社外秘の区分を4段階で決める|AIに入れてよい線

「この資料はAIに入れてよいのか、と毎日のように聞かれます」「社外秘とだけ書いてあって、どこまでが社外秘なのか誰も答えられません」——社内でAI利用の窓口になっている部署からは、この2つが並んで届きます。国が定めている基準を見ると、情報の機密性は3つの段階に区分され、上の2つをまとめて要機密情報と呼ぶ形になっています。区分は特別な取り組みではなく、公の側ではすでに当たり前に運用されている道具です。足りないのは意識でも規程の分量でもなく、区分の定義と、区分ごとに入れてよい道具を対応づけた1枚です。この記事では、社内の資料を4段階に区分する手順と、その区分をAI利用の可否に紐づける書式を、順番に整理します。
カメ先生社外秘という言葉は、社内でいちばん多く使われているのに、いちばん定義されていない言葉なんだ。印が付いていても、どこまで出してよいのかは読む人によって違っている。
カメ子言葉はあるのに、意味がそろっていないということですか。
カメ先生そう。だから細かく分けようとして区分を増やす会社が多いんだけれど、これは逆に働くことが多い。区分が増えるほど、付ける側がどれに当たるか迷って、結局どれも付かなくなるからだよ。
カメ子細かく分けるほど正確になるのではなく、運用されなくなるほうが先に来るということでしょうか。
- 区分は4段階まで。5段階以上にすると付ける側が迷い、翌年には誰も付けなくなる
- 区分を付けるのは作成者。作った時点で付け、参照した資料の区分は引き継ぐ
- 区分ごとに入れてよい道具を1枚で対応づける。区分の判定そのものはAIに任せない
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入れてよいかを、毎回その場で決めている
AIの利用が広がった会社で必ず滞るのが、入口の判断です。この資料を入れてよいか、という問いが個別に上がってきて、そのたびに窓口の担当者が中身を読んで答える。1件あたり10分でも、月に100件来れば1人分の1日を超えます。そして同じ資料について、来月また同じ問いが来ます。
滞る原因は、判断が遅いことではありません。判断の材料が資料の側に書かれていないことです。中身を読まないと機密の度合いが分からない状態では、読む人の勘に依存します。勘に依存する判断は、担当者が替わった日に基準ごと入れ替わります。前任者が通していたものが止まり、止めていたものが通ります。
材料を資料の側に持たせる仕組みが、区分です。資料に区分が付いていて、区分ごとに入れてよい道具が決まっていれば、窓口の仕事は中身を読むことではなく、区分と道具を突き合わせることになります。10分かかっていた判断が10秒になります。この記事が扱うのは、その1枚をどう作るかです。
国の基準は、機密性を3つの段階に分けている
区分を自分たちで発明する必要はありません。政府機関等が守る統一基準では、情報を機密性・完全性・可用性という3つの観点で区別し、機密性については3つの段階を定めています。数字が大きいほど重い扱いになり、機密性3情報がいちばん上です。
定義の書き方に学べる点があります。機密性1情報は、情報公開の法律に照らして不開示情報に該当すると判断される蓋然性の高い情報を含まない情報、という形で定義されています。つまりいちばん下の段階が「出しても差し支えないもの」として先に定義されているのが特徴です。上から重さを数えるのではなく、下から線を引いています。
もう1つ、束ね方も参考になります。同じ基準では、機密性2情報と機密性3情報をまとめて要機密情報と呼び、完全性や可用性の側の区分と合わせて、1つでも該当すれば要保護情報と呼ぶ、という整理をしています。細かい区分を作ったうえで、扱いの場面では2つか3つの束に戻しているわけです。この形は、そのまま社内でも使えます。
社内は4段階にする。公開・社内・限定・厳秘
民間の社内規程で使いやすいのは4段階です。公開、社内、限定、厳秘。3段階では「社内」の中に幅が出すぎて、顧客名の入る資料と会議の議事録が同じ扱いになります。4段階にすると、上2つが要注意、下2つがふつうの扱いという束ね方が自然にできます。
| 区分 | 中身の目安 | 見せてよい範囲 | 外に出たときに起きること |
|---|---|---|---|
| 公開 | すでに社外に出している資料、発表済みの内容 | 制限なし | 何も起きない |
| 社内 | 業務の手順書、社内の連絡、一般的な提案の型 | 従業員と、契約した委託先 | 困るが、事業は続く |
| 限定 | 顧客名や金額が入る資料、未発表の計画、検討中の人事 | 担当する部署と承認者だけ | 取引や交渉に影響が出る |
| 厳秘 | 未発表の技術情報、経営の重要な決定、係争に関わる資料 | 名前で指定した個人だけ | 取り返しがつかない |
定義を書くときの注意は、中身の種類で分けないことです。「技術情報は限定」のように種類で書くと、同じ種類の中に軽いものと重いものが混ざって、すぐに破綻します。出てしまったときに何が起きるかで分けると、種類の違う資料でも同じ物差しで測れます。国の側の資料でも、損失の大きさで序列化する考え方が示されています。
もう1つ、区分の名前は社内ですでに使われている言葉に寄せてください。「社外秘」という印が広く使われているなら、その語を残したまま4段階の2番目に位置づけるほうが、新しい語を持ち込むより定着します。名前を変えると、過去の資料の区分が全部やり直しになります。定着している語は、それ自体が財産です。
段階の中身に迷ったときは、いちばん上から決めてください。厳秘に当たる資料は、どの会社でも数えられるほどしかありません。未発表の技術、まだ社外に出していない経営の決定、係争に関わるもの。いちばん上を先に固めると、残りの3つは相対的に決まります。下から決めようとすると、公開と社内の境目で議論が止まり、いちばん重い資料の話にたどり着きません。
5段階以上にすると、翌年には誰も付けなくなる
区分を増やしたくなる場面は必ず来ます。限定と厳秘の間がほしい、部門の限定と全社の限定を分けたい。しかし段階を増やすと、付ける側の判断が「どちらとも言える」に落ちます。迷った人は、付けないという選択をします。付いていない資料が増えれば、区分は無いのと同じです。
段階の数は、扱いの違いの数と一致させます。区分を1つ増やすなら、その区分にだけ適用される扱いが1つ増えている必要があります。保存する場所も、渡してよい相手も、入れてよい道具も上と同じなら、その区分は存在する意味がありません。扱いが同じなら、区分は同じにする。これだけで段階の増殖は止まります。
実際に増えやすいのは、部署ごとの事情を区分で表そうとしたときです。その事情は区分ではなく、取扱いの制限として別に書きます。国の基準でも、格付とは別に、複製禁止・持出禁止・配布禁止・暗号化必須・読後廃棄といった取扱いの制限を置く形が取られています。段階は4つのまま、制限の語で細かさを足します。
区分を付けるのは作成者にする
誰が付けるかで、運用が続くかどうかが決まります。答えは作成者です。国の基準でも、情報の作成時、および組織の外の者が作成した情報を入手して管理を始める時に、定義に基づいて格付と取扱いの制限を決定し、明示等をすることとされています。作った人が、作った瞬間に付けます。
承認者や情報システム部門に付けさせる案は、一見きちんとして見えますが続きません。中身を知らない人が付けるので確認の往復が発生し、資料ができあがってから区分が付くまでに数日空きます。その数日の間に、資料は区分の無いまま共有されていきます。付ける速さは、正確さより先に効きます。
作成者に任せると付け方がばらつく、という心配は残ります。そこで効くのが、迷ったときに上げる先を1か所だけ決めておくことです。加えて、迷ったら上の区分を付け、後から下げるという向きも決めておきます。下げるほうが、上げるより取り返しが利くからです。上げ直すときには、すでに出てしまっていることがあります。
もう1つ、付ける作業を資料を作る流れの中に埋めてください。作り終えてから別の画面で登録する形にすると、付ける人は必ず後回しにします。書式の先頭に区分の欄を置く、共有する操作の前に選ばせる。付ける操作が、資料を出す操作の一部になっている状態が目標です。別の作業として切り出した時点で、付いている割合は下がり始めます。
4つの手順で決める
ここから先は決め方の手順です。全社に配る前に、まず1つの部署で4つの手順を通してください。部署1つなら2週間で回ります。最初から全社で始めると、定義の議論だけで数か月が消えます。1部署で通した1枚は、他の部署にとっても叩き台になります。
中身の種類ではなく、外に出たときに何が起きるかで書きます。1つの区分あたり2行までに収めます。長く書くほど読まれなくなり、読まれない定義は付ける速さを落とします。
社内に閉じた道具と外部の道具を分け、区分ごとに可否を埋めます。埋まらないところは、いまの時点では入れないという扱いにします。空欄を残すと、各自が自分に都合よく読みます。
区分が付いていない資料を、どの区分として扱うかを決めます。数万件に遡って付けることはできないので、ここを決めないと運用が始まりません。
参照した資料の区分を引き継ぐこと、変えるときに誰に確かめるかを書きます。ここが無いと、抜き出して作り直すだけで区分が消えます。
手順の順番には意味があります。1と2を先に済ませないと、3の既定値は決められません。既定値は「どの扱いにするか」を決めることなので、扱いの一覧が先に要ります。定義より先に既定値を議論すると、必ず結論が出ません。会議が長引いている会社は、たいていこの順番が逆になっています。
4つを1枚に収めることも、最初から目標にしてください。表計算で2枚、文章で5ページになった時点で、現場は読みません。1枚に収まらないなら、それは決めすぎです。決めすぎた規程は、守られないまま残り、次に見直す人の負担になります。
手順1:定義を、判断できる言葉で書く
定義の良し悪しは、迷った人がそれを読んで自分で決められるかどうかで決まります。「重要な情報」「機密性の高い情報」と書いても、読んだ人は決められません。読んだ人が決められない定義は、定義ではなく方針の表明です。方針は別の文書に置いてください。
決められる形にするには、判断の主語を外に出します。この資料が社外の誰かの手に渡ったとき、誰がどのくらい困るか、という問いの形にします。困るのが社内だけなら社内、取引先との関係に響くなら限定、事業の将来に響くなら厳秘。困る範囲の広さで階段を作ると、種類の違う資料も同じ物差しで測れます。
併せて、上の2つの区分については例を3つずつ書き添えます。限定と厳秘は迷いやすいので、自社に実在する資料の名前で例を置きます。一般的な例ではなく、社内の人が実物を思い浮かべられる名前で書きます。例が3つあると、4つ目からは自分で判断できるようになります。
手順2:区分ごとに入れてよい道具を決める
ここが、この記事の中心です。区分は分類そのものが目的ではなく、扱いに紐づけるために作ります。AIの利用で言えば、区分ごとに入れてよい道具が決まっていることが、区分を持つ実利のほとんどです。次の表が、その1枚の骨組みになります。
| 区分 | 社内に閉じた道具 | 契約した法人向けの道具 | 個人の契約や無料の道具 |
|---|---|---|---|
| 公開 | 入れてよい | 入れてよい | 入れてよい |
| 社内 | 入れてよい | 入れてよい | 入れない |
| 限定 | 入れてよい | 条件を満たせば入れてよい | 入れない |
| 厳秘 | 指定した人だけ | 入れない | 入れない |
表の列は、道具の名前ではなく置かれ方で分けます。製品名で書くと、契約の形が変わるたびに表を直すことになります。同じ製品でも、個人の契約と法人の契約では入力したデータの扱いが違います。列を置かれ方で分けておけば、製品が入れ替わっても表は生き残ります。
限定の行にある「条件を満たせば」の中身は、次々節で開きます。ここでは、条件を満たしていないときの既定は「入れない」であることだけ決めておきます。確認が済んでいない道具は、限定より上を入れられない側に置く。この向きを決めておかないと、確認が終わらないまま使われ始めます。
手順3:区分が付いていない既存資料の既定値を決める
新しく作る資料には区分を付けられますが、すでにある数万件の資料には付いていません。ここで多くの会社が止まります。全部に遡って付けるのは現実的ではないからです。遡らずに決める方法が、既定値を置くことです。
既定値は「社内」に置くのが扱いやすい形です。公開に置くと、未発表の資料が外の道具に入ります。限定に置くと、日常の業務資料まで扱いが重くなり、例外の申請が溢れて窓口が止まります。既定値は、下から2番目に置く。日常は回りつつ、重い資料だけが例外として上がってくる形になります。
そのうえで、既定値の例外を先に名指ししておきます。人事、法務、未発表の計画、顧客との契約書。この4つが入っている置き場所は、区分が付いていなくても限定として扱うと決めておけば、遡らずに危ないところだけ塞げます。資料1件ずつではなく、置き場所の単位で決めるのが現実的で早いやり方です。
既定値を置いたら、その事実を全員に伝えるところまでを同じ手順に含めます。国の基準では、情報を扱う全員がその情報の区分について同じ認識になるようにする措置を明示等と呼び、1件ずつ記載する方法だけでなく、特定の置き場所に記録される情報の区分を規程に書いたうえで、その場所を使う全員に周知する方法も含まれるとされています。置き場所ごとの既定値は、周知して初めて区分として働きます。
手順4:継承と付け替えの決まりを置く
資料は作り直され、切り貼りされます。だから区分は、資料そのものではなく中身について付いていると考えます。国の基準でも、情報を作成または複製する際に、参照した情報や入手した情報にすでに格付と取扱いの制限の決定がなされている場合は、元となる情報の機密性に係る格付と取扱いの制限を継承することとされています。限定の資料から3行引いた提案書は、限定になります。
継承の決まりが無いと、抜け道が1つできます。重い資料から一部を抜き出して新しい資料を作れば、区分の付いていない新品の資料ができあがるからです。抜き出した瞬間に区分が消えるなら、その区分は機能していません。実際の漏れ方は、元の資料からではなく、こうして作られた二次の資料からのほうが多くなります。
付け替えの決まりも同時に置きます。同じ基準では、修正・追加・削除その他の理由で格付と取扱いの制限を見直す必要があると考える場合には、決定した者またはその上司に確かめ、その結果に基づいて見直すこととされています。下げるときだけは、必ず決めた人に戻す形にしておけば、勝手に軽くなることを防げます。上げるほうは、誰でもその場でできてかまいません。
外部の道具に渡す前に確かめる3つ
限定の行にあった「条件」の中身は3つです。1つ目は、入力したものが学習に使われない設定になっているかどうか。設定があるかどうかだけでなく、その設定が契約の側で担保されているかまで見ます。画面の切り替えだけで、契約に書かれていないものは、いつ変わってもおかしくありません。
2つ目は、入れたものがどれだけの期間、どこに残るかです。応答を返すために一時的に保持するのか、不正な利用の監視のために一定の期間残すのか、残る期間は何日か。消えると思って入れたものが、決まった期間は残っているのが通常の形です。3つ目は、その事業者がさらに別の事業者に処理を委ねているかどうかと、その範囲です。
3つとも、担当者の口頭の説明ではなく、契約書と公表されている条件の文面で確かめます。そして確かめた日付を、区分の表の横に書いておいてください。条件は改定されるので、日付の無い確認は半年で意味を失います。日付があれば、次に見るのはいつかも自動的に決まります。
- 学習に使われない設定は、画面上の切り替えではなく契約の文面で確かめる
- 保持される期間と、保持する目的は、別々の場所に書かれていることが多い
- さらに別の事業者へ処理を委ねているかどうかは、条件の文面の後ろのほうにまとめられていることが多い
個人情報が混ざると、区分だけでは通らない
区分の表で「入れてよい」となっていても、その資料に個人情報が含まれている場合は、もう1段の確認が要ります。個人情報保護委員会は、個人情報を含む指示文を入れる場合には、特定された当該個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること、としています。
さらに、あらかじめ本人の同意を得ることなく個人データを含む指示文を入れ、その個人データが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合には、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある、とも示されています。そのため、提供する事業者が当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認することが求められています。前の節の1つ目の条件は、ここにもつながっています。
実務に落とすと、区分の表に1行足すだけで足ります。個人情報を含む資料は、区分にかかわらず限定以上として扱う。そのうえで、利用目的の範囲に収まっているかどうかは、窓口ではなく、その資料を持っている部署が答える形にします。窓口は利用目的を知らないので、代わりに答えられません。
AIに区分を判定させない
資料が数万件あると、区分の判定そのものを自動で済ませたくなります。実際、文面から機密の度合いを推し量ることはできます。しかし、判定を任せると、間違ったときに誰も気づけません。区分は扱いを決めるものなので、判定の誤りはそのまま扱いの誤りとして外に出ます。
使いどころは候補を出すところまでです。この資料には顧客名と金額が入っているので限定に当たる可能性がある、という指摘を出させる。そのうえで、どの語を見てそう言ったのかを根拠として一緒に出させます。根拠が並んでいれば、作成者は数秒で当否を判断できます。根拠が無い候補は、確かめる手間が判定と同じだけかかります。
確定は作成者が行います。この順番を守ると、人の手間は「何も無いところから考える」から「出された候補を見る」に変わり、それでも責任の所在は動きません。AIは候補を出すところまで、確定は作成者という1行を、区分の規程に明記しておいてください。
判定を任せない代わりに、任せてよい仕事もあります。指定した置き場所を見て、区分の欄が空のままの資料を一覧にすること。これは中身の判断ではなく数え上げなので、間違いがあってもその場で分かります。出てきた一覧を作成者ごとに分けて配れば、付ける作業は窓口に集まらず、作った本人のところへ戻ります。付いていない資料が多い会社ほど、この使い方のほうが先に効きます。
- 区分の段階を6つ以上に増やし、どれに当たるかを毎回議論している
- 区分を付ける係を、情報システム部門や承認者だけに置いている
- 区分は決めたが、区分ごとに入れてよい道具を決めていない
- 表の列を製品名で書き、契約の形が変わるたびに作り直している
- 外部の道具の条件を1度だけ見て、確かめた日付を残していない
実務仕様:区分表の書式
最後に、配る1枚の書式を決めます。持つ欄は6つです。区分の名前、定義を2行、実在する資料の例を3つ、見せてよい範囲、入れてよい道具、条件を確かめた日付。これ以上の欄を足すと、印刷して壁に貼れる大きさを超えます。貼れない1枚は、探さないと出てきません。
書式で実際に効くのは、例の欄です。定義は読まれませんが、例は読まれます。自社に実在する資料の名前を3つ書いておくと、迷った人はそこを見て決めます。定義を磨くより、例を増やすほうが精度が上がります。半年ごとに、定義には手を入れず例だけを差し替える運用にしてください。
配る先は全員ですが、置き場所は2か所に絞ります。資料を作る道具の中と、AIの利用申請の入口です。探さないと出てこない場所に置いた区分表は、無いのと同じです。規程の本体は別に置いておき、現場に届くのはこの1枚だけにします。
区分が回っているかを、3つの数字で確かめる
決めた後に必ず起きるのは、しばらくして誰も付けなくなることです。それに早く気づくために、3つの数字だけを四半期ごとに見ます。新しく作られた資料のうち区分が付いている割合、既定値のまま扱われている資料の割合、そして例外の申請の件数です。3つとも、窓口の手元にある記録から数えられます。
1つ目の付いている割合は、資料1件ずつではなく置き場所の単位で数えます。全件を数えようとすると集計そのものが仕事になり、続きません。主要な置き場所を10か所選び、その中の直近1か月に作られた資料だけを見る。この数え方なら30分で終わり、四半期ごとに同じ条件で比べられます。
2つ目は、既定値のまま扱われている割合です。この数字が高いこと自体は問題ではありません。日常の資料の大半は、既定値である社内で正しいからです。見るのは、限定や厳秘に当たるはずの資料を持つ部署で、既定値のままのものが多くなっていないか。部署ごとに分けて見ないと、この兆候は全社の平均に埋もれます。
3つ目の例外の申請は、件数より内訳を見ます。同じ理由の申請が繰り返し上がっているなら、直すのは個々の判断ではなく表のほうです。条件を満たす道具が足りていないのか、既定値の位置が高すぎるのか、例の欄に載っていない種類の資料が増えたのか。申請の理由を3つに束ねると、次にどこへ手を入れるかが決まります。例だけを差し替えるのも、このときに合わせて行います。なお、3つの数字が3期続けてまったく動かない場合は、うまく回っているのではなく、誰も数えていない可能性のほうを先に疑ってください。
ミニ用語解説
この記事で使った言葉のうち、社内で意味がずれやすいものを4つだけ整理します。規程を書き始める前に、この4つの意味をそろえておいてください。会議が空転する原因の多くは、この4語の解釈のずれです。
格付
情報に重さの段階を付けることです。国の基準で使われている語で、機密性・完全性・可用性という3つの観点それぞれに段階が置かれています。この記事で「区分」と呼んでいるものは、そのうち機密性の格付に当たります。社内規程では、格付でも区分でも、どちらかに統一されていれば問題ありません。
取扱制限
格付とは別に置く、具体的な扱いの制限のことです。複製禁止、持出禁止、配布禁止、暗号化必須、読後廃棄といった語で表されます。段階を増やさずに細かさを足したいときは、区分ではなくこちらを使います。区分が縦の階段だとすれば、取扱いの制限は横に足す条件です。
明示等
情報を扱う全員が、その情報の区分について同じ認識になるようにする措置のことです。1件ずつ記載する方法のほか、特定の置き場所に入る情報の区分を規程に書き、その場所を使う全員に周知する方法も含まれるとされています。既存資料の既定値を置き場所の単位で決めるやり方は、この考え方に沿っています。
既定値
区分が付いていない資料を、どの区分として扱うかを先に決めた値のことです。遡って全件に区分を付けなくても運用を始められるようにするための仕組みで、置き方を誤ると例外の申請が溢れます。下から2番目に置くのが扱いやすい、というのは前の節で述べたとおりです。
まとめ
社外秘という1語では、AIに入れてよいかどうかは決まりません。決まるのは、4段階の区分と、区分ごとに入れてよい道具を対応づけた1枚があるときだけです。国の基準は3段階ですが、社内では公開・社内・限定・厳秘の4つが扱いやすく、5段階以上にすると、付ける側が迷って翌年には誰も付けなくなります。付けるのは作成者、既定値は下から2番目、継承と付け替えの決まりは先に置く。まず、いまの資料の置き場所を10か所だけ挙げて、それぞれに4つのうちどれを当てるかを書いてみてください。半日で終わります。書けた時点で、窓口に来ていた問いの半分は消えます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
