Media > AI活用ユースケース > 営業 > 保険会社で、高齢の顧客への募集の面談記録と意向確認の記録を、家族の同席・複数回の面談・理解度の確認の社内ルールに照らして点検し、記録の不足を営業店へ返す

保険会社で、高齢の顧客への募集の面談記録と意向確認の記録を、家族の同席・複数回の面談・理解度の確認の社内ルールに照らして点検し、記録の不足を営業店へ返す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

高齢の顧客から保険の申込を受けたとき、面談記録・意向確認書・申込後の確認電話の記録を、社内の高齢者募集のルールの項目ごとに点検します。記録の不足を、契約の成立前に営業店へ返します。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude/Gemini
連携・自動化
n8n/Power Automate
対象業界
保険/金融
対象部門
営業/法務
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
人手が足りない/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
判定
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
120h/月
AI導入後
40h/月
想定削減
67%
年間削減
960h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 電子申込の仕組みから、高齢者に当たる顧客の申込の一覧を毎朝取り出す
  2. 申込ごとに、営業支援の仕組みで面談記録を開き、訪問の日時と同席者の欄を見る
  3. 面談記録の本文を読み、商品の説明、理解度の確認、顧客の発言、意向の変化が書かれているかを確かめる
  4. 意向確認書と、コールセンターの確認電話の記録を開き、面談記録と食い違いが無いかを見る
  5. 社内ルールのチェック表に、項目ごとに丸か不足を付ける
  6. 不足があれば、営業店の管理者あてに記録の補足や再面談を求める連絡を書く
  7. 営業店から補足が返ってきたら、もう一度読み直して点検を終える
導入後(After)
  1. 自動電子申込の仕組みで、高齢者に当たる顧客の申込が受け付けられ、確認電話の記録がそろったことをきっかけに中継プログラムが動く
  2. 自動営業支援の仕組みから面談記録と訪問の日時・同席者の欄を、コールセンターから確認電話の記録を取り出す
  3. 自動契約者の年齢と商品の種類から、適用するルールの区分を決める
  4. 自動面談の回数と間隔、同席者の人数、確認電話の有無と実施者を、項目のデータから計算する
  5. 自動Azure OpenAI が、面談記録の本文から、ルールの項目ごとに記載の有無と根拠の文を返す
  6. 自動計算の結果とAIの判定から、項目ごとの結論と、申込の結論(`ok` / `record_missing` / `needs_review`)を規則で決める
  7. 自動`record_missing` の申込について、営業店への連絡の下書きを作る
  8. 人募集管理部の担当者が、`record_missing` と `needs_review` の申込だけを開いて確かめ、連絡を送る
  9. 人営業店の管理者が、記録の補足か、再面談・確認電話のやり直しかを決めて対応する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 電子申込の仕組みから、高齢者に当たる顧客の申込の一覧を毎朝取り出す
  2. 申込ごとに、営業支援の仕組みで面談記録を開き、訪問の日時と同席者の欄を見る
  3. 面談記録の本文を読み、商品の説明、理解度の確認、顧客の発言、意向の変化が書かれているかを確かめる
  4. 意向確認書と、コールセンターの確認電話の記録を開き、面談記録と食い違いが無いかを見る
  5. 社内ルールのチェック表に、項目ごとに丸か不足を付ける
  6. 不足があれば、営業店の管理者あてに記録の補足や再面談を求める連絡を書く
  7. 営業店から補足が返ってきたら、もう一度読み直して点検を終える

(a)不足が成立の後に分かる。 申込の多い月末は点検が追いつかず、契約の成立の後に不足が見つかることがあります。成立した後では、ルールが求める再面談や確認電話を申込の前の手続としてやり直せません。

(b)点検者によって見る深さが違う。 欄が埋まっていれば丸を付ける担当者と、本文まで読む担当者がいます。「同席者:長男」と書いてあるのに、本文に「お一人でご検討」とある記録は、欄だけ見る担当者には不足に見えません。

(c)日付を数え間違える。 複数回の面談は、ルールで間隔の日数が決まっています。月をまたぐ面談の間隔を目で数えると、1日のずれで不足を見落とします。

(d)営業店への連絡が人によって違う。 何が不足で、何をすればよいかの書き方がそろわず、営業店が「何を補えばよいか」を聞き返してくる往復が生じます。

  1. 【自動】 電子申込の仕組みで、高齢者に当たる顧客の申込が受け付けられ、確認電話の記録がそろったことをきっかけに中継プログラムが動く
  2. 【自動】 営業支援の仕組みから面談記録と訪問の日時・同席者の欄を、コールセンターから確認電話の記録を取り出す
  3. 【自動】 契約者の年齢と商品の種類から、適用するルールの区分を決める
  4. 【自動】 面談の回数と間隔、同席者の人数、確認電話の有無と実施者を、項目のデータから計算する
  5. 【自動】 Azure OpenAI が、面談記録の本文から、ルールの項目ごとに記載の有無と根拠の文を返す
  6. 【自動】 計算の結果とAIの判定から、項目ごとの結論と、申込の結論(ok / record_missing / needs_review)を規則で決める
  7. 【自動】 record_missing の申込について、営業店への連絡の下書きを作る
  8. 【人】 募集管理部の担当者が、record_missing と needs_review の申込だけを開いて確かめ、連絡を送る
  9. 【人】 営業店の管理者が、記録の補足か、再面談・確認電話のやり直しかを決めて対応する

6番目が、この設計の分かれ目です。 AIが返すのは「この項目の記載が本文にあるか」と根拠の文までで、申込を通すかどうかは規則の表が決めます。 AIに「このルールは満たされているか」と聞くと、記録の雰囲気から「おおむね満たしている」と返し、担当者はそれを結論として読みます。

9番目の判断を営業店に置くのも、意図してのことです。 本社の点検で分かるのは記録に無いことだけで、実際に同席があったかどうかは、営業店が募集人に確かめるしかありません。

02今回想定するシステム構成

構成図
電子申込の仕組み(高齢者に当たる申込)
   ▼【トリガー】申込の受付と確認電話の記録がそろう
中継プログラム(Azure Functions)
   ├──▶ 営業支援の仕組み:面談記録・訪問日時・同席者の欄
   ├──▶ コールセンターの記録:確認電話の日時・実施者・結果
   ├──▶ ルールの区分:契約者の年齢 × 商品の種類
   ├──▶ 計算:面談の回数と間隔、同席者の人数、確認電話の実施者
   ▼
Azure OpenAI(Microsoft Foundry)── 構造化出力
   │   入力:面談記録の本文、適用するルールの項目の表
   │   出力:項目ごとの記載あり・記載なし・食い違い・判断不能と根拠の文
   ▼
中継プログラム ── 計算と判定を規則でまとめ、申込の結論と連絡の下書きを作る
   ▼
募集管理部の点検の一覧(担当者が確かめて営業店へ連絡)
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)の Standard デプロイClaude、Gemini
連携Azure Functions(記録の取り出し、日付の計算、規則の適用、点検の一覧への書き込み)Power Automate、n8n
保管Azure Blob Storage(点検に使った記録の写し、判定の結果、担当者の判断)文書管理の仕組み
ルールの表区分ごとの点検項目と、記載とみなす条件(募集管理部が管理)―

営業支援の仕組みと電子申込の仕組みは、新しく足すものではありません。 中継プログラムは記録を読むだけで、面談記録にも申込の状態にも書き込みません。 点検の一覧は別の場所に作り、契約の成立を止めるかどうかは従来どおり募集管理部が申込の仕組みで操作します。

判定には、Azure OpenAI の構造化出力を使います。 渡した JSON Schema にモデルの出力を従わせる機能で、以前の JSON モードは正しい JSON を保証しても、スキーマへの厳密な準拠は保証しなかったとされています。Chat Completions API でも Responses API でも使えます。項目ごとの判定を決まった値で受け取るために使います。

データの扱いは、Standard デプロイを選ぶことで決めます。 プロンプトと応答は他の顧客に提供されず、基盤モデルの学習に使われず、モデルはステートレスで、プロンプトも応答もモデルに保存されないとされています。Global や DataZone の種類でなければ、指定した地域(geography)の中で処理されるとされているので、日本の地域のリソースに Standard デプロイを置きます。

ルールの土台は、金融庁の保険会社向けの総合的な監督指針です。 顧客保護を図るための留意点として、高齢者に対する保険募集では、社内規則等に高齢者の定義を規定し、高齢者や商品の特性を勘案して募集方法を具体的に定め、実行しているかを挙げています。方策の例として、親族等の同席、複数の保険募集人による募集、複数回の保険募集機会、募集を行った者以外の者が申込の受付後に電話等で意向に沿った商品内容であることを確かめる方法が示され、募集内容の記録(録音・報告書への記録等)・保存と、取組みの適切性の検証も挙げられています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、高齢者に当たる顧客の申込が受け付けられ、ルールが求める確認電話の記録がそろったことです。 確認電話が要らない区分の申込は、受付の時点で動かします。契約の成立の前に点検の結果が出ていることが、この構成の前提です。

確認電話の記録が一定の日数そろわない申込は、別の一覧に載せます。 電話がつながらない、顧客が不在といった事情で止まっているもので、点検の対象ではなく、コールセンターと営業店の連絡の対象です。

月末に申込が集まっても、1件ずつ動かします。 夜間にまとめて点検すると、成立の手続までの日数が月末ほど短くなり、営業店が再面談を組む時間が残りません。 受付の順に点検し、一覧は成立の予定日の近い順に並べます。

営業店が記録を補ったときも、同じ起点で動かし直します。 そのときは前回の判定と連絡の内容も渡し、前回の不足が埋まったかを項目ごとに示します。 補記の日時が申込の日より後であることも、そのまま表示します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
申込の情報申込番号、契約者の生年月日、被保険者、商品の種類、申込日、募集人電子申込の仕組み
面談記録訪問の日時、同席者の欄、本文(説明した内容、顧客の発言、理解度の確認)営業支援の仕組み
意向確認書顧客が確認した意向の項目、確認の日電子申込の仕組み
確認電話の記録電話の日時、実施者の所属、確認した項目、結果、顧客の発言の要旨コールセンターの記録
ルールの表区分ごとの点検項目、記載とみなす条件、面談の間隔の日数募集管理部が作る表
続柄の対応表「長男」「ご子息」「息子さん」などを続柄の区分にそろえる表募集管理部が作る表

質を決めるのは、ルールの表の「記載とみなす条件」です。 例えば理解度の確認なら、「顧客が商品の仕組みや解約時の扱いを自分の言葉で説明した、または募集人の質問に答えた旨の記載がある」のように、本文に何が書かれていれば記載ありとするかを、項目ごとに文で決めます。 条件が「理解度を確認したこと」だけだと、「ご理解いただけた」の一文で記載ありになります。

続柄の対応表は、同席者の判定に効きます。 社内規則が同席を求める「親族等」の範囲を表にし、書き方の違う続柄を同じ区分にそろえます。 表に無い書き方は判断不能として人に回します。

Step3

データの取得方法を決める

営業支援の仕組みと電子申込の仕組みからの取り出しは、各社の仕組みに応じた個別の実装になります。 APIが無い場合は、夜間に出力するファイルを中継プログラムが読む形にします。

取るものどこから何に使うか
契約者の生年月日・商品の種類申込の情報ルールの区分を決める
訪問の日時・同席者の欄面談記録の項目面談の回数・間隔、同席者の人数を計算する
面談記録の本文面談記録AIが項目ごとの記載を判定する
確認電話の日時・実施者の所属コールセンターの記録募集人以外による確認かを確かめる
確認電話の結果と要旨コールセンターの記録面談記録との食い違いをAIが見る

面談の間隔は、訪問の日時の項目から中継プログラムが数えます。 ルールが「申込の前に、日を改めて2回以上の面談」と定めていれば、申込日より前の面談のうち、日付が異なるものを数えます。 同じ日に2回訪問した記録は1回として数え、モデルには数えさせません。

確認電話の実施者は、所属で判定します。 募集人以外による確認が求められている区分では、実施者の所属が募集を行った営業店であれば、記録があっても不足とします。

AIの呼び出しでは、構造化出力のスキーマを要求に付けます。 Chat Completions API なら response_format、Responses API なら text.format に JSON Schema を渡します。スキーマではすべての項目を required にし、オブジェクトごとに additionalProperties: false を付けます。 status は Enum で4つの値に限り、モデルが「おおむね満たす」のような5つ目の値を作れないようにします。出力の項目はスキーマの順に並ぶので、item を先、evidence を後に置き、判定より先に根拠の文を書かせたいときは順を入れ替えます。 項目は合わせて100まで、入れ子は5段までという上限があるため、面談ごとの判定は checks の配列の要素として持たせ、入れ子を深くしません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ルールの区分を決める … 申込日の時点の契約者の年齢と商品の種類から、ルールの表の行を選びます
  2. 面談記録を申込日より前に絞る … 申込の後の訪問は、複数回の面談の数に入れません
  3. 同席者の欄をそろえる … 続柄の対応表で区分にし、表に無い書き方に印を付けます
  4. 個人を特定する情報を置き換える … 顧客の氏名・住所・電話番号を記号に置き換えてからAIに渡します
  5. 本文を面談ごとに区切る … 面談の日時を見出しにして、どの面談の記載かが分かる形にします
  6. 補記を分ける … 申込の後に書き足された部分は、補記として別に渡します

6番目を軽く見ないでください。 補記の部分を元の記録と区別せずに渡すと、申込の後に書き足した「長男様同席」が、申込の前の面談の事実として判定されます。 補記を受け付けること自体は構いませんが、点検の結果には「補記による記載」と分けて残します。

4番目は、判定の精度に影響しません。 点検に要るのは続柄と発言の中身で、顧客の氏名は要りません。 置き換えた記号と元の値の対応は中継プログラムの中だけに持ちます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、面談記録の本文から、ルールの項目ごとに「記載とみなす条件」に当たる文があるかを判定し、根拠の文をそのまま書き出すことだけです。 回数・間隔・人数・実施者は中継プログラムが計算します。

見るもの判定の仕方判断できないときの扱い
同席者の発言・関わり同席した親族等が説明を聞いた・発言した旨の記載があるか同席者の欄と本文が食い違えば conflict
理解度の確認条件に当たる記載が、面談ごとにあるか「ご理解いただけた」だけなら not_found
商品の重要な説明ルールが挙げる説明の項目(解約時の扱い、為替の変動など)の記載項目名だけで中身が無ければ not_found
顧客の意向の変化面談の間で意向が変わった旨と、その扱い変化があるのに扱いが無ければ ambiguous
確認電話との食い違い確認電話の要旨と面談記録の内容が食い違っていないか食い違えば conflict
家族に相談したい等の発言検討の継続を望む発言と、その後の扱い発言の後すぐに申込なら ambiguous

右端の列が、この構成でいちばん大事な区別です。 not_found は記録に無いということ、conflict は記録どうしが食い違っているということで、前者は営業店に記録の確認を頼むもの、後者は担当者が先に読むべきものです。

させないこと理由
顧客が理解していたかの判断記録からは分からない。募集管理部が必要に応じて顧客に確かめる
契約が顧客に適しているかの判断適合性の判断は人が行う
面談の回数や間隔の計算日付は中継プログラムが数える
記載の無い事実の推測「家族も賛成しているはず」と補わない
申込を通すかどうかの結論規則の表と担当者が決める

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 本文に「ご家族とも相談済みとのこと」とあると、モデルは同席者の発言の項目を記載ありにしがちです。伝聞は同席の記録ではありません。 指示で明記し、根拠の文が伝聞なら ambiguous にさせます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは保険会社の募集管理部で、高齢の顧客への募集の記録を点検する立場です。
渡された面談記録と確認電話の記録だけを見て判定してください。推測で補わないでください。

【点検する項目】
{rule_items}
(項目ごとに「記載とみなす条件」が書いてあります)

【status の選び方】
- found ....... 条件に当たる文が記録にある
- not_found ... 条件に当たる文が無い。項目名や定型の一文だけの場合も not_found
- conflict .... 記録どうし(同席者の欄と本文、面談記録と確認電話)が食い違う
- ambiguous ... 当たりそうな文はあるが、伝聞や言い回しのため決められない
迷ったときに found を選ばないでください。

【厳守事項】
- 記載がなければ「不明」とし、status を not_found にしてください。
- 「ご理解いただけた」「十分に説明した」のような募集人の評価だけの文を、
  理解度の確認の記載として扱わないでください。
- 「家族と相談済み」「家族も賛成」のような伝聞を、同席の記載として扱わないでください。
  その場合は ambiguous にしてください。
- 面談の回数・間隔・日付を数えないでください。別に計算します。
- 「補記」として渡した部分を根拠にしたときは、from_addendum を true にしてください。
- evidence には、判定の根拠にした文を記録からそのまま写してください。
- 顧客が理解していたか、契約が適しているか、申込を通すべきかを書かないでください。

【適用するルールの区分】{rule_set}
【面談記録(面談ごと)】{interview_notes}
【補記】{addendum}
【確認電話の要旨】{call_summary}
【同席者の欄(続柄の区分)】{attendees}

「募集人の評価だけの文を、理解度の確認として扱わない」を明記しないと found になります。 面談記録の多くは「ご理解いただけました」で締めくくられ、何も言わなければモデルはその一文を根拠に選びます。禁じるのは、評価の文を事実の記載として扱う判断そのものです。

伝聞の扱いを書くのも同じ理由です。 同席を求めるルールの趣旨は、親族等が説明をその場で聞くことにあり、「相談済み」はその代わりになりません。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "application_id": "",
  "rule_set": "",
  "checks": [
    { "item": "", "status": "found | not_found | conflict | ambiguous",
      "interview_date": "", "evidence": "", "from_addendum": false }
  ]
}

中継プログラムが、計算の結果と合わせて次の形にまとめ、点検の一覧に載せます。

{
  "application_id": "",
  "branch": "",
  "rule_set": "",
  "computed": { "interviews_before_application": 0, "interval_days": 0, "attendee_category": "", "call_by_non_seller": true },
  "checks": [],
  "verdict": "ok | record_missing | needs_review",
  "missing_items": [],
  "branch_notice_draft": ""
}

1つ目の理由は、checks と verdict を別の層に置けることです。 checks はAIが埋め、verdict は規則の表で決めます。ルールの項目や区分が変わっても、直すのは表だけです。

2つ目は、computed を AI の判定と並べられることです。 同席者の欄が「長男」で attendee_category が親族等なのに、本文の同席者の発言が not_found なら、欄だけ埋めた記録かもしれないと担当者に分かります。

条件verdict
計算の項目がルールを満たし、checks がすべて foundok
計算の項目が満たさない、または not_found があるrecord_missing
conflict か ambiguous が1つでもある、または from_addendum が trueneeds_review

3つ目は、from_addendum で補記による記載を分けられることです。 補記で埋まった項目は自動で ok にせず、担当者が補記の中身と日時を読んでから閉じます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
電子申込の仕組み読み取り(個別の実装)申込の情報と意向確認書を取る
営業支援の仕組み読み取り(個別の実装)面談記録と訪問日時・同席者の欄を取る
コールセンターの記録読み取り確認電話の記録を取る
Azure OpenAI構造化出力の呼び出し項目ごとの判定と根拠の文を返す
点検の一覧書き込み申込ごとの結論、不足、連絡の下書きを載せる
営業店への連絡担当者が送る不足の項目と、補記か再面談かの判断を求める

面談記録にも申込の状態にも書き込みません。 営業店が補記するのは営業支援の仕組みの画面からで、点検の構成が記録を書き換える経路を作りません。

Step9

人が確認する

募集管理部の担当者は、record_missing と needs_review の申込だけを開きます。 ok の申込は一覧で件数と営業店を流し見ます。

  1. needs_review を先に見る … conflict は記録どうしの食い違いで、同席の有無そのものが疑わしいことがあります
  2. record_missing の根拠を確かめる … 該当する面談の本文を開き、本当に記載が無いかを目で確かめます
  3. 営業店への連絡を直して送る … 下書きの不足の項目と、補記か再面談・確認電話のやり直しかの判断を求める文を確かめます
  4. 判定を覆したら記録する … どの項目を、どちらに変えたかを残します

3番目の連絡では、「書き足してください」と書かないでください。 書き足しを求めると、同席が無かった面談にも同席の記録が書かれます。求めるのは「事実を確かめ、あった事実だけを補記するか、ルールの手続をやり直すか」の判断です。

営業店の対応は、点検の一覧の上で追います。 連絡を送った申込には返答の期限を付け、成立の予定日の前日までに返答が無いものを毎朝並べます。 返答が「再面談」なら、再面談の記録がそろった時点で起点が動き、前回の不足と並べて点検し直します。

目標は、480件をならして1件5分です。 開くのは3割前後という想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
確認電話の記録が一定の日数そろわない点検せず、コールセンターと営業店の連絡の一覧に載せる
契約者の生年月日が申込の情報に無い区分を決められないので needs_review で人へ
続柄が対応表に無い同席者の項目を ambiguous にして人へ
面談記録が1件も無いAIを呼ばず record_missing
本文が極端に短い(定型文だけ)AIを呼んだうえで、担当者に「定型文のみ」と表示する
申込の後の補記from_addendum を付け、needs_review
申込が撤回・取り消しになった点検を打ち切り、一覧から外した理由を残す
本文に判断能力への懸念の記載がある点検とは別に、募集管理部の責任者の一覧へ即時に載せる
構造化出力がスキーマ外の値を返す再実行し、2回続けば人へ
AIの呼び出しが失敗する申込を未点検の一覧に残す。成立の前の確認から外さない

最後の行は、成立の前の点検が抜けないための約束です。 呼び出しが失敗した申込を点検済みとして扱うと、月末の申込の山の中で不足が成立まで残ります。

Step11

記録を残す

  • 点検に使った面談記録・意向確認書・確認電話の記録の写しと、取り出した日時
  • 適用したルールの区分と、そのときのルールの表の版
  • 計算の結果(面談の回数・間隔、同席者の区分、確認電話の実施者)
  • AIの判定の全文(checks)と、規則で決めた verdict
  • 営業店への連絡の文と、営業店の対応(補記/再面談/確認電話のやり直し)
  • 担当者が判定を覆した記録と、営業店・募集人ごとの不足の件数

ルールの表の版を残すのは、社内規則が見直されるためです。 監督指針は取組みの適切性の検証を求めており、検証のときに「当時のルールでは何を求めていたか」と「点検で何を見たか」を並べられるようにしておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:置き換えた記録を手で生成AIの画面に貼り、項目ごとに判定させる / 1件ごとの記載の判定
半自動化:上記+記録の取り出しと日付の計算を自動にし、判定を一覧に書き出す / 記録をそろえる作業と判定の一覧化
本格構成:上記+申込の受付を起点に自動で動かし、規則で結論を出し、営業店への連絡の下書きまで作る / 点検の全体と、不足の連絡の準備

半自動化で、1件15分が8分程度になります。 記録をそろえる時間と読む時間は縮みますが、結論の判断と連絡を書く作業が残ります。本格構成で5分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、結論が規則で決まり、人が開く申込が3割前後に絞られるからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の1か月で、ambiguous になりやすい書き方と、営業店ごとの不足の傾向が見えます。そこから「記載とみなす条件」と続柄の対応表を直してから、本格構成に進みます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
480 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
5 分
現在  480件 × 15分 ÷ 60 = 120 時間/月
導入後 480件 × 5分 ÷ 60 = 40 時間/月
月間削減時間
80h
削減率
67%
年間削減時間
960h
年間金額換算(時間単価4,000円)
384万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 営業職員や代理店を通じて個人向けの保険を販売し、社内規則で高齢者の定義と高齢者への募集の方法(親族等の同席、複数回の面談、申込後の募集人以外による確認など)を定めている生命保険会社・損害保険会社。高齢の顧客からの申込が月に数百件あり、本社の募集管理の部署が面談記録を1件ずつ読んで点検している場合。面談記録が営業支援の仕組みに文章で残っており、記録の書き方が営業店や募集人ごとにばらばらな場合。銀行の窓口で保険を販売する金融機関の、募集の管理の部署。Azure の契約があり、社内の情報セキュリティの基準に沿って生成AIを使える環境がある場合。
向いていない
  1. 高齢の顧客からの申込が月に数件で、担当者が全件の録音を聞いて足りる場合。社内規則に高齢者の定義や高齢者への募集の方法が具体的に書かれておらず、何を記録すれば足りるかの決まりが無い場合(先にルールを決める必要があります)。顧客が商品を理解していたか、契約が顧客に適しているかをAIに判断させたい場合(この構成は記録が社内ルールの項目を満たしているかの一次判定を出すだけで、募集の適切性は募集管理の担当者が判断します)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の高齢者に当たる申込から30件を選ぶ(うち数件は、点検で不足が見つかったと分かっているものを入れる)
  2. その30件について、当時の点検者がどの項目に不足を付けたかをチェック表から拾う
  3. 顧客の氏名・住所を記号に置き換えた面談記録と確認電話の要旨を、社内で使える生成AIの画面に貼る
  4. 「社内ルールの次の項目について、記載とみなす条件に当たる文があるかを判定し、根拠の文をそのまま写してください。募集人の評価だけの文と、家族と相談済みのような伝聞は、記載として扱わないでください」と指示する
  5. 出てきた判定を、当時のチェック表と突き合わせる
出てきた内容判断
当時の点検と同じ不足が出た記録の取り出しと構造化出力の連携に進む
「ご理解いただけた」で記載ありにした指示と「記載とみなす条件」の書き方で直る。構成は有効
当時の点検者どうしで丸と不足が分かれていたルールの表の「記載とみなす条件」を決めるのが先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 点検者によって深さが違っていたことが、30件で数字として見えたということです。 条件を決めてから同じ30件で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「ご理解いただけた」で記載ありになる評価だけの文を禁じ、条件を事実の記載で書く
伝聞で同席の記載ありになる伝聞は ambiguous にさせる
補記が申込の前の事実として判定される補記を分けて渡し、from_addendum を付ける
面談の間隔を数え違える日付は中継プログラムが数える
同じ日の2回の訪問を2回と数える日付が異なる面談だけを数える
確認電話を募集した営業店がかけている実施者の所属で判定する
営業店に「書き足して」と連絡する事実の確認と、手続のやり直しの判断を求める
ルールの改定が表に反映されない表に版を付け、規則の改定の日に切り替える

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、記録に何かが書かれているのに、ルールが求める事実の記録ではないという失敗です。条件を事実の言葉で書いているかで、運用に乗るかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 高齢の顧客の生年月日、家族の続柄、面談での発言、健康や資産に触れる記載、契約の内容です。面談記録には、顧客の判断能力に触れる記載が含まれることがあります。

  1. 顧客を特定する情報を置き換えて渡す … 点検に要るのは続柄と発言の中身で、氏名・住所・電話番号は記号に置き換えます
  2. Standard デプロイを日本の地域に置く … Global や DataZone の種類では、指定した地域の外で処理されることがあります
  3. 募集の適切性の判断をAIに作らせない … 監督指針が求めるのは、高齢者や商品の特性を勘案した募集方法を定めて実行し、検証することです。この構成が出すのは記録の点検の一次判定で、適切性は募集管理部が判断します
  4. 営業店に記録の書き足しを促さない … 点検の仕組みが、事実と違う記録を生む原因にならないようにします
  5. 判断能力に触れる記載の扱いを決めておく … 本文に判断能力への懸念が書かれていたら、点検とは別に募集管理部の責任者へ回す手順を決めます

誤りが起きた場合のリスクは、不足を見落として契約を成立させることと、補記の記載を申込の前の事実として扱うことの2つです。 前者は評価の文と伝聞を禁じる指示で、後者は補記を分けて渡す前処理で防ぎます。どちらも設計で守り、AIの判定だけに頼りません。

10まず何から始めるか

1週目:ルールの表を作る

社内規則の高齢者の定義と募集方法を、区分(年齢 × 商品の種類)ごとの点検項目と、「記載とみなす条件」の文に起こします。続柄の対応表もあわせて作ります。

2週目:30件で試す

先月の申込から30件を選び、置き換えた記録を生成AIの画面に貼って判定させます。評価だけの文や伝聞で記載ありにしていないかを最優先で見ます。

3週目:計算と規則を決める

面談の回数と間隔の数え方、確認電話の実施者の判定、verdict の規則を、コンプライアンスの部署と合意します。 営業店への連絡の文のひな形もここで決めます。

4週目:記録の取り出しをつなぐ

営業支援の仕組みと電子申込の仕組みから記録を取り出し、判定を一覧に書き出すところまで作ります。この時点では verdict を出さず、checks の一覧だけを見ます。

2か月目: 規則で verdict を出し、営業店への連絡の下書きを足します。needs_review の件数を毎週数えます。3か月目以降: 申込の受付を起点に自動で動かし、1件15分が何分になったかを実測します。成立の前に不足が営業店へ届き、点検者ごとの差がなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
保険会社向けの総合的な監督指針の目次(II-4 業務の適切性)と、令和8年10月の版として掲載されていること金融庁: 保険会社向けの総合的な監督指針2026-10-08
II-4-4-2-1 顧客保護を図るための留意点の(4):高齢者に対する保険募集について、社内規則等に高齢者の定義を規定し、高齢者や商品の特性等を勘案した募集方法を具体的に定め実行しているか。方策の例として親族等の同席、複数の保険募集人による募集、複数回の保険募集機会、募集を行った者以外の者が申込の受付後に電話等で意向に沿った商品内容等であることを確認する方法。募集内容の記録(録音・報告書への記録等)・保存、契約締結後のフォローアップ、取組みの適切性の検証。あわせて、法第294条の2の意向の把握・確認義務に関する記載金融庁: 監督指針 II-4 業務の適切性2026-10-08
構造化出力が渡した JSON Schema にモデルを従わせ、Chat Completions API と Responses API の両方で使えること。JSON モードはスキーマへの厳密な準拠を保証しなかったこと。すべての項目を必須にし、additionalProperties: false を付けること。項目は合わせて100まで・入れ子は5段まで。出力の項目の順がスキーマの順に従うこと。対応する型に Enum が含まれることMicrosoft Learn: How to use structured outputs with Azure OpenAI in Microsoft Foundry Models2026-10-08
プロンプトと応答が他の顧客に提供されず、基盤モデルの学習に使われないこと。モデルがステートレスであること。Global・DataZone の種類でなければ指定した地域の中で処理されることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for Foundry Models sold by Azure2026-10-08

高齢者への募集の方法と、記録が足りているかの基準は、各社の社内規則と募集管理の部署の判断に従ってください。 本記事は金融庁の監督指針と Microsoft Learn で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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