直接返させるほうが行数が増えます。上長の確認を挟むと、書いてよいかどうかの判断がそこで一度入り、返ってくるまでの日数も伸びます。集まった行は、書いた人の名前を外してから一覧にします。

止める1つ目:社外に出す成果物に、確認なしで使わせない

1つ目は、外に出るものです。提案書、見積の前提に置く数字、ウェビナーで映す資料、公開する記事、問い合わせへの返信文。これらにAIの出力をそのまま載せると、間違いが自社の外に出ます。外に出た文書は、後から訂正の連絡を入れても、読み手の記憶からは消えません

実際に起きるのは、大げさな事故ではありません。比較表の数字が1つだけ実在しない、引用した調査の年が1年ずれている、相手企業の社名の表記が旧称のまま。どれも小さい間違いですが、受け取った側は「この会社は確かめずに出す会社だ」と読みます。失うのはその案件ではなく、次に声がかかるかどうかのほうです。

止め方は「使うな」ではありません。使ってよいが、外に出す前に人が中身を確かめる。確かめるのは3点だけにします。数字の出どころ、固有名詞の表記、そして書かれていない条件が足されていないか。この3点を、外に出すときの承認の欄に書き足します。3点に絞るのは、項目を増やすと下から見られなくなるからです。

  • AIが作った比較表に、存在しない調査の名前と年が入ったまま提案書に載り、先方の担当者から指摘された
  • 問い合わせへの返信を下書きのまま送り、自社が提供していない機能を提供できると書いてしまった
  • ウェビナーの資料に載せた市場規模の数字の出どころを当日に聞かれ、その場で答えられなかった
  • 公開した記事に取引先の旧社名がそのまま残り、先方から連絡が来て記事を取り下げた

この止め方なら、現場の速さはほとんど落ちません。下書きを作る時間は短いままで、確かめる時間だけが足されます。止めているのは道具ではなく、確かめない手順のほうです。ここを取り違えて道具ごと禁止すると、現場は使うのをやめずに、申告をやめます。

確かめる人を誰にするかで詰まる会社があります。作成者以外の1名、という条件だけ守れば役職は問いません。3人の課なら隣の席の人で足ります。専門家である必要もありません。見るのは数字の出どころと固有名詞の表記と足された条件の3点だけだからです。1人しかいない部署では、他部署の誰かを名前で1人決めておきます。誰でもよいと書くと、誰も見ません。

止める2つ目:個人情報と人事情報を入れさせない

2つ目は、入れる側です。個人情報保護委員会は2023年6月2日に、生成AIサービスの利用について注意喚起を出しています。そこには、入力した情報が提供者の学習データとして利用されることになっている場合、利用者が個人データを入力すると、利用者から提供者へ個人データを提供したことになると書かれています。

同じ資料は、個人データを第三者に提供する場合は原則としてあらかじめ本人の同意が必要である(個人情報保護法第27条、第28条)とも示しています。つまり、使っている道具の利用規約を確かめないまま顧客の名簿を貼り付けた時点で、法の側の話になります。確かめる先は道具の性能ではなく、利用規約の学習に関する記載です

人事情報を別に立てるのは、外に出なくても戻せないからです。評価の下書き、異動の検討、退職の相談。これらは社内にとどまっても、当人が知った時点で関係が元に戻りません。止め方は、入れてよい側を短く書くことです。禁止する情報を並べると一覧が長くなり、書かれていないものは入れてよいと読まれます。「社外に公表済みの情報と、個人が特定できない形にした業務データだけ」と書けば1行で済みます。迷ったら入れない、も同じ行に添えます。

止める3つ目:個人名義のアカウントでの業務利用

3つ目は、使う入口です。個人で契約した口から業務の文書を入れている状態では、会社側に何の記録も残りません。何を入れたか、何が返ってきたか、どこに保存されたか。問題が起きたときに、会社が調べる手立てがありません。費用が経費として見えないまま、部署ごとに増えていくという面もあります。

もう1つは、辞めるときです。個人の口に入れた資料は、その人の契約に紐づいたまま残ります。退職の手続きで回収できるのは、会社が配った機器と会社の口だけです。個人の口に入った資料は、退職の日をまたいでそのまま残ります

ただし、止めるだけにすると隠れます。代わりに使える会社の口を、止める前に1つ用意します。全部門に配る必要はありません。申告のあった部署に1つずつでも、入口があれば個人の口を使う理由が減ります。用意してから止める、という順番だけは崩さないことです。

先に止める3つ戻せなくなる瞬間止める1行を置く場所最初に見直す時期
社外に出す成果物への無確認の利用相手の手元に届いた時点。訂正の連絡を入れても、読まれた事実は消えない外に出す資料の公開・校了の承認欄に、確かめる3点を書き足す90日後。指摘を受けた件数を見て文面を直す
個人情報と人事情報の入力入力して送った時点。学習に使われる仕組みなら取り消せない入れてよい情報の1行を、道具の入口と利用申請の様式に置く90日後。判断に迷った相談の中身を見る
個人名義のアカウントでの業務利用退職の日。会社の手続きでは回収できない入社・異動・退職の手続きの確認欄に1行足す会社として使える口が行き渡った時点

3つとも、道具を禁止する話ではありません。止めているのは、確かめない、入れてはいけないものを入れる、記録が残らない入口を使う、という3つの振る舞いのほうです。道具の名前で禁止すると、名前の違う道具が翌月に出てきます。

3つに絞る理由と、止めないものを同時に伝える

止める範囲を広げるほど安全に見えますが、実際は逆に働きます。禁止の一覧が長くなると、現場は「たぶん自分のも引っかかる」と考えて、申告そのものをやめます。見えなくなった利用は、規程ができてからも見えません。この点は許可外の利用が広がる原因を扱った記事のほうが詳しいので、ここでは1段落にとどめます。

3つに絞ると、もう1つ効きます。止めないものを同時に言えるようになります。社内向けの下書き、会議録の要約、言い換えの案出し、調べ物の下ごしらえ。これらは止めない、と名指しで伝えます。止める話だけを配ると、現場は全部が怪しいと受け取ります。

伝える文面も、止める3つと止めない4つを1枚に並べます。現場が知りたいのは禁止の範囲ではなく、自分がいまやっている作業がそこに入っているかどうかです。作業の名前で書くと自分のことだと分かり、情報の区分名だけで書くと自分のことだと思われません。止めなかった使い方は、暫定の期間に問題が起きたかどうかが記録として残るので、規程の本文を書くときの材料にもなります。

工程2:止める場所は、新しい通達ではなく既にある様式に置く

止めると決めたら、次はどこに置くかです。よくあるのは全社メールと掲示板への通達ですが、これは読まれた瞬間だけ効いて、2週間で消えます。探しに行かないと出てこない場所に置いたものは、迷った瞬間に参照されません

置く先は、いま毎日使われている様式です。外に出す資料の公開・校了の承認欄。外注に出すときの発注の様式。入社と異動のときの手続き。道具の利用料を申請する経費の欄。人が必ず通る場所に1行置くほうが、通達を10回出すより効きます

ここで扱うのは、止める線をどこに置くかだけです。例外を認めてよいか、認めるならどう申請させるかは、この段階では決めません。暫定の期間に例外の窓口まで作ると、3つの線より例外の運用のほうが重くなります。迷う案件は、期限の見直しまで持ち越して構いません。なお、様式の改訂に決裁が要る会社では、様式そのものを直さず、添える確認の1行を運用で足せば足ります。

置いたあとは、1週間後に1度だけ現物を見ます。承認の画面に本当にその欄が出ているか、発注の様式が古い版のまま使われていないか。置いたつもりで置けていないことが、実際によく起きます。紙と画面の両方がある会社では、片方だけ直っていることもあります。ここは担当に聞かず、自分で1回開いて確かめます。

止める1行の文面は、動作で書く

置く場所が決まっても、文面が曖昧だと止まりません。「適切に配慮すること」「十分に注意すること」は、読んだ人の判断にそのまま戻すだけの文です。誰が、何を、いつ確かめるのかを、動作の形で書きます

書き換えの例で見ます。「AIの出力を利用する際は適切に確認する」では動きません。「社外に出す資料にAIの出力を使った場合、出す前に作成者以外の1名が、数字の出どころ・固有名詞の表記・書かれていない条件の3点を確かめる」なら動きます。主語が入っているかと、確かめる項目の数が書いてあるかが分かれ目です

長さは1行から2行で足ります。長く書くと、読む人が自分に関係する部分を探せません。3つの止める使い方それぞれに1行から2行、合わせて5行程度で収まります。書けたら、書いた人以外の1人に読ませて、読んだだけで何をすればよいか分かるかどうかだけを確かめます。説明が要る文面は、現場でも説明が要ります。

  • 主語は「担当者」ではなく「作成者以外の1名」のように、誰か特定できる書き方にする
  • 確かめる項目は3つまで。4つ以上並べると、下の項目から見られなくなる
  • 「原則として」を入れない。暫定の止め方に原則と例外の二段を持ち込むと、運用が重くなる
  • 見直す日付を同じ行に入れる。文面の中に日付があると、期限が切れたことに気づける

工程3:止めた理由を1行だけ書き残す

止めた事実だけを残しても、3か月後には理由が思い出せません。規程を書き始めたときに、なぜこの3つだったのかが分からないと、同じ議論をもう一度やることになります。止めると決めたその場で、1行だけ理由を書き残します

書くのは3項目です。いつ決めたか。なぜこの使い方を選んだか。何が起きたら見直すか。3つ目が抜けやすいのですが、これが後で効きます。見直す条件が書いてあると、止めたままにする理由も、緩める理由も、その場で判断できるようになります。

置き場所は、決裁の記録でも、共有の書庫の1枚でも構いません。新しい台帳を作らないことだけ守ります。実際に書いてみると、理由が書けない止め方が混ざっていることに気づきます。書けないものは、危なそうだからという印象で選んだ線です。理由が1行で書けない線は、この段階では外します。3つに絞る作業は、ここで完成します。

工程4:見直す期限を、決めたその場で切る

暫定の止め方でいちばん壊れるのは、期限が無いことです。期限の無い暫定は、そのまま既成事実になります。しかも、暫定があることで規程を書く動機まで消えます。とりあえず止まっているから急がなくてよい、という理屈になるからです。

期限は、決めた日から90日を目安にします。3か月あれば、止めたことで業務が詰まったかどうか、抜け道が見つかったかどうかが分かります。期限は「見直す日」であって「解除する日」ではありません。その日に何をするかまで、決めた時点で書いておきます。

STEP1
止める日と見直す日を、同じ会議で決める

3つの線を決めた場で、見直す日をその場でカレンダーに入れる。招集する担当も同時に決めて、その人に権限を持たせる。後で決めることにすると、必ず流れる。

STEP2
見直しの2週間前に、3つの申告を集める

止めたことで困った場面、止めた線をすり抜けた使い方、新しく始まった使い方。この3つだけを各部署から3行で集める。締切は1週間。行数が少なくても進める。

STEP3
続ける・緩める・規程に上げる、の3つに振り分ける

線ごとに1つ選ぶ。困りごとが出ていない線は続ける。業務が詰まった線は条件を付けて緩める。実際に問題が起きた線は、規程の本文に上げる候補にする。

STEP4
決めた結果を、同じ様式に書き戻す

様式に置いた1行を、新しい判断に合わせて直す。直した日付も同じ行に入れる。そして次の見直しの日を、その場でまた入れる。

この4段を1周すると、規程を書くための材料がそろいます。実際に困った場面、すり抜けた使い方、止めても支障が無かった線。どれも机の上で考えても出てこない情報です。暫定の期間は、規程を書くための調査期間でもあると考えたほうが、結果として早く書き上がります。

誰が決めるか。会議は1回で足りる

3つの線を決めるのに、大きな体制は要りません。集めるのは3者です。実際に使っている業務側の担当、法務またはコンプライアンスの担当、情報システムの担当。この3人が1時間集まれば、洗い出した一覧から3つを選べます。人数を増やすと、選ぶ会議が説明の会議に変わります。

決裁の重さも軽くします。暫定の止め方は、規程ではありません。部門長の決裁で足ります。役員の決裁を通そうとすると、その調整だけで1か月かかり、止めるのが遅れます。90日後の見直しで規程に上げると決まった段階で、重い決裁に回せば間に合います。

決めた3つを現場に届ける主な経路は、様式に置いた1行です。加えて、決めた場にいた3者が、それぞれの持ち場で口頭で伝えます。届け方を作り込むのは、規程ができてからで構いません。暫定の段階では、必ず通る場所に置いてあることのほうが効きます。

その1時間の会議に持ち込むものは3つです。部署ごとに集めた3行の一覧、その中から選んだ止める候補の案、そして止めない使い方の案。候補を持たずに集まると、一覧を眺めるだけで時間が終わります。案を先に作っておき、会議では削るか足すかだけを決める。この形にすれば、1時間で3つの線と見直しの日まで決まります。

AIに任せてよいのは、洗い出しの下書きまで

この作業の一部は、AIに任せられます。部署から集まった3行の記述を並べ替え、似た使い方をまとめ、出力の行き先ごとに分類する。ここまでは下ごしらえなので任せて構いません。100行を超える一覧なら、手でやるより速く、まとめ漏れも少なくなります。

任せてはいけないのは、止める3つを選ぶところです。どれが戻せないかは、自社が誰と取引していて、どんな資料を外に出しているかで変わります。自社の事情を知らない仕組みに、優先順位は決められません。並べ替えまでを任せ、選ぶのは人が行います。

途中で任せる場合も、根拠を一緒に書かせます。この行とこの行を同じ使い方にまとめたのはなぜか、その1行を添えさせる。根拠が無いと、まとめ方が間違っていたときに、どこで間違えたかをたどれません。そして、人が確認する範囲を先に決めておきます。出力の行き先が社外になっている行だけは全件、それ以外は2割を抜き取る、というように作業に入る前に決めます。後から決めると、必ず全件確認になって途中で止まります。

もう1つ、任せる前に決めておくことがあります。集めた3行の一覧を、どの入口から入れるかです。部署名と担当者名が並んだ一覧は、それ自体が社内の情報です。入れる前に名前の列を外すか、会社として契約した口だけを使う。この作業で止めようとしている3つ目に、進めている自分たちが引っかかるという事故が、いちばん起きやすい場面です。

3つで足りなくなる合図と、4つ目を足す条件

3つは、永久に3つではありません。足す合図は3つあります。同じ相談が3回来たとき、申告に無かった使い方が社外からの指摘で見つかったとき、取引先から自社の扱いを聞かれたとき。どれも、引いた線の外側で何かが動いている合図です。

ただし、足すときも総数は増やしません。4つ目を足すなら、既存の3つのうち1つを外すか、2つを1行にまとめます。線の数が5つを超えると、現場は全体を覚えられなくなります。覚えられない線は、様式に書いてあっても読み飛ばされます。

足すかどうかの判断も、同じ物差しで測り直します。その使い方は、間違えたときに戻せるか。戻せるなら、期限の見直しまで持ち越します。戻せないなら、見直しを待たずにその場で足します。最後に、着手前の確認を並べておきます。

  • 社内で何に使われているかを、部署ごとに3行で集めたか
  • 集めた行に、出力の行き先が書かれているか
  • 止める3つを、間違えたときに戻せるかどうかの物差しで選んだか
  • 止めない使い方を、作業の名前で名指しできているか
  • 止める1行を、いま毎日使われている様式に置いたか
  • 文面に主語と、確かめる項目の数が入っているか
  • 止めた理由と、何が起きたら見直すかを1行で残したか
  • 見直す日を、決めたその場でカレンダーに入れたか
  • 会社として使える口を、個人の口を止める前に用意したか
  • AIに任せた範囲と、人が決めた範囲を分けて書いてあるか

まとめ

規程は要ります。ただ、書き上がるまでの数か月を無防備にしておく理由はありません。戻せない3つ——社外に出す成果物への無確認の利用、個人情報と人事情報の入力、個人名義のアカウントでの業務利用——を先に止め、止め方はいま使っている様式に1行足す形にし、90日後の見直しを決めたその場でカレンダーに入れる。ここまでなら、新しい決裁も新しい体制も増やさずに今週から着手できます。まずは部署ごとに3行の洗い出しを1週間で回すところから始めてください。暫定の期間に集まった困りごとと抜け道は、そのまま規程の本文を書くための材料になります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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