納品物のAI利用は書くか伏せるか|伝える範囲の決め方

「記事の下書きにAIを使ったのですが、納品先に伝えるべきか毎回迷います」「聞かれていないので言っていません、という状態がずっと続いています」——制作物や資料を納める側に回ると、遅かれ早かれ一度は立ち止まる問いです。伝えるか伏せるかは、誠実さの度合いの話として語られがちですが、実務ではそうではありません。自分で選べるのは、契約と利用規約と権利の扱いの3つが、どれも何も言っていないときだけです。この記事では、伝える場合と伝えない場合で何が動くのかを並べたうえで、伝えると決めたときにどこまで書くのかを3段の粒度に分けて整理します。
カメ先生納品物にAIを使ったことを伝えるかどうかは、気持ちの問題のように語られがちだね。でも実際には、契約書か、道具の利用規約か、権利の扱いのどれかが先に答えを出していることが多いんだ。
カメ子自分で決められる場面のほうが、むしろ少ないということですか。
カメ先生少ないよ。そして決められる場面でも、判断の軸は正直かどうかではないんだ。相手がその成果物をこの先どう使うのかによって、伝えておかないと困ることが変わる。そこが軸になるね。
カメ子伝えると決めたあとで、どこまで書くかというのは、また別の問いになりそうですね。
- 伝えるか伏せるかを自分で選べるのは、契約・利用規約・権利の扱いのどれもが触れていないときだけ
- 伝える側が見るべきなのは、使ったかどうかではなく、成果物のどの部分に効いたか
- 伝えるときの粒度は3段。工程名だけ・使った範囲・人が確認した工程まで。相手の使い道で選ぶ
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「聞かれなかったので言っていません」が、いつまでも続く
納品の現場でいちばんよく見るのは、伏せると決めた状態ではありません。決めていない状態です。調査の整理に使い、構成の案出しに使い、表現を整えるのに使った。どれも下書きの段階の話なので、わざわざ言うほどのことではない気がする。そのまま納め、聞かれなかったので触れずに終わる。これが数回続くと、社内では「触れない」が既定の扱いになります。
問題は、この既定が明文化されないまま担当者ごとに違う形で運用されることです。ある担当は工程の説明の中で軽く触れており、別の担当はまったく触れていない。同じ会社から2つの成果物を受け取った相手が、その差に気づくところから話が始まります。後から問われて困るのは、使った事実ではなく、社内で扱いが揃っていなかったことのほうです。
もう1つ、時間が経つほど言い出しにくくなる性質もあります。1件目で触れなかったものを、5件目から触れ始めると、それまでの4件はどうだったのかという問いが自動的に生まれます。伝えるかどうかは、案件ごとに決める話ではなく、決め方を1度だけ決める話だと考えてください。
選べる場面は、思っているより少ない
判断に入る前に、先に確かめるものが3つあります。1つ目は相手との契約、2つ目は自分が使った道具の利用規約、3つ目は成果物の権利の扱いです。この3つのどれかが触れていれば、伝えるか伏せるかを自分で選ぶ余地はありません。選ぶ話として悩み始める前に、3つを読むほうが早く終わります。
実際に確かめてみると、3つとも何も言っていない案件は、思ったほど多くありません。継続的な取引では業務委託の基本契約に何らかの条項が入っていることが多く、公共の案件では仕様書の側に書かれていることがあります。大手企業の調達では、購買部門が定めた取引の条件に含まれている場合もあります。
確かめる順番にも意味があります。契約が最も強く、次が利用規約、最後が権利の扱いです。下の階層で「伝えなくてよい」と読めても、上の階層が伝えることを求めていれば、上が勝ちます。逆に、上の階層が何も言っていないときにだけ、下の階層の判断が生きます。この順番を飛ばして権利の話から入ると、契約に書いてあった一文を見落としたまま、長い検討をすることになります。
契約に書いてあれば、そこで決まる
契約の側は、いくつかの形で現れます。成果物の作成に第三者の役務や外部の道具を用いる場合は事前に通知する、という形。再委託の条項の中に含まれている形。成果物が第三者の権利を侵害していないことを保証する条項に紐づいて、確認した内容の報告を求める形。いずれも「AI」という語が使われていないことのほうが多いので、その語で検索して見つからなかったから無い、とは判断できません。
読むときは、3つの語を手がかりにしてください。事前の通知や承諾を求める条項、再委託や外部委託に関する条項、そして保証と責任に関する条項です。この3か所に何も書かれていなければ、契約の階層では選べる、と判断してよいことになります。判断に迷う書き方が残った場合は、自社の法務か、取引の窓口に確認する側に倒します。
契約に書いてあった場合、やることは単純です。書いてあるとおりに伝えます。ここで余計なことをしないのが大事で、求められている以上の内容を自発的に添えると、それ自体が新しい確認の対象になります。求められているのが通知なら通知を、承諾なら承諾の取得を、その形のまま行ってください。
道具の利用規約が、先に答えを決めていることもある
2つ目の階層は、自分が使った道具の側です。サービスによっては、出力を利用する際の表示や、業務での利用の可否について規約で条件を付けていることがあります。規約は改定されるので、案件のたびに読み直すのではなく、社内で使うと決めた道具について改定の通知を受け取る担当を決めておくほうが確実です。
ここで見る項目は3つに絞れます。出力を商用で利用してよいか。入力した内容が学習に使われる設定になっていないか。出力の表示や告知について条件が付いていないか。1つ目と3つ目は納品の可否そのものに関わり、2つ目は相手から預かった資料を入れてよいかに関わります。
同じ名前のサービスでも、個人として申し込んだ環境と、会社として契約した環境では条件が違うことがあります。入力の扱いや、業務での利用の可否がそこで分かれる場合があるからです。納品に関わる作業は会社として契約した環境の中だけで行う、と社内で先に決めておくと、案件ごとに規約を読み直す必要は大きく減ります。読み直すのは、社内で使うと決めた道具が増えたときと、改定の通知が届いたときの2回で足ります。
相手から預かった資料を道具に入れた場合は、話がもう一段変わります。伝えるかどうかの前に、入れてよかったのかを確かめる必要があるからです。預かった資料の扱いは、成果物にAIを使ったことよりも、相手にとって重い話題です。ここを飛ばして工程の説明だけをすると、聞かれるのは必ず資料のほうになります。
伏せたまま納めると、あとから効いてくるもの
3つとも何も言っていない場合に進みます。まず、伝えない側を選んだときに何が起きるかです。多くの案件では、何も起きません。成果物が求められた品質を満たしていれば、作り方は問われないからです。問題が出るのは、成果物ではなく前提がずれていたときに限られます。
前提がずれる典型は3つあります。1つ目は、相手がその成果物を自社の著作物として登録したり、二次利用の許諾を第三者に出したりする場面です。2つ目は、相手の側に社内の決まりがあり、外部に委託した成果物についてAIの利用状況を把握する必要がある場面。3つ目は、相手がその成果物をさらに別の相手へ納める立場にある場面です。
3つに共通するのは、相手が成果物を受け取った後に、その成果物について誰かへ説明する立場に立つということです。説明する立場の人が、説明に必要な情報を持っていなかった。この形になると、成果物の品質とは無関係に、やり直しや条件の確認が発生します。伏せることの本当の費用は、納品のときではなく、相手が説明を求められたときに現れます。
伝えると、その場で何が動くか
次に、伝える側を選んだときです。伝えると、その場で確実に増えるものがあります。質問です。どの工程で使ったのか、どの道具か、預かった資料を入れていないか、人はどこを確認したのか。伝えるという判断は、答える準備とセットでなければ、相手の不安だけを増やします。
実際、伝え方で成否が分かれるのはここです。使いましたとだけ書いて、あとは聞かれたら答えます、という形にすると、聞く側は何から聞けばよいか分かりません。分からないまま出てくる質問は、範囲の広いものになります。結果として、答えるのに半日かかる問い合わせが返ってきます。
逆に、後の節で扱う3段の粒度のうち適切なものを選んで先に書いておくと、質問は具体的になり、多くは1往復で終わります。伝えるかどうかより、伝え方の設計のほうが、実務にかかる時間を左右します。伝えると決めた案件で相手とのやりとりが長引いた場合、原因は判断ではなく書き方にあると考えて構いません。
伝える/伝えないで動くもの
2つの選択を並べておきます。判断のたびにこの表に戻れるように、自社の案件の型に合わせて作り直して使ってください。比べるのは誠実さではなく、あとで誰がどんな場面で困るかです。
| 動くもの | 伝えない場合 | 伝える場合 | 判断の手がかり |
|---|---|---|---|
| 検収のやりとり | 作り方は問われず、そのまま終わることが多い。ただし前提がずれていた場合、受け取った後に確認が戻ってくる | 確認の質問がその場で出る。答える材料を用意していれば1往復で終わる | 相手の社内に、外部の成果物について確認する決まりがあるか |
| 権利の扱い | 相手が成果物を自社の著作物として扱う前提でいると、後から前提が崩れる | どの部分に人の手が入っているかを示せるので、相手が扱いを決められる | 相手が二次利用や第三者への許諾を予定しているか |
| 次の発注 | 触れないことが既定になり、担当が変わったときに扱いが揃わない | 作り方を含めて合意した状態になり、次回は前提の確認から始まらない | 単発の取引か、継続する取引か |
| 自社の説明の負担 | 問われたときに、案件ごとに経緯を思い出して説明することになる | 納品の時点で記録が残るので、後から同じ説明を組み立て直さずに済む | 納品後に説明を求められた経験が過去にあるか |
| 相手がさらに納める場合 | 相手は自分の納品先に対して、作り方を説明できない状態になる | 相手が自分の言葉で説明できる材料を持てる | 相手の先に、もう一段の納品先があるか |
表の右端の列だけを先に埋めてみてください。5つのうち3つ以上が「ある」に寄る案件は、伝える側に倒したほうが、結果として手間が少なくなります。迷う案件の多くは、右端を確かめていないだけです。
分かれ目は「使ったかどうか」ではなく「何に効いたか」
ここまでを踏まえると、伝える中身の軸が見えてきます。相手が知りたいのは、使ったという事実そのものではありません。その成果物のどの部分が、どの程度、道具の側から出てきたものなのかです。事実だけを伝えると、相手はこの問いを自分で立て直すことになり、結局質問が返ってきます。
同じ「使いました」でも、中身は大きく違います。公開されている資料を集めて一覧に整理させただけの場合と、本文の骨格をそのまま出力させた場合では、相手にとっての意味がまったく変わります。前者は調べ物の効率の話で、後者は成果物の性質の話です。伝えるかどうかで悩む前に、自分の案件がどちらに近いかを言葉にしてください。
目安になる問いは1つです。その出力を外したとき、成果物は成立するか。外しても成立するなら工程の話、外すと成立しないなら成果物の話。後者の場合は、伝える/伝えないの判断としてではなく、伝える前提で粒度をどうするかという問いに移ります。成果物の骨格に効いているものを伏せる選択肢は、実務上ほとんど残りません。
粒度1:工程名だけを伝える
ここから3段の粒度を順に見ます。いちばん軽いのが、どの工程で使ったかだけを伝える形です。調査の整理、構成案の作成、表現の調整、といった工程の名前だけを並べ、道具の名前や細かい範囲には触れません。単発の制作で、相手がその成果物を自社内で使うだけの場合は、この粒度で足ります。
この粒度の利点は、書く手間がほぼかからないことと、案件ごとにぶれないことです。工程の名前は自社の作業の流れから決まるので、担当者が変わっても同じ言葉になります。逆に弱点は、相手が「調査の整理」の意味を自分の経験で補って読むことです。相手の想像と実際の範囲がずれると、後から確認が戻ります。
したがって、この粒度を選ぶのは、工程の名前だけで相手に伝わる関係があるときに限られます。何度も取引していて、作業の流れを相手が知っている場合です。初めての相手に工程名だけを渡すと、情報としてはほぼ何も伝わりません。その場合は次の粒度に上げます。
なお、自社の作業に工程の名前が付いていない会社は、そこから始めることになります。決めるときのこつは、数を3つから5つに収めることです。細かく割ると相手は読まず、読まれない説明は書かなかったのとほぼ同じ扱いになります。名前は案件ごとに変えず、社内の作業の呼び名としてそのまま使えるものにしてください。案件ごとに名前が動くと、この粒度の唯一の利点である、ぶれないという性質が消えます。
粒度2:使った範囲まで伝える
2段目は、成果物のどの部分に効いたかを添える形です。工程の名前に加えて、その工程で何をさせ、出力が成果物のどこに入っているかを1行ずつ書きます。例えば、調査で集めた情報の一覧は出力を元にしているが、本文の記述は自分で書き起こしている、といった書き方です。
この粒度が効くのは、相手がその成果物を加工して使う場合です。加工する側は、どこを直してよいかを知りたがります。範囲が書かれていれば、相手は直す場所と確認する場所を自分で決められます。書かれていなければ、全体を同じ深さで見直すことになり、そこで時間が消えます。
書き方の注意は2つあります。1つは、道具の名前を書くかどうかを社内で先に決めておくこと。案件ごとに揺れると、書いた案件と書かなかった案件の差が問題になります。もう1つは、範囲を広めに書かないことです。実際より広く書けば安全だという発想は、相手側の確認の量を無駄に増やし、結果として信頼を下げます。
粒度3:人が確認した工程まで伝える
3段目は、範囲に加えて、人がどこを確認したかを添える形です。事実関係を確認した工程、数値の出どころを確かめた工程、表現を直した工程。伝える中身の重心が、道具の側から人の側へ移るのがこの粒度の特徴です。
この粒度が必要になるのは、相手がさらに別の相手へ説明する立場にあるときです。相手の側で「作り方を確認しています」と言うためには、何をどう確認したかの材料が要ります。材料が無ければ、相手は自分で確認をやり直すしかなく、それは実質的に成果物の作り直しと同じ負担になります。
ここまで書くと、伝える側にも副産物があります。確認の工程を書き出す作業は、自社の作業の流れを点検することと同じだからです。書けない工程が見つかったら、それは伝え方の問題ではなく、確認していない箇所があるという発見です。書けないものは伝えられないし、そもそも保証もできません。
書き方にも1つだけ決まりを置いてください。確認の工程は、見た、という動詞では書かないことです。何と突き合わせたのかを書きます。事実関係なら当たった資料の種類、数値なら出どころ、表現なら社内で持っている書き方の決まり。突き合わせた相手が書かれていない記述は、受け取る側から見ると、確認していない状態と区別が付きません。区別が付かない記述を並べるほど、相手は自分でもう一度確かめたくなります。
権利の扱いが絡むと、説明する中身が変わる
成果物の権利が取引の対象になっている場合は、粒度の選択とは別の話が重なります。文化庁が公表しているAIと著作権のチェックリストは、AI生成物をライセンス契約などの取引の対象とする場合、その生成物が著作物であるかどうかが取引の重要な要素となる場合も想定される、と述べています。そのうえで、著作物であることを前提に取引の対象とするときは、関係する相手に対して、AIを利用した生成物であることや、その著作物性などについて適切に説明することが求められるとしています。
背景にあるのは、著作物性の判断の仕方です。文化審議会の小委員会が令和6年3月にまとめた考え方では、人が何ら指示を与えず、あるいは簡単な指示を与えるにとどまり生成の操作をしただけのものは著作物に該当しないと考えられる一方、人が思想または感情を創作的に表現するための道具としてAIを使用したと認められれば著作物に該当し、その人が著作者となる、という整理が示されています。判断は創作意図と創作的寄与によるとされ、AI生成物であることだけで、一律に著作物に該当するかどうかが決まるわけではないと明記されています。なお、この考え方自体は法的な拘束力を持つものではない、とも同じ資料に書かれています。
実務に落とすと、やることは2つです。1つは、成果物のどの部分に人の加筆や修正が入っているかを示せるようにしておくこと。同じ考え方の中で、人が創作的表現といえる加筆や修正を加えた場合、通常その部分には著作物性が認められるとされています。もう1つは、既存の著作物と類似していないかを納品前に確かめ、確かめたことを説明できるようにしておくことです。チェックリストは、生成物の利用に先立って既存の著作物と類似していないかを確認することと、生成に用いた指示文など生成の過程を確認できる状態にしておくよう努めることの両方を挙げています。
伝えると決めたら、この順で進める
伝える判断をしたあとの段取りを、納品の前に置いておきます。順番が崩れると、伝えること自体が相手の予定を乱します。納品と同時に初めて伝える形は、いちばん避けたい形です。
案件の型ごとに、どの粒度で伝えるかを決めます。担当者が個別に決めると、同じ相手に対して案件ごとに違う深さの説明が届きます。決め手になるのは、相手が成果物を加工するか、さらに別の相手へ渡すかの2点です。
どの工程で何をさせ、人がどこを確認したかを、先に自分の手元で書き出します。書けない箇所が出たら、そこを確認してから進みます。伝えると先に宣言してから中身を作ると、納期の側が苦しくなります。
書面だけで初めて知らせると、相手の窓口は社内で説明を求められたときに準備の時間がありません。事前に一度伝えておけば、相手は自社の中で先に確認を回せます。これだけで検収の往復が1回減ることがあります。
口頭で伝えたことと同じ内容を、文書に残します。口頭だけで終えると、相手の担当者が変わった時点で伝えていない状態に戻ります。書く場所は、作業報告や納品書の備考など、成果物とセットで保管される場所にします。
返した回答は、次の案件の前提になります。残していないと、同じ質問に別の答えを返す事故が起きます。回答の記録は、社内で粒度を見直すときの材料にもなります。
5つのうち3番目を飛ばす会社が最も多く、そして3番目を入れるだけで、伝えたことが問題になる確率は目に見えて下がります。
実務仕様:納品時に添える一文の書き方
実際に書く文は短くて構いません。むしろ長いほど、確認の対象が増えます。型は3つの部分でできています。どの工程で使ったか、成果物のどこに入っているか、人がどこを確認したか。粒度1ならば最初の部分だけ、粒度2なら2つ目まで、粒度3なら3つとも書きます。
本成果物の作成にあたり、資料の整理と構成案の作成の工程で生成AIを利用しています。
本文の記述は当社の担当者が作成し、引用した数値と出典については担当者が原典に当たって確認しました。
ご不明な点がありましたら、担当までお問い合わせください。
この型で気をつける点は3つです。1つ目は、断定できないことを書かないこと。第三者の権利を侵害していない、と言い切る一文は、確認できる範囲を超えます。確認した行為を書くのであって、結果を保証する言い切りにはしない。2つ目は、社内の別の案件と表現を揃えること。3つ目は、問い合わせ先を必ず入れることです。書きっぱなしにすると、相手は誰に聞けばよいか分からず、窓口を探すところから始まります。
この一文は、案件ごとに書き下ろすものではありません。工程の組み合わせは自社の作業の流れから決まるので、3種類か4種類の型を作って選ぶ形にします。毎回書き下ろす運用にすると、書く人によって深さが変わり、揃っていないことが後で問題になります。
伝える前に確かめる5点
最後に、送る前の確認です。伝えると決めた案件で、実際に事故が起きるのは、伝える判断そのものではなく、添えた内容と事実がずれていた場合です。送る前に5つだけ見てください。
- 添えた一文に書いた工程が、実際に行った工程と一致しているか。途中で作業の流れが変わっていないか
- 相手から預かった資料を道具に入れていないか。入れている場合、それが契約と規約の範囲に収まっているか
- 数値・固有名詞・引用については、原典に当たった担当者と確認した日が、社内の記録に残っているか
- 既存の成果物と似ていないかを確かめたか。確かめた方法を、聞かれたときに説明できるか
- この一文を、相手がそのまま自社の社内説明に転用できる文になっているか
5つ目が見落とされやすい項目です。相手の窓口は、受け取った文をほぼそのまま自社の中で回します。専門的な言い回しや、自社の作業の呼び名がそのまま入っていると、相手はそこで説明を足す必要が出ます。相手が手を加えずに転記できる文かどうかを、最後の物差しにしてください。
やってはいけない伝え方と、決めさせない線
実際に相手との関係を悪くした伝え方を挙げておきます。伝えるという判断自体は正しかったのに、書き方で損をした例です。
- 納品と同時に、初めて書面で知らせる:相手の窓口は社内で説明を準備する時間がなく、確認のために検収が止まる
- 全工程で利用しています、とだけ書く:範囲が分からないため、相手は成果物の全体を同じ深さで見直すことになる
- 案件ごとに深さが違う書き方をする:同じ相手が複数の成果物を受け取ったときに、書かなかった案件のほうを疑われる
- 権利を侵害していません、と言い切る:確認できる範囲を超えた保証になり、後から問題が出たときに契約上の責任の話へ直結する
- 問い合わせ先を書かずに添える:相手は聞く先が分からず、窓口を探す手間ごと不信として蓄積する
そして、伝える範囲の判断そのものをAIに決めさせないでください。添える一文の下書きを作らせる、社内の型のどれに当たるかの候補を出させる、ここまでは材料の中で完結します。どこまで伝えるかは、相手との関係や過去の経緯という、渡していない材料で決まります。
- 伝える粒度の決定は人が行う。決めた人と決めた日を、案件ごとに記録に残す
- 下書きを作らせる場合は、書いた工程ごとに根拠となった作業の記録を併せて出させ、人が1つずつ照合する
- 人が確認する範囲を先に決める。全案件を見るのか、粒度3の案件だけを見るのかを運用の開始時に書いておく
- 契約書や仕様書をAIに読ませて該当箇所を探させる場合、見つからなかったことを結論にしない。必ず人が同じ箇所を目で確かめる
- 相手の社名や案件の内容が入る文書を扱うときは、入力が学習に使われない設定かを先に確認する
まとめ
納品物にAIを使ったことを伝えるかどうかは、自分で選べる場面がそもそも少ない、というところから始まります。契約、道具の利用規約、成果物の権利の扱い。この3つを上から順に確かめて、どれも触れていないときにはじめて判断が残ります。そして判断の軸は、使ったかどうかではなく、成果物のどの部分に効いたかです。外しても成立するなら工程の話、外すと成立しないなら成果物の話として扱ってください。伝えると決めたら、工程名だけ・使った範囲・人が確認した工程の3段から相手の使い道に合う粒度を選び、納品の前に一度口頭で伝えてから文書に残します。まずは直近に納めた3件について、契約の3か所を読み直すところから始めてください。選べる案件がどれだけあるかを数えた時点で、社内で決めるべきことが1つに絞られます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
