顧客データの名寄せをAIで進める方法|重複を一つにまとめる

「同じ会社が3件登録されていて、どれが本物なのか分かりません」「名寄せをやろうという話は何度も出るのに、いつも途中で止まります」——顧客の情報を数年ぶん溜めている会社なら、どこかで必ず通る場面です。重複は入力の不注意から生まれるのではなく、フォーム・名刺・展示会・問い合わせと入口が増えたことの当然の結果です。だから、入力を丁寧にする話では終わりません。決めるべきは、どこまでを同じ1件とみなすかという線のほうです。この記事では、重複をまとめる工程を4段に分け、どこまでをAIに任せ、どこから先を人が決めるのかを整理します。
カメ先生名寄せは、似ているものを探す作業だと思われがちだね。でも実際に手が止まるのは探す側ではなく、見つけた2件を1件にしてよいかを決める側なんだ。
カメ子似ていると分かっても、まとめてよいかどうかは別ということですか。
カメ先生そうだよ。同じ会社名でも別の法人ということがあるし、同じ人でも役割が変わって別の記録として残す意味があることもある。しかも、いったん1件にすると2件へは戻せない道具が多い。
カメ子戻せないということは、探す精度を上げる前に、間違えたときの戻し方を先に用意しておく必要がありそうですね。
- 工程は4つ。そろえる、突き合わせる、残す1件を決める、統合を記録する。順番を入れ替えると必ず戻る
- 突合の鍵は1つでは決まらない。言い切れる鍵だけで自動的に統合し、弱い鍵で拾ったものは候補に留める
- AIに任せるのは候補出しと候補の提示まで。統合の実行は人が押し、後から追える記録を残す
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重複は入力ミスではなく、入口が増えたことの結果
顧客の情報が二重三重に登録される原因を入力の不注意に求めると、対策が出てきません。実際に増えているのは入口のほうです。ウェブのフォーム、名刺、展示会の名簿、問い合わせ、営業が個別に持っていた一覧。入口ごとに書式が違えば、同じ会社が別の会社として入るのは当たり前のことです。
別の会社として入る形は、いくつかに分かれます。法人格の書き方が違う、全角と半角が混ざる、部署名まで会社名の欄に入っている、同じ人が業務用と個人用の2つの連絡先で入っている、異動や転職で連絡先が変わった。どれも入力した人は正しく入れているつもりで、後から見ると別の相手に見えます。
だから、まず直すのは入力の作法ではなく、入ってきたものをそろえる工程です。そろえる工程が無いままでは、どれだけ丁寧に入力しても入口の数だけ書式が残ります。以降では、そろえるところから統合の記録まで、4つの工程として順に見ていきます。
重複があると、数字のどこが狂うか
重複を放置したときに起きることは3つです。1つ目は、同じ相手に同じ案内が何通も届くこと。受け取る側から見れば、社内の連携が取れていない会社に見えます。ここは配信の予定を整える話につながりますが、予定を整えても、名簿の側が重複していれば通数は減りません。名簿の側を直さないかぎり、送信の運用でできることには上限があります。
2つ目は、商談が二重に立つことです。同じ会社に別の担当が別々に当たり、後から気づいて片方を取り下げる。取り下げた側の記録は残るので、次に見たときにまた迷います。同じ相手に二度当たった事実は、相手の側にだけ正確に残ります。社内では、二重だったことすら記録に残らないことがあります。
3つ目が、いちばん気づかれにくい実害です。成果が割れます。1つの会社が3件に分かれていれば、その会社から得られた反応も3件に分かれて記録されます。どの施策が効いたのかを見ようとすると、分母も分子もずれます。重複は、効果測定の精度を下げるのではなく、測定そのものを無意味にします。
着手の前に、どのくらい重複しているかを一度だけ数えておいてください。精密な調査は要りません。会社名から法人格と空白を落として完全に一致するものを数える、という粗い測り方で十分です。この数字があると、投じる手間の見当が付きますし、作業の後で同じ測り方をすれば減った量も分かります。数えずに始めると、終わったときに何が良くなったのかを説明できません。
名寄せは4工程。順番を入れ替えると必ず戻る
名寄せの工程は次の4つです。この順番には理由があり、入れ替えると必ず前の工程に戻ることになります。とくに多いのが、そろえる前に突き合わせを始めてしまう形です。
法人格・全角半角・記号・住所・部署名の書き方を、決めた形に統一します。ここを飛ばすと、同じ会社が別の会社として残り続けます。突き合わせの精度は、この工程の出来でほぼ決まります。
そろえた情報を鍵にして、同じ相手かどうかを判定します。鍵は1つでは決まらないので、強い鍵から順に当て、弱い鍵で拾ったものは候補として残します。
同じ相手と判定した複数の記録のうち、どれを正として残すかを決めます。ここは機械では決まりません。決め方の規則を先に文書にしておく必要があります。
統合した事実を、後から追える形で残します。何と何を、いつ、どの根拠で1件にしたのか。この記録が無いと、間違いに気づいても直せません。
4つのうち、最も軽く見られているのが4つ目です。統合が済んだ時点で作業は終わったように見えるからです。しかし名寄せで取り返しがつかなくなるのは、間違って統合したときだけです。分かれているものを1つにするのは後からでもできますが、1つにしたものを元の2件へ戻すのは、道具によっては手段そのものがありません。
工程を順に進めるうえで、もう1つ前置きが要ります。そもそも何を1件とみなすのか、という線引きです。この線が引かれていないと、1つ目の工程から先に進めません。次の節で先に片付けます。
工程の前に:会社を1件とみなすのか、人を1件とみなすのか
名寄せの話が途中で止まる最大の原因が、ここにあります。同じ会社の別の人を1件にまとめたいのか、同じ人の重複した記録を1件にまとめたいのか。この2つは別の作業で、使う鍵も、残す1件の決め方も違います。混ぜたまま議論すると、話が噛み合わないまま時間だけが過ぎます。
法人を相手にする商売では、会社の単位と人の単位を別々に持ち、その2つをつなぐ形にするのが基本です。会社の側は法人番号や所在地で束ね、人の側は連絡先で束ねる。会社が同じでも人は別、人が同じでも所属する会社が変わることがあるので、どちらか一方だけで管理すると必ず破綻します。
加えて、支社や事業所をどう扱うかも先に決めます。本社と支社を1件にするのか、別々に持って親子の関係でつなぐのか。営業の担当が支社ごとに分かれているなら、無理に1件へまとめると担当の割り当てが崩れます。まとめる単位は、データの都合ではなく営業の当たり方に合わせて決めてください。
個人データを動かす前に、利用目的の範囲を確かめる
名寄せで扱うのは、多くの場合、氏名と連絡先を含む個人データです。作業に入る前に、社内で確かめておくことが1つあります。いま統合しようとしている情報が、取得したときに示した利用目的の範囲に収まっているかどうかです。技術の工程より先に、ここを通してください。
個人情報保護法は、個人情報を取り扱うにあたって利用目的をできる限り特定しなければならないと定めています(法第17条第1項)。そして、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないとされています(法第18条第1項)。利用目的を変更する場合も、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならないと定められています(法第17条第2項)。部門ごとに別の目的で集めた名簿を1つにまとめる場面は、この規定に正面から当たります。
実務で確かめるのは3点です。それぞれの入口で示した利用目的の文面が残っているか、統合した後に行おうとしている使い方がその文面の範囲に収まるか、収まらない場合に本人へどう伝えるか。この3点を確かめずに統合を進めると、技術的には成功して運用に乗せられない名簿ができあがります。なお同法は、利用目的の達成に必要な範囲内で個人データを正確かつ最新の内容に保つよう努めることも求めており(法第22条)、重複の整理そのものは、この求めに沿う作業でもあります。
工程1 そろえる:法人格と全角半角、記号の扱い
そろえる工程で最初に手を付けるのは会社名です。株式会社の書き方だけでも、前に付く形、後ろに付く形、かっこ付きの略記、記号1文字の略記と数通りあります。これらを1つの形に寄せるだけで、突き合わせで拾える件数がはっきり増えます。
次が全角と半角の混在です。英字と数字、それに空白。空白はとくにやっかいで、会社名の途中に入っているもの、前後に付いているもの、全角のものが混ざります。見た目では気づけない差が、判定では別物として効きます。文字の種類をそろえる処理と、前後の空白を落とす処理は、最初に一度だけ通しておきます。
記号の扱いも決めておきます。中黒、ハイフン、かっこ、アンド記号。これらを残すのか落とすのか、落とすなら判定のときだけ落として元の表記は保持するのか。元の表記を消してしまうと、相手に送る文面に使えなくなります。そろえた形は判定用の別の欄に持ち、画面に出す表記は元のまま残す。この二段構えにしておくのが安全です。
残りの揺れも、種類は限られています。社名をローマ字で書いた行、旧字体が混ざった行、長音の記号が入ったり抜けたりしている行、片仮名の社名を英字で入れた行。どれも件数は多くありませんが、そろえる規則に入れておかないと最後まで別の会社として残ります。規則は一覧にして、追加したときは追加した日を書き添えてください。次に同じ作業をする人が、なぜその規則があるのかをたどれます。
工程1の続き:住所と部署名は、どこまでそろえるか
住所は会社名より揺れます。都道府県から書くもの、市区町村から書くもの、番地の区切りが漢数字のもの、建物名が入るもの入らないもの。全部をそろえようとすると工程が終わらないので、どこまでそろえるかを先に決めます。実務では、建物名より手前までをそろえれば足りることが多くなります。
理由は、住所を単独の鍵として使わないからです。住所は会社名や電話番号と組み合わせて使う補助の鍵なので、番地まで一致していれば十分に効きます。建物の階数や部屋番号まで一致させようとすると、支社と本社の違いを拾えなくなります。そろえる深さは、鍵としての使い方から逆算して決めてください。
部署名は、会社名の欄に混ざっていることの多い項目です。会社名の後ろに営業部と付いている、支店名が付いている。これらは会社名から切り出して別の欄に移します。切り出しの規則は単純ではないので、ここが後で見るAIの使いどころの1つになります。ただし切り出した結果をそのまま採用せず、人が抜き取って確かめる工程を挟んでください。
工程2 突き合わせる:鍵ごとの強さと弱さ
そろった情報を使って、同じ相手かどうかを判定します。ここで使う鍵は1つに決まりません。強い鍵から順に当て、弱い鍵で拾ったものは確定させずに候補として残すのが基本の形です。鍵ごとの性格を先に並べます。
| 突合に使う鍵 | 強いところ | 弱いところ | 実務での使い方 |
|---|---|---|---|
| 法人番号 | 同じ番号なら同じ法人だと言い切れる | 自社の名簿に入っていないことが多い | 先に取り寄せて付け、以後はこれを基準にする |
| メールの住所部分 | 会社の単位をほぼ言い当てる | 共有の無料サービスを使う相手には効かない | 会社を束ねる2番目の鍵として使う |
| 電話番号 | 代表番号が一致すれば同じ拠点の可能性が高い | 番号は変わる。複数の会社が同じ番号を使う場合もある | 単独では確定させず、会社名と組で使う |
| 会社名と所在地の組 | どちらか一方より格段に確かになる | 移転と支社の扱いで外れる | 候補を絞る主力。確定は人が見る |
| 会社名だけ | そろえた後なら大半は一致する | 同じ名前の別会社がある | 単独で統合してはいけない。候補に留める |
表のいちばん下が、最も事故の多い使い方です。そろえる工程を通した後の会社名は、見た目にはきれいに一致します。だからそのまま統合してしまいたくなる。同じ名前の別の法人は、思っているより多く存在します。とくに短い名前と、地名を含む名前は重なります。
使い方の原則は単純です。言い切れる鍵だけで自動的に統合し、言い切れない鍵で拾ったものは人が見る一覧に回す。言い切れるのは、いまのところ法人番号だけだと考えておいて差し支えありません。残りは、どれだけ組み合わせても候補にしかなりません。
公的な鍵を使う:法人番号の取り寄せ方
法人番号は、国税庁が公表している法人ごとの番号です。公表されているのは基本3情報、つまり商号または名称、本店または主たる事務所の所在地、そして法人番号です。公表されているものなので、自社の名簿に付けて突合の基準にすることができます。
取り寄せる手段として、法人番号システムのAPIが用意されています。公式の案内によれば、提供されている機能は3つで、法人番号を指定して情報を取得する機能、取得期間を指定して情報を取得する機能、法人名を指定して情報を取得する機能です。法人番号を指定する場合は最大10件までまとめて指定でき、取得期間は最大50日まで指定できるとされています。利用にはアプリケーションIDが必要ですが、発行に費用は掛からないと明記されています。
実務での使い方は、名簿の全件に一度だけ付ける形になります。会社名と所在地から候補を引き、1件に絞れたものだけを採用し、絞れなかったものは人が見る一覧に回す。絞れなかった相手に無理やり番号を付けると、以後すべての判定がその間違いを基準に進みます。基準になる鍵ほど、付けるときの慎重さが要ります。
完全一致で確定させ、あいまい一致は候補に留める
突き合わせの方法は、完全に一致するかどうかを見る形と、似ている度合いを測る形の2つがあります。実務では、先に完全一致で確定できるものを処理し、残りをあいまい一致で候補として拾う順番にします。逆にすると、確定できたはずのものまで人の確認に回ってしまいます。
あいまい一致には、必ず線引きの値が要ります。どのくらい似ていれば候補とみなすか。ここを高くすると拾えるものが減り、低くすると人が見る一覧が膨れます。最初は高めに置き、拾い漏れを見ながら下げていくほうが安全です。低い値から始めると、最初の一覧が数千件になって、誰も見なくなります。
候補として挙がったものには、判定の確からしさを一緒に持たせます。確からしさが一定に届かないものは、統合せずに要確認として残す。この段階を用意していない仕組みは、白か黒かのどちらかに必ず倒れます。倒れた先が黒なら手間が増えるだけですが、白なら誤った統合が静かに混ざります。
工程3 残す1件を決める:更新日時だけで決めない
同じ相手だと判定できたら、どの記録を正として残すかを決めます。ここでよく採られるのが、更新日時のいちばん新しいものを残すという決め方です。単純で、機械にも任せられます。ただし、いちばん新しい更新が、いちばん正しい入力とは限りません。
実際に起きるのは、直前に入った不正確な入力が正として残り、長く使われてきた正確な記録が消える形です。更新日時だけで決めると、入力ミスがそのまま正の記録になります。残す1件を決める規則は、入力元の信頼度、担当部門の責任範囲、項目の埋まり具合、取引の記録が紐づいているかどうかを組み合わせて作ります。
もう1つ大切なのが、項目ごとに残すものを変えられるようにしておくことです。記録そのものは片方を残しつつ、連絡先の欄だけは新しいほうを採る、といった扱いです。記録の単位でしか選べない道具を使う場合は、統合の前に必要な値を手元へ書き出しておく必要があります。書き出す前に統合すると、残らなかった側の値は取り戻せません。
規則の並べ方は、上から順に当てていく形にします。法人番号が付いている記録を優先し、次に取引や商談が紐づいている記録、次に項目の埋まり具合の多い記録、最後に作成の古い記録。この順で見ると、更新日時は最後まで出てきません。並べ方を文書にしておけば、担当が替わっても同じ結果になります。文書にしていない規則は、実行した人の記憶の中にしか残りません。
工程4 統合を記録する:後から追える形で残す
統合が終わったら、何をしたのかを残します。ここが実務仕様です。残すのは次の項目です。これだけあれば、後から間違いが見つかったときに、どこまで戻せばよいかが分かります。
- 統合した日と、実行した人。自動で行った場合は、その仕組みの名前と動かした日
- 1件にまとめた元の記録の識別子を、消えた側も含めて全部
- どの鍵で同じと判定したか。法人番号か、会社名と所在地の組か、人の目視か
- 判定の確からしさと、人が確認したかどうか
- 消えた側に入っていた値のうち、採用しなかったもの
- 配信の停止や連絡の可否に関する設定を、どちらから引き継いだか
6つ目は、後回しにされやすいわりに影響の大きい項目です。連絡を望まない意思表示が片方にだけ入っていた場合、統合のときに消えてしまうと、意思表示を無視した状態になります。この種の設定は、片方でも止めになっていれば止めを引き継ぐ、と決めておくのが安全です。
記録の置き場所は、顧客の記録そのものとは別に持ちます。同じところに書くと、次の統合で一緒に動いてしまいます。統合の履歴は、顧客の記録の外側に時系列で積み上げる形で持ってください。件数が多くても、行を足していくだけなので重くなりません。
統合は戻せない。小さく試してから広げる
名寄せの道具の多くは、2件を1件にまとめる機能を持っています。一方で、まとめた1件を元の2件へ戻す機能は、持っていないことがあります。消えた側の記録は残らず、紐づいていた活動の履歴は残った側へ移ります。だから、作業の前に元の状態を取り出しておくことが前提になります。取り出すのは、今回の統合の対象になり得る範囲だけで構いません。毎回すべての控えを作ろうとすると作業が重くなり、やがて控えを取らずに流すようになります。
進め方は、いきなり全件を流さないことです。まず数十件から百件ほどを選んで通し、人が1件ずつ結果を見る。この試しの段階で見るのは、統合できた件数ではなく、統合すべきでなかったものが混ざっていないかです。拾えなかったものは後から拾えますが、誤って統合したものは後から分かりません。
試す対象の選び方にも要点があります。きれいな部分ではなく、いちばん揺れている部分を選んでください。入口の古い名簿、営業が個別に持っていた一覧、支社の多い業種の相手。難しいところで規則が持つかどうかを先に確かめると、全件へ広げたときの手戻りが減ります。きれいなところで試しても、規則の弱点は出てきません。
AIに任せる範囲と、任せない範囲
ここまでの工程で、AIが効くのは2か所です。1つは、そろえる工程での候補出し。会社名から部署名を切り出す、住所の書き方の違いを見つける、同じものを指す複数の呼び名を束ねる。もう1つは、突き合わせの工程での候補の提示です。いずれも、人が確かめる前の一覧を作るところまでで止めます。
任せない範囲は、統合の実行です。理由は単純で、間違えたときに戻せないからです。次の5つを決まりとして先に置いてください。
- 統合の実行は人が押す。自動で統合してよいのは、法人番号のように言い切れる鍵で一致した場合に限る
- 同一と判定した理由を必ず書かせ、その理由が元の記録のどこにあるかを人が突き合わせる
- 確からしさが一定に届かないものは要確認で止め、無理に白黒を付けさせない
- 入力に氏名と連絡先が含まれるので、外部の道具へ渡す前に、学習に使われない設定か、記録がどれだけ残るかを確かめる
- 抜き取って人が見る割合を先に決める。件数が増えても、その割合は下げない
5つのうち2つ目が、いちばん効きます。似ているかどうかの判定は、理由を書かせると質が分かります。会社名が似ているから、としか書けない判定は、候補以上のものになりません。逆に、所在地の番地まで一致している、代表の電話番号が同じ、と書ける判定は、人の確認も短時間で済みます。
渡す情報そのものも減らせます。同一かどうかを判定するのに必要なのは、会社名・所在地・連絡先の一部であって、取引の金額や商談の内容ではありません。判定に使わない項目を外してから渡すと、外に出る情報が減り、確認の範囲も狭くなります。渡す項目を決める作業は、名寄せの設計と同じ材料でできます。鍵として使うと決めた項目が、そのまま渡してよい項目の一覧になります。
やってはいけない進め方
途中で止まるか事故になるかのどちらかに終わる進め方を5つ挙げます。どれも、始めた時点で結果が決まっています。心当たりがあれば、着手の前に1つずつ外してください。
- そろえる前に突き合わせを始める:拾えるものが減り、規則が悪いのか書式が悪いのかを切り分けられない
- 会社名だけの一致で自動的に統合する:同じ名前の別会社が混ざり、後から見つけられない
- 全件を一度に流す:誤った統合が大量に混ざり、どこまで戻せばよいかが分からなくなる
- 統合の履歴を残さない:間違いに気づいても、何と何を1件にしたのかを思い出せない
- 一度やって終わりにする:入口の書式が変わらなければ、半年で元の状態に戻る
3つ目は、作業の効率を考えたときに起きます。何度も流すより一度で済ませたい、という発想です。ところが名寄せは、誤った統合が混ざっていることに、流し終えた時点では気づけない作業です。一度で済ませた場合、気づくのは数か月後、相手からの指摘や営業の違和感からになります。
5つ目は、名寄せを企画として立てたときに必ず起きます。予算と期間が付いた作業として終わらせると、終わった翌日から新しい重複が入り始めます。入口の側に手を入れないかぎり、名寄せは繰り返しの作業になります。次の節で、繰り返しを軽くする方向を見ます。
一度きりで終わらせない。入口を直さないと半年で戻る
名寄せを続く作業にするには、入口の側を2つだけ直します。1つ目は、新しく入ってくるときに、すでに似た記録があるかどうかを確かめる仕組みです。入ってから探すより、入る前に候補を出すほうが確認の手間は軽くなります。入力した本人が、その場で判断できるからです。
2つ目は、入力してもらう項目を減らすことです。会社名を自由に書いてもらう欄が多いほど、書式は割れます。選ばせる形にできる項目は、書かせる形から選ばせる形へ変えます。すべてを変える必要はなく、突合の鍵に使っている項目だけで十分に効きます。
そのうえで、定期的に見る一覧を1つ作ります。あいまい一致で候補に挙がったまま確認されていない件数を、月に一度見る。件数が増えているなら、入口のどこかが崩れた合図です。件数そのものを減らすことより、増えたときに気づける形を持つことのほうが長く効きます。
最後に1つ、仕組みでは解けない前提があります。営業と、集客の担当と、問い合わせを受ける部署とで、顧客の定義が違っていることです。取引のある会社だけを顧客と呼ぶ部署と、名刺を交換した相手まで含める部署が同じ名簿を使えば、同じ相手が別の正として管理され続けます。まとめる単位を決める話は、道具の設定ではなく部署をまたいだ取り決めとして残してください。ここが揃っていないと、名寄せは何度やっても元に戻ります。
まとめ
顧客データの名寄せは、似ているものを探す作業ではなく、どこまでを同じ1件とみなすかを決めて、その決定を後から追える形で残す作業です。工程は4つ。そろえて、突き合わせて、残す1件を決めて、統合を記録する。この順番を守り、言い切れる鍵でだけ自動的に統合し、残りは候補として人が見る。個人データを含むので、着手の前に利用目的の範囲を確かめる工程を必ず1つ挟んでください。AIに任せるのは候補を出すところまでで、1件にする判断は人が押す。ここを分けておけば、間違えても戻せます。そのうえで、入口の側に候補を出す仕組みを1つ足しておけば、この作業が最初からやり直しになることはありません。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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