【2026年】AI広告が批判されたときの対応|取り下げか説明かの判断軸

【2026年】AI広告が批判されたときの対応|取り下げか説明かの判断軸

「生成AIで作った広告に『手抜き』『不気味』という声が集まり、取り下げるかどうかを一晩で決めなければならなかった」「取り下げたら、今度は非を認めたと受け取られそうで動けない」。広告やブランドを預かる担当者から、こうした迷いを聞く機会が増えました。迷うのは無理もありません。前例が積み上がり始めたのは、ここ1〜2年のことだからです。2025年12月には、マクドナルドのオランダ法人が生成AIで作ったクリスマスの動画広告を、公開から数日で取り下げたと米国の大手報道機関が伝えました。一方で、同じ年末にAIを使った広告で批判を受けたコカ・コーラの側は、消費者調査での評価の高さを示して擁護したと報じられています。批判されたら取り下げる、という一本道ではありません。本当は、批判の中身が「事実の誤り」なのか「好みや価値観」なのかで、取るべき道が分かれるのです。この記事では、AIで作った広告が批判されたときに、取り下げるか説明で収めるかを決める判断の軸を、批判の型ごとに整理します。


カメ先生カメ先生

AIで作った広告への批判は、ひとまとめに見えて中身がまったく違うんだ。AIを使ったこと自体が嫌だという声もあれば、実在しない人を実在の利用者のように見せた、という指摘もある。


カメ子カメ子

同じ批判でも、重さが違うということですか。


カメ先生カメ先生

そう。事実と違う見せ方や権利の問題は、説明しても消えない。使ったこと自体への反発なら、どう作ったかを示して収める道もある。寄せられた声の仕分けはAIに手伝わせてもいいけれど、取り下げるかどうかをAIに決めさせてはいけない。人が決める範囲を先に決めておくんだ。


カメ子カメ子

まず批判の型を見分けるところから始めるんですね。


この記事のポイント
  • AI広告への批判は、使ったこと自体・出来の悪さ・誤認・権利・ブランドとの食い違いの5つの型に分けて読む
  • 誤認・権利・法令に触れるなら取り下げ、使ったこと自体への反発なら工程の説明で収める道もある
  • 説明の材料は制作の時点で決まる。制作記録、開示の方針、制作会社との分担を先に用意しておく

広告・SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

目次

2026年、AIで作った広告はどんな理由で批判されているか

2025年から2026年にかけて、海外の大手ブランドが生成AIを使った広告で批判を受けたと報じられる例が続きました。マクドナルドのオランダ法人のクリスマス広告(2025年12月6日公開、同月11日に取り下げ)、コカ・コーラの年末の広告、アパレルのゲスが女性誌ヴォーグに載せたAI生成のモデルの広告(2025年8月)などです。批判の理由は1つではなく、AIを使ったこと自体、映像の不自然さ、人の仕事を奪うこと、内容の皮肉さなどが重なっていました。

国内でも、生成画像の指や小物の崩れを指摘されて画像を差し替えた例や、反対に、AIを使っていないのに使ったと疑われ、制作側が否定した例が報じられています。後者は見落とされがちですが、AIを使ったかどうかが、広告の中身より先に話題になる段階に入ったことを示しています。使っていない場合でも、どう作ったかを示せる準備が要るということです。

対応も分かれました。取り下げて声明を出した会社、使い続けて評価の高さを示した会社、AIの利用を明記したうえで批判を受けた会社があります。どれが正しかったかは結果論でしか語れません。ただ、どの例からも言えるのは、批判が起きてから判断の物差しを探すと、時間に追われて判断が揺れるということです。物差しは、批判が起きる前に社内で持っておくものです。

批判は5つの型に分けて読む

寄せられる声を読み分けるために、型を5つに分けます。①AIを使ったこと自体への反発、②出来の悪さ(崩れた手指、読めない文字、場面ごとに形が変わる物)、③誤認(実在しない利用者の声や人物を、実在するように見せた)、④権利(既存の作品やキャラクターに似ている)、⑤ブランドとの食い違い(そのブランドが大事にしてきたこととAIの使い方がぶつかる)の5つです。

実際の批判は、1つの型だけで来ることは少なく、たいてい2つか3つの型が混ざっています。マクドナルドの例でも、AIを使ったこと自体への反発と、クリスマスを「一年で最悪の時期」と描いた内容への反発が重なっていたと伝えられています。混ざった声を読むときは、いちばん重い型に合わせて判断するのが原則です。重さの順は、③誤認と④権利が最も重く、次に⑤ブランド、②出来の悪さ、①使ったこと自体と考えると整理しやすくなります。

型を分ける目的は、声の数を数えることではありません。声の数は、どの型でも拡散のされ方しだいで大きく上下します。見るべきは、その声が事実の誤りを指しているのか、好みや価値観を述べているのかです。前者は直すか取り下げるしかなく、後者は説明で理解を得られる余地があります。この区別が、以下のシナリオすべての出発点になります。

シナリオ1 AIを使ったこと自体に反発が来た

最も多いのがこの型です。「手抜き」「心がこもっていない」「人の仕事を奪う」といった声で、広告の内容の誤りを指しているわけではありません。マクドナルドの広告を手がけた制作会社の代表は、報道の中で、10人が5週間、専任で取り組んだと説明し、AIは道具を広げるものだと述べたと伝えられています。

この型では、事実の誤りがない限り、取り下げが唯一の答えではありません。ただし、工数の多さを示すだけでは反発に答えたことになりにくい点に注意が要ります。反発しているのは「どれだけ手間をかけたか」ではなく、「なぜ人に頼まなかったのか」「人の仕事はどうなるのか」だからです。説明で収めるなら、AIをどの工程に使い、どこを人が担ったかを具体的に示し、制作に関わった人の役割を消さない書き方にします。

開示していれば防げる、とも限りません。ゲスの広告では、AIで制作したと明記されていたにもかかわらず、現実離れした美の基準や、モデルの仕事が減ることへの批判が集まったと報じられています。開示は誤認を防ぐ手段であって、反発を消す手段ではないと理解しておきます。開示の有無ではなく、その広告でAIを使う理由を自社が説明できるかが問われます。

「人の仕事を奪う」という声には、もう一段の配慮が要ります。これまで同じ種類の広告を人の制作者や出演者に頼んできた会社が、AIに切り替えた場合、批判の矛先は広告そのものより切り替えの判断に向きます。取引のあった制作者との関係をどうしたかを説明できないまま「表現の幅を広げるため」と書くと、かえって反発を強めます。切り替えたのなら、その理由と、人に頼み続ける領域を合わせて示します。

シナリオ2 出来の悪さを指摘された

指の本数が違う、看板の文字が読めない、場面ごとに物の形が変わる。生成AIの画像や動画に残りやすい崩れです。コカ・コーラの年末の広告では、トラックの車輪の数が場面によって変わると、制作に携わる人たちから指摘されたと報じられました。制作側は、消費者調査で高い評価を得たことを示して擁護したと伝えられています。

この型は、事実の誤りというより品質の問題です。崩れが商品の見せ方にかかわらない小さなものなら、次の出稿から直す、という判断もありえます。一方、商品の形・色・数、価格や条件の表示に崩れがある場合は、品質の問題ではなく、誤認の問題に格上げして扱う必要があります。実物と違う商品を見せたことになるからです。

もう一つの物差しは、ブランドが何を売りにしているかです。高級感や職人の技を売りにしているブランドでは、小さな崩れでも「ブランドとの食い違い」として重く受け止められます。同じ崩れでも、どの商品の、どの訴求の広告で起きたかで重さが変わるため、崩れの大きさだけで判断しないようにします。

シナリオ3 実在しない利用者の声や人物を指摘された

最も重い型の1つです。AIで生成した人物の顔を「お客様の声」に添えた、実在しない利用者の体験談を作った、実在の専門家のように見える人物を登場させた、といった指摘がこれにあたります。読み手が実在すると受け取る見せ方であれば、広告の中身そのものの信頼が崩れます。

国内では、商品やサービスの内容を実際よりも著しく良く見せる表示は、景品表示法の不当表示にあたるおそれがあります。実在しない利用者の満足の声を実在するように見せれば、この問題に近づきます。また2023年10月1日からは、広告であることを隠した表示、いわゆるステルスマーケティングも同法の不当表示に加わりました。誤認の指摘は、法令の確認と同時に取り下げを検討するのが筋です。説明の上手さで収まる型ではありません。

取り下げた後に説明がいらないわけではありません。どの部分が実在しない人物や声だったか、いつから出していたか、今後どう改めるかを、事実に絞って出します。ここで押さえておきたいのは、取り下げと説明はどちらか一方を選ぶものではなく、出す順番の問題だということです。お詫びの文の組み立て方そのものは、別の記事で扱っています。

シナリオ4 既存の作品に似ていると言われた

生成した画像のキャラクターや構図、画風が、特定の作家の作品や他社のキャラクターに似ているという指摘です。似ているかどうかの評価には法律の専門家の判断が要り、社内だけで「似ていない」と言い切るのは危険です。指摘が具体的な作品名を挙げている場合は特に、早い段階で法務に渡します。

この型では、指摘を受けた時点で出稿を止め、似ていると言われた生成物と、その指示文、元にした素材を並べて確かめるところから始めます。指示文に作家名や作品名が入っていれば、説明で収めるのは難しくなります。逆に、指示文と修正の履歴が残っていて、特定の作品を狙っていないことを示せれば、説明の材料になります。

生成AIの提供元が利用者への補償を用意している場合でも、利用規約に反する使い方や、特定の作品に似せる指示をしていた場合は、補償の対象から外れることがあります。補償があるから出し続けてよい、という判断にはつなげないようにします。補償は、出した後の費用の問題を軽くするものであって、批判そのものに答えるものではありません。

自社で生成していない素材にも注意が要ります。有料の素材集で買った画像や動画の中にも、生成AIで作られたものが含まれていることがあります。素材集の側がAIで作った素材に印を付けている場合もありますが、付け方は提供元ごとに違います。素材の出どころと、AIで作られたものかどうかを購入の時点で控えておかないと、類似を指摘されたときに元をたどれません。

シナリオ5 ブランドとの食い違いを指摘された

作り手を支える、手仕事を大切にする、人と人のつながりを売りにする。そうしたブランドがAIで作った広告を出すと、AIの使用そのものより「言っていることとやっていることが違う」という点に批判が向きます。モデルの仕事にかかわる例では、エイチ・アンド・エムが2025年3月にモデル30人のデジタルの分身を作る計画を明らかにした際、同意や報酬、雇用への懸念が示されたと報じられました。

気づかないうちに食い違いが起きることもあります。広告配信の仕組みに組み込まれた自動生成の機能によって、成果の良かった人物モデルの広告が、AIで生成した高齢の女性の画像に置き換わって配信され、広告主が驚いたという例が海外で報じられました。配信側は、配信前に確認できると説明しつつ、設定が自動で有効になっていたことを認めたと伝えられています。

この型は、広告1本の問題というより、社内の使い方の決まりの問題です。説明で収めるなら、どこで判断を誤ったか、今後どの種類の広告にはAIを使わないかまで踏み込まないと、言い訳に聞こえます。あわせて、媒体側の自動生成の設定を、出稿前の点検項目に入れておくことを忘れないようにします。自社が作っていない生成物でも、世の中からは自社の広告として見られます。

批判の型ごとの判断の表

5つのシナリオを1枚にまとめると、次のようになります。「基本の判断」は出発点であり、声が複数の型にまたがるときは、重いほうの行に合わせます。

批判の型まず確かめること基本の判断説明で収められる条件
①使ったこと自体への反発事実の誤りを指す声が混ざっていないか説明、または期限を決めて様子を見るAIを使った工程と人の役割を具体的に示せる
②出来の悪さ崩れが商品・価格・条件の表示にかかるか表示にかかれば取り下げ。かからなければ差し替えか様子を見る次の出稿で直すと言え、商品の見せ方に誤りがない
③誤認実在の人物・利用者の声として見えるか取り下げ原則として無し
④権利指示文・元の素材・似ているとされた作品いったん止め、確認の後に判断特定の作品を狙っていないことを記録で示せる
⑤ブランドとの食い違い自社が掲げてきた約束とぶつかるか説明。約束の中心に触れるなら取り下げ今後の使い方の決まりまで示せる

表の「様子を見る」は、放置ではありません。いつまで見るかの期限と、どうなったら方針を変えるかの条件を決め、その間に届く声の型が変わらないかを見続けることです。使ったこと自体への反発の中に、誤認や権利の具体的な指摘が混ざり始めたら、その時点で③や④の行に移ります。

期限の置き方は、広告の残りの出稿期間で変わります。数日で終わる季節の広告なら、様子を見ているうちに出稿が終わるため、説明を出すかどうかだけを決めれば足ります。数か月続く広告なら、期限を区切って届く声の型を見直し、同じ型の声が続くなら説明を出す、という段取りにします。様子を見ると決めたことも、判断の記録として残すようにしておくと、後から振り返れます。

判断軸1 法令・権利・誤認に触れるなら取り下げる

最初の分かれ道はここです。景品表示法をはじめとする表示の決まりや業界の自主基準、著作権や商標、肖像、そして読み手の誤認に触れる可能性があるなら、説明の上手さで収めることはできません。触れるかどうかを確かめている間も、出稿は止めておきます。

止めることと、取り下げを発表することは別です。配信を止め、社内と法務で確かめ、触れるとわかった時点で取り下げと説明を出します。触れないとわかれば、説明を添えて再開する道も残ります。止めてから考える、という順番を崩さないことが、判断を誤ったときの傷を小さくします。止めずに確かめ始めると、確かめている間に同じ広告が見られ続け、後から取り下げたときの説明が重くなります。

この判断を速くするには、誰が止める権限を持つかを先に決めておくことです。広告の担当者が単独で配信を止めてよい範囲、法務や広報に上げる範囲、経営の判断を仰ぐ範囲を分けておけば、夜や休日に指摘が来ても止めるところまでは進められます。止める判断と取り下げる判断で、決める人を分けておくのも一つの手です。

判断軸2 制作の工程を説明できるか

使ったこと自体への反発やブランドとの食い違いを説明で収めるには、説明の材料が要ります。どの工程でAIを使い、どの工程を人が担ったか、どんな指示文で、どんな修正を重ねたか。これが記録に残っていなければ、説明は「人も関わっています」という抽象的な言い方にとどまり、かえって不信を招きます。

残しておきたい記録は、次のとおりです。

  • 使ったAIの道具の名前と、使った時期(道具は短い間隔で更新されるため)
  • 指示文と、それで得た生成物の組。採用しなかった案も含める
  • 人が手を入れた箇所と、その担当者
  • 既存の作品やキャラクターとの類似を確かめた結果と、確かめた人
  • 生成物の商用利用の条件を確かめた記録と、社内の承認の記録

記録は、批判が起きた後では作れません。説明できるかどうかは、制作の時点で決まっていると考え、制作の段取りの中に記録を残す工程を組み込みます。外部に制作を頼む場合も、同じ記録を納品物に含めてもらいます。

記録の置き場は、案件ごとに散らばらないようにします。制作の担当者の個人のフォルダや、やり取りの履歴の中にしか残っていないと、担当者が異動や退職をした後に説明の材料が消えます。広告の出稿が終わった後も、少なくとも一定期間は記録を残すと決め、保管の期間を社内の決まりに書いておきます。

判断軸3 取り下げたときに失うものと残るもの

取り下げは安全策に見えますが、副作用もあります。取り下げたこと自体が「非を認めた」と受け取られる、同じ素材を使った他の広告や販促物にも説明を求められる、次にAIを使うときの社内の心理的な壁が高くなる、といったことです。取り下げる前に、同じ素材がどこに使われているかを洗い出しておかないと、説明の後に別の場所で同じ素材が見つかり、二度目の批判を招きます。

反対に、説明で収めて使い続けた場合、批判が収まらなければ後から取り下げることになり、判断が二転したと見られます。どちらを選ぶにしても、「この条件になったら方針を変える」という線を社内で先に決めておくと揺れが小さくなります。たとえば、誤認や権利に関する具体的な指摘が1件でも確かめられたら取り下げに切り替える、といった線です。

声の数の多さだけで方針を変えるのは避けます。声の数は拡散のされ方で大きく変わり、中身を示しません。方針を変える線は、声の数ではなく、型と中身で引きます。数に押されて取り下げると、次に同じ型の批判が来たとき、何を基準に判断したのかを社内でも説明できなくなります。

説明で収めるときに書くこと、書かないこと

説明を出すなら、何に使ったか(画像の背景、人物、動画の一部など)、人がどこを担ったか、なぜAIを選んだか、今後の方針、の4つを事実で書きます。4つのうち、読み手が最も知りたいのは「なぜAIを選んだか」と「今後どうするか」です。ここが曖昧だと、ほかをどれだけ丁寧に書いても伝わりません。

  • 工数の多さだけを強調する:反発の理由である「なぜ人に頼まなかったか」に答えていない
  • 「AIは道具にすぎない」と一般論で返す:その広告でAIを使った理由の説明になっていない
  • 批判した人を「誤解している」と扱う:型が①でも、受け手の感じ方そのものは事実として受け止める
  • 実際より人の関与を大きく見せる:後で制作の実態が出たとき、説明そのものが誤認になる

説明の最後には、今後の方針を具体的に書きます。「人物はAIで生成しない」「商品の画像は実物の写真を使う」のように、次の広告で守られたかどうかを確かめられる形にしておくと、説明が約束として受け取られます。守れない約束は書かないことも同じくらい大切です。

説明を出す場所も決めておきます。批判が広がった場所と同じ場所に出さなければ、批判した人の目には届きません。一方で、交流サイトの投稿だけでは後から探しにくいため、自社のサイトにも同じ内容を置き、投稿からそこへつなぎます。取り下げた広告の跡地に、差し替えた理由を短く添えるのも、何が起きたのかを知らない人への配慮になります。

代理店・制作会社との責任分担

批判が起きたとき、誰が説明するかで迷う例は少なくありません。マクドナルドの例では、広告主の声明とは別に、制作会社の代表が工程について発言したと報じられています。広告主と制作側の発言の向きがずれると、それ自体が新たな話題になります。

契約の段階で決めておきたいのは、制作にAIを使うかどうかの事前の申告と承認、使った道具と生成物の商用利用の条件を確かめる責任が誰にあるか、制作記録を誰がいつまで保管し広告主に渡すか、批判が起きたときの対外的な発言を広告主に一本化するか、取り下げや差し替えにかかる費用をどう負担するか、の5点です。

特に避けたいのは、制作会社がAIを使っていたことを広告主が知らなかったという状態です。広告主が説明できない工程があると、判断軸2の材料が欠け、説明で収める道が最初から閉ざされます。AIを使わない約束の案件でも、素材集や下請けの工程で使われていないかを確かめておきます。

社内の分担も同じです。マクドナルドの例は一つの国の法人が出した広告でしたが、話題はブランド全体に広がりました。地域の拠点や事業部が独自に広告を作っている会社では、どこまでを現場で決めてよく、どこからを本社の広報と相談するかを決めておかないと、取り下げの判断が遅れたり、拠点ごとに説明がばらついたりします。AIを使った広告の出稿を、本社にも一覧で見える形にしておくのが近道です。

AIに任せるのは反応の仕分けの下ごしらえと説明文の下書きまで

寄せられた声が数百、数千になると、人が1件ずつ読むのは現実的ではありません。AIに、5つの型のどれにあたるか、事実の誤りを指摘しているか、具体的な箇所(何秒目の、どの人物、どの文字)を挙げているかで仕分けさせ、仕分けの根拠となった一文を必ず添えさせると、人が確かめやすくなります。

説明文の下書きもAIに任せられます。ただし、事実の部分、つまりどの工程にAIを使ったか、誰が何をしたかは制作記録から人が埋め、AIには構成と言い回しだけを担わせます。記録にないことを、もっともらしく書き足してしまうことがあるからです。下書きの後は、制作記録と一文ずつ突き合わせてから外に出します。

取り下げるかどうか、何を出すか、いつ出すかは人が決めます。AIの仕分けで「使ったこと自体への反発」が大多数に見えても、少数の誤認の指摘が本当なら取り下げが必要です。少数の重い指摘を拾い上げて確かめるのは、人の仕事です。

  • AIに渡す声の中には、個人の名前や連絡先が含まれることがあります。社外のAIの道具に渡す前に、社内の取り扱いの決まりを確かめます
  • AIの仕分けの件数は、判断の材料の一つです。型ごとの件数をそのまま社外への説明に使わないようにします

批判が起きる前にやっておくこと

ここまでの判断を実際に回すには、批判が起きる前の準備が欠かせません。次の順で整えます。

STEP1
AI使用の開示方針を決める

どの種類の広告で、どの程度AIを使ったら、どこにどう表示するかを決めます。人物の生成と、背景の補正とでは扱いを分けます。

STEP2
制作記録を残す工程を組み込む

指示文と生成物の組、人の手が入った箇所、類似の確認結果を、案件ごとに同じ置き場へ残します。

STEP3
公開前の点検項目を持つ

崩れ、実在の人物に見える表現、既存作品との類似、ブランドの約束との食い違い、媒体の自動生成の設定を確かめます。

STEP4
止める権限と判断の線を決める

誰が配信を止められるか、どの型で取り下げに切り替えるかを、社内で一枚に書いておきます。

STEP5
批判の後に振り返る

どの型の批判だったか、判断は線どおりだったかを記録し、次の開示方針と点検項目に戻します。

開示方針を決めるときは、外部の決まりの動きも確かめます。欧州連合のAI法は、生成物であることの表示などの透明性の義務を2026年8月から適用する予定として定めていますが、適用の細部については見直しの議論も報じられています。国内では、筆者が確かめた範囲では、広告へのAI使用の表示を一律に義務づける法律は現時点でありません。法律の義務がなくても、媒体ごとの表示の決まりや業界の自主基準があるため、出稿先ごとに確かめます。

まとめ

生成AIで作った広告への批判は、海外の大手ブランドでも国内でも報じられるようになり、取り下げた会社もあれば、評価の高さを示して使い続けた会社もあります。取り下げるか説明で収めるかは、批判の中身で決めます。声を、使ったこと自体への反発、出来の悪さ、実在しない人物や声による誤認、既存作品との類似、ブランドとの食い違いの5つの型に分け、混ざっているときは重い型に合わせます。誤認・権利・法令に触れる可能性があれば、まず止めて確かめ、触れるなら取り下げと事実に絞った説明を順に出します。使ったこと自体への反発なら、AIを使った工程と人の役割を具体的に示し、今後の方針を確かめられる形で書くことで収める道があります。その説明の材料は、制作の時点で残した記録からしか出てきません。AIには寄せられた声の仕分けの下ごしらえと説明文の下書きまでを任せ、根拠の一文を添えさせたうえで、取り下げるか、何をいつ出すかは人が決めます。まずは直近に出したAIを使った広告1本について、指示文と人の手が入った箇所を説明できるかを確かめるところから始めてみてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

広告・SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

運営会社:株式会社デボノ

目次