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委託先との障害の振り返り会議(Teams)の記録から、原因・暫定対処・再発防止策と期限を議事録にまとめ、対策管理表の更新案を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

システムの委託先と行う障害の振り返り会議(Teams)の記録から、原因・暫定対処・再発防止策と、その担当と期限を拾って議事録にします。あわせて対策管理表の更新案と、前回までに約束された対策の進み具合の一覧を作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
EC/IT・SaaS/小売/物流/金融
対象部門
情報システム
対象業務
台帳・マスタ管理/記録・議事録作成
主な課題
書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
必須
現在工数
24h/月
AI導入後
8h/月
想定削減
67%
年間削減
192h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 運用管理グループの担当者が振り返り会議を設定し、委託先と業務部門の代表を招待する
  2. 会議中、担当者が議事を進めながらメモを取る
  3. 会議の後、メモと録画を見返し、経過・原因・暫定対処・再発防止策を書き出す
  4. 再発防止策に担当会社・担当者・期限を付け、議事録の案を委託先の責任者に送る
  5. 委託先の修正を反映し、対策管理表に再発防止策を1件ずつ登録する
  6. 同じ委託先の前回までの対策の状態を表で見て、期限を過ぎた未完了のものを確かめる
  7. 業務部門と自社の上長に、議事録を共有する
導入後(After)
  1. 人運用管理グループの担当者が振り返り会議を主催し、前日に障害の基本情報を会議のチャットに貼る
  2. 人会議では、原因と対策ごとに、担当者が区分を読み上げて確かめる(「原因は推定、確定の期限は10月20日」「この対策は実施の約束、担当は委託先の佐藤さん、期限は10月31日」)
  3. 人会議の後1時間以内に、担当者が「障害振り返りエージェント」に、その回の会議を指定して議事録を作らせる
  4. 自動エージェントが、経過を時刻の順に並べ、原因を「確定」「推定」「調査中」に分けて発言を引用する
  5. 自動エージェントが、暫定対処を「実施済み」「未実施」に、再発防止策を「実施を約束」「検討」に分け、担当と期限を付ける
  6. 自動エージェントが、対策管理表の同じ委託先の未完了の対策を引き、今回の障害と関係しそうなものを並べる
  7. 自動エージェントが、議事録の案、対策管理表の更新案、確かめが要る箇所の一覧を出す
  8. 人担当者が、区分と担当・期限を文字起こしで確かめ、委託先の責任者に議事録の案を送る
  9. 人委託先の確認の後、担当者が対策管理表を更新し、業務部門と上長に共有する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 運用管理グループの担当者が振り返り会議を設定し、委託先と業務部門の代表を招待する
  2. 会議中、担当者が議事を進めながらメモを取る
  3. 会議の後、メモと録画を見返し、経過・原因・暫定対処・再発防止策を書き出す
  4. 再発防止策に担当会社・担当者・期限を付け、議事録の案を委託先の責任者に送る
  5. 委託先の修正を反映し、対策管理表に再発防止策を1件ずつ登録する
  6. 同じ委託先の前回までの対策の状態を表で見て、期限を過ぎた未完了のものを確かめる
  7. 業務部門と自社の上長に、議事録を共有する

(a)約束と検討が混ざる。 会議では、委託先が「対応します」「検討します」「持ち帰ります」を同じ調子で言います。メモには「監視の見直し」とだけ残り、議事録を書く段で実施か検討かが分からなくなります。 委託先の確認で「これは検討の意味でした」と戻ってくることもあれば、そのまま「実施予定」で通り、期限の日に何も起きていないと分かることもあります。

(b)原因の確度が丸まる。 会議の時点では、原因が推定のままのことがよくあります。議事録に「原因:バッチの二重起動」と断定で書くと、その後の調査で別の原因が見つかっても、表の上では解決済みの扱いになります。 調査中の原因には、いつまでに確定させるかの期限が要りますが、それも落ちます。

(c)前回の約束を思い出せない。 同じ委託先の障害が続く月は、前回の会議で何を約束したかを担当者が記憶と表で探します。担当者が会議ごとに違うと、前回の約束が今回の会議で話題になりません。

(d)表の登録が手作業で遅れる。 議事録と表で同じ対策を二度書き、書き方が少しずつ違ってきます。

  1. 【人】 運用管理グループの担当者が振り返り会議を主催し、前日に障害の基本情報を会議のチャットに貼る
  2. 【人】 会議では、原因と対策ごとに、担当者が区分を読み上げて確かめる(「原因は推定、確定の期限は10月20日」「この対策は実施の約束、担当は委託先の佐藤さん、期限は10月31日」)
  3. 【人】 会議の後1時間以内に、担当者が「障害振り返りエージェント」に、その回の会議を指定して議事録を作らせる
  4. 【自動】 エージェントが、経過を時刻の順に並べ、原因を「確定」「推定」「調査中」に分けて発言を引用する
  5. 【自動】 エージェントが、暫定対処を「実施済み」「未実施」に、再発防止策を「実施を約束」「検討」に分け、担当と期限を付ける
  6. 【自動】 エージェントが、対策管理表の同じ委託先の未完了の対策を引き、今回の障害と関係しそうなものを並べる
  7. 【自動】 エージェントが、議事録の案、対策管理表の更新案、確かめが要る箇所の一覧を出す
  8. 【人】 担当者が、区分と担当・期限を文字起こしで確かめ、委託先の責任者に議事録の案を送る
  9. 【人】 委託先の確認の後、担当者が対策管理表を更新し、業務部門と上長に共有する

2番目の読み上げが、この設計の分かれ目です。 「実施の約束」「検討」と区分の言葉が会議の中で出ていれば、AIにも人にも区分は1つに決まります。 委託先にとっても、その場で「いえ、それは検討です」と言い直せる場面になります。

7番目は「更新案」です。 委託先の確認を経ていない約束が表に載ると、委託先から見て「言っていない期限」で催促されることになります。

02今回想定するシステム構成

構成図
会議の前日:障害の基本情報(障害番号・発生と復旧の時刻・影響・委託先のメモ)を会議のチャットへ
   ▼
Teams 会議(自社の運用管理グループが主催。委託先の担当者と責任者、業務部門の代表が出席)
   │  原因と対策ごとに、担当者が区分・担当・期限を読み上げる
   ▼【トリガー】会議の終了と文字起こしの保存
Microsoft Copilot(Agent Builder で作る障害振り返りエージェント)
   │  知識:その回の振り返り会議と、同じ委託先の直近の振り返り会議(会議を指定)
   │        対策管理表(SharePoint のリスト)
   │        障害管理規程・委託先管理の要領・議事録の様式(埋め込んだ文書)
   ├──▶ 経過(時刻の順)
   ├──▶ 原因(確定/推定/調査中・確定の期限)
   ├──▶ 暫定対処(実施済み/未実施)と再発防止策(実施を約束/検討:担当・期限)
   └──▶ 対策管理表の更新案と、同じ委託先の未完了の対策の一覧
   ▼【担当者が文字起こしと照らし、委託先の責任者が議事録を確認】
議事録(Word)を障害のフォルダへ/対策管理表の更新は担当者が行う
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot。Teams 会議の Copilot と、Agent Builder で作る障害振り返りエージェント)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
会議Microsoft Teams(文字起こし)Zoom の文字起こし
台帳SharePoint のリスト(対策管理表)ServiceNow などの障害管理の仕組み
保管SharePoint(障害ごとのフォルダ)-

新しく足すのは、運用管理グループ3名の Copilot のライセンスと、振り返りのエージェントだけです。Teams 会議の Copilot は、会議の参加者のうち Copilot のライセンスを持つ人が、自分にだけ見えるプロンプトを送れるとされています。

最初に決めるのは、振り返り会議を自社が主催することです。 公式のページでは、参加者の組織の外で主催された会議では Copilot が動かないとされています。委託先が会議を設定する慣行になっている場合は、障害管理の規程で主催者を自社に改めます。委託先は招待されて出席するだけで、委託先の側に設定は要りません。

エージェントは Agent Builder で作ります。 知識には、Teams の会議を5つまで、SharePoint のリストを1つまで、埋め込んだファイルを20個まで指定できます。対策管理表をリストのまま知識に入れられるので、委託先の名前から未完了の対策を引けます。 リストは2万行と50MBのテキストまでで、超えると切り詰められ、その旨が応答に書かれるとされています。対策管理表は年度ごとにリストを分け、知識には今年度のリストを指定します。

表の書き換えは、エージェントからは行いません。 知識に入れたリストは読むためのものです。更新案を出すところまでがエージェントの役割です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

振り返り会議が終わり、文字起こしが保存されたことを起点にします。 Teams 会議の Copilot は、会議の後にプロンプトを送ったり、会話の履歴を見たりするには、文字起こしがオンになっている必要があるとされています。振り返り会議は記録を残す会議なので、毎回の文字起こしを規程で決めておきます。

運用管理グループの会議ポリシーは、Copilot を「On with saved transcript required」にします。 この値にすると、主催者の会議オプションが「会議中と会議後」になり、主催者は変えられないとされ、これが既定の値です。文字起こしを付け忘れた回に Copilot が使えない、という事故を、設定の側で防ぎます。

振り返り会議は、障害ごとに1回ずつ設定します。 委託先ごとの定例の会議の繰り返しに乗せると、公式のページにあるとおり、後の回の文字起こしが行われた時点で、前の回の Copilot との会話の履歴が使えなくなります。 定例の会議で障害を振り返る場合も、振り返りの回だけは別の会議として設定します。

エージェントを動かすのは、会議の後1時間以内の手作業です。 担当者は会議に出ていたので、出力のおかしな箇所に記憶で気づけます。翌日に回すと、言葉の強さを記憶で確かめられなくなります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
文字起こし発言者と時刻の付いた会議の発言Teams 会議の記録
会議のチャット前日に貼った障害の基本情報、会議中に貼られたログの抜粋や画面の写し会議のチャット
対策管理表対策の番号、障害番号、委託先、内容、区分、担当会社と担当者、期限、状態SharePoint のリスト
障害管理規程と委託先管理の要領原因の区分と対策の区分の定義、影響度の基準、振り返りの進め方エージェントの知識(文書)
議事録の様式経過、原因、暫定対処、再発防止策、確かめが要る箇所の欄同上

質を決めるのは、2行目の障害の基本情報です。 障害番号と時刻が会議の前にチャットにあれば、エージェントは会議の発言を正しい障害と時刻に結び付けられます。基本情報には次の5つだけを書き、委託先の経過のメモは別の添付にします。

【障害の基本情報】
障害番号:INC-2026-1012-03
対象:EC サイト(委託先:A社)
発生:10/09(木) 19:42 検知:19:55(お客様の問い合わせ) 復旧:21:10
影響:注文の確定画面でエラー。約1時間30分、注文の一部が確定できない
前回までの同じ委託先の振り返り:INC-2026-0921-01、INC-2026-0930-02

障害管理規程には、区分の定義を書き足します。 原因は「確定(再現または証跡で確かめた)」「推定(証跡はあるが確かめていない)」「調査中」の3つ。対策は「実施済み」「実施を約束(担当・期限あり)」「検討(結論の期限あり)」の3つです。「検討」にも、結論を出す期限を付けると決めておきます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
文字起こしと会議のチャットエージェントの知識に、その回の振り返り会議を指定する経過、原因、対策、区分の読み上げを拾う
同じ委託先の前の振り返りエージェントの知識に、直近の振り返り会議を指定する前回の約束と今回の発言を並べる
対策管理表エージェントの知識に、今年度のリストを指定する委託先ごとの未完了の対策を引く
規程・要領・様式エージェントに埋め込んだ文書区分の定義と、出力の形

会議は、Agent Builder の知識で個別に指定します。 「自分の Teams のチャットと会議」をまとめて選ぶと、すべての会議の文字起こしと予定表を探すとされています。担当者は委託先との定例や社内の会議にも多く出るので、別の会議で出た対策の話が混ざります。 必ず会議を個別に指定し、振り返りのたびに差し替えます。

指定できる会議は5つまでです。 今回の会議と、同じ委託先の直近の振り返り会議を最大4回分入れます。前回より前の約束は、対策管理表のリストから引けるので足ります。

「指定した知識だけを使う」設定を有効にします。 Agent Builder の「Only use specified sources」は、指定した知識を優先させる設定で、一般的な知識を完全には止めないとされています。指示の側でも「一般的な障害対策の例で補わない」と書いておきます。 補われると、会議で誰も言っていない「監視の強化」が対策の欄に入ります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 振り返り会議を自社が主催する … 委託先から届いた招待は使わず、運用管理グループで設定します
  2. 障害の基本情報を前日にチャットへ貼る … 障害番号・対象・時刻・影響・前回までの振り返りの5つにします
  3. 会議の冒頭で障害番号を言う … 「INC-2026-1012-03 の振り返りを始めます」と言い、記録の頭を決めます
  4. 原因と対策ごとに区分を読み上げる … 担当者が「これは推定、確定は10月20日まで」「これは実施の約束、担当はA社の佐藤さん、期限は10月31日」と言い直します
  5. 会議の終わりに、約束した対策だけを読み上げる … 「約束は3件、検討は2件です」と件数と担当を言い直します

どれも、会議の進め方の決まりです。 システムの前処理ではなく、担当者が会議の中で行う前処理です。この構成では、ここを整えるほうが指示を工夫するより効きます。

4番目の読み上げは、委託先との関係にも効きます。 担当者が「これは実施の約束でよいですか」と言えば、委託先の責任者がその場で「検討にしてください」と言い直せます。 会議の後に議事録で区分が食い違うより、角が立ちません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、会議で言葉にされた原因・対策とその区分を拾い、決まった欄に並べることだけです。

拾うもの拾い方拾えないときの扱い
経過発生・検知・連絡・暫定対処・復旧の時刻を、発言とチャットから時刻の順に並べる時刻が言われていなければ「時刻不明」
原因原因の発言を引用し、確定/推定/調査中の区分を付ける。推定と調査中は確定の期限を付ける区分の読み上げが無ければ「区分の確認が要る」
暫定対処行った処置と、まだ行っていない処置を分けて引用する実施したかが分からなければ「要確認」
再発防止策対策の発言を引用し、実施を約束/検討の区分、担当会社・担当者・期限を付ける担当か期限が言われていなければ「要確認」
前回までの対策同じ委託先の未完了の対策のうち、今回の原因と同じ対象・同じ仕組みに触れるもの関係が言えなければ挙げない
業務部門からの要望業務部門の代表が求めたことを引用する発言が無ければ「なし」
させないこと理由
発言の強さを読み替えて区分を付ける「検討します」が「実施予定」になる
原因の確度を上げる推定を確定と書くと、別の原因が見つかっても表の上で解決済みになる
対策の妥当性の評価対策が足りるかは責任者が決める
委託先の責任や契約上の扱いへの言及契約の判断は会議の記録からは出せない
一般的な障害対策での補い会議で言われていない対策を書かない

1行目がいちばん大事です。 委託先の担当者が「次のリリースまでに監視の閾値を見直す方向で考えています」と言った。これを約束と読むか検討と読むかは、AIにも人にも決められません。 区分の読み上げが無ければ「区分の確認が要る」とし、担当者が委託先に確かめます。

2行目も同じくらい大事です。 原因の区分は、その障害を閉じてよいかを決める基準です。推定のまま閉じた障害は、同じ型の障害が次に起きたときに「原因は分かっていたはず」という話になります。

Step6

指示内容を固定する

あなたは情報システム部の運用管理グループの担当者を手伝い、
システムの委託先と行う障害の振り返り会議の議事録と、対策管理表の更新案を作る立場です。
指定した会議の文字起こしと会議のチャット、対策管理表のリスト、
埋め込んだ障害管理規程・委託先管理の要領・議事録の様式だけを見てください。
一般的な障害対策の例や、指定していない会議の内容で補わないでください。

【拾うもの】
- 経過:発生・検知・連絡・暫定対処・復旧の時刻と出来事。
- 原因:発言の引用、区分(確定/推定/調査中)、推定と調査中は確定の期限。
- 暫定対処:実施済みと未実施に分けた引用。
- 再発防止策:発言の引用、区分(実施を約束/検討)、担当会社、担当者、期限。
- 前回までの対策:対策管理表のうち、同じ委託先で状態が未完了のもの。
- 業務部門の代表からの要望。

【区分の付け方】
- 区分は、会議で読み上げられた区分の言葉だけで付けてください。
- 「対応します」「検討します」「持ち帰ります」などの言い方から、区分を推し量らないでください。
  読み上げが無い場合は「区分の確認が要る」としてください。
- 迷ったときに、原因を「確定」に、対策を「実施を約束」にしないでください。

【書き方】
- 原因と対策は、発言の言葉どおりに引用してください。短くしたり、言い換えたりしないでください。
- システムの名前、処理の名前、設定の値、日付は、そのまま残してください。
- 担当か期限が言われていなければ「要確認」としてください。
- 根拠にした発言の時刻と発言者を、行ごとに付けてください。

【前回までの対策】
- 対策管理表から、同じ委託先で状態が「完了」以外の対策を引いてください。
- そのうち、今回の原因の発言と同じシステム・同じ処理の名前が出てくるものだけを挙げ、
  名前が出てくる発言を引用してください。関係を推し量って挙げないでください。

【厳守事項】
- 対策が十分か、委託先に責任があるかは書かないでください。
- 対策管理表に書き込まないでください。更新案を表で示すだけにしてください。

【出力】
1. 経過(時刻の順の表)
2. 原因(引用・区分・確定の期限・時刻)
3. 暫定対処(実施済み/未実施)
4. 再発防止策(引用・区分・担当会社・担当者・期限・時刻)
5. 前回までの未完了の対策で、今回と同じ名前が出てくるもの
6. 対策管理表の更新案
7. 担当者への注意(区分の確認が要る箇所、要確認の箇所)

この指示は、エージェントの指示として Agent Builder に書いておきます。 担当者は毎回「この会議の振り返りの議事録を作って」と頼むだけにします。担当者3名が毎回指示を貼り直すと、人によって区分の付け方が変わります。

「迷ったときに確定や約束にしない」を明記しているのは、誤りの重さが左右で違うからです。 検討を約束と取り違えれば、委託先は約束していない期限で催促され、関係がこじれます。約束を検討と取り違えても、委託先に確かめれば済みます。

前回までの対策を「同じ名前が出てくるもの」に絞るのも同じ理由です。 関係を推し量らせると、委託先の未完了の対策がすべて今回の障害と関係があるように並びます。 名前の一致という確かめられる基準にしておけば、担当者は引用を見て判断できます。

Step7

出力形式を固定する

エージェントには、表の形で返させます。 この構成では対策管理表への自動登録をしないため、JSON ではなく、担当者と委託先の責任者が読んで直しやすい表を出力の形にします。

【原因】
| 区分 | 内容(引用) | 確定の期限 | 発言者 | 時刻 |
| 推定 | 「受注確定のバッチが19時40分に二重に起動し、在庫の引当てがロックで待たされたと見ています」 | 10/20(月) | A社 佐藤 | 00:12:30 |

【再発防止策】
| 区分 | 内容(引用) | 担当会社 | 担当者 | 期限 | 時刻 |
| 実施を約束 | 「ジョブの起動に排他の確認を入れる修正を、10月31日のリリースに含めます」 | A社 | 佐藤 | 10/31(金) | 00:31:05 |
| 検討 | 「注文の確定画面のタイムアウトの値の見直し」 | A社 | 要確認 | 結論 10/24(金) | 00:36:40 |
| 区分の確認が要る | 「監視の閾値を見直す方向で考えています」 | A社 | 要確認 | 要確認 | 00:39:15 |

【前回までの未完了の対策で、今回と同じ名前が出てくるもの】
| 対策の番号 | 障害番号 | 内容 | 期限 | 状態 | 今回の発言(引用) |
| CM-0921-02 | INC-2026-0921-01 | 受注確定のバッチの起動時刻の分散 | 10/10(金) | 未完了 | 「受注確定のバッチが…」(00:12:30) |

1つ目の理由は、時刻で文字起こしに戻れることです。 Copilot の会議での応答は、チャットのメッセージと文字起こしのどこを使ったかを示すとされています。担当者は時刻から発言を開き、引用と区分を照らします。

2つ目は、「区分の確認が要る」を独立した行にできることです。 この行は、そのまま委託先の責任者に確かめる質問の一覧になります。議事録の案を送るときに、この行だけを先に聞けば、往復が1回で済みます。

3つ目は、前回までの対策と今回の発言を同じ表に並べられることです。 例の表では、期限を過ぎた未完了の対策と同じバッチの名前が、今回の原因に出てきています。 この1行が、振り返り会議でいちばん重い論点になります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Teams 会議エージェントの知識に会議を指定文字起こしと会議のチャットを読む
対策管理表エージェントの知識にリストを指定委託先ごとの未完了の対策を引く。書き込まない
議事録担当者が Word の様式に貼って整える障害ごとのフォルダに保存する
委託先への確認担当者がメールで議事録の案を送る「区分の確認が要る」の行を先に聞く
対策管理表の更新担当者が更新案を見て SharePoint のリストを書き換える委託先の確認が済んだものだけ

対策管理表にはエージェントから書き込みません。 この表は、期限の前に委託先へ進み具合を問い合わせる根拠になります。委託先の確認を経ていない約束が入ると、催促の根拠が揺らぎます。

業務部門には、委託先の確認が済んだ議事録だけを配ります。 エージェントの出力そのものは担当者の作業用の資料です。

Step9

人が確認する

この構成では、全件を人が確かめます。 原因の確度と対策の約束は、委託先との約束事そのものだからです。

  1. 「区分の確認が要る」を先に見る … 区分の読み上げが無かった原因と対策です。委託先の責任者に区分を確かめます
  2. 原因の区分を文字起こしで確かめる … 根拠の時刻から発言を開き、推定を確定と取り違えていないかを見ます
  3. 約束した対策の担当と期限を確かめる … 引用の中に担当と期限の言葉があるかを見ます。「要確認」は委託先と決めます
  4. 前回までの対策の行を確かめる … 同じ名前が出ていても、関係が無ければ議事録から外します
  5. 委託先の責任者が議事録を確認する … 確認が済んでから表を更新し、業務部門と上長に共有します

1番目と2番目を省かないでください。 区分の誤りは、障害を閉じてよいかの判断と、委託先との約束の範囲を左右します。

目標は、1件あたり20分です。 録画の見返しが無くなり、確かめる箇所が時刻で示されることで、見る場所が決まります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
委託先が会議を主催したCopilot は動かない。担当者のメモで作り、次回から自社が主催する
区分の読み上げを忘れた「区分の確認が要る」になる。委託先の責任者に確かめ、次回から読み上げを徹底する
複数の委託先にまたがる障害委託先ごとに担当会社を分けて書かせる。担当会社が言われていなければ「要確認」
会議の後に委託先から原因の追加の報告が来た文字起こしに無い。報告のメールを根拠に担当者が直し、直した記録を残す
委託先の海外の拠点が英語で説明した話し言葉の設定を英語にし、引用は英語のまま残す
会議の途中で文字起こしが止まった止まった後の発言は拾えない。出力の最後の時刻を見て、メモで補う
対策管理表のリストが上限を超えた切り詰められる。年度ごとにリストを分ける
同じ委託先の振り返りが5回を超えた知識の会議は5つまで。古い回を外し、前の約束は表から引く

上から2行目が、最初の数週はいちばん多く起きます。 担当者が読み上げに慣れるまでは、会議の終わりの「約束は何件、検討は何件」を必ず言う決まりにしておくと、抜けた区分がそこで見つかります。

3行目は、担当者が会議で「これはどちらが持ちますか」と聞く決まりにします。 担当会社の無い対策は、どちらも実施しません。

Step11

記録を残す

  • 会議の文字起こしと、会議のチャットに貼った障害の基本情報
  • エージェントの出力(経過・原因・対策・前回までの対策・更新案)の全文
  • 担当者が直した箇所 … どの原因や対策の区分を、どう変えたか
  • 委託先の責任者の確認の記録と、会議の後に委託先から届いた追加の報告
  • 対策管理表の更新の記録と、期限の前に送った問い合わせの日時
  • 会議ごとの「区分の確認が要る」の件数

エージェントの出力は、議事録とは別に保存します。 Copilot との会話の履歴は、文字起こしが使えなくなると消えるとされています。出力を Word の別ファイルとして、障害ごとのフォルダに置きます。

最後の行が減っていけば、区分を会議の中で言い切る習慣が定着したということです。

04実装レベルの3段階

最小構成:会議の Copilot に区分の定義を貼り、原因と対策を区分付きの表にさせる / 1回の会議の原因と対策の一次整理
半自動化:上記+その回と同じ委託先の直近の振り返り会議、対策管理表を知識に持つエージェントで作る / 区分付きの議事録、前回までの対策との突き合わせ、表の更新案
本格構成:上記+委託先の確認の後、対策管理表の更新と、期限の前の問い合わせを Power Automate で行う / 確認済みの対策の反映と、期限の追いかけ

本記事の想定は半自動化です。 1件60分が20分になるのは、録画の見返しと、前回までの対策を表で探す作業が無くなるからです。 本格構成でも、表への反映は委託先の確認の後にします。 Power Automate で表を書き換えるのは、担当者が確認済みの印を付けた行だけにします。約束した対策の期限の5営業日前に、委託先の担当者へ進み具合の問い合わせを送るところまで足せば、期限の日に初めて未実施が分かることが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
24 件
1件あたり現在時間
60 分
1件あたり導入後時間
20 分
現在  24件 × 60分 ÷ 60 = 24 時間/月
導入後 24件 × 20分 ÷ 60 = 8 時間/月
月間削減時間
16h
削減率
67%
年間削減時間
192h
年間金額換算(時間単価4,500円)
86万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 基幹システム・EC サイト・倉庫管理・会員基盤などの開発と運用を複数の委託先に任せ、障害が起きるたびに委託先と振り返り会議を開いている小売・EC・物流・金融・SaaS の企業。月に20件から30件の障害の振り返りを情報システム部の数名で回しており、議事録の作成と対策管理表の更新が会議の数日後になっている場合。委託先が「検討します」と言った対策と「実施します」と約束した対策が議事録の上で区別されず、期限の来た対策が実施されていなかったと後で分かることがある場合。情報システム部の担当者が Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)を使える場合。
向いていない
  1. 障害が月に数件で、振り返りを会議ではなく委託先の報告書の受け取りだけで済ませている場合。振り返り会議を委託先が主催する運用を変えられない場合(社外で主催された会議では Copilot が動きません)。障害の振り返りをチケット管理の仕組みの中で文書だけでやり取りしており、会議の発言が記録の中身を左右しない場合。なお、原因の確定、再発防止策の妥当性の評価、委託先の責任の範囲と契約上の扱いの判断は、情報システム部の責任者と委託先の責任者が行います。この構成は記録を助けるもので、判断は代替しません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の振り返り会議のうち、文字起こしが残っている回を3回選ぶ(うち1回は、後で約束した対策が実施されていなかったと分かった回を入れる)
  2. 会議の後に、会議のチャットか「まとめ」のタブから Copilot を開く
  3. 障害管理規程の原因の区分と対策の区分の定義を Copilot に貼る
  4. 「この会議の原因と再発防止策を、発言の言葉どおりに引用して表にし、原因は確定・推定・調査中、対策は実施を約束・検討に分けてください。区分が言われていないものは『区分の確認が要る』としてください。担当と期限が言われていなければ『要確認』としてください」と指示する
  5. 出てきた表を、当時の議事録と対策管理表と突き合わせる

実施されていなかった対策を含む回は必ず入れてください。 その対策が、当時の議事録では「実施予定」になっていて、表では「検討」や「区分の確認が要る」と出るかを確かめます。

出てきた内容判断
当時の議事録で約束になっていた対策が「検討」と出たエージェントに進む
「検討します」が約束に読み替えられた指示の区分の付け方が効いていない。書き方で直る
ほとんどが「区分の確認が要る」会議の進め方が先。 区分の読み上げを決める

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「検討します」が約束として書かれる区分は読み上げの言葉だけで付けると、規程と指示に書く
推定の原因が確定として書かれる原因の区分を3つに定義し、迷ったら確定にしないと指示する
対策が短く言い換えられる言葉どおりの引用を指示し、システムの名前・設定の値・日付を残させる
委託先の主催で Copilot が使えない自社が主催することを規程に書く
定例の会議で前の回の履歴が消える振り返りの回だけ別の会議にし、出力を別ファイルで保存する
別の会議の対策の話が混ざる知識の会議をその回と同じ委託先の振り返りだけに指定する
委託先の未完了の対策がすべて関係ありと並ぶ同じ名前が出てくるものだけを挙げさせる
一般的な障害対策で補われる「Only use specified sources」と、指示の「補わない」を両方入れる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、言葉の強さを読み替える失敗です。人も同じ失敗をしますが、AIは同じ失敗を毎回同じように繰り返します。区分を規程で定義し、迷ったら弱いほうに倒す向きを決めておけば、毎回同じように防げます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: システムの構成と弱点、障害の原因、未対策の不具合、委託先の担当者の氏名、影響を受けたお客様の件数です。未対策の不具合と構成の組み合わせは、外に出れば攻撃の手がかりになります。

  1. エージェントの共有を絞る … エージェントに埋め込んだ文書は、エージェントを使えるすべての人がその内容に基づく応答を見られるとされています。エージェントは運用管理グループの3名だけに共有します
  2. 知識に入れる会議と表を絞る … Copilot は、利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すとされています。権限の範囲で何でも探せるので、その回と同じ委託先の振り返り会議、今年度の対策管理表だけを指定します
  3. 委託先の出席者に、記録に使うことを伝える … 会議の冒頭で、文字起こしを議事録に使うことを伝えます。委託先の担当者の発言を引用して残すので、委託先の社内でも共有してもらいます
  4. データの扱いを確かめておく … Microsoft の公式ページでは、プロンプト、応答、Microsoft Graph で参照したデータは基盤のモデルの学習に使われないとされています。また、EU 以外の顧客のクエリは米国、EU、その他の地域で処理されうるとされています。自社のクラウドの利用の基準と委託先管理の規程に照らしておきます
  5. 区分を自動で確定させない … 原因の確度も対策の約束も、担当者と委託先の責任者が確かめてから表に入れます
  6. 契約の判断に使わない … 議事録は、委託先の責任の範囲や損害の扱いを決める資料ではありません。契約の話は、責任者どうしが別に行います

誤りが起きた場合のリスクは、検討を約束として表に入れることと、推定の原因を確定として障害を閉じることの2つです。 前者は委託先との関係を損ない、後者は同じ障害の再発を招きます。どちらも規程で区分を定義し、人が文字起こしで確かめることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:障害管理規程に2つを書き足す

規程に、原因の区分(確定・推定・調査中)と対策の区分(実施済み・実施を約束・検討)の定義と、振り返り会議を自社が主催することを書き足します。運用管理グループと上長で作ります。

2週目:3回分の会議で試す

先月の振り返り会議を3回選び、会議の Copilot に定義を貼って、原因と対策を区分付きの表にさせます。後で実施されていなかった対策が、当時の議事録では約束になっていて、表では検討と出るかを最優先で見ます。

3週目:会議の進め方を変える

自社が主催すること、冒頭で障害番号を言うこと、原因と対策ごとに区分を読み上げること、終わりに約束の件数を言い直すことを、次の振り返り会議から始めます。6社の委託先の責任者に、進め方と文字起こしの使い道を伝えます。

4週目:エージェントを作る

Agent Builder で障害振り返りエージェントを作り、指示・規程・要領・様式を入れ、今年度の対策管理表のリストを知識に指定して、運用管理グループの3名にだけ共有します。会議ポリシーで Copilot を「On with saved transcript required」にします。

2か月目: 毎回の振り返り会議で使い、「区分の確認が要る」の件数を数えます。3か月目以降: 1件60分が何分になったかを実測し、約束した対策が期限の前に追いかけられるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-12/最終更新:2026-10-13
確認した内容情報源確認日
会議の後にプロンプトを送ったり会話の履歴を見たりするには文字起こしが必要なこと。会議のチャットの「Open Copilot」や「まとめ」のタブから Copilot を開けること。応答がチャットのメッセージと文字起こしのどこを使ったかを示すこと。社外で主催された会議では Copilot が動かないこと。定期的な会議で後の回の文字起こしが行われると前の回の履歴が使えなくなること。文字起こしが使えなくなると Copilot が使えず履歴も消えることMicrosoft Support: Get started with Copilot in Microsoft Teams meetings2026-10-12
ライセンスを持つ参加者が自分にだけ見えるプロンプトを送れること。会議ポリシーの On with saved transcript required が既定で、主催者の会議オプションが「会議中と会議後」に固定されることMicrosoft Learn: Manage Microsoft Copilot in Teams meetings and events2026-10-12
Agent Builder の知識に、Teams の会議を5つまで、SharePoint のリストを1つまで、埋め込んだファイルを20個まで指定できること。リストが2万行と50MBのテキストまでで、超えると切り詰められ応答にその旨が書かれること。「自分の Teams のチャットと会議」を選ぶとすべての文字起こしと予定表を探すこと。エージェントを使えるすべての人が埋め込んだファイルに基づく応答を見られること。「Only use specified sources」は指定した知識を優先させる設定で、一般的な知識を完全には止めないことMicrosoft Learn: Add knowledge sources to an agent in Agent Builder2026-10-12
Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたこと。利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すこと。プロンプト・応答・Microsoft Graph で参照したデータが基盤のモデルの学習に使われないこと。EU 以外の顧客のクエリが米国・EU・その他の地域で処理されうることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-12

原因を確定とするか、再発防止策が足りるか、委託先の責任と契約上の扱いをどうするかは、情報システム部の責任者と委託先の責任者が決めてください。 本記事は公開されている製品の仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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