Media > AI活用ユースケース > 経営企画 > 店舗から毎日届く日報のコメントを読み分けて、本部の週報に要点と要対応の一覧をまとめる

店舗から毎日届く日報のコメントを読み分けて、本部の週報に要点と要対応の一覧をまとめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

店長が毎日書く日報のコメントを、Microsoft 365 Copilot に週単位で読み分けさせます。本部の週報に載せる要点と、本部が動く必要のある事項の一覧を、店舗名・日付・原文付きで下書きさせます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Microsoft Copilot
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
宿泊/小売/飲食
対象部門
経営企画
対象業務
要約/集計・分析
主な課題
データ分析に時間がかかる/人手が足りない/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
最小構成
費用感
既存ツールのみ(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
9h/月
想定削減
70%
年間削減
252h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 金曜の午後、担当者が Forms の回答ブックを開き、前週の月曜から日曜までの行に絞り込む
  2. どの店舗が何日分を出したかを目で数え、出していない店舗をメモする
  3. 1行ずつ6つの欄を読み、週報に書けそうな内容を別のWordファイルに書き写す
  4. 設備の不具合、苦情、仕入れの問題など、本部が動く必要のあるものに印を付ける
  5. 印を付けたものを、店舗名と日付を添えて週報の後半に並べる
  6. 書き写したメモを読み返し、前半の「今週の店舗の様子」を文章にまとめる
  7. 月曜の朝に週報をTeamsに上げ、設備担当・購買担当・エリアマネージャーに自分の分を確認してもらう
導入後(After)
  1. 人金曜の午後、担当者が回答ブックの「週次」シートを開く。前週分の行はフィルターで絞り込まれている
  2. 自動「週次」シートの数式が、店舗ごとの提出日数と未提出の日、欄ごとの記入件数を出す
  3. 人担当者が、エリアごと(10店舗ずつ)に Excel の Copilot を開き、決まった指示文を貼る
  4. 【AI】 Copilot がコメントを6つの区分に読み分け、区分ごとの傾向を短くまとめる
  5. 【AI】 Copilot が、本部が動く必要のある事項を、行番号・店舗名・日付・原文の引用付きで全件並べる
  6. 【AI】 Copilot が、複数の店舗から同じ話が出ているものをまとめて示す
  7. 人担当者が、要対応の一覧を原文の行と照らし、行番号を頼りに1件ずつ確かめる
  8. 人担当者が、Copilot が読んだ行の数と「週次」シートの行の数が合っているかを確かめる
  9. 人3エリア分の結果を週報のWordのひな形に貼り、前半の文章を整える
  10. 人月曜の朝に週報をTeamsに上げ、要対応の各事項に担当者を割り当てる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 金曜の午後、担当者が Forms の回答ブックを開き、前週の月曜から日曜までの行に絞り込む
  2. どの店舗が何日分を出したかを目で数え、出していない店舗をメモする
  3. 1行ずつ6つの欄を読み、週報に書けそうな内容を別のWordファイルに書き写す
  4. 設備の不具合、苦情、仕入れの問題など、本部が動く必要のあるものに印を付ける
  5. 印を付けたものを、店舗名と日付を添えて週報の後半に並べる
  6. 書き写したメモを読み返し、前半の「今週の店舗の様子」を文章にまとめる
  7. 月曜の朝に週報をTeamsに上げ、設備担当・購買担当・エリアマネージャーに自分の分を確認してもらう

(a)後半の漏れは、翌週の故障になる。 3番で読むのは210行、1,260欄です。月曜の朝に間に合わせようとすると、長い記述を斜めに読むことになります。「冷蔵庫の温度が少し高い気がする」と書いた1行を見落とすと、次に届くのは「冷蔵庫が止まった」という連絡です。 日報に書いてあったのに本部が動かなかったことは、店長の側に「書いても読まれない」という形で残ります。

(b)担当者によって拾うものが違う。 2名のどちらが読むかで週報の中身が変わります。週ごとに比べても、店舗の変化なのか読んだ人の違いなのかが分かりません。

(c)同じ話が別の店舗から出ていることに気づけない。 仕入先のレタスの傷みを3店舗が別の日に書いていても、1行ずつ読むと「3店舗から同じ話」とは見えません。 3店舗なら、購買担当が仕入先に申し入れる話です。

(d)数える作業に時間が取られる。 提出状況や苦情の件数を目で数えるのは、読み分けとは別の作業です。数えた時間の分だけ、読むほうが雑になります。

  1. 【人】 金曜の午後、担当者が回答ブックの「週次」シートを開く。前週分の行はフィルターで絞り込まれている
  2. 【自動】 「週次」シートの数式が、店舗ごとの提出日数と未提出の日、欄ごとの記入件数を出す
  3. 【人】 担当者が、エリアごと(10店舗ずつ)に Excel の Copilot を開き、決まった指示文を貼る
  4. 【AI】 Copilot がコメントを6つの区分に読み分け、区分ごとの傾向を短くまとめる
  5. 【AI】 Copilot が、本部が動く必要のある事項を、行番号・店舗名・日付・原文の引用付きで全件並べる
  6. 【AI】 Copilot が、複数の店舗から同じ話が出ているものをまとめて示す
  7. 【人】 担当者が、要対応の一覧を原文の行と照らし、行番号を頼りに1件ずつ確かめる
  8. 【人】 担当者が、Copilot が読んだ行の数と「週次」シートの行の数が合っているかを確かめる
  9. 【人】 3エリア分の結果を週報のWordのひな形に貼り、前半の文章を整える
  10. 【人】 月曜の朝に週報をTeamsに上げ、要対応の各事項に担当者を割り当てる

7番目が、この設計でいちばん大事な確認です。 原文に無いことが書かれていないか、原文にあることが抜けていないかを、行番号で1件ずつ突き合わせます。前半の要約は流し読みで構いません。

8番目は、読み落としを数で見つけるための確認です。 Copilot に読んだ行の番号を返させ、Excel の件数と比べます。合わなければ、どこかの行が読まれていません。

02今回想定するシステム構成

構成図
店長(閉店後)
   │  Microsoft Forms で日報を送信(6つの自由記述欄)
   ▼
Forms の回答ブック(Excel、SharePoint に保存)
   │  回答が同期される
   ▼
「週次」シート(フィルターと数式)
   ├──▶ 店舗ごとの提出日数・未提出の日・欄ごとの記入件数(数式で計算)
   ▼【エリアごとに人が実行】
Excel の Copilot(チャットのみのモード)
   │  ① 6区分への読み分けと傾向のまとめ
   │  ② 要対応の事項を行番号・店舗・日付・原文付きで全件
   │  ③ 複数店舗から出ている同じ話
   │  ④ 読んだ行番号の一覧
   ▼
【人が要対応の一覧を原文と照合】
   ▼
Word の週報ひな形 ── Teams に掲載、要対応に担当者を割り当て
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Microsoft 365 Copilot のアプリ内 Copilot)Claude、ChatGPT
集計Microsoft Excel(Forms の回答ブックと「週次」シートの数式)Google スプレッドシート
連携Power Automate(半自動化以降。週次の抽出と通知)Make、n8n
日報の入力Microsoft FormsGoogle フォーム
週報Microsoft Word、Microsoft TeamsGoogle ドキュメント、Slack

新しく足すものはありません。 変えるのは、回答ブックに「週次」シートを1枚足すことと、Copilot に貼る指示文を決めることだけです。

Forms の回答は、Excel のブックに同期されます。 Microsoft のサポートページでは、回答タブから「Excel で開く」を選ぶと、ブックが OneDrive for work or school(個人のフォーム)または SharePoint Online(グループのフォーム)に保存され、ブックを開き直すたびに最新の回答が表示されるとされています。グループのフォームにして SharePoint 側に置くと、担当者が休んだ週にも引き継げます。

Excel の Copilot には、ブックを変更せずに分析するモードがあります。 サポートページでは、複雑な複数ステップのタスクに使う編集のモード、先に計画を作って確認できる計画のモード、そして「ブックを変更せずに分析情報を得られる」チャットのモードの3つが説明されています。この構成ではチャットのモードだけを使います。 回答ブックは店長の日報の原本なので、Copilot に書き換えさせません。

Copilot のライセンスによって、使える場所が違います。 Microsoft Learn の概要ページでは、Copilot Chat(Basic)は Word や Excel の中の Copilot にアクセスできず、組織のコンテンツはファイルのアップロードなどで明示的に渡す必要があるとされています。Microsoft 365 Copilot(Basic)は Word や Excel の Copilot に標準アクセスできます。この構成は回答ブックを開いて読ませるだけなので、Microsoft Graph を使った検索は前提にしません。 Copilot Chat(Basic)しかない環境では、週次シートを書き出したファイルをアップロードして同じ指示文を使います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎週金曜の午後、担当者が「週次」シートを開くことを起点にします。 最小構成では自動では動かしません。日報は毎日届きますが、週報は週に一度なので、AIに読ませるのも週に一度で足ります。 毎日読ませると、同じ話が複数の店舗から出ていることが1日分では見えません。

対象の期間は前週の月曜0時から日曜24時までと決めます。閉店が深夜0時を過ぎる店舗があるので、日付は送信日時ではなく、Forms の設問に入れた「営業日」で区切ります。 送信日時で区切ると、日曜の営業分が翌週に入り、1日ずれた店舗が毎週出ます。

ただし、日報は緊急連絡の経路ではありません。 食中毒の疑い、従業員のけが、火災、設備の停止のようにその日のうちに本部が動く必要がある事項は、日報に書くのではなく、店長からエリアマネージャーへの電話と、既存の緊急連絡の経路で受けます。この構成は週に一度しか読まないので、緊急の事項を日報の欄で受けている会社は、先にその運用を直してください。 週報の側では、緊急連絡の経路で受けた事項が日報にも書かれているかを確かめるだけにします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
日報の回答行番号(Forms のID)、営業日、店舗コード、店舗名、6つの自由記述欄Forms の回答ブック
店舗の一覧店舗コード、店舗名、エリア、エリアマネージャー、営業日(定休日)回答ブックの「店舗」シート
区分と要対応の基準6区分の定義と、「要対応」とする事項の条件指示文に書く
前週の要対応の一覧前週に挙がった事項と、その対応状況前週の週報

行番号は必ず渡します。 Forms の回答ブックには回答ごとのIDの列があります。この番号が、要対応の事項を原文と突き合わせるときの手がかりになります。 行番号が無いと、店舗名と日付で探すことになり、同じ日に2回送った店舗で迷います。

店舗の一覧には定休日を持たせます。 定休日に日報が無いのは未提出ではありません。これを持たないと、定休日の多い店舗が毎週「未提出」として週報に載ります。

前週の要対応の一覧を渡すのは、続いている話を見分けるためです。 先週「換気扇から異音」と書いた店舗が今週も同じことを書いていれば、それは新しい事項ではなく、先週の依頼がまだ片づいていないという事実です。週報では、新しい事項と続いている事項を分けて載せます。

Step3

データの取得方法を決める

最小構成では、回答ブックの中に「週次」シートを1枚足し、前週の行だけを見る形にします。回答ブックは Forms と同期しているので、担当者がブックを開いたときには最新の回答が入っています。

取るものどこから取り方
前週の日報の行回答ブックの回答のシート「週次」シートで営業日の列を条件に絞り込む
店舗ごとの提出日数「週次」シートCOUNTIFS で店舗コードと営業日の範囲を数える
未提出の日「週次」シートと「店舗」シート営業日の一覧から、提出のある日を引く
欄ごとの記入件数「週次」シート空欄でないセルを欄ごとに数える
前週の要対応の一覧前週の週報のWord表の部分を「週次」シートの別の範囲に貼る

提出日数と記入件数は、Copilot に聞かずに数式で出します。 Copilot にも数えさせることはできますが、週に210行を毎回同じ結果で数えることを求める道具ではありません。数式の結果は毎週同じ規則で出るので、週報の数字の出どころを説明できます。

Copilot に読ませる範囲は、エリアごとに10店舗分、約70行に分けます。 30店舗分を一度に渡すこともできますが、1回の範囲が大きいほど、どこかの行を読み飛ばしても気づきにくくなります。3回に分ければ、1回ごとに読んだ行の数を確かめられます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 営業日で区切る … 送信日時ではなく、設問の「営業日」の列で前週の7日分を取ります
  2. 同じ日の二重送信を1行にする … 送り直した店舗は、同じ営業日に2行あります。後の行を残し、前の行には印を付けて読ませないようにします
  3. 空欄だけの行に印を付ける … 6つの欄がすべて空の日報は、読み分けの対象から外し、数式の側で「記入なし」として数えます
  4. 店舗名を店舗コードでそろえる … 店長が店舗名を手で入れる設問にしていると、「駅前店」「駅前」のような揺れが出ます。店舗は選択式の設問にするのがいちばん確実です
  5. 従業員の氏名を目立たせない … 「アルバイトの○○さんが遅刻」のような記述は、週報に氏名が載らないよう、指示文で店舗名までにとどめさせます
  6. エリアで分ける … 「店舗」シートのエリアの列を使い、10店舗ずつの範囲に分けます

2番目を省くと、同じ事項が2回並びます。 店長が書き足すために送り直すことはよくあり、前の行と後の行でほとんど同じ内容が書かれています。担当者は、それが2件の別の話なのかを確かめるのに時間を使います。

Step5

AIに処理させる

させるのは、次の4つです。

作業中身させないこと
区分への読み分け6つの欄の記述を、下の6区分に振り分ける欄の名前だけで区分を決めること
傾向のまとめ区分ごとに、今週多かった話を3行以内でまとめる件数を書くこと
要対応の列挙本部が動く必要のある事項を、行番号・店舗・日付・原文付きで全件並べるまとめること、選ぶこと
同じ話の束ね複数の店舗から出ている同じ話を、店舗の一覧付きで示す1店舗だけの話を束ねること

6区分は、日報の欄とは別に決めます。

区分中身の例
お客様の声料理や接客への称賛と不満、要望
苦情・トラブル返金やお詫びをした件、お客様どうしのトラブル
設備・備品冷蔵庫・製氷機・空調・換気扇・食洗機の不具合、備品の不足
衛生・安全異物の混入、害虫、床の破損、従業員の体調不良
人員・シフト欠勤、採用の状況、応援の要請
食材・仕入れ欠品、品質の問題、納品の遅れ、仕入先ごとの話

欄の名前で区分を決めさせないのは、店長が欄を選ばずに書くからです。 「その他」の欄に冷蔵庫の不具合が書かれていたり、「お客様の声」の欄に床のタイルが割れてお客様がつまずいた話が書かれていたりします。欄ではなく中身で読み分けるのが、AIに任せる理由です。

要対応とするのは、次のいずれかに当たるものです。

  • 修理・交換・点検の手配が要る(設備・備品)
  • 仕入先への申し入れが要る(食材・仕入れ)
  • お客様への再度の連絡、返金の承認が要る(苦情・トラブル)
  • 本部からの応援や採用の手配が要る(人員・シフト)
  • 衛生・安全に関わる(すべて要対応)
  • 店長が本部に判断や返事を求めている

衛生・安全を無条件で要対応にするのは、判断をAIに持たせないためです。 「軽い話だから要対応ではない」とAIが決めると、その1件は週報のどこにも出てきません。迷うものは要対応に入れ、外すかどうかは人が決めます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは飲食チェーンの本部で、店舗の日報を読んで週報をまとめる担当者を手伝います。
このシートの「週次」の範囲にある日報だけを読んでください。
Web の情報や、このシート以外のファイルは使わないでください。

【読む範囲】
「週次」シートのうち、エリア列が {area} の行。
「読まない」の印が付いた行と、6つの欄がすべて空の行は読まないでください。

【作業1:区分への読み分け】
6つの欄の記述を、次の6区分に振り分けてください。
欄の名前ではなく、書かれている中身で区分を決めてください。
お客様の声/苦情・トラブル/設備・備品/衛生・安全/人員・シフト/食材・仕入れ

【作業2:傾向のまとめ】
区分ごとに、今週多かった話を3行以内でまとめてください。
件数は書かないでください。「多い」「複数の店舗で」のような言い方にしてください。

【作業3:要対応の列挙】
次のいずれかに当たる記述を、1件も省かずにすべて並べてください。
- 修理・交換・点検の手配が要る
- 仕入先への申し入れが要る
- お客様への再度の連絡や返金の承認が要る
- 本部からの応援や採用の手配が要る
- 衛生・安全に関わる(すべて含める)
- 店長が本部に判断や返事を求めている
迷ったものは含めてください。まとめたり、代表的なものだけを選んだりしないでください。
1件ごとに、行番号・店舗名・営業日・区分・原文の引用を書いてください。
原文の引用は、日報に書かれた文をそのまま写し、言い換えないでください。
前週の要対応の一覧に同じ店舗の同じ話があれば、「継続」と書いてください。

【作業4:同じ話の束ね】
2つ以上の店舗から出ている同じ話があれば、話の内容と店舗名の一覧を書いてください。
1店舗だけの話は、ここには書かないでください。

【厳守事項】
- 日報に書かれていないことを補わないでください。原因や対応策を推測しないでください。
- 従業員やお客様の氏名は書かず、「従業員」「お客様」としてください。
- 最後に、読んだ行の行番号をすべて並べてください。

【前週の要対応の一覧】{last_week}

「迷ったものは含める」を書かないと、要対応が少なめに出ます。 何も言わなければ、AIは「本部が動くほどではない」と見た記述を外します。外すかどうかの判断を人の側に残すために、含める方向に倒させます。 多めに出た分は、担当者が原文を見て外すだけで済みます。

「件数は書かない」は、数をExcelに任せるための一文です。 傾向のまとめに「苦情が12件」と書かれると、その数と週次シートの数が違ったときに、どちらが正しいかを調べる手間が生まれます。数はシートの数式だけから出すと決めておきます。

最後の「読んだ行番号を並べる」は、読み落としの検査です。 この一覧の数を週次シートの行数と比べ、少なければ、どの行が抜けたかが番号で分かります。

Step7

出力形式を固定する

Copilot の返答は、次の4つの表で受け取ります。 Word の週報のひな形にそのまま貼れる形にするためです。

表1:区分ごとの傾向

区分今週の傾向(3行以内)
お客様の声新しい季節メニューへの称賛が複数の店舗で出ている。提供の遅さへの不満が土日に集中
設備・備品製氷機の不具合が複数の店舗で出ている

表2:要対応の一覧

行番号店舗営業日区分原文の引用新規/継続
1482駅前店9/16設備・備品「ウォークイン冷蔵庫の温度が午後になると8度まで上がる」新規
1497中央店9/17食材・仕入れ「今週2回目、レタスの外葉の傷みがひどく3割ほど捨てた」新規
1510北口店9/18設備・備品「厨房の換気扇の異音が続いている」継続

表3:複数の店舗から出ている話

話の内容店舗
同じ仕入先のレタスの傷み中央店、東店、南店

表4:読んだ行番号

1471, 1472, 1473, ……

表2の「原文の引用」が、この形の中心です。 週報を受け取った設備担当や購買担当は、要約された言い回しではなく、店長が書いた言葉で状況を知ることができます。「冷蔵庫の不調」と要約されるのと、「午後になると8度まで上がる」と書かれているのとでは、修理業者に伝える内容が変わります。

表2と表3を分けているのは、依頼先が違うからです。 表2の1件ずつは、店舗ごとの手配です。表3は、同じ仕入先や同じ機種の話を束ねたもので、購買担当が仕入先に、設備担当がメーカーに、まとめて申し入れる材料になります。

半自動化以降でAPIやワークフローにつなぐ場合は、同じ4つの表をJSONにします。

{
  "area": "東エリア",
  "week": "2026-09-14/2026-09-20",
  "trends": [{ "category": "設備・備品", "summary": "" }],
  "actions": [
    { "row_id": 1482, "store": "駅前店", "business_date": "2026-09-16",
      "category": "設備・備品", "quote": "", "status": "new | continued" }
  ],
  "clusters": [{ "topic": "", "stores": [] }],
  "rows_read": [1471, 1472]
}

rows_read を配列で持たせるのは、件数の突き合わせを機械でできるようにするためです。 最小構成では人が数を見比べますが、半自動化では Power Automate の側で週次の行数と比べ、合わなければ週報の下書きに進まずに担当者へ知らせる形にできます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Microsoft Forms既存の日報のフォーム店長が閉店後に送る。店舗は選択式の設問にする
Forms の回答ブックForms との同期回答が Excel のブックに入る
「週次」シート数式とフィルター前週の行の絞り込み、提出日数、未提出の日、記入件数
Excel の Copilot担当者が手で実行チャットのみのモードで、エリアごとに指示文を貼る
Word の週報ひな形担当者が貼り付け4つの表と、数式で出した提出状況を貼る
Microsoft Teams担当者が掲載週報を上げ、要対応の事項に担当者を割り当てる

最小構成では、どこにも自動で書き込みません。 Copilot はチャットのみのモードで使い、回答ブックを変更しません。週報に貼るのも、Teams に上げるのも人です。 自動化するのは、Forms の回答がブックに入るところまでです。

要対応の事項の割り当ては、Teams の週報の投稿で行います。 表2の1行ごとに、設備担当・購買担当・エリアマネージャーの誰が受け持つかを担当者が書き入れます。翌週の前週の要対応の一覧は、この割り当てと対応状況を書き足したものを使います。

Step9

人が確認する

人が時間を使うのは、表2の要対応の一覧と、表4の読んだ行番号の2か所です。

  1. 読んだ行の数を確かめる … 表4の行番号の数と、週次シートでそのエリアの読む対象の行数を比べます。合わなければ、抜けた行番号を探し、その店舗だけ読み直させます
  2. 要対応の1件ずつを原文と照らす … 行番号で週次シートの行を開き、引用が原文どおりか、区分が合っているかを見ます
  3. 要対応から漏れていないかを見る … 週次シートで「設備・備品」と「衛生・安全」の欄に記入のある行を絞り込み、表2に載っていない行がないかを確かめます
  4. 外すものを決める … 迷って含められたものを、本部が動く必要がないと判断したら外します。外した理由を1語で書き残します
  5. 前半の傾向を読み、言い過ぎを直す … 「複数の店舗で」と書かれた話が本当に複数の店舗の話かを、表3と照らして確かめます

3番目は、AIに頼らない漏れの検査です。 欄の名前で区分を決めさせない設計にしているので、表2の漏れは欄の名前では完全には拾えません。それでも「設備・備品」の欄に書かれた記述が表2に1件も無ければ、それは確実に漏れです。 数式で絞り込むだけなので、数分で終わります。

目標は、900件をならして1件0.6分です。 1件ずつ日報を読む時間はなくなり、人が読むのは表2に挙がった行と、3番の検査で引っかかった行だけになります。表2の件数が多い週はこれを超えます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
読んだ行番号の数が週次シートと合わない抜けた行番号を探し、その店舗だけを範囲にして読み直させる
原文の引用が原文と違う(言い換えている)その1件は原文から人が写し直す。続く場合は1回の範囲を5店舗に減らす
日報にない事項が要対応に出ている表2から外し、指示文の「補わない」を強める。その週の他の件も原文と照らす
同じ店舗・同じ営業日の行が2行ある前処理で後の行を残す。印の付け忘れは表2に同じ件が2つ並ぶので、そこで気づく
定休日でない日に日報が無い数式の未提出の欄に出す。Copilot には聞かない
緊急の事項が日報にだけ書かれていた週報を待たずに、その日のうちにエリアマネージャーへ連絡する。日報の運用を店長に確認する
従業員の氏名が要約に出た週報に貼る前に消す。指示文の氏名の一文が効いているかを確かめる
Copilot が応答しない、途中で止まる範囲を5店舗に減らして読み直させる。それでも止まるときは、そのエリアは従来どおり人が読む

上から2行目が、要約の構成でいちばん起きやすい失敗です。 原文の引用を頼んでも、長い記述を短く言い換えて「引用」として返すことがあります。言い換えられた引用は、設備担当が修理業者に伝える段階で意味がずれます。 1字ずつ比べる必要はありませんが、数字と固有名詞が原文どおりかだけは必ず見ます。

Step11

記録を残す

  • その週の「週次」シートの写し(読ませた行と、数式で出した提出状況)
  • 使った指示文と、エリアごとの Copilot の返答の全文
  • 表4の読んだ行番号と、週次シートの行数の比較の結果
  • 人が表2から外した事項と、外した理由
  • 人が表2に書き足した事項と、どの検査で見つけたか
  • Teams で割り当てた担当者と、翌週時点の対応状況

外した事項と書き足した事項を残すのは、指示文を直す材料にするためです。 書き足した事項が毎週「床の破損」なら、要対応の条件に床のことを書き足せば済みます。同じ直しが3週続いたら、指示文のほうを変えます。

04実装レベルの3段階

最小構成:回答ブックの「週次」シートを担当者が開き、Excel の Copilot にエリアごとに指示文を貼る / コメントの読み分けと、要対応の列挙
半自動化:上記+ Power Automate のスケジュールされたフローで、毎週月曜の朝に前週分の行を週次のブックへ書き出し、担当者へ Teams で知らせる / 前週分の抽出と、作業開始の通知
本格構成:上記+要対応の一覧を担当部署ごとのリストに登録し、対応状況を翌週の週報に自動で引き継ぐ / 要対応の割り当てと、対応状況の追跡

本記事の想定は最小構成です。 第10章の0.6分は、担当者が週次シートを開いて指示文を貼る前提で置いた数字です。この業務は週に一度、1回あたり3エリア分なので、最小構成でも手間の大半がなくなります。 半自動化で減るのは、主に絞り込みの手間です。 Power Automate の、定期的なスケジュールで動くスケジュールされたクラウドフローに、前週分の書き出しと担当者への通知を任せます。 本格構成で効いてくるのは、要対応の追跡です。 表2の事項を担当部署のリストに登録して対応後に閉じる形にすると、翌週の「継続」の判定を、AIではなくリストの状態から出せます。 段階を上げるのは、表2の漏れがないことを4週以上確かめてからにしてください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
900 件
1件あたり現在時間
2 分
1件あたり導入後時間
0.6 分
現在  900件 × 2分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 900件 × 0.6分 ÷ 60 = 9 時間/月
月間削減時間
21h
削減率
70%
年間削減時間
252h
年間金額換算(時間単価3,000円)
76万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 20〜50店舗規模の飲食チェーンや小売チェーンで、店長が毎日の日報に自由記述のコメントを書いており、本部の担当者がそれを読んで週報を作っている場合。日報をすでに Microsoft Forms や Excel で集めていて、Microsoft 365 Copilot を使える環境がある場合。コメントの中に設備の不具合やお客様の声が埋もれ、本部の担当部署へ伝わるのが遅れている場合。
向いていない
  1. 店舗が数店で、本部の担当者が毎日すべての日報に目を通せている場合。日報が紙やFAXで届き、文字として集まっていない場合。食中毒の疑い・けが・火災など即日の対応が要る連絡を、日報の欄で受けている場合(その連絡は週報ではなく緊急連絡の経路で受ける設計に先に直す必要があります)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の日報から、1エリア分(10店舗 × 7日 = 約70行)を選ぶ
  2. 同じ週について、当時の週報の後半(要対応の一覧)を用意する
  3. 回答ブックに「週次」シートを作り、その週の70行を絞り込む
  4. Excel の Copilot をチャットのみのモードで開き、第7章の指示文を貼る
  5. 返ってきた表2を、当時の週報の要対応の一覧と突き合わせる
  6. 表4の読んだ行番号の数を、週次シートの行数と比べる

当時の週報が正解とは限りません。 AIが挙げたのに当時の週報に無い事項は、当時の見落としか、AIの挙げすぎかを原文で決めます。

出てきた内容判断
当時の週報の事項がすべて表2にあり、それ以外にも挙がった当時の見落としかを原文で確かめる。 構成は有効
当時の週報にある事項が表2に無い指示文の要対応の条件に、その種類の事項を書き足す
原文の引用が言い換えられている1回の範囲を減らす。それでも続けば、引用ではなく行番号だけを返させる
読んだ行番号の数が合わない範囲を減らして読み直させる。合うまで範囲を小さくする

4週分を試してください。 4週続けて第7章の漏れの検査で何も見つからなければ、30店舗に広げます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
要対応の一覧が要約されて、1店舗だけの話が消える「まとめない、選ばない、全件並べる」を指示文に書く。 前半の傾向と後半の一覧を別の作業にする
傾向のまとめに件数が書かれ、シートの数と合わない件数を書かせない。 数は週次シートの数式からだけ出す
読んだはずの行が抜けている読んだ行番号を返させ、シートの行数と比べる。範囲を10店舗以下にする
原文の引用が言い換えになる数字と固有名詞だけは必ず原文と照らす。続くなら範囲を減らす
欄の名前で区分が決まってしまう「中身で決める」を明記する。「その他」欄の設備の話が拾われているかで確かめる
定休日が未提出に数えられる「店舗」シートに定休日を持たせ、数式で除く
同じ日の二重送信で同じ事項が2つ並ぶ前処理で後の行だけを残す
店舗名の揺れで別の店舗として数えられるForms の設問を選択式に直す
緊急の事項が日報でしか届いていない日報は緊急連絡の経路にしない。 電話と既存の連絡網で受ける
Copilot Chat(Basic)しかなく、Excel の中で使えない週次シートを書き出したファイルをアップロードして、同じ指示文を使う

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「要約させると少数の話と数が崩れる」ところから来ています。読み分けはAIに、数と全件の保証は数式と人に、という分け方を守れるかで決まります。

下から2行目は構成の外の問題ですが、最初に確かめてください。 週に一度しか読まないことは変わらないので、その日のうちに動くべき事項は先に連絡の経路を分けます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 店舗の営業上の出来事、お客様の声と苦情の中身、従業員の欠勤や体調に関する記述、仕入先の名前と品質の話です。お客様や従業員の氏名が書かれていることがあります。

  1. Copilot の保護の範囲を確かめる … Microsoft Learn の概要ページでは、Microsoft Entra アカウントでサインインすると Copilot Chat(Basic)、Microsoft 365 Copilot(Basic)、Premium のいずれもエンタープライズデータ保護(EDP)の対象になるとされています。個人のアカウントでサインインした Copilot に日報を貼らないことを、担当者の手順に書いておきます
  2. 氏名を週報に載せない … 日報の原文には氏名が出ることがあります。週報は本部の多くの人が読むので、指示文で店舗名までにとどめさせ、貼る前に人が見ます
  3. Web の情報を混ぜない … 指示文で、このシート以外の情報を使わないよう書きます。日報に無い情報が要対応に混ざると、根拠のない依頼になります
  4. 回答ブックの共有範囲を絞る … SharePoint のブックの閲覧を、経営企画部と各エリアマネージャーまでに絞ります
  5. 表3の仕入先の話を、確かめる前に結論として扱わない … 「同じ仕入先のレタスの傷み」は、申し入れる前の段階の情報です。事実を確かめるまでは、仕入先の評価として社内に広めません
  6. 従業員の体調の記述は、店舗名と日付までにする … 本部が把握する必要はありますが、誰が体調を崩したかは週報に載せる情報ではありません

誤りが起きた場合のリスクは、要対応の事項が週報から漏れることと、日報に無い事項が週報に載ることの2つです。 前者は要約させると起き、後者は推測で補わせると起きます。どちらも指示文と、行番号による照合で防げる形にしてあるので、そこだけは運用で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:Forms と回答ブックを整える

Forms の店舗名の設問を選択式に直し、回答ブックに「店舗」シート(店舗コード、店舗名、エリア、エリアマネージャー、定休日)を足します。あわせて、同じ営業日の二重送信がどのくらいあるかを先月分で数えます。

2週目:要対応の条件を決める

設備担当・購買担当・エリアマネージャーから、どういう記述があれば自分が動くのかを聞き取り、第7章の要対応の条件に書き足します。緊急の事項を日報で受けていないかも確かめます。

3週目:1エリアで試す

先月の1週分、1エリア(約70行)で第8章の手順を試し、当時の週報と表2を突き合わせます。読んだ行番号の数が合うか、原文の引用が言い換えになっていないかを最優先で見ます。

4週目:今週の日報で並行して作る

今週分の日報で、従来どおりの週報と、Copilot を使った週報を両方作ります。経営会議に出すのは従来の週報のままにし、表2の漏れと挙げすぎを数えます。

2か月目: 3エリアすべてに広げ、Copilot を使った週報を経営会議に出します。第7章の3番の漏れの検査で見つかった件数を毎週記録します。3か月目以降: 漏れの検査で見つかる件数が続けて0件になったら、Power Automate で前週分の書き出しを自動にします。1件2分が何分になったかを実測し、店長からの「日報に書いたのに」という声が減ったかを確かめた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-29/最終更新:2026-09-29
確認した内容情報源確認日
Copilot Chat(Basic)は Word や Excel の Copilot にアクセスできず、組織のコンテンツはファイルのアップロードなどで明示的に渡す必要があること。Microsoft 365 Copilot(Basic)が Word や Excel の Copilot に標準アクセスできること。Microsoft Entra アカウントでのサインイン時にいずれもエンタープライズデータ保護の対象になることMicrosoft Learn: Microsoft Copilot とは?2026-09-29
Excel の Copilot に編集・計画・チャットの3つのモードがあり、チャットのモードではブックを変更せずに分析情報を得られること。データについて質問すると要約・傾向・外れ値などとして分析情報を示すことMicrosoft サポート: Excel の Copilot の使用を開始する2026-09-29
Forms の回答タブから「Excel で開く」を選ぶと、個人のフォームは OneDrive for work or school、グループのフォームは SharePoint Online にブックが保存されること。「Excel で開く」を選ぶかブックを開き直すたびに最新の回答が表示されることMicrosoft サポート: Microsoft Forms と Excel ブック2026-09-29
Power Automate のスケジュールされたクラウドフローが、「毎週月曜日の午前9時」のような定期的なスケジュールで繰り返しトリガーにより動くことMicrosoft Learn: トリガー - Power Automate2026-09-29

Copilot で使える機能は、ライセンスとテナントの構成によって変わります。 導入前に自社の環境で確かめてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-0306)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次