AIを止める前に知らせる5工程|計画停止の伝え方

AIを止める前に知らせる5工程|計画停止の伝え方

「来週AIを止めますと社内に流したのに、当日になって使えないという問い合わせが何件も来ました」「保守の予定は前から決まっていたのに、誰に伝えればよいのか分からないまま当日を迎えました」——社内で生成AIの仕組みを運用している担当者から届く声です。どちらも突発の障害ではなく、こちらで日程を決められたはずの停止で起きています。予定した停止の知らせは、日時を全員に一斉送信すれば終わる仕事ではありません。本当は、止まる範囲を業務の言葉に置き換え、影響を受ける人を利用の実績から拾うところから始まる段取りです。この記事では、予定して止めるときに踏む5つの工程と、知らせが読まれなかったときに効く手を、実際に動く順番どおりに整理します。


カメ先生カメ先生

予定して止めるほうがね、突然止まるより楽だと思われがちなんだ。でも当日に問い合わせが増えるのは、むしろ予定して止めたときのほうだったりするんだよ。


カメ子カメ子

日程が先に決まっているのに、どうして届かないのですか。


カメ先生カメ先生

決まっているからこそ、早く出しすぎるんだね。1か月前に1回流して、それで伝えたことにしてしまう。人は1か月前の連絡を当日まで覚えていないよ。


カメ子カメ子

すると、知らせる時期を1回で済ませないことが、いちばん先に決めることになりますね。


この記事のポイント
  • 予定した停止で問い合わせが出るのは、知らせた回数が1回で終わっているとき
  • 知らせる相手は名簿ではなく利用の実績から拾う。使っていない人に配っても読まれない
  • 止めてよいかどうかの決めは人がやる。AIには対象の洗い出しと文面の下書きまで

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目次

予定して止めたのに、当日「使えない」が起きる

予定した停止は、突発の障害にくらべて条件がそろっています。いつ止めるかも、どれだけ止めるかも、こちらが決められる。それでも当日になって使えないという声が上がるのは、止めること自体の準備と、知らせることの準備が別の仕事だからです。前者は作業の段取りで、後者は相手の業務の段取りです。前者だけを丁寧にやっても、後者は前に進みません。

問い合わせが出るときの形は、だいたい2つに分かれます。ひとつは、知らせが届いていたのに読まれていない場合。もうひとつは、そもそも宛先に入っていなかった場合です。前者は知らせた回数が1回で終わっていることが原因で、後者は宛先を権限の一覧や部署の名簿から作っていることが原因になります。どちらも、文面を丁寧に書き直しても直りません。

三つ目の原因は、止まる範囲の書き方です。社内の告知に「生成AI基盤を停止します」とだけ書かれていると、読んだ人は自分の業務が止まるかどうかを判定できません。使う人は道具の名前で自分の仕事を認識していないからです。議事録の下書き、問い合わせの返信案、社内規程の検索——そういう動作の名前で書かれてはじめて、自分に関係があるかどうかが分かります。

この3つは、どれも当日になってから直せません。止める作業そのものは当日の数十分で終わるのに、知らせの段取りは数週間前から動かす必要があります。止める日を決めた時点で、同時に知らせの日程も決める——ここが計画停止の実務の入口になります。

止める予定は4つの入口から来る

止める予定は、どこから降ってくるかで準備できる期間が変わります。社内で使っているAIの場合、入口は大きく4つです。自社または提供元の保守、基盤や道具の入れ替え、契約の切り替え、そして提供元によるモデルの載せ替えです。

止める入口日程が決まる場所準備できる期間見落としやすい点
保守・点検自社または提供元の作業計画数日から数週間短いので予告を出さずに済ませてしまう
基盤や道具の入れ替え自社の計画数か月長いので早く出しすぎて忘れられる
契約の切り替え契約の更新日から逆算更新日しだい切り替えの当日に権限が消える口がある
モデルの載せ替え提供元が公表する提供終了日提供元の通知しだい延長を頼めないことがある

この4つのうち、自分で日程をずらせるのは上の2つだけです。契約とモデルの載せ替えは、日付が外から決まります。だから知らせの段取りも、自分の都合ではなく外の期日から逆算して組むことになります。逆算の起点をどこに置くかは、後半の章で扱います。

入口によって、止まる相手の範囲も変わります。保守と入れ替えは道具を使う人全員が対象になりますが、契約の切り替えは特定の部署だけ、モデルの載せ替えは特定の処理だけということが起こります。入口を確かめずに宛先を全社にすると、関係のない人に配って読まれる確率を下げる結果になります。

2つ以上の入口が重なることもあります。契約の切り替えに合わせて基盤を入れ替え、そのときに使うモデルも新しい版へ移す、という形です。このとき知らせを1本にまとめるか、入口ごとに分けるかで伝わり方が変わります。使う人にとっては、いつ何ができなくなるかが分かればよいので、日付でまとめて1本にします。分けるのは、止まる範囲が部署ごとに違うときだけです。

予定して止めるときに踏む5工程

止める日が決まってから当日までにやることを、順番どおりに5つに分けます。どれも飛ばせますが、飛ばした工程の穴は当日の問い合わせという形で返ってきます。

STEP1
止める範囲を業務の言葉で書き出す

道具の名前ではなく、止まったときにできなくなる動作で書きます。止まらないものも同じ紙に書きます。

STEP2
影響を受ける人を利用の実績から拾う

権限の一覧ではなく、直近で実際に使っている人と、人がいない自動の処理を拾います。

STEP3
知らせる時期を予告と直前の2段階で決める

業務を組み替えてもらうための予告と、当日の行動を変えてもらうための直前の念押しを分けます。

STEP4
止まっている間の代わりを用意する

前倒し・手作業・後回しの3つから指定します。代わりを出さないと決めたなら、出さないと書きます。

STEP5
戻したあとに動くことを確かめる

起動の確認だけでなく、使う側の業務が1本通るかを、指名した人が確かめます。

5つのうち、抜けやすいのは2番目と5番目です。2番目は手間がかかるので名簿で代用されがちで、5番目は止める作業が終わった安心感で省かれがちです。この2つが抜けると、届かない知らせと、戻ったのに使われない時間が生まれます。

逆算の起点は、止める当日ではなく最初の予告を出す日に置きます。工程①と②に数日、予告の文面を業務側に読んでもらうのに数日かかるので、予告を出す日の1週間前には、止める範囲の書き出しと宛先の一覧ができている必要があります。止める日程の相談が来た時点でこの逆算をして、間に合わないなら日程をずらす提案をするほうが、当日の混乱を減らせます。

工程① 止める範囲を業務の言葉で書き出す

最初にやるのは、止まる範囲の翻訳です。技術側の資料には「推論の口を止める」「索引の作り直しを行う」と書かれていますが、そのまま流しても読んだ人の判断材料になりません。止まる機能と、その機能を使っている業務名と、できなくなる動作を、3列で書き出すところから始めます。

書き出しの粒度は、相手が自分の1日の予定と突き合わせられる細かさに合わせます。「問い合わせの返信案が作れなくなります」まで落とせば、返信当番の人は当日の段取りを変えられます。「社内AIが使えなくなります」で止めると、読んだ人は自分に関係があるかどうかを判定できないまま、当日を迎えます

同じ紙に、止まらないものを名指しで書くのも効きます。部分的に止める場合はとくに重要で、書いておかないと止まっていない機能にまで問い合わせが来ます。社内の道具は複数の機能が同じ入口から使われていることが多く、入口が共通なぶん、利用者から見れば全部が止まったように見えるためです。

翻訳の担い手は、技術側だけでは足りません。業務側の担当を1人入れて、書き出した動作の名前が現場で通じるかを見てもらいます。通じない言葉で書かれた告知は、届いても読み飛ばされます。ここで15分使うほうが、当日の問い合わせ対応より短く済みます。

工程② 影響を受ける人を利用の実績から拾う

宛先を作るときに、権限の一覧をそのまま使うと外します。権限を持っているだけで使っていない人が大量に混ざるからです。混ざった宛先に配ると、受け取った人の大半にとって関係のない連絡になり、次から読まれなくなります。宛先は、直近の利用の実績から作るのが原則です。

実績から拾うやり方は、道具の提供側にも前例があります。あるデータ分析基盤の事業者は、提供終了が決まったモデルを使っている処理を洗い出すために、利用の記録から実行者・処理の口・実行回数・最初と最後の実行時刻をまとめて取り出す手順を公開しています。誰がいつ何回使ったかが分かれば、知らせる相手と、知らせる強さが同時に決まります。

拾ったら、頻度で3つに分けます。毎日使っている人、たまに使う人、この期間に1回だけ使った人。毎日の層には個別に届け、たまに使う層には全体の告知で足り、1回だけの層は宛先から外してよい、という切り分けができます。全員に同じ強さで配らないことが、読まれる確率を上げます。

忘れやすいのが、人がいない口です。定期的に走る処理や、他の仕組みから呼ばれている口は、止めても誰も気づかず、翌朝に結果が出ていないという形で表に出ます。利用の記録を人だけで絞り込まず、自動で呼んでいる口を必ず一覧に含めるようにします。この口には知らせる相手がいないので、代わりに止めてよいかの確認先を先に決めておきます。

工程③ 知らせる時期は予告と直前の2段階で決める

知らせは1回では届きません。社内向けの案内の出し方をまとめた資料では、実施の1か月前を目安に第1報を出し、1週間前と前日にリマインドを出す形が推奨されています。一方、運用の現場向けの解説では、告知を事前・最中・事後の3回に分け、事前の告知は数日前から前日が目安とされています。

2つの資料で時期が違うのは、相手に準備を求めるかどうかが違うからです。業務の組み替えが必要なら1か月前の第1報が要りますし、当日の数十分で終わり前倒しで吸収できるなら数日前で足ります。判断の基準は止まる時間の長さではなく、止まったときに待てない業務があるかどうかです。月末の締め処理が乗っていれば、5分の停止でも1か月前の予告が要ります。

予告と直前で、書く内容も変えます。予告は日程を空けてもらうための連絡、直前は当日の行動を変えてもらうための連絡です。予告には日付と止まる範囲を、直前には時刻と、その時間に何をすればよいかを書きます。同じ文面を2回流すと、2回目が読まれません。

早すぎる予告だけで終わらせないことが、この工程の要点です。1か月前の連絡は、出した側の記録には残りますが、受け取った側の記憶には残りません。予告を出した時点で、直前の連絡を出す日を予定表に入れてしまうと、抜けが減ります。

工程④ 止まっている間の代わりを用意する

突発の停止と違って、予定した停止では代わりを事前に配れます。この差は大きく、当日になって各自が勝手な代わりを探す状態を防げます。用意する代わりは、前倒し・手作業・後回しの3つのどれかに指定します。3つ以上の選択肢を並べると、選ぶこと自体が負担になって読まれません。

前倒しは、止まる前に済ませてもらう形です。止める時刻と、その日のうちに終わらせておく作業を名指しで書きます。手作業は、止まっている間だけの代替の手順です。手順は箇条書き4行までに収めると実際に使われます。後回しは、止まっている間はやらないと決める形で、再開してから着手する時刻を書き添えます。

代わりを出さないと決めることもあります。その場合は、出さないことを明記します。「この時間帯は止まります。代わりの手段はありません」と書いてあれば、利用者は探すのをやめます。書かないと、各自が別の道具を持ち込んで、そちらが定着してしまうという副作用が起きます。

配る先は、工程②で拾った頻度の高い層に絞ります。全員に手順書を配ると、使わない人にとっては読む負担だけが残り、次の告知の読了率が落ちます。代わりの手順は、それを実際に使う人にだけ届けるのが原則です。

工程⑤ 戻したあとに動くことを確かめる

最後の工程は、戻したあとの確認です。ここを省くと、使える状態なのに使われない時間が生まれます。止める前に、戻ったと判定するための項目を決めて紙にしておくのが基本の形です。当日に考え始めると、起動したことを確認して終わりになります。

確認項目は、技術側の起動確認だけでは足りません。使う側の業務が1本通るかを見ます。よく使われている問いを1つ決めておき、その問いを実際に通して、答えが前と同じ形で返るかを確かめる。モデルの載せ替えを伴う停止では、動いても答えの形が変わっていることがあるので、この確認がとくに効きます。

誰が確かめるかは、事前に名前で指名します。止める作業をした人が自分で確かめる形だと、技術側の視点だけで合格になります。業務側から1人を指名し、その人の始業時刻を確認の締切にしておくと、抜けません。

確認が通ったら完了の連絡を出します。運用の解説では、終了後に「予定どおり完了しました」と簡潔に伝えるひな型が示されています。完了の連絡は、遅れたときほど価値が上がります。予定より延びたなら、延びたことと見込みを書くほうが、黙って復旧させるより問い合わせが減ります。

知らせに書く項目と、その書き方

文面に何を書くかは、ほぼ決まっています。運用の解説では、日時・所要時間・止まる範囲・完了の連絡の4点が必須とされています。社内向けには、これに「止まらないもの」と「問い合わせ先」を足すと問い合わせが目に見えて減ります。

書く項目書き方抜けると起きること
いつ止まるか幅ではなく時刻で書き、日付には曜日も添える前日まで気づかれない
どのくらい止まるか最大で何分・何時間と上限の形で書く予定より延びたときに信用が落ちる
何ができなくなるか道具の名前ではなく業務の動作で書く自分に関係があると判定されない
何は止まらないか止まらないものを名指しで書く止まっていない機能にも問い合わせが来る
その間どうするか前倒し・手作業・後回しのどれかを指定する各自が勝手な代わりを探し始める
誰に聞けばよいか窓口を1か所に絞って書く問い合わせが担当者個人に集中する

書き方の細部では、件名に日付を入れること、本文の1行目に結論を置くことの2つが効きます。社内の告知は本文を開かずに件名だけで処理されるため、件名に日付が無いと予定表に入りません。1行目の結論も同じ理由で、経緯の説明から始めると読み進める前に閉じられます。

表に無い項目として、なぜ止めるのかを書くかどうかが毎回問題になります。原則は1行だけ書く、です。理由がまったく無いと不信につながりますが、詳しく書くと延期できないのかという交渉が始まります。「提供元の保守のため」「利用している仕組みの入れ替えのため」の粒度で止め、延期の可否は文面ではなく窓口で個別に受ける形にします。

所要時間を上限の形で書くのは、延びたときの説明を省くためです。「30分」と書いて40分かかると遅れたことになりますが、「最大1時間」と書いて40分なら予定どおりです。上限で書いて早く戻すほうが、正確な見込みで書いて延びるより信用が積み上がります

どこに出すか。届く場所を先に決める

文面ができても、出す場所が合っていなければ届きません。運用の解説では、告知は「届く場所に出す」ことが原則とされ、自社の案内面や連絡手段を並べて出す形が挙げられています。社内なら、業務で毎日開く場所かどうかが判断の軸になります。

出す場所は3つの型に分かれます。全体に流す場所、その道具を使っている人が集まる場所、そして道具そのものの中です。3つは役割が違い、全体の場所は記録を残すため、集まる場所は気づいてもらうため、道具の中はまさに使おうとした瞬間の人を止めるためにあります。

いちばん効くのは3つ目です。止める対象の入口に予告を出しておくと、使おうとした人が確実に読みます。運用の解説でも、作業中はエラー画面ではなく、いま止まっていると分かる画面を用意することが挙げられています。社内の道具でも、止まっている間に何が表示されるかを事前に決めておくと、その表示自体が説明になります。

出す場所ごとに文面の長さも変えます。全体の場所には要点だけを短く、集まる場所には代わりの手順まで、道具の中には1行だけ。同じ長文を3か所に貼ると、どれも読まれません。

読まれなかったときに効く二の矢

知らせは読まれない前提で組みます。全体宛の連絡が読まれる割合は、内容の良し悪しよりも受け取る側の忙しさで決まるためです。読まれなかったときに効く手を、最初から日程に入れておくのが二の矢の考え方です。

一の矢の次に効くのは、頻度の高い利用者への個別の連絡です。工程②で拾った毎日使う層は人数が限られるので、名指しの連絡が現実的に配れます。全体宛を1回から3回に増やすより、毎日使う10人に個別に届けるほうが当日の問い合わせは減ります

次に効くのが、その層の上長や、部署の定例の場に1行入れてもらう形です。読まれる連絡とは、本人が読む前に周りが知っている状態を作ることでもあります。定例で口頭に出た情報は、文面より記憶に残ります。

最後の一手は当日です。止まる直前に道具の中で予告を出し、止まっている間は止まっていると分かる表示を出す。ここまで用意しておくと、知らせを読んでいなかった人も、壊れたとは判断しません。壊れたと判断された時点で問い合わせになるので、この最後の表示が問い合わせ件数をいちばん左右します。

届かない知らせに共通する型

届かなかった告知を並べると、原因は文章力ではなく設計に寄っています。次の型に当てはまっていないかを、出す前に確かめます。

  • 道具の名前だけで書く:読んだ人が自分の業務と結び付けられず、関係ないものとして処理される
  • 1か月前の1回で終える:記録には残るが記憶には残らず、当日に初めて気づかれる
  • 権限の一覧をそのまま宛先にする:使っていない人が大半になり、次の告知から読まれなくなる
  • 止まる範囲を技術の言葉で書く:業務側が判定できず、確認の問い合わせが増える
  • 完了の連絡を出さない:戻っているのに使われない時間が続く
  • 問い合わせ先を書かない:担当者個人に直接届き、当日の作業が止まる

6つのうち、いちばん多いのは1つ目と2つ目です。どちらも出した側から見ると仕事が終わっているように見えるのが厄介なところで、当日になるまで失敗が表に出ません。出す前に、書いた文面を業務側の1人に読んでもらい、自分の当日の予定が変わるかどうかを言ってもらうと、この2つは事前に潰せます。

出した告知は、文面と出した日時と出した場所をまとめて控えに残します。次に止めるときの型になりますし、当日に聞いていないという声が上がったときに、どこまで出したかを確かめる材料になります。控えを見返すと、毎回同じ層が宛先から漏れていることが分かることがあり、そこが次に直す場所になります。

夜間や休日に寄せるべきかの判断

止める時間帯を業務時間の外に寄せれば、影響を受ける人は減ります。ただし、戻らなかったときに動ける人がいないという代償が付きます。この2つを天秤にかける判断なので、一律に夜間がよいとは言えません。

判断の材料は3つです。利用の山がいつ立つか、戻す作業に人手が要るか、戻らなかったときに翌営業日まで待てるか。3つ目が「待てない」なら、人がそろっている時間帯に寄せるほうが安全です。利用の山は工程②で拾った実績から読めるので、そこで時間帯別の分布まで見ておくと判断が速くなります。

海外の拠点がある場合、業務時間の外という時間帯そのものが存在しないことがあります。この場合は、影響が最小になる時間帯を拠点ごとに比べて、いちばん薄いところに寄せます。どの拠点にとっても不便な時間になるので、寄せた理由を告知に1行書いておくと、受け止められ方が変わります。

夜間に寄せると決めたなら、翌朝の始業前に確認する人を決めておきます。工程⑤の確認を翌営業日の朝に置く形です。夜間に止めて朝に確認しないと、止めた意味が薄れます。

提供元の都合で止まるときは、猶予が先に決まっている

自社の保守と違い、モデルの載せ替えは提供元の期日から動きます。ある大手クラウドの生成AI基盤では、一般提供のモデルは公開の時点で18か月後の提供終了日が機械的に設定され、公開から12か月後には既存の利用者だけが使える段階に入ります。提供終了の通知は少なくとも60日前、試験段階のモデルは少なくとも30日前に届くと明記されています。

この基盤では、代替モデルは提供終了のおよそ90日前から試せる形になっており、提供終了日の延長は認められていません。設定によっては新しい版へ自動で切り替わりますが、自動で上げない設定にしていると、提供終了日にそのまま動かなくなります。予約枠の形で使っている場合も自動では切り替わらず、手動で移す必要があると書かれています。

別のデータ分析基盤の事業者は、非推奨にしてから3か月以上あとに提供終了日を発表する方針を公開しています。提携先のモデルが3か月より短い猶予しか出さない場合には、同じ価格で互換性のある後継へ一時的に振り替えて、利用者に3か月を確保するという運用まで示されています。猶予の長さは提供元ごとに違い、自社では動かせないという前提で逆算します。

加えて、コンプライアンスや安全上の問題が見つかった場合には短い通知で緊急に提供を終える権利を留保している、と書いている事業者もあります。これは計画停止の枠外の話ですが、載せ替えの予定を組むときは、期日が前倒しになる可能性を1行だけ告知に残しておくと、後の説明が楽になります。

止めてよいかどうかの決めはAIにさせない

この段取りの中で、AIに任せてよい作業ははっきりしています。利用の記録から対象者と自動の口を一覧にすること、技術側の表現を業務の動作に言い換える案を並べること、宛先の層ごとに文面を書き分けること。どれも材料がそろっていて、正解が記録の中にある作業です。

任せてはいけないのは、止めてよいかどうかの決めです。止めた損失の重みは業務ごとに違い、その重みは利用の記録に残っていません。月末の締め処理は件数が少なくても止められませんし、件数の多い問い合わせの下書きは1時間止めても吸収できます。件数で並べ替えた一覧は、止めてよい順番とは一致しません

人が確認する範囲は、作業を頼む前に決めます。頻度の高い上位の利用者と、人がいない自動の口は、必ず人が目で見る。一覧を作らせたなら、どの記録のどの行から拾ったのかを根拠として出させて、抜けと重複を人が確かめます。根拠が出せない一覧は、宛先としては使いません。

任せた作業には検算を1つ用意します。一覧を作らせたら、自分が知っている利用者を3人選んで、その3人が一覧に入っているかを確かめる。言い換えの案を出させたら、業務側の1人に読んでもらう。確かめ方を先に決めておかないと、出てきた結果の見た目が整っているぶん、そのまま通ってしまいます。この検算は数分で終わるので、工程②と③の間に固定で挟んでおきます。

  • AIが出した宛先の一覧を、確認せずにそのまま送信先に貼らない
  • 言い換えの案は候補として受け取り、現場で通じる言葉かどうかは業務側の人が決める
  • 止める日程・止めてよいかの判断・延期するかの判断は、根拠を人が読んだうえで人が出す

よくある質問

どのくらい前に知らせればよいですか

相手が業務を組み替える必要があるかどうかで決まります。組み替えが要るなら1か月前に第1報を出し、1週間前と前日に念押しを入れる形が目安です。当日の数十分で終わり、前倒しで吸収できるなら、数日前から前日の予告で足ります。迷ったときは、止まる時間の長さではなく、その時間帯に待てない業務が乗っているかどうかで判断してください。

数分で終わる停止も知らせるべきですか

知らせます。ただし出す場所を絞ります。全体に流すのではなく、道具の中の表示と、直近で使っている人への連絡だけにします。数分でも、その瞬間に使おうとした人には壊れたように見えます。壊れたと判断されると問い合わせになり、対応にかかる時間は数分では終わりません。

モデルの載せ替えで答えが変わるときも、同じ知らせ方でよいですか

止まる時間の知らせ方は同じですが、1つ足す項目があります。載せ替えの前後で答えの形が変わる可能性がある、という一行です。止まった時間より、戻ってきたあとに出力が変わっていることのほうが業務に効きます。よく使われている問いを1つ決めて、載せ替えの前と後で答えを並べて置いておくと、変わったかどうかを使う人が自分で判定できます。

知らせても読まれません。どうすればよいですか

読まれない前提で、届く場所と回数を変えます。全体宛を1回から3回に増やすより、毎日使っている層への個別の連絡と、道具の中の表示を足すほうが効きます。それでも当日の問い合わせはゼロにはならないので、止まっている間に何が表示されるかを決めておき、その表示に日時と窓口を入れておくと、問い合わせそのものが減ります。

まとめ

予定してAIを止めるときの要点は、止める作業の段取りと、相手の業務の段取りを別の仕事として組むことに尽きます。順番は、止まる範囲を業務の動作に翻訳し、影響を受ける人を権限ではなく利用の実績から拾い、予告と直前の2段階で知らせ、前倒し・手作業・後回しのどれかを指定し、戻したあとに業務が1本通るかを指名した人が確かめる。文面には日時・所要時間・できなくなること・止まらないこと・その間の動き方・窓口の6つを入れ、全体の場所と使っている人の場所と道具の中の3か所に長さを変えて出す。提供元の都合で止まる場合は猶予の日数が外から決まるので、公表されている期日から逆算します。AIには対象の洗い出しと文面の下書きまでを任せ、止めてよいかどうかの決めは根拠を読んだうえで人が出す。まずは、次に止める予定について、止まる範囲を業務の動作の言葉で1行書き直すところから始めてみてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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