顧客のオンボーディングを設計する5工程|詰まりをAIで拾う

顧客のオンボーディングを設計する5工程|詰まりをAIで拾う

「契約から三か月たって初めて、先方がまだ初期設定すら終えていないと知った。更新の時期に聞いたら『結局使っていない』と言われた」「導入の説明会は毎回やっているのに、使い始める会社と止まる会社の差がどこで開くのか、誰も説明できない」。業務向けのサービスを売る会社から、こうした声がよく聞かれます。説明会の資料や手引きが足りないのかと考えがちですが、手元の材料を増やしても同じことが繰り返されます。オンボーディングの問題は、説明の量ではありません。本当は、顧客ごとの「最初の成果」と、そこへ向かう途中の到達点が決まっていないために、遅れに誰も気づけないことが原因です。この記事では、契約直後から最初の成果が出るまでの期間を5つの工程で設計し、つまずきの兆しをAIで拾って人が手当てするまでの流れを整理します。


カメ先生カメ先生

オンボーディングは、契約した顧客が自社のサービスを使い始めて、最初の成果を手にするまでの期間のことだよ。ここで止まった顧客は、更新の時期になって初めて問題が見えることが多いんだ。


カメ子カメ子

問い合わせや利用の記録をAIに全部読ませれば、止まっている会社を自動で見つけてくれるのではありませんか。


カメ先生カメ先生

兆しを拾う手伝いはかなりできる。でも、何をもって成果とするかは顧客ごとに違うし、どの会社に人が手をかけるかは、担当の人数と相手の事情を見て人が決めることなんだ。AIには抜き出しと下書きを任せて、根拠の文や記録を必ず添えさせる。


カメ子カメ子

成果の定義と手をかける順番は人が持って、AIは兆しを集める役なのですね。


この記事のポイント
  • 最初の成果は「使い始めた」ではなく、顧客が大事にしている結果で、顧客ごとに一文で決める
  • キックオフ・初期設定・初回の活用の3つの到達点に期限を置き、遅れを兆しとして拾う
  • AIは問い合わせや利用記録からのつまずきの抜き出しと進み具合の要約まで。手をかける顧客は人が決める

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目次

オンボーディングは、契約から最初の成果までの期間

本稿でいうオンボーディングは、顧客が契約してから、自社のサービスで最初の成果を手にするまでの期間です。クラウドの業務ソフト、業務の代行や支援、導入の作業を伴うサービスなど、契約した後に顧客の側で使い始める手間があるサービスで特に重くなります。商品を渡して終わりの売り方と違い、使われなければ次の更新も追加の契約も起きないからです。

この期間は、営業から運用の担当へ顧客が引き継がれる境目でもあります。営業は契約までを、運用や支援の担当は契約後を見ていると、ちょうど境目の数週間に誰の目も届かない時間ができます。オンボーディングを「導入の説明会を一回やること」と捉えていると、この空白は埋まりません。契約の日から最初の成果の日までを、一つの工程として誰かが持つことが、設計の出発点になります。

契約後の長い期間にわたって顧客の状態を点数で見る仕組みは、別の話です。複数の材料を一つの点数に束ねる考え方は「カスタマーヘルススコアとは?」の記事で扱っているので、本稿では契約直後の数か月、最初の成果までに絞って進めます。

「使い始めた」と「成果が出た」は別の到達点

オンボーディングの進み具合を測るときに、よく混同される到達点が二つあります。一つは初期設定が終わり、サービスを本番で使える状態になった日です。もう一つは、顧客がそのサービスで、自分たちが大事にしている結果を初めて手にした日です。海外の顧客支援の解説では、前者までの日数と、契約から後者までの時間(最初の価値までの時間)を分けて測る考え方が紹介されています。

この二つを分ける理由は、設定が終わったことは提供する側の都合の到達点で、顧客にとっての成果ではないからです。設定は終わったのに誰も使っていない、という状態は珍しくありません。反対に、工夫しだいで、すべての設定が終わる前に最初の成果を届けることもできます。たとえば、全社の設定を待たずに一つの部署で先に使い始め、その部署の報告書が一本できた時点を最初の成果にする、といった形です。

ですから、オンボーディングを「設定の完了」で締めくくる設計は、顧客の側から見ると途中で終わっています。最初の成果を終点に置き、設定の完了はその手前の到達点の一つとして扱うと、どこで止まっているかが見えるようになります。

顧客に最初の成果を早く届ける工夫としては、成果に直接つながらない作業を後ろに回す考え方があります。たとえば、全利用者の登録や細かな権限の設定は、最初の成果に必要な数人分だけを先に済ませ、残りは成果が出たあとに広げます。顧客の推進役にとっても、社内で「もう一つ結果が出た」と言える材料が早く手に入るほうが、残りの設定に周りの協力を得やすくなります。

オンボーディングの設計は5つの工程で組む

本稿では、オンボーディングの設計を次の5つの工程に分けます。前の工程で決めたことが後の工程の材料になるため、順番どおりに進めるのが基本です。

STEP1
「最初の成果」を顧客ごとに決める

顧客が大事にしている結果を、契約の前後に聞き取り、一文で書きます。

STEP2
到達点と期限を置く

キックオフ・初期設定・初回の活用の3つを到達点にし、それぞれに期限を置きます。

STEP3
つまずきの兆しを拾う材料を決める

利用の記録・問い合わせ・設定の未完了・担当者の不在の4つを、兆しの材料として決めます。

STEP4
兆しが出たときの手当てを決める

連絡・説明会・手引き・担当交代の引き継ぎのどれで手当てするかを、兆しの種類ごとに決めておきます。

STEP5
解約と拡大の実績で答え合わせする

オンボーディングの結果が、更新・解約・追加の契約とどうつながったかを振り返り、定義と到達点を直します。

5つの工程のうち、AIが手伝えるのは主に工程3と工程4の一部です。問い合わせの本文や利用の記録からつまずきを抜き出す、顧客ごとの進み具合を要約する、手引きの下書きを作る、といった作業です。工程1の成果の定義と、工程4でどの顧客に人が手をかけるかの判断は、AIに任せないという線を、最初に引いておきます。

工程ごとの持ち主も決めておきます。工程1と工程2は顧客と向き合う運用の担当が、工程3の材料の集め方は記録を扱える担当が、工程4の手当ては運用の担当が、工程5の答え合わせは運用の責任者が持つ、という分け方が一例です。持ち主のいない工程は、忙しい月に真っ先に抜け落ちます。人数が少ない会社では一人が全部を持ってもかまいませんが、その場合も、どの工程をいつやるかを暦に書いておきます。

工程1 「最初の成果」を顧客ごとに一文で決める

最初の成果は、提供する側が決めた「使い方の完了」ではなく、顧客が自分の言葉で大事だと言っている結果で書きます。同じ顧客管理のサービスでも、ある会社にとっては営業の週次の報告が手作業なしで出ることが成果で、別の会社にとっては問い合わせの取りこぼしが無くなることが成果です。顧客ごとに違うので、一律の定義では測れません。

書き方は一文に絞ります。「いつまでに、誰が、何を、どの状態にできたら」という形にすると、あとで達したかどうかを判定できます。たとえば「導入から六週間以内に、営業部の五人が、週次の案件報告をこのサービスから出せる状態」のように書きます。一文で書けない成果は、まだ定義できていないと考えて、顧客との打ち合わせで絞り込みます。

この定義を決めるのは、顧客と自社の担当者です。AIに契約書や提案書を読ませて成果の候補を並べさせることはできますが、候補のどれを選ぶかは、顧客の話を聞いた人が決めます。AIが並べた候補は、提案書に書いてあった言葉の言い換えにとどまり、顧客の社内で本当に困っていることとずれる場合があるからです。

営業からの引き継ぎで、成果の中身を受け取る

最初の成果の材料を一番多く持っているのは、契約までを担当した営業です。顧客がなぜ買ったのか、社内で誰が推して誰が反対したのか、いつまでに何を見せないと社内の説明が立たないのか。これらが引き継ぎで落ちると、運用の担当は同じことを顧客に聞き直すことになります。顧客から見れば、契約した途端に話が通じなくなった、という最初のつまずきです。

引き継ぎでは、自由な書式のメモではなく、決まった項目で渡してもらいます。導入の目的、顧客が口にした成果の言葉、社内の推進役と決裁者、期限のある社内行事、営業が約束したこと、の五つ程度があれば、工程1の定義はほぼ書けます。営業の商談の記録が顧客管理ツールに残っていれば、AIにその記録からこれらの項目の下書きを作らせ、根拠の一文を添えさせてから営業に確かめてもらう形にすると、引き継ぎの手間が減ります。

営業が約束したことの確認は、特に丁寧に行います。「この機能は来月から使えます」「設定はこちらで代行します」といった約束が引き継がれていないと、運用の担当が知らないまま顧客の期待とずれていきます。約束の中身は、AIの下書きではなく、営業本人の言葉で書いてもらうのが確実です。

工程2 キックオフ・初期設定・初回の活用に期限を置く

最初の成果までの道のりに、途中の到達点を置きます。本稿では、キックオフ、初期設定の完了、初回の活用の3つを基本の到達点にします。キックオフは、顧客の推進役と自社の担当者が、成果の定義と日程をそろえる最初の打ち合わせです。初期設定の完了は、利用者の登録や既存データの取り込みなど、使い始めるための準備が終わった状態です。初回の活用は、顧客の担当者が実際の業務で初めてサービスを使った状態です。

それぞれに期限を置きます。期限は、自社の標準の日数を目安にしつつ、顧客の社内の事情に合わせて顧客と一緒に決めます。年度末や繁忙期に初期設定を重ねると、顧客の担当者が手を割けずに止まるからです。キックオフの場で、到達点ごとの期限を、顧客の推進役と自社の担当者の両方の名前で書き残すと、どちらかが忘れても互いに確かめ合えます。

期限を置く目的は、顧客を急かすことではなく、遅れを兆しとして早く見つけることです。初期設定の期限を二週間過ぎた顧客は、何かの事情で止まっている可能性が高いと分かります。期限がなければ、止まっていることにすら気づけません。

到達点ごとに「遅れ」の線を決めておく

期限を置いただけでは、どれだけ過ぎたら手を打つかが担当者ごとにばらつきます。到達点ごとに「何日過ぎたら遅れとみなすか」を先に決めておくと、誰が見ても同じ判断になります。キックオフが契約から一か月たっても開けていない、初期設定の期限を二週間過ぎた、といった形で、数字で書きます。

遅れの線は、顧客の規模によって分けてもかまいません。利用者が数人の顧客と数百人の顧客では、初期設定にかかる時間がまったく違います。規模ごとに標準の期限と遅れの線を持っておき、キックオフで顧客の事情を聞いて調整する、という二段にしておくと、無理のない線になります。

遅れの線を決めるときに、最初から細かく作り込む必要はありません。まずは過去に契約した顧客のうち、うまく使い始めた会社と止まった会社を数社ずつ並べ、どの到達点でどれくらい差が開いたかを見ます。その差から線を引き、工程5の答え合わせで直していけば十分です。

工程3 つまずきの兆しを拾う4つの材料

遅れの線とあわせて、つまずきの兆しを拾う材料を決めます。本稿では、利用の記録、問い合わせ、設定の未完了、担当者の不在の4つを基本の材料にします。どれも、顧客が止まり始めたときに先に動くものです。

利用の記録は、ログインした人数や、主な機能が使われた回数です。登録した利用者のうち実際に入った人が少ない、最初の週だけ使われて止まった、といった動きが兆しになります。問い合わせは、件数と中身の両方を見ます。件数が多いのは困っている兆しですが、全く来ないのも、使っていないから聞くことがない、という兆しの場合があります。

設定の未完了は、データの取り込みや連携の設定など、使い始めるのに必要な準備が途中で止まっている状態です。担当者の不在は、顧客の推進役が異動・退職・長期の休みで連絡がつかなくなった状態で、4つのうち最も見落とされやすく、最も影響が大きい兆しです。推進役からの返信が二週間途絶えたら兆しとして扱う、のように、担当者の不在も数字で線を決めておきます。

問い合わせと利用の記録から、AIでつまずきを抜き出す

4つの材料のうち、AIが最も役に立つのは問い合わせの本文です。顧客からの問い合わせを人が一件ずつ読んで、どの到達点でつまずいているかを判断するのは手間がかかります。AIに問い合わせの本文から、つまずいている作業・困っている理由・到達点のどこに当たるかを抜き出させ、根拠になった一文を必ず添えさせると、読む人は根拠の一文を確かめるだけで済みます。

利用の記録からは、顧客ごとの進み具合を短い文で要約させる使い方ができます。「登録十人のうち、ログインは三人。主な機能の利用は最初の週の二回のみ。初期設定の取り込みは未完了」のように、記録の数字をそのまま文にさせます。AIに「この顧客は危ない」と判定させるのではなく、判断の材料を人が読みやすい形に並べさせるところまでにとどめます。

問い合わせの本文には、顧客の担当者の名前や連絡先が含まれます。個人情報保護委員会は令和5年6月に生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表し、個人情報を含む入力をするときは利用目的の範囲内かを確かめること、本人の同意なく個人データを入力して応答以外の目的で扱われると法に反するおそれがあることを示しています。使うAIのサービスが入力を学習に使わない設定かを確かめ、名前や連絡先を伏せてから渡す手順にしておきます。

抜き出しの精度も、使い始めの時期に確かめます。最初の一か月は、AIが抜き出したつまずきと、担当者が読んだ判断を並べて見比べます。ずれが多い型があれば、到達点の説明や型の定義をAIへの指示に書き足します。AIの抜き出しが担当者の読みと合うようになるまでは、全件を人が確かめると決めておけば、見落としを抱えたまま運用に乗せることを避けられます。

工程4 兆しが出たときの手当てを決めておく

兆しを拾っても、そのあとの動きが決まっていなければ、一覧を眺めて終わります。兆しの種類ごとに、どの手当てをするかを先に決めておきます。手当ての基本は、個別の連絡、少人数の説明会、手引きの案内、担当交代の引き継ぎの4つです。

兆しまず打つ手当て誰が動くかAIに任せる範囲
初期設定が期限を過ぎて止まっている個別に連絡し、止まっている作業を一緒に確かめる運用の担当止まっている設定の一覧と連絡文の下書き
登録した人のうち使っている人が少ない利用者向けの少人数の説明会を開く運用の担当使われていない機能の要約
同じ種類の問い合わせが続く該当する手引きを案内し、手引きの側も直す運用の担当とマーケ問い合わせの型ごとの集計と手引きの下書き
推進役と連絡がつかない後任を確かめ、成果の定義を引き継ぎ直す運用の担当と営業これまでの経緯の要約
問い合わせも利用も無い推進役に直接連絡し、社内の事情を聞く運用の担当なし(人が判断する)

どの顧客から手をかけるかは、人が決めます。担当者の人数には限りがあり、同じ兆しでも、契約の規模、更新までの残り期間、顧客の社内の事情によって優先の順番は変わります。AIが並べた一覧は判断の材料で、順番そのものではありません。

手当てをしたら、何をしてどうなったかを顧客管理ツールに残します。連絡した日、打った手当て、顧客の反応、次に確かめる日の4つがあれば十分です。記録がないと、同じ顧客に別の担当者が同じ連絡を重ねたり、手当ての効き目を工程5で振り返れなくなったりします。手当ての記録は、どの手当てが効いたかを後で確かめるための材料になるので、短くても毎回残す習慣にします。

推進役の交代は、最も大きな詰まりになる

オンボーディングの途中で顧客の推進役が代わると、それまでに決めた成果の定義も期限も、新しい担当者には伝わっていないことがよくあります。新しい担当者から見れば、前任者が選んだサービスを、理由も知らずに引き継いだ状態です。ここで放っておくと、使われないまま更新の時期を迎えます。

交代に気づいたら、新しい担当者と改めてキックオフを開き、成果の定義を引き継ぎ直します。その際、これまでの経緯を一枚にまとめて渡すと話が早く進みます。経緯の要約は、打ち合わせの記録や問い合わせの履歴をもとにAIに下書きさせ、担当者が読んで直してから使います。前任者と決めた成果の定義を、そのまま押し付けずに新しい担当者と決め直すことが大切です。人が代われば、社内で求められる成果も変わっていることがあるからです。

自社の側の担当者が代わるときも同じです。営業から運用の担当への引き継ぎと同じ項目で、運用の担当同士でも引き継ぎを行います。顧客にとっては、どちらの側の交代でも話が通じなくなる怖さは変わりません。

工程5 解約と拡大の実績で答え合わせをする

オンボーディングの設計がうまくいったかは、その期間の中だけでは分かりません。最初の成果に届いた顧客と届かなかった顧客で、その後の更新・解約・追加の契約がどう違ったかを見て初めて、定義と到達点が正しかったかを確かめられます。

答え合わせは、四半期に一度ほど、更新の時期を迎えた顧客について行います。最初の成果に期限内で届いた顧客の更新の割合と、届かなかった顧客の更新の割合を並べます。差がはっきり出ていれば、成果の定義は更新につながる中身を捉えていると言えます。差が出ていなければ、定義が顧客にとっての成果とずれている可能性があるので、工程1に戻って聞き取りの中身を見直します。

答え合わせの結果は、到達点の期限や遅れの線にも返します。ある到達点の遅れが解約とよく重なっているなら、その到達点の遅れの線を短くして、早めに手当てするようにします。解約の兆しを統計の手法で予測するモデルを作る話は、本稿の範囲を超えるので扱いません。ここでは、自社の顧客の実績を並べて見るだけでも、設計の直すべきところは十分に見つかります。

答え合わせのときに気をつけたいのは、件数の少なさです。契約の数が少ない会社では、一つの四半期に更新を迎える顧客が数社しかないこともあります。数社の結果で成果の定義を大きく変えると、偶然の差に振り回されます。件数が少ないうちは、数字の差を言い切らずに、届かなかった顧客一社ずつについて、どの到達点で何が起きたかを担当者が振り返る形にします。その振り返りを積み重ねるほうが、少ない件数でも直すべき点がはっきりします。

オンボーディング期に見る指標の一覧

ここまでの5つの工程で扱った数字を、オンボーディング期に見る指標として一覧にします。指標は多く持つほど見なくなるので、最初は表の中から4つか5つを選び、月に一度、担当者全員で同じ表を見るところから始めます。

指標測り方どの工程で使うか見るときの注意
最初の成果までの日数契約の日から、顧客ごとに定義した成果に届いた日まで工程1・工程5定義が顧客ごとに違うため、平均だけで比べない
初期設定の完了までの日数契約の日から、使い始める準備が終わった日まで工程2設定の完了は成果ではない
期限内に届いた到達点の割合到達点ごとに、期限内に届いた顧客の数を全体で割る工程2遅れの線とあわせて見る
登録した利用者のうち使っている人の割合一定期間に一度でも使った人の数を登録した人の数で割る工程3規模の違う顧客を同じ線で見ない
問い合わせの件数と型顧客ごと・到達点ごとの件数と、つまずきの型工程3・工程4件数が無いことも兆しになり得る
成果に届いた顧客と届かなかった顧客の更新の割合更新の時期を迎えた顧客を二つに分けて比べる工程5件数が少ないうちは差を言い切らない
  • 他社や業界の平均の日数は、サービスの種類と顧客の規模で大きく変わります。まずは自社の過去の顧客の実績を基準にします。
  • 指標の数字をAIに集計させる場合も、元の記録と合っているかを最初の数回は人が確かめます。

表を見る場では、数字の良し悪しより、先月から動いた指標に目を向けます。たとえば、初期設定の完了までの日数が急に延びていれば、新しく契約した顧客の規模が変わったのか、設定の手引きが古くなったのかを確かめます。指標が動いた理由を、担当者が顧客の具体的な名前で説明できるかを確かめる場にすると、数字だけを追う会議になりません。

マーケが持てる4つの役割

オンボーディングは運用や支援の担当の仕事と思われがちですが、マーケが持てる役割もはっきりあります。手引きの記事、手順の動画、順番に届けるメール、よくある質問の整備の4つです。どれも、一人ひとりの担当者が同じ説明を何度も繰り返す負担を減らし、顧客が自分で進められる道を増やすものです。

手引きの記事と動画は、工程3で集めた問い合わせの型から作ります。同じ種類の問い合わせが続いているところが、手引きの足りないところです。AIに問い合わせの型ごとの集計と手引きの下書きを作らせ、運用の担当が手順の正しさを確かめてから公開します。メールは、到達点に合わせて順番に届ける形にします。キックオフの前には準備の案内、初期設定の期限の前には設定の手引き、初回の活用のあとには次の使い方の案内、という具合です。既存顧客へのメール全体の設計は「既存顧客へのメールを設計する方法」の記事にゆずります。

よくある質問の整備は、手引きの入口になります。問い合わせの本文から、顧客が実際に使った言葉で質問を書くと、顧客が探したときに見つかりやすくなります。マーケが持つ記事や動画を作る力を、契約した後の顧客にも向けることで、運用の担当は人の手が必要な顧客に時間を回せるようになります。

マーケが作った手引きが効いているかは、手引きを公開した前後で、その型の問い合わせの件数がどう動いたかで確かめます。閲覧の数が多くても問い合わせが減っていなければ、手引きの中身が顧客のつまずきに届いていないと分かります。その場合は、問い合わせの本文をもう一度読み、顧客がどこで手を止めたかを手引きの冒頭に書き足します。

AIに任せる範囲と、人が決める範囲

ここまでの工程で、AIに任せられる作業は、問い合わせの本文や利用の記録からつまずきを抜き出すこと、顧客ごとの進み具合を要約すること、手引きや連絡文の下書きを作ることの3つにまとまります。どれも、判断の材料を人が読みやすい形に並べる作業で、根拠の一文や元の記録を必ず添えさせます。

一方で、次のような使い方は避けます。

  • 契約書や提案書をAIに読ませて、顧客の「最初の成果」をそのまま決めてしまう
  • AIが並べた兆しの一覧の順番どおりに、手をかける顧客を決める
  • 問い合わせの本文を、名前や連絡先を伏せないまま学習に使われる設定のAIに渡す
  • AIが下書きした連絡文を、担当者が読まずに顧客へ送る

成果の定義、手をかける顧客の順番、顧客への連絡の中身は、どれも顧客との関係そのものです。AIは材料を集めて並べる役で、決めるのは顧客の話を聞いた人である、という線を、担当者が入れ替わっても変わらないように手順書に書いておきます。

まとめ

顧客のオンボーディングは、契約した顧客が自社のサービスで最初の成果を手にするまでの期間で、設定の完了ではなく最初の成果を終点に置いて設計します。工程1で顧客ごとの最初の成果を一文で決め、営業からの引き継ぎで中身を受け取ります。工程2でキックオフ・初期設定・初回の活用に期限と遅れの線を置き、工程3で利用の記録・問い合わせ・設定の未完了・担当者の不在の4つからつまずきの兆しを拾います。工程4では兆しの種類ごとに手当てを決め、推進役の交代には改めてキックオフを開いて成果を決め直します。工程5では、成果に届いた顧客と届かなかった顧客の更新の違いで答え合わせをします。AIに任せるのは抜き出し・要約・下書きまでで、成果の定義とどの顧客に手をかけるかは人が決めます。まずは過去に契約した顧客を数社ずつ並べ、どの到達点で差が開いたかを見るところから始めてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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