Agentforceは営業の何を代われる?|任せる範囲の決め方

Agentforceは営業の何を代われる?|任せる範囲の決め方

2026年9月11日、セールスフォースは、仕事の種類ごとに名前を付けたAIエージェントの新しい品ぞろえを発表しました。顧客からの問い合わせを解決する役、社内の情報システム部門と人事への依頼を受ける役、通販の売り場で商品選びを助ける役に加えて、営業では、ウェブサイトと受信箱に届いた引き合いを見極める役と、社外への働きかけを数週間かけて進める役が並んでいます。発表文には、これまでにスラックとあわせて70億の作業単位が実行され、直近の四半期だけで32億に達したこと、導入先での仕事の解決率が5割から9割の幅にあることも書かれています。そして同じ発表の中で、どこまで自分の判断で動いてよく、どこから営業担当の承認が要るのかを、ガードレールという設定で区切ると説明されています。検討の入口は、使えるかどうかではありません。営業のどの仕事をどこまで代わらせるかです。この記事では、受け身で入ってくる引き合いへの対応を5つの工程に割り、代われる仕事と代われない仕事の境目を、提供元が公開している仕様と料金表に沿って決めていきます。


カメ先生カメ先生

営業のAIというと、人が画面から呼び出して下書きを作らせるものだと思われがちですが、この製品で変わったのは呼び出され方です。条件がそろうと、誰も画面を見ていない時間に自分から動き出します。


カメ子カメ子

勝手に動き出すということは、任せる範囲を先に決めておく必要があるということですか。


カメ先生カメ先生

決めなければ、決まらないまま動きます。提供元の発表でも、どこまで自分で判断してよく、どこから担当者の承認が要るのかを設定で区切ると書かれています。区切りを置く場所を選ぶのは、売る側の仕事です。


カメ子カメ子

その区切りは、営業のどの場面で引くのが自然なのでしょうか。


この記事のポイント
  • 受け身の引き合いは、受付・一次回答・情報の穴埋め・日程調整・引き継ぎの5つに割れる。代わらせやすいのは前の3つで、外に出る操作を含む後ろの2つは条件を先に決める
  • 見積り・値引き・納期の確約は人が持つ。取り消せず、会社を縛る回答だから。人に引き継ぐ条件は、動かす前に文章で書いて設定に入れる
  • 費用は席の数では増えない。公式の料金表では標準のアクション1回が20クレジット、10万クレジットが6万円。1件の問い合わせで何回動くかが見積りの単位になる

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目次

2026年9月11日の発表で、営業の仕事に名前が付いたエージェントが並んだ

まず事実から確認します。2026年9月11日の発表で公開されたのは、担当する仕事ごとに名前を持つエージェントの一覧です。営業に関係するのは2つあります。1つは、ウェブサイトと受信箱をまたいで届いた引き合いを見極める役で、発表時点ですでに一般提供されています。もう1つは、社外への働きかけを数週間から数か月かけて進める役で、こちらは試験導入の段階にあり、一般提供は2026年11月の予定と書かれています。営業に関して今すぐ検討できるのは、前者、つまり入ってきた引き合いをさばく側だということです。

発表文にある数字も押さえておきます。スラックとあわせてこれまでに70億の作業単位が実行され、2026年の第2四半期だけで32億に達したとされています。導入先での仕事の解決率は5割から9割の幅にある、という書き方です。ただし作業単位が何を1と数えるのかは発表文に定義がありません。数の大きさは使われている規模を示しますが、自社の見積りには使えない数字だと理解しておきます。解決率の幅も、5割で終わる導入と9割まで届く導入の両方が同じ製品で起きている、と読むほうが実務に近くなります。

日本での提供は段階的に進んできました。営業向けの機能の日本語提供は2025年4月3日に発表され、基盤の第3世代は2025年7月28日、統合基盤は2025年11月20日に日本での提供開始が発表されています。直近では2026年8月5日に、社内の情報を横断して答える同僚役の一般提供が日本で始まり、日本語を含む自然な言葉で質問できると説明されています。一方で、2026年9月11日に発表された名前付きのエージェント群について、日本での提供時期を述べた日本向けの発表は確認できませんでした。検討に入るなら、この点は担当の営業に確かめる項目になります。

従来の載っているAIとの違いは、人が呼び出すか、条件がそろうと動き出すか

提供元が公開している設計者向けのガイドは、エージェントの動き出し方を大きく4つに分けています。1つ目は会話型で、人が話しかけたときに応える、従来どおりの形です。2つ目は先回り型で、記録の変化、社内で発生した出来事、外部の仕組みから届いた通知などをきっかけに動きます。3つ目は決まった時刻に動く形、4つ目は通話などの流れに張り付いて見続ける形です。顧客管理の道具に載っていた従来のAIは、ほぼ1つ目だけでした。

この違いが実務に効くのは一点です。人が画面で押した瞬間が、そのまま人の確認点になっていた前提が崩れます。受信箱に問い合わせが届いた、記録の項目が埋まった、前回の連絡から一定の日数が過ぎた、といった条件で動き出すのなら、誰も見ていない時間に相手へ届く操作が起きることになります。だから確認点を、押す瞬間ではなく、設定の中に置き直す必要が出てきます。

もう1つ、誤解しやすいのは自由度です。エージェントは何でもできるわけではありません。設計ガイドによれば、動きはトピック(意図の分類と担当範囲)、指示(役割と語調と守るべき指針)、アクション(実際に実行できる処理)、ガードレール(実行時の検査と応答の絞り込み)の4つで組み立てられます。アクションは、記録の検索や更新、外部の仕組みの呼び出し、通知の発火といった処理を、フローやプログラムとして用意したものです。つまり用意していないアクションは実行できません。なお、公式のガイドでは2026年4月から、トピックという呼び名が副エージェント、その振り分け役がルーターに改められています。

代われる仕事は、営業の流れを5つに割ると見えてくる

受け身で入ってくる引き合いへの対応を、時間の順に割ります。問い合わせの受付、一次回答、情報の穴埋め、日程調整、人への引き継ぎの5つです。工程で割る理由は、取り消せるかどうかが工程ごとにはっきり違うからです。記録を作るのは後から直せます。相手にメールを送ってしまえば直せません。任せる範囲を仕事の種類で語ると議論が止まりますが、取り消せるかどうかで割ると、線はほぼ機械的に引けます。

工程エージェントに寄せられる部分人が持ち続ける判断取り消せるか
受付問い合わせを受け取り、記録を作り、担当の振り分け先を決めるどの項目を必須にするか、重複した会社をどう扱うか直せる
一次回答出どころのある問いに答え、根拠の文書を示す出どころのない問いに答えさせないこと直せる(送信前なら)
穴埋め決めた項目を順に聞き、答えを記録に書き戻す何を聞き、何を聞かないか直せる
日程調整空いている枠を示し、相手の返事に合わせて確定する枠の範囲、押し返してよい回数の上限届いた後は直せない
引き継ぎ人の担当へ渡し、それまでのやり取りを添える誰に渡すか、不在のときどうするか届いた後は直せない

表の右端が、設計の分かれ目です。直せる工程は、間違えても後から直す前提で先に任せられます。直せない工程は、動かす前に条件を文章で決めておかないと任せられません。この記事の後半は、ほぼこの右端2行の条件の決め方に費やします。なお提供元の製品ページには、記録の更新について自律型モードと提案型モードの2つが用意され、提案型では更新の内容を人が確認し、編集し、承認できると書かれています。取り消せる工程でも、最初は提案型から始める選択肢があるということです。

受付:問い合わせを記録に変えるところまでは、素直に任せられる

提供元の説明によれば、このエージェントは訪問者を迎え、見込み客の記録を作り、製品についての質問にその場で答え、入ってきた引き合いを振り分けます。2026年9月11日の発表でも、ウェブサイトと受信箱をまたいで引き合いを見極める役として紹介されています。問い合わせフォームの内容を人が読んで記録に写す作業は、この工程でほぼ消えます。営業の現場で最も待ち時間が発生していた場所なので、最初に効きます。

ただし任せる前に決めることが2つあります。1つは、記録を作るときに必須にする項目と、空でも作ってよい項目の線です。全部を必須にすると、名乗らない相手の問い合わせが記録にならず、人にも回りません。逆に全部を任意にすると、後から誰にも追えない記録が積み上がります。もう1つは重複の扱いです。同じ会社から別の担当者が問い合わせてきたとき、新しい会社として作るのか、既存の会社にぶら下げるのかを決めておかないと、既存の商談と切り離された記録が増えます。

振り分けの条件も先に決めます。地域、製品、規模、既存の取引の有無のうち、どれで分けるのかです。ここを決めずに動かすと、エージェントは指示の文章から推測して振り分けます。推測が当たっているかどうかは、後から記録を並べないと分かりません。振り分けの条件は、推測させずに、決まった処理として書いておくのが安全です。設計ガイドでも、記録の検索や更新のような処理はフローやプログラムで用意し、意図の分類や文面の生成を推論に任せる、という切り分けが示されています。

一次回答:答えの出どころがある問いだけを渡す

一次回答は、代われる度合いが最も大きい工程です。提供元が公開している信頼できる動作のためのガイドでは、応答を外部の知識源につないで、正確で最新の情報に基づかせる段階が、設定の3段目として置かれています。社内の文書や製品の説明を検索して、そこから答えを組み立てる形です。逆にいえば、つないだ知識源に載っていない問いは、答えの根拠がない状態で答えられてしまいます

そこで、一次回答を任せるときの条件は1つに絞れます。答えの出どころが1つに決まる問いだけを渡すことです。製品ができること、対応している環境、公開している価格表の範囲、導入までの標準的な期間。これらは社内に文書があります。一方、この会社の場合はいくらになるか、いつまでに入れられるか、他社と比べてどうか。これらは文書に答えがなく、案件ごとに人が決めています。前者だけを担当範囲に入れ、後者が来たら答えずに人へ渡す、という区切りです。

根拠を示させるところまでを設定に含めます。答えた内容と一緒に、どの文書を見たのかを相手にも記録にも残す形にしておくと、後から誤りを見つけたときに、直すべき文書がすぐ分かります。答えの正しさを人が毎回確かめるのは現実的ではありませんが、出どころが書かれていない回答を見つけるのは一目でできます。見直しの負荷を下げるための設定だと考えると、優先度が上がります。

穴埋め:聞く項目を先に決めないと、聞き漏らしと聞きすぎが同時に出る

情報の穴埋めは、商談に進む前に埋めておきたい項目を、相手とのやり取りの中で聞いて記録に書き戻す工程です。信頼できる動作のためのガイドでは、やり取りの途中の情報を保持する仕組みとして変数が挙げられ、文脈の保持や条件による分岐に使うと説明されています。聞いた答えを変数として持ち、埋まったかどうかで次の質問を変える、という作りです。

ここで起きる失敗は2方向あります。1つは聞き漏らしで、人の担当が引き継いだ直後に、同じことをもう一度聞き直す事態になります。もう1つは聞きすぎです。導入時期や予算の規模までは業務上必要ですが、担当者個人の経歴や社内の力関係まで聞き出そうとすると、相手は不快に感じますし、記録に残る情報の性質も変わります。聞く項目は、多くても5つまでを上限にして、埋まらなければ空のまま人へ渡す、と決めておくのが現実的です。

順番も決めておきます。相手が答えやすい項目から聞き、答えにくい項目は後ろに置きます。いきなり予算を聞くと、そこでやり取りが止まります。また、相手がすでに答えた項目を二度聞かないようにするには、記録に書き戻すところまでを1つの処理にしておく必要があります。書き戻しが後回しになる設計だと、次のやり取りで同じ質問が出ます。設計ガイドが、記録の更新を推論ではなく決まった処理で行うと整理しているのは、この種の取りこぼしを防ぐためでもあります。

日程調整:空きの範囲と、押し返す回数の上限を先に決める

提供元の説明では、このエージェントは営業担当に代わって会議や訪問の日程を調整します。応答の頻度、連絡の手段、従業員へ引き継ぐタイミングを設定で決められるとも書かれています。日程調整は営業の待ち時間が最も長く発生する工程なので、効き目は大きい。ただしここから先は、相手に届いた時点で取り消せない操作に入ります。

決めるのは3つです。1つ目は空き枠の範囲で、予定表の空きをそのまま全部見せるのか、時間帯と曜日を絞るのかです。全部を見せると、移動時間を考えない枠が埋まります。2つ目は押し返してよい回数の上限です。相手が都合が合わないと返してきたときに、何回まで別の枠を出すのか。上限を決めていないと、往復が続き、相手の印象が悪くなってから人に回ってきます。3つ目は、確定の通知を送る前に人が見るかどうかです。

往復の回数は、後で見る数字としても使えます。日程が確定するまでに何回やり取りしたかを記録から数えれば、枠の出し方が適切だったかが分かります。回数が3回を超えている案件が多いなら、示している枠が少なすぎるか、相手の都合を聞く順番が悪いかのどちらかです。この数字は、後半で扱う3か月の見直しの材料になります。

引き継ぎ:何を渡すかを決めて、はじめて成り立つ

設計ガイドには、解決できない会話を人の担当へ回すとき、会話の文脈をそのまま注入した状態で割り当てると書かれています。振り分けはオムニチャネルの仕組みが担います。営業向けの説明でも、見込み客を担当へ引き継ぐ際に、それまでのやり取りの要点と主要な情報をまとめて渡すとされています。仕組みとしては渡る、ということです。

問題は、渡ったものを人が使えるかどうかです。会話の全文がそのまま貼られていても、引き継いだ担当は読み返す時間がありません。渡す中身を決めておかないと、結局、担当が相手に同じことを聞き直します。引き継ぎで渡すものは4つに絞ると、読む側の負荷が下がります。いつ、どこから来た引き合いか。何を聞かれ、どの文書を根拠に何と答えたか。どの項目が埋まり、どの項目が空のままか。そして、なぜこの時点で人に渡したのか。最後の1つが抜けると、担当は状況を推測するところから始めることになります。

STEP1
引き継ぐ条件に当たったことを記録に残す

どの条件で人に渡したのかを、記録の項目として持たせる。後から条件ごとの件数を数えられるようにしておく。

STEP2
渡し先を決める

担当が決まっている会社なら既存の担当へ、決まっていなければ振り分けの条件に従う。渡し先が不在のときの二番手も決めておく。

STEP3
4点を1つの要約にまとめる

来た日と経路、答えた内容と根拠の文書、埋まった項目と空いた項目、渡した理由。会話の全文は別に残し、要約とは分ける。

STEP4
相手に人が引き継ぐことを伝える

誰がいつ連絡するのかを伝える。ここを省くと、相手は返事が来ないまま待つことになる。

STEP5
担当が受け取ったかどうかを確かめる

渡したまま誰も見ていない状態を作らない。受け取りの記録が付かない引き継ぎを一覧で見られるようにしておく。

止める線:見積り・値引き・納期の確約は、人が持ち続ける

受け答えを任せる範囲には、必ず上限を置きます。見積りの金額、値引きの可否と幅、納期の確約。この3つは人が持ちます。理由は2つあり、どちらも実務上のものです。1つは、相手に届いた瞬間に取り消せないこと。もう1つは、これらの回答が会社を縛る性質を持つことです。後から社内で調整した金額と、相手が受け取った金額が食い違えば、その差を埋めるのは担当者の仕事になります。

技術的に不可能だから外すのではありません。今回確認した公式の資料には、見積りや値引きをエージェントに任せてよいかどうかを述べた記載は見当たりませんでした。可否が書かれていないなら、それは売る側が決める領域だということです。決めないまま動かすと、指示の文章から推測して答えます。推測で価格を答えるのは、人の新人にもさせない運用のはずです。

線を引くときは、答えないことと、何も返さないことを分けておきます。価格を聞かれたときに黙るのではなく、公開している範囲は答え、個別の金額は担当から連絡すると伝えて引き継ぐ。止める線は、会話を終わらせる線ではなく、人に渡す線として設計します。この形にしておくと、価格の問い合わせが何件あったかが記録から数えられ、案件の温度を測る材料にもなります。

  • 価格を聞かれる可能性があるので、一次回答そのものを人に戻す。問い合わせの大半は価格以外なので、効き目がほとんど消える
  • 答えられない問いを、それらしい一般論で埋めさせる。相手は答えをもらったと受け取り、後から食い違いが表に出る
  • 値引きの上限だけを設定に書いて任せる。上限の範囲でも、いつ誰に出したかが積み上がると価格の基準そのものが崩れる
  • 納期を、標準の期間で答えさせる。在庫や工事の予定を見ていない期間なので、確約として受け取られると後で覆せない

人に引き継ぐ条件を、動かす前に文章で決める

提供元の説明によれば、いつ人に引き継ぐかは、トピックの指示の中で決めます。解決できない会話は引き継ぎ専用の副エージェントに渡され、新しいビルダーではスクリプトの引き継ぎ関数からも呼べるとされています。ガードレールについても、何をしてよく何をしてはいけないか、そしていつ人に引き継ぐかを自然な言葉で書いた指針だと説明されています。つまり引き継ぎの条件は、書かなければ存在しません。

条件は4つの型で書くと漏れにくくなります。1つ目は、答えの出どころがない問いが来たとき。2つ目は、価格・契約・納期の話に入ったとき。3つ目は、相手が強い不満を示したとき。4つ目は、やり取りの往復が決めた回数を超えたときです。4つ目だけは、内容ではなく回数で決まるので、必ず入れておきます。前の3つは、判断を推論に委ねる余地が残りますが、回数は残りません。どんな理由であれ、一定の往復で人に渡るという安全弁になります。

条件を書く分量にも目安があります。公式のガイドは、指示の数を5つから10個程度に収めるよう勧めています。多く書くほど正確に動くわけではなく、量が増えると守られ方が不安定になるためです。引き継ぎの条件は4つに絞り、細かい例外は担当範囲そのものを狭めることで表すほうが、結果として守られます。担当範囲を狭めれば、範囲の外は自動的に人へ渡ります。

自由に任せる幅は、6段階で選べるようになっている

どこまで自由に動かすかは、感覚で決める話ではありません。提供元は、信頼できる動作を得るためのガイドとして、行動の固め方を6段階で整理しています。2025年5月に公開され、2026年2月に更新された文書です。下にいくほど、人が書いた手順どおりに動きます。

段階固め方営業の受け答えでの使いどころ
1指示を書かず、担当範囲とアクションから自動で選ばせる問い合わせの内容が読めない入口の一言だけ
2ルール・守るべき指針・例を指示として書く語調、名乗り方、答えない話題の指定
3社内の文書につないで、そこから答えさせる製品と価格表の範囲の一次回答
4やり取りの途中の情報を変数として持たせる穴埋めで聞いた項目の保持と、次の質問の切り替え
5決まった手順として書く(3段以上の処理に推奨)記録の作成、振り分け、引き継ぎの一連の処理
6スクリプトで推論の前後と分岐を固定する本人確認、法令で順番が決まっている説明

ガイドは使い分けの目安も示しています。最適な道筋が状況によって変わり、守備範囲が広い場面は1から5の範囲で組み、必ず通さなければならない関門、法令上の順序、前の段の結果がなければ次に進めない依存関係、危険度の高い場面は6を使う、という分け方です。営業の受け答えに当てはめると、一次回答と穴埋めは3と4、受付と引き継ぎは5、本人確認を挟む場面だけが6という置き方になります。

担当範囲の数にも目安があります。ガイドでは、副エージェントは最大10個程度が推奨とされています。範囲を細かく割りすぎると、どれを選ぶべきかの判断そのものが難しくなるためです。営業の受け答えなら、製品の問い合わせ、導入の相談、既存顧客からの質問、対応範囲の外、といった粗さで十分に足ります。範囲を増やす前に、いまある範囲の中で答えられなかった問いを数えるのが先です。

動いた内容はどこに残り、誰がいつ見直すのか

設計ガイドには、意図、アクション、結果のすべてがやり取りの記録に保存されると書かれています。詳細を見るための拡張されたイベントログを有効にする方法も示されています。加えて、エージェントの分析用の画面があり、目標の進み具合、運用の状態、統制の状態を追えるとされています。2025年7月28日の日本での提供開始の発表では、エージェントの一生を可視化する管理画面が基盤に組み込まれ、自己解決率や成約までの期間などを画面で追えると説明されています。

記録が残ることと、見直しが起きることは別です。見直す人と頻度を決めておかないと、記録は増えるだけになります。決め方は単純で、月に1度、引き継ぎの記録だけを見ると決めます。全件を読む必要はありません。人に渡った案件は、エージェントが答えられなかった案件です。条件ごとの件数を並べれば、担当範囲を広げるべき場所と、逆に狭めるべき場所が見えます。

見直しの前に、試す仕組みも用意されています。設計ガイドには、会話を模擬して動作を確かめるテスト用の機能が挙げられています。指示や担当範囲を変えたときに、以前は答えられていた問いが答えられなくなることがあるので、設定を変えた直後は、代表的な問いを決まった数だけ通してから本番に戻す手順を作っておきます。変更のたびに全部を人が確かめるのは続きませんが、10問程度の固定の問いなら続きます。

  • 顧客管理の道具に載ったAI一般の前提や準備、外部のAIに記録を渡す形との比較、権限や資格情報の設計は、この記事では扱いません。ここではこの製品の設定と料金表に実在する単位に沿って、営業の受け答えをどこまで代わらせるかだけを扱います

費用は席の数では増えない。動いた回数で増える

公式の料金ページに載っている単位を、そのまま確認します。フレックスクレジットという方式では、10万クレジットが6万円です。標準のアクション1回が20クレジット、音声のアクション1回が30クレジットとされています。ここから計算すると、1クレジットが0.6円、標準のアクション1回が12円、音声のアクション1回が18円になります。もう1つ、会話ごとに課金する方式もあり、こちらは1会話240円です。同じ組織の中で両方の方式を使うことはできないと明記されています。

利用者のライセンスも別にあります。1人あたり月600円で、注記には別途フレックスクレジットが必要と書かれています。つまり席の費用はほぼ名目で、実際の費用はエージェントが何回動いたかで決まります。営業の受け答えに当てはめると、1件の問い合わせで、記録の作成、文書の検索、回答の生成、記録の書き戻し、引き継ぎの通知と、アクションが5回動けば60円、10回動けば120円という構造です。人数ではなく件数で見積もる必要があります。

運用に効く注記が3つあります。未使用のクレジットは翌月に繰り越されません。使いすぎに対する罰則はなく、超えた分は後から請求されます。そして消費を追うための画面は、フレックスクレジットを使う場合に追加の費用なしで付きます。繰り越しがないので買いすぎると無駄になり、罰則がないので使いすぎても止まりません。月の上限は、画面の数字を見ながら人が判断する運用項目になります。購入の仕方は、前払い、あらかじめ量を約束する形、使った分を後から払う形の3つが示されています。

導入前に決める項目一覧

ここまでの内容を、動かす前に社内で決める項目としてまとめます。設定画面を開く前に、この一覧を埋めるところから始めます。埋まらない項目があるなら、それは製品の問題ではなく、社内で決まっていない判断です。導入してから決めようとすると、決まらないまま既定の設定で動きます。

  1. 誰の名前で動くか。メールの差出人、記録の作成者、相手から見た名乗り。人の担当者の名前を使うのか、会社名や窓口の名前にするのかを決める
  2. 触ってよい記録の範囲。読める記録と書き換えてよい記録を分ける。過去の商談、他部署の案件、取引条件の記録を範囲に入れるかどうか
  3. 答えてよい話題と、答えない話題。価格・値引き・納期の3つは答えない側に置き、公開している範囲だけを答える形にする
  4. 人に引き継ぐ条件。出どころがない問い、価格と契約の話、強い不満、往復の回数の上限の4つを文章で書く
  5. 引き継ぎ先と、不在のときの二番手。誰も受け取らなかった引き継ぎを一覧で見る方法も決める
  6. 引き継ぎで渡す4点。来た日と経路、答えた内容と根拠、埋まった項目と空いた項目、渡した理由
  7. 送信の前に人が見る操作。日程確定の通知、社外への初回の連絡など、取り消せない操作を列挙する
  8. 止め方。1体だけ止めるのか全部を止めるのか、誰が止められるのか、止めた後に届いている問い合わせをどう扱うか
  9. 記録の保存期間と、見直す人と頻度。月に1度、引き継ぎの記録を誰が見るかを名前で決める
  10. 費用の上限と、上限に近づいたときの連絡先。繰り越しがないので、買う量と使う量の両方を月次で見る

この一覧のうち、止め方だけは動かす前に必ず試しておきます。条件がそろうと自分から動く仕組みなので、止めたいときにどこを操作すればよいのかを、実際に押して確かめておく必要があります。文書に書いてあるだけの停止手順は、必要になった場面で使えません。試した日と、止まるまでにかかった時間を記録に残しておくと、後から範囲を広げるときの判断材料になります。

小さく試す範囲の決め方と、3か月で見る数字

最初に開く範囲は、4つの条件で選びます。答えの出どころが1つの文書に決まること。取り消せる操作だけで完結すること。引き継ぎ先が1人に決まること。1日の件数が数えられる程度であること。この4つを満たすのは、たいていウェブサイトの問い合わせフォームから来る、製品についての一般的な質問です。既存顧客からの問い合わせや、取引条件が絡む相談は、最初の範囲には入れません。

3か月で見る数字は5つに絞ります。人に引き継がれた割合と、その理由の内訳。一次回答のうち、根拠の文書を示せた割合。日程が確定するまでの往復の回数。担当者が引き継ぎ直後に相手へ聞き直した項目の数。そして1件あたりに消費したクレジットです。この5つのうち、単独で良し悪しを判断してよい数字は1つもありません。引き継ぎの割合が下がっても、聞き直しの項目が増えているなら、範囲を広げすぎたということです。

特に注意したいのが、自己解決率だけを追うことです。管理画面で最も目立つ数字なので、目標に置きたくなります。しかし人に渡さなければ数字は上がるので、渡すべき案件を抱え込ませる方向に力が働きます。見るなら、自己解決率と、引き継ぎ直後の聞き直しの項目数を必ず並べます。3か月で判断するのは、範囲を広げるか、狭めるか、止めるかの3択です。広げる場合も、答えの出どころが1つに決まる話題を1つ足すところから始めます。

まとめ

営業のどこまでを代わらせるかは、製品の性能ではなく、取り消せるかどうかで決まります。受付・一次回答・穴埋めの3工程は後から直せるので先に任せられ、日程調整と引き継ぎは相手に届いた時点で直せないので、条件を文章で決めてから任せます。見積り・値引き・納期の確約は人が持ち続け、価格の問い合わせは会話を終わらせずに人へ渡す形にします。人に引き継ぐ条件は、出どころのない問い、価格と契約、強い不満、往復の回数の4つで書き、回数だけは内容と無関係に効く安全弁として必ず入れます。自由に任せる幅は6段階から選べるので、一次回答と穴埋めは知識源と変数で固め、記録の作成と引き継ぎは決まった手順として書きます。費用は席の数ではなく動いた回数で増えるため、見積りの単位は人数ではなく1件あたりのアクション数です。導入前に決める項目一覧を埋め、止め方だけは実際に押して確かめ、最初は出どころが1つに決まる問い合わせだけで開きます。3か月後に見る数字は5つ並べて読み、自己解決率だけで判断しないことが、範囲を正しく広げる唯一の方法です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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