人事の情報をAIに渡す前の5つの確認|労務と個人情報の線

人事の情報をAIに渡す前の5つの確認|労務と個人情報の線

「評価のコメントを整えるのにAIを使いたいのですが、人事の情報は一律で駄目だと言われました」「給与の一覧を読み込ませて傾向を見たいのですが、どこまでなら許されるのでしょうか」——人事の担当者から寄せられる相談は、おおむねこの二つに集まります。可否を分けているのは、その情報が人事のものかどうかではありません。厚生労働省の指針(2018年9月公示、2022年3月改正)は、健康確保の措置などを通じて得た労働者の心身の状態の情報について、そのほとんどが要配慮個人情報に該当する機微な情報であると書いています。つまり人事の情報は、種類によって効く決まりが変わるということです。この記事では、人事が持つ情報を6つの種類に分けたうえで、渡す前に必ず踏む5つの確認を順に並べ、健康に関わる情報だけを別の棚に置く理由まで書きます。


カメ先生カメ先生

人事の情報は個人情報だから慎重に、と説明されることが多いんだ。けれど実際に効いているのは、それが働く場面で集めた情報だ、という点なんだよ。


カメ子カメ子

個人情報であることと、働く場面の情報であることでは、何が違うのでしょうか。


カメ先生カメ先生

断りにくさが違う。買い物の相手なら、嫌なら使わなければいい。けれど雇われている側は、断ったら不利に扱われるのではないかと考える。だから同意があっても、それだけでは足りない場面が出てくるんだ。


カメ子カメ子

本人が同意していれば大丈夫、とは言い切れないということですか。


この記事のポイント
  • 人事の情報は一括りにできない。評価・給与・勤怠・健康・面談の記録・異動の検討で、効く決まりも渡せる範囲も変わる
  • 渡す前の確認は5つ。何の目的で使うか・本人にどう伝えるか・誰が見られるか・出力を何に使うか・やめるときにどう消すか
  • 健康に関わる情報だけは別の棚に置く。検査の値ではなく、就業上の措置の内容へ置き換えてから扱う

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目次

扱うのは、いま雇っている人の情報

最初に範囲を決めます。この記事が扱うのは、いま雇っている人について人事部門が持っている情報です。これから採る人の情報は扱いません。応募の段階の情報は、集め方も本人への伝え方も別の決まりが立つので、同じ物差しでは測れないからです。

もう1つ、判断のしかたを一から組み立てる話にもしません。組み立て方を考えているうちに、現場は待たされます。ここでは情報の種類を先に割り、種類ごとに5つの確認を当てるという順番にします。種類が決まれば、確認の答えはほぼ決まります。毎回ゼロから考える手間がなくなります。

順番は、種類を6つに割る、確認を1つずつ踏む、5つを1つの流れにまとめる、健康に関わる情報を別に出す、渡す前に加工する、社内へ説明する、です。人事部門だけでは終わりません。3つめから先は情報システム部門と一緒に決める必要があるので、最初の打ち合わせから同席してもらいます。

人事の情報は「個人情報」だけでは説明できない

人事の情報を個人情報として扱うのは正しいのですが、それだけだと説明が足りません。足りないのは力関係です。先ほどの指針は、労働者が雇用管理において自身にとって不利益な取扱いを受けるという不安を抱くことなく、安心して健康相談などを受けられるようにする必要がある、という趣旨を掲げています。

この一文が意味しているのは、同意の重みが違うということです。取引の相手なら、条件が嫌なら断れます。雇われている側は、断ったことが評価に響かないかを考えます。同意を取ったから大丈夫、で終わらせられないのが、人事の情報の特徴です

実務に落とすと、確かめる点が1つ増えます。断った人が不利に扱われない形になっているかです。指針は不利益な取扱いの防止として、取扱いに同意しないことを理由に解雇する、契約を更新しない、退職勧奨を行う、不当な動機で配置転換や職位の変更を命じるといった行為を、原則として行ってはならないと明記しています。AIを使う使わない以前の土台です。

もう1つ、人事の情報は本人からの問い合わせが来る領域です。自分の情報がどう使われているのかを聞かれたときに、担当者がその場で答えられる状態にしておきます。答えられないこと自体が、不信につながります。聞かれる中身は何に使ったか、誰が見たか、いつ消すかの3つにほぼ集まるので、この3つだけを先に書いておけば持ちこたえられます。

人事の情報を6つの種類に分ける

人事の情報とひとまとめにすると、いちばん厳しいものに全体が引きずられます。6つに割ります。評価、給与、勤怠、健康、面談の記録、異動の検討です。割る目的は、渡せるものを増やすことではなく、種類ごとに既定を先に決めておくことです。

種類中身の例先に見る決まりAIに渡すときの既定
評価・考課目標の達成度、上長のコメント、昇格の検討の記録個人情報保護法本人が特定できない形にしてから。判断そのものは出させない
給与・賞与支給額、手当の内訳、査定の根拠になる数字個人情報保護法、労働基準法氏名と結び付いたままでは渡さない。分布や集計までにする
勤怠出退勤の時刻、時間外労働の長さ、休暇の取得状況労働基準法、労働安全衛生法長時間労働の情報は健康の側の決まりが重なる。集計までにする
健康健康診断の結果、面接指導の結果、通院の状況労働安全衛生法、個人情報保護法渡さない。就業上の措置の内容へ置き換えてから扱う
面談の記録個別面談のメモ、相談の窓口に寄せられた内容個人情報保護法内容は渡さない。件数の集計までにする
異動の検討配置の案、後任の候補、退職の意向についての見立て個人情報保護法確定前の情報は渡さない。漏れると本人の処遇に直結する

この表で先に気づいてほしいのは、勤怠の行です。出退勤の時刻は一見すると軽い情報ですが、時間外労働が一定を超えた人の一覧は、健康の側の話に変わります。面接指導の対象になるかどうかに直結するからです。種類をまたぐ情報は、厳しいほうの既定に寄せます

表は人事部門だけで作らず、情報システム部門と一緒に作ります。その情報がどの置き場にあり、誰の権限で取り出せるかを知っているのは後者だからです。表の行を埋める作業そのものが、両部門の認識のずれを洗い出す場になります。

確認1 何の目的で使うか

最初の確認は目的です。個人情報保護委員会が2023年6月2日に公表した生成AIサービスの利用に関する注意喚起には、個人情報を含む入力について、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認することと書かれています。人事の情報は、集めたときの目的がはっきりしている分、外れたかどうかも判定しやすい領域です。

実務では、目的を動詞で書きます。整える、要約する、探す、数える、比べるのどれかに当てはまるかを見ます。当てはまらないものは、たいてい目的が曖昧なまま始めようとしています。評価のコメントの文章を整える、は通りますが、評価の妥当性を見てもらう、は通りません。後者は集めた目的の外に出ています。

書いた目的は1行で残します。残す場所は、その業務の手順書の冒頭で十分です。後から誰かに聞かれたときに、何のために渡したのかを即答できる状態にしておくのが目的です。目的が書けない使い方は、その時点で止めます。

確認2 本人にどう伝えるか

2つめは伝え方です。先ほどの指針は、本人の同意を得なくても収集できる情報であっても、取り扱う目的と取扱方法などについて労働者に周知したうえで収集することが必要だとしています。同意が要るかどうかと、伝えるかどうかは別の話です。

伝える中身は3つで足ります。何に使うか、誰が見るか、いつやめるか。AIを使うという事実だけを伝えても、受け取る側の不安は減りません。減るのは、自分の情報がどこまで行くのかが分かったときです。伝える場は、新しい場を作らず、既にある説明の機会に足します。

伝え方で失敗しやすいのは、先に使い始めてから後で知らせる順番です。人事の情報は、順番を間違えると中身が正しくても信用を失います。使い始める前に、対象になる部門へ先に伝えます。全社へ一斉に伝えるのは、対象が全社に広がってからで構いません。

伝えたことは1行だけ残します。いつ、どの部門へ、どの方法で伝えたか。残す目的は証拠を作ることではなく、次に対象を広げるときへ同じ文面を持ち越せるようにするためです。毎回その場で書き下ろすと、説明の内容が少しずつずれていき、部門によって聞いた話が違うという状態になります。

確認3 誰が見られるか

3つめは範囲です。指針は、取扱規程に定めるべき事項として、心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う情報の範囲を挙げています。健康に関わる情報についての記述ですが、考え方は人事の情報全体に通じます。誰が見るかを先に書いておく、ということです。

AIを挟むと、見る人が静かに増えます。入力した内容が保存される、担当者が中身を見られる設定になっている、部門をまたぐ置き場に出力が残る。人ではなく仕組みが見られる状態になっていないかを、情報システム部門と一緒に確かめます。確かめるのは、保存される期間と、提供元の担当者が中身を見る場合の条件です。

社内の側も決めます。入力できる人、出力を見られる人、記録を見られる人の3つを別々に決めます。まとめて1つの権限にすると、必ず広いほうに寄ります。人事の情報は、同じ人事部門の中でも担当によって見てよい範囲が違うので、部門の単位で権限を配ると広すぎます。

範囲を決めたら、人数を数えます。その情報を見られる人が何人いるかを、実際に数えて書き出します。仕組みの上では絞ったつもりでも、管理の権限を持つ人が別にいて、結局は全員が見られる状態になっていることがあります。数えた人数が想定より多いときは、権限の設計ではなく置き場の分け方から見直します。

確認4 出力を何に使うか

4つめが、いちばん見落とされます。入れる側の確認は増えても、出てきたものを何に使うかは決めないまま始まりがちです。ここを決めないと、下書きのつもりで作ったものが、そのまま本人へ渡る文書になります。

線は1本です。人の処遇が変わるものに、そのまま使わない。評価の文言を整えるのは構いませんが、整えた文章を本人へ渡す前に、上長が自分の言葉で読み直します。処遇に響く文書は、書いた人が説明できる状態でなければ渡せません。説明を求められるのは、AIではなく上長だからです。

使い道の決め方は、業務ごとに1行で書きます。下書きまで、要約まで、候補の列挙まで、のいずれかです。この1行が書けない業務は、まだAIを入れる段階にありません。先に、その業務で人が何を決めているのかを書き出すところからやり直します。

決めた使い道は、出力そのものにも書いておきます。冒頭に下書きだと分かる1行を足すだけで、そのまま回覧されるのを防げます。印がないと、体裁の整った文章ほど完成品に見えます。印を外してよいのは、人が読み直して自分の言葉に直したときだけ、と決めておくと迷いません。

確認5 やめるときにどう消すか

5つめは終わり方です。指針は適正管理の措置として、正確で最新の状態に保つこと、漏えいなどの防止、そして保管の必要がなくなった情報の適切な消去を挙げています。入れる話ばかりが議論されて、消す話は後回しになりがちです。

消す対象は3か所あります。渡した先に残っているもの、出力を保存した社内の置き場、そして誰が何を渡したかの記録です。3か所のうち1か所でも消す手順が決まっていなければ、始めないほうが安全です。渡した先の保存期間は、契約か利用条件に書かれているので、始める前に読んで控えておきます。

消す期限は、業務の必要から逆算します。評価の下書きなら、評価が確定した時点で不要です。勤怠の集計なら、次の集計が出た時点で古いものは要りません。期限を日数で決めず、業務の区切りで決めるほうが、現場が守れます。日数で決めると、誰も覚えていない日付が手順書に残ります。

5つの確認を1つの流れにする

5つを別々に確かめていると、業務のたびに時間が溶けます。1つの流れにまとめ、誰が何分で終えるかまで決めます。以下は、人事の1つの業務についてAIを使い始めるときの進め方です。

STEP1
業務を1つだけ選び、種類を当てる

6つの種類のどれに当たるかを決めます。またがる場合は厳しいほうに寄せます。人事の担当者だけで5分です。

STEP2
目的と出力の使い道を1行ずつ書く

動詞で書きます。整える、要約する、数える、のどれか。書けなければここで止めます。10分です。

STEP3
見られる範囲を情報システム部門と確かめる

保存の期間、提供元が中身を見る条件、社内の権限の3つを見ます。両部門で30分です。

STEP4
本人への伝え方と消し方を決める

伝える中身は3つ、消す場所は3か所。既にある説明の機会と業務の区切りに寄せます。30分です。

STEP5
対象の部門へ伝えてから始める

先に使って後から知らせる順番にしません。伝えた日付だけ1行残します。

この流れの利点は、止まる場所が早いところに来ることです。目的が書けない業務は2つめで止まるので、権限の調整まで進んでから引き返す無駄がありません。2つめで止まった業務は、AIの問題ではなく業務の整理の問題です

2件めからは、3つめと4つめの答えを使い回せます。同じ種類の情報を同じ道具に渡すなら、確かめ直すのは目的と出力の使い道だけです。1件めに時間をかけるほど、2件め以降が速くなります。最初の1件は、件数が多く失敗しても取り返しがつくものを選びます。

健康に関わる情報は、最初から別の棚に置く

6つの種類のうち、健康だけは扱いが違います。先ほどの指針は、心身の状態の情報を性質によって3つに分けています。法令に基づき事業者が必ず取り扱わなければならない情報、本人の同意を得ずに収集できるが取扱規程で内部の扱いを定めて運用することが適当な情報、あらかじめ本人の同意を得ることが必要な情報の3つです。

1つめには、健康診断を受けたかどうか、面接指導の申出があったかどうか、事後の措置について医師から聴取した意見などが挙げられています。2つめには健康診断の結果(法定の項目)や面接指導の結果、3つめには法定外の項目の結果、保健指導の結果、健康相談の結果、がん検診の結果、通院の状況などが挙げられています。同じ健康診断でも、法定の項目かどうかで段が変わります

実務では、この3つを覚えるより健康の棚には既定を1つだけ置くほうが確実です。既定は「渡さない」。例外を作るときだけ、どの段に当たるかを産業保健の担当者と確かめます。人事の担当者が自分で段を判定しようとすると、必ず取り違えます。

渡す前に「加工」する

健康に関わる情報を扱う場面が避けられないこともあります。そのときに使うのが加工です。指針は加工を、提供する情報の内容を健康診断の結果等の記録自体ではなく、所見の有無や検査結果を踏まえた就業上の措置に係る医師の意見に置き換えるなど、取扱いの目的の達成に必要な範囲内で使用されるように変換することと定義しています。

この定義は、実務にそのまま使えます。数値を伏せるのではなく、数値を判断の結論に置き換えるという発想です。検査の値を渡す代わりに、就業に制限が必要かどうかだけを渡します。置き換えたものなら、そもそも要配慮個人情報として扱う場面が減ります

加工は誰がやるかも決めます。指針は、情報の加工に係る取扱いの原則は主に医療職種を配置している事業場での実施を想定していると述べています。医療の資格を持つ人が社内にいない場合は、加工そのものを社内で行わない前提で組みます。産業医や外部の産業保健の窓口に、置き換えたあとの形で渡してもらう段取りにします。

評価や処遇の判断そのものは、AIに出させない

ここが記事全体でいちばん重い線です。人の処遇が変わる判断を、AIの出力で決めない。下書きを作らせる、長い記述を要約させる、過去の記録から該当箇所を探させる、まではできます。順位を付けさせる、適性を判定させる、更新の可否を示させることは、しません。

理由は3つあります。1つめは、その判断を本人へ説明するのは上長であって、仕組みではないこと。2つめは、過去の記録をもとにすると、過去のかたよりがそのまま再生産されることです。かたよりをどう検査するかは別に立てるべき論点なので、ここでは深入りしません。3つめは、後から覆しにくくなることです。一度示された順位は、人の判断を静かに引っ張ります。

では何を任せるか。材料をそろえるところまでです。記録の中から該当する期間の記述を集める、複数の記録の食い違いを指摘する、長い面談の記録を短くする。そのうえで、人が確認する範囲を始める前に決めます。全件を人が読むのか、食い違いを指摘された箇所だけ読むのか。決めずに始めると、確認は誰もやらなくなります。

  • 評価のコメントを整えるつもりが、整えた文章がそのまま本人へ渡る通知文になっていた
  • 健康診断の結果の一覧を、数値が入ったまま要約させ、要約が部門の共有の置き場に残った
  • 退職の意向についての見立てをAIに書かせ、確定前の内容が本人の知らないところで回った
  • 勤怠の集計に氏名を付けたまま渡し、時間外労働の長い人の一覧が出力として残った
  • 本人へ伝える前に使い始め、後から知らせたところで、なぜ先に言わなかったのかという問い合わせが続いた

人事と情報システムが先に決めておく3つ

人事部門だけでは決められないことが3つあります。どの道具を使うか、入力がどこに保存されるか、誰の権限でその置き場を見られるか。この3つは、業務が始まってからでは動かしにくくなります。

決め方は、人事の側が種類の表を持ち込み、情報システムの側が置き場と権限の現状を出す、という形にします。表の行と置き場が1対1で対応しない場所が、たいてい問題の場所です。健康に関わる情報が、他の人事の情報と同じ置き場に入っていた、というのはよくある発見です。

決めた内容は、どの道具に、どの種類の情報を、誰が入れてよいかの3列で1枚にまとめます。列を増やさないのが要点です。列が増えると現場が読まなくなり、読まれない表は守られません。更新したときは、更新したことを対象の部門へ必ず伝えます。

決めたあとは、半年に一度だけ見直します。見直す材料は、新しく増えた道具と、置き場が変わった情報の2つだけです。どちらも変わっていなければ5分で終わります。周期を決めずにいると、道具が増えた月に誰も表を更新せず、気づいたときには現状と食い違ったものが配られ続けています。

  • 置き場を分けるときは、健康に関わる情報を最初に切り出す。他の人事の情報と同じ置き場のままでは、権限を細かくしても運用で混ざる
  • 権限の見直しは、人が異動した日ではなく異動が決まった日に始める。引き継ぎの期間が、そのまま権限の重なる期間になる
  • 道具を1つに絞りきれないときは、種類ごとにどの道具まで許すかを決める。道具の数ではなく、種類と道具の組み合わせの数を見る

委託先の道具に入れるときに確かめる点

自社で契約した道具だけでなく、給与計算や勤怠の管理を任せている先の仕組みにAIが載ることもあります。この場合、確かめる相手は委託先です。載ったことを知らないまま、人事の情報がAIに渡っていたという状態を避けるのが目的です。

確かめるのは4点です。入力を学習に使わない条件になっているか、保存される期間はどれくらいか、再委託の先があるか、機能を追加するときに事前に知らせてもらえるか。4点めが入っていない契約は、いつの間にか前提が変わります。既存の契約に足すなら、覚書1枚で済むことがほとんどです。

聞き方も決めておくと楽です。年に1度、同じ4点を同じ文面で聞く形にします。毎回聞き方を変えると、前回との違いが分からなくなります。返ってきた答えは、契約書と一緒に保管します。委託先が答えられない項目があれば、その項目については人事の情報を渡さない、という扱いにします。

委託先が自社で仕組みを作らず、別の提供元のものを組み込んでいることもあります。その場合は、4点の答えがいちばん奥の提供元まで届いているかを見ます。委託先が「提供元に確認します」と答えたまま返ってこないなら、その先の条件は社内の誰も把握していないということです。把握できるまでは、渡す種類を勤怠の集計などに絞ります。

人事の情報がAIに触れる経路は、人事部門の外にもある

ここまでは人事部門が渡す場面を見てきましたが、人事の情報が動く経路はそれだけではありません。現場の上長が自分の手元で面談のメモを整えさせる。会議の録音から議事録を作る仕組みが、人事の議題が入った回も同じように処理する。社内の問い合わせに答える仕組みが、過去のやり取りを参照する。どれも人事部門を通らずに起きます。

洗い出すときは、部門ではなく置き場から見ます。人事の情報が入っている置き場を並べ、それぞれに読み取りの権限を持つ仕組みがつながっていないかを見ます。人事部門が知らない仕組みが1つでもつながっていれば、そこが最初に手当てする場所です。仕組みの一覧は情報システム部門が持っているので、置き場の一覧と突き合わせるだけで見つかります。

上長の手元については、禁止ではなく代わりを用意します。面談のメモを整えたいという要望そのものは正当なので、会社として契約した道具の中に、出力が個人の手元に残らない形を用意します。代わりを出さずに禁止だけを伝えると、個人で契約した道具で同じことが続き、こちらからは見えなくなります。

会議の録音から議事録を作る仕組みは、特定の会議を対象から外す設定があるかを先に確かめます。設定がないなら、人事の議題が入る会議だけは仕組みを使わない運用にします。どの会議を外したかを1行残しておくと、後から本人に聞かれたときにその場で答えられます。

社内へ説明するときの言い方と、配る1枚

最後は説明です。人事の情報にAIを使うと聞いた社員が最初に思うのは、自分の評価が機械で決まるのかです。ここを先に否定しないと、後の説明が耳に入りません。説明の1文めは、処遇の判断には使わない、から始めます。

そのうえで、何に使うのかを具体で言います。面談の記録を短くする、問い合わせの多い項目を数える、案内文の下書きを作る。使う場面を3つ挙げるほうが、使わない場面を10個挙げるより伝わります。そして、断ったことで不利に扱われることはないと明言します。指針が求めているのもここです。

  • その業務で扱う情報が、6つの種類のどれに当たるかが決まっているか
  • 種類がまたがる場合、厳しいほうの既定に寄せてあるか
  • 何の目的で使うかが、動詞を含む1行で書かれているか
  • 出力を何に使うかが、下書きまで・要約まで・候補の列挙まで のいずれかで書かれているか
  • 入力できる人・出力を見られる人・記録を見られる人が、別々に決まっているか
  • 渡した先に入力が保存される期間を、契約か利用条件で確かめてあるか
  • 消す場所3か所(渡した先・社内の置き場・渡した記録)それぞれに手順があるか
  • 健康に関わる情報が、他の人事の情報と同じ置き場に入っていないか
  • 対象の部門へ、使い始める前に伝えたか
  • 委託先の仕組みに機能が追加されたとき、事前に知らせてもらえる約束があるか

この10項目で最初に引っかかるのは、たいてい7つ目です。入れる手順は決まっているのに、消す手順だけが空欄のまま動き始めている。ここが埋まらないうちは、対象を1業務に絞ったまま広げないでください。

まとめ

人事の情報を一括りにして禁止するか許すかを決めようとすると、必ずどちらかに無理が出ます。先にやるのは6つに割ることで、評価・給与・勤怠・健康・面談の記録・異動の検討で効く決まりも既定も変わります。そのうえで、目的・本人への伝え方・見られる範囲・出力の使い道・やめるときの消し方の5つを順に確かめます。健康に関わる情報だけは別の棚に置き、渡すときは検査の値ではなく就業上の措置の内容へ置き換えます。処遇が変わる判断は人が引き受け、AIには材料をそろえるところまでを任せます。まずは失敗しても取り返しのつく業務を1つ選び、目的と出力の使い道を1行ずつ書くところから始めてください。書けなければ、その業務はまだ整理が終わっていないという合図です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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