Media > AI活用ユースケース > マーケティング > 広告の撮影前の打合せ(Teams)の記録と広告主の資料から、撮影の進行表・カットごとの指示・持ち物・確認事項を撮影指示書にまとめる

広告の撮影前の打合せ(Teams)の記録と広告主の資料から、撮影の進行表・カットごとの指示・持ち物・確認事項を撮影指示書にまとめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

広告の撮影前の打合せ(Teams)の記録と広告主の資料から、撮影の進行表・カットごとの指示・持ち物・確認事項を撮影指示書の案にまとめます。打合せの発言と資料の食い違いには印を付け、プロデューサーの確認に回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
EC/小売/広告/製造
対象部門
マーケティング
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
生成
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
必須
現在工数
60h/月
AI導入後
23h/月
想定削減
62%
年間削減
444h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 広告主の資料を受け取り、撮影ごとのフォルダに入れる
  2. 打合せを開き、メモを取りながらカットごとの内容を決める
  3. 打合せの後、メモと録画を見返し、カットごとの指示を書き出す
  4. 広告主の資料と見比べて、商品の型番・色・パッケージの版、ロゴの扱いを確かめる
  5. 持ち物と確認事項を書き出し、進行表を組む
  6. 撮影指示書を関係者に送る
導入後(After)
  1. 人担当が広告主の資料を撮影ごとの SharePoint のフォルダに入れる。パスワードや機密のラベルで読めない資料は、広告主に外した版を頼む
  2. 人担当が打合せを主催する。前日に、カットの一覧の番号と仮の名前を会議のチャットに貼る
  3. 人打合せの冒頭で、文字起こしを指示書づくりに使うことを出席者に伝え、了解を得てから始める
  4. 人打合せでは、カットに入るたびに「カット12、商品の正面」と番号で呼ぶ。最後に、決まったことと広告主の確認待ちを読み上げる
  5. 人打合せの当日中に、担当がその撮影の「撮影指示書エージェント」で指示書の案を作らせる
  6. 自動エージェントが、カットの番号ごとに、構図・商品・背景・小道具・衣装の指示を、発言の引用と時刻を付けて出す
  7. 自動エージェントが、各指示に「決定」「広告主の確認待ち」「案のみ」を付ける
  8. 自動エージェントが、打合せの発言と広告主の資料が食い違う箇所に印を付ける
  9. 自動エージェントが、持ち物の一覧、確認事項の一覧、進行表の案を出す
  10. 人担当が、印と確認待ちを先に見て広告主に確かめ、指示書を整えて関係者に送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 広告主の資料を受け取り、撮影ごとのフォルダに入れる
  2. 打合せを開き、メモを取りながらカットごとの内容を決める
  3. 打合せの後、メモと録画を見返し、カットごとの指示を書き出す
  4. 広告主の資料と見比べて、商品の型番・色・パッケージの版、ロゴの扱いを確かめる
  5. 持ち物と確認事項を書き出し、進行表を組む
  6. 撮影指示書を関係者に送る

(a)見比べに時間がかかる。 打合せで決まったカットを、企画書と仕様書とブランドの規定に1つずつ照らします。60カットの撮影では、照らすだけで1時間を超えます。 撮影が週に2件重なると、指示書が撮影の前日にずれ込みます。

(b)確認待ちが決定として書かれる。 打合せで広告主の担当が「ブランドの担当に聞いてみます」と言った背景の色を、指示書に「背景:白」と書いてしまう。当日、広告主のブランドの担当が現場で「グレーのはず」と言い、撮影が止まります。

(c)持ち物が漏れる。 打合せの途中で「予備の商品を2つずつ」「季節の小物を少し」と出た話が、メモに残らずに当日を迎えます。 商品の予備が無いと、傷が見つかったときに撮り直せません。

(d)資料と打合せの食い違いに気づかない。 企画書のパッケージは旧版、打合せでは新版の話をしていた。指示書は企画書から書かれ、当日、旧版の商品が現場に届きます。 撮り直しになれば、スタジオとスタッフの1日分がもう一度かかります。

  1. 【人】 担当が広告主の資料を撮影ごとの SharePoint のフォルダに入れる。パスワードや機密のラベルで読めない資料は、広告主に外した版を頼む
  2. 【人】 担当が打合せを主催する。前日に、カットの一覧の番号と仮の名前を会議のチャットに貼る
  3. 【人】 打合せの冒頭で、文字起こしを指示書づくりに使うことを出席者に伝え、了解を得てから始める
  4. 【人】 打合せでは、カットに入るたびに「カット12、商品の正面」と番号で呼ぶ。最後に、決まったことと広告主の確認待ちを読み上げる
  5. 【人】 打合せの当日中に、担当がその撮影の「撮影指示書エージェント」で指示書の案を作らせる
  6. 【自動】 エージェントが、カットの番号ごとに、構図・商品・背景・小道具・衣装の指示を、発言の引用と時刻を付けて出す
  7. 【自動】 エージェントが、各指示に「決定」「広告主の確認待ち」「案のみ」を付ける
  8. 【自動】 エージェントが、打合せの発言と広告主の資料が食い違う箇所に印を付ける
  9. 【自動】 エージェントが、持ち物の一覧、確認事項の一覧、進行表の案を出す
  10. 【人】 担当が、印と確認待ちを先に見て広告主に確かめ、指示書を整えて関係者に送る

4番目の番号で呼ぶ決まりが、この設計の分かれ目です。 打合せでは「さっきの、あの正面のやつ」と話が戻ります。番号で呼ばれていれば、エージェントは話が散らばってもカットごとに集められます。

8番目の食い違いの印は、どちらが正しいかを決めません。 打合せの発言と資料の両方を並べ、広告主に確かめる事項として確認事項の一覧の先頭に置きます。

02今回想定するシステム構成

構成図
広告主の資料(企画書・商品の仕様書・ブランドの規定)→ 撮影ごとの SharePoint のフォルダ
打合せの前日:カットの一覧の番号と仮の名前を会議のチャットへ
   ▼
Teams 会議(制作会社の担当が主催。出席者の了解を得て文字起こしを開始)
   │  カットを番号で呼ぶ/最後に決まったことと確認待ちを読み上げる
   ▼【トリガー】打合せの終了と文字起こしの保存
Microsoft Copilot(Agent Builder で撮影ごとに作る撮影指示書エージェント)
   │  知識:その撮影の打合せ(会議を指定)とそのチャット
   │        その撮影のフォルダ(広告主の資料とカットの一覧)
   │        撮影指示書の様式と社内の撮影の手引(埋め込んだ文書)
   ├──▶ カットごとの指示(決定/広告主の確認待ち/案のみ、引用と時刻)
   ├──▶ 打合せと資料の食い違いの印
   └──▶ 持ち物の一覧/確認事項の一覧/進行表の案
   ▼【担当が確認待ちと印を広告主に確かめる】
撮影指示書を関係者へ送付
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot。Teams 会議の Copilot と、Agent Builder で作る撮影指示書エージェント)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
会議Microsoft Teams(文字起こし)Zoom の文字起こし
保管SharePoint(撮影ごとのフォルダ)-

新しく足すのは、制作部6名の Copilot のライセンスと、撮影ごとのエージェントだけです。 広告主やカメラマンの側にライセンスは要りません。Teams 会議の Copilot は、会議の参加者のうち Copilot のライセンスを持つ人が、自分にだけ見えるプロンプトを送れるとされています。

打合せは、制作会社の担当が主催します。 公式のページでは、参加者の組織の外で主催された会議では Copilot が動かないとされています。広告主や代理店が会議を設定してくることが多いので、「指示書を早くお送りするため、こちらで設定させてください」と伝えます。

エージェントは撮影ごとに1つ作り、撮影が終わったら消します。 同じ業種の広告主を複数受けているので、1つのエージェントに2社の資料が入ると、A社の新商品の情報がB社の指示書に出るおそれがあります。 撮影ごとに分ければ、知識に入るのはその撮影の資料と打合せだけです。

広告主の資料は、エージェントに埋め込まず、撮影ごとのフォルダを知識に指定します。 公式のページでは、埋め込んだファイルはエージェントを使えるすべての人がアクセスできるとされ、SharePoint のファイルは既存の権限と機密のラベルに従うとされています。フォルダの権限で、その撮影の担当だけが見られる形にします。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

打合せが終わり、文字起こしが保存されたことを起点にします。 Teams 会議の Copilot は、会議が終わった後に質問するには文字起こしが必要とされています。出席者の了解が得られず文字起こしをしなかった打合せは、この構成に乗りません。

担当の会議ポリシーは、Copilot を「On with saved transcript required」にします。 公式のページでは、これが既定の値で、主催者の会議オプションが「会議中と会議後」に固定されるとされています。文字起こしを始めるのは、出席者の了解を得てからです。

エージェントを作るのは、打合せの日程が決まった時点です。 撮影ごとのフォルダと、打合せの会議を知識に指定し、埋め込む文書(様式と手引)と指示は、共有のフォルダにある1つの版を写します。 作る手間は1件あたり数分で、第10章の数字に含めています。

指示書の案を作らせるのは、打合せの当日中です。 担当は打合せに出ていたので、決定と確認待ちの取り違えに記憶で気づけます。確認待ちを広告主に早く投げるほど、撮影の3日前までに指示書を送れます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
文字起こし発言者と時刻の付いた打合せの発言Teams 会議の記録
会議のチャット前日に貼ったカットの一覧の番号と仮の名前、打合せ中に貼られた型番や参考の写真の名前会議のチャット
企画書撮影の目的、媒体、カットの構成、雰囲気の参考撮影ごとのフォルダ(PDF・PowerPoint)
商品の仕様書型番、色、パッケージの版、発売日、撮影に使える個数同上
ブランドの規定ロゴの扱い、色の指定、使ってはいけない背景や表現同上
カットの一覧カットの番号、仮の名前、媒体、縦横の比同上(表計算のブック。1枚のシート)
撮影指示書の様式と社内の撮影の手引欄の並び、持ち物の定番、進行表の組み方の目安エージェントの知識(埋め込んだ文書)

質を決めるのは、カットの一覧の番号です。 番号が打合せの前に決まっていれば、打合せの発言、企画書、指示書が同じ番号でつながります。 番号の無い撮影では、エージェントがカットの切れ目を推し量ることになります。

カットの一覧は、1つのブックの1枚のシートにまとめます。 公式のページでは、Excel のデータは、ブックの中の1枚のシートにあるときに最もよく答えるとされています。媒体ごとにシートを分けていた一覧は、媒体の列を足して1枚に直します。

【カットの一覧(D社 秋の新商品 11/5 撮影)】
番号  仮の名前                 媒体         比
C01   商品の正面(白背景)     ECサイト     1:1
C02   商品の斜め45度           ECサイト     1:1
C12   モデルが手に持つ         SNS広告      4:5
C13   キッチンでの使用場面     SNS広告      9:16

会議のチャットには、この一覧の番号と仮の名前だけを貼ります。 公式のページでは、文字起こしが始まると、会議の24時間前までのチャットが Copilot の材料に含まれるとされています。打合せの24時間前より後に貼ります。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
文字起こしと会議のチャットエージェントの知識に、その撮影の打合せとそのチャットを指定するカットごとの指示、区分、持ち物、確認事項
広告主の資料エージェントの知識に、撮影ごとのフォルダを指定する型番・色・版・ロゴの扱いの照合
カットの一覧同上(フォルダの中のブック)カットの番号と媒体と比
様式と手引エージェントに埋め込んだ文書指示書の形、持ち物の定番、進行表の目安

打合せは個別に指定します。 公式のページでは、「自分の Teams のチャットと会議」をまとめて選ぶとすべての会議の文字起こしと予定表を探すとされています。担当は複数の広告主の打合せを持つので、その撮影の打合せだけを指定します。 打合せが2回あれば、2回とも指定します。

広告主の資料が知識に入っているかを、最初に確かめます。 公式のページでは、パスワードで保護されたファイルは使えず、暗号化を伴う機密のラベルが付いた他のテナントのファイルは、取り込まれても知識として使われないとされています。広告主の資料には、こうした保護が付いていることがあります。エージェントの「試す」の画面で、資料の型番を聞いて答えが返るかを確かめます。 返らなければ、広告主に保護を外した版を頼むか、その資料は担当が見比べます。

新しく入れた資料は、すぐには使われません。 公式のページでは、SharePoint に上げたファイルが使われるまで数分かかることがあり、その間は「準備中」と表示されるとされています。打合せの直前に届いた資料は、表示を見てから作らせます。

「指定した知識だけを使う」設定を有効にします。 Agent Builder の「Only use specified sources」は、指定した知識を優先させる設定で、一般的な知識を完全には止めないとされています。指示の側でも「一般的な撮影の定番で補わない」と書いておきます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 資料を撮影ごとのフォルダに入れ、読めるかを確かめる … パスワードや機密のラベルで読めない資料は、広告主に外した版を頼みます
  2. カットの一覧に番号を付け、1枚のシートにまとめる
  3. 打合せを制作会社の担当が主催する … 広告主や代理店から届いた招待は使わず、こちらで設定し直します
  4. 打合せの24時間前より後に、カットの番号と仮の名前をチャットに貼る
  5. 打合せの冒頭で、指示書づくりに使うことを伝える … 了解が得られてから文字起こしを始めます
  6. カットを番号で呼ぶ … 「カット12、モデルが手に持つ場面です」と、カットに入るたびに言います
  7. 最後に、決まったことと広告主の確認待ちを読み上げる … 「背景のグレーは確認待ち、D社の田中様が金曜までに返事」と言います

6番目と7番目は、打合せの進め方の決まりです。 システムの前処理ではなく、担当が打合せの中で行う前処理です。この構成では、ここを整えるほうが指示を工夫するより効きます。

7番目で、確認待ちに「誰が・いつまでに返事をするか」まで言わせます。 返事の期限が指示書の確認事項の欄に入れば、撮影の3日前までに返事が来ていない事項を、担当が追いかけられます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、カットの番号ごとに打合せの発言を集めて区分を付け、資料と照らして食い違いに印を付け、持ち物・確認事項・進行表を様式の形で出すことだけです。

拾うもの拾い方拾えないときの扱い
カットごとの指示構図・商品の向き・背景・小道具・衣装の発言を、カットの番号ごとに引用する話に出なければ「打合せで話に出ず」
区分決定/広告主の確認待ち/案のみ決められなければ「区分の確認が要る」
食い違い発言の型番・色・版・ロゴの扱いが、資料の記載と違う箇所-
持ち物商品(型番と個数、予備)、小道具、衣装、機材以外の持ち込み物個数が言われていなければ「個数未定」
確認事項確認待ちの内容、誰が返事をするか、期限期限が無ければ「期限未定」
進行表の案カットの順番と、手引の目安の時間で組んだ時刻順番が話に出なければ一覧の番号順

区分の決め方は、言葉で決めます。 広告主の担当が「それでお願いします」と言い、最後の読み上げで確かめたものだけを決定にします。「確認します」「社内に聞きます」は広告主の確認待ち、「こういうのもありですね」で終わったものは案のみです。

させないこと理由
確認待ちを決定に書き換える当日に広告主の担当から止められる
食い違いのどちらが正しいかを決めるパッケージの版や色は、広告主にしか決められない
広告の表現が法令に合っているかを書く表現の判断は広告主と制作会社の責任者が行う
モデルや素材の使用の条件を書き足す起用の条件は契約で決まる。話に出たものを確認事項に入れるだけ
一般的な撮影の定番で持ち物を足す手引の定番は手引から。手引に無い物を足さない

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 「白とグレーの両方を撮りましょう、グレーはブランドの担当に確認します」という発言から、「背景:白、グレー」と書いてしまいます。 グレーは確認待ちです。迷ったときは決定を選ばない、と指示に書きます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは広告の制作会社のプロデューサーを手伝い、撮影前の打合せと
広告主の資料から、撮影指示書の案を作る立場です。
この撮影の打合せの文字起こしとチャット、この撮影のフォルダの資料、
埋め込んだ撮影指示書の様式と社内の撮影の手引だけを見てください。
一般的な撮影の定番や、他の撮影の内容で補わないでください。

【カットごとの指示】
- カットの一覧の番号ごとに、構図・商品の向き・背景・小道具・衣装の
  発言を集め、発言者と時刻と引用を付けてください。
- 区分を付けてください。
  決定:広告主の担当が了承し、最後の読み上げで確かめたもの。
  広告主の確認待ち:「確認します」「社内に聞きます」と述べたもの。
  案のみ:案が出たが、了承も確認も述べられていないもの。
  迷ったときは「決定」を選ばないでください。

【資料との照合】
- 発言の型番・色・パッケージの版・ロゴの扱いが、資料の記載と違う箇所を、
  発言(引用と時刻)と資料(ファイル名とページ)を並べて示してください。
- どちらが正しいかは書かないでください。

【持ち物・確認事項・進行表】
- 持ち物:商品は型番と個数と予備の数を、話に出たとおりに。
  個数が言われていなければ「個数未定」。
- 確認事項:確認待ちの内容、返事をする人、期限。期限が無ければ「期限未定」。
  食い違いの印は、確認事項の先頭に入れてください。
- 進行表:話に出た順番、なければカットの一覧の番号順で、
  手引の目安の時間で組んでください。

【厳守事項】
- 広告の表現が法令や規定に合っているかを書かないでください。
- モデルや素材の使用の期間・媒体などの条件を書き足さないでください。
  話に出たものは確認事項に入れてください。
- 手引に無い持ち物を足さないでください。

【出力】
1. 確認事項(食い違いの印を先頭に)
2. カットごとの指示(表。区分つき)
3. 持ち物の一覧
4. 進行表の案
5. 担当への注意(区分の確認が要る・個数未定・話に出なかったカット)

この指示は、エージェントの指示として Agent Builder に書いておきます。 共有のフォルダに1つの版を置き、撮影ごとのエージェントを作るときに写します。

出力の順番を「確認事項が先」にしているのは、担当が最初にすることが広告主への確認だからです。 指示書を整えるのは、確認の返事を待つあいだにできます。

Step7

出力形式を固定する

エージェントには、撮影指示書の様式と同じ欄の並びの表で返させます。 担当は確かめた表を、そのまま様式の Word に移せます。欄の並びを様式と合わせておくことが、この構成での構造化の役目です。

【確認事項(D社 秋の新商品 11/5 撮影)】
| 種類 | 内容 | 根拠 | 返事をする人 | 期限 |
| 食い違い | パッケージの版:打合せ「新しいパッケージで」/企画書 p.4 は旧版の写真 | 00:14:30/企画書.pdf p.4 | D社 田中様 | 期限未定 |
| 確認待ち | C01 の背景をグレーでも撮るか | 00:22:10 | D社 田中様 | 10/31 |

【カットごとの指示】
| 番号 | 構図・向き | 背景 | 小道具 | 区分 | 根拠 |
| C01 | 正面、ロゴが見える向き | 白 | なし | 決定 | 00:21:40 |
| C01 | 同上 | グレー | なし | 広告主の確認待ち | 00:22:10 |
| C12 | モデルが右手で持つ、胸の高さ | 木目のテーブル | 季節の小物 | 決定 | 00:35:05 |

【持ち物】
| 品目 | 個数 | 根拠 |
| 新商品(DK-210 ブラウン) | 4(うち予備2) | 00:18:50 |
| 季節の小物 | 個数未定 | 00:35:20 |

1つ目の理由は、食い違いが確認事項の先頭にあることです。 上の例では、パッケージの版が打合せと企画書で違います。撮影の前に広告主に確かめれば、当日に旧版が届くことを防げます。

2つ目は、同じカットの決定と確認待ちが別の行になることです。 C01 の白背景は決定、グレーは確認待ちと、行で分かれていれば、当日に撮るものと撮るかもしれないものが現場で読み分けられます。

3つ目は、すべての行に根拠があることです。 打合せの時刻か、資料のファイル名とページです。担当は根拠から発言や資料を開いて確かめられます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Teams 会議エージェントの知識に打合せとそのチャットを指定文字起こしとチャットを読む
撮影ごとのフォルダエージェントの知識にフォルダを指定広告主の資料とカットの一覧を読む。書き込まない
撮影指示書担当が確かめた表を様式の Word に移す進行表、カットごとの指示、持ち物、確認事項
広告主への確認担当が確認事項をメールで送る食い違いと確認待ち、返事の期限
関係者への送付担当が指示書を送るカメラマン、スタイリスト、広告主、代理店

エージェントの出力を、そのまま関係者に送りません。 確認待ちの返事を反映し、担当が整えた指示書だけを送ります。エージェントの出力には根拠の時刻や引用が並び、関係者向けの文書ではないからです。

撮影ごとのフォルダには、エージェントから何も書き込みません。 広告主の資料は、広告主から届いたままの形で残します。

Step9

人が確認する

この構成では、全件を担当が確かめます。 撮影指示書は、当日の現場の全員が従う文書だからです。

  1. 確認事項の食い違いを先に見る … 発言と資料を開き、本当に食い違っているかを確かめ、広告主に送ります
  2. 「決定」の行を読み上げと照らす … 最後の読み上げで確かめた内容かを見ます
  3. 持ち物の商品の型番と個数を仕様書と照らす … 型番と色を1つずつ見ます
  4. 話に出なかったカットを見る … 打合せで飛ばしたカットの扱いを、広告主に確かめます
  5. 進行表を現場の目で見直す … 衣装の替えやセットの組み替えの時間が入っているかを見ます

3番目を省かないでください。 型番と色の1字違いは、当日に違う商品が現場に届くことに直結します。 撮り直しの費用は、指示書を書く時間よりはるかに大きくなります。

目標は、1件あたり46分です。 録画の見返しと資料との見比べが、印と根拠を確かめる作業に変わることで、見る場所が決まります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
広告主や代理店が主催した打合せだったCopilot は動かない。担当のメモで作り、次回から制作会社が主催する
出席者が文字起こしに同意しなかったこの構成の対象から外し、従来どおりメモで作る
広告主の資料が知識として使われないパスワードや他社のテナントの暗号化を伴うラベルを疑う。外した版を頼むか、担当が見比べる
打合せの直前に資料が届いた「準備中」の表示が消えてから作らせる
カットを番号で呼ばずに話した「区分の確認が要る」が増える。担当が記憶と時刻で番号を付け直す
打合せが2回あり、2回目で内容が変わった両方を知識に入れ、後の回の発言を新しいものとして並べさせ、担当が確かめる
参考の写真を画面で見せて決めた画面の中身は文字起こしに入らない。写真のファイル名をチャットに貼ってもらう
撮影の日程が延びたエージェントを残し、新しい打合せを知識に足して作り直す
撮影が終わったエージェントを消す。指示書と出力は撮影ごとのフォルダに残す

上から3行目は、運用を始めて最初に当たる例外です。 広告主の資料が知識として使われていないまま作らせると、食い違いの印が1件も出ず、「食い違いが無い」と読み違えます。 「試す」の画面で型番を聞く確認を、作るたびの決まりにします。

Step11

記録を残す

  • 打合せの文字起こしと、会議のチャットに貼ったカットの一覧
  • エージェントの出力(確認事項・カットごとの指示・持ち物・進行表)の全文
  • 担当が直した箇所 … どの行の区分や内容を、どう変えたか
  • 広告主への確認の送付と返事
  • 関係者に送った撮影指示書の最終版と、送った日
  • 撮影ごとの食い違いの件数と、当日に起きた持ち物の漏れや取り違え

エージェントの出力は、指示書とは別に保存します。 公式のページでは、文字起こしが使えなくなると Copilot とのやり取りの履歴も消えるとされています。撮影が終わってエージェントを消す前に、出力を Word の別ファイルとして撮影ごとのフォルダに置きます。

当日に起きた漏れや取り違えの記録は、手引を直す材料になります。 同じ種類の漏れが続くなら、手引の持ち物の定番か、指示の決まりに1行足します。

04実装レベルの3段階

最小構成:会議の Copilot に区分の決め方と欄を貼り、カットごとの表を作らせる / 1回の打合せの一次整理
半自動化:上記+撮影ごとのエージェントで、打合せと広告主の資料とカットの一覧を知識に持たせて作る / 資料との照合、区分、持ち物、確認事項、進行表の案
本格構成:上記+確認事項の送付と返事の追いかけを Power Automate で行う / 確認の送付と期限の通知

本記事の想定は半自動化です。 1件120分が46分になるのは、録画の見返しと、資料との見比べが印と根拠の確認に変わるからです。 本格構成でも、確認事項を送るのは担当が確かめた後にします。 食い違いの印には、担当が開いて「食い違いではなかった」と分かるものも混ざるからです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
30 件
1件あたり現在時間
120 分
1件あたり導入後時間
46 分
現在  30件 × 120分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 30件 × 46分 ÷ 60 = 23 時間/月
月間削減時間
37h
削減率
62%
年間削減時間
444h
年間金額換算(時間単価4,500円)
200万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 広告主や代理店から商品・人物の静止画や動画の撮影を毎月数十件受け、撮影の前に Teams で打合せを開いて、プロデューサーや制作進行が撮影指示書を書いている広告の制作会社。打合せで決まったことと広告主の資料を突き合わせて指示書に起こす作業に時間がかかり、撮影の当日に持ち物の漏れや商品の版の取り違えが起きることがある場合。指示書の書き方が担当ごとに違う場合。担当が Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)を使える場合。
向いていない
  1. 撮影が月に数件で、指示書を手で書いても負担にならない場合。撮影前の打合せをほとんど広告主や代理店が主催する場合(Copilot が使えない)。広告主の資料の多くに、社外のテナントの暗号化を伴う機密のラベルやパスワードが付いていて外せない場合。なお、広告の表現が法令や広告主の規定に合っているか、モデルや素材の権利の条件を満たしているかの判断は、広告主と制作会社の責任者が行います。この構成は指示書の案を作るもので、判断は代替しません。

07最小構成で試す方法

  1. 文字起こしが残っている先月の撮影前の打合せを3件選ぶ(当日に何かが漏れた撮影を入れる)
  2. 打合せの後に、会議のチャットか「まとめ」のタブから Copilot を開く
  3. 区分の決め方と、撮影指示書の欄の並びを Copilot に貼る
  4. 「この打合せを、カットごとの指示、持ち物、確認事項の表にしてください。決定・広告主の確認待ち・案のみを分け、迷ったら決定にしないでください。すべての行に時刻を付けてください」と指示する
  5. 出てきた表を、当時の指示書と、当日に起きたことと突き合わせる

当日に何かが漏れた撮影を入れるのは、この構成がそれを拾えたかを見るためです。 当日に足りなかった予備の商品が、打合せのどこかで話に出ていたかを見ます。

出てきた内容判断
当時の指示書に無かった持ち物や確認待ちが出たエージェントに進む
確認待ちが決定になった指示の区分の決め方が効いていない。書き方で直る
カットごとにまとまらない打合せの進め方が先。 カットを番号で呼ぶ

1行目が出たら、この構成の価値はそこにあります。 当日の漏れの多くは、打合せで一度は話に出ていて、指示書に移るときに落ちたものです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
確認待ちが決定になる決定を読み上げで確かめたものに限り、迷ったら決定にしない
広告主の資料が知識として使われないパスワードと他社のテナントの暗号化を伴うラベルを外した版を頼み、「試す」の画面で型番を聞いて確かめる
食い違いのどちらかを選んでしまう両方を並べるだけにし、どちらが正しいかを書かせない
別の広告主の情報が混ざるエージェントを撮影ごとに作り、終わったら消す
カットごとにまとまらない打合せでカットを番号で呼ぶ
チャットに貼った一覧が読まれない打合せの24時間前より後に貼る
広告主の主催で Copilot が使えない制作会社が主催することを最初に伝える
一般的な撮影の定番で持ち物が足される「Only use specified sources」と、指示の「補わない」を両方入れる
カットの一覧が読まれにくい媒体ごとのシートをやめ、1枚のシートにまとめる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 前者は撮影の当日に止まる失敗、後者は食い違いが1件も出ずに安心してしまう失敗です。読み上げの決まりと、作るたびの「試す」の確認を入れれば、毎回同じように防げます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 発売前の新商品の型番・色・パッケージ、広告主の企画とブランドの規定、モデルの名前と起用の条件、打合せの出席者の名前です。発売前の商品の情報は、広告主との契約で秘密として扱う決まりがあることが多く、同じ業種の別の広告主には決して知られてはならない情報です。

  1. エージェントを撮影ごとに分ける … 1つのエージェントに2社の資料を入れません。撮影が終わったら、出力を保存してから消します
  2. 広告主の資料を埋め込まない … 埋め込んだファイルは、エージェントを使えるすべての人がアクセスできるとされています。資料は撮影ごとのフォルダに置き、フォルダの権限で担当を絞ります
  3. 見られる範囲は権限に従う … Copilot は、利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。撮影ごとのフォルダの権限を、その撮影の担当とプロデューサーに絞ります
  4. データの扱いを確かめておく … Microsoft の公式ページでは、プロンプト、応答、Microsoft Graph で参照したデータは基盤のモデルの学習に使われないとされています。広告主との契約で、資料を社内のどの仕組みで扱ってよいかが決まっていることがあるので、照らしておきます
  5. 広告主の保護を勝手に外さない … パスワードや機密のラベルは、広告主に外した版を頼み、制作会社の側では外しません
  6. 表現と権利の判断を自動で確定させない … 広告の表現が法令や規定に合っているか、モデルや素材の使用の条件を満たしているかは、広告主と制作会社の責任者が決めます

誤りが起きた場合のリスクは、別の広告主の情報が指示書に入ることと、確認待ちを決定として現場に送ることの2つです。 前者はエージェントを撮影ごとに分けることで防ぎ、後者は区分の決まりと担当の確認で防ぎます。どちらも、根拠の付いた出力を担当が確かめることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:様式と手引とカットの一覧を整える

撮影指示書の様式を、確認事項、カットごとの指示、持ち物、進行表の順に並べ直します。社内の撮影の手引に、持ち物の定番と進行表の目安の時間を書き出します。カットの一覧を、番号付きの1枚のシートの形にそろえます。

2週目:3件で試す

先月の打合せから3件を選び、会議の Copilot に区分の決め方と欄を貼って、カットごとの表を作らせます。当日に漏れた持ち物や確認待ちが、表に出るかを最優先で見ます。

3週目:打合せの進め方を決める

打合せを制作会社が主催すること、前日の午後にカットの番号をチャットに貼ること、冒頭で指示書づくりに使うことを伝えること、カットを番号で呼ぶこと、最後に決まったことと確認待ちを読み上げることを、6名で決めます。広告主や代理店への説明の文面も用意します。

4週目:エージェントの指示と作り方を決める

指示と埋め込む文書の版を共有のフォルダに置き、撮影ごとに作る手順と、作るたびの「試す」の確認を決めます。会議ポリシーで Copilot を「On with saved transcript required」にします。

2か月目: 30件すべての撮影で回し、食い違いの件数と、当日の漏れや取り違えを数えます。3か月目以降: 1件120分が何分になったかを実測します。撮影の3日前までに、確認待ちに返事のそろった指示書が関係者に届くようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-12/最終更新:2026-10-13
確認した内容情報源確認日
会議の後に Copilot に質問するには文字起こしが必要なこと。文字起こしがあるとき Copilot が会議のチャットと文字起こしの両方を使い、会議の24時間前までのチャットを含めること。会議のチャットや「まとめ」のタブから Copilot を開けること。社外で主催された会議では Copilot が動かないこと。文字起こしが使えなくなると Copilot が使えず履歴も消えることMicrosoft Support: Get started with Copilot in Microsoft Teams meetings2026-10-12
ライセンスを持つ参加者が自分にだけ見えるプロンプトを送れること。会議ポリシーの On with saved transcript required が既定で、主催者の会議オプションが「会議中と会議後」に固定されることMicrosoft Learn: Manage Microsoft Copilot in Teams meetings and events2026-10-12
Agent Builder の知識に Teams の会議とチャット、SharePoint のファイル・フォルダを指定できること。SharePoint のファイルは既存の権限と機密のラベルに従うこと。上げたファイルが使われるまで数分かかり「準備中」と表示されること。Excel のデータはブックの中の1枚のシートにあるときに最もよく答えること。「自分の Teams のチャットと会議」を選ぶとすべての文字起こしと予定表を探すこと。埋め込んだファイルはエージェントを使えるすべての人がアクセスできること。パスワードで保護されたファイルは使えず、暗号化を伴う機密のラベルが付いた他のテナントのファイルは知識として使われないこと。「Only use specified sources」は指定した知識を優先させる設定で、一般的な知識を完全には止めないことMicrosoft Learn: Add knowledge sources to an agent in Agent Builder2026-10-12
Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたこと。利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すこと。プロンプト・応答・Microsoft Graph で参照したデータが基盤のモデルの学習に使われないことMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-12

広告の表現が法令や広告主の規定に合っているか、モデルや素材の使用の条件を満たしているかは、広告主と制作会社の責任者が決めてください。 本記事は公開されている製品の仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1294)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次