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司法書士事務所で、登記の先例・通達・所内の過去の照会記録を質問で引き、申請書の記載や添付情報の扱いを根拠つきで確かめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

補助者が「登記上の住所と最後の住所が違うとき、何を添付するか」と質問すると、法令・通達・所内の先例の要約・登記所への照会記録から申請日に効いている根拠を種類と日付つきで並べます。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
不動産/士業/金融
対象部門
法務
対象業務
内容確認・チェック/情報検索
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
判断支援/属人化解消/検索時間短縮
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
70h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
71%
年間削減
600h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 補助者が、事件の資料(登記事項証明書、戸籍、契約書など)を見て、迷う点を見つける
  2. 事務所の手引きと先例の要約のファイルを、キーワードで探す
  3. 当たりそうな先例があれば、先例集や実務書で原文を確かめる
  4. その先例の後に、通達や法改正で扱いが変わっていないかを、法務省のサイトや実務書で確かめる
  5. 照会記録のフォルダで、同じ登記所に同じことを照会した記録がないかを探す
  6. 分からなければ、古くからいる補助者か所長に聞く。それでも決まらなければ、登記所に照会する
  7. 司法書士が判断し、申請書を作る
導入後(After)
  1. 人補助者が事務所の中の検索画面で、登記の種類・申請先の登記所・申請予定日・質問を入れる。依頼者の氏名や地番は入れない
  2. 自動中継プログラムが、登記の種類と申請予定日で絞り込みの式を作る
  3. 自動Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドが、法令・通達と準則・先例の要約・照会記録を探し、根拠の箇所つきで答える
  4. 自動中継プログラムが、根拠を種類(法令/通達・準則/先例/照会記録)と日付で並べ直し、「後の通達等で扱いが変わった」印の付いた先例を目立たせる
  5. 自動照会記録が根拠に入っていれば、申請先の登記所と同じかどうかを示す
  6. 人補助者が根拠の原文を開いて確かめ、調べた結果を事件の記録に書く
  7. 人司法書士が根拠を読み、記載と添付情報を判断する。決まらなければ登記所に照会する
  8. 人登記所に照会したら、照会記録として登録する
  9. 自動質問・絞り込みの式・答え・根拠・判断を記録に残す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 補助者が、事件の資料(登記事項証明書、戸籍、契約書など)を見て、迷う点を見つける
  2. 事務所の手引きと先例の要約のファイルを、キーワードで探す
  3. 当たりそうな先例があれば、先例集や実務書で原文を確かめる
  4. その先例の後に、通達や法改正で扱いが変わっていないかを、法務省のサイトや実務書で確かめる
  5. 照会記録のフォルダで、同じ登記所に同じことを照会した記録がないかを探す
  6. 分からなければ、古くからいる補助者か所長に聞く。それでも決まらなければ、登記所に照会する
  7. 司法書士が判断し、申請書を作る

(a)先例の要約と照会記録が散らばっている。 先例の要約は1つの大きなファイル、照会記録は年ごとのフォルダ、古いものはスキャンしたPDFで、文字で探せないものもあります。2番目と5番目に時間がかかります。

(b)後で扱いが変わった先例を使ってしまう。 先例の要約には、その先例の後に出た通達のことが書かれていないことがあります。4番目の確かめを省くと、改正前の扱いで申請書を作ります。 補正で済めばよいのですが、不動産登記法第25条は、補正できない不備は却下するとしています。

(c)照会記録を一般の扱いと思い込む。 「前に登記所に聞いたらこれで通った」という記録は、その登記所の、その時の、その事件の事情での回答です。別の登記所や別の事情に当てはめると、扱いが違うことがあります。

(d)所長に質問が集まる。 6番目が毎月数十回起き、所長の記憶が事務所の先例の索引になっています。

  1. 【人】 補助者が事務所の中の検索画面で、登記の種類・申請先の登記所・申請予定日・質問を入れる。依頼者の氏名や地番は入れない
  2. 【自動】 中継プログラムが、登記の種類と申請予定日で絞り込みの式を作る
  3. 【自動】 Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドが、法令・通達と準則・先例の要約・照会記録を探し、根拠の箇所つきで答える
  4. 【自動】 中継プログラムが、根拠を種類(法令/通達・準則/先例/照会記録)と日付で並べ直し、「後の通達等で扱いが変わった」印の付いた先例を目立たせる
  5. 【自動】 照会記録が根拠に入っていれば、申請先の登記所と同じかどうかを示す
  6. 【人】 補助者が根拠の原文を開いて確かめ、調べた結果を事件の記録に書く
  7. 【人】 司法書士が根拠を読み、記載と添付情報を判断する。決まらなければ登記所に照会する
  8. 【人】 登記所に照会したら、照会記録として登録する
  9. 【自動】 質問・絞り込みの式・答え・根拠・判断を記録に残す

4番目が、この設計の条件です。 根拠をモデルの文の中に溶かさず、種類と日付の表に並べ直します。 司法書士が見るのは、答えの文より、この表です。

8番目を作るのは、照会記録が事務所の財産だからです。 登記所に照会した結果は、次に同じことで迷った補助者の手がかりになります。ただし、検索の対象に入れるときは、登記所と日付と事件の事情の要約を必ず付けます。

02今回想定するシステム構成

構成図
補助者・司法書士(事務所の中の検索画面。登記の種類・登記所・申請予定日・質問を入れる)
   │
   ▼【トリガー】質問の送信
中継プログラム(Python/Cloud Run)
   ├──▶ 登記の種類と申請予定日で絞り込みの式を作る
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッド
   │   法令/通達・準則/先例の要約/照会記録 から探す
   │   根拠の箇所と出典を返す
   ▼
中継プログラム
   ├──▶ 根拠を種類と日付の表に並べ直す
   ├──▶ 扱いが変わった先例の印を目立たせる
   ├──▶ 照会記録の登記所が申請先と同じかを示す
   ▼
根拠の表 + 答えの文
   ├──▶ 画面へ
   └──▶ 事件の記録へ(補助者が書く)
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、画面・検索・根拠の並べ直し・記録をつなぐ)Node.js で同じものを書く
保管Cloud Storage(法令の抜粋・通達・先例の要約・照会記録とメタデータ)─

事件の管理の仕組みと先例集の電子版は、新しく足すものではありません。 中継プログラムは事件の管理の仕組みに書き込みません。 調べた結果を事件の記録に書くのは補助者です。最初の準備は、先例の要約を1つの先例ごとのファイルに分け、種類・日付・扱いの変更の印を付けることです。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作り、出典を付けて返します。出典ごとに根拠のスコアが返り、根拠の弱い答えを落とす設定があります。 前のセッションの ID を渡すとやり取りを続けられるので、「では遺産分割協議による場合は」と聞き足せます。

古い照会記録の読み取りには、OCR の解析を使います。 Agent Search の文書の解析には、標準の解析、PDF 向けの OCR の解析、レイアウトの解析があり、OCR の解析はスキャンした PDF や画像の中の文字を読みます。 文字の入った PDF とスキャンが混ざったものは useNativeText を有効にすると両方を合わせて使え、PDF の最初の500ページまでが対象です。

扱いが変わる先例を前提にするのは、法務省のページを見れば分かります。 法務省の「不動産登記関係の主な通達等」には、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日法務省民二第456号通達、最終改正 令和6年12月2日)が載り、所有者不明土地の関係法令のページには、令和5年から令和8年にかけての通達が、相続登記の申請の義務化、住所等の変更登記の義務化、所有不動産記録証明書などの項目ごとに並んでいます。 添付情報の土台は不動産登記令第7条で、その具体的な扱いを通達と先例が埋めています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、補助者か司法書士が事務所の中の検索画面で質問を送ったことです。 画面は事務所の5名だけが使います。登記の種類、申請先の登記所、申請予定日を入れないと送信できない作りにします。登記の種類は「所有権移転(相続)」「所有権移転(売買)」「抵当権抹消」「役員変更」などの一覧から選びます。

質問の文には、依頼者の氏名・住所・地番・家屋番号を入れさせません。 「被相続人の登記上の住所と、住民票の除票の最後の住所が違い、間に転居が2回ある」のように、事情を抽象化して書くよう画面に例を出します。中継プログラムは、送信の前に地番らしい数字の並びや氏名らしい語を見つけたら、送信を止めて書き直しを求めます。

1つの事件の調べものは、同じセッションで聞き足します。別の事件は、新しいセッションで始めます。 前の事件の事情が、次の事件の答えに混ざらないようにするためです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
質問登記の種類、申請先の登記所、申請予定日、抽象化した事情と質問画面
法令の抜粋不動産登記法・不動産登記令・不動産登記規則・商業登記法などの条文e-Gov 法令検索の法令API
通達・準則法務省が公開する通達と、不動産登記事務取扱手続準則法務省のサイト
先例の要約先例の日付と番号、要旨、事務所での使い方、扱いの変更所長が作り、事務所で更新する
照会記録照会した日、登記所、事件の事情の要約、照会の内容、回答補助者が登録する
事務所の手引き登記の種類ごとの申請書の作り方、添付情報の一覧事務所

質を決めるのは、先例の要約を1つの先例ごとに分けることです。 1つの大きなファイルのままでは、先例ごとの日付や扱いの変更の印を持てません。 先例ごとに1ファイルにし、先例の日付と番号を必ず書きます。

先例集や実務書の本文は、検索の対象に入れません。 入れるのは、事務所が作った要約と、先例の日付・番号・出典の書名と頁です。原文は司法書士が書籍で確かめます。 出版物の本文を丸ごと取り込むと、著作物の扱いの問題が生じうるためです。

Step3

データの取得方法を決める

資料は Cloud Storage に種類ごとのフォルダで置き、メタデータとあわせてデータストアへ取り込みます。 法令の抜粋は法令APIから、通達は法務省のサイトから取得し、改正や新しい通達があったときに足します。 先例の要約と照会記録は、登録や更新があった日の夜に取り込みます。

取るものどこから何に使うか
根拠の種類メタデータ source_type(statute/circular/precedent/inquiry/manual)根拠の格を表に示す
登記の種類メタデータ registration_type質問の登記の種類に関わる資料に絞る
根拠の日付メタデータ issued_at根拠を日付で並べる
効いている期間メタデータ valid_from・valid_to申請予定日に効いている根拠に絞る
扱いの変更メタデータ superseded(真偽)と superseded_note扱いが変わった先例に印を付ける
登記所メタデータ registry_office照会記録の登記所を示す

絞り込みの式は、登記の種類と申請予定日で書きます。 項目を索引可能にしておけば、registration_type: ANY("transfer_inheritance", "all") AND valid_from <= "2026-10-20" AND valid_to >= "2026-10-20" のように、相続の登記に関わり、10月20日に効いている根拠だけを引けます。日付は ISO 8601 の文字列で比べられます。

扱いが変わった先例は、絞り込みで除かずに残します。 valid_to を閉じた先例は申請予定日の絞り込みから外れますが、扱いの一部だけが変わった先例は、効いている期間のまま superseded を真にして残します。どこが変わったかを superseded_note に書き、 画面で目立たせます。完全に除くと、「昔はこうだった」という所長の記憶との照らし合わせができなくなります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 先例の要約を分ける … 1つの先例ごとに、日付と番号、出典の書名と頁、要旨、事務所での使い方を同じ見出しで書いたファイルにします
  2. 扱いの変更を書き込む … 法務省の通達の一覧を見ながら、先例ごとに後の通達や改正で扱いが変わったかを司法書士が確かめ、superseded と superseded_note を付けます
  3. 照会記録をそろえる … 照会した日、登記所、事件の事情の要約、照会の内容、回答を同じ見出しで書きます。依頼者の氏名や地番は消します
  4. 古い照会記録を OCR の解析で読む … スキャンした PDF は、データストアの作成時に OCR の解析を選び、文字の入った PDF と混ざるものは useNativeText を有効にします
  5. 法令は条ごとに分ける … 法令APIから取得した条文を、法令名と条の番号を見出しにして、条ごとのファイルにします
  6. 見出しを断片に含める … データストアの作成時に分割を有効にし、includeAncestorHeadings を有効にします

2番目が、この構成でいちばん重い作業です。 所長の要約の数百件について、後の通達で扱いが変わっていないかを1件ずつ確かめます。最初から全部はできないので、使う回数の多い先例から確かめ、確かめていない先例には「未確認」の印を付けます。

6番目は、データストアを作る前に決めます。 分割はデータストアの作成後に有効にも無効にもできず、見出しを含める設定は既定では無効です。分割の大きさは100〜500トークンで、既定は500です。「この場合は、上申書で足りる」とだけ書かれた断片は、見出しが無いと、どの先例のどの事情の話か分かりません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、質問の事情に当たりうる根拠を探し、根拠ごとに何が書かれているかを、種類と日付を添えて並べることです。 記載してよいかを言うこと、根拠どうしのどちらを採るかを決めること、登記所の判断を予測することはさせません。

書き出すもの中身根拠の種類
法令の定め条の番号と、関わる部分法令
通達・準則の扱い通達の日付と番号、関わる部分通達・準則
先例の要旨先例の日付と番号、要旨、扱いの変更の有無先例
照会記録照会の日、登記所、事情の要約、回答照会記録
事務所の手引き事務所での扱い手引き

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
session事件ごとのセッション事情を聞き足して絞り直す
includeCitations有効(既定は無効)根拠の箇所を必ず付ける
ignoreLowRelevantContent有効根拠の無いことを答えない
groundingSpec の filteringLevelFILTERING_LEVEL_HIGH根拠の弱い答えを出さない
searchSpec の filter登記の種類と申請予定日他の登記の種類と、効いていない根拠を混ぜない
searchSpec の maxReturnResults15(上限は25、既定は10)法令・通達・先例・照会記録の4種類を拾う
preamble下の指示答え方の規則を与える
させないこと理由
記載してよい・添付情報が足りると言う判断と責任は司法書士にある
根拠どうしのどちらを採るかを決める格と日付を見て司法書士が決める
登記所が受け付けるかを予測する照会記録は、その登記所のその時の回答
照会記録を一般の扱いとして書く別の登記所・別の事情には当てはまらないことがある
先例の原文を推測で補う原文は書籍で確かめる

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 照会記録は事情が具体的で、質問の事情とよく似ていると根拠のスコアが高く出ます。モデルは「上申書で足ります」と一般の扱いのように書き、 通達や先例より前に出します。照会記録は必ず「〇〇法務局の、〇年〇月の照会での回答」と書かせます。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。

あなたは司法書士事務所で、補助者と司法書士が登記の申請書を作る前の
調べものを手伝う立場です。検索結果に出た、法令・通達と準則・事務所の
先例の要約・照会記録・事務所の手引きだけを根拠に答えます。
読むのは補助者と司法書士です。

【答え方】
1. 根拠ごとに、種類(法令/通達・準則/先例/照会記録/手引き)、
   日付と番号、何が書かれているかを書いてください。
2. 種類の順は、法令、通達・準則、先例、照会記録、手引きの順にしてください。
3. 先例に「扱いの変更あり」と書かれている場合は、その旨と、
   何が変わったかの記載をそのまま書いてください。
4. 照会記録は、必ず「〇〇(登記所)の、〇年〇月の照会での回答」と書き、
   一般の扱いと分けてください。
5. 根拠どうしで扱いが違う場合は、どちらかを選ばず、両方を並べてください。

【厳守事項】
- 申請書に記載してよい、添付情報が足りる、といった結論を書かないでください。
- 登記所が受け付けるかどうかを予測しないでください。
- 照会記録の回答を、他の登記所や他の事情でも通る扱いとして書かないでください。
- 根拠に無い先例・通達を、一般的な知識で挙げないでください。
  先例の番号や日付を推測で書かないでください。
- 根拠が見つからない場合は「根拠が見つからない」と書き、
  登記所への照会の要否は書かないでください。

「先例の番号や日付を推測で書かない」を書くのは、もっともらしい番号ほど確かめにくいからです。 「昭和〇年〇月〇日民事甲第〇号」の形の番号を、モデルは根拠が無くても作れます。番号は引用された資料のメタデータからだけ出すように、中継プログラムでも引用の無い番号を表に載せません。

「どちらかを選ばず、両方を並べる」は、格と日付で決めるのが司法書士の仕事だからです。 古い先例と新しい通達が並べば、たいていは通達が優先されますが、通達が先例のどこまでを変えたかは、読んで決めることです。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの応答を、中継プログラムが根拠の表に並べ直し、画面と記録に渡します。

{
  "query_id": "",
  "session_id": "",
  "user_id": "",
  "registration_type": "transfer_inheritance",
  "registry_office": "",
  "planned_filing_date": "2026-10-20",
  "question": "",
  "answer_text": "",
  "evidence": [
    { "source_type": "statute | circular | precedent | inquiry | manual",
      "title": "", "issued_at": "", "ref_no": "",
      "superseded": false, "superseded_note": "",
      "registry_office": "", "same_office": true,
      "uri": "", "grounding_score": 0.0 }
  ],
  "unverified_precedents": [""],
  "status": "answered | no_source | conflict",
  "decision": { "by": "", "result": "", "note": "", "inquiry_needed": false }
}

1つ目の理由は、evidence を種類の順に並べられることです。 中継プログラムは source_type で並べ直し、法令と通達が先、照会記録が後に来るようにします。根拠のスコアの順に並べると、事情の似た照会記録が先頭に来ます。

2つ目は、superseded と same_office を印として持てることです。 扱いの変わった先例と、申請先と違う登記所の照会記録は、画面で色を変えて出します。印の値はメタデータから入れ、モデルの文からは取りません。

3つ目は、unverified_precedents で確かめの残りを示せることです。 扱いの変更をまだ確かめていない先例が根拠に入ったら、ここに並べます。司法書士は、その先例だけは後の通達を自分で確かめます。

decision は司法書士が埋めます。 どの根拠を採り、どう判断したか、登記所に照会するかを書き、次の調べもので同じ判断を引けるようにします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
事務所の中の検索画面社内向けの画面登記の種類・登記所・申請予定日・質問の入力、根拠の表の表示
Agent Searchanswer メソッドの呼び出し登記の種類と申請予定日で絞って答えと根拠を返す
照会記録の登録画面からの書き込み登記所に照会した結果を登録し、夜に取り込む
先例の要約の管理共有フォルダ扱いの変更の印を司法書士が更新する
質問の記録書き込み質問・絞り込みの式・答え・根拠・判断を残す

事件の管理の仕組みには、つなぎません。 事件の資料には依頼者の情報が詰まっており、検索の仕組みに渡す理由がありません。 調べた結果は、補助者が根拠の表を見て事件の記録に書きます。

法令と通達の取り込みは、月に1回の定時と、新しい通達が出たときに行います。 法務省のページの更新を見て、新しい通達が出たら、関わる先例の扱いの変更を確かめるところまでを1つの作業にします。

Step9

人が確認する

人が確かめるのは、根拠の原文と、扱いの変更と、判断です。

  1. 補助者が根拠の原文を開く … 法令と通達はリンク先で、先例は書籍の頁で、原文を確かめます
  2. 扱いの変わった先例と未確認の先例を司法書士が読む … superseded と unverified_precedents のものは、後の通達を読んで扱いを確かめます
  3. 申請先と違う登記所の照会記録は参考に留める … 必要なら、申請先の登記所に照会します
  4. 司法書士が判断し、decision に書く … 記載と添付情報を決めます
  5. 月に1回、判断の記録から10件を抜いて読む … 根拠の並びと判断が合っているかを見ます

2番目を省かないでください。 扱いの変わった先例を読まずに使うと、改正前の扱いで申請書を作ることになります。補正で済まなければ、却下です。

目標は、150件をならして1件8分です。 資料を探す時間を減らし、原文の確かめと司法書士の判断の時間を残す想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
根拠が見つからないNO_RELEVANT_CONTENT。no_source で司法書士へ。登記所への照会を検討
根拠のスコアが低く答えが落ちたLOW_GROUNDED_CONTENT。先例の要約の見出しや言葉が質問と合っていないかを見る
根拠どうしで扱いが違うconflict。両方を並べ、司法書士が格と日付で決める
扱いの変更を確かめていない先例が当たったunverified_precedents に並べ、司法書士が後の通達を確かめる
照会記録の登記所が申請先と違うsame_office を偽にし、参考として示す
質問に地番や氏名が入っていた送信を止め、事情を抽象化して書き直させる
スキャンの文字が読めない照会記録取り込みの結果を見て、読めないものは手で書き起こす
新しい通達が出た直後関わる先例を「未確認」に戻し、確かめが終わるまで印を付ける
検索が応答しない先例の要約のファイルを直接探す。ファイルは残しておく

4行目と8行目が、この構成の要です。 扱いの変更の確かめは、通達が出るたびに発生する終わりの無い作業です。確かめていないことを隠さずに印で示すことで、確かめの残りが事務所の誰にでも見えるようにします。

Step11

記録を残す

  • 質問の文、利用者の ID、登記の種類、登記所、申請予定日、日時、セッションの ID
  • 絞り込みの式と、answer メソッドの応答の全文(出典と根拠のスコアを含む)
  • 並べ直した根拠の表と、扱いの変更・登記所の印
  • 司法書士の判断と、登記所への照会の有無と結果
  • 先例の要約の扱いの変更の更新の履歴(誰が、いつ、どの通達を見て)
  • 記録の閲覧の履歴

5つ目を残すのは、印そのものが判断の材料だからです。 誰がいつ確かめたかが残っていれば、後の補正や却下のときに、どの時点の確かめにもとづいたかを示せます。

04実装レベルの3段階

最小構成:1つの登記の種類の資料を手でAIの画面に読み込ませ、補助者が質問する / 根拠を探す時間
半自動化:上記+全種類の資料を印つきでデータストアに入れ、登記の種類と申請予定日で絞って検索する / 絞った検索と出典の表示
本格構成:上記+根拠の表への並べ直し、扱いの変更と登記所の印、照会記録の登録、判断の記録をつなぐ / 根拠の格と日付の整理と、照会記録の蓄積の全体

最小構成では、扱いの変更の印を画面で目立たせられません。 補助者が根拠の文を読んで、扱いの変更の記載を自分で見つけます。確かめるための段階です。 半自動化で、1件28分が15分程度になります。 資料を探す時間は減りますが、根拠を種類と日付で並べ直し、扱いの変更と登記所を確かめる作業が残ります。本格構成で8分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、根拠の格と印をプログラムで並べるか、人が読んで並べるかの違いです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化で1か月使うと、よく当たる先例と、扱いの変更を確かめていない先例が先に分かります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
150 件
1件あたり現在時間
28 分
1件あたり導入後時間
8 分
現在  150件 × 28分 ÷ 60 = 70 時間/月
導入後 150件 × 8分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
50h
削減率
71%
年間削減時間
600h
年間金額換算(時間単価5,000円)
300万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 不動産登記と商業登記を月に百件以上扱い、相続・売買・抵当権の抹消などで、申請書の記載や添付情報の扱いを先例や通達で確かめる場面が多い司法書士事務所。先例の要約や登記所への照会の記録が、所長や古くからいる補助者の手元のファイルに分かれている場合。法改正と新しい通達が続き、過去の先例がそのまま使えるかを毎回確かめている場合。
向いていない
  1. 扱う登記が月に数件で、司法書士がすべての先例を把握している場合。先例の要約や照会の記録を事務所として残しておらず、検索の対象にできる資料が法令と公開の通達だけの場合(それなら法令と通達の検索で足ります)。申請書の記載の可否の判断や、登記所の判断の予測までAIに任せたい場合(この構成は根拠を並べるだけで、判断と責任は司法書士にあります)。

07最小構成で試す方法

  1. 登記の種類を1つ選ぶ(相続による所有権移転のように、先例と最近の通達が多いもの)
  2. その種類に関わる先例の要約を30件ほど、先例ごとのファイルに分け、扱いの変更を確かめて書く
  3. 過去3か月の調べものから15件を選び、当時の根拠と判断を書き出す
  4. 法令の抜粋・通達・先例の要約・照会記録を手元のAIサービスに読み込ませ、「根拠ごとに種類と日付を書いて並べてください。記載してよいかの結論は書かないでください。照会記録は登記所と日付を書いてください」と指示して15件を聞く
  5. 出てきた根拠の並びを、当時の根拠と突き合わせる

15件は必ずやってください。 データストアを組む前に、「根拠の格と日付を落とさずに並べられるか」と「先例の番号を作らないか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の根拠が種類と日付つきで並んだ先例の要約の分割とデータストアの構築に進む
結論を書いた、照会記録を一般の扱いとして書いた指示の書き方で直る。構成は有効
当時の判断の根拠が、要約に無い所長の記憶だった先例の要約に書き足すのが先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、所長に質問が集まっていた理由が1つ分かったということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
照会記録を一般の扱いとして答える登記所と日付を必ず書かせ、same_office で印を付ける
扱いの変わった先例をそのまま使うsuperseded の印を資料に持たせ、画面で目立たせる
先例の番号をモデルが作る番号はメタデータからだけ出し、引用の無い番号を表に載せない
結論を書く指示で禁じ、根拠の表だけを判断の材料にする
根拠のスコアの順で照会記録が先頭に来る種類の順に並べ直す
効いていない法令の条文が出る法令の抜粋に効いている期間を持たせ、申請予定日で絞る
先例集の本文を丸ごと取り込みたくなる取り込むのは事務所の要約と出典の頁まで。原文は書籍で確かめる
スキャンした照会記録が読めないOCR の解析を選ぶ。最初の500ページまで。読めないものは書き起こす
「上申書で足りる」が何の話か分からないincludeAncestorHeadings を有効にする。作成後は変えられない
質問に地番や依頼者の名前が入る送信の前に止め、事情を抽象化して書き直させる

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも答えの文は筋が通って見え、根拠の格と日付を見て初めて誤りと分かります。 印と並べ直しをプログラムの側で守っているかで、運用に乗るかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 法令と通達、事務所の先例の要約、登記所への照会記録、補助者の質問、そして照会記録と質問の中の事件の事情です。

  1. 依頼者の情報を入れない … 質問の文にも照会記録にも、依頼者の氏名・住所・地番・家屋番号を入れません。事情を抽象化して書くことを事務所の決まりにし、送信の前に機械でも止めます
  2. 判断と責任は司法書士にある … 記載の可否と添付情報は、根拠を読んだ司法書士が決めます。 画面の答えは判断の材料です
  3. 照会記録の性格を取り違えない … 登記所への照会の回答は、その登記所の、その時の、その事情での回答です。他の事件に当てはめるときは、申請先の登記所に確かめます
  4. 出版物の扱いに気を付ける … 先例集や実務書の本文は取り込まず、事務所の要約と出典の頁だけを入れます。原文は書籍で確かめます
  5. 扱いの変更の確かめを止めない … 法務省は通達を続けて出しています。新しい通達を見て先例を確かめる担当と頻度を決めます
  6. 事務所の外に出さない … 先例の要約と照会記録は事務所の財産です。画面は事務所の5名だけが使い、記録の閲覧も限ります

誤りが起きた場合のリスクは、改正前の扱いで申請書を作ることと、照会記録を一般の扱いと思い込むことの2つです。 前者は扱いの変更の印と未確認の表示で、後者は登記所の印と並べ直しで止めます。どちらも、モデルの文ではなく資料の印で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:先例の要約を1つの登記の種類で分ける

相続による所有権移転に関わる先例の要約を、先例ごとのファイルに分けます。日付と番号、出典の書名と頁、要旨、事務所での使い方を同じ見出しで書きます。

2週目:扱いの変更を確かめる

法務省の通達の一覧を見ながら、分けた先例の扱いの変更を司法書士が確かめます。全部は終わらなくてかまいません。 確かめていないものには「未確認」の印を付けます。

3週目:15件で試す

過去の調べもの15件を、手元のAIサービスで聞きます。結論を書いていないか、照会記録を一般の扱いとして書いていないか、先例の番号を作っていないかを最優先で見ます。

4週目:データストアと画面をつなぐ

OCR の解析・分割・見出しの設定を決めてデータストアを作り、相続の登記の資料を取り込みます。中継プログラムで登記の種類と申請予定日の絞り込み、根拠の並べ直し、印を出すところまで作ります。司法書士2名だけが使う形で始めます。

2か月目: 補助者3名で使い、no_source と unverified_precedents の件数を毎週数えます。照会記録の登録を始めます。3か月目以降: 売買と抵当権の抹消の資料を足し、1件28分が何分になったかを実測します。新しい通達が出たときの先例の確かめ直しが事務所の定型の作業になり、所長に届く質問が減った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドが検索結果から回答を作ること。前のセッションの ID でやり取りを続けられること。includeCitations(既定は無効)、ignoreLowRelevantContent、preamble、searchSpec の filter と maxReturnResults(既定10、上限25)。groundingSpec の filteringLevel(FILTERING_LEVEL_LOW/HIGH)と出典ごとの根拠のスコア、answerSkippedReasons の NO_RELEVANT_CONTENT/LOW_GROUNDED_CONTENTGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-08
文書の解析に標準の解析・PDF 向けの OCR の解析・レイアウトの解析があること。OCR の解析がスキャンした PDF に向き、useNativeText で文字の入った部分と合わせられ、PDF の最初の500ページまでを処理すること。分割の大きさが100〜500トークン(既定500)、includeAncestorHeadings が既定で無効、分割はデータストアの作成後に切り替えられないことGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-08
絞り込みの ANY()、比較の演算子、AND/OR、日付を ISO 8601 の文字列で比べられること、項目を索引可能にする必要があることGoogle Cloud: Filter search for structured or unstructured data2026-10-08
不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日法務省民二第456号通達、最終改正 令和6年12月2日)が掲載されていること。法令改正にもとづく不動産登記事務の取扱いの通達が掲載されていること法務省: 不動産登記関係の主な通達等2026-10-08
令和5年から令和8年にかけて、相続登記等の申請義務化、住所等変更登記の義務化、所有不動産記録証明書、符号の表示などの通達が出ていること法務省: 関係法令(所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し)2026-10-08
不動産登記法第18条(申請の方法)、第25条(申請の却下。補正できる不備を相当の期間内に補正したときを除く)e-Gov 法令検索 法令API: 不動産登記法2026-10-08
不動産登記令第7条(添付情報)e-Gov 法令検索 法令API: 不動産登記令2026-10-08

申請書の記載と添付情報の扱いは、法令・通達・登記所の判断と、司法書士の責任ある判断に従ってください。 本記事は Google Cloud、法務省、e-Gov 法令検索で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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