電話の一次対応はAIに任せられる?|取り次ぐ前に決める線

電話の一次対応はAIに任せられる?|取り次ぐ前に決める線

「電話が鳴るたびに、手が空いている人が取っている。作業が細切れになって進まない」「かかってくる電話の半分は、担当者に回すだけで終わっている」——人数の少ない部署ほど、代表電話を誰が取るかは重い問題です。そこで持ち上がるのが、最初の受け答えを機械に任せる案です。ただし、これは電話をなくすための仕組みではありません。本当は、人が出るべき電話とそうでない電話を、鳴った時点で分けるための仕組みです。この記事では、何を任せてよく、どこから人が出るのか、その線の引き方を順に見ていきます。


カメ先生カメ先生

電話をAIに任せる、と聞くと、全部の電話を機械が処理してしまう話に聞こえるんだけどね。実際に効いているのは、取り次ぐ前の数十秒のところなんだ。


カメ子カメ子

取り次ぐ前、というのは、用件を聞くところですか。


カメ先生カメ先生

用件を聞くだけで、あとの動きが決まるところでね。どこの誰が、何の用で、急ぎかどうか。ここが分かれば、人は用件の分かった状態で出られる。逆に、ここで答えまで任せると事故になる。


カメ子カメ子

聞くところと、決めるところの間に線がある、ということでしょうか。


この記事のポイント
  • 電話の自動応答は電話をなくす仕組みではなく、人が出るべき電話を鳴った時点で分ける仕組み
  • 押して番号を選ぶ形から話しかけて通じる形に変わり、用件の聞き分けと要約が実用に入った
  • 金額・納期・契約の可否は答えさせない。聞き取れなかったときは必ず人に回す設計を先に決める

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目次

鳴るたびに手が止まる。電話が重いのは本数のせいではない

代表電話の負担を「1日に何本かかってくるか」で測ると、たいてい実感より小さな数字が出ます。それでも現場が重いと感じるのは、いつ鳴るか分からないことのほうが本数より効くからです。資料を作っている途中で鳴れば、戻るのに数分かかります。1本の通話が3分でも、失われる時間は3分では済みません。

次に、かかってきた電話の中身を1週間分だけ数えてみてください。多くの職場で、担当者に取り次ぐだけで終わる電話、営業の売り込み、住所や営業時間を尋ねるだけの電話が、合計でかなりの割合を占めます。つまり負担の中心は、話し込む通話ではなく、取り次ぐまでの短い往復に集まっています

この見立てが正しければ、減らすべきものは通話時間ではありません。「誰が、何の用で、急いでいるか」を確かめるまでの往復です。ここを機械に任せられれば、人が出るのは用件が分かった状態からになります。電話を減らすのではなく、電話に出る位置を後ろにずらす、と考えたほうが設計を間違えません。

押して番号を選ぶ自動応答が、あまり好かれなかった理由

番号を押して用件を選ぶ形の自動応答は、以前から広く使われてきました。それでも評判がよくないのは、かける側の体験がはっきり悪いからです。選択肢を最後まで聞かないと選べない、聞いているうちに最初の選択肢を忘れる、押し間違えても戻れない、そして自分の用件が選択肢のどれにも当てはまらない

その結果として起きるのが、代表につながる番号を押す人の増加です。分けるために作った仕組みが、分けられずに人へ流し込む装置になります。ここで分岐を細かくしても解決しません。選択肢を増やすほど読み上げは長くなり、途中で切られる確率が上がります。分岐の設計だけで解こうとした時点で、行き止まりです。

もう一つ見落とされがちなのが、この形では用件の中身が何も記録されないことです。番号を押した記録は残っても、相手が何に困っていたかは残りません。取り次いだ先で相手はもう一度、最初から用件を説明することになります。かける側の徒労感の多くは、この二度手間から来ています。

話しかけて通じる形は、どこが変わったのか

いま実用に入っているのは、選択肢を押させずにそのまま話してもらう形です。変わった点は2つあります。1つは音声を文字に変える精度が上がったこと。もう1つは、文字になった内容から用件の種類を推定できるようになったことです。あらかじめ想定した言い回しでなくても、意図の側から分類できます。ボイスボットと呼ばれるのは、おおむねこの形を指します。

実務上より効くのは、2つ目の変化です。「先週注文した品の納期を知りたい」と「注文した品がまだ届かない」は、言葉としては近いのに、回す先も緊急度も違います。言い回しではなく用件で分けられるようになったことが、取り次ぎの質を変えました。加えて、聞き取れなかった箇所だけを聞き返せるようになり、最初から全部言い直させる必要がなくなっています。

ただし、ここで解けたのは「聞き取る」ことと「振り分ける」ことであって、「答える」ことではありません。聞き取りの性能が上がったことと、答えてよいかどうかは別の問題です。この2つを混ぜたまま導入すると、聞き取れたのだから答えられるはずだ、という発想で回答の範囲が広がり、事故につながります。

それでも聞き取れない条件がある

聞き取りが落ちる条件は、おおむね決まっています。背後の雑音(工場、屋外、走行中の車内)、早口、こちらの発話に被せて話す場合、そして固有名詞です。とくに社名と製品名は、辞書に入っていなければ正確に文字にはなりません。数字の読みも取り違えの元で、ゼロとオー、イチとヒトのような読み分けは環境によって崩れます。

漢字の社名は、読みが一意に決まらない点でさらに厄介です。同じ表記でも読み方が複数あり、かけてきた本人の読み方が正しい読み方です。ここを機械が確定させようとすると、聞き返しが増え、相手の忍耐を削ります。実務では、社名は聞き取れた音のまま担当者に渡すと割り切ったほうが早く回ります。

そして最も重要なのは、「聞き取れなかった」を失敗として扱わないことです。2回聞き返して確定できなければ人に回す、という分岐を先に決めておきます。この分岐がないと、機械は聞き返しを繰り返し、相手は3回目で切ります。聞き取れないことは正常な状態の一つであり、そのための出口を用意することが設計の中身です。

任せてよい用件と、任せてはいけない用件

線引きの基準は単純です。答えが変わらない事実は任せてよく、状況によって変わる事実と、約束になる言葉は任せてはいけない。この基準で自社の受電内容を仕分けると、多くはどちらかにはっきり寄ります。迷う用件が出たら、それは任せてはいけない側です。

用件の種類任せてよいか理由
営業時間・所在地・アクセス任せてよい答えが固定されており、間違えても訂正が容易
担当者への取り次ぎ任せてよい用件を聞いて振り分けるだけで、判断を含まない
資料の送付先の聞き取り任せてよい聞き取った内容は人が確認してから送れる
在庫の有無・出荷の予定日任せない状況で変わり、その場の回答が期待を作ってしまう
金額・値引きの可否任せない権限の問題であり、口頭でも約束として扱われる
契約の可否・解約の受付任せない後戻りできない手続きで、本人確認も必要になる
苦情・不具合の申し出任せない初動の対応が結果を左右し、感情の把握が要る

表の右側に共通しているのは、その場で言い切ってしまうと後戻りできないという性質です。電話は文字と違い、言った内容が残らないまま相手の記憶に残ります。だから任せない用件は、機械の側で「答えない」と明示的に設計しておく必要があります。答えられない場合の既定の受け答えを1つ決め、そこへ必ず落ちるようにしてください。

用件の聞き分けと振り分けを任せる

振り分けの区分は、細かくするほど当たらなくなります。まずは4つで十分です。はじめての問い合わせ、既存の取引先からの照会、営業の売り込み、急ぎの申し出。この4つに分けられれば、回す先はほぼ決まります。

実際の聞き取りでは、最初の一言だけで分かることは多くありません。だから聞く順番を決めておきます。会社名と名前、はじめての連絡かどうか、用件、この3つで大半が確定します。質問は3つまで。それ以上は相手の忍耐を超えます。既存の取引先だと分かった時点で、担当者に回す判断ができるなら、用件を聞かずに回してしまってよい場合もあります。

営業の売り込みをどう扱うかは、必ず先に決めてください。断るのか、担当部署の受付として要件だけ残すのか、折り返しの連絡先だけ聞くのか。ここを決めずに始めると、判断のつかない通話がすべて人へ流れ、導入前と何も変わりません。断ると決めたなら、断り方の言葉も1つに固定しておきます

話した内容の要約を、担当者に渡す形にして残す

取り次ぎの価値は、つなぐことではなく、用件が分かった状態でつなぐことにあります。会社名、担当者名、連絡先、用件、急ぎかどうか。この5つが文字で担当者の手元に届いていれば、折り返す前に必要な資料を用意できます。同じ内容を相手にもう一度話させずに済むことが、かけた側の満足に直結します。

要約を作らせるときの注意は一つです。要約だけでなく、聞き取れた発言の原文も一緒に残させます。要約は情報を落とす作業なので、落ちた部分は要約からは見えません。原文が併記されていれば、担当者は違和感のあった箇所だけを確認できます。原文といっても、聞き取れた文字列がそのまま並んでいれば十分です。

もう一つ決めておきたいのが、要約に書かせないことです。推測を書かせないのが原則になります。「おそらく前回と同じ品目の追加注文と思われます」のような一文が混ざると、担当者はそれを事実として読み、確認せずに動きます。相手が言っていない内容は書かせず、言っていないことは空欄のまま残させてください。空欄が並ぶ要約は不格好ですが、埋まっている誤りより安全です。

残す先は、担当者が普段見ている場所にします。専用の画面を新しく開かせると、見ない人が出ます。既存の連絡手段に流し込むだけでも、実務上はほとんど困りません。届いたことに気づける場所かどうかが、要約の質より効きます。

その場で答えてよい照会の範囲を決める

その場で答えさせてよいのは、時間が経っても変わらない事実だけです。営業時間、所在地と最寄り駅、受付の締め時間、資料の請求方法。これらは一覧にして、更新の担当者を決めておきます。年末年始の休業のように年1回変わる項目こそ、更新を忘れると誤った案内が続きます。

逆に、在庫の有無や出荷の予定日は、変わる事実です。ここを答えさせると、答えた時点の状態が相手の期待として固定されてしまいます。在庫と納期の照会は、一次回答までに留めて確定回答は人が出す、という線が実務では安全です。一次回答とは「担当から本日中に折り返します」であって、数量や日付ではありません。

答えてよい項目の一覧は、増やしたくなります。よく聞かれる質問が見えてくるからです。増やすなら条件を一つ付けてください。誤って答えたときに、電話1本で訂正できる範囲かどうか。訂正のために謝罪や再手配が要る項目は、どれだけ頻度が高くても人が答える側に置きます。

電話で答えさせてはいけないこと

金額、納期、契約の可否。この3つは、電話では特に重く扱う必要があります。文字のやり取りと違って記録が相手の手元に残らないため、言った・言わないの食い違いが起きたときに、こちらの側に不利が寄ります。機械が答えた内容であっても、相手にとっては会社が答えた内容です。

取り次ぐかどうかを機械だけで決めない、という線は、公的な指針の側からも支えられます。総務省と経済産業省が2026年3月31日に公表した「AI事業者ガイドライン」第1.2版は、AI単独で判断させるのではなく適切なところで人の判断を挟む使い方を検討すべきこと、そのときに人の判断が自動化バイアスに流されないような対策を講じるべきことを挙げています。ここでいう自動化バイアスとは、同ガイドラインの説明によれば、判断や意思決定の場面で自動化された仕組みを過度に信頼したり頼ったりしてしまう現象です。

同じガイドラインは、承認する側についても踏み込んでいます。AIの評価や判断を人間が承認する際には、人間自身が承認する理由や根拠を独自に考えてから承認すべきである、という趣旨です。電話の一次対応に置き換えれば、担当者に渡す要約にはそう聞き取った根拠となる発言が併記されているべきだ、ということになります。要約を読んで頷くだけの確認は、確認になっていません。

取り次ぎの設計(何秒待たせるか・折り返し・時間外)

設計で最初に決める数字は、待たせる時間です。用件を聞き終えてから担当者につながるまでの間、相手は無音か保留音を聞いています。ここが長いと切られます。何秒待たせるかを決め、その秒数を超えたら折り返しに切り替える、という分岐をあらかじめ用意してください。担当者が席にいるかどうかを機械は知らない、という前提で組みます。

折り返しの案内には条件が付きます。「本日中に折り返します」と言わせるなら、本日中に折り返せる体制が必要です。守れない約束を機械にさせると、かけた側の不満は、機械ではなく会社に向かいます。守れないなら「担当から折り返します」までに留め、時間を言わせないほうが誠実です。

営業時間外の扱いは、留守番の録音と何が違うのかを先に整理してください。時間外にできるのは、用件を聞き取って要約を残すところまでです。時間外に回答させないのは当然として、翌営業日の何時までに折り返すのかを案内するかどうかも決めておきます。案内しないほうが、実務では約束を守りやすくなる場合があります。

待たせている間に何を流すかも、地味に効きます。完全な無音は、切れたと勘違いされます。一方で長い保留音は、待ち時間の体感を伸ばします。実務では、短い間隔で状況を一言入れるのがいちばん切られにくい形です。「担当を呼んでおります」と定期的に入るだけで、待てる時間は目に見えて延びます。ここは仕組みの性能ではなく、単純な設定の問題なので、公開前に必ず自分の携帯からかけて確かめてください。

録音するなら、何をいつ伝えるか

録音するなら、冒頭で短く伝えます。伝える内容は2つで足ります。録音していること、何のために録音するのか。目的は「応対の記録と内容の確認のため」といった簡潔な表現で構いません。長い説明を先に流すと、用件に入る前に切られます。かける側は待たされることを嫌います。

録音した音声そのものの扱いは、社内で決めておく必要があります。どこに保存するか、どれくらいの期間残すか、社内の誰が聞けるか、外部の仕組みを使うならその事業者にどこまで渡るか。AI事業者ガイドラインもプライバシー保護の項で、個人情報保護法等の関連法令の遵守と、プライバシーポリシーの策定・公表を挙げています。録音を始める前に、この4つを紙に書き出しておくと後で揉めません。

実務でつまずくのは、告知そのものではなく告知の位置です。名乗りと録音の告知と用件の質問を続けて流すと、相手は最初の一言を聞き逃したまま話し始めます。告知は短く、質問の直前に置く。そして、録音を告げた直後に切られる通話が一定数出ることは、想定しておいてください。切られた理由は分からないので、そこを追いかけても答えは出ません。

AIが応答していることを名乗るかどうか

名乗るべきかどうかは、法律で決まっていない部分が残る実務判断です。名乗らないと、人と話していたつもりだった相手が後で事実を知り、不信につながることがあります。名乗ると、身構えられて短く済ませようとされることがあります。どちらにも副作用があるという前提で決めてください。

参考になるのは欧州の動きです。欧州のAI法は第50条で、自然人と直接やり取りすることを意図したAIについて、その自然人がAIとやり取りしていると知らされるように設計・開発することを提供者に求めています。ただし、事情と利用の文脈を踏まえて、合理的に事情を知り注意深い自然人から見て明らかである場合は除かれます。この規定は2026年8月2日から適用されています。日本の法律に同じ義務はありませんが、AI事業者ガイドラインも透明性の項で、AIを利用しているという事実と活用している範囲を情報提供の対象に挙げています。

実務としては、名乗る側に寄せるほうが無難です。名乗り方は短くしてください。「自動音声でご用件をうかがいます」程度で十分で、仕組みの説明は不要です。そのうえで、人に代わってほしいといつでも言えることを、最初に一言添える。逃げ道を先に見せておくと、相手は安心して用件を話し始めます。

この「逃げ道を用意する」という発想は、思いつきではありません。AI事業者ガイドラインは利用者支援の項目として、選択の機会の判断のための情報を適時かつ適切に提供する機能が使える状態にすることを挙げ、その例として初期設定、理解しやすい選択肢の提示、意見を返す手段、緊急時の警告、うまくいかなかったときの対処を並べています。電話の自動応答に置き換えれば、名乗り方、途中で人に代わる言い方、聞き取れなかったときの行き先が、この項目にそのまま対応します。相手が困ったときにどうすればよいかを最初に示しておくことは、丁寧さの問題ではなく設計の要件だということです。

かけてきた人が怒る場面と、その手前で人に渡す合図

怒りが生まれる場面は、だいたい3つに絞られます。2回目の聞き返しをされたとき、機械だと気づいた瞬間、急いでいるのに手順の説明を聞かされたとき。いずれも「自分の用件が扱われていない」と感じる場面です。逆に言えば、この3つの手前に人へ渡す出口を置けば、怒りの多くは表に出る前に回収できます。

渡す合図は、完璧に検知する必要がありません。声が大きくなる、同じ語を繰り返す、人を出してほしいという趣旨の言い方をする。この程度の手がかりで即座に人へ回すようにします。誤って人に回してしまうことのほうが、怒っている相手を機械が抱え込むことよりはるかに安いからです。判定を厳しくして取りこぼす設計は、この場面では逆効果です。

さらに、苦情や不具合の申し出は最初から機械に受けさせない、という選択もあります。かけてくる相手は、こちらの区分を知りません。それでも、冒頭で「不具合のお申し出はそのままお話しください」と伝えて即座に人へ回す経路を作っておけば、実質的に分けられます。初動の質が結果を左右する用件は、効率化の対象から外す。これは判断ではなく方針として先に決める事項です。

入れる順番は、1つの用件から

最初から全部の着信に被せるのは、失敗の近道です。用件の種類ごとに当たり外れが違うため、まとめて入れると何が効いて何が効かなかったのかが分かりません。1つの用件から始めます。営業時間外だけ、あるいは担当者への取り次ぎだけ、というように範囲を狭く切ってください。

STEP1
1か月分の着信を数え、用件を分類する

受電の記録を用件で分類します。記録がなければ1か月かけて手で数えます。この作業自体が、任せる範囲を決める材料になります。

STEP2
いちばん件数の多い用件を1つ選ぶ

件数が多く、かつ答えが変わらない用件を選びます。件数が多くても在庫や金額に関わる用件は選びません。

STEP3
その用件だけを自動応答に載せ、他は人に回す

選んだ1つ以外は、これまでどおり人が受けます。分岐は増やさず、判断がつかない通話はすべて人へ落とします。

STEP4
1か月測り、広げるか戻すかを決める

次の項で挙げる3つの数字を測ります。広げる判断も戻す判断も、この数字を根拠にします。担当者の体感だけで決めないことが重要です。

  • 最初から全着信に被せる(何が効いたのか分からず、苦情だけが集まる)
  • 分岐を細かく作り込んでから公開する(外れたときの修正量が大きくなる)
  • 在庫や金額の照会を最初の用件に選ぶ(答えが変わる用件で信頼を落とす)
  • 聞き取れなかったときの出口を決めずに公開する(聞き返しが繰り返され切られる)
  • 通話時間の短縮だけを目標に置く(聞き返しを削って誤った取り次ぎが増える)

測る数字を3つだけ決める

測る数字は3つで足ります。正しい担当者に取り次げた割合、途中で切られた割合、折り返しになった件数。いずれも定義を先に決めてください。とくに「正しい担当者」の定義は曖昧になりやすいので、取り次いだ先でさらに転送された通話は失敗として数える、といった形で機械的に判定できるようにします。

この3つのうち、いちばん見るべきは切られた割合です。しかも全体の数字ではなく、どの段階で切られたかを分けて見ます。冒頭の名乗りの途中か、用件を聞かれる前か、聞き返しの後か。段階が分かれば、直すべき箇所も決まります。冒頭で切られているなら告知が長すぎ、聞き返しの後で切られているなら人へ渡す出口が遅すぎます。

測り始める前に、分母を決めておいてください。自動応答が受けた着信だけを数えるのか、代表番号への着信すべてを数えるのかで、同じ取り組みの評価が反対になることがあります。分母は代表番号への着信全体に置くのが安全です。自動応答が受けた分だけを見ると、途中で人に落ちた通話が視界から消え、実態より良い数字が出ます。分母の定義は最初に紙に書き、途中で変えないこと。変えた瞬間に、前月との比較ができなくなります。

  • 通話時間の短縮を目標に置かない。聞き返しを減らす方向に働き、誤った取り次ぎが増える
  • 取り次ぎの成功率だけを追わない。判断のつかない通話をすべて人に回せば数字は良くなる
  • 1か月未満で判断しない。用件の種類は月内で偏るため、短期間の数字は当てにならない
  • 苦情の件数は数字に混ぜず、内容を1件ずつ読む。件数が少なくても設計の欠陥を示している

よくある質問

かかってくる電話を、全部自動で受けられますか

技術としては受けられますが、実務として勧められません。金額・納期・契約の可否のように、その場の回答が約束になる用件が必ず混ざるからです。全部受けさせるのではなく、受けたうえで人に回す設計にしてください。全自動を目指した結果として苦情が増え、元に戻す例は珍しくありません。

相手が高齢の方だと、通じないのではありませんか

年齢そのものより、話す速さと間の取り方の影響が大きいのが実情です。ゆっくり話す相手には有利に働くこともあります。ただし、聞き返しを重ねると相手が困るのは共通なので、聞き返しは2回までで人に回すという線を引いておけば、どの相手でも破綻しません。

代表番号ではなく、担当者の携帯にかかってくる電話はどうしますか

その電話は対象外です。個人の携帯にかかる電話は、相手が担当者を知っている電話なので、そもそも取り次ぎが要りません。自動応答で扱うのは代表番号に来る電話に限る、と最初に決めておくと、範囲の議論で迷わなくなります。

導入したら、人を減らせますか

人を減らす目的で入れると、たいてい失敗します。減るのは取り次ぎのための往復であって、担当者が実際に対応する時間ではありません。浮いた時間を何に使うかを先に決めておくほうが、社内の納得は得やすくなります。人員の削減を目的に掲げると、現場は不具合を報告しなくなります。

聞き取れなかった電話は、どうなるのですか

設計しだいです。何も決めていなければ、聞き返しが繰り返されて相手が切ります。だから「2回聞き返して確定できなければ人に回す」「人が出られなければ折り返しの連絡先だけを聞き取る」という順番を先に決めておきます。聞き取れないことは異常ではなく、想定内の分岐です

まとめ

電話の一次対応を機械に任せる話は、電話をなくす話ではありません。人が出るべき電話とそうでない電話を、鳴った時点で分ける仕組みです。番号を押させる形から話しかけて通じる形に変わったことで、用件の聞き分けと要約が実用に入りました。ただし解けたのは聞き取りと振り分けであって、答えることではありません。答えが変わらない事実は任せてよく、状況で変わる事実と約束になる言葉は任せない。この基準で用件を仕分けたうえで、聞き取れなかったときの出口、待たせる秒数、折り返しの言い方、時間外の扱い、録音の告知、名乗るかどうかを、公開する前に決めておいてください。AIには聞き取りと要約までを任せ、聞き取れた発言の原文を必ず併記させ、金額と納期と契約の可否は人が答える。測るのは取り次げた割合と切られた割合と折り返しの件数の3つだけで十分です。まずは1か月、かかってきた電話の用件を手で数えるところから始めてください。任せてよい用件が1つ見つかれば、そこから始められます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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