RTBはAIエージェント同士の取引に変わる?|広告主が持つ承認の線

RTBはAIエージェント同士の取引に変わる?|広告主が持つ承認の線

「代理店から、来期はAIエージェントで枠を買い付けると提案された。何を任せてよいのか分からない」「エージェント同士が条件を決めるなら、こちらは何を承認すればいいのか」。ディスプレイ広告や動画広告に一定の予算を投じている広告主の担当者から、こうした声が出始めています。背景にあるのは、2025年10月に公開された、広告の売り手と買い手のAIエージェントが条件をやり取りするための規格(アドコンテキストプロトコル)と、業界団体のIABテックラボが続けて示したエージェント向けの枠組みです。これは入札の仕組みが一夜で入れ替わる話ではありません。本当は、人がメールと表計算で詰めていた商談の部分を、エージェントに渡すかどうかの話です。この記事では、規格の現状を公式の発表で確かめられた範囲で押さえたうえで、エージェントでの買い付けを提案されたときに広告主が決めておくことと、人が手放してはいけない承認の線を整理します。


カメ先生カメ先生

エージェント同士の取引と聞くと、RTBの競りそのものがAIに置き換わると思われがちなんだ。でも規格が狙っているのは、競りの前にある「どの媒体の、どの枠を、いくらで」という条件の詰めのほうなんだよ。


カメ子カメ子

競りの一瞬ではなく、その前の商談がエージェントに移るということですか。


カメ先生カメ先生

そう。だから広告主が決めることも変わる。入札単価をいじる話ではなく、予算の上限、載せてよい媒体、どの段階で人が承認するか、何を報告させるか、どうやって止めるか。この5つを、提案を受ける前に自社で持っておく必要がある。


カメ子カメ子

任せる前に、任せない範囲を書いておくんですね。


この記事のポイント
  • 2025年10月に売り手と買い手のエージェントが条件をやり取りする規格が公開され、業界団体も既存のRTBを置き換えずに広げる枠組みを示した。国内での使用例はまだ少ない
  • 置き換わり始めているのは入札の一瞬より、その前の商談(指示書・提案・交渉・発注)。配信先の質や計測の食い違いといった問題は残る
  • 提案を受けたら、予算の上限・配信してよい媒体・承認を挟む段階・報告の中身・止め方を人が決める。エージェントには根拠となる取引記録を残させる

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目次

RTBとは、広告枠の1回の表示を一瞬で競りにかける買い方

RTB(リアルタイム入札)は、ウェブサイトやアプリで広告が1回表示されるたびに、その表示の機会を買い手の仕組みに競らせ、最も高い条件を出した広告を載せる買い方です。買い手の側にはDSP、売り手の側にはSSPと呼ばれる仕組みが立ち、競りはおよそ0.1秒のうちに終わります。仕組みの詳細と、広告費のうち実際に表示に使われる割合、配信先の質の問題は、別の記事「運用型ディスプレイ広告とは?|枠を買う仕組みと費用」で整理しています。

本稿で押さえておきたいのは、いまの買い方でもすべてが自動で決まっているわけではないという点です。競りそのものは機械が回していますが、その前にある条件の多くは人が決めています。

いまの買い方の段階主に決めている側中身の例
予算と期間の決定広告主四半期の上限、月ごとの配分
配信先の条件づくり広告主と代理店載せてよい媒体、避けたい内容
優先的な取引の条件の交渉代理店と媒体の営業特定の媒体の枠をいくらで、どれだけ確保するか
1回ごとの入札DSPとSSPの仕組み表示の機会ごとの単価の判断
報告と精算代理店と媒体配信量の照合、請求

表の3行目、特定の媒体と条件を詰めて優先的に枠を確保する取引は、いまもメールのやり取りや提案書、表計算で進むことが少なくありません。エージェント同士の取引が最初に入り込もうとしているのは、この1行1行を人が手で運んでいる部分です。

2025年10月、売り手と買い手のエージェントが条件を出し合う規格が出た

アドコンテキストプロトコルは、AIエージェントが広告の枠を探し、計画し、売り買いし、成果を測るための公開の規格です。公式サイトによると、運営と管理は規格の名前を冠した業界の団体が担い、2026年10月時点で一般に提供されている版は3.2、会員はヤフー、パブマティック、スコープスリーなど150を超えています。エージェント同士が実際のお金と枠を動かした最初の取引は、2025年10月16日に人の監督のもとで行われたと公式サイトは記しています。

公式の説明書を読むと、買い方は2つの経路に分かれています。1つは、売り手が掲載した商品をそのまま選んで買う経路です。もう1つは、買い手のエージェントが指示書を複数の売り手に送り、売り手が提案を作って返し、条件を詰め直したうえで、確定した提案を受け入れる経路です。後者は、まさに人が提案書と見積もりを往復させていた商談を、エージェントの間のやり取りに置き換える形です。

指示書の作り方にも特徴があります。「どんな媒体に、どんな雰囲気で載せたいか」という狙いは文章で書き、チャネル、通貨、地域、予算の上限、千回表示あたりの単価の上限といった条件は、機械が判定できる形で別に持たせます。文章の狙いはエージェントが解釈し、数字の条件は機械が守るという分担です。広告主から見ると、どこまでを文章で渡し、どこからを数字の縛りにするかが、最初の設計の分かれ目になります。

公式サイトは、規格の運営の原則として「結果を伴う判断には人が関わり続ける」という考え方を掲げています。規格を作る側も、エージェントがすべてを決める姿を前提にしていないということです。ただし、どの判断が「結果を伴う判断」に当たるかは規格が決めてくれるわけではありません。人が関わる場面を具体的に決めるのは、取引をする広告主と代理店の側です。本稿の後半の5つの決めごとは、その場面を自社で書き出すための整理です。

業界団体は「いまのRTBを置き換えずに広げる」道を取った

広告の取引の規格を長く作ってきたIABテックラボも動いています。2025年11月13日のプレスリリースで、同団体はエージェンティックRTBフレームワークの1.0を意見募集に公開しました(意見募集は2026年1月15日まで)。これは既存のオープンRTBという入札の規格の上に積むもので、入札の流れの中で動く外部の機能を同じデータセンターの中で動かせるようにし、入札の要求と応答にかかる時間を最大80%短くする設計だと説明されています。

つまりこの枠組みは、売り手と買い手が条件を交渉するためのものというより、一瞬の競りの中にエージェントの機能を安全に入れるための土台です。同団体はその後、この土台を含めた取り組み全体をエージェント型広告の管理プロトコル群(略称はエー・エー・エム・ピー)としてまとめ、実行の土台、売り手と買い手のエージェントが互いを見つけて交渉し発注するための取り決め、エージェントの身元を確かめる登録簿、の3本の柱で整理しています。

2026年9月22日には、その3.0として、売り手が商品を載せ、買い手の指示書に提案を返すための形式(オープンプロポーザル)を公開しました。発表では、掲載、発見、比較、適格性の確認、交渉、締結と実行、報告の7段階を定め、既存の発注や取引の規格を補う位置づけだとしています。意見募集は2026年10月22日までで、中身はまだ固まっていないと見ておくのが妥当です。

置き換わり始めているのは、入札の一瞬より「その前の商談」

2つの規格の動きを並べると、エージェントが入り込む場所は2か所に分かれます。1つは、表示1回ごとの競りの中で、配信先の判定や単価の調整をする機能を速く動かす場所です。もう1つは、競りの前にある、媒体と条件を詰めて枠を確保する商談の場所です。広告主の仕事が大きく変わるのは後者の、商談の場所です。

前者は、いまもDSPやSSPの中で機械が判断している部分が速く賢くなる話で、広告主が新たに承認する場面はあまり増えません。後者は違います。これまで代理店の担当者が媒体の営業と電話やメールで決めていた「どの媒体の、どの枠を、いくらで、どれだけ」を、買い手のエージェントが売り手のエージェントと詰めるようになります。人が介在していた交渉の各段階に、承認の関門をどこに置くかを決め直す必要が出てくるわけです。

ここで起きやすい誤解は、交渉が速くなれば条件も良くなる、というものです。エージェントは指示書と条件に沿って提案を比べますが、指示書に書かれていない自社の事情は考慮できません。たとえば、ある媒体とは来期に共同の企画を予定している、ある業界の記事の隣には載せたくない、といった事情は、人が条件として書き込まない限り、エージェントの比較の外に置かれます。

エージェントになっても変わらずに残る問題

取引がエージェントの間で進むようになっても、RTBが抱えてきた問題がなくなるわけではありません。1つ目は配信先の質です。売り手のエージェントが提示する枠の質は、提案の文面だけでは分からないという点は、人の商談と変わりません。売り手のエージェントは自社の枠の良い面を条件に沿って並べますが、実際にどんな記事の隣に載るかは、配信してみるまで見えない部分が残ります。条件の詰めが速くなる分、質の低い枠に予算が流れるのも速くなる、と考えておくほうが安全です。

2つ目は計測の食い違いです。売り手が報告する配信量と、広告主や代理店の計測の数字がずれる問題は、エージェントが報告を返すようになっても残ります。公式の説明書には配信の報告を取得する手順が定められていますが、その数字を誰の計測と照らし合わせるかは、取引を始める前に人が決めておく必要があります。

3つ目は、相手のエージェントが本当にその売り手のものかという身元の問題です。IABテックラボがエージェントの登録簿を柱の1つに置いているのは、この不安に応えるためです。ただし登録簿があっても、どの相手と取引してよいかを決めるのは広告主の側です。登録されていることは取引してよい理由にはならず、自社の配信先の一覧に入っているかで判断します。

管理画面の中のエージェントとは、相手が違う

広告のAIエージェントと聞くと、検索広告やSNS広告の管理画面に組み込まれたエージェントを思い浮かべる人も多いはずです。そちらは1つの媒体の中で、キャンペーンの設定変更を提案し、広告主が承認して反映する形が中心です。承認の線の引き方は、別の記事「広告のAIエージェントは承認制で使う|任せる変更と止める変更」で整理しています。

本稿で扱うエージェント同士の取引は、交渉の相手が別の会社のエージェントだという点で性質が違います。管理画面の中のエージェントは、広告主の設定を変えるだけで、相手と約束を交わすことはありません。一方、売り手と買い手のエージェントの間では、提案を受け入れた時点で取引の条件が確定し、枠の確保とお金の約束が生まれます。取り消しのききにくさが一段上がるのです。

そのため承認の考え方も変わります。管理画面の中では「この変更を反映してよいか」を1件ずつ見ればよかったのに対し、エージェント同士の取引では、指示書を出す前、提案を受け入れる前、条件を変える前と、取引の段階ごとに人の関門を置くかどうかを決める必要があります。

規格はまだ途中にある。国内の使用例は少ない

ここまで見てきた規格は、どちらも2025年秋以降に動き出したばかりです。アドコンテキストプロトコルは版を重ねて3.2になり、IABテックラボの提案の形式は2026年10月時点で意見募集の最中です。2つの規格の関係については、業界の報道で考え方の違いも伝えられていますが、どちらが広く使われるかは本稿では扱いません。どちらの規格で取引しても、広告主が決めることは同じだからです。

国内に目を向けると、公式の発表で確かめられる使用例は海外のものが中心で、国内の広告主がエージェント同士の取引で枠を買ったという公開事例は、2026年10月時点ではまだ少ない状況です。国内の代理店やDSPが、どちらの規格に、どこまで対応しているかも各社で異なると考えられます。提案を受けたら、どの規格の、どの版に、どの範囲で対応しているのかを自社の代理店に確かめてください。

規格が途中にあるということは、提案の中身も変わりうるということです。半年前に結んだ取り決めが、規格の改訂で前提ごと変わることもありえます。最初から大きな予算を任せず、規格の版を契約書や発注書に書き、版が変わったら条件を見直す、という運用を前提にするのが現実的です。

提案を受けたら決めること1:予算の上限と、任せる期間

ここからは、代理店やDSPから「エージェントで買い付ける」提案を受けたときに、広告主が自社で決めておく5つのことを順に見ます。1つ目は予算の上限です。公式の説明書でも、指示書には予算の上限と単価の上限を数字で持たせる形が示されています。これはエージェントが文章の狙いを解釈して超えてはいけない線で、人が決めて渡します。

上限は、取引の全体と、1件の取引の両方で決めます。全体の上限だけだと、1つの媒体との大きな取引で予算の大半が一度に確定してしまうことがあります。たとえば四半期の上限を決めたうえで、1つの売り手と1回の取引で確定できる金額にも上限を置き、それを超える提案は人の承認に回す、という二段の線が考えられます。

もう1つは、任せる期間です。エージェントに渡した権限は、期限を切らないと残り続けます。「この四半期の、この施策に限って」と期間と対象を区切り、期間が終わったら権限が切れる形にしておきます。延長するときは、それまでの取引記録を人が読んでから決めます。期間の延長をエージェント自身に判断させないことが大切です。

決めること2:配信してよい媒体の一覧を、条件として渡す

2つ目は配信先です。人が交渉していたころは、担当者の頭の中に「この媒体は避ける」という感覚がありました。エージェントにはその感覚がありません。配信してよい媒体と、してはいけない内容を、指示書の条件として明文化して渡す必要があります。どの媒体を質が高いと見るかの考え方そのものは、先に挙げた運用型ディスプレイ広告の記事に譲ります。

エージェントに渡すときの要点は、文章の狙いと、機械が守る条件を分けることです。「信頼できるスポーツ系の媒体に」という狙いは文章で書けますが、それだけでは解釈の幅が残ります。載せてよい媒体の一覧は、文章ではなく一覧そのものを条件として渡すほうが、エージェントが勝手に範囲を広げる余地が小さくなります。

一覧は一度作って終わりではありません。媒体の側の事情や、自社の商品の変化で、載せてよい範囲は変わります。一覧を誰が持ち、何か月ごとに見直し、見直した一覧をいつからエージェントに渡すのかを決めておきます。一覧の候補を、過去の配信の成果から洗い出す作業はAIに任せられますが、一覧に載せるかどうかの最終の判断は人が持ちます。

決めること3:どの段階で人の承認を挟むか

3つ目が承認の段階で、本稿の中心です。IABテックラボの提案の形式が示す7段階を手がかりに、それぞれで人が関わるかどうかを決めます。公式の説明書の例でも、提案を受け入れた後、お金が動く前に、予算・売り手・ターゲティング・広告素材の出どころを広告主側の方針と照らし合わせる手順が置かれています。人の関門は、最初の指示書と、お金が確定する手前に置くのが基本です。

取引の段階エージェントに任せやすい作業人が持つ判断
指示書を作る過去の施策から条件の下書きを作る狙い・予算の上限・配信先の一覧の確定
売り手と商品を探す条件に合う売り手の候補を並べる取引してよい相手かどうか
提案を比べる単価・量・期間を同じ物差しで比べる表どの観点を重く見るか
交渉する上限の範囲内での条件の詰め上限を超える提案を受けるかどうか
締結して実行する合意した条件で発注を出す一定額を超える取引の最終の承認
配信中に変える配信量の偏りや予算消化の異常の指摘合意の範囲を外れる変更をするかどうか
報告する配信量と費用の要約成果の評価と次の取引の方針

表の「配信中に変える」の行には注意が要ります。公式の説明書では、受け入れた条件の範囲を外れる変更をしようとすると、見積もりのやり直しが求められる仕組みになっています。これは規格の側が、合意した条件をエージェントが勝手に動かせないようにしている設計と読めます。広告主の側も、見積もりのやり直しが起きたら必ず人に通知が来るようにしておきます。

承認を挟む段階を増やしすぎると、エージェントに任せる意味が薄れます。逆に減らしすぎると、気づいたときには予算が確定しています。最初は指示書、一定額を超える締結、合意の範囲を外れる変更の3か所に置き、取引記録を見ながら、問題の起きなかった段階から関門を外していく順番が現実的です。

決めること4:報告に何を出させるか

4つ目は報告の中身です。エージェントに取引を任せると、人が交渉していたときには担当者の記憶やメールに残っていた「なぜその条件にしたのか」が、どこにも残らなくなるおそれがあります。報告には配信量と費用だけでなく、取引ごとの判断の根拠を出させます。

具体的には、どの売り手のどの商品に、いくら、どの期間で決めたのか。比べた提案はほかに何件あり、なぜこれを選んだのか。上限や配信先の条件に近づいた取引はあったか。見積もりのやり直しは何件起きたか。この4点を取引ごとの記録として残させ、週に一度、人が読める要約にまとめさせます。要約の下書きはAIに任せられますが、要約だけを読まず、元の取引記録を抜き取りで確かめることを手順に入れておきます。

配信量の数字は、売り手の報告と自社や代理店の計測を並べて載せさせます。ずれが一定の幅を超えたら印を付ける形にしておくと、照合の手間が減ります。ただし、ずれの原因が売り手の側にあるのか、計測の設定にあるのかを判断するのは人です。エージェントに「ずれは許容範囲です」と結論を書かせる形にはしないでください。

決めること5:止め方と、やめる基準

5つ目は止め方です。エージェント同士の取引では、止めるべき場面が2種類あります。1つは個別の取引を止める場面で、配信先の一覧の外に載った、予算の消化が想定より速い、といったときです。もう1つは、エージェントに渡した権限そのものを止める場面で、取引記録が残っていない、承認の関門が飛ばされた、といったときです。後者は1件の配信停止ではなく、任せる仕組みごと止める判断になります。

止める手順は、始める前に書いておきます。誰が止める権限を持つのか、代理店の担当者に連絡がつかない夜間や休日はどうするのか、止めた後に確定済みの取引はどう扱うのか。とくに確定済みの取引は、すでに売り手との約束になっているため、配信を止めても費用が発生する可能性があります。取引の条件に、途中で止めたときの扱いが書かれているかを確かめます。

やめる基準も先に決めます。たとえば、試行の期間中に取引記録の抜けが一定の件数を超えた、配信先の一覧の外への配信が起きた、人が交渉していたころより単価や配信の質が明らかに悪化した、といった基準です。やめるかどうかの判断はエージェントにも代理店にも任せず、広告主の側の責任者が記録を見て決めます。

小さく試して広げる手順

5つの決めごとがそろったら、いきなり全予算を任せず、範囲を区切って試します。順番は次のとおりです。

STEP1
代理店に対応の範囲を確かめる

どの規格の、どの版に対応しているのか、エージェントはどの段階まで動くのか、人の承認をどこに挟めるのかを書面で確かめます。対応していない段階があれば、その段階は人が担う前提で計画します。

STEP2
小さな施策を1つ選ぶ

予算の一部で、過去に人が交渉して取引した実績のある種類の施策を選びます。比べる相手がいないと、エージェントに任せた結果が良いのか悪いのか判断できないからです。

STEP3
5つの決めごとを文書にして渡す

予算の上限と期間、配信先の一覧、承認の段階、報告の中身、止め方とやめる基準を1枚にまとめ、代理店と合意します。規格の版もここに書いておきます。

STEP4
期間を区切って動かし、記録を読む

1か月から1四半期程度で区切り、週に一度、取引記録の要約と元の記録の抜き取りを人が読みます。関門で止まった提案の中身も確かめます。

STEP5
問題のなかった関門から外していく

期間が終わったら、人が交渉していたころと比べ、続けるか、範囲を広げるか、やめるかを決めます。広げるときは、問題の起きなかった段階の関門から1つずつ外します。

この手順のうち、過去の施策の実績の集計、決めごとの文書の下書き、取引記録の要約は、AIに任せて構いません。ただし、AIに要約させるときはどの取引記録に基づく記述かを書かせるようにしてください。根拠の書かれていない要約は、確かめようがありません。

承認が形だけになる失敗

承認の関門を置いても、運用の中で形だけになってしまうことがあります。エージェント同士の取引で起きやすい失敗を挙げます。

  • 承認の画面に要約しか出ていない:比べたほかの提案や選んだ理由が見えず、承認する側は「問題なさそう」としか言えない
  • 承認の件数が多すぎて、中身を読まずに通す:関門を増やしすぎた結果、人が確認する時間が追いつかない
  • 配信先の一覧が古いまま渡されている:見直した一覧がエージェントに反映されるまでの手順が決まっていない
  • 止める権限を持つ人が代理店の側にしかいない:広告主が異常に気づいても、すぐに止められない
  • 規格の版が変わったことに気づかない:改訂で取引の段階や項目が変わったのに、承認の関門が古い段階に置かれたまま

どれも、エージェントの性能の問題ではなく、人の側の設計の問題です。承認の画面に出す項目は、報告に出させる4点と揃えておくと、承認する人が同じ物差しで判断できます。関門の数は、承認する人が1件あたりに使える時間から逆算して決めます。

  • 規格の名前・版・日付・仕組みの記述は、アドコンテキストプロトコルの公式サイトと公式の説明書、IABテックラボの公式発表(2025年11月13日、2026年9月22日)に基づきます(2026年10月2日に確認)
  • どちらの規格も改訂が続いています。提案を受けた時点の版と内容を、代理店と公式の情報で確かめてください

よくある質問

RTBの入札そのものも、AIエージェントに置き換わるのですか?

表示1回ごとの競りは、もともと機械が回している部分です。IABテックラボの枠組みは、その競りの中でエージェントの機能を速く動かすための土台で、既存の入札の規格を置き換えるものではないと説明されています。広告主の仕事が大きく変わるのは、競りの前にある条件の詰めのほうです。

いますぐエージェントでの買い付けに切り替えるべきですか?

切り替えを急ぐ理由はありません。規格は改訂が続いており、国内の使用例も多くありません。代理店から提案を受けたときに、本稿の5つの決めごとを持って対応の範囲を確かめ、小さな施策で試すかどうかを判断するのが現実的です。

エージェントに任せると、代理店は要らなくなりますか?

そうとは限りません。指示書の条件づくり、取引記録の読み方、計測の照合、止める判断の段取りなど、人が担う仕事は残ります。代理店に任せる範囲と、広告主が自社で持つ範囲を、エージェントの導入にあわせて決め直すことになります。

配信先の一覧は、AIに作らせてもよいですか?

過去の配信の成果や媒体の情報から、一覧の候補を洗い出す作業はAIに任せられます。ただし、候補を挙げた根拠を書かせ、載せるかどうかは人が決めます。一覧はエージェントが守る条件になるため、ここに誤りがあると取引全体がずれます。

まとめ

2025年10月に売り手と買い手のAIエージェントが条件をやり取りする規格が公開され、業界団体のIABテックラボも既存のRTBを置き換えずに広げる枠組みと、提案のやり取りの形式を示しました。置き換わり始めているのは、表示1回ごとの競りよりも、その前にある媒体と条件を詰める商談の部分です。配信先の質や計測の食い違い、相手の身元といった問題は残り、規格もまだ改訂の途中にあります。エージェントでの買い付けを提案されたら、予算の上限と任せる期間、配信してよい媒体の一覧、承認を挟む段階、報告に出させる根拠、止め方とやめる基準の5つを人が決めて渡してください。条件の下書きや提案の比較、記録の要約はAIに根拠つきで任せ、お金を確定させる判断と取引を止める判断は人が持ち続けます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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