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特許・ノウハウのライセンス交渉の Teams 会議の記録から、料率・一時金・地域などの条件ごとに提示・合意・持ち帰りを整理し、案件の交渉履歴に追記する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

特許・ノウハウのライセンス交渉の Teams 会議の記録から、料率・一時金・地域などの条件ごとに、どちらが何を提示し、合意か持ち帰りかを整理します。それを案件ごとの交渉履歴に足す行の案にし、知財部の担当者の確認に回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/医療/製造
対象部門
法務/知財
対象業務
台帳・マスタ管理/記録・議事録作成
主な課題
引き継ぎができていない/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
必須
現在工数
30h/月
AI導入後
11h/月
想定削減
63%
年間削減
228h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当が会議を設定し、研究所の担当と相手方を招く
  2. 会議中、担当はメモを取りながら交渉に加わる
  3. 会議の後、メモと録画を見返し、条件ごとに相手方と自社の提示を書き出す
  4. 交渉履歴のブックを開き、前回までの提示と見比べて、動いた条件を確かめる
  5. 条件ごとの行を書き足し、持ち帰りの持ち主と期限を書く
  6. 上長に、今回動いた条件と次回の方針の相談をメールで送る
導入後(After)
  1. 人担当が会議を主催し、前日に「今回扱う条件の一覧と前回の値」を会議のチャットに貼る
  2. 人会議の冒頭で、文字起こしを交渉の記録に使うことを相手方に伝え、了解を得てから始める
  3. 人会議の最後に、担当が条件ごとに「今日の提示と状態」を読み上げ、相手方に確かめる
  4. 人会議の後1時間以内に、担当が「交渉履歴エージェント」で、その会議を指定して作らせる
  5. 自動エージェントが、条件ごとに双方の提示を引用し、前回の値と並べる
  6. 自動エージェントが、条件ごとに「合意」「持ち帰り(自社)」「持ち帰り(相手方)」「提示のみ」を付ける
  7. 自動エージェントが、条件どうしの結び付きの発言と、研究所の担当の発言の中の条件に当たるものを拾う
  8. 自動エージェントが、交渉履歴に足す行の案と、上長への報告の要点を出す
  9. 人担当が、提示の数字と結び付きを文字起こしで確かめ、交渉履歴に行を足す
  10. 人上長に報告し、次回の方針を相談する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当が会議を設定し、研究所の担当と相手方を招く
  2. 会議中、担当はメモを取りながら交渉に加わる
  3. 会議の後、メモと録画を見返し、条件ごとに相手方と自社の提示を書き出す
  4. 交渉履歴のブックを開き、前回までの提示と見比べて、動いた条件を確かめる
  5. 条件ごとの行を書き足し、持ち帰りの持ち主と期限を書く
  6. 上長に、今回動いた条件と次回の方針の相談をメールで送る

(a)推移が書かれない。 「料率:相手方3%提示」とだけ書き、前回が2.5%だったのか3.5%だったのかが行に無い。上長への報告のたびに、担当者が前の行を遡って説明します。推移が見えないと、相手方が歩み寄っているのか、押し返しているのかが読めません。

(b)結び付きが落ちる。 相手方が「独占にするなら最低実施料は受けます」と言った。メモには「最低実施料:相手方受諾」とだけ残り、「独占にするなら」という前提が消えます。 次の回で自社が非独占の案を出したとき、相手方は最低実施料を引っ込め、自社の側は「受諾したはずだ」と食い違います。

(c)研究所の担当の発言が拾われない。 技術の説明の途中で、研究所の担当が「改良した配合は御社で使っていただいて構いません」と言うことがあります。改良技術の扱いは、交渉の条件そのものです。 知財部の担当が別の話をしていると、メモに残りません。

(d)担当の交代で経緯が途切れる。 異動や休職で担当が代わると、後任は交渉履歴と録画を一から見直します。 1件の交渉で会議が10回を超えていれば、見直すだけで数日かかります。

  1. 【人】 担当が会議を主催し、前日に「今回扱う条件の一覧と前回の値」を会議のチャットに貼る
  2. 【人】 会議の冒頭で、文字起こしを交渉の記録に使うことを相手方に伝え、了解を得てから始める
  3. 【人】 会議の最後に、担当が条件ごとに「今日の提示と状態」を読み上げ、相手方に確かめる
  4. 【人】 会議の後1時間以内に、担当が「交渉履歴エージェント」で、その会議を指定して作らせる
  5. 【自動】 エージェントが、条件ごとに双方の提示を引用し、前回の値と並べる
  6. 【自動】 エージェントが、条件ごとに「合意」「持ち帰り(自社)」「持ち帰り(相手方)」「提示のみ」を付ける
  7. 【自動】 エージェントが、条件どうしの結び付きの発言と、研究所の担当の発言の中の条件に当たるものを拾う
  8. 【自動】 エージェントが、交渉履歴に足す行の案と、上長への報告の要点を出す
  9. 【人】 担当が、提示の数字と結び付きを文字起こしで確かめ、交渉履歴に行を足す
  10. 【人】 上長に報告し、次回の方針を相談する

3番目の読み上げが、この設計の分かれ目です。 「料率は御社3%、当社3.5%で、双方持ち帰り。一時金は御社が5,000万円を受諾、ただし料率3%が前提」と言えば、数字と前提が会議の中で双方に確かめられます。 読み上げで確かめていない数字は、合意として扱いません。

8番目は交渉履歴に足す行の「案」で、追記そのものではありません。 交渉履歴に書くのは担当者です。数字を1桁取り違えた行がそのまま残ると、次の回の条件表に入ります。

02今回想定するシステム構成

構成図
会議の前日:今回扱う条件の一覧と前回の値(料率・一時金・最低実施料・地域・分野・独占か・改良技術・再許諾)を会議のチャットへ
   ▼
Teams 会議(自社の担当が主催。相手方の了解を得て文字起こしを開始)
   │  最後に、条件ごとの今日の提示と状態を読み上げる
   ▼【トリガー】会議の終了と文字起こしの保存
Microsoft Copilot(Agent Builder で作る交渉履歴エージェント)
   │  知識:その案件の交渉の会議(会議を指定)
   │        その案件の交渉履歴(SharePoint のブック)
   │        交渉の手引と、履歴の行の様式(埋め込んだ文書)
   ├──▶ 条件ごとの提示(引用)と前回の値、状態
   ├──▶ 条件どうしの結び付き/研究所の担当の発言の中の条件
   ├──▶ 法務の確認に回す種類の条件の印
   └──▶ 交渉履歴に足す行の案と、上長への報告の要点
   ▼【担当が文字起こしと照らして交渉履歴に行を足す】
交渉履歴(ブック)/上長への報告
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot。Teams 会議の Copilot と、Agent Builder で作る交渉履歴エージェント)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
会議Microsoft Teams(文字起こし)Zoom の文字起こし
保管SharePoint(案件ごとのフォルダと交渉履歴のブック)-

新しく足すのは、ライセンスグループ4名の Copilot のライセンスと、交渉履歴エージェントだけです。 研究所の担当にも相手方にもライセンスは要りません。Teams 会議の Copilot は、会議の参加者のうち Copilot のライセンスを持つ人が、自分にだけ見えるプロンプトを送れるとされています。

最初に決めるのは、交渉の会議を自社の担当が主催することです。 公式のページでは、参加者の組織の外で主催された会議では Copilot が動かないとされています。海外の相手方は自社で会議を設定したがることが多いので、交渉の最初に「記録のため、こちらで設定させてください」と伝えます。

エージェントは、案件ごとに1つ作ります。 知識には Teams の会議を5つまで、SharePoint のファイルを100まで指定できます。案件の直近の4回の会議と、その案件の交渉履歴のブックを入れます。別の案件の会議や履歴を同じエージェントに入れると、A社の料率がB社の行に入ります。

交渉履歴のブックは、1枚のシートにまとめます。 公式のページでは、Excel のデータは、ブックの中の1枚のシートにあるときに最もよく答えるとされています。条件ごと・回ごとの行を1枚のシートに縦に並べる形にしておきます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

交渉の会議が終わり、文字起こしが保存されたことを起点にします。 Teams 会議の Copilot は、会議が終わった後に質問するには文字起こしが必要とされています。相手方の了解が得られず文字起こしをしなかった会議は、この構成に乗りません。

担当者の会議ポリシーは、Copilot を「On with saved transcript required」にします。 この値にすると、主催者の会議オプションが「会議中と会議後」になり、主催者は変えられないとされ、これが既定の値です。文字起こしを始めるのは、相手方の了解を得てからです。

交渉の会議は、定期的な会議の繰り返しにせず、1回ずつ設定します。 公式のページでは、定期的な会議で後の回の文字起こしが行われると、前の回の Copilot とのやり取りの履歴が使えなくなるとされています。

エージェントを動かすのは、会議の後1時間以内の手作業です。 担当者は会議に出ていたので、数字の取り違えに記憶で気づけます。翌日に回すと、どちらがどの数字を言ったかを記憶で確かめられなくなります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
文字起こし発言者と時刻の付いた会議の発言Teams 会議の記録
会議のチャット前日に貼った条件の一覧と前回の値、会議中に貼られた条件表会議のチャット
前回までの会議同じ案件の直近の会議の文字起こしTeams 会議の記録
交渉履歴条件ごと・回ごとの提示、状態、結び付き、持ち帰りSharePoint のブック(1枚のシート)
交渉の手引条件の名前と単位、状態の定義、結び付きの言い回しの例、法務の確認に回す種類の条件エージェントの知識(文書)
履歴の行の様式行の列の並び同上

質を決めるのは、2行目の条件の一覧です。 一覧に前回の値が書かれていれば、AIは「前回から何が動いたか」を一覧と文字起こしの比較で出せます。条件の名前は手引と同じ言葉を使い、単位を必ず書きます。

【C社 加工ライセンス 第5回 扱う条件(前回の値)】
実施料率     当社4.0%/C社3.0%(純販売高に対して)
一時金       当社8,000万円/C社4,000万円
最低実施料   当社 年1,500万円/C社 なし
地域         日本・韓国・台湾(双方合意)
独占か       C社 独占を希望/当社 非独占
改良技術     未協議

交渉の手引には、自社の譲れる線を書きません。 手引に書くのは、条件の名前と単位、状態の定義、結び付きの言い回しの例だけです。料率の下限や一時金の目標は、エージェントの知識に入れません(第13章)。AIは記録を作るだけで、譲れる線と比べる必要が無いからです。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
文字起こしと会議のチャットエージェントの知識に、その案件の会議を指定する条件ごとの提示・状態・結び付きを拾う
交渉履歴エージェントの知識に、その案件のブックを指定する前回までの値と、前に出た結び付きを確かめる
手引と様式エージェントに埋め込んだ文書状態の付け方と、行の形

会議は、Agent Builder の知識で「その案件の交渉の会議」を個別に指定します。 「自分の Teams のチャットと会議」をまとめて選ぶと、すべての会議の文字起こしと予定表を探すとされています。ライセンスグループの担当は複数の案件を並行して持つので、必ず個別に指定し、会議が増えたら古い回から外します。

交渉履歴のブックは、案件のフォルダの中で1つだけにします。 過去の版や、上長への報告用に切り出したブックが同じフォルダにあると、どの版の値を「前回」として読んだかがぶれます。

「指定した知識だけを使う」設定を有効にします。 Agent Builder の「Only use specified sources」は、指定した知識を優先させる設定で、一般的な知識を完全には止めないとされています。指示の側でも「業界の一般的な料率の相場で補わない」と書いておきます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 会議を自社の担当が主催する … 相手方から届いた招待は使わず、こちらで設定し直します
  2. 条件の一覧と前回の値を前日にチャットへ貼る … 交渉履歴の最新の行から作ります
  3. 会議の冒頭で、記録に使うことを相手方に伝える … 了解が得られてから文字起こしを始めます
  4. 条件を名前で呼ぶ … 「では実施料率について」と、条件に入るたびに手引の名前で言います
  5. 最後に条件ごとの今日の提示と状態を読み上げる … 数字と単位と前提を、1条件1文で言います

どれも、会議の進め方の決まりです。 システムの前処理ではなく、担当者が会議の中で行う前処理です。この構成では、ここを整えるほうが指示を工夫するより効きます。

5番目の読み上げは、交渉の作法としても効きます。 数字の聞き違いは、交渉の中で最も高くつく誤りです。「一時金は一括ではなく、3回の分割の前提です」と言われれば、その場で直せます。 英語の交渉では、読み上げは特に省かないでください。

Step5

AIに処理させる

させるのは、会議で言葉にされた条件の提示を条件ごとに拾い、前回の値と並べ、決まった区分を付けることだけです。

拾うもの拾い方拾えないときの扱い
今回の提示条件ごとに、提示した側と、数字・単位を言葉どおりに引用する「今回の提示なし」
前回の値会議のチャットの一覧と交渉履歴の最新の行から履歴に無ければ「初出」
変化前回と今回の値の違い(どちらが、どちらへ動いたか)単位が違えば「単位の確認が要る」
状態合意/持ち帰り(自社)/持ち帰り(相手方)/提示のみ手引に当てはまらなければ「判断できない」
結び付き「〜なら〜」の形の発言を引用し、関係する条件に印を付ける前提があいまいなら「前提の確認が要る」
研究所の担当の発言改良技術、技術の開示の範囲、供給の条件に当たる発言を引用する「該当なし」
法務の確認の印手引の一覧にある種類の条件が話されたら印を付ける-
させないこと理由
数字を丸めたり単位を換えたりする3.25%を3%と書けば交渉の記録が変わる
合意を推し量る読み上げで確かめていない数字を合意にしない
条件の良し悪しや相場との比較譲れる線と比べるのは担当者と上長
独占禁止法の上で問題があるかの判断法務の責任者が決める。AIは種類の印を付けるだけ
業界の一般的な料率での補い会議で言われていない数字を書かない

1行目がいちばん大事です。 ライセンスの数字は、純販売高に対してか、出荷額に対してか、税込みかで意味が変わります。言葉どおりに引用し、単位が言われていなければ「単位の確認が要る」とします。

法務の確認の印は、判断ではなく仕分けです。 公正取引委員会の指針は、ライセンシーが開発した改良技術の権利をライセンサーに帰属させる義務や独占的にライセンスさせる義務を、原則として不公正な取引方法に当たるとしています。一方で、改良技術を非独占的にライセンスさせる義務は、原則として当たらないとし、権利の有効性を争わない義務(不争義務)は当たる場合もあるとしています。似た言葉で結論が分かれるので、手引に種類を並べ、話に出たら法務に回す印だけを付けさせます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは知財部のライセンスグループの担当者を手伝い、特許・ノウハウの
ライセンス交渉の会議から、交渉履歴に足す行の案を作る立場です。
指定した会議の文字起こしと会議のチャット、その案件の交渉履歴、
埋め込んだ交渉の手引と履歴の行の様式だけを見てください。
業界の一般的な料率の相場や、他の案件の交渉の内容で補わないでください。

【拾うもの】
- 手引の条件ごとに、今回の提示(提示した側・数字・単位を言葉どおりに引用)、
  前回の値、変化、状態、根拠の時刻。
- 「〜なら〜」の形で条件どうしを結び付けた発言(発言者・引用・関係する条件・時刻)。
- 研究所の担当の発言のうち、改良技術、技術の開示の範囲、供給の条件に当たるもの。
- 手引の「法務の確認に回す種類」に当たる条件が話された箇所。

【状態の付け方】
- 合意:会議の最後の読み上げで、相手方が確認した条件だけ。
- 持ち帰り(相手方):相手方が検討する、社内で確認すると述べた条件。
- 持ち帰り(自社):自社の出席者が検討する、確認すると述べた条件。
- 提示のみ:提示が出たが、どちらも持ち帰りと述べていない条件。
- 判断できない:上のどれにも当てはまらない場合。迷ったときに「合意」を選ばないでください。

【厳守事項】
- 数字は言葉どおりに引用し、丸めたり、単位を換えたり、換算したりしないでください。
  単位が述べられていなければ「単位の確認が要る」としてください。
- 結び付きの前提を省かないでください。前提のある合意は、前提とともに書いてください。
- 条件が自社に有利か不利か、相場と比べてどうかを書かないでください。
- 独占禁止法の上で問題があるかどうかを書かないでください。印を付けるだけにしてください。
- 交渉履歴に書き込まないでください。行の案を表で示すだけにしてください。

【出力】
1. 条件ごとの行の案(表。手引の条件の数と同じ数)
2. 条件どうしの結び付き(表)
3. 研究所の担当の発言の中の条件(表)
4. 法務の確認に回す箇所
5. 上長への報告の要点(今回動いた条件と、持ち帰りの持ち主と期限)
6. 担当者への注意(単位の確認が要る・前提の確認が要る・判断できない箇所)

この指示は、エージェントの指示として Agent Builder に書いておきます。 担当者は会議ごとに「今日のC社の交渉の行を作って」と頼むだけにします。

「迷ったときに合意を選ばない」を明記しているのは、誤りの重さが左右で違うからです。 持ち帰りの数字を合意と取り違えれば、次の回の条件表でその数字を前提に話を進め、相手方の信頼を損ねます。

Step7

出力形式を固定する

エージェントには、交渉履歴の列の並びと同じ表で返させます。 担当者は確かめた行を、そのまま交渉履歴のブックに貼れます。列の並びを合わせておくことが、この構成での構造化の役目です。

【条件ごとの行の案(第5回 10/8)】
| 条件 | 提示した側 | 今回の提示(引用) | 前回の値 | 変化 | 状態 | 結び付き | 時刻 |
| 実施料率 | C社 | 「純販売高の3.25%までは社内で通せます」 | C社3.0% | C社が0.25ポイント上げた | 持ち帰り(自社) | 一時金 | 00:18:40 |
| 一時金 | C社 | 「料率が3.25%なら一時金は6,000万円で受けます」 | C社4,000万円 | C社が2,000万円上げた | 提示のみ | 実施料率 | 00:19:15 |
| 改良技術 | 当社(研究所) | 「改良した配合は御社で使っていただいて構いません」 | 初出 | - | 判断できない | - | 00:41:02 |

【法務の確認に回す箇所】
| 条件 | 引用 | 時刻 |
| 改良技術 | 「改良した配合の権利は、当社に帰属させていただきたい」(当社 事業部) | 00:43:30 |

1つ目の理由は、前回の値と変化が同じ行にあることです。 交渉履歴の縦の並びで読めば、条件ごとに、どちらがどれだけ歩み寄ったかが数字で追えます。上長への報告も、この列を見せるだけで済みます。

2つ目は、結び付きが列になっていることです。 料率と一時金のように対で動いている条件は、片方だけを見て「受諾済み」と読む誤りを防げます。

3つ目は、研究所や事業部の担当の発言が、知財部の担当の発言と同じ表に並ぶことです。 上の例のように、研究所の担当の「使っていただいて構いません」と、事業部の担当の「権利は当社に帰属」が同じ回に出ていることが、表で初めて見えます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Teams 会議エージェントの知識に会議を指定文字起こしと会議のチャットを読む
交渉履歴エージェントの知識にブックを指定前回までの値を読む。書き込まない
交渉履歴への追記担当が確かめた行をブックに貼る条件ごとの行
上長への報告担当が要点をメールで送る今回動いた条件と、次回の方針の相談
法務への回付担当が該当箇所を法務の担当に送る引用と時刻

交渉履歴にはエージェントから書き込みません。 交渉履歴は、次の回の条件表と、最終的な契約書の条件の根拠になる記録です。担当者が確かめた行だけが入る形にします。

相手方には、交渉履歴を送りません。 相手方と確かめるのは、会議の最後の読み上げと、次の回の条件表です。

Step9

人が確認する

この構成では、全件を人が確かめます。 交渉履歴の数字は、そのまま契約の条件になるからです。

  1. 数字と単位を先に見る … 根拠の時刻から発言を開き、数字と単位が言葉どおりかを確かめます
  2. 結び付きの前提を確かめる … 前提のある提示が、前提とともに書かれているかを見ます
  3. 合意の条件を、読み上げで確かめる … 読み上げで相手方が確認した発言かを見ます
  4. 研究所と事業部の担当の発言を本人に確かめる … 発言の意図と、知財部と事前に相談した範囲かを聞きます
  5. 法務の確認の印が付いた箇所を法務に回す … 回すかどうかの判断は、担当者が行います

1番目と4番目を省かないでください。 数字の取り違えは次の回の条件表にそのまま入り、研究所の担当の発言は、相手方には自社の約束として聞こえています。 認めない場合は、次の回の冒頭で担当者から相手方に伝え直します。

目標は、1回あたり22分です。 録画の見返しが無くなり、確かめる箇所が時刻で示されることで、見る場所が決まります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
相手方が主催した会議だったCopilot は動かない。担当のメモで作り、次回から自社で主催する
相手方が文字起こしに同意しなかったこの構成の対象から外し、従来どおりメモで作る
英語で交渉した話し言葉の設定を英語にし、引用は英語のまま、数字と単位は原文どおりに残す
通貨が混在した(円とドル)換算させない。「単位の確認が要る」を付け、担当が交渉履歴の通貨の列に分けて書く
会議中に条件表がチャットに貼られた貼られた表を引用させ、どの版の条件表かを担当が確かめる
前の回で合意した条件が蒸し返された前の回も知識にあるので、「前回は合意」と並べて出させる
読み上げの前に相手方が退出した合意は0件になる。読み上げの内容をメールで送り、返事をもって状態を決める
会議の途中で文字起こしが止まった止まった後の提示は拾えない。出力の最後の時刻を見て、メモで補う
会議が5回を超えた古い回から知識を外す。外した回の値は交渉履歴に残っている

上から4行目は、海外の案件で必ず起きます。 一時金を円で、料率をドル建ての売上に対して話す、ということがあります。換算はAIにも担当者にもさせず、通貨ごとに列を分けて記録します。 換算の基準日をどこに置くかは、契約の条件そのものだからです。

Step11

記録を残す

  • 会議の文字起こしと、会議のチャットに貼った条件の一覧
  • エージェントの出力(行の案・結び付き・研究所の担当の発言・法務の印)の全文
  • 担当が直した箇所 … どの条件の数字や状態を、どう変えたか
  • 研究所と事業部の担当への確認の結果
  • 法務に回した箇所と、法務の回答
  • 案件ごとの「単位の確認が要る」と「判断できない」の件数

エージェントの出力は、交渉履歴とは別に保存します。 Copilot とのやり取りの履歴は、文字起こしが使えなくなると消えるとされています。出力を Word の別ファイルとして、案件のフォルダに置きます。

担当が直した箇所の記録は、担当の交代のときに効きます。 後任は交渉履歴の行だけでなく、どの数字が会議でどう言われ、担当がどう確かめたかまで追えます。

04実装レベルの3段階

最小構成:会議の Copilot に手引を貼り、条件ごとの提示と結び付きを表にさせる / 1回の会議の記録の一次整理
半自動化:上記+その案件の会議と交渉履歴を知識に持つエージェントで作る / 前回の値と並べた行の案、上長への報告の要点
本格構成:上記+担当が確かめた行の交渉履歴への追記と、法務への回付の依頼を Power Automate で行う / 追記と回付の送付

本記事の想定は半自動化です。 1回60分が22分になるのは、録画の見返しと、前回の値と見比べる作業が無くなるからです。 本格構成でも、追記は担当の確認の後にします。 Power Automate で交渉履歴に行を足すのは、担当が「確認済み」とした行だけにします。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
30 件
1件あたり現在時間
60 分
1件あたり導入後時間
22 分
現在  30件 × 60分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 30件 × 22分 ÷ 60 = 11 時間/月
月間削減時間
19h
削減率
63%
年間削減時間
228h
年間金額換算(時間単価5,000円)
114万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 自社の特許やノウハウを他社に実施許諾する、または他社の特許の実施許諾を受ける交渉を、年間を通じて複数の案件で並行して進めているメーカー・IT企業・医療機器や医薬の企業。1件の交渉が数か月にわたり、会議のたびに料率や一時金の提示が動き、どの回に誰が何を出したかを知財部の担当者がメモと記憶でつないでいる場合。担当の交代や上長への報告のたびに、交渉の経緯を説明し直している場合。知財部の担当者が Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)を使える場合。
向いていない
  1. ライセンスの交渉が年に数件で、書面のやり取りだけで決まる場合。交渉の会議をほとんど相手方が主催する場合(Copilot が使えない)。相手方が文字起こしを残すことに同意しない場合。なお、どの条件で合意するか、どこまで譲るか、契約の条件が独占禁止法の上で問題ないかの判断は、知財部・法務の責任者と権限を持つ人が行います。この構成は記録を助けるもので、判断は代替しません。

07最小構成で試す方法

  1. 進行中の案件のうち、文字起こしが残っている会議を3回分選ぶ(同じ案件の連続した回にする)
  2. 会議の後に、会議のチャットか「まとめ」のタブから Copilot を開く
  3. 交渉の手引の条件の名前と状態の定義を Copilot に貼る
  4. 「この会議を条件ごとに、提示した側と数字・単位を言葉どおりに引用して表にしてください。『〜なら〜』の形の発言は別の表にしてください。合意は最後の読み上げで相手方が確認したものだけです」と指示する
  5. 出てきた表を、当時の交渉履歴の行と突き合わせる

連続した回を選ぶのは、推移が出るかを確かめるためです。 3回分の表を並べて、当時の交渉履歴に無かった結び付きや、研究所の担当の発言が出るかを見ます。

出てきた内容判断
当時の履歴に無かった結び付きが出たエージェントに進む
数字が丸められた、単位が抜けた指示の引用の決まりが効いていない。書き方で直る
条件がばらばらで、ほとんど「判断できない」会議の進め方が先。 条件を名前で呼び、最後に読み上げる

1行目が出たら、この構成の価値はそこにあります。 結び付きの前提は、記録を作る人が最も落としやすく、後で最ももめる部分だからです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
数字が丸められる、単位が抜ける言葉どおりの引用を指示し、単位が無ければ「単位の確認が要る」
結び付きの前提が消える「〜なら〜」の発言を別の表に出させる
相手方の「検討します」が合意になる合意を読み上げで確認したものに限る
研究所の担当の発言が拾われない研究所の担当の発言を別の表にする
相手方の主催で Copilot が使えない自社が主催することを、交渉の最初に伝える
別の案件の数字が混ざるエージェントを案件ごとに作る
交渉履歴の前回の値が読まれないブックを1枚のシートにまとめ、版を1つにする
業界の相場で補われる「Only use specified sources」と、指示の「補わない」を両方入れる
AIに条件の良し悪しを言わせたくなる記録まで。 譲れる線との比較は人が行う

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、数字の意味を短く言い換える失敗です。3.25%を3%と書く、「料率が3%なら」を消す。人も同じ失敗をしますが、AIは毎回同じように繰り返します。言葉どおりに残す決まりを指示と様式の両方に書けば、毎回同じように防げます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 交渉中の料率・一時金などの条件、相手方の社内の事情、研究所の担当が説明した技術の内容(ノウハウを含む)、相手方の名前です。交渉中の条件とノウハウは、どちらも相手方にも社内の他の部署にも知られてはならない情報です。

  1. 譲れる線をエージェントに入れない … エージェントに埋め込んだ文書は、エージェントを使えるすべての人がその内容にアクセスできるとされています。料率の下限や一時金の目標は、手引にもエージェントの知識にも入れません
  2. エージェントの共有を案件の担当に絞る … 案件ごとのエージェントは、その案件の担当と上長だけに共有します
  3. 知識に入れる会議を絞る … Copilot は、利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。その案件の会議と交渉履歴だけを指定します
  4. ノウハウの説明の扱いを決める … 研究所の担当が会議で説明した技術の内容は文字起こしに残ります。文字起こしと録画を保存する場所の権限を、案件の担当と研究所の担当に絞ります
  5. データの扱いを確かめておく … Microsoft の公式ページでは、プロンプト、応答、Microsoft Graph で参照したデータは基盤のモデルの学習に使われないとされています。相手方との秘密保持契約で、交渉の内容を社内のどの仕組みで扱ってよいかが決まっていることがあるので、照らしておきます
  6. 法務の判断を自動で確定させない … 法務の確認の印は仕分けで、条件が独占禁止法の上で問題ないかは法務の責任者が決めます

誤りが起きた場合のリスクは、数字や前提を取り違えて交渉履歴に残すことと、研究所の担当の発言を見落とすことの2つです。 前者は引用の決まりが緩いと起き、後者は発言者を分けて拾わないと起きます。どちらも指示と様式で防ぎ、人が文字起こしで確かめることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:交渉の手引と交渉履歴の様式を整える

手引に、条件の名前と単位、状態の定義、結び付きの言い回しの例、法務の確認に回す種類の条件を書き足します。法務と相談して、改良技術の扱い、不争義務、ノウハウの販売地域の制限などを種類として並べます。交渉履歴の列の並びも決めます。

2週目:1つの案件の3回分で試す

進行中の案件から連続した3回の会議を選び、会議の Copilot に手引を貼って、条件ごとの表と結び付きの表を作らせます。当時の交渉履歴に無かった結び付きが出るかを最優先で見ます。

3週目:会議の進め方を決める

交渉の会議を自社が主催すること、冒頭で記録に使うことを伝えること、最後に条件ごとに読み上げることを、ライセンスグループと研究所の担当で決めます。海外の相手方に伝える英語の文面も用意します。

4週目:エージェントを作る

進行中の案件から2件を選び、案件ごとに交渉履歴エージェントを作って、担当と上長にだけ共有します。会議ポリシーで Copilot を「On with saved transcript required」にします。

2か月目: 進行中のすべての案件に広げ、「単位の確認が要る」と「判断できない」の件数を数えます。3か月目以降: 1回60分が何分になったかを実測し、担当が代わっても後任が録画を見直さずに次の回に臨めるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
会議の後に Copilot に質問するには文字起こしが必要なこと。会議のチャットや「まとめ」のタブから Copilot を開けること。社外で主催された会議では Copilot が動かないこと。定期的な会議で後の回の文字起こしが行われると前の回の履歴が使えなくなること。文字起こしが使えなくなると Copilot が使えず履歴も消えることMicrosoft Support: Get started with Copilot in Microsoft Teams meetings2026-10-08
ライセンスを持つ参加者が自分にだけ見えるプロンプトを送れること。会議ポリシーの On with saved transcript required が既定で、主催者の会議オプションが「会議中と会議後」に固定されることMicrosoft Learn: Manage Microsoft Copilot in Teams meetings and events2026-10-08
Agent Builder の知識に、Teams の会議を5つまで、SharePoint のファイルを100まで指定できること。Excel のデータはブックの中の1枚のシートにあるときに最もよく答えること。「自分の Teams のチャットと会議」を選ぶとすべての文字起こしと予定表を探すこと。埋め込んだファイルはエージェントを使えるすべての人がアクセスできること。「Only use specified sources」は指定した知識を優先させる設定で、一般的な知識を完全には止めないことMicrosoft Learn: Add knowledge sources to an agent in Agent Builder2026-10-08
Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたこと。利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すこと。プロンプト・応答・Microsoft Graph で参照したデータが基盤のモデルの学習に使われないことMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-08
改良技術の権利をライセンサーに帰属させる義務や独占的ライセンスの義務が原則として不公正な取引方法に当たること。改良技術の非独占的ライセンスの義務が原則として当たらないこと。不争義務が当たる場合もあること。ノウハウの秘密保持義務が原則として当たらないこと公正取引委員会: 知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針2026-10-08

どの条件で合意するか、どこまで譲るか、条件が独占禁止法の上で問題ないかは、知財部・法務の責任者と権限を持つ人が決めてください。 本記事は公開されている製品の仕様と公正取引委員会の指針で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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