追わないリードを決める5工程|捨てる基準をAIと作る

追わないリードを決める5工程|捨てる基準をAIと作る

「今月も名刺が800件増えましたが、営業からは追える先が1件もないと言われました」「配信を止めてよい先が1件も決まらないまま、名簿だけが3年分たまっています」——BtoBのマーケティング担当の方から届く相談の、この2つは同じ問題の表と裏です。増やす仕組みはどの会社にもあるのに、減らす仕組みだけが誰の担当にもなっていない。追わないリードを決める作業は、名簿を軽くするための片づけではありません。営業が使える状態の名簿を保つために、誰が何を根拠に外すのかを先に決めておく作業です。この記事では、外す前の仕分けから、外した後の保管と削除、誤って外した分の戻し方までを5つの工程に分けて整理していきます。


カメ先生カメ先生

リードは増やすものだと思われがちだけれど、実際には増やす仕組みと減らす仕組みの両方がないと名簿は使えなくなるんだ。そして減らす側だけ、たいていどの会社にも担当がいない。


カメ子カメ子

増やす側に担当がいて、減らす側にいないのは、何が違うからでしょうか。


カメ先生カメ先生

報われ方が片側にしかないからだよ。増やせば件数がそのまま成果になる。外したほうは成果として数えられないのに、外した先が後で動いたときに説明を求められる立場だけが残る。


カメ子カメ子

基準が決まらないのではなく、決めた後の責任の置き場所が決まっていない、ということですか。


この記事のポイント
  • 追わないリードが決まらない原因は基準の不足ではなく、外す判断の責任を誰も引き受けていないこと
  • 外す前に誤登録・対象外・時期尚早の3つの箱に分ける。同じ「追わない」でも行き先も保管の長さも違う
  • 外した後の保管と削除は法令と社内規程の両方で決める。AIには分類の下ごしらえまでを任せ、外す判断は人が名前で引き受ける

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目次

基準の案は出ている。決まらないのは、外した後の責任が空いているから

追わない基準を作る会議は、たいていの会社で一度は開かれています。開かれて、持ち帰りになる。次に開かれるのは半年後で、また持ち帰りになる。止まっている原因は、基準の案が出てこないことではありません。案はいくつも出ます。止まるのは、その案で実際に外した先が半年後に競合と契約したと分かったときに、誰が説明するのかが決まっていないからです。

増やす側と並べると、構造がはっきりします。名刺を増やす施策には、増えた件数という数えられる成果があります。外す作業にはそれがありません。残るのは、外した先が後から動いたときに、なぜ外したのかを聞かれる立場だけです。誰も手を挙げないのは担当者の姿勢の問題ではなく、報われ方が片側にしかない仕組みの問題です。

だから最初に決めるのは基準ではありません。外す判断をする人の名前と、その判断を後から結果論で評価しないという取り決めの2つです。この2行を先に紙に書くと、基準の議論は1回で終わります。逆に2行がないまま基準の精度だけを上げ続けると、精度が上がるほど決められなくなります。条件が細かくなるほど例外の確認先が増え、確認先が増えるほど誰も押せなくなるからです。

追わないまま置いた名簿は、3か所から静かに壊れる

外さない選択には費用がかからないように見えます。保管の費用は安く、置いておけばいつか役に立つかもしれない。ところが実際には、3か所から壊れます。1か所目は営業側です。渡された名簿に追えない先が混ざっていると、営業は名簿そのものを使わなくなり、自分の手元の一覧に移します。移された時点で、マーケティング側からは何が動いているのか見えなくなります

2か所目は配信です。反応のない宛先に送り続けると、届かなかった件数と、迷惑として扱われた件数が積み上がります。これは1通ごとの問題ではなく、送信元そのものの評価に効きます。追わない先を残したまま配信を続けると、追いたい先にも届かなくなるという、順番が逆転した事故が起きます。名簿を減らさないことが、届く力を削っていきます。

3か所目は説明責任です。個人情報保護委員会は、個人情報保護法の第22条について、取り扱っている個人データを利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めなければならない、と説明しています。努力義務ではありますが、追わないと決めた先を持ち続けている状態は、必要がなくなった後も保管している状態そのものです。取引先の調査や社内の監査で保有の理由を聞かれたときに、答える材料がありません。

「追わない」と「消す」を同じ言葉で話さない

会議がかみ合わない二つ目の理由は、言葉です。追わない、対象外、除外、削除、破棄。これらが同じ意味で使われていると、営業は消されると困ると言い、法務は消さないと困ると言い、どちらも正しいまま話が止まります。実務では、行き先を4つに分けると整理がつきます。

1つ目は、追客の対象から外すだけで名簿には残す。2つ目は、追客も配信も止めるが、記録としては残す。3つ目は、こちらから接触せず、相手から動きがあったときだけ拾う。4つ目は、保管の必要もなくなったので消去する。この4つは、必要な承認も、保管の長さも、戻し方も別物です。1つの言葉でまとめて話している限り、どれも決まりません。

分けたうえで、それぞれの件数を毎月数えてください。4つの行き先の件数が1か月まったく動いていないなら、外す作業は止まっています。基準の出来ではなく運用が止まっているので、基準を作り直しても解決しません。数え方は、名簿の状態を表す列を1つ足して、その値ごとに件数を出すだけで足ります。

5つの工程の全体像

ここから先が本題です。追わないリードを決める作業を5つの工程に分けます。どの工程も1日で終わる大きさにしてあります。全部まとめて進めようとすると、たいてい工程2の条件づくりで止まり、その後は再開されません。

STEP1
外す前に、3つの箱に分ける

名簿を1件ずつ見る前に、誤登録・対象外・時期尚早の3つに仕分けます。仕分けの基準は自社の記録に残っている事実だけで書き、判断に迷った分は4つ目の箱に置いて先に進みます。

STEP2
外す条件を、数字と事実で1行にする

箱ごとに、外すための条件を1行で書きます。関心が低い、確度が薄いといった言い方は使わず、どの記録を見れば真偽が確かめられるかが分かる形にします。

STEP3
営業と合意を取る場を作る

条件の文面を会議で読み上げるのではなく、実際の名簿を持ち込んで、その場で仕分けを通します。合意は文面ではなく、通した結果に対して取ります。

STEP4
外した後の保管と削除を決める

外した先をどこに置き、いつまで持ち、いつ消すのかを決めます。法令の側と社内の規程の側の両方を見ます。消した記録を誰が確かめるかも、ここで決めます。

STEP5
誤って外した分の戻し方を決める

戻す合図、戻す手続き、戻したことを誰に知らせるかを決めます。この工程を先に済ませておくと、工程3の合意が驚くほど早く終わります。

順番には意味があります。工程5を先に決めておくと、工程3の合意が取りやすくなります。営業が合意をためらう理由のほとんどは、外した先が二度と戻らないという前提にあるからです。戻る道があると分かれば、条件の細部よりも運用の続けやすさに話が移ります。

初回は、名簿の全件を対象にしないでください。直近1か月に増えた分だけで5工程を通します。件数が少ないほど1件ずつ確かめられ、条件の書き方の癖が見つかります。最初の1周は結果を出すためではなく、条件の文面を直すために回すものだと決めておくと、途中で止まりません。

工程1:外す前に、3つの箱に分ける

いきなり外す・外さないの二択にすると、判断が重くなります。先に3つの箱に分けてください。1つ目は誤登録です。連絡先が明らかに存在しない、同じ人が表記違いで何件も入っている、自社の社員やパートナーの応募が混ざっている。これらは判断の対象ではなく、名簿の品質の問題なので、営業の合意を取るまでもありません。

2つ目は対象外です。提供していない地域、扱っていない業種、法人向けの商材に対する個人としての申し込み、競合の調査目的。ここは自社の事業の範囲をどう定義しているかに直結するので、外す条件を書くときにいちばん揉めます。3つ目は時期尚早で、関心はあるが予算も時期も決まっていない先です。時期尚早は外す対象ではなく、接触の間隔を変える対象だと最初に決めておくと、3つ目の箱を巡る議論が短くなります。

4つ目の箱も用意してください。どれにも当てはまらない、判断がつかない分です。この箱の件数が全体の3割を超えるなら、条件の書き方に問題があります。条件が抽象的すぎるか、判断に必要な項目がそもそも名簿に入っていないかのどちらかです。前者なら文面を直し、後者なら取得の段階に戻って項目を足す話になります。どちらも、名簿を1件ずつ見続けても解決しません。

3つの箱は、行き先も保管の長さも違う

箱に分けたら、箱ごとに行き先を決めます。ここを決めずに外し始めると、外した先が全部同じ場所に流れ込み、後から性質の違う先が混ざった一覧になります。次の表は、3つの箱それぞれについて、入るものの例、外した後の行き先、そして戻すときの合図を並べたものです。右端の列を空のまま運用すると、戻す判断のたびに担当者の記憶に頼ることになります。

入るものの例外した後の行き先戻す合図と、そのとき見る記録
誤登録実在しない連絡先、同一人物の重複、自社やパートナーの社員、明らかな入力の誤り名簿から取り除き、取り除いた件数と理由だけを残す戻す合図はない。同じ誤りが続くなら取得の入口側を直す
対象外(地域・業種)提供していない地域、扱っていない業種、法人向け商材への個人としての申し込み追客も配信も止め、記録としては残す提供地域や取扱業種が広がった日。事業側の告知と、外したときの条件の文面
対象外(目的)競合の調査、学生の研究、採用の応募が問い合わせ欄に入ったものこちらから接触せず、相手から動きがあったときだけ拾う本人から新しい問い合わせが来たとき。直近の問い合わせ本文
時期尚早関心はあるが予算も時期も決まっていない、決裁の範囲が分からない追客対象からは外すが、配信は残すか間隔を広げる資料の再取得、価格の頁の閲覧、人事異動の連絡。直近の行動の記録
判断がつかない項目が埋まっておらず、どの箱にも入れられない外さずに保留の印を付け、次回の仕分けまで持ち越す保留のまま2回持ち越したら、条件の文面か取得の項目を見直す

表を作る目的は、分類の正しさを競うことではありません。外した先を後から説明できる形にしておくことです。半年後に営業から特定の会社について問い合わせが来たとき、どの箱に入れ、どの条件で外し、何があれば戻るのかを1分で答えられれば、外す作業への抵抗はほぼ消えます。

行数は5つ以内に収めてください。箱を細かくするほど分類は正確になりますが、分類に時間がかかり、月次の作業として続きません。分類の精度より、毎月同じ手順で回せることのほうが効き目が大きいからです。細かく分けたくなったら、箱を増やすのではなく、備考の列に一言書く形で逃がします。

工程2:外す条件を、数字と事実で1行にする

条件の文面でつまずくのは、たいてい抽象語が入っているときです。関心が低い、確度が薄い、温度感が合わない。これらは読む人によって指す範囲が変わるので、合意したつもりでも運用で割れます。条件は、自社の記録を見れば真偽が確かめられる事実だけで書きます。

たとえば時期尚早の箱なら、関心が低いではなく、直近18か月に自社からの接触に対する反応の記録が1件もなく、資料の取得も1件もない、と書きます。対象外なら、記載の所在地が提供地域の外にあり、記載の業種が取扱対象の一覧に含まれていない、と書きます。条件を読んだ人が、どの画面のどの項目を見ればよいか分かる文面になっているかを、合意の前に確かめてください。

1行に入れる条件は、多くても3つまでにします。4つ以上を組み合わせると、当てはまる件数が急に減り、外す作業そのものが成立しなくなります。条件を増やすのではなく、箱を分けて条件を別々に書くほうが早いと覚えておいてください。条件が複雑になってきたら、それは箱の切り方が現実と合っていない合図です。

条件に使ってよい事実と、使ってはいけない推測

条件に入れてよいのは、自社が記録として持っている事実です。いつ何を取得したか、いつ配信して開かれたか、いつ電話をかけて何と言われたか、どの頁を見たか、本人が入力した所在地と業種は何か。これらは後から画面で確かめられます。確かめられるという性質が、外した判断を守ります。

入れてはいけないのは、事実から一段跳んだ推測です。従業員数から予算を推測する、業種から必要性を推測する、役職名から決裁の範囲を推測する。推測が当たることはありますが、外す判断の根拠にすると、外れたときに説明ができません。推測は追う優先順位を決めるときには使えます。外すときには使えません。この非対称をそろえようとしないでください。

もうひとつ、入れてはいけないのが他社から買った付帯情報だけを根拠にした条件です。出所と更新時期が自社では確かめられないため、外した理由の説明が、自社の記録ではなく他社の一覧に依存した状態になります。付帯情報は仕分けの下ごしらえには使ってよいものの、外す条件の1行には自社の記録を1つ以上入れてください。

工程3:営業との合意は、会議室では取れない

条件の文面を会議で読み上げて、異論がなければ合意、という進め方は、ほぼ必ず後で崩れます。読み上げの場では誰も具体的な会社を思い浮かべていないからです。合意は文面にではなく、その文面を実際の名簿に当てた結果に対して取ります

用意するのは、直近1か月に増えた分から抜き出した100件程度の一覧です。条件を当てて、外れる先に印を付けた状態で持ち込みます。営業側には、印の付いた先を1件ずつ見てもらい、これは外してよい、これは困る、を言ってもらいます。困ると言われた件について、条件のどこが現実と合っていないのかをその場で書き足す。会議の成果物は合意の宣言ではなく、直した条件の文面です。

この場は1時間で足ります。ただし出席者は、名簿を実際に触っている人に限ってください。部長級だけを集めると、一般論の議論になって何も決まりません。判断の権限を持つ人には、決めた条件と、その場で判断が割れた件数だけを後から報告すれば足ります。決める場と、承認する場を分けるという意味です。

合意の場で、必ず残す3つの記録

その場で決まったことは、3つだけ残します。1つ目は、直した後の条件の文面そのものです。会議の議事録ではなく、運用で参照する1行として、名簿の仕様を書いた場所に置きます。議事録の中に埋めると、半年後に誰も見つけられません。

2つ目は、判断が割れた件数です。100件のうち何件で意見が分かれたかを数えておくと、次回に条件を見直すときの物差しになります。割れた件数が10件を超えているうちは、条件がまだ運用に耐えません。3つ目は、次に見直す日です。四半期に1回でも、半年に1回でも構いませんが、日付として先に書きます。

3つを残す作業は、合わせて15分で終わります。それでも残らないのは、書く場所が決まっていないからです。条件の文面・割れた件数・次の見直し日を置く場所を、合意の場を開く前に決めておく。置き場所さえ決まっていれば、担当者が替わっても運用は続きます。置き場所が決まっていないと、決めた本人しか知らない取り決めになります。

工程4:外した後の保管と削除を、法令の側から決める

外した先をどう扱うかは、社内の都合だけでは決められません。個人情報保護委員会は、個人情報保護法の第22条について、取り扱っている個人データを利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めなければならない、と説明しています。同時に、個人情報保護法は保存期間や廃棄すべき時期そのものは定めていない、とも示されています。期限は法律が決めてくれないので、自社で決めるしかありません

配信の側には別の規定があります。特定電子メール法は、原則として広告宣伝のメールを送るには受信者の事前の承諾が必要だと定めています(法第3条第1項)。加えて、送信者情報を偽って送信した場合や、総務大臣及び消費者庁長官の命令に従わない場合には、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、法人の場合は行為者を罰するほか法人に対して3000万円以下の罰金に処せられるとされています。追わないと決めた先への配信を止める作業は、名簿の整理であると同時に、承諾の管理そのものです。

もうひとつ押さえておくのが、本人からの請求です。個人情報保護法の第35条は、法に基づく理由なく利用や第三者提供が行われている場合に、本人が利用停止等を請求できることと、事業者が遅滞なく応じる義務、応じない場合には本人に説明することを定めています。請求が来てから対応を考える体制だと、名簿のどこに何があるかを探すところから始まります。外す運用を先に作っておくことは、この請求への備えにもなります。

消す前に確かめる、社内の規程の側

法令の側で期限が決まらない以上、実際の期限は社内の規程で決めます。確かめるのは4か所です。1つ目は、契約や取引の証憑として保管が必要な期間と重なっていないか。2つ目は、取引先との契約に、預かった情報の削除や返却に関する条項が入っていないか。相手との契約が社内規程より厳しいことは珍しくありません

3つ目は複製先です。名簿の本体から消しても、書き出した表計算のファイル、配信の道具に取り込んだ一覧、営業が手元に作った一覧、分析用に取り出した複製が残ります。消したつもりで残っている複製が、後から配信されて苦情になるのが、この作業でいちばん多い事故です。消す手順には、複製先の一覧と、それぞれを誰が消すかを書いてください。

4つ目は、消えたことを誰がどう確かめるかです。消す作業と、消えたことの確認を同じ人がやると、確認は形だけになります。件数の照合でよいので、別の人が月に1回見る形にしておくと実効性が出ます。バックアップからの復元で戻ってくることもあるため、復元を行った月は必ず照合を通す、という一文も規程に入れておいてください。

工程5:誤って外した分の戻し方を、外す前に決める

外す運用が続かない最大の理由は、戻し方が決まっていないことです。戻せないと分かっている判断は、誰も押しません。押さないまま名簿が膨らみ、最初の状態に戻ります。戻し方は外した後に考えるものではなく、外す前に決めるものです。決めるのは、戻す合図、戻す手続き、戻したことを誰に知らせるかの3つだけです。

戻す合図は、箱ごとに変わります。時期尚早なら、資料の再取得や価格の頁の閲覧、担当者の異動の連絡。地域や業種による対象外なら、事業側で提供範囲が広がった日。目的による対象外なら、本人から新しい問い合わせが来たときです。合図を先に決めておくと、戻す判断に会議が要らなくなる。合図が来たら戻す、それだけの運用にできます。

手続きは、名簿の状態を表す列の値を書き換え、戻した日と戻した理由を1行書く。これで足ります。知らせる先は、その先を担当していた営業と、配信の担当です。戻したことを知らせないと、同じ先に配信が二重に届きます。ここまで決めて初めて、工程3の合意が現実的な議論になります。戻る道のない外し方に、営業が合意することはありません。

AIに任せてよい下ごしらえと、任せてはいけない判断

この一連の作業でAIが効くのは、分類の下ごしらえです。具体的には、自由記述で入力された会社名や部署名の表記をそろえる、同じ会社と思われる行を候補として並べる、所在地の書き方の揺れをまとめる、問い合わせ本文から用件の種類の候補を出す。どれも人がやると時間だけがかかり、判断の余地が小さい作業です。ここを任せると、仕分けの時間は目に見えて減ります。

ただし、出てきた結果はそのまま使わないでください。候補を出させるときは、なぜその候補になったのかを、名簿のどの項目のどの値を見たのかという形で書かせます。根拠として挙げられた項目が名簿に実在するかを、抜き取りで確かめる。実在しない項目を根拠に挙げてくることがあり、そのときは出力全体を使わずにやり直します。

任せてはいけないのは、外すかどうかの判断そのものです。理由は2つあります。1つは、外す判断が守るべきものは正確さではなく説明可能性だからです。半年後に聞かれたときに答えるのは人であって、その場で根拠を再現できなければ答えになりません。もう1つは、外す判断には自社の事業の範囲という、名簿の外にある前提が必要だからです。提供地域をどこまで広げる予定か、来期に扱う業種が増えるか。これらは名簿に書かれていないので、どれだけ丁寧に頼んでも出てきません。

  • 下ごしらえを任せる範囲を先に書き出す。表記の統一と候補出しまでか、箱への仮の割り振りまでか、境目を紙に書く
  • 候補を出させたら、根拠にした項目と値を必ず書かせる。書けない候補は採らない
  • 人が確認する範囲を先に決める。全件を見るのか、箱ごとに10件ずつか、判断が割れた分だけかを決めてから始める
  • 外す判断をした人の名前と日付を、名簿の列として残す。道具が付けた印と人が押した印を同じ列に混ぜない
  • 名簿の内容を外部の道具に渡すときは、入力が学習に使われない設定かと、委託の範囲が契約に書かれているかを先に確認する

これをやると、外した先から苦情が来る

最後に、実際に苦情や社内の紛争につながった形を5つ挙げます。どれも悪意なく起き、しかも起きた直後には気づけません。心当たりがあれば、次の仕分けから1つずつ外してください。

  • 外す作業と同じ日に、外した先へ最後のお知らせを一斉送信する:追わないと決めた先に配信を増やす形になり、承諾の管理としても逆行する
  • 名簿の本体だけを消し、配信の道具に取り込んだ一覧を残す:数か月後に配信され、消したはずですと説明できなくなる
  • 外した理由を記録せず、状態の列だけを書き換える:半年後に営業から問われても答えられず、次から誰も外さなくなる
  • 推測で書いた条件をそのまま運用に乗せる:従業員数や役職名から決裁の範囲を推測した条件は、外れたときに根拠が残らない
  • 判断がつかない分を、まとめて外す側に寄せる:条件の不備が件数に紛れ、条件を直す機会そのものが失われる

2つ目は、外す運用を始めた会社のほとんどが一度は通ります。名簿の本体を触る人と、配信の道具を触る人が別だからです。消す手順書に複製先の一覧を書き、それぞれの担当者名を並べておくだけで防げます。手順書は1枚で足ります。

3つ目は、静かに効いてきます。理由の記録がないと、外した判断を守る材料がなくなり、次の月から誰も外さなくなる。外す作業が止まる原因は、条件の難しさではなく、外した人が守られていないことです。理由の欄を1つ足すだけで、この流れは止まります。

よくある質問

外したリードは、どのくらいの期間で消すべきですか

法律は期間そのものを定めていません。個人情報保護委員会も、個人情報保護法は保存期間や廃棄すべき時期を定めていないと説明しています。実務では、箱ごとに期間を決める形が現実的です。誤登録は即時、目的による対象外は短めに、時期尚早は事業の検討周期に合わせる、という具合です。ただし、契約上の削除の条項や証憑の保管期間と重なっていないかは先に確かめてください。

営業が外すことに反対し続ける場合、どう進めればよいですか

条件の議論を続けるより、戻し方を先に見せてください。反対の理由のほとんどは、外したら二度と戻らないという前提にあります。戻す合図と手続きを紙にして、実際に1件戻してみせると話が変わります。それでも反対が続く場合は、外す件数ではなく、外した後に営業へ渡す件数がどう変わるかを、100件の抜き取りで示すのが早道です。

スコアが低い先を、そのまま外す条件にしてよいですか

そのままでは使わないでください。点数は複数の要素を足し合わせた結果なので、点が低い理由が先ごとに違います。項目が埋まっていないだけの先と、明確に対象外の先が同じ点数に並びます。点数は追う順番を決めるときに使い、外すときは元になった事実のほうを条件に書いてください。点の付け方そのものは、リードスコアリングを扱った記事のほうで整理しています。

外した先が競合と契約していたと後から分かりました。基準を厳しくすべきですか

1件を理由に条件を変えると、条件は際限なく細かくなります。まず、その先がどの箱に入り、どの条件で外れたのかを確かめてください。条件どおりに外れていたなら、それは運用の失敗ではありません。見直すとすれば、戻す合図のほうです。その先が動いた兆候が自社の記録に残っていたなら、合図として拾えていなかったという話になります。

まとめ

追わないリードが決まらないのは、基準が足りないからではありません。外した判断を誰が引き受けるかが空いているからです。だから最初に書くのは条件ではなく、外す判断をする人の名前と、その判断を結果論で責めないという1行です。そのうえで、誤登録・対象外・時期尚早の3つに分け、条件を自社の記録で確かめられる1行にし、実際の名簿100件で営業と合意を取り、保管と削除を法令と社内規程の両方から決め、戻し方を先に用意する。5つの工程のうち、いちばん効くのは最後の「戻し方」を最初に決めることです。AIには表記の統一と候補出しまでを任せ、根拠にした項目を書かせて抜き取りで確かめる。外すという判断だけは、名前のある人が引き受けてください。来週やることは1つで足ります。直近1か月に増えた分から100件を抜き出し、3つの箱に分けてみる。それだけで、条件のどこが現実と合っていないかが見えます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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