AIの支援は顧問契約か案件の発注か|月額で頼めることの線

「AIの顧問を月額で頼んだものの、毎月の定例で何を聞けばいいのか分からなくなってきた」「顧問のはずが資料作りまで頼むようになり、ある月から追加の見積りが届くようになった」——AI活用の外部支援を使い始めた会社で、半年ほど経つと出てくる声です。どちらも、顧問が悪いわけでも、頼んだ側が悪いわけでもありません。顧問か案件かは、支払いの形の違いではありません。本当は、判断の相手に払うのか、出来上がる物に払うのか、という払う対象の違いです。この記事では、月額の顧問で頼めることの線と、案件に切り出す判断を比べながら整理します。
カメ先生外部の支援というとね、月額で相談できる顧問と、仕事ごとに頼む発注を、値段の払い方の違いだと思われがちなんだ。でも本当は、何にお金を払っているかが違うんだよ。
カメ子顧問は相談に払って、発注は作ってもらう物に払う、ということですか。
カメ先生そういうこと。しかも最近は、一般的な質問なら社内のAIでかなり答えが出るようになった。だから顧問に払う意味は、人にしかできない判断の相手に寄ってきているんだ。
カメ子AIで調べられることを顧問に聞くのは、もったいないということですね。
- 顧問は判断の相手に、案件は出来上がる物に払う。払う対象が違う
- 下調べや一般的な質問は社内のAIで足りる。人に払うのは壁打ち・レビュー・止める判断・説得材料
- 結ぶか、範囲をどこに引くか、いつ案件に切り出すかは人が決める
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顧問と案件の発注は、払う対象が違う
月額の顧問契約は、一定の期間、相談に乗ってもらう権利を買う契約です。何を聞くか、どれだけ聞くかは頼む側が決め、顧問は判断の材料と意見を返します。案件の発注は、決まった成果物を決まった期日までに作ってもらう契約です。顧問は時間と判断を、案件は出来上がる物を買う、と言い換えられます。
契約の性質で見ても、この違いは現れます。顧問の相談は、一般に準委任と呼ばれる形で結ばれることが多く、仕事を完成させる義務までは負いません。2020年4月1日に施行された改正民法では、準委任でも成果の引き渡しに合わせて報酬を払う形が明文化されましたが、その場合でも請負のような完成の義務とは区別されると解説されています。個別の契約をどう扱うかは契約書の書き方しだいなので、判断に迷うときは専門家に確かめてください。
この違いを押さえておくと、頼み方の失敗が減ります。顧問に物を作らせようとすると、範囲と費用の揉め事になる。逆に、案件で判断の相手を買おうとすると、成果物の形にならない相談が残って、検収のときに困ります。
請求の見え方も違います。顧問の月額は、相談しなかった月にも同じ額がかかります。案件の費用は、仕事が終われば止まります。相談の少ない月が何か月も続くなら、顧問の形が合っていない合図です。逆に、毎月のように細かな案件を発注しているなら、その一部は顧問の相談で足りていたかもしれません。
一般的な質問は、社内のAIで足りるようになった
数年前までは、生成AIの基本的な使い方や用語の意味、他社の取り組みの概要を知るだけでも、詳しい人に聞く価値がありました。いまは事情が違います。下調べ、一般的な質問、社内資料の下書きは、社内で使えるAIでかなりの水準まで出せるようになりました。ツールの機能の比較表の叩き台や、社内説明の骨子なら、数分で手元に出てきます。
このため、相談中心の月額顧問は、使い方を誤ると情報提供に終わりやすくなっています。外部の解説でも、チャット相談型の顧問は情報提供に終わり、具体的な業務の設計や実装に進まないことが多い、と指摘されています。AIで答えが出る質問を顧問に投げている間は、月額の価値は出ません。
だからといって、顧問が要らなくなったわけではありません。社内のAIが出す答えは、どの会社にも当てはまる一般論に寄ります。自社の事情を踏まえて、どちらを選ぶか、やめるべきかを言ってくれる相手は別に要ります。顧問に払う中身が、一般論から判断へと移ってきた、と考えるのが実態に近いでしょう。
社内のAIで足りるかどうかの見分け方は簡単です。その質問から自社の名前と事情を消しても、質問として成り立つかを考えます。「生成AIの社内規程には何を書くか」は成り立つので、まず社内のAIに聞きます。「うちの営業部の今の体制で、この規程を守らせられるか」は成り立たないので、人に聞く意味があります。
人に払う相談は、4つに絞られる
社内のAIで足りる相談を除いていくと、人に払う意味がある相談は、おおむね4つに絞られます。判断の壁打ち、社内案のレビュー、止める判断、社内の説得材料です。どれも、正解が一つに決まらず、自社の事情と相手の経験を突き合わせて初めて答えが出る相談です。
判断の壁打ちは、自分たちの考えを話して、穴や見落としを指摘してもらう相談です。社内案のレビューは、作った計画や規程の案を読んでもらい、よそで失敗した形に似ていないかを見てもらう相談です。止める判断は、進めている取り組みを続けるか引き返すかを、利害のない立場から言ってもらう相談です。説得材料は、社内の決裁者や現場を動かすために、外の人の見立てとして話してもらう相談です。
この4つに共通するのは、成果物ではなく、判断の質が上がることに価値があるという点です。月額の顧問は、この4つを繰り返し頼める形として向いています。逆に言えば、この4つ以外の相談が毎月の大半を占めているなら、契約の形が合っていないかもしれません。
相談を送るときに、その相談が4つのどれに当たるかを一言添える習慣を付けると、使い方が整います。「壁打ちをお願いします」「レビューをお願いします」と冒頭に書くだけで、顧問は返し方を選べます。どれにも当たらない相談が続いたら、社内のAIで済むか、案件に回すべきかを見直す合図になります。
壁打ちとレビューは、材料を先に渡すほど効く
壁打ちとレビューは、顧問に払う相談の中心になります。効き目を左右するのは、定例の前にどれだけ材料を渡しておけるかです。その場で状況を一から説明していると、1時間の定例の半分が説明で終わります。社内の状況、迷っている選択肢、それぞれの懸念を、前日までに短くまとめて送っておきます。
この下準備こそ、社内のAIの出番です。議事録や社内のやり取りから論点を抜き出し、選択肢ごとの長所と短所を並べた叩き台を作らせれば、準備の手間は大きく減ります。ただし、叩き台の中の事実関係は人が確かめます。AIがまとめた社内事情が間違っていると、顧問はその間違いの上で意見を返すことになります。
レビューを頼むときは、何を見てほしいのかも添えます。「全体を見てください」では、顧問も一般的な指摘しか返せません。「この規程の、外部の道具を使ってよい条件の書き方が、現場で守れる形になっているか」まで絞ると、経験に基づいた具体的な指摘が返ってきます。
返ってきた指摘を採るかどうかは、社内で決めます。顧問の指摘は判断の材料であって、決定ではありません。採らなかった指摘は、採らなかった理由と一緒に記録しておくと、後で同じ論点が出たときに議論をやり直さずに済みます。顧問にとっても、自分の指摘がどう扱われたかが分かり、次の相談の質が上がります。
止める判断と説得材料は、社内では出しにくい
4つの中で、外の人に払う意味がとくに大きいのが、止める判断と説得材料です。社内で始めた取り組みを止めようと言い出すのは、始めた人にも関わった人にも難しいことです。利害のない外の立場から「ここで引き返したほうがいい」と言える相手は、社内ではなかなか見つかりません。
止める判断を頼むなら、あらかじめ止める条件を顧問と共有しておきます。いつまでに何が見えなければ引き返すか、を始める前に決めておけば、顧問はその条件に照らして意見を言えます。条件がないまま「続けるべきでしょうか」と聞くと、顧問も相手の気持ちを読んで、無難な答えに寄りがちです。
説得材料として顧問を使う場合は、使い方に注意します。決裁者の前で顧問に話してもらうのは有効ですが、結論を先に決めて顧問に言わせるのは、説得ではなく演出です。顧問の見立てが社内の案と違ったら、その違いこそを持ち帰って検討します。都合のよい意見だけを借りる使い方を続けると、顧問の言葉も社内で軽くなります。
説得材料として使うなら、顧問の見立てを短い文書で残してもらうかどうかも決めておきます。口頭の意見は、決裁の場にいなかった人には伝わりません。ただし文書を作ることは、顧問にとっては作業です。見立ての文書を月額に含めるのか、その都度の依頼にするのかを、成果物の範囲の話と一緒に決めておくと、後で揉めません。
顧問で頼むこと・案件で発注すること・社内のAIで足りること
ここまでの内容を、頼み先ごとに3列で並べます。自社がいま顧問に頼んでいることを、どの列に入るかで振り分けてみてください。案件の列や社内のAIの列に入るものが多ければ、契約の形か使い方を見直す時期です。
| 顧問で頼むこと | 案件で発注すること | 社内のAIで足りること |
|---|---|---|
| 進め方の選択肢を比べる壁打ち | 業務に組み込む仕組みの設計と構築 | ツールの機能や料金の下調べ |
| 社内の規程案や計画案のレビュー | 決まった形の研修の実施と教材の作成 | 用語の意味や一般的な進め方の確認 |
| 続けるか引き返すかの判断 | 特定の業務での試行と結果の報告書 | 社内説明資料や議事録の下書き |
| 決裁者や現場への外からの見立て | 現状の調査と改善案をまとめた報告書 | 他社の公開事例の要約と整理 |
| 発注先や道具の選び方の相談 | 期日と成果物が決まっている作業 | 定例に持っていく論点の叩き台 |
表の左の列は、成果物の形になりにくく、回数を重ねるほど効く相談です。真ん中の列は、何を作るかと期日が決まる仕事です。右の列は、正解がどの会社でもほぼ同じで、下書きの確認を人がすれば足りる仕事です。同じ「AIの支援」でも、列によって払う相手と払い方が変わると覚えておくと、迷いが減ります。
列の境目にある相談もあります。たとえば発注先の選び方は、候補を洗い出して比較表を作る作業なら社内のAIか案件の側、比較表を見てどこを選ぶかを決める段階なら顧問の側です。同じテーマでも、作業の段階と判断の段階で頼み先が変わると考えて分けると、境目の相談で迷いにくくなります。
料金の帯は、何が含まれるかで変わる
月額の顧問の料金は、含まれる支援の範囲で大きく変わります。ある解説では、チャット相談や情報共有が中心の型が月5万〜15万円、定例会議や研修、ひな形の整備まで含む伴走の型が月15万〜50万円、複数の部署にまたがって道具の開発まで担う型が月50万〜100万円と整理されています。案件ごとの発注は、特定の試行や開発で数十万円から数百万円という幅です。
この帯の見方で大切なのは、金額の大小より、その金額に何が含まれ、何が含まれないかです。月額に研修が含まれるのか、ひな形は作ってくれるのか、道具の開発は別料金なのか。同じ月額でも含まれるものが違えば、比べられません。金額は解説や提供会社によって違うので、上の帯はあくまで目安として読んでください。
最低の契約期間も確認します。3か月を最低期間として、以後は1か月単位で続けるかやめるかを選べる条件を示している例があります。最初の3か月で何が手元に残るのかを契約前に聞くと、その顧問の支援の中身が見えやすくなる、と先の解説でも勧められています。
同じ解説は、確認項目の一つに道具の選び方の中立性を挙げています。顧問が特定の道具の販売や導入と結びついていると、どの道具を選ぶかの相談で意見が偏るおそれがあります。顧問が勧める道具と、顧問の取引先の関係は、契約前に聞いておいてよい質問です。答えを聞いたうえで結ぶかどうかを決めるのは頼む側です。
先に決めること1:回数・時間・返答までの時間
顧問契約を結ぶときに最初に決めるのは、量の約束です。定例の回数と1回の時間、定例以外の相談の窓口、返答までの時間の3つを、数字で書きます。「随時相談可」とだけ書いた契約は、頼む側は際限なく聞けると思い、顧問側は常識の範囲と考えるので、半年もするとどちらかが不満を抱えます。
定例以外の相談は、窓口と上限を決めます。チャットで受けるのか、メールで受けるのか。月に何件まで、1件あたりどれくらいの長さまでか。返答は何営業日以内か。急ぎの相談が月に何度か出る業務なら、急ぎの扱いを別に決めておきます。返答の期限がない相談は、いちばん急いでいるときに止まります。
回数と時間の記録も、どちらが付けるかを決めます。毎月、何回相談し、何時間使ったかを双方が見られる形で残しておくと、契約の見直しのときの材料になります。記録の集計は社内のAIに任せても構いませんが、記録の元になる相談の履歴は、1か所にまとめておきます。
定例の議題を誰が出すかも決めておきます。顧問に議題を任せると、顧問が話しやすい一般論の報告会になりがちです。議題は頼む側が出し、顧問は答える側に回る形にしておくと、定例の時間が自社の判断のために使われます。議題の案は、前の定例からの社内の動きを社内のAIに要約させて作ると手早く出せます。
先に決めること2:成果物を作るか、範囲外になる線
二つ目は、顧問が物を作るかどうかです。顧問の範囲に成果物を含めるなら、何をどこまで作るかを名前で書きます。「規程案へのコメント」は含むが「規程案の作成」は含まない、「研修の構成の助言」は含むが「研修資料の作成」は含まない、といった具合です。ここを曖昧にしたまま始めると、顧問が物を作る方向へ少しずつ滑っていきます。
範囲外になる線も、あらかじめ書きます。範囲外の依頼が出たときに、顧問が断るのか、追加の見積りを出すのか、案件として別に切り出すのか。どれを選ぶかを決めておけば、範囲外の依頼が来た瞬間に揉めずに済みます。範囲外かどうか迷う依頼が出たら、その都度どちらかに寄せて契約の文言に足していきます。
物を作る範囲を広く取る顧問もあります。外部の解説では、戦略は出すが実装は別という二段の構成だと、実装を別の会社に発注したときに、頼む側がその管理の手間を抱えることになると指摘されています。顧問が作らない物を、誰が作り、誰が管理するのかまでを決めてから結ぶと、後から手間の置き場所に困りません。
線を引くときの目安は、表の真ん中の列です。期日と成果物がはっきり決まる仕事は、月額の中に入れず、案件として扱うほうが双方にとって分かりやすくなります。顧問の月額は、作業の上限ではなく判断の相手を確保する費用と位置づけておくと、線が引きやすくなります。
先に決めること3:秘密保持と、顧問側のAIの使い方と、解約
顧問には、社内の計画や数字、まだ表に出ていない取り組みを見せることになります。秘密保持の約束は、相談を始める前に結んでおきます。見せた資料をいつまで持っていてよいか、契約が終わったらどう扱うかも書きます。
いまはもう一つ、顧問側のAIの使い方を確かめておく必要があります。顧問が相談の準備のために、預かった資料を自分のAIの道具に入れることは十分に考えられます。どの道具に入れてよいのか、入れた情報が学習に使われない設定になっているか、入れてはいけない資料は何か。自社の社内規程と同じ水準を顧問にも求めるかどうかを、契約の時点で決めておきます。
解約の条件も最初に決めます。最低の契約期間、解約の申し出は何日前までか、途中でやめた月の料金はどうなるか。相談の記録や顧問が作った資料を、解約後にどう引き継ぐか。やめるときの条件が決まっていれば、合わないと感じたときに見直しの話を切り出しやすくなります。
もう一つ確かめておきたいのが、顧問が同じ業界のほかの会社とも契約しているかどうかです。顧問にとって、複数の会社を見ていることは経験の厚みになりますが、競合にあたる会社と同時に契約している場合は、相談の中身の扱いに気を配る必要があります。自社の相談で知った情報を、ほかの会社への助言に使わないことを、秘密保持の約束に一行加えておくと安心です。
顧問のはずが、作業の発注に変わっていく
月額の顧問でよく起きる失敗は、相談の契約が少しずつ作業の発注に変わっていくことです。最初は壁打ちとレビューだったのが、「ついでにこの資料の叩き台も」「この表を整えてもらえると助かる」と頼むうちに、気づけば毎月の時間の大半が作業に使われている。頼む側は便利になったと感じ、顧問側は範囲が広がったと感じます。
- 定例のたびに小さな作業を追加で頼み、どこからが範囲外かを一度も話していない
- 顧問が作った資料をそのまま社内で使い、社内に作れる人が育っていない
- 作業に時間が取られ、本来の壁打ちやレビューの時間が定例から消えている
- 範囲が広がった月に追加の見積りが届き、そこで初めて範囲の認識のずれに気づく
この変化には早めに気づく合図があります。定例の議題が、作業の進み具合の確認だけで埋まるようになったときです。判断を相談する議題が1つもない定例が2回続いたら、作業の依頼がどれだけ増えているかを数えてみます。数えてみると、作業の依頼が頼んだ側の想像より多いことがよくあります。
この変化が進むと、2つの損が出ます。一つは費用です。作業の分だけ追加の費用が発生するか、顧問が無理をして支援の質が落ちます。もう一つは、判断の相手がいなくなることです。顧問が作業の担い手になると、自分が作った物を自分でレビューする形になり、外からの目が失われます。作業が増えたら、顧問の範囲に足すのではなく、切り出すことを考えます。
案件に切り出す判断
顧問に頼んでいる相談のうち、どれを案件として切り出すか。判断の合図は3つあります。同じテーマの相談が何度も続いている、成果物が要る、期日がある。この3つがそろったら、月額の中で続けるより、案件として別に発注するほうが向いています。
直近3か月の相談の履歴を並べ、同じテーマが何度も出ているものに印を付けます。並べ替えと集計は社内のAIに手伝わせて構いません。
相談で終わるのか、何かを作って使うのかを分けます。作る物があり、使いたい日が決まっているなら、案件の候補です。
顧問自身に発注するのか、別の会社に発注するのかを決めます。顧問に発注する場合は、レビューを誰がするかを先に決めます。
切り出したテーマは顧問の月額の範囲から外し、契約の文言か議事録に残します。二重に払わないためです。
切り出しの判断そのものは、人がします。社内のAIに相談の記録を並べさせれば候補は出ますが、そのテーマを外に出すか、社内で抱えるか、顧問との関係をどう保つかは、自社の事情を知っている人にしか決められません。
逆に、切り出さないほうがよい場合もあります。成果物は要りそうでも、何を作るのかが社内で決まっていない段階です。このまま案件にすると、発注先に何を作るかを決めてもらうことになり、発注の中身が揺れ続けます。作る物が言葉で書けるまでは、顧問との壁打ちで論点を固めるほうが、結果として案件が早く進みます。
切り出したあと、顧問は発注する側に座る
案件を切り出したあとも、顧問の役割は残ります。むしろ、発注する側の相談相手として顧問を使うと、顧問と案件の組み合わせが最もよく働きます。発注先の提案を一緒に読む、進み具合の報告を聞いて懸念を指摘してもらう、受け入れるかどうかの判断に意見をもらう。どれも表の左の列に入る相談です。
ここで気をつけたいのが、顧問自身がその案件を受ける場合です。顧問が案件も受けると、発注の相談相手と発注先が同じになり、外からの目が働きません。顧問に案件を頼むこと自体は悪くありませんが、その案件のレビューは、顧問以外の人か社内で持つと決めておきます。顧問の側から自社への発注を勧められたときは、とくにこの点を意識します。
案件の依頼内容や見積りの細かい読み方は、それ自体で別の話になるので、ここでは深入りしません。押さえておきたいのは、顧問を発注の相手としてだけでなく、発注を見る目としても使えるという点です。この使い方ができると、月額の価値が見えやすくなります。
顧問に見てもらう場面は、案件の節目に合わせて先に決めておきます。提案を受け取ったとき、途中の報告を受けたとき、成果物を受け入れる前の3回です。節目を決めずに「気になったら相談する」にしておくと、気になったときにはもう手戻りの大きい段階に進んでいます。節目ごとに、何を見てほしいのかを一行添えて渡します。
社内のAIに任せる範囲と、人が決める範囲
顧問か案件かを考えるときも、AIに任せる範囲は決めておきます。社内のAIが得意なのは、下調べ、一般的な質問への答え、社内資料の下書き、相談の記録の整理です。ここまでをAIで済ませてから顧問に相談すれば、同じ月額でも判断の相談に使える時間が増えます。
一方で、顧問を結ぶかどうか、範囲をどこに引くか、いつ案件に切り出すかは、AIに判断させません。AIに比較表を作らせることはできますが、その表のどの行を重く見るかは自社の事情で決まります。AIに意見を求めるなら、その意見がどの情報に基づくのかを書かせ、根拠が社内の事実と合っているかを人が確かめるところまでを手順にします。
社内のAIと顧問を組み合わせる使い方もあります。社内のAIに出させた答えを顧問に見せて、自社の事情に照らしておかしな点がないかを見てもらうのです。一般論の作成はAIに任せ、その一般論が自社に当てはまるかどうかの判断に顧問の時間を使う。こうすると、顧問に払う時間の多くが、人にしかできない相談に回ります。
- 社内のAIに顧問契約の案を読ませて論点を拾わせるのは有効。ただし、契約として問題がないかの判断は法務や専門家が行う
- 顧問の意見と社内のAIの答えが食い違ったときは、どちらが正しいかをAIに決めさせない。食い違いそのものを顧問にぶつける
- 社内のAIの答えで済ませた相談も、記録に残す。顧問の範囲を見直すときの材料になる
顧問を見直す時期と、見直しの材料
顧問契約は、結んだあとの見直しで価値が決まります。最低契約期間が終わる時点と、その後は3か月ごとを目安に見直しの時間を取ります。見直しでは、続けるかやめるかだけでなく、回数や範囲を変えるかも一緒に決めます。
材料は、ここまでに残してきた記録です。相談の回数と時間、相談のテーマと、それが表のどの列に入るか、範囲外の依頼が何回出たか、案件に切り出したテーマは何か。左の列の相談が多く、社内の判断が速くなっているなら、顧問は役に立っています。真ん中の列が多ければ切り出しを、右の列が多ければ社内のAIの使い方を見直します。
見直しの結論が「やめる」でも、それは失敗ではありません。社内に判断できる人が育ち、社内のAIで下準備が回るようになれば、顧問に払う相談は自然に減ります。顧問が要らなくなることは、顧問をうまく使えた結果の一つです。やめるときは、相談の記録と顧問の見立てを社内に残してから終えます。
続けると決めた場合も、同じ形で続ける必要はありません。定例の回数を減らして必要なときだけ相談する形に移す、相談のテーマを導入の進め方から社内の定着へ移す、といった組み替えができます。見直しのたびに、次の3か月で顧問に何を頼むかを一行で書いておくと、次の見直しでその一行と実際の相談を比べられます。
まとめ
AIの外部支援を顧問で頼むか案件で発注するかは、払い方ではなく払う対象で決まります。顧問は判断の相手に、案件は出来上がる物に払います。下調べや一般的な質問は社内のAIで済ませ、顧問には壁打ち・レビュー・止める判断・説得材料を頼みます。契約の前に回数と返答の期限、成果物を作るかと範囲外の線、秘密保持と顧問側のAIの使い方、解約を決め、同じテーマが続いて成果物と期日が出てきたら案件に切り出してください。結ぶか、どこに線を引くか、いつ切り出すかは人が決めます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
