広告に特許出願中と書いてよい?|虚偽表示にしない条件

広告に特許出願中と書いてよい?|虚偽表示にしない条件

「技術力を示したいので、紹介文に特許出願中と書きたい」「登録の前でも書けるものだと思っていた」——製品の紹介文を作る場面で出てくる相談です。特許に触れる表示は、自由に言い回しを選べる文言ではありません。虚偽の表示を禁じる定めがあり、罰則も置かれています。この記事では、書ける場合と書けない場合の線引きを整理します。


カメ先生カメ先生

特許について書く表示はね、技術力を示す言い回しだと考えられがちだが、法律で形の決まった表示なんだ。


カメ子カメ子

出願していれば、出願中と書いてよいのではないですか。


カメ先生カメ先生

書けるのは、出願した発明をその製品が実際に使っている場合だ。別の型で出願していて売っている製品には使っていないなら、紛らわしい表示に当たりうる。番号まで書けるかどうかも段階で変わる。


カメ子カメ子

何に対する出願かが問われるのですね。定められた形から見ていきます。


この記事のポイント
  • 特許に係る物以外に特許表示や紛らわしい表示を付けることは禁じられている
  • 違反には3年以下の懲役または300万円以下の罰金という罰則がある
  • 「出願中」と「取得済み」は別。誤認させる書き方が問題になる

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目次

なぜ特許に触れたくなるのか

法人向けの商材では、技術力が選定の材料になります。しかし技術の中身を短い文で伝えるのは難しいものです。そこで、第三者による裏付けとして特許に触れたくなります。

実際、特許に関する表示には効果があります。技術力を訴えられること、そして模倣を抑える効果が期待できることです。「この技術は権利で守られている」と示せば、安易な模倣を躊躇させられます。

加えて、選定の場面で使われます。複数の候補を比べるとき、特許のある技術かどうかが判断の材料になることがあります。調達の担当が上長に説明する際の根拠にもなります。

だからこそ、書きたくなるのは自然なことです。問題は、書き方によって法に触れる点です。特許法には特許表示についての定めと、虚偽の表示を禁じる定めが置かれています。

そして、この禁止には罰則が付いています。3年以下の懲役または300万円以下の罰金という定めです。広告の表現の問題としては、かなり重い扱いになっています。軽く考えるべき話ではありません。

書きたい内容扱い確かめること
特許を受けた発明を実施した製品への表示定められた形で表示できる特許番号と、その物が特許に係る物か
特許を受けていない物への特許表示禁じられているそもそも書かない
特許を受けていない物の広告での表示禁じられている同じ
出願中であることの表示取得済みと誤認させない形にする出願の番号と、出願中である旨の明示
紛らわしい表示禁じられている受け取る側がどう読むか

特許表示の定められた形

特許法には、特許表示についての定めがあります。物の特許発明については「特許」の文字とその特許番号、物を生産する方法の特許発明については「方法特許」の文字とその特許番号とされています。

この形は、義務ではなく表示する場合の形式を定めたものと解されています。つまり、特許を取っていても表示しなくても構いません。表示するなら、この形に沿うということです。

実務で重要なのは、番号を書くのが基本の形だという点です。「特許取得済み」とだけ書いて番号を書かない表示をよく見ますが、定められた形からは外れています。

番号を書く利点もあります。読む側がその特許を調べられる形になります。特許の情報は公開されているため、番号があれば何の技術についての権利かが確かめられます。

逆に、番号を書かない表示は確かめられません。だからこそ、根拠のない主張が入りやすくなります。番号を書けるかどうかを自問するのが、最初の関門になります。

禁じられている3つの行為

虚偽の表示については、禁じられる行為が3つ定められています。整理して押さえてください。共通しているのは、特許に係る物以外についての表示だという点です。

1つ目は、特許に係る物以外の物またはその物の包装に、特許表示またはこれと紛らわしい表示を付ける行為です。製品そのものやその箱に書く場合がこれに当たります。

2つ目は、そうした表示を付けた物を譲渡等したり、譲渡等のために展示する行為です。つまり、表示を付ける行為だけでなく、それを売ったり展示する行為も対象になります。展示会での陳列も含まれ得ます。

3つ目が、マーケティングの担当に最も関わる部分です。特許に係る物以外の物を生産させたり使用させるため、または譲渡等をするため、広告にその物の発明が特許に係る旨を表示し、またはこれと紛らわしい表示をする行為です。

この3つ目により、広告や紹介の資料での表示が明確に対象になっています。製品に書いていなくても、広告に書けば同じ扱いです。サイトの製品の頁も、この対象になり得ます

「紛らわしい表示」という広さ

条文の中で実務上いちばん注意すべきなのが、紛らわしい表示という言葉です。特許表示そのものではなくても、紛らわしければ対象になります。

紛らわしいかどうかは、受け取る側がどう読むかで判断されます。こちらの意図ではありません。「特許技術を応用」「特許の考え方に基づく」といった表現は、読む側にその製品が特許を受けていると受け取られる可能性があります。

よく見る危うい表現を挙げます。「特許技術採用」「特許取得の設計」「特許(出願中)」。最後の形は、括弧の中が読み飛ばされると「特許」だけが残ります。この読み方を想定する必要があります。

安全な書き方の原則は2つです。1つ目は、取得済みなら番号を書くこと。2つ目は、出願中なら「出願中」を省略しないことです。括弧に入れず、同じ大きさで書きます。

さらに、どの部分についての権利かを書き添えると安全です。「本体の固定の構造について特許を取得」と書けば、製品全体が特許を受けているとは受け取られません。範囲を絞るほど、誤認の余地が減ります。

出願中の表示をどう書くか

「特許出願中」の表示自体は、禁じられているわけではありません。技術力の訴求や模倣の抑止といった効果が期待できます。問題は、取得済みと誤認させる形です。

押さえておくべきは、出願と登録が別だという点です。出願は「この発明について権利を求めます」という申し出であり、審査を経ていません。拒絶される可能性もあります。つまり、権利が確定していない状態です。

この状態を正確に伝えるには、「出願中」の3文字を省略も縮小もせずに書きます。そして可能なら、出願の番号を添えると確かめられる形になります。出願の情報も、一定期間の経過後に公開されます。

避けるべきなのは、出願中の状態が続いていないのに書き続けることです。拒絶が確定した、取り下げた、審査の請求をせずに期間が経過した。こうした場合、出願中ではなくなっています。

実務では、この更新の抜けが起きやすいものです。資料に「出願中」と書いて、その後の経過を追っていない。状態が変わったら表示も変えるという手順を、知的財産の担当と合わせて作ってください。

他社の特許に触れる場合

自社の特許ではなく、他社の特許に触れる場面もあります。許諾を受けて使っている技術、部品として組み込んでいる製品。この場合の書き方も確かめる必要があります。

許諾を受けて使っている場合は、その旨を書ける場合があります。ただし、許諾の契約の中に表示についての取り決めが含まれていることが多いものです。契約を確かめてから書いてください。

部品として組み込んでいる場合は、注意が必要です。部品に特許があっても、製品全体が特許を受けているわけではありません。「特許取得の部品を使用」と「特許取得の製品」は違います。

後者の書き方をすると、特許に係る物以外の物についての表示になり得ます。部品について書くなら、部品の話だと分かる形にしてください。「特許を取得した固定の部品を採用」のように対象を明示します。

なお、他社の特許番号を書く場合はその会社の名前も添えるのが作法です。番号だけを書くと、自社の特許だと受け取られます。権利を持つ会社の名前を出すことが、誤認を防ぎます。

よくある質問

「特許出願中」と書くのは違法ですか

表示そのものが禁じられているわけではありません。問題になるのは、特許を受けたと誤認させる形です。「出願中」を省略も縮小もせずに書き、可能なら出願の番号を添えてください。

番号を書かずに「特許取得済み」と書けますか

特許表示については文字と番号による形が定められています。番号を書かない表示はこの形から外れます。番号を書けるかどうかを最初に確かめてください。

部品に特許があれば製品にも書けますか

製品全体が特許を受けているわけではありません。「特許取得の部品を使用」のように対象を明示してください。「特許取得の製品」と書くと特許に係る物以外への表示になり得ます。

拒絶されたあとも資料が残っています

出願中ではなくなっているため、表示を直す必要があります。頁と電子の資料から先に直し、紙の資料は次の刷りで直す形で構いません。状態が変わったら表示を変える手順を作ってください。

展示会での陳列も対象ですか

譲渡等のための展示も禁じられる行為として挙げられています。展示会でのパネルや製品の陳列も対象になり得ます。出展の前に、表示の内容を確かめてください。

知的財産の担当と連携する

この話は、マーケティングの担当だけでは判断できません。その製品が特許に係る物なのかを確かめる必要があり、これは技術と権利の両方を知る人の判断になります。

連携の形を作るには、確認の窓口を1つ決めるのが早いでしょう。知的財産を扱う担当か、技術の責任者。「特許について書く前にこの人に確かめる」という手順にします。

確かめるべきことは3つです。その製品が出願した発明を実施しているか、権利の状態はどうなっているか、そしてどの部分についての権利か。この3つが分かれば、書ける表現が決まります。

加えて、権利の状態の一覧を共有してもらうと効率が上がります。出願中のもの、登録されたもの、拒絶や取り下げになったもの。この一覧があれば、毎回確かめる手間が減ります。

一覧には表示に使える文言も並べておくと現場が楽になります。「この製品にはこの文言で書ける」という形で示す。判断ではなく選択にすれば、事故が減ります

既存の表示を洗い出す

新しく作るものだけを気にしても、過去の表示が残っていれば危険は残ります。まずいまどこに何が書かれているかを洗い出してください。

洗い出す先は5つです。製品のカタログ、製品の紹介の頁、営業の資料、展示会のパネル、そして包装とラベルです。この5つで、ほとんどを網羅できます。

探す言葉は決まっています。特許、出願、実用新案、意匠、そして「取得」や「申請」といった語。これらで検索すれば、該当する箇所が一覧で出ます。

見つかった箇所を、3つに分類します。番号を書けて、その製品が特許に係る物出願中で状態も確認済みどちらでもない。3つ目から手を付けます。

3つ目については、その表現を削るのが基本です。書き換えて残そうとすると、また紛らわしい表現になります。特許に触れずに技術の中身を説明する形に切り替えてください。

特許に触れずに技術力を示す

特許に触れられない場合でも、技術力を示す方法はあります。むしろ、そのほうが伝わることも多いものです。「特許取得」の4文字は何が優れているかを説明していません。

1つ目の方法は、数値で示すことです。「従来品と比べて処理の時間を4割短縮」「稼働の音を10デシベル低減」。測った数値を測り方とともに示せば、技術の中身が伝わります。

2つ目は、仕組みを説明することです。なぜそれが実現できるのかを図と文で説明する。特許の番号よりも、仕組みの説明のほうが技術の担当者には響きます。

3つ目は、第三者の評価を使うことです。業界の表彰、公的な機関の事業への採択、学会での発表。これらは特許とは別の裏付けになります。

4つ目は、導入した会社の事例です。実際に使っている会社がどう評価しているか。使われている事実は、権利の有無より強い裏付けになる場面が多いでしょう。

実用新案や意匠の場合

特許以外にも、権利の種類があります。実用新案、意匠、商標。それぞれ制度が違い、表示の扱いも別に定められています。

とくに注意したいのが実用新案です。この制度は審査を経ずに登録される仕組みになっています。つまり、登録されていることが内容の有効性を保証するものではありません。

この違いを知らずに「実用新案取得」と書くと、特許と同じ水準の裏付けがあると受け取られる可能性があります。権利の種類を正確に書き分けてください。

意匠は、形状や模様といった見た目についての権利です。「意匠登録」と書くなら、見た目についての権利だと分かる形にします。技術の裏付けとして書くと、誤認を生みます。

いずれの場合も、権利の種類と番号を書くのが基本です。「特許」「実用新案」「意匠」を混ぜて「知的財産権を取得」とまとめると、何を取得したのか分かりません。混ぜないでください。

取引先から特許の有無を問われる場面

広告に書くかどうかとは別に、取引先から直接問われる場面があります。選定の過程で「この技術に特許はありますか」と尋ねられる。調達の担当が上長に説明するための材料を集めています。

この場面での答え方は、広告より柔軟にできます。口頭または個別の回答なので、状況を正確に説明できます。出願中であること、どの部分についての権利かを、その場で伝えられる

備えるべきは、答えられる資料を用意しておくことです。権利の一覧、各権利がどの製品のどの部分に対応するか、そして状態。この3つがあれば、その場で正確に答えられます。

答えられないと、選定の材料が1つ減ります。「確認して折り返します」でも構いませんが、回答が遅れればその間に判断が進みます。営業が持ち歩ける形にしておくのが確実です。

なお、特許がないことは不利ではありません。「特許は出願していませんが、この構造は製造の工程に依存するため模倣が難しい」といった説明も十分な答えになります。正直に説明できることが要点です。

模倣を見つけたときの動き

表示の話と関連して、他社に模倣されたときの動きにも触れておきます。特許表示をする目的の1つが模倣の抑止であるため、実際に起きたときの対応とセットで考える必要があります。

見つけたときにまずやるべきなのは記録です。その製品の情報、販売している頁、見つけた日。画面を保存し、可能なら現物を入手します。この記録が、後の判断の材料になります。

次に、自社の権利の範囲と照らす作業です。似ているだけでは足りません。権利の範囲に含まれるかどうかは専門的な判断になります。知的財産の担当か外部の専門家に確かめてください。

避けるべきなのは、確かめる前に相手方や外部に対して「権利を侵害している」と伝えることです。根拠なくそう伝えると、こちらが不利益を与えたと主張される可能性があります。

マーケティングの担当としては、見つける役割を担うのが現実的でしょう。競合の調査をしていると、似た製品に気づく場面があります。気づいたら記録して知的財産の担当に渡す。判断は専門の側に委ねてください。

やってはいけない表示

特許についての表示で、罰則や申し入れにつながる型があります。共通しているのは、権利の範囲を超えて書いていることです。

  • 出願した発明を実施していない製品に、特許表示を付ける
  • 「特許(出願中)」のように、出願中を括弧に入れて小さく書く
  • 部品の特許を根拠に「特許取得の製品」と書く
  • 拒絶や取り下げのあとも「出願中」の表示を残す
  • 特許・実用新案・意匠を混ぜて「知的財産権を取得」とまとめる

2つ目は、意図せず起きます。見た目を整えるために括弧に入れて小さくする。しかし読む側は「特許」だけを読みます。紛らわしい表示になる可能性があるため、同じ大きさで書いてください。

4つ目は、手順の問題です。権利の状態は変わりますが、資料は自動で更新されません。知的財産の担当と表示の一覧を共有し、状態が変わったときに知らせてもらう形を作ってください。

  • 取得済みなら番号を書く。書けないなら書かない
  • 出願中は省略も縮小もせず、対象となる部分も明示する
  • 権利の状態が変わったら、表示も直す手順を作る

整備の手順

最後に、特許についての表示を整える手順を示します。知的財産の担当との連携を先に作ることが要点です。

STEP1
確認の窓口を決める

知的財産を扱う担当か技術の責任者を、確認の窓口に決めます。「特許について書く前にこの人に確かめる」という手順にします。マーケティングの担当だけでは判断できない領域です。

STEP2
権利の状態の一覧を共有してもらう

出願中、登録済み、拒絶や取り下げになったものを一覧にします。製品ごとに、どの権利が対応するかも並べます。表示に使える文言も添えてもらうと、現場が判断せずに選べます。

STEP3
既存の表示を洗い出す

カタログ、紹介の頁、営業の資料、展示会のパネル、包装とラベルの5か所を確かめます。特許・出願・実用新案・意匠・取得・申請の語で検索します。見つかった箇所を一覧にします。

STEP4
書ける表現に整える

取得済みなら文字と番号で書き、対象となる部分も明示します。出願中は省略も縮小もせず、可能なら出願の番号を添えます。どちらでもないものは、その表現を削ります。

STEP5
特許に触れない訴求の型を用意する

測った数値、仕組みの説明、第三者の評価、導入した会社の事例。この4つで技術力を示す型を作ります。特許に頼らない訴求のほうが、伝わる場面が多いものです。

STEP6
状態が変わったときの連絡の経路を作る

権利の状態が変わったら、表示の担当に知らせてもらう形にします。頁と電子の資料を先に直し、紙は次の刷りで直します。この経路がないと、古い表示が残り続けます。

着手前に確かめること

特許について書く前に、次の項目を確かめてください。1つ目で答えが出ないなら、書くべきではありません。

  • その製品が、出願した発明を実際に実施しているか
  • 権利の状態(出願中・登録済み・拒絶や取り下げ)を確かめたか
  • 取得済みの場合、特許番号を書けるか
  • どの部分についての権利かを明示しているか
  • 出願中の場合、「出願中」を省略も縮小もせずに書いているか
  • 部品の特許を、製品全体の特許のように書いていないか
  • 特許・実用新案・意匠を混ぜて書いていないか
  • 権利の状態が変わったときに、表示を直す連絡の経路があるか

6つ目は、部品を組み合わせて製品を作っている会社で起きやすい間違いです。「うちの製品には特許のある部品が入っている」ことは事実ですが、「うちの製品は特許を取得している」とは違います。対象を明示してください。

まとめ

特許についての表示には、特許法の定めがあります。特許に係る物以外の物やその包装に特許表示または紛らわしい表示を付けること、そうした物を譲渡等したり展示すること、そして広告に特許に係る旨を表示することが禁じられており、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という罰則があります。

実務での線引きは3つです。取得済みなら文字と番号で書き、どの部分についての権利かを明示する。出願中なら「出願中」を省略も縮小もせずに書く。どちらでもないなら、特許に触れない。そして、測った数値や仕組みの説明、導入した会社の事例のほうが技術力を伝える手段として強い場面が多いことも押さえてください。そして、権利の状態は時間とともに変わります。知的財産の担当と表示の一覧を共有し、状態が変わったときに知らせてもらう経路を作ってください。この経路がないと、古い表示が資料の中に残り続けます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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