競合調査はAIにどこまで任せてよい?|集め方で変わる線

競合調査はAIにどこまで任せてよい?|集め方で変わる線

「競合のことはAIに調べさせています。公開されている情報しか見ていないので、問題はないはずです」「返ってきた資料に、どこから取ってきたのか分からない数字が混ざっていて、そのまま使ってよいのか判断がつきません」——競合調査に生成AIを入れた会社から、この二つは並んで出てきます。危ないのは、前の一言を根拠にして、後の一言を放置してしまうことです。問題になるのは調べた内容ではなく、集め方のほうです。公開されているかどうかは線の一部でしかなく、同じ情報でも、どこから、どの手段で、誰を経由して取ったかで扱いが変わります。この記事では、AIに競合調査をやらせる作業を工程に割り、どの工程で何に触れるのかを整理します。


カメ先生カメ先生

競合調査は分析の巧拙で語られがちだけれど、後から問題になるのは、ほとんどが集め方のほうなんだ。


カメ子カメ子

集め方、というのは何を指すのでしょうか。


カメ先生カメ先生

どこから、どの手段で、誰を経由して取ったか。中身が同じ情報でも、この三つが違えば扱いが変わるんだよ。


カメ子カメ子

公開されている情報かどうかということと、集め方の線は、別のものということですか。


この記事のポイント
  • 後から問題になるのは分析ではなく集め方。同じ情報でも、取った経路で触れる線が変わる
  • 線は2本ある。法律の線と、利用規約という契約の線。片方が大丈夫でも、もう片方は残る
  • 適法かどうかの判定はAIに出させない。AIに任せるのは整理と、事実と推測の切り分けまで

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目次

「公開されている情報しか見ていない」で止まってしまう

競合調査の相談で最初に出てくるのが、この一言です。公開されている情報だから問題ない、という整理は、半分は当たっていて、半分は別の話とすり替わっています。公開されているかどうかは、相手の情報が法律で守られるかどうかを左右する要素のひとつです。しかしそれは、自分の集め方が適法かどうかを保証するものではありません。

経済産業省の営業秘密管理指針は、この点を正面から書いています。平成15年1月30日に作られ、最終改訂は令和7年3月31日です。そこには、ある情報の断片が様々な刊行物に掲載されていて、その断片を集めてくれば近い情報が再構成され得るとしても、そのことだけで非公知性が否定されるわけではない、と書かれています。どの情報をどう組み合わせるか自体に価値がある場合は、なお守られるという考え方です。断片を集めて組み立てたという事実は、相手の権利を消す理由にはならない、ということになります。

同じ指針は、複数の情報の総体については、組み合わせの容易性や、取得に要する時間や資金のコストを考えて判断するとも書いています。脚注では、公知の情報を組み合わせて作ったAIの開発用のデータが例として挙げられています。裏返せば、自社がAIで集めて組み立てた競合の一覧も、時間と費用をかけた分だけ、自社にとって守るべきものになるということです。集めた側にも管理の責任が生まれる、という向きの話はあとで扱います。

この節の内容を、実務の言葉に直しておきます。部下やパートナーから「公開情報だけです」という報告を受けたときに確かめるのは、公開されていたかどうかではありません。どこの、どのページから、どういう手段で取ったのか、そして誰かを経由していないか、の3点です。取り方を書けない報告は、公開情報だけだったことの裏づけにもなりません。逆に、取り方が書いてあれば、内容が正しいかどうかとは切り離して、集め方だけを先に点検できます。この記事の残りは、その点検を工程ごとに具体化したものだと考えてください。

線は2本ある。法律の線と、規約の線

集め方の判断が難しく感じられるのは、性質の違う2本の線を1本だと思って見ているからです。一方は法律の線で、もう一方は利用規約という契約の線です。この2つは、決まり方も、破ったときに起きることも、判断する人も違います。

法律の線規約の線
何で決まるか条文と、事実の当てはめ相手のサイトや契約に書かれた文言
破ると何が起きるか差止め・損害賠償、場合により刑事の問題契約違反の責任・利用停止・取引への影響
相手が黙っていたら違法な状態は消えない追及されないこともあるが、消えてはいない
社内で判断する人法務。条文の当てはめが要る現場でも読めるが、解釈は法務に確認する
AIに任せられるか任せない。当てはめは人が持つ条項の抽出まで。結論は人が出す

表のとおり、法律に触れていなくても規約には触れている、という状態が普通に起きます。自動的な手段での取得を禁じているサイトからAIに読み取らせる場合がこれに当たります。逆に、規約に何も書かれていなくても法律の線に触れることがあります。登録の内側に他人の資格で入るような場合です。どちらか一方を確かめただけで済ませると、必ずもう一方が残ります。

作業を6つの工程に割ると、触れる場所が見える

現場で判断が止まるのは、「この情報は使ってよいか」という聞き方をしているからです。情報を主語にすると、同じ数字でも答えが変わるので、いつまでも結論が出ません。主語を情報から作業に変えると、線が見えます。AIを使った競合調査は、おおむね次の6つの工程に割れます。

工程やっていること主に触れる線
1 見つけて読む検索して開き、AIに読ませて整理させる著作権の線(情報解析の扱い)
2 機械で集める巡回して大量に取得し、蓄積する規約の線と、相手の設備への負荷
3 登録の内側会員ページや資料請求の内側を見る法律の線(識別符号の扱い)
4 有料の情報を渡す買った資料をAIに読ませる契約の線(提供の範囲)
5 人から受け取る元従業員・取引先・顧客から話が来る法律の線(営業秘密の取得)
6 出力を使うAIが出した内容を資料に載せる出どころが確かめられない問題

工程で割ると、担当者が自分で判断してよい範囲と、法務に上げる範囲が分かれます。工程1と工程2は、やり方を決めておけば現場で回せます。工程3と工程5は、その場で判断させてはいけない工程です。工程4は契約を読む必要があり、工程6は仕組みの問題なので、確認の手順で対処します。以下、順に見ていきます。

工程1:見つけて読む——読ませること自体はどこまでか

公開されているページをAIに読ませて、要点を抜き、比較して分類させる。競合調査でいちばん量が多いのがこの作業です。著作権法の第30条の4は、著作物に表現された思想または感情を自ら享受し、または他人に享受させることを目的としない場合には、必要と認められる限度で利用できると定めています。同条の第2号には情報解析が挙げられており、多数の著作物その他の大量の情報から要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことがこれに当たります。

ただし、同じ条文にはただし書きがあります。著作物の種類および用途、利用の態様に照らして、著作権者の利益を不当に害することとなる場合はこの限りでない、という内容です。ここが実務の分かれ目になります。読ませて分類させるところまでと、読ませた文章をそのまま自社の資料に貼るところでは、目的が変わります。整理のために読ませるのと、読ませたものを表現として使うのは、別の工程として扱うと考えてください。

実務で気をつけるのは3点です。第一に、要約させた結果を引用のつもりで資料に貼らないこと。要約は原文ではないので、出どころを書いても引用にはなりません。第二に、解析のために売られているデータの集まりを、そのまま取り込む形にしないこと。第三に、社外に出す資料では、AIに整理させた文言ではなく、原典を自分で確かめてから書き直すこと。工程1でこの3つを守っておくと、工程6の確認が軽くなります。

工程2:機械で巡回して集める——速さが規約に触れる

人が1ページずつ開いて読むのと、仕組みが毎分何十ページも取りに行くのでは、相手の設備にかかる負荷がまったく違います。ここが、読むことと集めることの境目です。多くのサイトは利用規約に、自動的な手段による情報の取得を禁じる条項を置いています。規約は契約の内容になるので、法律の線とは別に残り続けます。

相手が巡回を断る意思を示している場合もあります。それを無視して回し続けると、契約違反の議論に加えて、相手の業務を妨げたという話になり得ます。断られているのに続けたという事実は、あとから記録として残ることも覚えておいてください。なお、自社が受け手として巡回を断るかどうかの設計は、この記事とは別の論点になります。

集める側の実務では、次の4つを先に決めておくと迷いません。取りに行く間隔と時間帯を決める。同じページを何度も取りに行かない。取得したものを社外に再配布しない。そして、どのサイトを対象にするかを一覧にして残す。特に最後が抜けがちです。対象の一覧がないと、後から「どこから取ったのか」を説明できなくなり、工程6の問題に直結します。

工程3:登録の内側に入る——ここは規約ではなく法律

会員登録が要るページ、資料請求をした人だけが見られる資料、有料の会員向けの記事。この内側に入る話になると、判断の性質が変わります。不正アクセス禁止法は平成11年法律第128号で、第2条第4項第1号は、他人の識別符号を入力して、制限されている利用ができる状態にする行為を不正アクセス行為と定めています。第3条がこれを禁じ、第11条は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定めています。

実務で起きやすいのは、社内での貸し借りです。同じ法律の第5条は、業務その他の正当な理由による場合を除いて、他人の識別符号を第三者に提供してはならないと定めています。第12条第2号では、相手に不正アクセスの目的があることを知って提供した者に、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。「あの人の会員アカウントを借りて競合のページを見る」という頼み方は、頼まれた側も巻き込みます。

自分で登録して入る場合も、確認するところがあります。その規約が、競合する事業者の利用を認めていないことがあります。所属や目的を偽って登録すれば、規約の線を超えるだけでなく、取得の手段そのものが問われます。工程3は現場で判断させず、登録する前に法務に上げる、と決めておくのが実務としては一番早い進め方です。

工程4:買った情報・有料の情報をAIに渡す

調査会社のレポート、業界の名簿、有料のデータベース。これらは代金を払って手に入れていますが、払ったから自由に使えるわけではありません。契約や規約で、閲覧できる人の範囲、社内で共有してよい範囲、第三者に提供してはいけない範囲が決められているのが普通です。

生成AIに読ませる行為が、その「第三者への提供」に当たるかどうかは、使っている道具の契約と設定で変わります。入力した内容が外に出ない構成になっているのか、事業者側で保管されるのか、学習に使われる設定になっていないか。ここを確かめる前に有料の資料を渡してしまうと、後から取り消せません。有料の資料は、AIに渡してよいものと渡してはいけないものを、置き場ごと分けておくのが現実的です。

なお、買った資料を記事や提案書に載せるときの引用と転載の線引きは、この記事とは別の論点です。ここで決めたいのは「AIという道具に読ませてよいか」の一点だけで、その答えは資料の中身ではなく契約に書かれています。購入時に、社内での利用範囲と外部サービスへの入力の可否を確認し、記録に残しておくと、毎回の判断がなくなります。

同じ「買う」でも、競合の製品そのものを買って中身を調べる場合は、別の考え方になります。営業秘密管理指針は、製品を解析して情報を抽出できる場合について、抽出の難易度で結論が分かれると書いています。誰でもごく簡単に解析できてしまうなら、市販したことで公開したに等しいとされ、公然と知られていないという性質は失われます。逆に、特殊な技術をもって相当な期間を要するのであれば、市販されていてもその性質は失われません。買って調べること自体を止める話ではありませんが、解析で分かったことを社外の資料に書くときは、相手側にまだ保護が残っている前提で扱うほうが安全です。社内の検討に使うところまでと、外に出すところで線を分けておきます。

工程5:人から流れてくる情報——取りに行かなくても主体になる

集め方の話でいちばん見落とされるのが、自分から取りに行っていない場面です。不正競争防止法の第2条第1項第4号は、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為を挙げています。これは取りに行った側の話です。しかし条文はここで終わりません。

同項第5号は、不正に取得された経緯が介在したことを知って、または重大な過失により知らないで取得・使用・開示する行為を挙げています。第6号は、取得した後にその経緯を知った、または重大な過失により知らなかった場合の使用・開示です。第8号と第9号は、守秘義務に反して開示された場合について、同じ組み立てを置いています。つまり、自分が盗んだわけでなくても、事情を知って受け取れば、自分が行為の主体になります

効き方も軽くありません。第3条で差止めを、第4条で損害賠償を請求できます。さらに第21条第1項第1号は、不正の利益を得る目的などで、詐欺等行為または管理侵害行為により営業秘密を取得した場合に、10年以下の拘禁刑もしくは2,000万円以下の罰金、またはその併科を定めています。なお、この法律が守る営業秘密とは、第2条第6項で、秘密として管理されている有用な情報であって公然と知られていないもの、と定義されています。守る側から見た条件の中身は、別の記事で扱っています。

「重大な過失により知らないで」が、実務ではいちばん効く

前の節で挙げた第5号・第6号・第8号・第9号に共通して置かれているのが、この「重大な過失により知らないで」という言い方です。知らなかった、では終わらない場面がある、ということを意味します。実務で危ないのは、出どころを聞かないという振る舞いです。聞けば分かったはずの状況で聞かなかった、という評価になり得ます。

この形になりやすい場面は決まっています。中途で入ってきた人が前職の資料を持ち込む。取引先の担当者が、別の取引先のことを具体的に話す。顧客が、競合から受け取った提案書や見積を見せてくる。どれも、こちらから頼んだわけではありません。だからこそ、受け取る側の対応を先に決めておく必要があります。

受け取ってしまったときの初動は3つです。使わない。複製しない。どこに入ったかを特定する。ここで問題になるのが生成AIです。AIに読ませてしまうと、消す先が一気に増えます。会話の履歴、社内で共有された要約、それを元に作った資料。判断がつかないものは、AIに入れる前に止める、という順番にしておきます。採用の場面では、選考の案内に「前職の資料は持ち込まないでほしい」と先に書いておくのが確実です。

展示会と商談で聞いた話は、どこから危なくなるのか

展示会で展示されているもの、配られている資料、ブースで説明されている内容は、相手が公開しています。それを見て、聞いて、社内で共有すること自体に問題はありません。名刺を出して名乗り、通常の来場者として聞いている限り、工程1と同じ扱いになります。では、どこから性質が変わるのか。

変わるのは3つの場面です。所属や目的を偽って入る場面、相手が守秘の前提で話しているのを引き出す場面、そして相手の社員に「今の話を資料でもらえませんか」と持ちかけ、その社員が守秘義務に反して渡す場面です。最後の形は、前の節の第8号の話にそのままつながります。渡した側が義務に反していることを知りながら受け取れば、受け取った側が主体になります。

  • 名刺を出さない、所属を伏せて説明を受ける:取得の手段そのものが問われる形になる
  • 相手の社員に「この場だけの話で」と前置きさせて聞き出す:守秘の前提があることを自分で確認した形になる
  • 顧客が見せてきた競合の見積を写真に撮る:見せた側の義務違反に、こちらが乗る形になる
  • 聞いた話を出どころを伏せて社内資料に載せる:後から経緯をたどれず、判断のやり直しができない
  • 展示の内容をその場でAIに読み込ませ、会話の履歴だけに残す:どこで聞いたかが記録に残らない

裏返せば、実務でやることは単純です。名乗る。聞いた内容は、誰が、いつ、どの場で話したかと一緒に残す。この2つで、後から説明できる状態になります。記録があれば、疑われたときに経緯を示せますし、社内でも「この情報は使ってよいのか」の判断ができます。

工程6:AIが出した競合の情報は、出どころが分からない

ここまでの工程を守っても、最後に残る問題があります。AIの出力は、集め方の記録を持っていません。どのページから取ったのか、そのページが規約でどう定めていたのか、そもそも取りに行ったのか、学習した内容から書いたのか。出てきた文章を見ても、この区別がつきません。

出典が付いていても安心できません。その出典のページを開くと、書かれている数字が見当たらない、ということが普通に起きます。もっと危ないのは、「関係者によると」「元社員の話では」といった形の記述を、AIが要約の中で再現してしまう場合です。出どころを確かめられない情報は、集め方も確かめられません。つまり、工程5に該当するかどうかを判定できない状態になります。

対処は仕組みでやります。出どころが辿れない記述は、社外に出す資料に載せない。原典に当たれないものは落とす。落としたことを記録に残す。この3つを手順に入れておくと、判断が属人的になりません。落とした項目をあえて残しておくと、次に同じ調べ方をしたときに、同じところで詰まることに気づけます。

集めた後が、いちばん抜ける——保管と社内共有の線

集めた時点では問題がなくても、保管と共有のしかたで別の問題が起きます。相手の営業秘密が混じっている可能性のある情報を、社内の誰でも見られる場所に置けば、使用と開示の範囲が広がります。前の節で見たとおり、使用も開示も条文が挙げている行為です。

もう一方の向きもあります。自社が時間と費用をかけて組み立てた競合の一覧は、自社にとって守るべきものになります。不正競争防止法の第2条第7項は、限定提供データを、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積され、管理されている情報と定めています。管理していなければ、この保護は働きません。集めたものを管理する理由は、相手のためだけではないということです。

条文の作りも、2つの間で違います。営業秘密のほうは、不正な取得が介在したことを「知って、若しくは重大な過失により知らないで」取得した場合まで行為に含めていました。これに対し、限定提供データのほうは、同じ位置にある第12号が「知って」取得した場合だけを挙げており、重大な過失は入っていません。集めた側から見れば、扱っている情報がどちらなのかで、責任を問われる範囲そのものが変わるということになります。自社が組み立てた一覧を守りたいのであれば、相当量の蓄積と、管理しているという形を先に整えておかないと、そもそもこの保護の土俵に上がれません。次のチェックは、その両方を兼ねた形にしてあります。

  • 調査で集めたものは、通常の共有フォルダとは置き場を分ける
  • 1行ごとに、出どころ、取得日、取った工程を書く欄を持たせる
  • 見られる人を、調査の担当と決裁する人に絞る
  • 営業資料に貼るときは、出どころの記載ごと貼る
  • 受け取り方に疑問が残った情報は、専用の欄に分けて、使わないと明示する
  • 退職や異動のときに、置き場ごと引き継ぐ手順を決めておく

調べた事実と推測を分けて書かせる

AIは、分からないところも断定的に書きます。推測が事実の顔をして混ざるのが、競合調査でいちばん起きる事故です。「値上げを検討しているとみられる」という一文が、社内を回るうちに「値上げする」に変わります。これは精度の問題ではなく、書かせ方の問題なので、指示の側で防げます。

STEP1
集めてよい場所を、先に列挙して渡す

対象にするサイトと、その公開ページに限る、と指示に書きます。範囲を書かないと、AIは範囲を広げます。

STEP2
1行ごとに、出どころと取得した日を書かせる

出どころが書けない行は作らせない、と明示します。まとめて最後に出典を並べる形にしない。

STEP3
事実・推測・不明の3つに分けさせる

同じ表の中で列を分けます。推測には、何を根拠にそう考えたかを1行で書かせます。

STEP4
数字は原典の表記のまま写させる

単位と、いつの時点の数字かを必ず付けさせます。丸めたり換算したりさせない。

STEP5
出どころが書けないものは、落とさせる

落とした項目は別の欄に残させます。消すのではなく、落とした記録として残す形にします。

この5つを指示に入れておくと、返ってきたものを見た瞬間に、確かめるべき行がどれか分かります。全部を確かめる必要はなくなり、推測の欄と、出どころが弱い行だけを人が見ればよくなります。確認の時間が減ると、確認が続きます。

AIに判断させない範囲——適法かどうかは人が持つ

最後に、任せる範囲を決めます。AIは規約の文章を読んで、自動的な取得に触れそうな条項を抜き出すのが速いです。条項の一覧を作る、複数のサイトの規約を並べて違いを出す、社内の手引きと突き合わせて抜けを指摘する。このあたりは人がやると数日かかるものが半日で形になります。

一方で、その集め方が適法かどうかの判定は、人が持ちます。条文と事実の当てはめは、相手との関係、経緯、目的、これまでのやり取りで変わります。AIの出力には、それらが入っていません。適法という結論を、AIの出力を根拠にして社内文書に書かない。判断した人と、判断した日を、判断そのものと一緒に残します。

  • 適法かどうかの判定と、法務に上げるかどうかの判断は人が決める
  • 規約の条項の抽出はAIが速い。ただし抜き出した条項は、原文の場所を必ず書かせる
  • 工程3(登録の内側)と工程5(人から受け取る)は、現場で判断させず、必ず人に上げる
  • AIが出した情報のうち、出どころを辿れないものは使わない。落とした記録を残す
  • 調査の結論そのものをAIに書かせない。事実の整理と、推測の切り分けまでにとどめる

よくある質問

公開されている資料をAIに読ませるだけでも、相手の許可が要りますか

整理や比較のために読ませるところまでであれば、著作権法の第30条の4が挙げている情報解析に当たる場面が多いと考えられます。ただし同条にはただし書きがあり、著作物の種類や用途、利用の態様によっては当てはまらないことがあります。読ませた文章をそのまま資料に貼る場合は、目的が変わるため別の判断になります。迷う場合は、原典を自分で確かめて書き直す形にすれば、この論点を避けられます。

競合のサイトを、毎日1回だけ取りに行くのは問題ありませんか

回数の多さだけで決まる話ではありません。見るべきは、そのサイトの規約が自動的な手段での取得をどう定めているかと、取りに行った結果を何に使うかです。規約で禁じられていれば、1日1回でも契約の線には触れます。逆に禁じられていなくても、取ったものを再配布すれば別の問題が起きます。頻度の前に、規約の該当条項を確認してください。

元競合の社員を採用しました。前職のことを聞いてよいですか

本人の経験や考え方を聞くことと、前職の秘密として管理されていた情報を聞き出すことは別です。後者は、この記事で見た条文に当たり得ます。実務では、選考と入社の案内に、前職の資料を持ち込まないこと、前職の秘密を業務で使わないことを書面で確認しておく方法が取られます。本人を守ることにもなるので、先に伝えるのが双方にとって安全です。

調べた結果を営業資料に載せるとき、出どころはどこまで書きますか

社外に出す資料であれば、公開されている資料の名称と、いつの時点のものかまで書くのが基本です。社内だけで回す資料でも、出どころの欄は消さないでください。消した瞬間に、後から集め方を検証できなくなります。出どころを書けない情報が残るなら、それは載せるかどうかではなく、集め方を見直す合図だと考えてください。

まとめ

競合調査をAIに任せるときの要点は、情報を主語にせず、作業の工程を主語にして線を引くことです。工程1と工程2はやり方を決めれば現場で回せます。工程3と工程5は、その場で判断させてはいけない工程です。工程4は契約に答えが書かれており、工程6は確認の手順で対処します。そして、集めた後の保管と共有まで決めておかないと、前半をどれだけ丁寧にやっても抜けます。まずは、いま社内でやっている競合調査が、この6つのどの工程を含んでいるかを書き出すところから始めてみてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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