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学習塾の講師が授業の教材とその回の単元から確認問題と解答・解説の案を作り、難度と出題範囲を確かめてから配る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

学習塾の講師が、その回のテキストのページと進度表の単元を渡し、授業の終わりに解く確認問題と解答・解説の案をAIに作らせます。講師は、まだ習っていない事項を使っていないか、難度の配分が決まりどおりかを確かめてから配ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Microsoft Copilot
対象業界
その他/教育
対象部門
研究開発
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
最小構成
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
必須
現在工数
120h/月
AI導入後
40h/月
想定削減
67%
年間削減
960h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 講師が進度表を開き、次の授業で扱うテキストのページと事項を確かめる
  2. テキストの例題と練習問題を見ながら、数字や設定を変えた問題を考える
  3. 過去に自分が作った問題があれば、共有フォルダから探して流用する
  4. 解答と、つまずいた生徒向けの短い解説を書く
  5. ひな形に貼り、A4の片面に収まるように問題を入れ替える
  6. 自分で解き直し、答えと配点を確かめて印刷する
導入後(After)
  1. 人講師が、学年・教科ごとのプロジェクトで新しいチャットを開き、授業の回の番号とテキストのページを入れる
  2. 自動AIがプロジェクトに置いた進度表から、その回の事項と、その回までの既習事項・未習事項を引く
  3. 自動AIが難度の定義と配分に沿って、確認問題を作る
  4. 自動AIが問題ごとに、解答・途中式・解説と、使った既習事項のコードを書き出す
  5. 自動AIが自分で点検した結果(未習事項を使っていないか、答えが1つに決まるか)を表にする
  6. 人講師が点検の表を見て、コードが既習の範囲に入っているかを進度表と照らす
  7. 人講師が全問を自分で解き、解答と途中式を確かめる
  8. 人直したい問題があれば、チャットで差し替えを頼む
  9. 人ひな形に貼って印刷し、使った問題を共有フォルダの「確認問題の控え」に保存する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 講師が進度表を開き、次の授業で扱うテキストのページと事項を確かめる
  2. テキストの例題と練習問題を見ながら、数字や設定を変えた問題を考える
  3. 過去に自分が作った問題があれば、共有フォルダから探して流用する
  4. 解答と、つまずいた生徒向けの短い解説を書く
  5. ひな形に貼り、A4の片面に収まるように問題を入れ替える
  6. 自分で解き直し、答えと配点を確かめて印刷する

(a)まだ教えていない事項が混ざる。 2番目で問題を考えるとき、講師は「この単元の問題」を思い浮かべますが、その問題を解くのに要るほかの事項が既習かどうかまでは見ていません。 例題の数字を変えただけのつもりが、分数の計算を含む形になり、分数の扱いが次の回だった、ということが起きます。授業のなかで気づくと、その問題を飛ばすしかありません。

(b)講師によって難しさがばらつく。 同じ学年・同じ回でも、教室によって確認問題の難しさが違います。ベテランは発展の問題を入れたがり、若手は例題の数字を変えただけの問題に寄ります。保護者面談で「隣の教室の問題のほうが難しい」と言われたことがあります。

(c)解答・解説の誤りが配ってから分かる。 6番目の解き直しは、授業の直前に急いで行うことが多く、解答の符号の誤りや、答えが2つありうる問題が、答え合わせの最中に見つかります。

(d)若手の準備時間が問題づくりで埋まる。 1回分に30分、週に何コマも持つ講師にとっては、授業の組み立てや板書の準備に使うはずの時間が、確認問題に回っています。

  1. 【人】 講師が、学年・教科ごとのプロジェクトで新しいチャットを開き、授業の回の番号とテキストのページを入れる
  2. 【自動】 AIがプロジェクトに置いた進度表から、その回の事項と、その回までの既習事項・未習事項を引く
  3. 【自動】 AIが難度の定義と配分に沿って、確認問題を作る
  4. 【自動】 AIが問題ごとに、解答・途中式・解説と、使った既習事項のコードを書き出す
  5. 【自動】 AIが自分で点検した結果(未習事項を使っていないか、答えが1つに決まるか)を表にする
  6. 【人】 講師が点検の表を見て、コードが既習の範囲に入っているかを進度表と照らす
  7. 【人】 講師が全問を自分で解き、解答と途中式を確かめる
  8. 【人】 直したい問題があれば、チャットで差し替えを頼む
  9. 【人】 ひな形に貼って印刷し、使った問題を共有フォルダの「確認問題の控え」に保存する

7番目は省けません。 AIが書いた解答は案で、講師が解いて同じ答えになったものだけを配ります。 解き直しの時間を残すために、それ以外の時間を減らす設計です。

6番目で講師が見るのは、問題文ではなくコードの列です。 問題文を読んで未習の事項が入っていないかを考えるより、「使った事項」の列のコードが進度表の既習の行に全部あるかを見るほうが早く、見落としも少なくなります。

02今回想定するシステム構成

構成図
教務部 ── テキスト(PDF)・進度表・難度の定義・出題の形式・良い問題の例
   ▼
ChatGPT のプロジェクト(会社のワークスペース、学年×教科ごとに1つ)
   │ プロジェクトの指示 … 出題の決まり、難度の配分、点検の表の形
   │ Sources … 進度表、難度の定義、出題の形式、テキストの該当学年分
   ▼
講師 ── 新しいチャットで「第14回、テキスト p.52〜55」
   │ ① 確認問題(基本3・標準2・発展1)
   │ ② 解答・途中式・解説
   │ ③ 使った既習事項のコードと点検の表
   ▼
講師が進度表と照らし、全問を解いて確かめる
   ▼
ひな形に貼って印刷 ── 共有フォルダの「確認問題の控え」に保存
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクト機能)Claude、Microsoft Copilot
保管共有フォルダ(テキスト、確認問題の控え)文書管理システム
記録進度表と配布の記録のスプレッドシートGoogle スプレッドシート

新しく足すのは、ChatGPT の業務用のワークスペースと、学年×教科ごとのプロジェクトです。 中学3学年×5教科で最大15個ですが、最初は確認問題の効果が分かりやすい中1・中2の数学と英語の4つから作ります。

プロジェクトは、関連するチャット・ファイル・指示・ソースをまとめておく機能です。 公式の案内では、プロジェクトの指示はそのプロジェクトのチャット全体に適用され、プロジェクトのチャットは同じアップロードしたファイル・指示・ソースを共有するとされています。教務部が出題の決まりと難度の定義を一度書けば、どの講師のチャットにも同じ決まりが効きます。 講師ごとに指示を書かせると、それだけで(b)のばらつきが戻ってきます。

公式の案内は、成果ごとに別のチャットを始めることを勧めています。 この構成では授業1回につきチャットを1つにします。前の回のチャットで作った問題が残っていると、その回の事項が混ざるからです。

プロジェクトは教務部が作り、講師と共有します。 公式の案内では、プロジェクトに直接アップロードしたファイルはメンバーが引き続き使えるとされています。進度表やテキストは教務部が差し替え、講師は使うだけにします。

講師だけが使い、生徒には使わせません。 生徒の氏名・成績・答案はどれも入れません。入れるのは自社のテキストと進度表と、講師が書く回の番号だけです。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

講師が授業の準備を始めたときに、講師が自分で始めます。 自動で動くものはありません。次の回の授業の前日までに、講師がプロジェクトを開いて新しいチャットを作ります。

始めるときに入れるのは、授業の回の番号とテキストのページだけです。 「中1数学 第14回 テキスト p.52〜55」のように、決まった形で書きます。回の番号から進度表の行を引くので、番号を書き間違えると既習の範囲がずれます。 進度表の回の番号と、テキストのページが合っているかは、AIにも最初に確かめさせます(後述)。

授業の進み方が遅れた教室は、進度表の回ではなく実際に終わったところを書きます。 「第14回の予定だが、p.53の例題3までしか終わっていない」と書き添えると、既習の範囲がその位置で区切られます。進度表の予定どおりに進んでいない教室ほど、未習の事項が混ざりやすくなります。

Step2

入力データを集める

データ中身置き場所
進度表回の番号、テキストのページ、教える事項のコードと名前プロジェクトの Sources(教務部が月1回差し替え)
テキスト学年・教科ごとの自社のオリジナル教材(PDF)プロジェクトの Sources
難度の定義基本・標準・発展の定義と、それぞれの例を2問ずつプロジェクトの Sources
出題の形式1回分の問題数、配分、A4片面の目安の文字数、解説の長さプロジェクトの指示
良い問題の例ベテラン講師が作った確認問題のうち、教務部が選んだものプロジェクトの Sources
その回の指定回の番号、テキストのページ、実際に終わった位置講師がチャットに書く

質を決めるのは、進度表の事項コードです。 事項が「正負の数」のように大きなまとまりだと、既習かどうかの判断が粗くなります。「M1-03 正負の数の加法」「M1-04 正負の数の減法」のように、1回の授業で教える単位まで分けます。 分けてあれば、加法の回に減法を使った問題が混ざったことを、コードの比較だけで見つけられます。

難度の定義には、例を付けます。 「基本=例題と同じ手順で解ける」と書くだけでは、AIも講師も幅を持って読みます。定義の横に、その学年・教科の実際の問題を2問ずつ置くと、物差しがそろいます。

テキストは自社で作ったものだけを置きます。 市販の問題集や教科書の本文は入れません(第13章)。

Step3

データの取得方法を決める

データはすべて、教務部がプロジェクトに置いたファイルです。 外部のシステムとはつなぎません。講師がチャットで渡すのは回の番号とページだけで、テキストや進度表を講師が毎回貼ることはしません。

取るものどこから何に使うか
その回の事項進度表の該当の行問題の中心にする事項
既習事項の一覧進度表のその回より前の行すべて使ってよい事項の範囲
未習事項の一覧進度表のその回より後の行すべて使ってはいけない事項
その回のページの内容テキストのPDFの指定ページ例題の形、用語、記号の書き方
難度の物差し難度の定義と例基本・標準・発展の振り分け

未習事項の一覧を、既習事項と別に明示して渡すのが大事です。 「既習の範囲で作って」とだけ言うと、AIは中学1年の問題として自然な事項を使います。それがこの塾の進度でまだ教えていないかどうかは、AIには分かりません。 進度表を2つに分け、使ってはいけない事項を名前で並べます。

進度表は教務部が月に1回差し替えます。 学期の途中で単元の順番を入れ替えることがあるためです。差し替えた日付を進度表の先頭に書いておき、AIにその日付を最初に書き出させます。 古い進度表のまま作っていないかが、講師にも分かります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

講師の側でする前処理はほとんどありません。準備は教務部が、プロジェクトを作るときにまとめて行います。

  1. 進度表の事項を1回の授業の単位まで分ける … 大きなまとまりのままなら、コードを振り直します
  2. 事項コードを学年・教科で一意にする … 「M1-03」の M は数学、1 は中1。英語は E、理科は S とします
  3. テキストのPDFは学年・教科ごとに1ファイルにする … ページ番号が印刷されたページと一致しているかを確かめます
  4. 難度の定義に、各段階の例を2問ずつ付ける … 例はベテラン講師が過去に使った自作の問題から選びます
  5. 良い問題の例を集める … 1回分のセットとして、配分どおりに作られたものを学年・教科ごとに5セット程度
  6. 著作物の確認 … Sources に置くものが、自社で作ったものだけであることを教務部が確かめます

3番目のページ番号は意外と大事です。 PDFのページ数と印刷されたページ番号がずれていると、講師の「p.52〜55」が別のページを指します。表紙や目次でずれるなら、PDFの側で表紙を外しておきます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、配分どおりの確認問題と、解答・途中式・解説、使った事項のコード、自分での点検の4つです。

させること中身
進度表の確認進度表の差し替え日、その回の事項、そのページが進度表と合っているか
問題の作成基本3問・標準2問・発展1問。その回の事項を中心にする
解答・解説解答、途中式(数学)または根拠の文(英語・国語)、つまずきやすい点を1〜2行
使った事項問題ごとに、解くのに要る事項のコードを全部
自分での点検未習事項を使っていないか、答えが1つに決まるか、テキストの用語と記号に合っているか

「使った事項」は、その回の事項だけでなく、解く途中で要るものを全部書かせます。 方程式の問題なら、移項だけでなく、分数を含むなら分数の計算、負の数を含むなら正負の数の計算も入ります。ここを「その回の事項」だけにすると、未習の事項が隠れたままになります。

させないこと理由
進度表に無い事項を「既習」と扱うこの塾の進度は、学校や一般的な順番と違うことがある
市販の問題や入試問題をそのまま出す著作物の扱いの問題。塾は営利の教育機関
生徒の名前を入れた問題文生徒の情報は入れない。問題文にも使わない
解答の確定解答は案。講師が解いて確かめる
難度の配分を勝手に変える配分は塾の決まり。足りないときは足りないと書かせる

最後の行は、発展の問題が作りにくい回で起きます。 単元の最初の回では、発展にあたる問題が作れないことがあります。そのときに標準の問題を「発展」と書いて数を合わせると、難度の配分がそろったように見えて、実際はそろっていません。 作れないときは「発展は作れない」と書かせ、講師が決めます。

Step6

指示内容を固定する

プロジェクトの指示に、教務部が次の文を置きます。講師は回の番号とページを書くだけです。

あなたは中学生向け学習塾の教務担当として、授業の終わりに解く確認問題を作ります。
このプロジェクトの Sources にある「進度表」「難度の定義」「出題の形式」
「テキスト」「良い問題の例」だけを根拠にしてください。

【最初に書き出すこと】
1. 進度表の先頭にある差し替え日
2. 講師が指定した回の番号と、その回の事項コード・事項名
3. 講師が指定したページが、進度表のその回のページと合っているか
   合っていなければ、問題を作らずにそのことだけを書いてください。
4. 講師が「実際に終わった位置」を書いていれば、その位置までを既習とします。

【既習と未習】
- 進度表で、指定した回より前の行と、その回の行の事項だけが既習です。
- 指定した回より後の行の事項は未習です。未習事項を使う問題を作らないでください。
- 一般的な中学校の学習の順番ではなく、この塾の進度表に従ってください。
  進度表に無い事項は、既習として扱わないでください。

【作る問題】
- 基本3問・標準2問・発展1問。難度は「難度の定義」とその例に合わせてください。
- その回の事項を中心にしてください。
- 用語と記号は、テキストの書き方に合わせてください。
- 発展の問題が既習の範囲では作れないときは、無理に作らず
  「発展は作れない」と書き、理由を1行で書いてください。
  標準の問題を発展と書いて数を合わせないでください。

【解答と解説】
- 数学は途中式を省略せずに書いてください。英語は答えの根拠になる文法事項を書いてください。
- 解説は、つまずきやすい点を1〜2行で書いてください。
- 答えが2つ以上ありうる問題、条件が足りず答えが決まらない問題は作らないでください。

【使った事項】
- 問題ごとに、解くのに必要な事項のコードを全部書いてください。
  その回の事項だけでなく、計算や途中の手順に要る事項も含めてください。

【してはいけないこと】
- 市販の問題集・入試問題・教科書の文章をそのまま、または少し変えて使わないでください。
- 生徒の名前や学校名を問題文に入れないでください。
- 解答を確定したものとして書かないでください。解答は講師が確かめます。

【出力の順番】
最初に書き出すこと → 問題 → 解答と解説 → 点検の表

「一般的な順番ではなく、この塾の進度表に従う」を明記しないと、AIは自然な順番で既習を判断します。 たとえば英語で、この塾が過去形を学校より遅く教えていても、中1の後半なら既習だろうと考えて使います。判断の根拠を進度表だけに置かせます。

「標準を発展と書いて数を合わせない」も書いておきます。 書かないと、配分どおりの数を出すことを優先し、表の上では配分がそろっているのに、中身はそろっていないという、講師が見抜きにくい状態になります。

Step7

出力形式を固定する

ChatGPT の画面で読む表として受け取ります。 API ではないので、機械で読む形式にはこだわりません。講師がそのままひな形に貼れること、点検の表で既習の確認ができることを優先します。

【確認】進度表の差し替え日:2026-10-01
【確認】第14回:M1-12 一次方程式の解き方(移項)/テキスト p.52〜55(進度表と一致)

【問題】
(1)[基本] x + 7 = 12 を解きなさい。
(2)[基本] ……
(6)[発展] ……

【解答と解説】
(1) x + 7 = 12
    x = 12 − 7
    x = 5
    つまずきやすい点:移項すると符号が変わることを忘れやすい。
……

点検の表は、次の形で続けます。

問題難度使った事項すべて既習か答えが1つに決まるかテキストの用語・記号
(1)基本M1-12、M1-03はいはい合う
(2)基本M1-12、M1-04はいはい合う
(6)発展M1-12、M1-08、M1-10はいはい合う

表にする理由は、講師が見る場所を1か所にするためです。 問題文を上から読んで未習の事項を探すと、1問ずつ頭のなかで解くことになります。「使った事項」の列を進度表と照らすだけなら、コードを見比べるだけで済みます。

「すべて既習か」の列は、AIの自己申告です。 そのまま信用はしません。講師はこの列ではなく、隣の「使った事項」の列を進度表で確かめます。 自己申告の列を置くのは、AIが自分で「いいえ」と書いた問題を、講師が真っ先に見られるようにするためです。

【】の見出しを固定しているのは、ひな形に貼る範囲を分かりやすくするためです。 【確認】の部分は配りません。【問題】の部分だけを生徒用に、【解答と解説】を講師用の控えに貼ります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
ChatGPT のプロジェクト画面での操作問題・解答・点検の表を作る
進度表プロジェクトの Sources(教務部が差し替え)既習・未習の範囲
テキストプロジェクトの Sourcesその回の内容と用語
ひな形講師が貼り付け生徒用と講師用の2枚
共有フォルダ講師が保存確認問題の控え(回の番号のファイル名)

ほかのシステムとはつなぎません。 生徒の管理の仕組みや成績のデータには触れないので、つなぐ作業が無く、そのぶん導入が軽くなります。

控えのファイル名は「中1数学_第14回_教室名_日付」にそろえます。 次の年度の同じ回で、前年の問題を見比べられるようにするためです。良い問題が出た回は、教務部が「良い問題の例」に足します。

Step9

人が確認する

配る前に、講師が全件を確かめます。 確認問題は生徒が直接解くもので、誤りはその場で生徒に伝わります。

  1. 【確認】の行を見る … 進度表の差し替え日が最新か、回の番号とページが合っているか
  2. 「使った事項」の列を進度表と照らす … コードが全部、その回までの行にあるか。1つでも先の回のコードがあれば差し替えを頼む
  3. 全問を自分で解く … 解答・途中式と同じになるかを確かめる。AIの解答を見ながら解かない
  4. 難度の配分を見る … 基本・標準・発展の印が定義どおりか。迷うものは例と見比べる
  5. 差し替えを頼む … 「(3)を、分数を使わない形にして」のように、問題の番号と理由を書く

3番目は、AIの解答を隠して解きます。 解答を見ながら確かめると、途中式が正しく見えてしまい、符号の誤りのような小さな誤りを見逃します。 ひな形に生徒用の面だけを先に貼り、その紙で解いてから講師用の面と照らします。

若手の講師が作ったものは、最初の1か月、教室長が一緒に見ます。 見るのは点検の表と、差し替えを頼んだ理由です。差し替えの頼み方を見ると、その講師が既習の範囲をどこまで意識しているかが分かります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
指定したページが進度表の回と合わないAIは問題を作らずに止まる。講師が回の番号かページを直して始め直す
進度表の差し替え日が古い作った問題を使わず、教務部に差し替えを頼む
授業が予定より遅れている「実際に終わった位置」を書き添えて作り直す
発展の問題が作れないAIが「作れない」と書く。講師が標準を1問増やすか、発展を手作りする
「使った事項」に先の回のコードがあるその問題を差し替える。同じ回で2回続いたら、プロジェクトの指示を教務部が見直す
講師が解いた答えとAIの解答が違うその問題は配らない。差し替えるか、講師が直す
答えが2つありうる問題が出た条件を足すか差し替える。点検の表の「答えが1つに決まるか」が「はい」でも起きる
テキストの用語と違う言い方をしている講師が直す。何度も出るなら、用語の一覧を Sources に足す
図やグラフが要る問題図はAIに作らせず、テキストの図を使う問題に替えるか、講師が描く

ChatGPT が応答しない、またはワークスペースに入れないときは、今までどおり手作りします。 確認問題は授業の前日までに要るものなので、AIが使えないことを理由に授業を変えないよう、過去の控えから流用できる状態を残しておきます。

図やグラフの問題は、この構成の弱いところです。 関数のグラフ、理科の実験装置、図形の問題は、文章だけでは確認問題になりません。最初はテキストの図を指して「p.54の図1で」と書く問題に限り、図そのものは作らせません。

同じ誤りが続くときは、講師ではなく教務部が直します。 講師がチャットのなかで毎回注意しても、次のチャットでは同じ誤りが出ます。直すのはプロジェクトの指示か Sources の側です。

Step11

記録を残す

  • 配った確認問題の生徒用・講師用のファイル(共有フォルダ、回の番号のファイル名)
  • 点検の表(講師用のファイルに一緒に残す)
  • 差し替えを頼んだ問題と理由 … 講師が配布の記録のスプレッドシートに1行で書く
  • 講師の解いた答えとAIの解答が違った問題 … 同じく1行で
  • プロジェクトの指示と Sources を変えた日と、変えた内容(教務部の変更の記録)

3つ目と4つ目が、教務部が指示を直す材料です。 「未習事項が混ざった」「符号の誤り」「答えが決まらない」のどれが多いかを月に1回数え、多いものから指示か Sources を直します。

チャットそのものは記録として残しません。 配ったファイルと点検の表があれば足ります。公式の案内では、削除したチャットは通常30日以内に完全に削除されるよう予定され、会話の保持はワークスペースの設定に従うとされています。どれくらい残すかは、ワークスペースの設定で教務部が決めます。

04実装レベルの3段階

最小構成:講師がプロジェクトで回の番号とページを書き、問題と点検の表を受け取る / 問題・解答・解説の案と、使った事項の書き出し
半自動化:上記+使った事項のコードと進度表の照合を、スプレッドシートの関数で行う / 既習の範囲の照合
本格構成:上記+API で回ごとに問題を作り、照合が通ったものだけを講師の一覧に並べる / 1か月分の問題の下書きと照合

本記事の想定は最小構成です。 講師が自分の授業の準備のなかで使い、照合は講師の目で行います。12名・月240件なら、この段階で十分に回ります。 半自動化は、点検の表のコードの列を貼るだけで照合できるようにするものです。 進度表に「既習」の印を回ごとに付けておけば、コードを貼ると先の回のものに色が付きます。照合が速くなるだけで、講師の解き直しは残ります。 本格構成は、教室が増えて講師が30名を超えたら考えます。 API を使うと、1か月分の問題をまとめて作り、照合まで済ませておけます。ただし、作るのは教務部の側になり、講師が自分の授業に合わせて直す余地が減ります。 授業の進み方が教室ごとに違ううちは、最小構成のほうが合います。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
12 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
10 分
現在  240件 × 30分 ÷ 60 = 120 時間/月
導入後 240件 × 10分 ÷ 60 = 40 時間/月
月間削減時間
80h
削減率
67%
年間削減時間
960h
年間金額換算(時間単価2,500円)
240万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 集団指導の学習塾で、授業の終わりや宿題に使う確認問題を講師が毎回手作りしており、講師によって問題の量と難しさがばらつく場合。自社のオリジナルテキストと、学年・教科ごとの進度表(どの回で何を教えるか)がある場合。講師が使える ChatGPT の業務用のワークスペースを用意できる場合。数学・英語・理科など、短い問題で理解を確かめられる教科が中心の場合。
向いていない
  1. 市販の問題集・入試の過去問・教科書の本文をそのまま貼り付けて問題を作りたい場合(著作物の扱いを先に決める必要があります)。生徒に直接AIを使わせたい場合(この構成は講師だけが使います)。生徒の氏名や成績を入れて、生徒ごとに問題を変えたい場合。教室が1つで講師が数名、問題の作り方がすでにそろっている場合。

07最小構成で試す方法

  1. 中1数学の進度表から、次の月に教える3回を選ぶ
  2. 教務部が、その3回のテキストのページと進度表の行、難度の定義と例を用意する
  3. 講師2名(ベテラン1名、若手1名)が、ChatGPT の画面で第7章のプロンプトを貼り、1回ずつ確認問題を作る
  4. 同じ回について、講師が今までどおり手作りした問題も用意する
  5. 教室長が、AIの案と手作りの問題を並べ、未習事項の混入・難度・解答の誤りを数える

3回分×2名で6セットです。 少ない数ですが、未習事項が混ざるかどうかは、1セットでもはっきり出ます。

出てきた内容判断
「使った事項」で未習の混入を見つけられたプロジェクトを作って広げる
未習の事項が「使った事項」に書かれずに混ざっていた進度表の事項が粗い。コードを細かく振り直してから再度試す
難度がばらつく難度の定義の例が足りない。例を足す
解答の誤りが多い講師の解き直しを前提にする。それでも準備時間が減るかを測る

2行目が出たら、AIより先に進度表を直します。 事項が「一次方程式」のように大きいと、移項と分数の扱いが分かれていないので、AIは分数を既習と書きます。この確認は、AIの有無にかかわらず、教材の作りを見直す材料になります。

試すときは、時間も測ります。 回の番号を書いてから、照合と解き直しを終えて印刷できる状態になるまでを、講師ごとに記録します。若手の講師の時間がどれだけ縮むかが、広げるかどうかを決めるいちばんの材料です。ベテランの講師はもともと短いので、差が出にくいのが普通です。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
未習の事項を使った問題が混ざる未習事項を名前で並べて渡し、問題ごとに使った事項を全部書かせる
「使った事項」にその回の事項しか書かれない指示で「途中の計算や手順に要る事項も含める」と明記する
一般的な学習の順番で既習を判断する進度表だけを根拠にさせる。進度表に無い事項は既習にしない
発展の数を合わせるために標準を発展と書く作れないときは作れないと書かせる
授業が遅れている教室で範囲がずれる実際に終わった位置を書き添える
PDFのページと印刷のページ番号がずれる表紙を外すなどして、ページ番号を合わせておく
講師ごとに指示を書き足して、ばらつきが戻る指示はプロジェクトの側だけで直す。講師はチャットで回とページだけ書く
古い進度表のまま作る差し替え日を最初に書き出させる
AIの解答を見ながら解いて誤りを見逃す生徒用の面で先に解く
市販の問題を流用した問題が出る自社で作ったものだけを Sources に置く。指示でも禁じる
図やグラフの問題がうまく作れないテキストの図を指す問題に限る

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「既習かどうか」を AI が自分の感覚で決めてしまうところから出ています。判断の根拠を進度表のコードに置き、講師はコードを見比べる、という作りにしてあるかどうかで、運用に乗るかが決まります。

「講師ごとに指示を書き足す」も早く起きます。 便利なので、講師が自分の好みをチャットに書き足すようになります。それ自体は悪くありませんが、良い書き足しは教務部がプロジェクトの指示に取り込み、全員に効くようにします。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 自社のオリジナルテキスト、進度表、難度の定義、講師が作った問題の例です。生徒の氏名・成績・答案は扱いません。

  1. 生徒の情報を入れない … 生徒の氏名・学校名・成績を、問題文にも指示にも入れません。生徒ごとに問題を変える使い方は、この構成の外です
  2. 生徒にAIを使わせない … 使うのは講師と教務部だけです。生徒向けのサービスとして使う場合は、利用規約と年齢の条件を別に確かめる必要があります
  3. 著作物の扱いを決める … 著作権法第35条は、学校その他の教育機関で授業の過程で使う場合の複製などを定めていますが、その教育機関から「営利を目的として設置されているもの」を除いています。 学習塾はこの規定に頼れないと考え、Sources に置くのは自社で作ったテキストと問題だけにします。 市販の問題集・入試問題・教科書の本文をAIに渡すかどうかは、権利者の利用条件を確かめ、必要なら専門家に相談してから決めてください
  4. 業務用のワークスペースを使う … 公式の案内では、Business・Enterprise・Edu のワークスペースのデータは転送時と保存時に暗号化され、OpenAI は既定ではビジネスのデータをモデルの学習に使わないとされています。講師の個人のアカウントで使わせないことを先に決めます
  5. 配る前に講師が確かめる … AIの解答は案です。誤った解答を配ると、生徒は誤ったまま覚えます
  6. 指示とテキストは教務部が管理する … 講師がプロジェクトのファイルを書き換えないよう、作る人と使う人を分けます

誤りが起きた場合のリスクは、まちがった解答を生徒が覚えることと、未習の事項で生徒を混乱させることの2つです。 前者は講師の解き直しで、後者は使った事項のコードの照合で止めます。どちらも、配る前の確認を削らないことが前提です。

10まず何から始めるか

1週目:進度表の事項を細かく分ける

教務部が、中1数学と中1英語の進度表を開き、1回の授業で教える単位まで事項を分けてコードを振ります。 1学年・1教科で数十個になります。ここが粗いと、AIの「使った事項」も粗くなります。

2週目:難度の定義と例を作る

基本・標準・発展の定義を1行ずつ書き、ベテラン講師の過去の自作問題から、各段階の例を2問ずつ選びます。 あわせて、配分どおりに作られた良いセットを5つ選びます。

3週目:3回分で試す

第8章のとおり、講師2名が3回分の確認問題をAIと手作りの両方で作り、教室長が未習事項の混入と解答の誤りを数えます。

4週目:プロジェクトを作って共有する

ChatGPT の業務用のワークスペースに、中1数学と中1英語のプロジェクトを作り、指示と Sources を置いて講師と共有します。講師には「回の番号とページだけを書く」使い方を1枚の紙で渡します。

2か月目: 中2の数学と英語に広げ、差し替えを頼んだ理由を月に1回数えて、プロジェクトの指示を直します。3か月目以降: 1回分の準備が何分になったかを講師ごとに測り、若手とベテランの差が縮まり、未習事項の混入が配る前にすべて止まるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
プロジェクトが関連するチャット・ファイル・指示・ソースをまとめること。プロジェクトの指示がそのチャット全体に適用されること。プロジェクトのチャットが同じアップロードしたファイル・指示・ソースを共有すること。成果ごとに別のチャットを始めることが勧められていることChatGPT docs: Projects and chats2026-10-08
プロジェクトに直接アップロードしたファイルが、共有したメンバーに引き続き使えることChatGPT docs: Manage ChatGPT Space and shared pages2026-10-08
OpenAI が既定ではビジネスのデータをモデルの学習に使わないこと。Business・Enterprise・Edu のワークスペースのデータが転送時と保存時に暗号化されること。削除したチャットが通常30日以内に完全に削除されるよう予定され、会話の保持がワークスペースの設定に従うことChatGPT docs: ChatGPT Work cloud security2026-10-08
著作権法第35条第1項が「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)」で教育を担任する者と授業を受ける者による複製等を定めていること。著作権者の利益を不当に害する場合を除くことe-Gov 法令API: 著作権法 第35条2026-10-08
文部科学省が小学校・中学校・高等学校の学習指導要領(平成29・30・31年改訂)を紹介していること文部科学省: 学習指導要領「生きる力」2026-10-08

市販の教材や入試問題をAIに渡せるかどうかは、権利者の利用条件を確かめ、必要に応じて専門家と相談してください。 本記事は上の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。ワークスペースの料金と機能はプランで異なるため、OpenAI の最新の案内を確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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