BtoBの市場は業種で切るか課題で切るか|AIで仮説を作る

「狙う業種は決まっているのに、リストにすると数千社になって、どこから当たるかが決まりません」「業種ではなく課題で切れと言われたのですが、課題で切ると今度は相手の探し方が分からなくなります」——法人向けの商材を扱うマーケティング担当と、その予算を決める立場の方から、続けて出てくる言葉です。この二つは別の悩みに見えて、根は同じところにあります。業種で切るか課題で切るかは、どちらが正しいかを選ぶ問題ではなく、どちらを先に置くかを決める問題です。この記事では、これから狙う市場をどう切るか、切ったものが使えるかをどう測るか、その仮説作りにAIをどこまで使ってよいかを整理します。
カメ先生市場の切り方はね、細かく切るほど良いと思われがちなんだ。でも実際に細かく切った会社で起きるのは、当てる先が足りなくなって、翌月には切る前の一覧に戻るということなんだよ。
カメ子細かく切ると、かえって動けなくなるということですか。
カメ先生そうなるね。切るというのは狙う市場を減らす作業だから、減らした後に残った社数と、その相手にたどり着く道が残っていないと使えない。だから切り口を決める前に、数えられるか、探せるかを先に見るんだ。
カメ子切ってから確かめるのではなく、切る前に数えられるかどうかを見る、という順番なんですね。
- 業種は数えやすく探しやすい。課題は刺さるが探しにくい。先に業種や規模で枠を作り、中を課題で分けるのが現実的
- 切ったセグメントは、優先順位・実在する規模・たどり着く道・反応を測れるかの4つで測る。1つ欠けると施策が回らない
- AIに出させてよいのは切り口の候補と根拠の素案まで。社数の確定と採否の判断は人が持つ
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業種で切るか課題で切るかは、二者択一の問題ではない
社内の議論は、たいてい二択の形で始まります。製造業に絞るのか、それとも在庫の欠品に困っている会社に絞るのか。前者を選べば営業の当てる先ははっきりしますが、話す内容が相手ごとにばらけます。後者を選べば話す内容は決まりますが、今度はその会社をどうやって見つけるのかが誰にも答えられません。
この二つは、性質の違う道具です。業種は外から見える印であり、課題は買う理由です。外から見える印は数えられて探せますが、買う理由までは決めてくれません。買う理由は提案の言葉を決めてくれますが、それだけでは相手の一覧を作れません。どちらか一方だけで市場を切ろうとすると、必ず片側が欠けます。
BtoBの分野で市場の切り方をまとめている才流は、切り口を企業特性・ビジネスモデル・部署や職種・役職や決裁権の4つに整理したうえで、業界や企業規模だけで切られる例が多いがそれだけでは戦略の立案には足りないと書いています。必要な視点は自社都合の分類ではなく、買う理由が発生する企業群という見方です。つまり求められているのは選択ではなく、2種類の切り口を順番に重ねる作業です。
業種で切ると、手に入るものと落ちるもの
業種で切る最大の利点は、数えられることです。日本標準産業分類は令和5年(2023年)7月に第14回の改定が行われ、令和6年4月1日から施行されています。大分類から細分類まで段階のある公的な分類なので、どの段階で切るかを決めれば、外部の企業データベースで対象の社数を引けます。予算を決める会議に持ち込めるのは、社数が数えられている切り口だけです。
到達の道も作りやすくなります。業界の専門誌、業界団体の名簿、展示会、業種別の検索語。どれも業種という印がついているから使えるものです。営業の担当割りも業種なら引けますし、同業種の導入事例を出せば相手の側でも読み替えの手間が減ります。
落ちるのは、買う理由の揃い方です。海外のBtoB調査を手がけるブランドスピークは、企業属性による切り方を最も一般的としながら、洞察と実用性が足りないことが多いと指摘しています。同じ業種で従業員数も近い2社が、片方は導入の決裁に3か月かけ、片方は現場の判断で翌週に決めるということが普通に起きます。業種はその差を説明しません。
課題で切ると、手に入るものと落ちるもの
課題で切ると、提案の言葉が決まります。「月末の請求処理が3日かかっている」という切り方をした瞬間に、資料の1ページ目に何を書くか、初回の打ち合わせで何を聞くかまでが自動的に決まります。相手の側でも、自分たちのことだと分かるまでの時間が短くなります。
落ちるのは、探し方です。才流が挙げている失敗例は分かりやすいものでした。「転職したい人」「ホームページをリニューアルしたい企業」。どちらも困りごととしては正しいのに、そもそもその相手をどう探すのかが見えません。課題は相手の頭の中にあるので、外から数えることも、名簿として取り出すこともできません。
だから課題で切るときは、外から見える印に言い換える作業が必ず要ります。才流が示している改善例は、転職したい人を転職が活発な業界の従事者に置き換え、リニューアルしたい企業を通信が暗号化されていないサイトや、スマートフォンでの表示に最適化されていないサイトを持つ企業に置き換えるというものでした。課題を、外から観測できる状態に翻訳できたときだけ、課題は切り口になります。
BtoBで使われる切り口を、横に並べて比べる
実務で使われる切り口は、大きく6種類ほどに収まります。それぞれ、手に入るものと弱いところがはっきり分かれています。1本だけ選ぶのではなく、どれを枠に使い、どれを中の仕切りに使うかという目で読んでください。
| 切り口 | 手に入るもの | 弱いところ |
|---|---|---|
| 業種・業界 | 公的な分類があり社数を数えられる。名簿や媒体がある | 同じ業種でも買う理由が揃わない |
| 従業員数・売上規模 | 予算の大きさと決裁の重さが揃う | 同じ規模でも決める速さが違う |
| 事業の形・商流 | 直接使う側か、売る側かで提案の出し方が決まる | 同じ商流でも扱う商材で事情が違う |
| 部署・職種 | 提案の宛先と読む人が決まる | 全社にまたがる課題を拾えない |
| 役職・決裁権 | 誰に出すかと、どこまで話せるかが決まる | 異動で崩れるため作り直しが要る |
| 抱えている課題 | 資料の1ページ目に書く言葉が決まる | 外から見えず、そのままでは探せない |
| 利用状況・使っている仕組み | 今すぐ動く先が分かる。乗り換えの時期も読める | 調べる手段を別に用意する必要がある |
表を縦に見ると、上の5つは探せるが刺さらない、下の2つは刺さるが探せないという並びになっています。この対称性が、業種か課題かという議論が終わらない理由です。どちらにも欠けているものがあるので、片方だけを選んだ人は必ずもう片方の不足に突き当たります。
3行目の商流は、日本のBtoBで見落とされやすい切り口です。才流も切り口の1つにビジネスモデルを挙げています。同じ商材でも、自分たちで使う事業会社と、それを他社に売る立場の会社とでは、聞きたいことも決裁の通り方も違います。この2種類が混ざった一覧に同じ資料を送ると、どちらにも刺さらない文面になります。枠を作る段階で分けておけば、後の作り分けが1回で済みます。
切り口は重ねて使う。重ねる順番で残る市場が変わる
実務で機能する形は、ほぼ決まっています。先に外から見える印で枠を作り、その枠の中を買う理由で仕切るという順番です。業種と規模で母集団を確定させてから、その中で「請求処理に時間がかかっている会社」を見分ける条件を足していく。こうすると、母集団の社数が最初から分かった状態で作業が進みます。
順番を逆にすると詰まります。課題から入ると、最初に出てくる集合の大きさが誰にも分かりません。分からないまま提案の資料を作り、広告の設定をしようとした段階で、当てる先の一覧が作れないことに気づきます。この手戻りは、資料が仕上がってから起きるので費用が大きくなります。
枠を作る側の切り口は、自社が実際に取引できる範囲で決めます。海外の案件に対応できない体制なのに地域を広く取れば、数えた社数が実態より大きくなります。枠の大きさは、市場の大きさではなく、自社が当てられる範囲の大きさで決める。ここを混ぜると、後の計画がすべて過大になります。
切ったセグメントが使えるかを測る4つの物差し
切り方の案が出てきたら、そのまま採用せずに測ります。実務で使われている物差しは4つです。優先順位がつけられるか(自社にとってどの順で狙うかが言えるか)、実在する規模があるか(社数と予算の規模が事業として成り立つか)、たどり着く道があるか(名簿・媒体・接点のいずれかで相手に届くか)、反応を測れるか(当てた結果の良し悪しを数字で見られるか)。
才流が挙げている評価の基準も、名前は違いますが同じ形をしています。測定可能性・到達可能性・利益確保可能性・実行可能性の4つです。測れるか、届くか、採算が合うか、今の体制で実行できるか。4つのうち1つでも欠けていると、そのセグメントは会議では通っても現場では回りません。
この測定を後回しにすると、切り方の議論が好みの言い合いになります。どの案が良さそうかではなく、どの案が4つを満たしているかで比べる。満たしていない項目がある案は、捨てるのではなく欠けている項目を埋める条件を足して作り直すのが正しい扱いです。たどり着く道が無い案なら、道が作れる印に翻訳できるかを試す。それができなければ、そこで落とします。
4つの中で最後まで残りやすいのが、採算が合うかどうかです。社数があり、探せて、反応も測れるのに、1件あたりの取引額が小さすぎて営業の人件費に届かないという形。これは切り方の問題ではなく、その市場に対する売り方の問題なので、切り直しても解決しません。採算で落ちた案は、売り方を変えられるかどうかを別に検討してから、採否を決める。ここを切り方の議論に混ぜると、良い切り口が採算を理由に何本も捨てられます。
いちばん多い失敗は「探せないセグメント」
4つの物差しのうち、実務で最も多く欠けるのは、たどり着く道です。切り方としては鋭いのに、その条件に当てはまる会社の一覧をどうやって作るのかが誰にも答えられない。この状態のまま予算がついてしまうと、施策が始まってから数か月分の時間が溶けます。
見分け方は単純で、その条件に当てはまる会社を3社、今この場で名前を挙げられるかを試します。挙げられないなら、それは探せないセグメントです。3社挙がっても、挙げた理由が「前から知っているから」だけなら、再現できる探し方が無いということなので同じ扱いになります。
翻訳の作業は、外から観測できる印を探すことに尽きます。求人票に書かれている募集職種、公開されている拠点数、使っている仕組みの痕跡、取得している認証、決算期の時期。買う理由そのものではなく、買う理由が発生しているときに外に出てくる印を探します。この印は完全でなくてかまいません。当たりの濃さが上がれば十分です。
切りすぎると、案件そのものが消える
細かく切るほど提案は鋭くなるので、切り方の議論は放っておくと細かい方へ流れます。ところが細かくすると、1つのセグメントに残る社数が減ります。残った社数が少なすぎると、年に何件の商談が見込めるかが計算できなくなり、投資の判断ができないという理由で、その案は会議を通らなくなります。
もう一つ起きるのが、作り分けの負担です。セグメントを6本持てば、資料も、広告の文面も、営業の話す順番も6通りになります。作り分けの手間は本数に比例して増えますが、成果は比例して増えません。少人数のマーケティング体制であれば、実際に回せる本数は2本から4本です。
切り方の頑健さにも下限があります。ブランドスピークは、調査にもとづいて切り方を作る場合、最低でも数百件の回答が必要だとしています。1社や2社の声から作った切り方は、その2社の事情を市場全体の話に読み替えているだけです。加えて同社は、切り方そのものを2年から4年ごとに更新すべきだとしています。一度決めた切り方を5年使い続けている状態は、それ自体が見直しの合図です。
切り方を決める5つの工程
ここまでの内容を、実際の作業の順番にします。すでに取引がある事業の場合は手元の記録から、新しく始める事業の場合は候補を作って聞きに行くところから始めます。どちらも最後は4つの物差しで落とします。
取引のある会社、失注した会社、止まったまま動いていない案件を1枚に並べます。並べる項目は取引の累計額、業種、相手の役職、問い合わせの経路、決まるまでの期間。ここでの目的は分析ではなく、切り口の候補を出すための材料集めです。
うまくいった案件だけを見るのではなく、失注した案件の側も同じ粒度で見ます。決まりやすい群と決まりにくい群の間で、何が違っているのか。この段階では5本から8本ほど、粗いままで候補を出します。
候補ごとに、当てはまる会社が何社あるのかを数えます。数えられない候補は、外から見える印に翻訳できるかを試します。翻訳できなければここで落とします。数えた社数は、後の計画の土台になるので出典も残します。
才流は新しく始める事業の場合、セグメントの候補ごとに3〜5名へ調査のための面談を行い、受注の可能性を評価する進め方を示しています。聞くのは商品の感想ではなく、その困りごとが本当に予算のつく困りごとなのか、誰が決めるのかです。
優先順位・実在する規模・たどり着く道・反応の測りやすさで落とします。残すのは2本から4本。落とした候補は消さずに、落とした理由を添えて残します。半年後に条件が変わったときに復活させるためです。
この5工程で最も飛ばされやすいのが3番目です。社数を数えないまま面談に進むと、良い話が聞けた候補がそのまま採用され、後から母集団が小さすぎたと分かります。数える工程は、聞きに行く前に置いてください。
AIに出させてよいのは、仮説の幅まで
切り口の候補を並べる作業は、生成AIが速い領域です。自社の商材の説明と、手元の案件の傾向を匿名の形で渡せば、思いつかなかった軸を含めて候補が出てきます。1人で考えると3本で止まるところが、10本から20本の幅で出てきます。狙う市場の仮説作りで、これは実際に効きます。
ただし、その先は性質が変わります。AIはその切り口に当てはまる会社が日本に何社あるのかを知りませんし、自社が実際にたどり着けるかも知りません。にもかかわらず、聞けばもっともらしい社数を書いてきます。ここで出てきた数字を会議資料に転記すると、根拠の無い市場規模が独り歩きします。社数の確定と、採否の判断は人が持つ。これが最初に引く線です。
渡し方にも決め方があります。候補を出させるときは、1件ごとに根拠を書かせると決めておきます。なぜその軸で切れるのか、その軸が外から観測できるとすればどの印か、その印はどこで手に入るか。根拠の欄が埋まらない候補は、そこで落とせます。根拠を書かせる指示を省くと、それらしい語が並ぶだけの一覧が返ってきます。
そして、人が確認する範囲を先に決めておきます。切り口の候補と根拠の素案まではAI、社数の確認と面談の相手選びと最終の採否は人。この線を作業を始める前に紙に書いておくと、途中で出てきた便利な出力に流されずに済みます。
AIに渡す材料と、渡してはいけない材料
仮説作りの精度は、渡す材料でほとんど決まります。商材の説明だけを渡しても一般論しか返りません。自社の案件の傾向を渡すと具体性が上がりますが、そのまま渡すと外に出せない情報が混ざります。渡す前に、材料を分けておいてください。
- 渡してよい:公表されている産業の分類、自社の商材と提供範囲の説明、公開済みの導入事例
- 渡してよい:社名と担当者名を外した失注理由の文面、業種と規模だけに丸めた案件の傾向
- 渡さない:取引先の社名と取引額が結びついた一覧、担当者の氏名や連絡先
- 渡さない:契約書の条文、見積書の原本、相手から秘密として受け取った資料
- 渡す前に決める:どの範囲まで丸めれば社名が復元されないか。1社しかない業種と規模の組み合わせは丸めても特定される
最後の項目は見落とされがちです。業種と従業員規模と地域を重ねると、該当する会社が1社に絞られることがあります。丸めたつもりでも復元できる状態は、匿名化になっていません。渡す前に、その条件に当てはまる会社が何社あるかを自分で数えてください。数えれば分かります。
AIが出した切り口を、人が落とす基準
出てきた候補は、読むと全部よく見えます。文章として整っているからです。だから読む前に落とす基準を決めておきます。以下に当たるものは、内容の良し悪しにかかわらず落とします。
- 当てはまる会社の数え方が書かれていない切り口
- 外から観測できる印に翻訳できない切り口(「成長意欲が高い企業」など)
- 自社の社内でしか通じない言葉で書かれた切り口
- たどり着く道が、今ある名簿・媒体・接点のどれとも結びつかない切り口
- 根拠の欄に、出典ではなく一般論が書かれている切り口
2番目は特に多く出ます。意欲・関心・積極性といった語は、外から測れないので切り口になりません。同じことを言おうとしているなら、直近2年の採用人数、新しい拠点の開設、公開されている中期の計画といった観測できる印に置き換えられるかを試します。置き換えられればそれは切り口として使えますし、置き換えられないならその案はここで終わりです。
落とした候補は、理由を1行添えて残してください。同じ候補が、数か月後に別の担当者から同じ形で出てきます。理由が残っていれば、同じ検討を繰り返さずに済みます。残していなければ、また同じ議論を最初からやることになります。
社数を数えるところまでが、切り方の作業
切り方が決まったという状態は、名前が決まった状態ではありません。その切り方に当てはまる会社が何社あり、そのうち何社にたどり着けるかまで出ている状態です。ここまで出て初めて、年間で何件の商談が見込めるかという話ができます。
数えた結果が小さすぎたときは、切り方を戻します。才流が公開している事例では、月に200件あったリードの獲得が鈍化していた企業が、面談で困りごとを掘り直し、機能を足すことで新しいセグメントを開拓し、月400件以上の獲得まで戻しています。切り直しは失敗ではなく、数えた結果を受けての当然の手順です。
新しく始める事業では、数えるところまでに時間がかかります。同じく才流の事例では、ある企業が約4か月の仮説検証を経て売れるセグメントを見つけ、有料の試用に4社が入るところまで進んでいます。4か月という長さは、切り方を1回で当てていないことを示しています。候補を出し、数え、聞き、落とし、また戻る。この往復を前提に期間を見ておく方が、途中で慌てずに済みます。
商談の現場で、切り方が合っていたかを確かめる
切り方が正しかったかどうかは、資料の上では分かりません。分かるのは商談の場です。見るのは3つ。声をかけられたときの呼ばれ方、初回の打ち合わせで説明に要した時間、そして落ちたときの理由です。
呼ばれ方が「同業で使っていると聞いたので」に寄ってきていれば、業種の枠が効いています。「うちのこの困りごとに合いそうだと思って」に寄ってきていれば、課題の仕切りが効いています。どちらも出ず、値段の話だけで呼ばれているなら、切り方が相手に届いていないということです。呼ばれ方は、切り方の当たり判定として最も早く出る手がかりです。
ブランドスピークが引いている調査では、BtoBの買い手の66%が、そのブランドとのやり取りがすべて自分に合わせられていることを期待しているとされています。合わせられていない状態は、比較の場で減点として効きます。切り方を作るのは提案を鋭くするためですが、鋭さが相手に届いているかは、資料の出来ではなく現場の反応でしか測れません。反応が出ない切り方は、半年で見直してください。
測り方も決めておきます。セグメントごとに、問い合わせから初回の打ち合わせに進んだ割合、初回から提案まで進んだ割合、そして決まるまでの日数。この3つを四半期ごとに並べると、切り方が効いている本と効いていない本が分かれて見えます。件数ではなく、段階ごとの進み方の差で見るのが要点です。件数はその四半期に当てた数で動くので、切り方の良し悪しとは別の理由で上下します。
切り方は、全社で同じものが使えていないと意味がない
切り方が資料の中だけで生きている状態は、実務では無いのと同じです。ブランドスピークは、使える切り方の条件として、頑健さや関連性に加えてすべての顧客をいずれかのセグメントに割り当てられることと、顧客に接するすべての部門が理解できる形であることを挙げています。この2つは、作った後の運用で効いてきます。
前者は、手元の会社一覧を実際に当てはめてみれば分かります。どのセグメントにも入らない会社が3割出るなら、その切り方は市場を覆えていません。どれにも入らない会社を「その他」に集めて放置すると、翌年にはその他が最大の群になります。割り当てられない会社が1割を超えたら、切り口を足すか、枠の取り方を見直してください。
後者は、営業の現場で判定できるかという話です。名刺交換の直後に、相手がどのセグメントかを数秒で見分けられるか。判定に外部のデータベースの照会が要るなら、現場では使われません。判定に使う項目は、会社名から引ける情報か、初回の打ち合わせで必ず聞く質問の答えに限ります。ブランドスピークが切り口の1つとして挙げている取引額による層分けは、この点では使いやすい反面、すでに取引のある相手の扱いを決める切り方であって、これから狙う市場の切り方ではありません。役割が違うので、同じ表に並べないでください。
よくある質問
業種はどの段階まで細かく決めればよいですか
外部のデータで社数を数えられる段階まで、が目安です。日本標準産業分類のように段階のある分類なら、中ほどの段階で切ると社数が数えられて、営業の担当割りにも耐えます。細かい段階まで下ろすと社数が足りなくなり、粗い段階だと同じ枠に性質の違う会社が混ざります。数えられて、かつ1つの資料で話が通じる段階を探してください。
切り口は何本まで持ってよいですか
作り分けを実際に回せる本数が上限です。資料・広告の文面・営業の話す順番を、それぞれ別に用意して更新し続けられる本数を数えてください。少人数の体制なら2本から4本が現実的です。本数を増やすより、1本ごとの切れ味を上げる方が成果につながります。
課題で切ったセグメントの社数は、どうやって数えますか
課題そのものは数えられないので、外から見える印に翻訳してから数えます。求人票の募集職種、公開されている拠点数、使っている仕組みの痕跡、決算期。翻訳した印で数えた社数が、そのセグメントの上限です。翻訳できない場合は、その切り方を採用しないでください。
既存顧客の分析と、狙う市場の切り方は同じ作業ですか
別の作業です。既存顧客の分析は、今いる顧客をどう束ねて示唆を出すかという話で、対象がすでに手元にあります。狙う市場の切り方は、まだ取引の無い会社を含めて、どこを攻めるかを決める話です。既存顧客の記録は切り口の候補を出す材料になりますが、材料と結論を混ぜないでください。今いる顧客の分布は、これまで当てた先の分布であって、市場の分布ではありません。
まとめ
業種で切るか課題で切るかという問いは、立て方そのものがずれています。業種は外から見える印で、数えられて探せる。課題は買う理由で、提案の言葉を決めてくれる。役割が違うので、選ぶのではなく順番に重ねます。先に業種や規模で枠を作り、その中を課題や利用状況で仕切る。この順番なら、社数が分かった状態で作業が進みます。
切った案は、優先順位・実在する規模・たどり着く道・反応の測りやすさの4つで落とします。最も多く欠けるのは、たどり着く道です。課題で切った案は、外から観測できる印に翻訳できたときだけ切り口になります。翻訳できないまま予算がつくと、施策が始まってから数か月が消えます。そして細かく切りすぎれば、1本あたりの社数が足りずに投資の判断ができなくなります。
AIは、切り口の候補を10本から20本の幅で出す作業では確かに速い。ただし当てはまる会社が何社あるかは知らないまま、それらしい数字を書いてきます。だから候補は1件ごとに根拠を書かせ、社数は自分で数え、採否は人が決める。この線を作業の前に引いておけば、AIで幅を広げながら、市場規模の見立てを壊さずに済みます。切り方は2年から4年で古びるものなので、決めた後も現場の呼ばれ方を見ながら、定期的に測り直してください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
リード獲得・育成の打ち手として、ウェビナーの集客と運営でお困りですか?
企画・集客・運営までデボノが伴走支援。外部リスト頼みにしない「自社の集客力」を育てます。
