AIツールの試用期間で確かめる7項目|本契約の前に決める

AIツールの試用期間で確かめる7項目|本契約の前に決める

「無料で試せると言われて申し込んだのですが、2週間で何を見ればよいのか決まらないまま終わりました」「現場は使いやすいと言っているのに、情報システム部門からの質問に答えられず、稟議が止まっています」——試用そのものより、試用の設計で詰まっている例です。試用期間は道具の使い心地を味わう時間ではありません。本契約で決めなければならないことを、決められる材料に変えるための期間です。この記事では、限られた日数のうちに確かめる7項目と、その回し方を順に整理します。


カメ先生カメ先生

試用期間は道具が使えるかどうかを試す時間だと思われがちだけれど、実際に決まらなくなるのは、使い心地ではなく手続きのほうなんだ。


カメ子カメ子

使えることが分かっても、契約に進めないことがあるのですか。


カメ先生カメ先生

よくあるよ。入れた情報がどこに残るのか、誰がいつ使ったかの記録が出せるのか、やめるときに中身を持ち出せるのか。この3つは触っているだけでは分からなくて、提供している側に聞かないと出てこないんだ。


カメ子カメ子

触って分かることと、聞かないと分からないことが混ざっているのですね。


この記事のポイント
  • 試用で分かることと分からないことを先に分ける。混み合う時間帯の速さ、社内データを入れたときの精度、提供側の対応の速さ、1年後の料金は試用では分からない
  • 確かめるのは7項目。実データで試せるか/入れた情報の行き先/出せる記録/既存の仕組みとつながるか/速さと上限/管理者側でできること/やめるときの持ち出し
  • 採否そのものはAIに決めさせない。記録の要約と比較表の下書きまでを任せ、決めるのは人が行う

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目次

試用で分かること、分からないことを先に分ける

試用の設計でいちばん先にやるのは、確かめる項目を並べることではありません。この期間で分かることと、どうやっても分からないことを分けることです。分からないものを追いかけると、残り日数だけが減り、いちばん大事な確認が最終日に回ります。

確かめたいこと試用で分かるか分からない場合の確かめ方
自社の業務に合うか分かる伏せた実データで、頻度の高い業務を通して確かめる
混み合う時間帯の速さ分からない同時に使える人数と、遅くなったときの扱いを書面で聞く
社内データを入れたときの精度ほぼ分からない一部だけ読ませて傾向を見る。本番の量は契約の条件にする
提供側の対応の速さ分からない試用中に一度問い合わせを出し、返信までの日数を記録する
1年後の料金分からない改定の通知時期と上げ幅の扱いを契約に書き込む
管理者側でできること分かる場合がある試用の権限で管理の画面に入れるかを初日に確認する

表の右側、つまり試用では分からない側に入るものには共通点があります。時間が経たないと表に出ないか、契約の条件として決まっているか、相手の会社の体質に属するかのどれかです。1か月触っても出てこない性質のもので、粘っても出てきません

分からないものは、確かめ方そのものを変えます。触って確かめるのではなく、書面で聞くか、契約に条件として書き込む。この切り替えを最初の週にやっておくと、残りの日数を触って確かめる側に集中できます。分けた結果は1枚の表にして、試用を始める前に情報システム部門と共有しておきます。

分からないことは、触らずに書面で埋める

書面で聞く項目は、だいたい決まっています。入れた情報が学習に使われるかどうか、保存される場所と期間、解約したあとの削除の時期と方法、外部の業者にどこまで再委託しているか、障害が起きたときの連絡と復旧の約束。この5つは、画面をいくら触っても出てきません。申し込みと同時に質問状として出しておくのが効率的です。

聞き方にはコツがあります。公開されている案内の文言と、契約書の文言の両方を突き合わせます。案内には学習には使わないと書いてあるのに、契約書には不正利用の監視のために一定期間保持すると書かれている、という食い違いは珍しくありません。食い違ったときに効くのは契約書の側なので、案内だけを根拠に決裁へ出さないようにします。

提供側の対応の速さだけは、試用中でも一部を測れます。期間の前半に必ず一度、少し答えにくい質問を出してみます。返ってくるまでの日数と、答えの具体性を記録に残す。問い合わせへの返り方は、本契約のあとも同じ形で続きます。窓口が営業の担当なのか、技術の担当に届くのかも、このときに分かります。

再委託の扱いと、止まらないことの約束も同じ紙で聞きます。外部の業者にどこまで任せているのか、その一覧は開示されるのか、増えるときに事前の通知があるのか。加えて、稼働の目標と、障害が起きたときの連絡の手順と復旧の目安。この3つが書面にない道具は、止まったときに社内へ説明する材料がありません。試用の期間中に一度でも止まった場合は、そのときの連絡の速さと内容を必ず記録に残します。

項目1:自社の実データで試せるか

7項目の1つ目は、試用の前提そのものです。自社の実際の資料を入れて試せないなら、その試用で分かるのは画面の操作感だけになります。ところが実データを入れてよいかは、社内の規定と提供側の条件の両方に関わるので、申し込む前に確認が要ります。ここを飛ばすと、期間の半分を社内の調整に使うことになります。

実務では、資料を3段階に分けて用意します。どこにも出せない資料、伏せれば出せる資料、すでに公開している資料。試用ではまず公開済みのもので操作を確かめ、次に伏せた資料で精度を見ます。取引先から預かった資料は、この段階では入れません。預かった範囲の外に出すことになるからです。

実データをどうしても入れられない場合は、試用の結論に条件を付けます。操作性と管理の機能は確認済み、精度は未確認、と書いて残す。確かめられなかった項目を空欄のまま決裁に出さないことが、後から揉めない唯一の方法になります。空欄は読む側に問題なしと受け取られます。

申し込む前の社内の段取りも、日数として見込んでおきます。どの区分の資料なら外部の道具に入れてよいかは、たいてい既存の規定に書かれています。書かれていない場合は、情報システム部門と法務に1回だけ確認の場を作り、試用のあいだ限定の扱いとして決めてもらう。この確認を試用の開始後に回すと、期間の半分が待ち時間になります。確認の結果は、試用の記録の1行目に書いておきます。

項目2:入れた情報の行き先

2つ目は、入れた情報がどこへ行くかです。見るのは4点あります。学習に使われない設定が用意されているか、保存される国と地域はどこか、保持の期間は何日か、そして解約したときにいつ消えるか。法人向けでは学習に使わない設定が標準になっていることが多いものの、標準と既定は別で、管理の画面で切り替える形になっていることがあります。

保持期間には、もう一段の注意があります。不正な使われ方を監視するという目的で、学習には使わないが一定期間は保持する、という設計がよくあります。学習に使わないことと、保存しないことは別の約束です。両方を分けて確認し、どちらも文書で受け取っておきます。ここを口頭の説明で済ませると、後から確かめる手段がなくなります。

解約後の削除は、時期と方法の両方を聞きます。いつ消えるのか、消したことをこちらが確かめられるのか、証跡を出してもらえるのか。ここが曖昧なまま本契約に進むと、やめたい理由ができたときに、やめる判断そのものが遅れます。再委託の先がある場合は、その先での削除まで確認します。

保存の場所については、国と地域だけでなく、こちらで選べるのかも確認します。選べる場合は追加の料金がかかることがあり、選べない場合は、どの国の法律の影響を受けるかが変わります。併せて、無料で試している期間と有料の契約とで保持の期間が違うことがあるので、試用のときの条件をそのまま本契約の条件だと思い込まないようにします。試用で入れた資料が、本契約に移るときにどう扱われるかも同じ紙で聞いておきます。

項目3:誰がいつ何をしたかの記録が出せるか

3つ目は記録です。監査の場面や事故の場面で必要になるのは、利用した人と時刻、つないだ先の仕組みや資料、入れた情報の区分、出力を何に使ったか、そして誰が承認したかの5つです。試用の期間に、このうち何がそのまま出せて、何が出せないのかを確かめます。

確かめ方は単純で、管理の画面から実際に書き出してみることです。画面で見えるだけで書き出せない、直近30日分しか残らない、書き出した形式が扱いにくい、といった差がここで表に出ます。保持の期間と書き出しの可否は、機能の一覧に書かれていないことがあります。だから触って確かめる側に入れておきます。

記録が取れないと何が困るかは、はっきりしています。つないだ先が分からなければ権限のはみ出しに気づけず、入れた情報の区分が残っていなければ、機密の持ち込みがどこから起きたかを追えません。記録は事故の後に必要になるので、事故の前に出せることを確かめておきます

取れることを確かめたら、次に見る周期を決めます。毎月見るなら、利用した人と時刻、つないだ先、入れた情報の区分、出力を何に使ったか、承認の有無の5つで足ります。監査の場で聞かれるのも、誰が依頼して誰が実行したか、どの資料に触れたか、出力をどの判断に使ったか、事前か事後のどちらで確認したか、問題が起きたときに止めた記録があるか、というほぼ同じ5つです。見る周期を決めていない記録は、必要になったときには保持の期間を過ぎています

項目4:今使っている仕組みとつながるか

4つ目はつながり方です。見るのは認証と、資料の受け渡しと、既存の業務の仕組みへの接続の3つ。認証では、社員が普段使っている入口からそのまま入れるか、入退社にあわせて利用者を自動で追加・削除できるかを確認します。ここが手作業だと、使い始めたあとの管理の手間が毎月積み上がります。

資料の受け渡しは、実際に使っているファイルの形式で試します。文書、表計算、スライド、そして紙をそのまま取り込んだ資料。紙を取り込んだ資料が読めるかどうかで、使える業務の範囲が大きく変わります。読めない形式が見つかったら、事前に直す工程が必要になるので、そのぶんの手間も試用の記録に残しておきます。

つなぎ込みの費用も、この段階で見当を付けます。追加の料金がかかる機能なのか、設定だけで済むのか、技術者の手が要るのか。試用中に管理の画面の設定項目を一通り開いてみると、どこまでが設定で、どこからが開発なのかの境目が見えます。境目が見えていれば、決裁の場で費用の追加を聞かれても答えられます。

読み込みの手間も、実際にやってみないと分かりません。ファイルを画面に置くだけで済むのか、事前に形を整える作業が要るのか、技術者の手を借りる必要があるのか。ここが重いと、使い始めてから「読ませる前の準備」という新しい仕事が毎回発生します。試用のうちに、いちばん扱いにくい資料を1つ通しておきます。通らなければ、その資料を使う業務は当面の対象から外して見積もります。

項目5:速さと上限

5つ目は速さと上限です。速さは試用の環境では当てになりませんが、上限は確かめられます。1人あたりの1日の回数、一度に扱えるファイルの大きさ、同時に使える人数、長い資料を扱うときの制限。この4つは、本番で最初に当たる壁になります。

上限は、配った後に当たります。試用で1人が1日10回使って足りていても、全社に配って1人が1日40回使う業務に当てると、まったく別の景色になります。試用の使い方を、本番でいちばん重い使い方に寄せて試すのが早道です。いちばん長い資料、いちばん件数の多い日を、試用のうちに一度通してみます。

速さについては、測れないことを前提に条件を決めておきます。混み合う時間帯に遅くなったとき、待たせるのか、順番を付けるのか、追加の費用で優先されるのか。遅くなったときの扱いを先に聞いておくと、本番で起きても手順の話で済みます。聞いていなければ、そのたびに交渉から始めることになります。

項目6:管理者側でできること

6つ目は管理の機能です。確かめるのは、部署ごとに使える範囲を分けられるか、入れてはいけない情報を検知したり伏せたりできるか、使ってはいけない語を設定できるか、そして誰がどれだけ使っているかが見えるか。導入したあとの運用の重さは、ここでほぼ決まります。

試用のときに見落とされやすいのが、権限の分け方です。全員が同じ範囲を見る設計しかできない道具だと、部署をまたいで配ったときに、見せたくない資料まで届きます。使い始めてから権限を分けるのは、配ったあとに取り上げる作業になります。反発が出るうえ、どこまで見られていたかを後から追うことにもなります。

費用の見え方も管理の一部です。誰がどれだけ使っているかが部署ごとに見えないと、費用の付け替えが毎月の手作業になります。試用の管理の画面で、利用の状況が部署の単位で出せるかを一度確かめておきます。出せない場合は、こちらで台帳を持つ手間が毎月かかるものとして、費用の見積もりに足しておきます。

入れてはいけない情報への手当ても、この項目で見ます。個人を特定できる情報や取引先の名前が入力されたときに、検知するのか、伏せるのか、そこで止めるのか。使ってはいけない語を自分たちで登録できるか。加えて、管理者の入口に二段階の確認を付けられるかも確かめます。管理者の権限は、一度渡すと取り上げにくいので、誰に渡すかを試用の段階で決めておきます。

項目7:やめるときの持ち出し

最後は、やめるときの話です。入れた資料、書き溜めた指示文、やり取りの履歴、設定。これらを持ち出せる形で書き出せるかどうかを、試用のうちに確かめます。使い始めてからでは、書き出せないと分かった時点で、乗り換えるという選択肢が事実上消えています。

見るのは3点です。書き出せる範囲が全部か一部か、書き出しの形式が他でも読める形かその道具でしか開けない形か、そして書き出しに誰の手が要るか。提供側に依頼しないと書き出せない設計は、やめにくさとして効いてきます。試用の期間に一度、実際に書き出してみるのがいちばん確実です。

併せて、契約の途中で条件が変わるときの通知も確認します。使っている機能がなくなる、料金が上がる、再委託の先が増える。通知の時期が決まっていれば、こちらが判断する時間を確保できます。決まっていない場合は、通知の時期そのものを契約の条件として持ち込みます。

7項目の重みは同じではない

7項目を並べると、全部を満たす道具はまず見つかりません。だから先に、落ちたら本契約を止める項目と、条件付きで進める項目に分けておきます。分けておかないと、最後に7つの丸と三角を眺めて、その場の空気で決めることになります。

項目落ちたら本契約を止めるか試用中の確かめ方
自社の実データで試せるか止める。試せないなら判断の材料がない伏せた資料で、頻度の高い業務を通す
入れた情報の行き先止める案内と契約書の両方を突き合わせ、文書で受け取る
出せる記録止める管理の画面から実際に書き出してみる
既存の仕組みとつながるか条件付きで進める認証と、実際に使っているファイル形式で試す
速さと上限条件付きで進めるいちばん重い1件を通す。上限は書面で確認する
管理者側でできること条件付きで進める部署ごとの権限と、利用状況の表示を確かめる
やめるときの持ち出し止める書き出しを実際に一度行ってみる

分け方の考え方は単純です。後から足せるものは条件付き、後から足せないものは止める側。情報の行き先と記録と持ち出しは、契約と設計に関わるので後から変わりません。速さや上限、つなぎ込みは、契約の条件や運用のしかたで吸収できる余地があります。

この重み付けは、試用を始める前に決めます。触ってから決めると、使い心地の良さに引きずられて、止めるはずの項目がいつのまにか条件付きに移ります。決めた表は、試用に参加する全員に配っておきます。何を見ればよいかが共有されるので、記録の質もそろいます。

配る相手は、人数ではなく業務の型の数で決める

ここからは回し方です。まず配る相手。試用の利用者を少人数に絞ると日程は楽になりますが、その結論は本番で覆ります。選ぶ基準は人数ではなく、業務の型がいくつ入っているかです。同じような仕事をしている3人より、違う仕事をしている3人のほうが、集まる情報は多くなります。

  • 試用期間に触ったのが推進担当の2人だけで、本契約のあと全社に配ってから、別部署の資料の形式が読めないこと、承認の手順に合わないことが分かる。契約は1年分が確定していて、使わない席の費用だけが毎月出ていく

目安としては、想定している利用部署から最低1人ずつ、そして道具に詳しくない人を必ず1人入れます。詳しい人だけで試すと、手順の分かりにくさが結論に出ません。本番で問い合わせが集中するのは、詳しくない人の側です。その人がどこで止まったかは、導入後の手引きの材料にもなります。

逆に、多ければよいというものでもありません。人数が増えると、記録が集まらないまま期間が終わります。配る人数ではなく、記録を出してくれる人数で設計します。1人あたり何件試して、どの欄を埋めるのかを、配る時点で一緒に渡しておきます。

何の業務で、何日で何件やるか

次は中身です。試用の期間にやることを、業務・件数・日数の3つで先に書きます。書かずに始めると、触った感想は集まるのに、比べられる記録は1件も集まりません。感想は決裁の場で最も弱い材料になります。

STEP1
試す業務を2つに絞る

件数が多く、手順が毎回ほぼ同じものを選びます。目新しい業務ではなく、毎週発生している業務のほうが結論が出ます。

STEP2
業務ごとに10件を決めて割り振る

誰が何件やるかを、開始前に名前と件数で割り付けます。空いた人がやる形にすると、件数が集まりません。

STEP3
前半は慣れる期間、後半は記録の期間にする

2週間なら最初の4日は判断に使いません。慣れの影響を外さないと、道具の良し悪しと習熟の速さが混ざります。

STEP4
1件ごとに同じ欄を埋める

かかった時間、手直しの有無とその時間、困った点、使った機能。4つの欄で足ります。自由記述だけにすると集計できません。

STEP5
最終日の3日前に締める

最終日まで使うと、集計と決裁の資料づくりが試用の期間の外にはみ出します。締めてからの3日を、まとめと確認に使います。

件数の目安は、1つの業務あたり10件です。5件だと、たまたまうまくいった回とうまくいかなかった回の差が読めません。10件やって半分以上で手直しが30分を超えるなら、その業務には合っていません。件数を増やすより、業務を絞るほうが結論は早く出ます。

日数の割り方も先に決めます。前半で操作に慣れ、後半の記録だけを判断に使う。この形にしておくと、最初の数日の戸惑いが数字に混ざりません。期間が1か月ある場合は、前半を1週間、後半を2週間、最後の1週間をまとめと確認に充てると、決裁までが詰まりません。

比べる相手を用意する

試用の記録は、それ単体では判断に使えません。1件30分でできたという数字は、今のやり方が何分かかっているかが分からなければ、速いのか遅いのかが決まらないからです。だから同じ期間に、今のやり方の記録も並行して取ります。

比べる相手は2つ用意できます。今のやり方と、他社の道具です。他社のものを同時に試せるなら、同じ業務・同じ件数・同じ記録の欄で回します。時期をずらして比べると、業務の繁閑と習熟の度合いが混ざって、比較になりません。同時に回せないなら、比べる相手は今のやり方だけに絞ります。

記録の欄をそろえておけば、次の道具を試すときにそのまま使い回せます。1回目の試用でいちばん価値が出るのは、実は道具の評価ではなく、この記録の欄そのものです。なお、複数社の見積書をどう並べて比べるかは別の記事の領分なので、ここでは試用で取る記録の側だけを扱います。

判断の材料を残す

試用の出口は、感想ではなく1枚の表です。項目ごとに、確かめた方法、その結果、確かめられなかったこと、そして残った条件を書きます。決裁の場で聞かれるのは、たいてい「その数字はどうやって出したのか」と「確かめていないことは何か」の2つに集約されます。

確かめられなかったことを空欄にせず、明示して残すのが実務の要点になります。空欄は問題なしと読まれます。混み合う時間帯の速さは未確認、社内データを入れたときの精度は一部のみ確認、と書いておけば、そのまま本契約の条件として持ち込めます。条件として持ち込めた項目は、後から交渉の材料になります。

記録の形は、試用を始める前に決めておきます。終わってから作ると、人によって書く粒度が違い、集計できません。記録の欄は、決裁で並べる形のまま配ります。並べ替える手間がなくなるぶん、締めてからの3日で資料が仕上がります。

AIに判断させない範囲と、任せてよい作業

試用の評価そのものにAIを使う場面も出てきます。ここでも線を引いておきます。任せてよいのは、記録の要約、比較表の下書き、問い合わせ文の作成、用語の整理まで。決めさせてはいけないのは、採否そのもの、条件を飲むかどうかの判断、そして未確認の項目を問題なしと読み替えることです。

要約を任せる場合は、根拠を書かせます。どの記録の何件目から拾った話なのかを併記させ、人がその件を開いて確かめる。要約だけを受け取ると、件数の少ない不都合な記録が落ちます。落ちやすいのは、うまくいかなかった1件や2件です。そして本契約の後にいちばん効いてくるのは、たいていその1件や2件のほうです。

人が確認する範囲も先に決めます。7項目のうち、情報の行き先・記録・持ち出しの3つは、要約ではなく元の文書に当たる。残りの4つは要約で足りる。範囲を先に決めておくと、確認に使う時間が試用の日数を食い潰しません。決めた範囲は、記録の表の欄外に書いておきます。

試用が終わってから決めるまでの段取り

最後に、試用の後の日程です。試用が終わった日から決裁までの間に、何日を誰が使うのかを先に押さえます。ここを空けておかないと、せっかく集めた記録が古くなり、もう一度試そうという話に戻ります。戻った時点で、その道具の導入は半年遅れます。

  • 試用の終了日と決裁日は別物。集計・関係部門の確認・会議の日程を先に押さえる
  • 確かめられなかった項目は、本契約の条件として文書に残す
  • 試用中に出した問い合わせと、返信までの日数は、そのまま契約後の目安になるので捨てない

押さえるのは3つです。集計とまとめに何日か、情報システム部門と法務の確認に何日か、そして決裁の会議はいつか。決裁の日から逆算して、試用の開始日を決めます。開始日から順に足していくと、たいてい決裁の日に間に合いません。会議が月に一度しかない場合は特に効きます。

条件付きで進める項目がある場合は、その条件を契約の文言にする作業が入ります。ここは相手のある話なので、日数の見積もりを多めに取ります。試用の期間と同じくらいの日数を見ておくと、間に合わないことが減ります。文言にできなかった条件は、次の更新時期に持ち越す課題として書き残します。

まとめ

試用期間を使い切るというのは、道具を長く触ることではありません。分かることと分からないことを初日に分け、分かる側は7項目を実際に触って確かめ、分からない側は書面と契約の条件で埋める。確かめる7項目は、実データで試せるか、入れた情報の行き先、出せる記録、既存の仕組みとのつながり、速さと上限、管理者側でできること、やめるときの持ち出しです。このうち情報の行き先・記録・持ち出しの3つは、落ちたら止める側に置きます

回し方は、業務の型の数で配る相手を決め、業務2つ・各10件・後半だけを判断に使う、という形に固めます。記録は決裁で並べる形のまま配り、確かめられなかった項目は空欄にせず明示する。採否はAIに決めさせず、要約には根拠を書かせ、人が元の文書に当たる範囲を先に決めておく。申し込む前に1つだけやるなら、決裁の会議の日を確認して、そこから逆算した開始日を決めてください。試用が短く感じるのは日数のせいではなく、後ろの日程が空いていないからです。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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