外勤と内勤の営業は分けるべきか|引き継ぎをAIで埋める

「内勤と外勤に分ければ、訪問する人は訪問だけに集中できるので速くなるはずです」「うちは分けたら引き継ぎの手間が増えて、かえって遅くなったという声のほうが多いんです」——営業の体制を見直す場で、必ず両方の言い分が出ます。対立しているように見えますが、この2つは同じ見落としを共有しています。速さを決めているのは分けたかどうかではなく、分けた境目に落ちるものを決めてあるかどうかです。この記事では、分けないほうが速い条件を先に置いたうえで、分ける形が2つではなく3つあること、渡す条件の書き方、渡す情報と戻す情報の型、そしてAIで埋められる範囲と人が決める線までを順に整理します。
カメ先生営業を内勤と外勤に分ける形は、もともと訪問の数を増やすために生まれた仕組みなんだ。ところが分けた会社の多くで増えたのは、訪問の数ではなく社内の連絡の数だった。
カメ子連絡が増えるのは、渡すときに説明が要るからでしょうか。
カメ先生それもあるけれど、大きいのは戻す側だよ。訪問して分かったことが内勤に戻らないと、次に渡ってくる案件の質が上がらない。だから同じ説明を何度も繰り返すことになる。
カメ子渡す仕組みだけを作って、戻す仕組みを作らなかった場合に起きる、ということですか。
- 分けるかどうかは人数ではなく、1件あたりに要る確認の量で決まる。確認が少ない商材ほど、分けないほうが速い
- 渡す条件を点数で決めると境目で止まる。誰がいつ何と言ったか、という確かめられた事実で書き直す
- AIで埋まるのは記録の書き起こしと差分の指摘まで。渡すかどうかの判断と、次に何をするかは人が決める
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「分ければ速くなる」が成り立つ条件は、思ったより狭い
分業が速さを生むのは、渡す作業そのものが軽いときだけです。工場の流れ作業が速いのは、前の工程から次の工程へ渡るものが目に見えていて、渡すときに説明が要らないからです。営業で渡るのは、相手の事情と、そこまでの会話の文脈です。目に見えず、書き起こさないと渡らないものを渡しているという点で、条件がまったく違います。
それでも分けたほうが速くなる場面はあります。問い合わせの数が、訪問できる件数を明らかに上回っているときです。全部に訪問できない以上、誰かが先に順番を付ける必要があり、その役割を専任に置いたほうが早く片づきます。逆に、問い合わせの数が訪問できる件数と同じくらいなら、順番を付ける作業そのものが要りません。分業は、選別が必要なときに効く仕組みです。
ここを取り違えると、効果が出ないまま連絡だけが増えます。分けるかどうかを人数や流行りの体制で決めると、選別の要らない状況に選別の仕組みを持ち込むことになるからです。判断の材料は、月にどれだけ問い合わせが来て、そのうち何件に訪問できているか、という2つの数字だけで足ります。
分けないほうが速い、3つの条件
先に、分けないほうがよい条件を並べます。当てはまるなら、体制を変える前に別のところへ手を入れたほうが成果が出ます。1つ目は、1件あたりの確認の量が少ない商材であること。価格の幅が狭く、仕様の選択肢も少なければ、最初の会話で必要なことがほぼ出そろいます。渡す価値のある情報が少ない場合、渡す手間のほうが上回ります。
2つ目は、決める人と最初に話す人が同じである場合です。相手の会社の中で、問い合わせてきた人がそのまま決裁まで持っていく規模であれば、途中で担当が替わる理由がありません。3つ目は、営業に関わる人数が少なく、担当を分けると一人あたりの件数が薄くなりすぎる場合です。1日に数件しか動かない体制で役割を割ると、どちらの側も手が空き、待っている時間が増えます。
この3つのどれかに当てはまるなら、分けるよりも、最初の連絡までの時間を短くする、記録の残し方を決める、資料をすぐ出せるようにする、という工程側の手入れのほうが効きます。体制の変更は関わる人全員の働き方を変えるので、戻すのに時間がかかります。工程の手入れは、効かなければ翌週にやめられます。効果の見込みが同じなら、やめやすいほうから試すのが順当です。
分ける形は2つではなく、3つある
分けるか分けないかの二択で考えると、間にある形が見えなくなります。実務では3つ目があります。役割としては分けるけれども、案件ごとに内勤と外勤が組になって最後まで一緒に見る形です。渡すという行為が発生しないので、境目に落ちるものがそもそも生まれません。担当を分けることと、案件を渡すことは別の話だ、という整理が要点になります。
次の表は、3つの形を、向いている状況と起きやすい問題で並べたものです。どれが優れているかではなく、自社の問い合わせの量と、1件あたりの確認の量で選びます。表を見ながら、いまの自社がどの行にいるのか、そしてどの行に移りたいのかを決めてください。
| 形 | 向いている状況 | 強み | 起きやすい問題 |
|---|---|---|---|
| 分けない(1人が最後まで持つ) | 問い合わせの数と訪問できる件数が近い。決める人と最初に話す人が同じ | 文脈が途切れない。同じことを二度聞かれない | 訪問の予定が埋まると、新しい問い合わせへの初動が落ちる |
| 分ける(内勤が渡し、外勤が受ける) | 問い合わせの数が訪問できる件数を明らかに上回る | 初動が速い。訪問する側は訪問に専念できる | 渡す条件と戻す型を決めないと、境目で止まる案件が出る |
| 案件ごとに組む(渡さずに2人で持つ) | 1件が大きく、確認の回数が多い。相手の会社の関係者が複数いる | 渡す手間が要らない。相手から見て窓口が消えない | 人手が2倍かかる。件数の多い商材では成り立たない |
3つ目の形は、件数が多い商材では成り立ちませんが、金額の大きい案件だけを3つ目の形に回す、という使い分けなら、人数を増やさずに始められます。全案件を同じ形で扱う必要はありません。むしろ、同じ形で扱おうとすることが、境目の設計を難しくしています。
分けた瞬間に、境目へ落ちる4つのもの
分ける形を選んだ場合、境目に何が落ちるかを先に把握します。落ちるものは決まっていて、大きく4つです。どれも「渡し忘れ」ではなく、渡す形式が無いから渡せないという種類のものです。形式を決めれば埋まりますが、気をつけようという呼びかけでは埋まりません。
1つ目は、話の温度です。相手がどのくらい急いでいたか、どの言葉に反応したかは、記録の欄に収まりません。2つ目は、聞かなかったことです。何を確かめたかは残りますが、まだ確かめていないことは、渡された側から見ると分かりません。3つ目は、断られかけた論点。4つ目は、相手の会社の中で誰が反対しそうか、という見立てです。次の表に、落ちる理由と埋め方を並べます。
| 境目に落ちるもの | 落ちる理由 | 埋め方 |
|---|---|---|
| 話の温度 | 急いでいるかどうかは、記録の項目にならない | 相手が口にした期限をそのまま引用して残す。解釈ではなく発言で残す |
| まだ確かめていないこと | 確かめた項目は残るが、未確認は空欄としてしか残らない | 空欄の理由を1行だけ書く。聞けなかったのか、聞く場面ではなかったのかを分ける |
| 断られかけた論点 | 最終的に前に進んだので、途中の懸念が記録から消える | 会話の中で相手が渋った箇所を、次に触れるときの注意として残す |
| 社内で反対しそうな人 | 見立てであって事実ではないため、書いてよいか迷って書かれない | 見立てだと明記したうえで残す。根拠になった発言を必ず添える |
4つとも、事実と見立てを分けて書ける欄があるかどうかで、残るかどうかが決まります。1つの自由記入欄しか無いと、書く側は無難な要約だけを書きます。欄を分けるだけで、書かれる中身が変わります。
渡す条件を点数で決めると、境目で止まる
渡す条件を決めるとき、多くの会社が点数を使います。属性と行動に点を割り振り、一定の点に届いたら渡す、という形です。集めた数を機械的にさばくには向いた方法ですが、内勤から外勤へ渡す場面では、点数はうまく働きません。理由は2つあります。
1つ目は、受け取る側が点数を信用しないことです。訪問に行く人にとって、点数は自分が確かめていない誰かの計算結果です。行ってみて空振りが続くと、点数そのものを見なくなります。2つ目は、点数が高い理由を説明できないことです。どの項目が効いて高くなったのかが分からないと、訪問の準備に使えません。点数は順番を付けるには使えても、次に何をするかを決める材料にはならないのです。
結果として起きるのが、渡したのに動かない、という状態です。渡した側は基準を満たしたと考え、受け取った側は自分で確かめ直すところから始めます。同じ確認が二度行われ、そのぶん相手を待たせます。点数を廃止する必要はありませんが、渡すかどうかの合図に使うのはやめて、順番を付ける道具に限定してください。渡す条件は、別の書き方をします。
条件を「確かめられた事実」で書き直す
渡す条件は、点ではなく事実で書きます。書き方の型は1つで、誰が、いつ、何と言ったかです。たとえば「予算の見込みがある」と書くのではなく、「相手の部署の責任者が、今期の予算に枠を確保していると先週の電話で述べた」と書きます。前者は評価ですが、後者は確かめられた事実です。受け取る側は、事実であれば自分の判断に使えます。
条件として並べる項目は、多くても4つにします。困っていることが自分の言葉で語られたか。いつまでに何とかしたいという期限が相手の口から出たか。決める過程に誰が関わるかが分かったか。今の状態を変える理由があるか。この4つが事実として書ければ、訪問の価値はあります。4つのうち1つでも空欄のまま渡すなら、空欄であることを渡す側が明記する。埋まっていないこと自体は問題ではなく、埋まっていないと分からないまま渡すことが問題です。
この書き方に変えると、渡す件数はいったん減ります。事実として書けないものが可視化されるからです。減った分を悪い数字と受け取らないでください。これまで、確かめていないものを確かめたことにして渡していた分が表に出ただけです。減った件数は、内勤がもう一度接触する対象になります。3か月ほどで、件数は元に戻り、空振りの割合だけが下がります。
渡す情報は、次に何をするかが書いてある状態にする
条件が満たされたら、情報を渡します。ここでよくあるのが、会話の記録をそのまま添付する形です。量は十分でも、受け取った側は最初から読み直すことになるので、渡した意味が半分になります。渡す情報の合格点は1つで、受け取った人が、次に何をすればよいかを読んだ直後に決められることです。
形としては、5つの欄があれば足ります。相手が自分の言葉で語った困りごと。相手が口にした期限。決める過程に関わる人の名前と役割。まだ確かめていないことと、その理由。そして渡す側から見た、次にやるとよいことの提案です。最後の欄が抜けると、受け取った側は自分で組み立て直すことになり、渡す前とほとんど変わりません。
- 相手の言葉をそのまま残す:要約せずに引用の形で残す。要約すると、渡した側の解釈だけが伝わる
- 期限は相手が言った表現で書く:来期までに、年内に、といった相手の言い方をそのまま置く
- 関わる人は役割まで書く:名前だけでは、決める人なのか確かめる人なのかが分からない
- 空欄には理由を1行付ける:聞けなかったのか、聞く場面ではなかったのかで、次の一手が変わる
- 次にやるとよいことを提案として書く:指示ではないので外してよい。外す判断の材料になればよい
欄を5つに絞るのは、欄が多いほど、埋まらない欄が増え、埋まらない欄が多い記録は読まれなくなるからです。項目を足したくなったら、既存の5つのどれかを外せないかを先に考えてください。
引き継ぎに、15分の場を残す
記録の形を決めても、すべてを文字で渡すのは無理があります。特に、話の温度と、相手の会社の空気は、書いた瞬間に落ちます。対策として、渡すときに15分だけ話す場を残してください。長い会議にする必要はありません。記録を読んだうえで、受け取った側が質問する時間として使います。
この場を作ると、記録の質も上がります。質問されることが分かっていると、書く側は空欄を埋めておこうとするからです。逆に、記録だけで渡す運用にすると、書く側は自分の理解の範囲で完結させてしまい、受け取る側が何を知りたいかは反映されません。場の有無が、記録の中身を決めます。
運用としては、決まった曜日と時間に枠だけ置き、渡す案件が無ければ解散する形が続きます。個別に日程を合わせる形にすると、忙しい週から順に飛びます。引き継ぎの場は、案件が出たときに開くのではなく、開いてある場に案件を持ち込む形にすると続きます。渡す案件が無い週が続くようなら、それ自体が、分ける必要が無いという合図として読めます。
訪問前の下調べは、内勤が確かめた事実の上に足す
渡された側は、訪問の前に相手の会社を調べます。ここで起きやすいのが、内勤がすでに聞いたことを、外勤がもう一度調べ直すことです。時間の無駄というだけでなく、訪問の場で同じことを相手に聞いてしまう原因にもなります。相手から見れば、社内で話が通っていない会社に見えます。
防ぎ方は、下調べの範囲を先に切ることです。内勤が相手から直接聞いた事実は、調べ直さずそのまま使う。外勤が足すのは、相手から聞いていないこと、つまり公開されている情報から読み取れる事業の動きや、業界の状況に限る。この線を引くだけで、重複はほとんど消えます。下調べの進め方そのものは、それ自体で1本になる主題なので、ここでは範囲の切り方だけに留めます。
線を引いたうえで、聞いた事実と、調べて推測したことを、訪問の場でも区別して話すことを徹底してください。推測を事実のように話すと、相手が否定したときに、内勤が聞いた事実まで疑われます。「先日お話しいただいた内容から、こう考えました」という順番で話せば、否定されるのは推測の部分だけで済みます。
訪問のあとに戻す情報の型を決める
分業がうまくいかない会社のほとんどは、渡す側の仕組みだけを作っています。戻す仕組みが無いと、内勤は自分が渡した案件がどうなったかを知らないまま、次の案件を渡し続けます。渡す精度が上がらないのは、結果が戻っていないからです。点数の見直しをいくらやっても、ここが埋まらない限り改善しません。
戻す情報も、欄を絞ります。渡された5つの欄のうち、訪問して分かったことで変わったものはどれか。空欄だった項目は埋まったか。渡された時点の見立てのうち、外れていたものは何か。そして、次に内勤が接触すべきかどうか。この4つだけです。長文の報告は要りません。あわせて決めておきたいのが、いつ戻すかです。訪問した当日か翌営業日、という線を引いておかないと、案件が動いている間は後回しにされ、決着が付いてからまとめて書かれます。決着してから書いた記録は、結果を知ったうえでの整理になるため、渡された時点で何が分かっていなかったのかが消えてしまいます。
運用で効くのは、外れていた見立てを、責める材料ではなく次の材料として扱うと決めておくことです。外れを記録すると評価に響くと思われた瞬間に、戻る情報は無難なものだけになります。四半期に一度、外れた見立てだけを集めて眺める場を作ると、渡す条件のどの項目が実際には効いていないかが見えてきます。項目を足すのではなく、効いていない項目を外す方向で見直してください。
AIで埋められるのは、書き起こしと差分の指摘まで
ここまでの設計のどこにAIが効くかを整理します。効くのは3か所です。会話の記録から5つの欄に相当する箇所を抜き出すこと。渡す条件の4項目のうち、事実として書けていない項目を指摘すること。そして訪問の前に、渡された内容と自分で調べた内容の重複を洗い出すことです。いずれも読んで並べ直す作業で、判断は含まれていません。
特に効くのが2つ目です。人が自分で書いた文章を読み返しても、評価と事実の区別は付けにくいものです。「意欲が高い」という記述に対して、誰のどの発言が根拠になっているかを機械的に問い返させると、根拠の無い記述だけが残ります。書かせるのではなく、書いたものの足りない箇所を指摘させる使い方のほうが、この場面では効きます。
反対に、向いていない使い方もはっきりしています。渡すべきかどうかを決めさせること、相手の温度を推し量らせること、訪問の場で何を話すかを組み立てさせることの3つです。いずれも、材料が会話の記録しかない状態で結論だけが出てくる形になり、外れたときに理由をたどれません。渡す判断を機械に委ねると、点数で渡していたときと同じ問題が、別の形で戻ってきます。
人が決める線を、運用を始める前に引く
線引きの考え方は単純です。やり直しが効く作業は任せてよく、相手との関係に跡が残る決定は人が持つ。抜き出しの間違いは直せますが、訪問して的外れな話をした事実は消せません。この基準で切ると、任せる範囲は記録の整理に寄り、人の仕事は渡すかどうかと何を話すかの決定に寄ります。
- 渡すかどうかの決定は人が行い、決めた人と決めた日を記録に残す。指摘は材料であって決定ではない
- 相手の発言を要約させたときは、元の発言が残っているかを確かめる。要約だけを残すと、後から根拠をたどれない
- 評価の表現(意欲が高い、前向きなど)が出てきたら、根拠になる発言を併記させる。併記できないものは削る
- 相手の会社名や担当者名を含む記録を外部の道具に入れるときは、入力が学習に使われない設定かを先に確かめる
線を引いておくと、確認の時間が読めるようになります。すべてを見直す運用にすると、結局は自分で書いたほうが速いという結論になり、使われなくなります。確認するのは、事実として書けていないと指摘された箇所と、評価の表現が残った箇所の2つだけ、と決めておけば、1件あたり数分で終わります。
同じことを二度聞かれる、を止める
分けたことで相手から見えるようになる不利のうち、最も苦情になりやすいのがこれです。内勤に話したことを、訪問に来た人がもう一度聞く。相手にとっては、時間を取られたうえに、社内で共有されていない会社だという印象が残ります。失注の理由としては記録に残らないのに、確実に効いている不利です。
原因は3つに分かれます。渡された記録を読んでいない。読んだが、事実と評価の区別が付かず、確かめ直す必要があると判断した。そして、記録には書いてあるが、書き方が要約されすぎていて意味が取れなかった。1つ目は運用で直りますが、2つ目と3つ目は書き方の問題なので、注意を促しても直りません。
実務的な止め方は2つです。1つは、訪問の冒頭で「先日うかがった内容を確認させてください」と言って、記録の内容を読み上げる形にすること。聞き直すのではなく、確かめる形にすれば、相手の受け取り方は変わります。もう1つは、同じことを聞いてしまった件を、訪問のあとに戻す情報の中に1項目として置くことです。件数を数えれば、どの欄の書き方に問題があるかが特定できます。数えるのは月に1回で足り、何件あったかと、どの欄に書いてあった内容だったかの2つを記録するだけです。特定の欄に偏っているなら、その欄の書き方の決まりを変えます。どの欄でもなく記録に無い内容ばかりなら、渡す前の確認そのものが足りていません。
温度が下がるのは日数ではなく、次の予定が空いた瞬間
渡してから訪問までの日数が空くと温度が下がる、とよく言われます。日数は確かに効きますが、実務で見ていると、下がるのは日数そのものではありません。相手の手元に、次にいつ何があるかが無くなった瞬間です。次の予定が入っていれば、2週間空いても温度は保たれます。逆に、翌日でも次が決まっていなければ、そこで止まります。
だとすれば、埋めるべきは日数ではなく予定です。渡すと決めた時点で、内勤が次の予定を置いてから渡す。外勤の都合が付かない場合でも、日程を調整する連絡だけは先に入れておく。渡すという行為を、相手から見て何も起きない期間にしないのが要点です。社内の引き継ぎは相手には見えないので、見える形の連絡が1つ挟まるだけで、体感は大きく変わります。
この設計にすると、渡す条件にもう1つ足したくなります。次の予定を置けるかどうか、です。予定を置けない相手は、条件の4項目が埋まっていても、渡すのではなく内勤が持ち続けるほうが結果が良くなります。持ち続けると決めた案件は、いつ見直すかを決めておけば、抱え込みにはなりません。
立ち上げの順番と、うまくいかない型
最後に、体制を変えるときの順番を置きます。順番を守るだけで、多くの失敗は避けられます。体制の変更は関わる人の働き方を変えるので、途中で止まると元にも戻れません。小さく試して、効かなければやめられる形から始めてください。
2つの数字が近ければ、分ける必要はありません。この時点で体制の変更が不要だと分かる会社もあります。まず数えることから始めます。
いきなり全件を分けず、3つ目の形から試します。渡す手間が発生しないので、境目の設計をしないまま始められます。
点数は順番付けに残し、渡す合図からは外します。4項目のうち埋まっていないものを明記する運用まで含めて決めます。
欄を増やさないことが要点です。決めたら2か月は変えず、埋まらない欄がどれかを観察します。
案件の有無にかかわらず枠を置きます。案件が無い週は解散します。個別に調整する形にすると続きません。
- 体制を先に発表してから、渡す条件を決める:条件が決まるまでの数週間、誰も渡せずに案件が滞留する
- 渡した件数を内勤の目標に置く:条件を満たしていない案件まで渡され、受け取る側が信用しなくなる
- 戻す仕組みを作らずに始める:渡す精度が上がらないまま、外れの原因が渡す側の技量の問題にされる
- 全案件を同じ形で扱おうとする:金額も確認の量も違う案件を1つの条件でさばくため、条件が曖昧になる
- 記録の欄を最初から10個以上作る:埋まらない欄が増え、読む側が読まなくなり、結局は口頭で確認する運用に戻る
5つに共通しているのは、渡す側の都合から設計を始めている点です。受け取る側が読んだ直後に動けるか、という一点から逆算すると、欄の数も条件の書き方も自然に決まります。
この記事で使った呼び分け
内勤の営業(インサイドセールス)
訪問せずに、電話や打ち合わせの道具を使って相手と接点を持つ役割です。この記事では、問い合わせに最初に反応し、相手の事情を確かめて、訪問する価値があるかを見極めるところまでを担う前提で書いています。会社によっては、そのまま契約まで進める形も取られますが、ここでは訪問の前段に限定して扱いました。
外勤の営業(フィールドセールス)
相手の場所に出向いて商談を進める役割です。近年は訪問せずに画面越しで進める場面も多く、外勤という呼び方と実態がずれることがあります。この記事では、場所ではなく案件を受け取って最後まで進める側という役割で区別しています。呼び方は自社に合うものを使ってください。
渡す・戻す
内勤から外勤へ案件の担当が移ることを渡すと呼び、訪問して分かったことが内勤に返ることを戻すと呼んでいます。一般には引き継ぎという言葉が使われますが、引き継ぎだと一方向の印象になるため、この記事では双方向であることを示すために2つの言葉を使い分けました。体制を設計するときも、この2つは別々の仕組みとして書き出してください。渡す側の手順だけがあって、戻す側の手順が無いという状態が最も起きやすく、そのまま半年が過ぎると、渡す条件を見直すための材料が社内のどこにも溜まっていない、ということになります。
確かめられた事実
相手が自分の言葉で述べた内容と、こちらが直接確認できた内容を指します。こちら側の推測や評価は含みません。渡す条件をこの形で書くのが、この記事の中心の提案です。見立てを書いてはいけないという意味ではなく、見立てだと分かる形で書くという意味で使っています。
まとめ
内勤と外勤を分けるべきかという問いには、先に分けないほうが速い条件を置いてから答えるのが正しい順番です。問い合わせの数が訪問できる件数を明らかに上回っていないなら、分けずに工程を手入れするほうが効きます。分けると決めたなら、渡す条件を点数ではなく、誰がいつ何と言ったかという事実で書き直すこと。渡す欄を5つ、戻す欄を4つに絞り、引き継ぎに15分の枠を曜日で置くこと。AIには記録の書き起こしと、事実として書けていない箇所の指摘までを任せ、渡すかどうかと何を話すかは人が決めること。そして、金額の大きい案件だけは渡さずに2人で持つ形を残しておくこと。まずは、直近3か月の問い合わせ件数と訪問できた件数を並べてみてください。その2つの数字が、体制を変えるべきかどうかを先に教えてくれます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
リード獲得・育成の打ち手として、ウェビナーの集客と運営でお困りですか?
企画・集客・運営までデボノが伴走支援。外部リスト頼みにしない「自社の集客力」を育てます。
