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寺院が毎月の寺報の原稿を、行事の予定と住職のメモから Apps Script と Claude で下書きし、Google ドキュメントにまとめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

寺のカレンダーにある翌月の行事と、住職が書きためたメモ、寺務のお知らせから、寺報の欄ごとの原稿を Claude が下書きし、Apps Script が Google ドキュメントにまとめます。住職は下書きを直して印刷に回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Zapier
対象業界
その他
対象部門
総務
対象業務
書類作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
8h/月
AI導入後
3h/月
想定削減
63%
年間削減
60h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 20日ごろ、坊守がカレンダーを見て翌月の行事を書き出し、日時・場所・持ち物を案内の欄に書く
  2. 住職が、メモの文書から法話の種を選び、法話の欄を書く
  3. 住職が、近況と仏事の解説を書く。仏事の解説は、去年の同じ月の寺報を見ながら書き直す
  4. 坊守が、寄進の記録のスプレッドシートから載せてよい方の名前を写し、御礼の欄にする
  5. 寺務の担当が、お知らせのスプレッドシートから墓地や駐車場のお知らせを文章にする
  6. 寺務の担当が、全部の欄を寺報の枠に貼り、文字の量を見てページに収める
  7. 住職が全体を読んで直し、印刷する
導入後(After)
  1. 人住職が、ふだんからメモの文書に法話の種と近況を箇条で書いておく。月の半ばに「今月の法話に使う」の印を付ける
  2. 人坊守がカレンダーの翌月の行事に、場所・持ち物・お斎の有無を説明の欄に入れる
  3. 自動毎月18日の朝、Apps Script がカレンダー・メモ・お知らせ・寄進の記録を読む
  4. 自動行事の表を Apps Script が作る(日時はカレンダーの値そのまま)
  5. 自動欄ごとの材料を束ね、名前と日付を記号に置き換えて Claude API に渡す
  6. 自動Claude が欄ごとの原稿を、記号を残したまま JSON で返す
  7. 自動Apps Script が Google ドキュメントを作り、欄の原稿・行事の表・御礼の名前を差し込み、検査の結果を冒頭に書く
  8. 人住職が法話と近況の欄を中心に直す。坊守が行事の表と御礼の名前を台帳と見比べる
  9. 人寺務の担当が枠に貼り、印刷する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 20日ごろ、坊守がカレンダーを見て翌月の行事を書き出し、日時・場所・持ち物を案内の欄に書く
  2. 住職が、メモの文書から法話の種を選び、法話の欄を書く
  3. 住職が、近況と仏事の解説を書く。仏事の解説は、去年の同じ月の寺報を見ながら書き直す
  4. 坊守が、寄進の記録のスプレッドシートから載せてよい方の名前を写し、御礼の欄にする
  5. 寺務の担当が、お知らせのスプレッドシートから墓地や駐車場のお知らせを文章にする
  6. 寺務の担当が、全部の欄を寺報の枠に貼り、文字の量を見てページに収める
  7. 住職が全体を読んで直し、印刷する

(a)行事の日時の写し間違いが出る。 1番目でカレンダーから手で写すので、報恩講の始まりの時刻、お斎の有無、持ち物の写し間違いが起きます。印刷して配った後に気づくと、総代に電話で回ってもらうことになります。

(b)原稿が住職に寄っている。 2番目と3番目は住職にしか書けません。法事の多い月は、住職の原稿を待って全体が止まります。 坊守と寺務の担当は、住職の原稿が来るまで枠を組めません。

(c)仏事の解説が毎年ほぼ同じになる。 去年の寺報を見て書き直すので、言い回しまで去年と同じになりがちです。 一方で、去年の文の誤りもそのまま残ります。

(d)名前の扱いに気を遣う。 寄進の御礼に名前を載せてよいかは方ごとに違い、載せないでほしいという方の名前を写してしまうことが一番の心配です。 4番目は毎月、坊守が台帳と見比べながら慎重に行っています。

  1. 【人】 住職が、ふだんからメモの文書に法話の種と近況を箇条で書いておく。月の半ばに「今月の法話に使う」の印を付ける
  2. 【人】 坊守がカレンダーの翌月の行事に、場所・持ち物・お斎の有無を説明の欄に入れる
  3. 【自動】 毎月18日の朝、Apps Script がカレンダー・メモ・お知らせ・寄進の記録を読む
  4. 【自動】 行事の表を Apps Script が作る(日時はカレンダーの値そのまま)
  5. 【自動】 欄ごとの材料を束ね、名前と日付を記号に置き換えて Claude API に渡す
  6. 【自動】 Claude が欄ごとの原稿を、記号を残したまま JSON で返す
  7. 【自動】 Apps Script が Google ドキュメントを作り、欄の原稿・行事の表・御礼の名前を差し込み、検査の結果を冒頭に書く
  8. 【人】 住職が法話と近況の欄を中心に直す。坊守が行事の表と御礼の名前を台帳と見比べる
  9. 【人】 寺務の担当が枠に貼り、印刷する

1番目のメモが、この設計の土台です。 AIは住職の言葉を作りません。メモに書かれていないことは、法話の欄には出てきません。 住職の作業は「原稿を書く」から「種を書きためて印を付ける」に変わります。

8番目は全部の欄です。 寺報は寺の名前で檀家に届く文書で、下書きのまま印刷に回すことはしません。 ただし直すのは、材料がそろい、行事の日時と名前が正しく入った下書きです。

02今回想定するシステム構成

構成図
寺の Google カレンダー(翌月の行事)
+ 住職のメモ(Google ドキュメント)
+ 寺務のお知らせ・寄進の記録・仏事の解説の手本(スプレッドシート)
   │
   ▼【トリガー】毎月18日の朝(時間主導型のトリガー)
Google Apps Script
   ├──▶ 翌月の行事を拾い、行事の表を作る
   ├──▶ 欄ごとの材料を束ね、名前と日付を記号にする
   ▼
Claude API ── 欄ごとの原稿を JSON で返す
   ▼
Google Apps Script ── 検査し、Google ドキュメントに差し込む
   │   行事の表/御礼の名前/記号の置き換え
   ▼
【人】住職と坊守が直し、寺務の担当が印刷する
役割想定する製品代替候補
実行環境Google Apps ScriptMake、Zapier
生成AIClaude API(Messages API、構造化出力)OpenAI API
保管Google スプレッドシート(お知らせ、寄進の記録、仏事の解説の手本、処理ログ)-
文書Google ドキュメント(住職のメモ、寺報の下書き)-
予定Google カレンダー(寺の行事)-

新しく足すのは、Apps Script と、仏事の解説の手本と処理ログの2つのシートです。 カレンダー、メモ、お知らせ、寄進の記録は、これまで使っているものをそのまま読みます。この構成は印刷も配布もしません。 Google ドキュメントの下書きを作るところで止まります。

Apps Script を実行環境にしているのは、材料がすべて Google の中にあるからです。 カレンダーは CalendarApp、ドキュメントは DocumentApp、表は SpreadsheetApp で読めます。寺にサーバーを置かずに、月1回の下書きを組めます。

AIに渡すのは、名前と日付を記号にした材料だけです。 寄進者や故人の名前、檀家の住所は渡しません。寺報に載せる名前は、Apps Script が台帳から直接ドキュメントに差し込みます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎月18日の朝に1回動かします。 時間主導型のトリガーで onMonthDay(18) と atHour(6) を指定します。公式の説明では、atHour() の例が「5時〜6時の間に動く」と書かれ、nearMinute() を指定しないと分はランダムに決まります。 朝の勤行の前後に終わっていればよい、という作りにします。

18日にしているのは、25日の印刷まで1週間を残すためです。 住職が法話の欄を直す時間を、法事の合間に2〜3日取れるようにします。18日より後に行事が足されたときは、手で動かせる関数で行事の表だけを作り直します。

トリガーは、作った人のアカウントで動きます。 公式は、インストール型のトリガーは作成した人のアカウントで実行されるとしています。寺の共用のアカウント(カレンダーと寺報の文書を持つアカウント)で作ります。 住職個人のアカウントで作ると、代替わりのときに止まります。

失敗すると、所有者に「Summary of failures for Apps Script」という件名のメールが届きます。 共用のアカウントの受信箱は寺務の担当が見ることにし、処理ログのシートにも「どの欄で止まったか」を日本語で書きます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
翌月の行事行事の名前、始まりと終わりの日時、場所、説明(持ち物、お斎の有無、申込の要否)寺の Google カレンダー
先月の行事行事の名前と日、坊守が書いた様子のメモ寺の Google カレンダーの説明の欄
住職のメモ法話の種(題、要点、引用する言葉)、近況の箇条、表紙の言葉の候補Google ドキュメント(「今月の法話に使う」の印のある節)
仏事の解説の手本仏事ごとに住職が以前書いた解説の文と、その月に触れる点スプレッドシート(新しく作る)
寺務のお知らせ掲載する月、題、中身、問い合わせ先スプレッドシート
寄進の記録日付、名前、寄進の種類、寺報に載せてよいかスプレッドシート
檀家の声届いた便りの本文、載せてよいか、名前を出してよいかスプレッドシート

質を決めるのは、住職のメモと寄進の記録の「載せてよいか」の列です。 メモが薄ければ、法話の欄は薄くなります。AIに膨らませることはさせません。 載せてよいかの列が空なら、その方の名前は載せません。

仏事の解説の手本は、住職がこれまでの寺報に書いた文を仏事ごとに1つずつ集めたものです。 彼岸、盆、報恩講、除夜の鐘、修正会、花まつり。AIはこの手本を言い換えて、今年の行事の日程と結びます。 一般の仏教の説明をAIが一から書くことはしません。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
翌月1日から翌々月7日までの行事CalendarApp.getCalendarById() で寺のカレンダーを開き、getEvents(開始, 終了) で取る行事の表と、行事の案内の欄
先月の行事と説明同じく先月の範囲で取る行事の報告の欄
印の付いたメモの節DocumentApp.openById() で住職のメモを開き、見出しの印で節を切り出す法話・近況・表紙の言葉
お知らせ・寄進・檀家の声スプレッドシートのサービスで、掲載する月の行を読む各欄

行事の範囲を翌々月の7日まで取るのは、月初の行事の案内が前の号に要るからです。 1日に修正会がある1月号は、12月末に配る号で案内しなければ間に合いません。

住職のメモは、見出しで節を分けてもらいます。 「法話の種」「近況」「表紙の言葉」の見出しの下に箇条で書き、使いたい節の見出しの末尾に「★」を付けます。 Apps Script は★の付いた節だけを読みます。印の無いメモは、住職の個人的な覚え書きとして読みません。

カレンダーの行事のうち、法事と葬儀の予定は読みません。 寺のカレンダーには檀家の法事も入っていることが多く、家の名前や故人の名前が予定の題に入っています。 行事を入れるカレンダーと法事を入れるカレンダーを分けるか、行事に「寺報」の色を付けて、その色だけを読みます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 行事を選ぶ … 「寺報」の色の予定だけを残し、法事・葬儀の予定は捨てます
  2. 行事の表を作る … 日付・曜日・時刻・行事の名前・場所を Apps Script が並べます。この表はAIに渡しません
  3. 行事の説明を記号にする … 案内の欄のために、行事ごとに {{行事日_1}} {{開始_1}} のような記号と、説明の文(持ち物、お斎)を束ねます
  4. メモの節を切り出す … ★の付いた節を、見出しごとに分けます
  5. 名前を外す … メモやお知らせ、檀家の声の中の人の名前を、名簿と照らして {{人名_1}} に置き換えます
  6. 寄進の御礼は名前の一覧だけを作る … 載せてよい方の名前を Apps Script が並べ、AIには件数と寄進の種類だけを渡します
  7. 仏事の解説の手本を選ぶ … 翌月に当たる仏事の手本を1つ選びます。当たる仏事が無ければ、この欄は作りません

5番目を軽く見ないでください。 住職のメモには「先日、{{人名}}さんの一周忌で……」のような書き方がよく出てきます。名前を残したまま渡すと、AIはそれを法話の中にきれいに織り込み、名前の出た寺報が450軒に届きます。 名簿と照らして記号にし、ドキュメントでは記号のまま残して、住職に名前を出すかを決めてもらいます。

2番目の行事の表をAIに渡さないのは、表を作り直させないためです。 渡すと、AIは表を文章にまとめ直し、時刻の書き方を「午後二時」に変えたり、二つの行事を一つにまとめたりします。 表は機械で作り、AIには案内の文だけを書かせます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、欄ごとの材料を、寺報の文体の原稿に整えることだけです。

欄させること材料
表紙の言葉季節のあいさつを2〜3文。掲示板の言葉はメモのままメモの「表紙の言葉」
住職の近況箇条を、住職の一人称の文にするメモの「近況」
今月の法話題と要点を、話し言葉に近い文にする。引用は一字も変えないメモの「法話の種」
行事の案内行事ごとの短い案内の文。日時は記号のまま行事の説明と記号
行事の報告様子のメモを短い報告の文にする先月の行事の説明
仏事の解説手本の文を言い換え、今年の行事の日程と結ぶ解説の手本
寄進の御礼御礼の前置きの文だけ(名前は書かない)件数と寄進の種類
寺務所からのお知らせ題と中身を、檀家に向けた丁寧な文にするお知らせの行
檀家の声便りの紹介の前置きだけ(本文は原文のまま)便りがあるか
編集後記2〜3文の短い文坊守のメモ(無ければ作らない)

させないこと:

させないこと理由
メモに無い経典・祖師の言葉の引用教えの解き方は寺と宗派で違う。住職の言葉として届く
引用の言葉の言い換え原文の一字が意味を変える
日付・時刻・曜日を書く行事の表と記号で入れる
人の名前を書く名前は台帳から差し込み、載せるかは人が決める
檀家の声の本文を直す便りは寄せてくれた方の言葉のまま載せる
寄付や会費の額を書く金額は寺の決まりで、坊守が確かめて書く

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 法話の要点が「感謝の心」なら、AIは親切にそれらしい言葉を引いて補います。住職が知らない引用、宗派の解き方と違う引用が、住職の名前で檀家に届きます。 引用はメモにあるものだけ、と指示し、さらに検査で引用符の中身をメモと照らします。

Step6

指示内容を固定する

あなたは寺院の寺報の原稿を、住職と坊守の手伝いとして下書きします。
渡す「材料」だけを使い、欄ごとに原稿を書いてください。

【文体】
- です・ます調。檀家の高齢の方が読みやすいよう、一文を短く、難しい漢語を避けてください。
- 住職の近況と法話は、住職の一人称(「私」)で書いてください。

【法話の欄の決まり】
- メモの「要点」を、順番を変えずに文章にしてください。要点に無い話を足さないでください。
- 「」で囲まれた引用は、メモにある文字のとおりに写してください。
  言い換え、補足、出典の書き足しをしないでください。
- メモに無い経典・祖師・高僧の言葉、ことわざ、偉人の言葉を引かないでください。
- 教えの解説をメモ以上に広げないでください。

【日付と名前】
- 日付・時刻・曜日は書かず、材料にある記号({{行事日_1}} {{開始_1}} など)を置いてください。
- 人の名前は書かず、材料にある記号({{人名_1}} など)をそのまま置いてください。
- 金額は書かないでください。

【欄の長さの目安】 表紙の言葉 120字、近況 300字、法話 900字、行事の案内 1行事 80字、
行事の報告 200字、仏事の解説 500字、お知らせ 1件 100字、編集後記 100字。
材料が少ないときは短くてかまいません。足りない分を作らないでください。

【notes】
材料の中で意味がとれないところ、書くのに足りないものがあれば、欄ごとに notes に書いてください。

【材料】{materials_json}

「足りない分を作らないでください」が、法話の欄で効きます。 長さの目安を書くと、AIはそこまで書こうとして話を足します。目安は上限で、材料が少なければ短くてよいと明記します。

「出典の書き足しをしないでください」も同じ理由です。 引用の言葉の後に「(○○経)」と出典を足すことがあり、その出典が正しいかは住職にしか確かめられません。

Step7

出力形式を固定する

Claude API の構造化出力で、次の形の JSON を受け取ります。 スキーマは output_config.format に type: "json_schema" で渡します。

{
  "sections": [
    {
      "id": "dharma_talk",
      "title": "今月の法話 ありがとうの重さ",
      "text": "先日、{{人名_1}}さんのお宅で……「…(メモの引用そのまま)…」……",
      "quotes": ["…(メモの引用そのまま)…"],
      "placeholders_used": ["{{人名_1}}"],
      "notes": []
    }
  ]
}

id は欄ごとに決めた10個の名前(cover・news・dharma_talk・events_next・events_report・buddhist_rite・donation_thanks・office_notice・members_voice・afterword)から選ばせます。

構造化出力を使う理由は3つです。 1つは、欄ごとに分かれて返るので、ドキュメントの決まった場所に差し込めることです。2つ目は、quotes に引用を抜き出させ、メモと一字ずつ照らせることです。3つ目は、placeholders_used で記号の抜けと余りを見られることです。

スキーマに文字数の上限は書きません。 公式の説明では、文字列の長さの制約や数値の範囲の制約は非対応で、使うと400のエラーになります。 長さは Apps Script で数えて、目安の1.5倍を超えたら印を付けます。

Apps Script の検査は次のとおりです。

検査引っかかったとき
quotes の各引用が、メモの中に同じ文字列であるか冒頭の検査の欄に「引用の不一致」と引用を書く
本文の「」の中身が quotes にすべて入っているか「申告の無い引用」として書く
記号の抜け・余り「記号の抜け/余り」
置き換えた後の本文に、行事の表に無い日付・時刻がないか「日付の混入」
欄の長さが目安の1.5倍を超える「長すぎ(書き足しの恐れ)」
notes が空でないnotes をそのまま写す

1行目と2行目が、法話の欄の網です。 AIが引用を書き足したなら、メモに無い文字列が「」の中に現れます。機械で見つけて、住職が読む前に冒頭に並べておきます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google カレンダーCalendarApp で読む翌月と先月の行事
住職のメモDocumentApp.openById() で読む★の付いた節
スプレッドシートSpreadsheetApp で読む・書くお知らせ、寄進、手本、処理ログ
Claude APIUrlFetchApp で Messages API を呼ぶ欄ごとの原稿の JSON
寺報の下書きDocumentApp.create() で作り、Body に差し込む欄の原稿、行事の表、御礼の名前、検査の結果

下書きのドキュメントは DocumentApp.create(名前) で作り、appendParagraph() で欄の見出しと原稿を、appendTable() で行事の表を足します。 公式の説明では、appendTable() は文書が表で終われないため、表の後に空の段落を1つ足します。 表の後の行の数を数えて体裁を組むときに注意します。

記号の置き換えは replaceText() で行います。 公式の説明では、replaceText() は Google の RE2 の正規表現を使い、検索の文字列は JavaScript の正規表現ではなく文字列で渡すため、{ } などの記号はバックスラッシュでエスケープします。 エスケープを忘れると、{{人名_1}} が置き換わらずに残ります。

ドキュメントの作成には1日あたりの上限があり、個人のアカウントで250、Workspace で1,500とされています。 月1回の寺報で当たることはありませんが、作り直しを何度も試す最初の週は、テスト用の文書を消しながら進めます。

人の名前の記号は、ドキュメントでは置き換えずに残します。 名前を出すかどうかは住職が決め、出すなら住職が手で書きます。置き換えるのは日付と時刻の記号と、御礼の名前の一覧だけです。

Step9

人が確認する

  1. 冒頭の検査の欄を見る … 引用の不一致、申告の無い引用、日付の混入、長すぎる欄
  2. 住職が法話と近況を読む … 自分の言葉として出してよいかを見ます。引用は必ずメモの元の文と見比べます
  3. 坊守が行事の表を見る … カレンダーと同じ日時か、中止や変更が入っていないか
  4. 坊守が御礼の名前を見る … 寄進の記録の「載せてよいか」と一人ずつ照らします
  5. 人名の記号を決める … 名前を出すか、「ある檀家の方」に直すかを住職が決めます
  6. 寺務の担当が枠に貼り、文字の量を整える

4番目を省かないでください。 一覧は台帳から機械で作っていますが、台帳の「載せてよいか」の列そのものの記入漏れは機械では分かりません。 寄進を受けたときに聞いた内容と合っているかを、受けた坊守が確かめます。

目標は、10の欄をならして1欄18分です。 お知らせや行事の案内は数分で済み、時間を使うのは法話を住職の言葉に直すところです。

Step10

例外に対処する

起きること対応
★の付いた法話の種が無い法話の欄を作らず、冒頭に「法話の種が未指定」。住職に知らせる
翌月の行事が0件行事の案内の欄を作らず、冒頭に「行事なし(カレンダーの色を確認)」
行事の説明が空案内は日時と名前だけにし、「説明が未入力」と書く
当たる仏事の手本が無い仏事の解説の欄を作らない
Claude API がエラーを返す1回だけやり直し、だめなら材料をそのままドキュメントに貼り「生成失敗」
引用がメモと一致しない本文はそのまま、冒頭に赤で不一致の引用を並べる
置き換えの記号が残る冒頭に残った記号を並べる
18日の後に行事が変わった手で行事の表だけを作り直す
名簿に無い人の名前がメモにある置き換えられないので、冒頭に「名前らしき語」を並べ、住職が見る

最後の行が、名前の網の穴です。 名簿と照らして置き換える方式は、名簿に無い人(親戚、他の寺の僧侶、近所の方)の名前を拾えません。メモの段階で、名前を書くときは「○○さん」と伏せてもらうのが一番確実です。

Step11

記録を残す

  • 実行の日時、読んだ行事の数、★の付いたメモの節、作ったドキュメントの URL
  • 欄ごとの材料(記号に置き換えた後)と、Claude が返した JSON
  • 検査の結果(引用の照合、記号、日付、長さ)
  • 住職と坊守が直した後の最終版(印刷した版のドキュメントを月ごとに残す)
  • 御礼の名前の一覧と、そのとき参照した寄進の記録の「載せてよいか」の値

4つ目を残しておくと、下書きと最終版の違いが見えます。 法話の欄で住職が毎月同じ種類の直しをしているなら、プロンプトの文体の決まりを直す材料になります。

5つ目は、後から「載せないでと言ったのに」と言われたときの確認のためです。 当時の記録の値が残っていれば、記録の誤りか、一覧を作る仕組みの誤りかを分けられます。

04実装レベルの3段階

最小構成:メモを手で貼り、法話と近況と仏事の解説を書かせる / 住職の欄の下書き
半自動化:上記+Apps Script がカレンダーとメモと台帳を読み、全部の欄と行事の表を Google ドキュメントにまとめる / 寺報の下書きの全体
本格構成:上記+印刷用の枠に流し込み、ページの収まりまで整え、Web 版の寺報にも出す / 組版と公開まで

本記事の想定は半自動化です。 下書きは Google ドキュメントで、枠に貼るのは寺務の担当です。材料を集める時間と、原稿を書く時間の大半が消えます。 半自動化で、1欄48分が18分になります。 差が大きいのは、住職が夜に一から書いていた法話と仏事の解説が、直す作業に変わるからです。 本格構成は、組版の作り込みが重くなります。 A4の4ページに収める調整は、写真の大きさや行事の数で毎月変わり、機械で決めるより寺務の担当が見て決めたほうが早い月が多いはずです。 Web 版を出すなら、名前の扱いを紙の寺報より厳しくします。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
10 件
1件あたり現在時間
48 分
1件あたり導入後時間
18 分
現在  10件 × 48分 ÷ 60 = 8 時間/月
導入後 10件 × 18分 ÷ 60 = 3 時間/月
月間削減時間
5h
削減率
63%
年間削減時間
60h
年間金額換算(時間単価2,000円)
12万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 檀家が数百軒あり、毎月の寺報(寺だより)を印刷して配るか郵送している寺院。行事の予定を Google カレンダーで持ち、住職がふだんの気づきや法話の種を Google ドキュメントに書きためている場合。寺報の原稿を住職か坊守が毎月ひとりで書いていて、法事の多い月に発行が遅れることがある場合。
向いていない
  1. 寺報を年に数回しか出さない寺院。住職が文章を書くことを修行や檀家との対話そのものと考え、下書きを機械に任せたくない場合。行事の予定や寺務の記録が紙の手帳だけで、カレンダーやスプレッドシートに移す予定が無い場合。なお、法話の中身、教えの解き方、故人や寄進者の名前を載せるかどうかの判断は、この構成の対象外です。

07最小構成で試す方法

  1. 去年の同じ月の寺報と、その月に住職が書いた法話の元のメモを用意する
  2. メモの名前を「○○さん」に伏せ、第7章のプロンプトと一緒に手元の Claude の画面に貼る
  3. 法話・近況・仏事の解説の3つの欄だけを書かせる
  4. 去年実際に載せた原稿と並べ、住職に読んでもらう
  5. 引用が足されていないか、メモの引用が一字も変わっていないかを確かめる

3つの欄で十分です。 確かめたいのは、「住職の言葉として直せば使える下書きになるか」と「引用を足さないか」です。

出てきた内容判断
住職が少し直せば使える。引用はメモのままApps Script でカレンダーとメモを読む段階に進む
文はよいが、メモに無い引用が混ざる指示を強め、検査で引用を照らす。構成は有効
住職の話し方と大きく違う過去の寺報の法話を2〜3本、文体の手本として材料に足す

3行目は、住職の文体に癖があるほどよく出ます。 失敗ではなく、住職の話し方を言葉にして渡す必要があるということです。手本を足すと、言い回しが近づきます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
メモに無い引用を足す指示で禁じ、quotes と「」の中身をメモと照らす
引用を言い換える一字も変えないと指示し、照合で見つける
法事の予定の家の名前を読む行事と法事のカレンダーを分けるか、色で絞る
メモの中の名前が寺報に出る名簿と照らして記号にし、メモの段階で伏せてもらう
行事の表をAIが作り直す表は Apps Script で作り、AIには渡さない
記号が置き換わらずに残るreplaceText() は RE2 で文字列渡し。{ } をエスケープする
長さの目安まで話を足す目安は上限で、短くてよいと書く
月初の行事の案内が間に合わない翌々月の7日まで行事を取る
載せてよいかの列が空の方の名前が出る空なら載せない規則にし、坊守が台帳と照らす
住職個人のアカウントで作って代替わりで止まる寺の共用のアカウントで作る

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIが親切に言葉を足すことから起きます。寺報の法話は住職の言葉として届くので、足さないこと、変えないことを、指示と機械の照合の両方で守ります。

3行目と4行目は、最初の月に一度は起きると思ってください。 寺のカレンダーは寺の予定を全部入れる場所として使われていることが多く、分けるのは慣れるまで手間です。 それでも、檀家の家の名前をAIに渡さないために、最初に分けます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 寺の行事の予定、住職のメモ、寄進者の名前と寄進の種類、檀家の便り、お知らせです。寺のカレンダーとメモには、檀家の家の名前、故人の名前、法事の日が混ざりやすいことに注意します。

  1. AIに人の名前を渡さない … 名簿と照らして記号にし、寄進の御礼は件数と種類だけを渡します。名前は台帳から Apps Script が差し込みます
  2. 法事・葬儀の予定を読まない … 行事と法事のカレンダーを分けるか、色で絞ります
  3. 教えの言葉をAIに作らせない … 引用はメモにあるものだけで、照合で確かめます。住職が読んでから印刷します
  4. 載せてよいかは本人に聞いた記録で決める … 寄進者の名前、檀家の便りの名前は、聞いた内容を台帳に残し、空なら載せません
  5. Web 版を出すときはさらに絞る … 紙は檀家に配るものですが、Web は誰でも読めます。名前と写真は Web 版から外すことを基本にします
  6. 生成AIの製品を替えるときは規約を確かめる … 寺の子ども会や日曜学校の記事を扱う場合、18歳未満の利用を制限する規約の製品があります。その記事を材料に入れるかを先に決めます

誤りが起きた場合のリスクは、住職の言葉でない教えや引用が寺報に載ることと、載せてはいけない名前が載ることの2つです。 前者は引用の照合と住職の確認で、後者は名前を記号にすることと台帳の照合で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:カレンダーとメモの決まりを作る

寺のカレンダーで、寺報に載せる行事に色を付けるか、行事用のカレンダーを分けます。住職のメモの文書に、「法話の種」「近況」「表紙の言葉」の見出しを作り、使う節に★を付ける決まりにします。

2週目:3つの欄で試す

第8章のとおり、去年の同じ月のメモで法話・近況・仏事の解説を書かせ、住職に読んでもらいます。 引用が足されていないかを最優先で見ます。

3週目:仏事の解説の手本を集める

過去の寺報から、仏事ごとに住職が書いた解説を1つずつスプレッドシートに集めます。寄進の記録に「寺報に載せてよいか」の列を足し、わかる範囲で埋めます。

4週目:Apps Script で下書きまでをつなぐ

カレンダーとメモと台帳を読み、Claude を呼び、Google ドキュメントにまとめるところまで作ります。最初の号は、これまでどおり手で書いた原稿と下書きを並べ、住職がどちらを使うかを欄ごとに選びます。

2か月目以降: 引用の照合で止まった数と、住職が直した欄を毎月見ます。住職がメモを書きためて★を付けるだけで、18日に寺報の下書きがそろい、住職の夜の時間が法事の準備に戻った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-28/最終更新:2026-10-29
確認した内容情報源確認日
onMonthDay() で月の日を指定できること。atHour() の例が「5時〜6時の間に動く」と書かれていること。nearMinute() を指定しないと分がランダムになることGoogle for Developers: ClockTriggerBuilder2026-10-28
インストール型のトリガーは作成した人のアカウントで実行されること。失敗すると「Summary of failures for Apps Script」のメールが届くことGoogle for Developers: Installable triggers2026-10-28
getCalendarById(id) でカレンダーを取得でき、getEvents(startTime, endTime) で期間内の予定を取れることGoogle for Developers: Class CalendarApp2026-10-28
DocumentApp.create(name) で文書を作り、openById(id) で文書を開けることGoogle for Developers: Class DocumentApp2026-10-28
appendParagraph()・appendTable() で段落と表を足せ、表の後に空の段落が足されること。replaceText() が RE2 を使い、検索の文字列を JavaScript の正規表現ではなく文字列で渡すためバックスラッシュのエスケープが要ることGoogle for Developers: Class Body2026-10-28
文書の作成が個人のアカウントで1日250、Workspace で1日1,500であることGoogle for Developers: Quotas for Google Services2026-10-28
構造化出力を output_config.format に type: "json_schema" で指定すること。数値の範囲と文字列の長さの制約は非対応で400になることClaude API Docs: Structured outputs2026-10-28

法話の中身、教えの解き方、名前を載せるかどうかは、住職と寺の判断で決めてください。 本記事は公開されている仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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