【2026年】外注の決まりが変わった|発注側が守る条件

「発注の決まりが変わったと聞いたが、自社が対象なのか判然としない」「取引先から書面の形式を尋ねられ、答えられなかった」——外部に仕事を出している企業から届く声です。この改正は、大企業だけの話ではありません。従業員の数によって、対象になる会社の範囲が広がりました。この記事では、対象かどうかの判定と、整えるべき条件を整理します。
カメ先生発注の決まりはね、大きな会社だけが縛られるものだと受け取られがちだが、改正で対象の線が引き直されたんだ。
カメ子どのように、線が変わったのでしょうか。
カメ先生従業員の数で見る判定が入った。これまで対象外だった規模の会社が、発注する側として条件を負うことになる。
カメ子自社が対象かどうかを、先に確かめる必要があるのですね。
- 2026年1月1日に施行済みで、法律の名前と用語が変わった
- 資本金で対象外でも、従業員の数による基準で対象になる場合がある
- 手形での支払いは禁止され、協議に応じない一方的な代金の決定も禁止された
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施行はすでに済んでいる
最初に押さえるべきは日付です。改正の法律は2025年5月16日に成立し、同月23日に公布され、2026年1月1日から施行されています。これから備える話ではなく、すでに適用されている決まりです。
この点が実務で重要なのは、経過の措置に頼れないためです。施行から半年以上が過ぎているため、現在の契約と支払いの条件が決まりに合っているかを今すぐ確かめる必要があります。合っていなければ、今の取引がすでに問題を含んでいます。
マーケティングの部門でこの確認が遅れやすいのには理由があります。外注の契約は法務や調達が管理していることが多く、施策の担当者には情報が届きません。しかし発注の条件を決めているのは施策の担当者です。自分の発注が対象かどうかを、自分で確かめる必要があります。
何が変わったのか
変更は名前と中身の両方に及びます。まず名前です。従来の「下請代金支払遅延等防止法」から「中小受託取引適正化法」へ改称されました。略して取適法と呼ばれます。あわせて、取引の当事者を指す言葉も変わりました。
| 従来の呼び名 | 新しい呼び名 |
|---|---|
| 親事業者 | 委託事業者 |
| 下請事業者 | 中小受託事業者 |
| 下請代金 | 製造委託等代金 |
呼び名の変更には意図があります。従来の言葉に上下の関係を思わせる響きがあったためです。委託する側と受託する側という対等な表現に置き換えられました。単なる言い換えではなく、取引の姿勢を促す意味を含んでいます。
中身の変更は5つに整理できます。対象となる会社の範囲が広がったこと、対象となる取引に運送が加わったこと、手形での支払いが禁止されたこと、一方的な代金の決定が禁止されたこと、そして書面の交付が電子でも可能になったことです。順に見ていきます。
対象になる会社が広がった
最も影響が大きいのがここです。従来、この法律の対象になるかは資本金の額だけで判定されていました。そのため、資本金を小さく設定している会社は対象外でした。改正で、従業員の数による基準が加わりました。
基準は取引の種類で分かれます。製造や修理の委託、そして特定の運送の委託については、委託する側の常時使用する従業員の数が300人を超えるかどうか。情報の成果物を作る委託と、役務の提供の委託については100人を超えるかどうかです。
マーケティングの外注は、後者に当たることがほとんどです。記事や動画、デザイン、サイトの制作は情報の成果物を作る委託であり、広告の運用の代行や配信の作業は役務の提供の委託です。つまり従業員が100人を超える会社は、資本金にかかわらず対象になり得ます。
中堅の規模の会社にとって、これは新しく発生した義務です。資本金を基準に「自社は対象外」と整理していた会社が、今年から対象に入っている可能性があります。従業員の数を確かめることが、最初の作業になります。
判定の順序
2つの基準がある場合、どちらで判定するのかは決まっています。先に資本金の基準で見て、そこで対象外になった場合に従業員の基準で判定します。どちらか有利なほうを選べる仕組みではありません。
この順序が意味するのは、対象の範囲が広がっただけということです。資本金で対象になる会社は従来どおり対象で、資本金で外れていた会社が従業員の数で改めて判定される。逃げ道が塞がれた形の改正です。
従業員の数え方には注意が要ります。基準は常時使用する従業員です。自社の在籍の人数で判断すればよいのか、他の形で働く人を含めるのかは、判定に直結するため公正取引委員会の案内で確かめます。境界に近い人数の会社は、特に慎重に確認します。
- まず資本金の基準で判定する
- 資本金で対象外なら従業員の基準で判定する
- 情報の成果物と役務の提供の委託は従業員100人超が基準
運送の委託が対象に加わった
対象となる取引の種類も広がりました。目的物の引渡しに必要な運送の委託が、新たに対象の取引に加えられました。従来は運送だけを切り出した委託が対象から外れていました。
マーケティングの現場でこれが関わるのは、物を運ぶ場面です。展示会の資材の搬入と搬出、郵送する印刷物の配送、ノベルティの倉庫からの発送。これらを個別に委託している場合は対象になり得ます。
該当するかどうかを自分で判断しきれない場合は、契約の書面を法務に渡して確かめます。運送が独立した委託になっているか、運営の一括の契約に含まれているかで扱いが変わるためです。
該当するかどうかは、委託の内容が引渡しに必要な運送かどうかで判断します。自社が制作を委託した物を届けるための運送であれば、関わる可能性があります。展示会の運営を一括で任せている場合は、その契約の中身を確かめます。運送が別の契約になっていれば、個別に判定が必要です。
手形での支払いが禁じられた
支払いの方法にも明確な禁止が入りました。手形による支払いは一律で禁止されました。従来は期間の制限がある形で認められていましたが、認められなくなりました。
マーケティングの外注では手形を使う場面は少ないですが、確認が必要な会社もあります。製造の部門と共通の支払いの仕組みを使っている場合、外注の支払いも手形の運用に乗っている可能性があります。経理に確かめておく項目です。
手形が使われる背景には、支払いまでの期間を延ばせるという事情があります。自社の資金の回りを楽にする手段として使われてきました。その負担を取引先に転嫁する構造が、今回はっきりと否定されました。
代わりに使うのは振込です。ただし振込にすれば無条件で適法になるわけではありません。重要なのは、相手が実際に現金を受け取れる時期です。この観点が次の節につながります。
現金と同じと言えるかで判断する
手形以外の支払いの手段にも、同じ考え方が及びます。電子的に記録される債権や、債権を買い取ってもらう形の支払いも、現金と同等であることが確保されていなければ違法になります。
判断の軸は名称ではありません。その手段によって相手が現金を手にするまでに時間がかかるか、あるいは手数料の負担で受け取る額が減るか。形式が新しくても、現金化が遅れるなら手形と同じ扱いです。
実務での確かめ方は簡単です。取引先に「いつ現金として使えるようになりますか」と聞く。答えが自社の支払いの日から離れているなら、その手段は見直しの対象です。自社の仕組みの都合ではなく、相手が受け取る時期を基準に設計します。
支払いまでの期間の設計
支払いの期日は、相手が現金を受け取れるまでの期間を基準に、できるだけ短く設計します。自社の締めと支払いの日の組み合わせを見直す必要があります。
見落としやすいのは、検収の遅れが支払いを押し出す構造です。納品を受けても社内の確認が終わらないと請求が立たず、結果として支払いが遅れます。検収の完了と請求の確認を連動させておくことが、期日を守る前提になります。
マーケティングの外注で検収が遅れる原因は決まっています。確認する担当が繁忙で見られない、修正の指示が何度も往復する、誰が完了を判断するのかが決まっていない。この3つを先に整えておけば、支払いの遅れは起きません。
期日の設計を見直すときは、締めの日と支払いの日の間隔を確かめます。月末に締めて翌々月に支払う形をとっている場合、納品から現金までの期間が2か月を超えます。この間隔を縮める方向で組み替えます。
相手が小規模な会社ほど、支払いの遅れは経営に直接響きます。決まりを守るという以前に、良い相手と長く組み続けるための条件でもあります。支払いの速さは、外注先を選ぶ側から見ても評価の対象になっています。
一方的に金額を決めることの禁止
今回の改正で新しく入った禁止が、代金の決め方に関するものです。協議に応じないまま、発注する側が一方的に金額を決めることが禁じられました。価格の話し合いを避ける姿勢そのものが問題になります。
背景にあるのは、原材料や人件費が上がっているのに従来の単価が据え置かれる状況です。相手から見直しの相談があったときに応じない、あるいは相談の場を設けないまま金額を通知する。こうした形が対象になります。
マーケティングの外注で該当しやすいのは、継続の契約です。毎月同じ本数の記事を同じ単価で発注している契約が数年続いている。相手から相談が来たときに、話し合いの場を設けるかどうかが分かれ目です。断ること自体が禁止なのではなく、協議を避けることが禁止されています。
この違いは重要です。協議したうえで据え置きに合意するなら問題ありません。求められているのは結論ではなく手続きです。話し合った事実と、そこで示した根拠が残っていることが求められます。
継続の契約で単価を据え置いてきた期間が長いほど、相談が来たときの対応は難しくなります。先に自社から見直しの場を設ける形にしておけば、相談を受けて断る構図そのものが生まれません。年に一度、単価を話し合う時期を契約に書いておく方法が有効です。
協議の記録に残す項目
協議を行ったことを示すには、記録が必要です。口頭で済ませると、協議した事実そのものを示せなくなります。残す項目は決まっています。
- 協議を行った日付と、参加した相手と自社の担当者
- 相手から示された見直しの要望と、その根拠
- 自社が示した考えと、その根拠となる費用の情報
- 合意した内容、または次に話し合う時期
- 合意した内容を反映した契約や発注の書面
3つ目が最も準備を要します。据え置きにする場合も、その判断の根拠を示す必要があります。費用が上がっていないことを示す情報を手元に用意しておく。感覚での回答は根拠になりません。
費用の情報として使えるのは、公表されている賃金や物価の動きの統計です。自社の内部の数字だけでなく、外の指標を並べて示すと根拠として受け止められやすくなります。毎年の見直しの時期に合わせて、同じ指標を追う形にしておきます。
記録の形式に決まりはありません。打ち合わせの記録を残し、合意した内容をメールで確認するだけでも足ります。大切なのは形式より、後から辿れることです。取引先ごとにまとめて保管する場所を決めておきます。
書面の交付が電子でよくなった
実務が軽くなる変更もあります。発注の内容を記した書面の交付が、相手の承諾の有無にかかわらず電子的な方法で行えるようになりました。従来は相手の承諾が必要でした。
これにより、電子メールや発注の仕組みからの送信で足りることになります。承諾を取る手続きが不要になったため、新しい取引先との発注の開始が速くなります。
ただし交付する内容の要件は変わりません。電子でよくなったのは手段であり、書くべき項目が減ったわけではありません。口頭やチャットの短い依頼で済ませられるようになった、とは読み替えられません。
あわせて注意したいのは、送った記録を残すことです。電子で交付できるようになった分、いつ何を送ったのかを後から示せる形にしておく必要があります。個人のやり取りの履歴だけに残る形は避け、共有の場所に保管します。
発注書に書くべき項目
交付する書面には、記載すべき項目があります。マーケティングの外注で抜けやすいのは、成果物の内容の具体性と、支払いの期日です。
記事の制作を例に取ると、本数、想定の文字数、納品の形式、修正に応じる回数と範囲、納品の期日、金額、支払いの期日。修正の範囲を書いていない発注が最も揉めます。何度でも直せる前提で受け取られると、実質的な単価が下がります。
依頼の内容が固まっていない段階で発注することもあります。その場合は、決まっていない項目と、いつまでに決めて通知するかを書いて交付します。空欄のまま出すのではなく、決まる時期を明示する形にします。
発注のたびに書面を作る負担を下げるには、型を用意します。記事、動画、デザイン、運用の代行といった委託の種類ごとに書式を作っておけば、埋めるだけで済みます。抜けが出やすい項目を最初から欄として持たせておくのが要点です。
対象外でも整えておく理由
判定の結果、自社が対象にならないこともあります。その場合でも、同じ形を整えておく価値があります。理由は3つです。
1つ目は、成長すれば対象になることです。従業員が増えて基準を超えた時点で、義務が発生します。超えてから慌てて整えるより、先に型を作っておくほうが安く済みます。
2つ目は、取引先から見た評価です。発注の書面が整っていて支払いが速い会社は、良い相手から選ばれます。外注の質は、選ばれる側になれるかで決まります。法律の義務がなくても、事業の利益になる整備です。
3つ目は、社内の混乱を防ぐことです。発注の条件が担当ごとに違うと、同じ相手に違う条件で依頼する事故が起きます。型を1つ持つだけで、この種の混乱は消えます。対象かどうかとは別に、整える意味があります。
運用に落とす手順
ここまでの内容を運用に落とす順序を示します。自社が対象かどうかの確認から始め、契約と支払いと記録の3つを整えます。1か月あれば形になります。
資本金の額で判定し、対象外なら常時使用する従業員の数で判定します。情報の成果物と役務の提供の委託は100人を超えるかが基準です。
外注している相手を一覧にし、取引の種類と相手の規模を並べます。運送を個別に委託している契約も含めて確認します。
手形を使っていないか、相手が現金を受け取れる時期がいつかを確かめます。検収の完了と請求の確認が連動しているかも見ます。
価格を見直す契機と、協議の申し出への対応の手順を契約に書き加えます。更新の時期に合わせて順に反映します。
協議の記録を保管する場所と、記録を残す担当を決めます。発注の書面の型も同じ場所に置き、誰でも同じ形で出せるようにします。
5工程のうち、後回しにされやすいのは4つ目です。契約の更新は時期が決まっているため、次の更新まで着手されないまま忘れられます。更新の時期を一覧にして、担当を割り当てておきます。
洗い出しで見落としやすい取引
取引先の一覧を作るとき、抜けやすい相手がいます。毎月の請求ではなく都度の発注で頼んでいる個人の書き手、撮影ごとに依頼している撮影者、単発でお願いしているデザイナー。
金額が小さく、発注の書面を出していない場合が多いため一覧から漏れます。金額の大小は対象かどうかの判定に関係しません。取引の種類と相手の規模で決まります。
洗い出しの確実な方法は、経理の支払いの記録から入ることです。施策の担当の記憶ではなく、実際に支払った相手の一覧から始める。過去1年分を見れば、都度の発注も含めて漏れなく拾えます。
拾った相手のうち、個人へ発注しているものは扱いが分かれます。この法律の対象になるかは相手の規模で判定されますが、個人への発注には別の決まりも関わります。一覧に区分の列を作って分けておくと、確認の相談がしやすくなります。
やってはいけない進め方
対応を急ぐと、かえって問題を作ることがあります。起きやすい失敗を挙げます。いずれも決まりの趣旨から外れた対応です。
- 対象を外れるために、取引先を規模の大きい会社に切り替える
- 協議を避けるため、契約を単発の発注に細かく分ける
- 支払いの期日を守るために、検収を形だけ済ませる
- 自社は資本金が小さいという理由だけで対象外と判断する
- 電子で交付できるようになったことを、口頭の依頼でよいと解釈する
1つ目と2つ目は、決まりを避けるための行動です。取引の実態が変わらないまま形だけを変える対応は、実態で判断されるため意味がありません。むしろ避ける意図があったことが不利に働きます。
4つ目は判定の順序を取り違えた例です。資本金で対象外なら従業員の数で判定する、という順序を知らないまま「資本金が小さいから関係ない」と結論づけてしまう。施行の前と同じ整理を続けている会社に多い誤りです。
3つ目は品質の問題に転じます。検収を形だけにすれば、成果物の質が下がっても気づけません。期日を守るために確認を省くのではなく、確認を速くするという方向で解きます。担当と判断の基準を決めておけば、確認は短時間で終わります。
社内の誰が担うか
最後に体制の話です。この対応は法務や調達だけでは完結しません。発注の条件を決めているのは施策の担当者だからです。役割を分けて決めておきます。
法務と調達が担うのは、対象の判定と契約の型の整備です。施策の担当が担うのは、発注の書面を正しく出すことと、検収を期日までに終えること、そして価格の相談を受けたときに協議の場を作ることです。
この3つ目が最も現場に依存します。相手から相談があったときに、自分の判断で断ってしまうと協議を避けたことになります。相談を受けたら社内の誰に上げるかを決めておくことが、現場でできる最も重要な備えです。判断を1人で抱えない形にします。
施策の担当が最初にできることは、自社の従業員の数を確かめて法務や調達に判定を依頼することです。確認を待っている間も発注は続くため、先に相談を投げておくだけで対応の着手が早まります。
あわせて、外注の担当が変わるときの引き継ぎに協議の記録を含めます。過去にどんな話し合いをして今の単価になっているのかが分からないと、次の相談に根拠を持って応じられません。記録は引き継ぎの資料でもあります。
まとめ
外注の取引の決まりは2026年1月1日に変わり、すでに適用されています。法律の名前は取適法となり、対象になるかの判定に従業員の数が加わりました。記事や動画やデザインの制作、運用の代行は情報の成果物と役務の提供の委託に当たるため、従業員が100人を超える会社は資本金にかかわらず対象になり得ます。手形での支払いは禁止され、現金と同等でない手段も同じ扱いです。そして協議に応じない一方的な代金の決定が禁じられました。求められているのは据え置きをやめることではなく、話し合いの場を設けて記録を残すことです。自社の判定、支払いの手段、協議の記録の3つから着手すれば、対応は現場でも進められます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
