人を増やすかAIを入れるか|対応量が増えたときの判断

「問い合わせが倍になったので増員を申請したら、AIでできないのかと差し戻されました」「AIを入れる前提で話が進んでいますが、何がどう楽になるのか誰も説明できていません」——対応量が増えた部署で、判断がぴたりと止まる場面です。ここで争われているのは、増員とAIのどちらが優れているかではありません。本当は、増えた量の中身を、まだどちらの側も数えていないというだけのことです。先に選ぶから決まらないのであって、先に測れば決まります。この記事では、対応量が増えたときに最初に測る4つの数字と、増員が効く形・AIが効く形・どちらでも解けない形への仕分け、そして両者を同じ物差しに載せる3つの軸を整理します。
カメ先生対応量が増えたときに人を増やすかAIを入れるかで会議が止まる、という相談はとても多いんだ。ただ、順番が逆になっていることがほとんどでね。増えた量の形を測らないまま選ぼうとすると、どちらを選んでも外れる。
カメ子量が増えたことは分かっているのに、まだ測れていないものがあるということですか。
カメ先生そうなんだ。何件増えたかだけでは足りない。どの工程で詰まっているか、1件に判断が何回入るか、月の中で波があるかないか。この3つで、増員が効く形なのかAIが効く形なのかが変わってくる。
カメ子同じ「量が増えた」でも、中身によって打ち手が入れ替わるのですね。その見分けは、どこから手を付ければよいのでしょう。
- 増員かAIかは先に選ぶ問いではない。増えた件数・詰まっている工程・1件に入る判断の回数・月内の波の4つを測ってから仕分ける
- 仕分け先は3つ。増員が効く形、AIが効く形、そして待ち時間や二重入力のようにどちらでも解けない形
- AIを入れると確かめる仕事と材料を整える仕事が新しく増える。その分を誰が何時間持つかを決めないと、半年後に元の手順へ戻る
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「増員かAIか」は、先に選ぶ問いではない
この問いが会議で解けないのは、選択肢の優劣を比べているように見えて、実際には測っていない量をお互いに想像で埋めているからです。増員を求める側は繁忙の実感を根拠にし、AIを求める側は他社の事例を根拠にします。どちらの根拠も、自部署で何がどれだけ増えたのかを指していません。指していない根拠どうしを比べるので、最後は声の大きさか決裁者の好みで決まります。
人手が足りないこと自体は、判断の材料になりません。帝国データバンクが2026年4月16日から30日にかけて全国の企業に行い、10,538社から回答を得た調査では、正社員が不足していると答えた企業が50.6%でした。業種別では情報サービスが66.7%、運輸・倉庫とメンテナンス・警備・検査がともに65.9%、建設が65.7%で、7業種が6割を超えています。半数の企業に当てはまる状態は、自部署の打ち手を決める根拠にはなりません。
AIの側も同じです。総務省が2026年7月に公表した令和8年版情報通信白書では、自社の何らかの業務で生成AIを利用していると答えた日本企業が86.4%に達し、2024年度調査の55.2%から大きく上がりました。使っている会社が多いことは、自部署の詰まりに効くことの証明にはなりません。前提がそろっているのは両方で、差が出るのは増えた量の形のほうです。
だから最初にやるのは、選ぶことではなく測ることです。測る対象は4つに絞れます。4つで足りるのは、増員が効くかAIが効くかを分ける条件が、ほぼこの4つに収まるからです。逆に言えば、この4つを測らずに出した結論は、3か月後にもう一度同じ会議をやり直すことになります。
「量が増えた」という言葉は、4つの別々の事態を指している
増えた、という一語は、実際には4つの違う事態をまとめて指しています。件数そのものが増えた、1件あたりの手間が増えた、締切が短くなった、やり直しが増えた。この4つは打ち手がまったく違うのに、現場ではどれも同じ言葉で報告されます。報告の段階で混ざっているので、受け取る側も正体が分かりません。
見分け方は難しくありません。直近3か月と、1年前の同じ3か月を、件数と総作業時間の2列で並べます。件数だけが増えていれば1つ目です。件数が横ばいで総作業時間だけが増えていれば2つ目です。締切の短縮は着手から提出までの日数、やり直しは1件あたりの差し戻し回数を並べれば出ます。
数える粒度も先に決めます。部署全体の合計では、増えた場所が平均に埋もれます。数えるのは業務の種類ごと。多くても5種類までに分け、それ以上は割りません。5種類を超えると集計そのものが仕事になり、翌月から続かなくなります。続かない記録は、判断の材料としては存在しないのと同じです。
この4つのうち、人を増やせば素直に解けるのは1つ目だけです。2つ目から4つ目は、人を足しても1件あたりの手間・締切・やり直しがそのまま残ります。人が足りないと感じている状態の多くは、件数ではないほうが増えています。ここを取り違えたまま増員すると、増やした人も同じところで詰まります。
最初に測る4つの数字と、そろえる記録の形
測るのは4つです。増えた件数、詰まっている工程、1件に入る判断の回数、月内の波の形。前の章の「何が増えたか」の分類とは役割が違い、この4つは増員とAIのどちらが効くかを直接分ける条件にあたります。
そろえる記録の形も決めておきます。1行が1件、列は受付日・業務の種類・着手日・提出日・差し戻し回数・担当者の6列です。すでに受付の記録がある部署なら、1日あれば並べ替えるだけで作れます。記録が無い部署は、これから4週間だけ手で付けます。4週間あれば、月内の波の形までは読めます。
測る前に宣言しておくことが1つあります。この記録は個人の評価に使わない、と先に明示することです。担当者ごとの処理件数が評価に見えた時点で、記録の精度は落ちます。早い遅いを見るのではなく、どこで詰まるかを見るためだと、最初の説明で言い切っておきます。
4つのうち、最も見落とされるのは月内の波です。件数と工程は日々の実感として共有されますが、波は月次の合計に丸められて消えます。記録で受付日を必ず日付の単位で残すのは、この波を後から復元するためです。日付を週や月でまとめて記録すると、4週間かけた記録から山の位置が読めなくなり、もう一度同じ4週間を取り直すことになります。
平均で見ると、増員もAIも同じように外れる
月の合計だけを見ると、増員の試算もAIの試算も外れます。月200件を20営業日で割れば1日10件ですが、実際には月末の3日に60件が寄っていることがあります。山のある業務では、平均に合わせた人数は山で溢れ、山に合わせた人数は平常日に余ります。
波の形は3つに分かれます。月内の特定の日に寄る形、曜日で寄る形、季節で寄る形。月内に寄る形は、締切や請求のサイクルに紐づいていることが多く、原因が自部署の外側にあります。原因が外にある波は、こちらの人数でも道具でも動かせないので、まず山の位置を記録しておくことが先になります。
波が大きい業務は、AIが効く側に寄ります。人は山の高さに合わせて雇えませんが、処理の仕組みは山でも平常日でも同じ速さで動くからです。逆に、波が小さく常時一定量が流れている業務は、増員のほうが素直に効きます。ここが最初の分かれ目になります。
ただし、波が大きいから即AIだ、と決めないでください。山の日に発生しているのが判断の伴う仕事であれば、処理の仕組みを入れても確認の列が山の日に立つだけです。波の高さと、その山の中身が定型かどうかは、必ず組にして見ます。片方だけで決めた導入は、山の日に人が張り付く形に落ち着きます。
詰まっている工程は、手を動かす時間と待ち時間に分ける
どの工程で詰まっているかを見るとき、多くの部署は作業の重さだけを見ます。ところが着手から提出までの日数を分解すると、実際に手を動かしている時間より、誰かの返事を待っている時間のほうが長いことがよくあります。手を動かす時間だけを見ていると、待ち時間はどこにも計上されません。
分け方は2列で足ります。1件ごとに、手を動かした合計時間と、着手から提出までの経過時間。後者から前者を引いた差が待ち時間です。厳密な計測は要りません。20件ほど並べれば、待ち時間が全体の何割かは見えます。割合が半分を超えていたら、詰まりの原因は処理の速さではありません。
待ち時間が主な形は、増員でもAIでも解けません。承認の段数、差し戻しの基準の曖昧さ、他部署への依頼の往復。待ち時間の正体は、たいていの場合、決めごとが無いことです。人を足せば待つ人が増え、処理を速くすれば待ち行列が長くなるだけです。この形は後の章で、3つ目の仕分け先として扱います。
待ち時間が半分を下回っていた業務は、手を動かす時間のほうを工程ごとに割ります。受け取って内容を確かめる、材料を集める、作る、見直す、提出する。この5つのうち1つで全体の4割以上を使っている工程があれば、そこが打ち手の対象になります。どの工程にも時間が均等に散っている業務は、人を足す以外の方法が効きにくく、増員が効く形の側に寄ります。
定型か非定型かは、1件に判断が何回入るかで分ける
定型と非定型は感覚で語られがちですが、数えられます。1件を処理する間に、担当者が前例や規程を参照して選択をした回数を数えます。0回から1回なら定型、3回以上なら非定型、2回はその中間という分け方で、実務の判断にはほぼ足ります。
数え方は、担当者に1週間だけ正の字を付けてもらう形で構いません。20件ほど数えれば、その業務の判断回数の中心が見えます。ここでも精密さは要りません。必要なのは、業務ごとに3回以上か1回以下かが言えることだけです。
この数字が効くのは、AIに任せる範囲を決めるときです。判断が0回から1回の業務は、下ごしらえから出力まで通して任せられます。3回以上入る業務は、判断そのものではなく、判断のための材料をそろえる部分だけを切り出します。切り出せる部分が1件あたり何分かを測っておくと、後の比較がそのまま数字になります。
ここで線を1本引いておきます。判断の回数が多い業務を丸ごと預けない、という線です。AIに判断させない。出させるのは材料と、その材料の出どころです。どの規程のどの項を見て、どの前例と照らしたのかを書かせておくと、人がその場で確かめられます。書かせないまま結論だけを受け取ると、確かめるために元の資料を全部読み直すことになり、切り出した意味が消えます。
増員が効く形の4条件
増員が素直に効くのは、4つの条件がそろったときです。件数そのものが増えている、1件に入る判断が3回以上ある、月内の波が小さい、そして教える人が部署内にいる。4つ目が抜けている職場で人を増やすと、最初の3か月はむしろ教える側の使える時間が減ります。
教える側の負担は数えられます。新しく入った人が独力で1件を仕上げられるようになるまでの期間と、その間に先輩が使う時間。この2つを過去の配属実績から出しておくと、増員の効果が出始める時期を現実的な位置に置けます。出していないと、入社月から効果が出る前提の計画になります。
費用の相場も1つだけ置いておきます。リクルートが公表した就職白書2020では、2019年度の中途採用は1人あたり平均103.3万円、新卒採用は93.6万円でした。この金額は採用までにかかる費用であって、教える期間の人件費は別に乗ります。なお、試算の作り方や決裁を通す資料の書き方そのものは、この記事では扱いません。ここで押さえるのは、条件がそろっているかどうかだけです。
条件が3つしかそろわない場合の扱いも、先に決めておきます。教える人がいないことだけが欠けているなら、手順を文章にする作業を先に置きます。手順が文章になっていれば教える時間は大きく減り、同じ文章がそのままAIに渡す材料にもなります。増員かAIかを決める前に手順を書き出す工程を挟むと、どちらを選んでもその作業は無駄になりません。
AIが効く形の4条件
AIが効く形にも条件があります。同じ形の入力が大量にある、下ごしらえの工程が重い、やり直しの費用が小さい、そして出来上がりを人が短時間で確かめられる。4つ目が欠けると、作る時間が減っても確かめる時間が増えて、差し引きが消えます。
白書の数字も、効いている場所が偏っていることを示しています。令和8年版情報通信白書で業務類型ごとの活用状況を見ると、日本で最も高いのは議事録やメールの作成補助でおよそ7割、次が営業・販売でおよそ6割、社内のヘルプデスクがおよそ5割でした。上位に並ぶのは、出来上がりをその場で読んで良し悪しを言える仕事です。
逆に効きにくいのは、確かめるために元の資料を全部読み直す必要がある仕事です。要約や下書きは作れますが、正しさの確認に元と同じ時間がかかるなら、工程の合計は短くなりません。効くかどうかは、作る時間ではなく確かめる時間で決まります。
判断のための材料をそろえる部分だけを切り出せば、非定型の業務でも効く場合があります。過去の類似案件を並べる、規程の該当箇所を抜き出す、数字を1枚の表にそろえる。どれも人が最後に読むことが前提で、そこから先の選択は人が持ちます。切り出しの単位を「工程」ではなく「1件あたり何分の作業」で書いておくと、後で効果を数えられます。
どちらでも解けない形が、実務ではいちばん多い
3つ目の仕分け先が、実際にはいちばん多く出ます。待ち時間が全体の半分を超えている、同じ情報を複数の台帳に二重入力している、前工程から来る入力の質が悪くて手直しから始まる。この3つは、人を足しても処理を速くしても総時間が減りません。
この形を見落としたまま進めると、次のような失敗が起きます。
- 承認が3段あって1件あたり4日待つ工程に、担当者を2人増やした。処理は速くなったが、承認待ちの列が長くなっただけで提出までの日数は変わらなかった
- 受付用の台帳と請求用の台帳に同じ内容を手で入れている状態のまま、受付側の入力だけをAIに任せた。請求側の手入力が残り、突合の作業が新しく増えた
- 前工程から来る申請書の記入漏れが4割ある状態で、確認作業の自動化を検討した。漏れの問い合わせは人が電話で行うため、削減できたのは全体の1割だった
見分けの合図は、増えた仕事の中に「前の工程のやり直し」が混ざっていることです。自部署で発生していない原因を、自部署の人数か道具で解こうとしている状態です。この形は、増員の申請もAIの企画も通らないまま半年が過ぎます。
打ち手は工程の側にあります。二重入力をやめる、承認の段数を減らす、前工程へ差し戻す基準を文章で決める。ここを片付けてから測り直すと、残った量は最初の見積もりより小さくなります。順番を逆にすると、片付いていない工程の上に人か道具を乗せることになり、どちらの効果も測れなくなります。
増員とAIを同じ物差しに載せる3つの軸
仕分けができたら、比べる軸を3つに固定します。立ち上がるまでの時間、止めたときに戻せるか、増えた分を誰が持つか。費用だけを並べると、立ち上がりの遅さと戻せなさが表から消えます。この3つは金額に変換しにくいので、意識して列に残します。
| 比べる軸 | 人を増やす場合に書くこと | AIを入れる場合に書くこと | 空欄のまま出したときに起きること |
|---|---|---|---|
| 立ち上がるまでの時間 | 募集の開始から入社まで、入社から独力で1件を仕上げるまで。どちらも月数で | 材料をそろえ終わるまで、試して手順に載せるまで。こちらも月数で | 今月の山に間に合う案として読まれ、間に合わなかったときに担当者の責任にされる |
| 止めたときに戻せるか | 増やした人を別の業務へ移せるか。移せる業務の数 | 元の手順を誰が覚えているか。手で通す回を残しているか | 外れたときに戻す道が無く、合わないまま続ける選択しか残らない |
| 増えた分を誰が持つか | 教える時間を誰が何時間出すか。名前と時間で | 確かめる時間と材料を整える時間を誰が持つか。名前と時間で | 担当者が自分の時間で吸収し、半年後に元の手順へ静かに戻る |
| 今月の山への効き方 | 間に合わない。次の山から効く | 間に合わない。材料をそろえる時間が先に要る | どちらかが今月に効く前提で計画が組まれ、山の当日に人が張り付く |
表の使い方は1つだけ決めます。3つの軸のどれか1つでも空欄が残るなら、その案はまだ比べられる状態にありません。空欄のまま会議に出すと、埋まっている軸だけで議論が進み、埋まっていない軸は決まった後に問題として戻ってきます。
立ち上がるまでの時間は、起点をそろえないと比べられない
増員は、募集から入社までに数か月かかり、そこから独力で回せるようになるまでにさらに数か月かかります。申請した月から数えると、効果が出始めるのは半年後です。今月の山には間に合いません。
AIのほうが早く見えますが、実際には材料を整える時間が乗ります。令和8年版情報通信白書では、生成AIに社内データを学習させたり参照できる状態にしたりしていると答えた日本企業は24.5%で、米国の57.2%、ドイツの54.4%、中国の73.0%と大きな差がありました。道具を入れる時間より、渡す材料をそろえる時間のほうが長くかかります。材料が無い状態で入れると、出てくるのは一般論だけになります。
比べるときは、どちらも「申請した月」を起点にそろえます。入社日や契約日を起点にすると、AIの側だけが早く見えます。起点をそろえるだけで、今月の山にはどちらも間に合わないという事実が表に出ます。今月の山は、工程を止める・締切をずらす・外へ出すのいずれかで越えることになります。なお、外へ出す選択肢の線引きはこの記事の範囲外なので、ここでは名前を挙げるにとどめます。
止めたときに戻せるかは、両者で中身が違う
片方を選んだあとで外れたとき、どう戻せるかも軸に入れます。人は雇ってから戻すのが難しく、道具は契約を切っても、その前提で組み替えた工程のほうが残ります。戻せなさの中身が、両者でまったく違います。
道具側の戻せなさは、手順の記憶が消えることに出ます。半年間AIに通していた工程は、担当者が元の手順を覚えていません。戻せる状態を保つには、次の3つを最初から決めておきます。
- 元の手順書を残し、AIに通す手順とは別の場所に置く
- 月に1回は手で通す回を作り、所要時間を記録する
- 出来上がりの確認の型を、道具の使い方ではなく人の手順として書いておく
人側の戻せなさは、採用の取り消しではなく配置の硬直に出ます。増やした人を別の業務へ移せるかどうかは、教える設計をどこまで汎用にしたかで決まります。1つの業務しか教えていないと、量が減ったときに移せません。教える内容に、隣の業務の受付と締切の考え方を1日分だけ足しておくと、移せる先が2つになります。
戻せるかどうかを軸に残すと、決め方そのものが変わります。戻せない案は、外れたときの損失が大きいぶん、判断に必要な材料も増えます。戻しやすい案は小さく始めて確かめられるので、そろっていない材料が1つあっても着手できます。同じ費用の案でも、戻しやすさが違えば決裁の重さが変わる、ということです。
AIを入れると、別の仕事が増える。その分を誰が持つか
ここが、この判断でいちばん外してはいけない場所です。AIを入れると、その業務の作業時間は減ることがあります。しかし同時に、確かめる仕事・材料を整える仕事・使い方を教える仕事が新しく生まれます。減った分と増えた分の両方を書かないと、そもそも比較になりません。
白書の数字もその形を示しています。令和8年版情報通信白書では、生成AIによる業務変革について「組織的な取り組みはない」と答えた日本企業が27.0%で、米国の1.4%、ドイツの4.9%、中国の2.6%を大きく上回りました。また、業務プロセスの見直しや活用検討に必要なスキルを学ぶ環境があると答えたのは39.9%にとどまり、米国の62.7%、ドイツの60.4%、中国の71.7%を下回っています。学ぶ環境を作ること自体が、導入によって新しく発生する仕事です。
増えた仕事の中身を細かく並べることと、増えたものをどう元に戻すかは、別の記事の領分です。この判断に必要なのは1点だけです。増える分を誰が何時間持つかを、決める前に名前で決めておくこと。持ち主が空欄のまま導入すると、確認は担当者が自分の時間で吸収し、半年後には元の手順へ戻ります。
人が確認する範囲も、同じ場で決めます。全件を人が見るのか、金額に直結するものと社外に出る文書だけを見るのか。確認の範囲を決めずに始めると、確認は全件になるか、ゼロになるかのどちらかに振れます。範囲を決めておけば、増える確認の時間を先に見積もれます。見積もれる負担は、軸の3つ目にそのまま書けます。
決める順番を5工程に固定する
ここまでの材料を、決める順番に並べ直します。5工程で、全体で4週間を見ておけば足ります。工程を飛ばさないことが目的なので、各工程でやることは1つに絞ってあります。
1行1件、6列。受付日・業務の種類・着手日・提出日・差し戻し回数・担当者。評価には使わないと最初に宣言します。
件数が増えたのか、1件の手間が増えたのか、締切が短くなったのか、やり直しが増えたのか。1年前の同じ3か月と並べて判定します。
増員が効く形、AIが効く形、どちらでも解けない形。待ち時間が半分を超えていたら、仕分けはここで止めて工程の手当てに移ります。
立ち上がるまでの時間、止めたときに戻せるか、増えた分を誰が持つか。申請した月を起点にそろえ、空欄を残しません。
増える確認と整備の時間を、誰が何時間持つかを名前で書きます。人が確認する範囲も同じ紙に書いて、そこで初めて決裁に出します。
4週間という期間には理由があります。月内の波を1周だけ見るのに必要な最短の長さで、これより短いと山の高さが読めません。逆に3か月待つと、その間の残業が固定されて元の状態が分からなくなります。
この5工程のうち、飛ばしてよい工程はありません。とくに5工程目を飛ばした案は、決裁の場で「誰がやるのか」と聞かれて差し戻されます。先に名前を埋めておけば、その一往復が消えます。往復が1回減るだけで、判断が2週間早まります。
決めたあとに見る数字と、仕分け直しの引き金
決めて終わりにしないために、見る数字を先に固定します。件数、1件あたりの総時間、待ち時間の割合、差し戻し回数、そして新しく増えた確認の時間。最後の1つを入れておかないと、効果だけが記録されて負担が記録されません。
仕分け直しの引き金も、数で置いておきます。待ち時間の割合が変わらない、差し戻しが増えた、増えた確認の時間が減った作業時間を上回った。この3つのどれかが2か月続いたら、仕分けの段階まで戻ります。引き金を決めていないと、合わない状態のまま続ける判断が既定になります。
記録の置き場所は1か所に決めます。列の並びは変えず、月ごとに1行を足していく形にします。列を足したくなったときは末尾に足し、既存の列の順番は動かしません。並べ替えたくなった時点で、その表は判断の材料として使われ始めています。
AIに任せてよいのは、この記録の整形と要約までです。月ごとの集計を作る、波の形を言葉にする、差し戻しの理由を分類する。どれも人が確かめられる作業です。どの列から計算したのかを必ず書かせ、増員するかどうかの判断は人が持ちます。人が確認する範囲は、集計値の全件と、分類の上位20件に固定しておきます。
まとめ
対応量が増えたときに判断が止まるのは、増員とAIの優劣が難しいからではなく、増えた量の中身を誰も数えていないからでした。測るのは4つです。増えた件数、詰まっている工程、1件に入る判断の回数、月内の波の形。そこから、増員が効く形・AIが効く形・どちらでも解けない形の3つに仕分けます。待ち時間が半分を超えている業務や二重入力が残っている業務は、人も道具も効きません。比べるときは、立ち上がるまでの時間、止めたときに戻せるか、増えた分を誰が持つかの3軸を、申請した月を起点にそろえて埋めます。そしてAIを入れれば人が要らなくなるのではなく、確かめる仕事と整える仕事が新しく増えます。その分の持ち主と、人が確認する範囲を名前で決めてから決裁に出してください。まずは4週間分の記録を取るところから始められます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
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