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競売物件情報サイト(BIT)で毎週出る新着物件の3点セットを n8n で読み、仕入れの条件に合う物件を選んで要点と確認事項をまとめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

競売の新着物件の3点セットを週に1回まとめてAIに読ませ、自社の仕入れ条件ごとに合う・合わない・記載なしを判定させて、仕入れ候補・条件外・要確認に分けます。候補には要点と現地で確かめる事項を添えます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
不動産/建設
対象部門
経営企画/購買
対象業務
分類・仕分け/要約
主な課題
人手が足りない/判断に時間がかかる/情報が見つからない
AIで行う処理
分類
主な効果
判断支援/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
75%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当が毎週月曜の午前に BIT を開き、対象の裁判所の新着物件のうち戸建とマンションを開く
  2. 物件ごとに3点セットのPDFを保存し、BIT の詳細画面で売却基準価額・買受可能価額・入札期間を見る
  3. 3点セットを開き、所在・種別・面積・築年を拾う
  4. 物件明細書と現況調査報告書で、引き受ける権利と占有の状況を読む
  5. 評価書で、接道、法令上の制限、管理費等の滞納の記載、建物の状態を拾う
  6. 仕入れの条件と照らし、検討表に要点を書いて、現地を見に行くかどうかを部長に上げる
導入後(After)
  1. 人担当が月曜の午前に BIT を開き、新着物件の3点セットを決まったフォルダに保存して、受付表に事件番号・物件番号・裁判所・売却基準価額・買受可能価額・入札期間を書く
  2. 自動月曜の13時に n8n が動き、受付表で未処理の行を読む
  3. 自動行ごとに3点セットのPDFを Google ドライブから取り出し、大きさとページ数を確かめる
  4. 自動Claude API に3点セットと仕入れの条件を渡し、条件ごとの事実を拾わせて、`match` / `mismatch` / `not_stated` / `unreadable` を付けさせる
  5. 自動条件ごとの判定から、`candidate`(仕入れ候補)/`out_of_scope`(条件外)/`needs_review`(要確認)を規則で決める
  6. 自動候補と要確認の物件に、要点と現地で確かめる事項を添えて、仕入れ検討表に書く
  7. 自動処理が終わったら、件数と候補の一覧を仕入れ部にメールで知らせる
  8. 人担当が候補と要確認の物件を開き、AIが示したページで原文を確かめ、現地を見に行くかを決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当が毎週月曜の午前に BIT を開き、対象の裁判所の新着物件のうち戸建とマンションを開く
  2. 物件ごとに3点セットのPDFを保存し、BIT の詳細画面で売却基準価額・買受可能価額・入札期間を見る
  3. 3点セットを開き、所在・種別・面積・築年を拾う
  4. 物件明細書と現況調査報告書で、引き受ける権利と占有の状況を読む
  5. 評価書で、接道、法令上の制限、管理費等の滞納の記載、建物の状態を拾う
  6. 仕入れの条件と照らし、検討表に要点を書いて、現地を見に行くかどうかを部長に上げる

(a)30件を読み切れない。 1件20分で30件なら10時間です。月曜に保存した物件を金曜までに読み切れない週があり、 入札期間が迫って見送る物件が出ます。

(b)条件に合わない物件にも同じ時間がかかる。 エリアと種別は一覧で絞れますが、接道や占有の状況は3点セットを開かないと分かりません。 結局は合わない物件だったとしても、それが分かるまでに十数分かかります。

(c)どこを見るかが担当によって違う。 経験の長い担当は評価書の接道から見ますが、新しい担当は最初から順に読みます。拾う事実が人によって違います。

  1. 【人】 担当が月曜の午前に BIT を開き、新着物件の3点セットを決まったフォルダに保存して、受付表に事件番号・物件番号・裁判所・売却基準価額・買受可能価額・入札期間を書く
  2. 【自動】 月曜の13時に n8n が動き、受付表で未処理の行を読む
  3. 【自動】 行ごとに3点セットのPDFを Google ドライブから取り出し、大きさとページ数を確かめる
  4. 【自動】 Claude API に3点セットと仕入れの条件を渡し、条件ごとの事実を拾わせて、match / mismatch / not_stated / unreadable を付けさせる
  5. 【自動】 条件ごとの判定から、candidate(仕入れ候補)/out_of_scope(条件外)/needs_review(要確認)を規則で決める
  6. 【自動】 候補と要確認の物件に、要点と現地で確かめる事項を添えて、仕入れ検討表に書く
  7. 【自動】 処理が終わったら、件数と候補の一覧を仕入れ部にメールで知らせる
  8. 【人】 担当が候補と要確認の物件を開き、AIが示したページで原文を確かめ、現地を見に行くかを決める

1番目が人であることが、この設計の前提です。 自動の取得を認める記載が無いので、サイトの操作は担当に残します。 1件2分ほどで、読む時間より小さな時間です。

5番目を規則で決めているのも、意図してのことです。 条件ごとに事実を拾うのはAIですが、どの条件が外れたら条件外とするかは、仕入れの方針です。 方針が変わっても、直すのは規則だけです。

02今回想定するシステム構成

構成図
BIT(不動産競売物件情報サイト)
   │  担当がブラウザで新着物件を開き、3点セットのPDFを保存
   ▼ Google ドライブの「競売_受付」フォルダ + 受付表(スプレッドシート)
   ▼【トリガー】n8n Schedule Trigger(毎週月曜13時)
n8n のワークフロー
   ├──▶ Google Sheets:受付表の未処理の行を読む
   ├──▶ Loop Over Items:1件ずつ
   │      ├ Google Drive:Download a file(3点セット)
   │      ├ Extract from File:Move File to Base64 String
   │      ├ HTTP Request:Claude API(3点セット+仕入れ条件 → 条件ごとの判定)
   │      ├ Code:判定から区分を規則で決める
   │      └ Google Sheets:仕入れ検討表に1行足し、受付表を処理済みにする
   └──▶ Gmail:仕入れ部へ週の一覧を知らせる
   ▼【人】担当が候補と要確認を原文で確かめ、現地を見るか決める
役割想定する製品代替候補
ワークフローn8nMake、Zapier、Power Automate
生成AIClaude API(3点セットの読み取りと条件ごとの判定)OpenAI API、Gemini API
保管Google ドライブ(3点セットのPDF)SharePoint
受付表・検討表Google スプレッドシートMicrosoft 365 の表計算
通知Gmail(社内の仕入れ部あて)Slack

新しく足すのは、n8n のワークフローと受付表だけです。

BIT への自動のアクセスは作りません。 第1章のとおり、ご利用条件に自動の取得を認める記載も API も見当たらないためです。

3点セットは Claude API に PDF のまま渡します。 Claude の公式ページでは、PDF のページごとに画像に変換し、ページから取り出した文字と画像をあわせて渡すとされており、写真や図面の入った資料も読めます。 1回のリクエストは32MBまで、ページは600まで(コンテキストが100万トークン未満なら100まで)、パスワードや暗号化のない標準の PDF が条件です。

n8n にも Anthropic のノードはありますが、ここでは HTTP Request で Messages API を呼びます。 公式のノードのページは文書の解析の操作を挙げていますが、PDF と構造化出力を組み合わせた呼び方を書いていません。 本文で使う指定を確実に渡すため、リクエストの中身を自分で組みます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

n8n の Schedule Trigger で、毎週月曜の13時に動かします。 Schedule Trigger は、週の間隔・曜日・時・分を指定できます。担当が午前中に3点セットを保存し終える前提で、昼過ぎに置きます。

タイムゾーンを先に確かめてください。 公式ページでは、ワークフローにタイムゾーンが無ければ n8n のインスタンスのタイムゾーンを使い、自前で立てた n8n の既定はニューヨークとされています。日本の13時のつもりが夜中に動く、ということが起きます。ワークフローの設定で Asia/Tokyo を指定します。

ワークフローは保存して公開しないと、トリガーとして動きません。 試しに手で動かして結果がよかったのに、翌週の月曜に何も起きない、という形でつまずきます。

ファイルの保存をきっかけにしないのは、 受付表の記入が終わる前に処理が始まり、価額の欄が空のまま判定することになるからです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
3点セット物件明細書・現況調査報告書・評価書のPDF(写真・図面を含む)Google ドライブ(担当が BIT から保存)
受付表の行事件番号、物件番号、裁判所、売却基準価額、買受可能価額、入札期間、ファイル名、処理の状態Google スプレッドシート
仕入れの条件エリア(市区町村の一覧)、種別、面積の下限、築年の上限、買受可能価額の上限、引き受ける権利、占有、接道の条件仕入れ部が持つ条件の表
検討表の過去の行過去に同じ事件番号を見たか、そのときの区分仕入れ検討表

質を決めるのは、仕入れの条件の書き方です。 「立地のよいもの」「状態のよいもの」と書いてあると、AIは何と照らせばよいか分かりません。「市区町村がこの一覧のどれか」「専有面積が50平方メートル以上」「建築の年が○年以降」のように、3点セットの事実と照らせる形に書き直します。

価額は受付表から渡します。 売却基準価額と買受可能価額は BIT の詳細画面で見られるので、担当が受付表に書きます。3点セットの評価書の評価額とは別の値なので、AIに評価書から拾わせて混ぜることをしません。 買受可能価額は、売却基準価額からその20パーセントに相当する額を引いた額で、入札はこの額以上でなければなりません。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
未処理の行Google Sheets の行の取得(処理の状態が「未処理」)その週に読む物件の一覧
3点セットGoogle Drive の Download a fileClaude に渡すPDF
PDF の Base64 の文字列Extract from File の Move File to Base64 StringMessages API の document ブロック
仕入れの条件ワークフローの中に置いた条件の表(または別のシート)プロンプトに入れる
過去の区分仕入れ検討表を事件番号で引く取下げ後の再公開や特別売却の再掲を見分ける

3点セットは、1物件1ファイルにまとめて保存してもらいます。 BIT からは物件ごとに3点セットとして取れますが、担当によって3つに分けて保存したり、1つにまとめたりすると、ワークフローの側で拾い方が分かれます。 ファイル名の決まりも「裁判所の略称_事件番号_物件番号.pdf」にそろえます。

同じ事件番号を検討表で先に引きます。 期間入札で買受けの申出が無かった物件は、特別売却として改めて出ることがあります。前に条件外とした物件が、価額が変わらないまま再び新着に入ってくるので、過去の区分を添えて担当が見分けられるようにします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 受付表の欄の確かめ … 事件番号・裁判所・買受可能価額・入札期間が空の行は、判定に回さず担当へ戻します
  2. ファイルの確かめ … ファイル名の決まりに合うか、ファイルが本当にあるかを確かめます
  3. 大きさとページ数の確かめ … 1回のリクエストが32MB、ページが100(コンテキストが100万トークン未満のとき)を超えるものは、3つの書類に分けて送ります
  4. 暗号化の確かめ … パスワードや暗号化のある PDF は Claude に渡せません。開けないものは担当へ戻します
  5. 入札期間の確かめ … 入札期間の終わりまでの日数を計算し、日の近い物件から順に処理します
  6. 重複の確かめ … 同じ事件番号・物件番号が検討表にあれば、前の区分を添えます

3番目は、写真の多い物件で引っかかります。 公式ページでは、小さな文字のページや複雑な表、画像の多い PDF は、ページの上限より先にコンテキストを使い切ることがあるとされています。分けて送るときは、物件明細書・現況調査報告書・評価書の順に、書類の境目で分けます。 ページの途中で切ると、表が2つの呼び出しに分かれます。

5番目は、担当の確認の順番のためです。 入札期間の終わりが近い物件から検討表に並べておけば、担当は上から読めば間に合う順になります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、仕入れの条件ごとに3点セットから事実を拾い、条件と照らして4つのどれかを付け、根拠のページと原文を写すことです。

条件3点セットで見るところ判定の仕方
エリア物件目録の所在市区町村が一覧にあれば match
種別物件目録の種類・構造戸建(土地と建物)か区分所有の建物か
面積物件目録の地積・床面積下限以上なら match
築年評価書・現況調査報告書の建築の時期記載が無ければ not_stated。推測しない
引き受ける権利物件明細書の買受人が負担することとなる他人の権利記載が「なし」なら match、権利があれば mismatch
占有現況調査報告書の占有者と占有の権原所有者・賃借人・第三者・空き家のどれか
接道評価書の接面道路の記載条件の幅・長さと照らす
管理費等の滞納評価書・物件明細書の記載(マンション)記載があれば額をそのまま写す

右端の not_stated が、この構成でいちばん大事な値です。 書かれていないことを「問題なし」と読むと、読むべき物件を見落とします。 unreadable は、ページはあるが文字や図が読み取れないときに付けます。

要点と確認事項も書かせます。 要点は、候補の物件の特徴を条件の順に3〜5行で。確認事項は、現地や裁判所で確かめるべきことで、たとえば占有者がいるときの退去の見込み、内覧ができるか、評価書に書かれた建物の不具合です。

させないこと理由
入札するかどうかの結論仕入れの方針と資金の判断は担当と部長が決める
入札額や再販の価格の見積り3点セットだけでは決まらない。自社の相場の判断が要る
権利関係の法的な評価物件明細書は権利関係を確定するものではない
書かれていない事実を補う築年・接道を周りの記載から推し量らない
区分(候補・条件外・要確認)を決める規則で決める。AIは条件ごとの判定まで

3行目は、物件明細書の性格から来ています。 BIT の用語集では、物件明細書は裁判所書記官が記録上表れている事実等とそれに基づく認識を記載したものにすぎず、当事者の権利関係を確定するものではないとされています。AIに「この賃借権は対抗できない」のような評価をさせると、資料に無い結論が検討表に載ります。

Step6

指示内容を固定する

あなたは中古の戸建・マンションを買い取る不動産会社の仕入れ部で、
裁判所の競売物件の3点セットを読み、仕入れの条件ごとに事実を拾う担当です。
入札するかどうかは判断しません。資料に書かれた事実を条件の順に並べます。

【入力】
- 3点セット(物件明細書・現況調査報告書・評価書)のPDF
- 受付表の値:事件番号、物件番号、裁判所、売却基準価額、買受可能価額、入札期間
- 仕入れの条件:{conditions}

【条件ごとの status の選び方】
- match ........ 資料に書かれた事実が条件に合う
- mismatch ..... 資料に書かれた事実が条件に合わない
- not_stated ... 資料に該当する記載が見当たらない
- unreadable ... 該当しそうなページはあるが、文字や図が読み取れない
迷ったときに match を選ばないでください。

【厳守事項】
- 書かれていない事実を補わないでください。築年・面積・接道の幅を
  写真や周りの記載から推し量らず、not_stated にしてください。
- 「なし」と書かれていることと、記載が見当たらないことを分けてください。
  前者は match または mismatch、後者は not_stated です。
- 価額は受付表の値だけを使ってください。評価書の評価額と混ぜないでください。
- 権利関係について、対抗できる・できないなどの法的な評価を書かないでください。
  物件明細書に書かれた文言をそのまま写してください。
- 入札するべきか、いくらで入札するかを書かないでください。
- 占有者の氏名は書き写さず、「所有者」「賃借人」「第三者」「不明」で表してください。
- evidence には、根拠にした原文をそのまま写し、page に PDF のページ番号を入れてください。
- 確認事項には、現地または裁判所で確かめるべきことだけを書いてください。
- 3点セットでない書類が混ざっていれば、document_check に書いてください。

「なし」と「見当たらない」を分ける一文が、いちばん効きます。 書かないと、物件明細書の引き受ける権利の欄が読み取れなかった物件にも match を付けます。見落としたかったのではなく、空欄を「なし」と読んでいるのです。

占有者の氏名を写させないのは、検討表に要らないからです。 現況調査報告書には、不動産を占有している者の氏名が書かれています。仕入れの判断に要るのは占有の形で、名前ではありません。 検討表を社内で回すときに、個人の名前が残らないようにします。

Step7

出力形式を固定する

Messages API の output_config.format に JSON スキーマを置き、次の形で受け取ります。 公式ページでは、構造化出力はスキーマに合う JSON を返すとされ、数値の最小・最大の制約はスキーマに書けないので、範囲の確かめはワークフローの側で行います。

{
  "case_no": "",
  "property_no": "",
  "document_check": "ok | missing_document | other_document",
  "facts": {
    "address_city": "",
    "property_type": "detached | condominium | land_only | other",
    "floor_area_sqm": "",
    "built_year": "",
    "occupancy": "owner | tenant | third_party | vacant | unknown"
  },
  "criteria": [
    { "item": "area", "status": "match | mismatch | not_stated | unreadable",
      "value": "", "page": 0, "evidence": "" }
  ],
  "summary_points": [],
  "site_checks": []
}

criteria には、条件の数だけ要素を並べます。item は area / type / floor_area / built_year / burden_rights / occupancy / road_access / arrears です。価額の条件は、受付表の値を使って Code ノードで比べ、AIには渡しても判定させません。

区分は Code ノードで、次の規則で決めます。

区分条件
out_of_scopeエリア・種別・価額のどれかが mismatch(一覧の段階で外れる条件)
needs_review上に当たらず、not_stated か unreadable が1つでもある。または引き受ける権利・占有が mismatch
candidate上のどれにも当たらない

1つ目の理由は、status と区分を別の層に置けることです。 条件ごとの事実はAIが拾い、区分は規則が決めます。「賃借人の占有は条件外」とするか「要確認」とするかは、仕入れの方針で変わります。

2つ目は、引き受ける権利と占有を needs_review に寄せていることです。 この2つは、外れていても値付け次第で仕入れる会社があります。機械で条件外に落とさず、担当の目に入る側に置きます。

3つ目は、page と evidence で確認が速くなることです。 担当は3点セットを最初から開かず、示されたページに飛んで原文を見ます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google スプレッドシート(受付表)n8n の Google Sheets ノード未処理の行を読み、処理済みに書き換える
Google ドライブDownload a file3点セットのPDFを取り出す
Claude APIHTTP Request(Messages API)PDF と条件を渡し、条件ごとの判定を受け取る
Google スプレッドシート(仕入れ検討表)n8n の Google Sheets ノード物件ごとに1行。区分、条件ごとの判定、要点、確認事項、ページ
Gmail社内あてのメール週の件数と、候補・要確認の一覧

検討表には、入札期間の終わりの日で並べて書きます。 担当が上から読めば、間に合う順になります。条件外の物件も1行ずつ残し、外れた条件を書きます。 あとで条件を見直すときの材料になります。

メールは社内の仕入れ部だけに送ります。 物件の要点を社外に出すことはしません。BIT のご利用条件が無断転載を禁じているので、3点セットの文や写真を検討表の外へ持ち出さない決まりにします。

Step9

人が確認する

担当が見るのは、candidate と needs_review の物件です。 out_of_scope は一覧で外れた条件だけを流し見ます。

  1. needs_review を先に見る … not_stated と unreadable の条件について、示されたページを開き、本当に書かれていないのかを確かめます
  2. candidate の根拠を確かめる … 引き受ける権利・占有・接道の evidence を原文と見比べます
  3. 確認事項を足す … 写真や図面を見て、AIが拾っていない不具合や周りの状況を書き足します
  4. 現地を見るかを決める … 決めたら検討表に書き、部長に上げます
  5. 判定を直したら記録する … どの条件を、どちらに直したかを残します

1番目を省かないでください。 not_stated の多くは、資料に本当に書かれていないか、ページの写りが悪いかのどちらかです。前者なら裁判所で記録を確かめる材料、後者ならAIの読み落としで、 混ぜたまま候補から外すと、読むべき物件を落とします。

目標は、120件をならして1件5分です。 保存と受付表への記入に2分、検討表の確認に3分です。条件外の物件は数十秒で終わり、候補と要確認の物件は原文を開くので10分以上かかります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
受付表の価額・入札期間が空判定に回さず担当へ戻す
ファイルが見つからない・名前が違う受付表に「ファイルなし」と書き、担当が保存し直す
32MB・ページの上限を超える3つの書類に分けて送る。ページの途中で切らない
パスワード付き・開けない PDFClaude に渡せない。担当が BIT から保存し直す
3点セットでない書類が混ざるdocument_check を見て担当へ戻す
取下げ・売却の取消しになった物件担当が BIT で確かめ、検討表の行を閉じる
同じ事件番号が再び出た前の区分を添え、価額と売却の方法の違いを担当が見る
Claude API が応答しない・形が崩れる受付表を「未処理」のまま残し、次の回でもう一度読む

上から4行目までが大半を占めます。 どれもAIの問題ではなく、保存のしかたの問題です。 保存の決まりを1枚にまとめて担当の机に置くほうが、プロンプトを直すより効きます。

6行目は、AIには分かりません。 手元のPDFには取下げが出てこないので、入札期間の前に担当が BIT で確かめます。

Step11

記録を残す

  • 受付表の行(事件番号、物件番号、裁判所、価額、入札期間、保存した日と担当)
  • Claude API に送った条件の表の版と、返ってきた JSON の全文
  • Code ノードが決めた区分と、そのとき使った規則の版
  • 担当が判定を直した記録(どの条件を、どちらに直したか)
  • 現地を見に行ったか、入札したか、その結果
  • 3点セットの PDF は、入札期間と開札が終わったあと、社内で決めた期間で消す

2つ目と3つ目で「版」を残すのは、条件と規則が後から変わるためです。 エリアを広げたり面積の下限を変えたりすると、過去の区分の意味が変わります。当時の条件が残っていないと、なぜその物件を落としたのかを後から説明できません。

04実装レベルの3段階

最小構成:3点セットと条件を手でAIの画面に貼り、条件ごとの判定を出させる / 1件ごとの読み取りと判定
半自動化:上記+n8n で週に1回、フォルダの3点セットを Claude API に送り、判定を検討表に書く / 読み取りと判定の一覧化
本格構成:上記+受付表の価額と照らし、規則で区分を決め、入札期間の順に並べて、過去の区分を添えて知らせる / 振り分けの全体と、担当が読む順の整理

最小構成では件数がさばけません。 1件ずつ貼り付けるので、月120件には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件20分が10分程度になります。 判定は一覧になりますが、価額との比較と区分の決め方、読む順の並べ替えが担当に残ります。本格構成で5分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、区分と並べ替えが、1件ずつ表を見比べる手作業だからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の検討表を1か月見ると、not_stated の多い条件が先に分かり、直してから規則を入れるほうが要確認が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
5 分
現在  120件 × 20分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 120件 × 5分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
75%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,500円)
126万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 中古の戸建・区分マンションを買い取ってリフォームし再販する不動産会社や、競売物件を仕入れの経路の一つにしている工務店・リフォーム会社。対象にする裁判所を決めていて、BIT の新着物件の3点セットを毎週数十件読んでいる場合。読む担当が1〜2名に限られ、入札期間に間に合わずに見送る物件が出ている場合。仕入れの条件(エリア・種別・価格の上限)を言葉で書き出せる場合。
向いていない
  1. 競売物件を年に数件しか見ない場合(毎週の作業にならない)。仕入れの条件が担当者の頭の中にしかなく、書き出せない場合。入札するかどうかの判断そのものを自動にしたい場合。BIT の画面から自動で物件を集める仕組みを作りたい場合(この構成は人がブラウザで3点セットを保存する形で、サイトへの自動のアクセスは作りません)。なお、権利関係の法的な評価と入札額の判断はこの構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月見た物件から20件を選ぶ(現地を見に行ったものと、条件外として見送ったものを半々に)
  2. その20件について、当時の担当がどこを見て、なぜ見送ったかを聞き取る
  3. 手元のAIサービスの画面に、1件分の3点セットのPDFと、仕入れの条件を貼る
  4. 「条件ごとに、資料に書かれた事実と、合う・合わない・書かれていない・読めない のどれかを、ページ番号と原文の写しを添えて返してください。書かれていないことを推し量らないでください。入札するかどうかは書かないでください」と指示する
  5. 出てきた判定を、当時の担当の判断と並べて見る

20件は必ずやってください。 ワークフローを組む前に、「3点セットから条件ごとの事実を正しく拾えるのか」を確かめます。 手元のAIサービスに3点セットを入れるときは、会社で使ってよいと決めたサービスに限ります。

出てきた内容判断
当時の担当と同じ物件を候補に選んだワークフローを組む段階に進む
書かれていない築年や接道を推し量って埋めた指示の書き方で直る。構成は有効
条件ごとの判定が当時の判断とずれる仕入れの条件の書き方が先。 照らせる形に直す

3行目は珍しくありません。 担当は紙に無い基準(「駅から坂の上は避ける」など)でも見送っています。条件に書き足すか、担当の確認に回すかを決める良い機会です。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
書かれていない欄が match になる「なし」と「見当たらない」を分ける一文を指示に書き、not_stated を要確認に寄せる
築年や接道を写真から推し量る推し量りを禁じ、evidence が空の match を Code ノードで要確認に回す
評価書の評価額と買受可能価額が混ざる価額は受付表の値だけを使い、AIには判定させない
権利関係の法的な評価を書く物件明細書の文言を写すだけにする
日本の13時のつもりが夜中に動く自前の n8n の既定はニューヨーク。 ワークフローに Asia/Tokyo を指定する
翌週にワークフローが動かない保存して公開しないとトリガーとして動かない
写真の多い PDF で失敗する書類の境目で3つに分けて送る
担当ごとに保存のしかたが違う1物件1ファイル、ファイル名の決まりを1枚にまとめる
取下げの物件を検討し続ける入札期間の前に BIT で取下げを確かめる
BIT から自動で集めたくなるご利用条件に認める記載が無い。 保存は人に残す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 evidence が空のまま match が付いた行を機械で要確認に回すだけで、多くを止められます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 裁判所が公開する3点セット(物件の所在、権利関係、占有の状況、写真、図面、評価)、自社の仕入れの条件、検討表です。現況調査報告書には、占有している人の氏名や室内の写真が入っています。

  1. BIT の利用は、ご利用条件の範囲で行う … 本来の趣旨以外の目的での使用と無断転載が禁じられています。3点セットの文や写真を社外の資料に使わず、保存は担当がブラウザで行います
  2. 占有者の氏名を検討表に残さない … 仕入れの判断に要るのは占有の形です。指示で氏名を写させず、検討表を社内で回しても個人の名前が広がらないようにします
  3. この構成は入札の判断を代替しない … 物件明細書は権利関係を確定するものではなく、入札するか、いくらで入札するかは担当と部長が決めます
  4. 占有者がいる物件の見込みを軽く書かない … 引渡命令は代金を納めたあとの手続きで、占有者が自発的に退去しなければ強制執行が要り、別に費用がかかります。 AIの要点に「引渡命令で解決」とだけ書かせず、確認事項に回します
  5. 使うAIの事業者を決める … 会社で決めた契約とキーで送り、個人のアカウントに貼らない決まりにします

誤りが起きた場合のリスクは、読むべき物件を条件外に落とすことと、問題のある物件を候補に上げることの2つです。 前者は not_stated を match や mismatch に混ぜると起き、後者は書かれていない事実を推し量ると起きます。どちらも、書かれていないことを書かれていないと記録する設計で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:仕入れの条件を書き直す

仕入れ部長と担当で、条件の紙を3点セットの事実と照らせる形に書き直します。エリアは市区町村の一覧、面積と築年は数字、引き受ける権利・占有・接道は「どうなら候補か、どうなら要確認か」を書きます。

2週目:20件で試す

先月の物件20件の3点セットを、会社で使ってよいAIサービスに貼り、条件ごとの判定を出させます。書かれていない欄を match にしていないか、築年や接道を推し量っていないかを最優先で見ます。

3週目:保存の決まりと受付表を作る

1物件1ファイル、ファイル名の決まり、受付表の欄(事件番号・物件番号・裁判所・価額・入札期間)を決め、担当が月曜の午前に保存と記入を終える流れを試します。

4週目:フォルダから検討表までをつなぐ

n8n で Schedule Trigger から Claude API の呼び出し、検討表への書き込みまでを組みます。この時点では区分を出さず、条件ごとの判定だけを見ます。

2か月目: Code ノードで区分の規則を入れ、入札期間の順の並べ替えと過去の区分を足します。3か月目以降: 担当が判定を直した記録と、現地を見て見送った物件を見比べ、1件20分が何分になったかを実測します。条件外の物件を担当がほとんど開かずに済むようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-23
確認した内容情報源確認日
本サイトが最高裁判所の委託で運営されていること。文書・画像などを掲載された本来の趣旨以外の目的で使用すること、改ざん・無断転載することを禁止していること。JavaScript を使用していることBIT: サイトのご利用条件2026-10-15
物件明細書が買受人が引き受ける権利関係などを記載したもので、記録上の事実とそれに基づく認識を記載したにすぎず、権利関係を確定するものではないことBIT 用語集: 物件明細書2026-10-15
現況調査報告書が執行官の調べた権利関係・占有状況・形状を記載し、占有者の氏名や写真が入ることBIT 用語集: 現況調査報告書2026-10-15
評価書が評価人による価格とその算出過程、周囲の環境、公法上の規制のあらましを記載し、図面が添付されることBIT 用語集: 評価書2026-10-15
買受可能価額が売却基準価額からその20パーセントに相当する額を控除した価額で、買受けの申出はこの額以上でなければならないことBIT 用語集: 買受可能価額2026-10-15
引渡命令が代金納付後の手続きで、占有者が自発的に退去しない場合は強制執行が必要になり、別途費用がかかることBIT 用語集: 引渡命令2026-10-15
Schedule Trigger が週の間隔・曜日・時・分を指定できること。タイムゾーンがワークフロー、無ければインスタンスの設定に従い、自前の既定がニューヨークであること。保存して公開しないと動かないことn8n Docs: Schedule Trigger2026-10-15
Extract from File に Move File to Base64 String の操作があることn8n Docs: Extract from File2026-10-15
PDF のページごとに画像に変換し文字とあわせて渡すこと。1回のリクエストが32MB、ページが600(100万トークン未満のコンテキストでは100)まで、パスワード・暗号化の無い標準の PDF であること。画像の多い PDF はページの上限より先にコンテキストを使い切ることがあること。費用が画像と同じ数え方になることClaude Docs: PDF support2026-10-15
構造化出力を output_config.format で指定すること。数値の minimum/maximum がスキーマで使えないことClaude Docs: Structured outputs2026-10-15

入札するかどうか、権利関係をどう評価するかは、自社の仕入れの方針と専門家の助言で判断してください。 本記事は BIT と各製品の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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