AIエージェントの訪問で数字が狂う原因|人と分けて数える

AIエージェントの訪問で数字が狂う原因|人と分けて数える

「セッションは前年の1.4倍に増えたのに、問い合わせは1件も増えていません」「流入元の不明が全体の4割を超えてから、何を報告してよいか分からなくなりました」——サイトの数字を毎月まとめている方から、この半年で急に増えた相談です。クラウドフレアが公表した集計では、2025年8月1日から7日の週に、取得の回数に対して実際に送客された回数の比が、ある提供元で5万対1、別の提供元で887対1、もう1社で118対1でした。届いている訪問の大半は、読みには来ても人を連れてこない種類のものです。数字が狂っているのではありません。訪問の中身が変わったのに、指標の読み方だけが去年のまま置き去りになっているのです。この記事では、狂い方を指標ごとに分け、分けて数える手立てと、経営に報告するときの断り書きまでを整理します。


カメ先生カメ先生

アクセスが増えたのに問い合わせが増えないのは、集客の質が落ちたからだと説明されがちだね。でも、いま起きているのは質の変化ではなく、そもそも数えている相手が変わったことなんだ。


カメ子カメ子

人ではない訪問が混ざっている、ということですか。解析ツールが自動で除いてくれるものだと思っていました。


カメ先生カメ先生

除いてくれるのは、名乗っている巡回だけだよ。人の操作から始まって、その続きを機械がやっている種類の訪問は、名乗る相手がいないから除きようがない。


カメ子カメ子

名乗る巡回と、名乗らない訪問では、数え方を変えないといけないのでしょうか。


この記事のポイント
  • 人でない訪問は、巡回・取得の代行・操作の代行の3種類に分かれる。解析ツールの自動除外が効くのは、このうち名乗っている1種類だけ
  • 狂い方は指標ごとに違う。セッションは膨らみ、エンゲージメントと滞在は短くなり、流入元の不明が増え、転換率は分母だけが伸びる
  • 分けきれない部分は無理に按分せず、分けきれないと書いて残す。前年比を出すときは、対象期間と除外の条件を断り書きとして添える

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目次

訪問の中身は変わったのに、数字の読み方は去年のまま

月次の報告で使っている指標の定義は、たいてい数年前に決めたものです。セッションが増えたら集客が伸びた、直帰が上がったら中身が合っていない、転換率が下がったら導線が悪い。この対応づけは、訪問しているのがほぼ人だった時代には成り立っていました。前提が崩れたのは指標の側ではなく、訪問の側です

クラウドフレアが2025年に公表した集計では、AIによる巡回を目的別に分けると、学習のための取得が約8割を占め、1年前の72%から上がっています。利用者の操作を起点とする取得と、目的を宣言していないものは、合わせても5%未満でした。いま届いている訪問の大半は、読みに来ているだけで、人を連れてくる性質のものではない。この構成比を知らないまま前年と比べると、増えた分の意味を取り違えます。

同じ集計では、2024年7月と2025年7月を比べたときに、AIの巡回全体に占める割合が、ある仕組みで4.7%から11.7%へ、別の仕組みで6%から9.9%へと伸びる一方、別の1社は14.1%から2.4%へ落ちています。構成比そのものが年単位で入れ替わっているため、去年の除外の条件をそのまま使い続けると、除けていたはずのものが除けなくなります。まず確かめるのは、自社の数字が去年と同じ条件で作られているかどうかです。

人でない訪問は3種類ある。混ぜたまま数えると読めない

対策の前に、相手を分けます。実務で区別する必要があるのは3種類です。1つ目は巡回で、検索や学習のために広く読みに来るものです。自分から名乗り、決められた記述に従うものが多い。2つ目は取得の代行で、人が質問した瞬間に、その答えを作るために特定の頁を取りに来るものです。3つ目は操作の代行で、人の指示を受けた仕組みが、実際に画面をたどり、押し、入力するものです。

3つは動機も振る舞いも違います。巡回は広く浅く、定期的に来ます。取得の代行は、人の質問に連動するので日ごとの山谷がはっきりします。クラウドフレアの集計でも、利用者の操作を起点とする取得は日ごとの波がはっきりしており、月を通じて増えていると説明されています。操作の代行は、人の操作として始まるので、そもそも機械として名乗る場面がない。ここが除外の難しさの正体です。

この3種類を分けずに「ボットが増えた」とだけ報告すると、次の手が決まりません。巡回なら除外の条件を足す話になり、取得の代行なら読まれ方の話になり、操作の代行なら画面の使われ方の話になります。報告の1行目に、どの種類がどれだけ増えたのかを置いてください。置けないなら、まだ分けて数える仕組みがないという意味です。

解析ツールの自動除外が効くのは、3種類のうち1つだけ

よくある誤解が、解析ツールに任せておけば機械の訪問は除かれている、というものです。アナリティクス(GA4)のヘルプでは、既知の機械的な訪問の除外について、提供元の調査と、広告業界の団体が管理している国際的な一覧を組み合わせて判定していると説明されています。加えて、この除外はオフにできず、除外の対象を手動で足すこともできないとされています。除かれたものはレポートに出ません。

ここで押さえるべきは、一覧に載っているものしか除かれないという性質です。名乗って来る巡回はよく捕まります。ところが、取得の代行は名乗るものと名乗らないものが混在し、操作の代行に至っては人の操作として始まるため、除外の一覧という仕組みそのものが届かない領域に入ります。自動除外は効いていないのではなく、3種類のうち1種類にしか効いていません。

この性質は、数字の読み方に直接効きます。除かれたものはレポートに出ないので、除かれた件数が何件だったかを解析ツールの画面から知ることができません。除外が働いた分と、除外をすり抜けた分の両方が見えない状態で、残った数字だけを前年と比べていることになります。だから後の章で、解析ツールの外に記録を1本足す話をします。

狂い方①:セッション数と利用者数が、上にずれる

いちばん先に現れるのがここです。除外をすり抜けた訪問は、1回の読み込みで1つのセッションとして数えられます。取得の代行は同じ頁を短時間に何度も取りに来ることがあり、間隔が空けば別のセッションとして積み上がります。増えているのは訪問の回数であって、関心を持った人の数ではありません

利用者数のほうは、もっと分かりにくく狂います。識別の仕組みは端末側に保存された値に依存するため、値を保存しない相手は毎回新しい利用者として数えられます。新規の利用者だけが増え、再訪の利用者が増えない月が続いたら、まず訪問の内訳を疑う。施策の効果を疑う前に見る順番として、これを先に置いてください。

確かめ方は単純です。増えた分の頁の内訳を見ます。人が増えているなら、入口の頁と、その先の頁の両方が増えます。読みに来ているだけなら、入口の頁だけが増えて、その先が増えません。入口の増分と2頁目の増分の比を月ごとに並べると、いつから性質が変わったのかがはっきり出ます。この比は、追加の道具なしで既存の集計から作れます。

狂い方②:エンゲージメントと滞在の時間が、下にずれる

次に現れるのが、関与の深さを表す指標です。読み込んだらすぐ離れる訪問が混ざると、エンゲージメントのあったセッションの割合は下がり、平均の滞在時間も短くなります。従来の直帰率で見ている場合も同じで、上がったように見えます。中身が悪くなったのではなく、最後まで読む気のない相手が分母に入っただけです。

厄介なのは、この下がり方が全体にならされて出ることです。頁ごとに見ても、どこが原因か分かりません。分けるには、訪問の中身の側で切る必要があります。実務では、画像や装飾の読み込みまで行っているかどうかを見ると、ある程度分かれます。本文だけを取りに来る訪問は、付随する資産をほとんど読み込まないという違いが出るためです。

ここで気をつけたいのが、改善の判断への波及です。滞在が短くなったからと本文を短くする、見出しを増やす、といった手を打つと、人の読者にとっての読みやすさを、人でない訪問の都合で変えることになります。指標が動いた原因を分けないまま、指標に合わせて中身を変えないでください。これは、狂った数字がいちばん高くつく形で効いてしまう経路です。

狂い方③:流入元の「不明」だけが太っていく

流入元が分からない分は、以前から一定の割合で存在していました。いま起きているのは、その割合が急に増えることです。対話の画面から来た場合に、来訪元の情報が欠けていたり、直接の訪問として扱われたりするためです。取得の代行に至っては、そもそも来訪元という概念がありません。

不明が増えると、報告そのものが成り立たなくなります。全体が増えた理由を説明できず、施策ごとの寄与も出せません。ここで多いのが、不明分を既知の流入元の比率で按分してしまう処理です。按分は、性質の違う訪問を既知の流入元に混ぜ込む処理なので、狂いを見えなくするだけ。やるほど、来月の説明が難しくなります。

代わりに、不明分を1つの流入元として立て、その推移だけを別に追ってください。不明の件数と、不明から先に進んだ件数の2つを並べると、中身の見当がつきます。先に進む割合が極端に低ければ読みに来ている分が多く、人と変わらない割合で進んでいるなら、対話の画面を経由した人の訪問が含まれている可能性が高くなります。分類できなくても、性質は分けられます。

狂い方④:転換率は、分母だけが伸びる

経営への報告でいちばん誤解を生むのがここです。問い合わせや資料請求の件数が横ばいでも、訪問が増えれば転換率は下がります。転換率が下がったという事実だけを報告すると、導線か中身に問題があるという読み方をされます。実際には分子は変わっておらず、分母だけが伸びているという、まったく別の話です。

この取り違えを防ぐには、報告の形を変えるのが早道です。転換率を1つの数字で出すのをやめ、分子と分母を並べて出します。加えて、分母を機械的な訪問を除いた見方でも計算し、2つの転換率を並べる。同じ月の転換率を2通り出して、両方が同じ向きに動いているかを見る。向きが揃っていれば施策の話、片方だけが動いていれば訪問の内訳の話です。

もうひとつ、分子の側にも注意が要ります。操作の代行は、入力欄を埋めて送信まで行うことがあります。これが混ざると、問い合わせの件数そのものが実態とずれます。問い合わせの件数は、営業側で実際に接触できた件数と月ごとに突き合わせておいてください。2つの差が広がり始めた月が、分子側にも影響が出始めた月です。

指標ごとの狂い方を、1枚の表にしておく

ここまでの4つを、報告を作る人が毎月見られる形にしておきます。次の表は、指標ごとに、どちらの向きにずれるか、何が原因か、そして誤読を防ぐために何と並べて出すかを並べたものです。右端の列があるかどうかで、報告を受けた側の反応が変わります。

指標ずれる向きずれる仕組み誤読を防ぐために並べて出すもの
セッション数上にずれる除外をすり抜けた訪問が1回ずつ積み上がり、間隔が空けば別の回として数えられる入口の頁の増分と、2頁目の増分の比
利用者数(新規)上にずれる端末側に値を保存しない相手が、訪問のたびに新しい利用者として数えられる新規と再訪の件数を分けた推移
エンゲージメント・滞在時間下にずれる読み込んですぐ離れる訪問が分母に入り、全体がならされて下がる画像や装飾まで読み込んだ訪問に絞った同じ指標
流入元の不明分上にずれる来訪元の情報が欠ける、または直接の訪問として扱われる不明の件数と、不明から先に進んだ件数
転換率下にずれる分子は変わらないまま、分母だけが訪問の増加で伸びる分子と分母の実数、および除外後の分母で計算した転換率
問い合わせ件数上にずれることがある入力欄を埋めて送信まで行う操作の代行が混ざる営業側で実際に接触できた件数との月次の差

この表は、指標の定義を書いた資料の隣に置いてください。定義の資料は毎月見ませんが、ずれの一覧は報告を作る日に必ず見ます。見る日が決まっている場所に置くことが、この表が使われるかどうかを分けます。

行を増やしすぎないことも大事です。6行に収まっているのは、報告で説明を求められる指標がこの範囲だからです。細かい指標まで並べると、どれから確かめるかが分からなくなります。最初に確かめるのは、上から3行までで足ります。この3行が説明できれば、残りはその帰結として説明できます。

手立て①:既知の巡回を除いた見方を、1本だけ用意する

対策の1つ目は、除外の条件を足した見方を別に作ることです。既存の集計はそのまま残し、除外を足した見方を1本だけ増やします。既存の集計を書き換えないでください。書き換えると前年との比較ができなくなり、ずれの大きさそのものが測れなくなります。

除外に使えるのは、名乗っている相手の識別子、極端に短い間隔で同じ頁を取りに来る動き、資産をまったく読み込まない訪問です。ただし、これで捕まえられるのは3種類のうち巡回と、名乗る種類の取得の代行までです。除外の条件は、捕まえた分だけでなく、捕まえられなかった分を書き残すことに意味がある。条件の一覧に、除外できていない種類を明記しておいてください。

条件は四半期に1回、必ず見直します。先に見たとおり、構成比は年単位で入れ替わります。去年の条件をそのまま使い続けると、除けているつもりで除けていない状態に静かに移行します。見直しの日を先にカレンダーへ入れ、見直した日と、そのとき足した条件を1行ずつ残してください。条件の履歴がないと、過去の数字がどの条件で作られたのかが分からなくなります。

手立て②:振る舞いで切り分ける。名乗りに頼らない

2つ目は、名乗りではなく振る舞いで分ける見方です。使えるのは3つあります。1つ目は読み込みの深さで、本文だけを取っているか、画像や装飾まで読んでいるか。2つ目は訪問の間隔で、人の閲覧としては不自然に一定か。3つ目は頁の移り方で、目次の順にまっすぐ進んでいるか、行きつ戻りつしているか。

この3つは、どれか1つでは判定になりません。3つとも同じ向きを示したときだけ、その群を分けて読むという使い方をします。1つだけで分けると、通信環境の悪い人や、読み上げの補助を使っている人を機械として扱ってしまいます。切り分けの目的は相手を特定することではなく、性質の違う群を別々に読むことです。特定しようとすると、必ず誤判定が混ざります。

実務では、分けた群に名前を付けず、群1・群2のように番号で呼ぶほうがうまくいきます。名前を付けると、その名前が判定の結論として社内に流通してしまうからです。報告では、群ごとの件数と、群ごとの問い合わせ件数だけを並べてください。判定の中身を説明しなくても、どちらの群が成果につながっているかは伝わります。

手立て③:解析ツールの外に、記録を1本足す

3つ目は、解析ツールとは別の記録を1本持つことです。解析ツールは、除外した分をレポートに出しません。つまり、除外が働いた件数そのものを解析ツールから知ることができない。母数の変化を追うには、除外される前の記録が要ります。配信側や受け側に残っている要求の記録を、月次で件数だけ取り出す形で足します。

足すのは件数だけで足ります。頁ごとの内訳も、細かい分類も要りません。見たいのは、解析ツールが数えた回数と、実際に届いた要求の回数の差が、月ごとにどう動いているかの1点です。差が広がった月があれば、その月に何かが変わっています。原因を特定できなくても、前年比の断り書きには十分使えます。

この記録は、防御のために持つのではありません。止めるか通すかの判断はこの記事の範囲外で、別の記事が扱っています。ここで持つのは、あくまで突き合わせのための1本です。件数を月次で1行ずつ残すだけの表を作り、報告の資料に添付する。運用の手間は月に5分で、断り書きの根拠として最も効きます。

実務仕様:分けて数えるために、先に決める6項目

ここまでの手立てを運用に乗せるために、着手前に決める項目を並べます。どれも後から決められますが、後から決めると過去の数字と比較できなくなります。とくに4番目と5番目は、決めないまま進むと報告のたびに定義が変わり、社内の信用を落とします。

STEP1
既存の集計は凍結する、と決める

除外の条件を足すのは新しい見方の側だけにし、既存の集計には一切手を入れないことを先に宣言します。過去の比較を保つためです。凍結した日を資料に書いておきます。

STEP2
除外の条件と、除外できない種類を1枚に書く

何を除いているかだけでなく、何を除けていないかを同じ紙に書きます。除けていない種類が書いてあると、報告を受けた側が数字の性質を誤解しません。

STEP3
見直しの日を四半期ごとに先に入れる

構成比が年単位で入れ替わるため、条件は放置すると劣化します。見直した日と、そのとき足した条件を1行ずつ履歴として残します。

STEP4
群の呼び方と、報告に出す粒度を決める

群1・群2のように番号で呼び、報告には群ごとの件数と問い合わせ件数だけを出します。判定の中身を報告に書かないことを先に決めておきます。

STEP5
前年比に添える断り書きの文面を決める

対象期間、除外の条件、分けきれていない部分の3つを1文ずつ書いた雛形を作ります。毎回書き直すと文面が揺れ、揺れた分だけ質問が増えます。

STEP6
人が確認する範囲と頻度を決める

全件を見るのか、月に1回、群ごとに20件ずつ見るのかを先に決めます。範囲を狭く決めておくほうが、確認は長く続きます。

6項目は紙1枚に収まります。この1枚を月次報告の表紙の裏に付けておくと、担当が替わっても定義が引き継がれます。定義が口頭で引き継がれている会社では、半年で数字の作り方が変わり、変わったことに誰も気づきません。

順番としては、1番目と5番目を先に決めてください。既存の集計を凍結する宣言と、断り書きの文面。この2つが先にあると、途中で作業が止まっても報告だけは成立します。残りの4項目は、運用しながら埋めていって構いません。

分けきれない部分は、分けきれないと書いて残す

どこまで工夫しても、分けきれない部分は残ります。操作の代行のように、人の操作として始まるものは特にそうです。ここで起きがちなのが、分けきれない分をどちらかに寄せてしまうことです。全部を人として数えるか、全部を機械として数えるか。どちらに寄せても、寄せたこと自体が記録に残らないのが問題です

実務では、3つ目の区分として立ててください。人と判定した分、機械と判定した分、判定できなかった分。判定できなかった分の件数と割合を、報告に毎月載せます。割合が上がっているなら、それ自体が報告すべき事実です。上がった理由が分からなくても、上がっているという事実は判断の材料になります。

この形にすると、報告を受ける側の反応が変わります。分からない部分を隠していないと伝わるからです。数字を1つに丸めて出すほど、質問は増えます。3区分で出して、判定できなかった分が全体の何割かを先に言う。この順番にすると、議論は数字の正しさではなく、次に何をするかに移ります。

経営に前年比を出す前に、断り書きを1文ずつ用意する

前年比は、いま最も危ない出し方です。去年の数字は去年の条件で作られており、今年の数字は今年の条件で作られている。条件が違うものを割り算しているので、増減の意味が変わっています。前年比を出さないという選択はできませんが、断り書きなしで出すことはできません

断り書きは3文で足ります。1文目は対象期間と、その期間に条件を変えたかどうか。2文目は、除外している種類と除外できていない種類。3文目は、判定できなかった分の割合です。3文を毎月同じ順番で書くと、読む側が差分だけを見られるようになる。文面を変えないことに意味があります。毎回書き直すと、変わったのが数字なのか説明なのかが分からなくなります。

加えて、指標の狂い方を書いた表を資料の末尾に付けておいてください。質問が出たときに、口頭で説明するより早く済みます。説明にかかる時間が短くなるほど、分けて数える運用は続きます。逆に、毎回の報告で長い説明が必要になると、担当者は断り書きのない数字を出すほうへ戻っていきます。

これをやると、数字が二度と戻らない

最後に、やってしまうと過去との比較が失われる形を5つ挙げます。どれも善意で行われ、しかも実行した月には問題が見えません。1つでも当てはまるなら、次の報告までに止めてください。

  • 既存の集計に除外の条件を後から足す:過去の数字が作り直され、前年と比べた増減の意味が分からなくなる
  • 流入元の不明分を、既知の流入元の比率で按分する:性質の違う訪問が既知の流入元に混ざり、施策ごとの評価が根拠を失う
  • 滞在が短くなったからと、本文の構成を短く作り変える:人でない訪問の都合で、人の読者にとっての読みやすさを削ることになる
  • 判定できなかった分を人の側にまとめて寄せる:寄せた記録が残らず、翌月以降にどこまでが実態か追えなくなる
  • 群に「機械」「人」といった断定的な名前を付けて報告する:判定の結論として社内に流通し、後から修正できなくなる

1つ目は、丁寧にやろうとする人ほど踏みます。正しい数字に直したいという動機だからです。ところが直した瞬間に、去年の数字と比べられなくなる。正しくする作業が、比較できる状態を壊すという構造を、着手前に共有しておいてください。

5つ目は、報告を分かりやすくしようとして起きます。群1・群2では伝わらないので、名前を付けたくなる。名前は判定の結論として一人歩きし、後から精度の話をしても戻せません。件数と成果だけを並べれば、名前がなくても判断はできます。

AIに判定させない範囲と、人が確認する範囲

この作業でAIに任せられるのは、記録の整形と候補出しです。要求の記録から件数を月次で集計する、振る舞いの3つの見方で外れている群を候補として挙げる、報告の断り書きの文面をそろえる。どれも人がやると時間がかかるだけで、判断の余地が小さい作業です。

任せてはいけないのが、この訪問は人か機械かという判定そのものです。理由は、判定の根拠が記録の中に十分には存在しないからです。判定に必要な情報の一部は相手側にしかなく、こちらの記録には振る舞いの痕跡しか残りません。材料が足りない判定を頼むと、もっともらしい断定が返ってくる。返ってきた断定には根拠が付いているように見えるので、そのまま報告に載ってしまいます。

候補を出させるときは、どの記録のどの値を見てその群を選んだのかを必ず書かせてください。書かれた根拠を1群だけ手で確かめ、合わなければ出力全体を使わない。これを守るだけで、誤った区分が報告に流れ込む経路はほぼ塞げます。人が確認する範囲も、本数が増える前に決めておいてください。

  • 集計を任せたら、1か月分だけ元の記録から手で数え直して突き合わせる。合わない集計は全部やり直す
  • 群の候補を出させるときは、選んだ根拠の記録名と値を書かせる。書けない候補は採らない
  • 判定できなかった分を埋めさせない。埋めさせると、判定できなかったという情報そのものが消える
  • 人が確認する範囲を先に決める。月に1回、群ごとに20件ずつ、といった形で紙に書いておく
  • 記録を外部の道具に渡すときは、個人を特定できる情報が含まれていないかと、入力が学習に使われない設定かを先に確認する

まとめ

セッションが増えて問い合わせが増えないとき、原因は集客の質ではなく、数えている相手の構成にあります。人でない訪問は巡回・取得の代行・操作の代行の3種類に分かれ、解析ツールの自動除外が届くのはそのうち1種類だけです。だから狂い方は指標ごとに違い、セッションと新規の利用者は上に、エンゲージメントと滞在は下に、流入元の不明は上に、転換率は分母だけが伸びてずれます。やるべきことは、既存の集計を凍結したうえで、除外を足した見方を1本だけ増やすことです。そのうえで振る舞いで群を分け、解析ツールの外に要求の件数を1本足して突き合わせる。分けきれない分は、判定できなかった分として件数と割合をそのまま出す。前年比には、対象期間・除外の条件・判定できなかった割合の3文を毎月同じ順番で添えてください。今週できることは1つです。直近12か月の、入口の頁の増分と2頁目の増分の比を並べてみる。性質が変わった月が、それだけで見つかります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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