LorikeetでAI代理人に応じる方法|許す操作と本人確認の線

「問い合わせフォームに、明らかに人ではない速さと言い回しの申し込みが増えてきた」「顧客のAIが代わりに解約や変更を頼んできたら、受け付けてよいのか誰も決めていない」——サポートや法人の顧客窓口を預かる担当者の間で、この半年ほどで増えた相談です。顧客のAI代理人は、塞ぐか通すかの二択で扱うものではありません。本当は、本人の権限の範囲で、決めた規則のとおりに応じる新しい窓口の一つです。この記事では、豪州発の顧客対応エージェント Lorikeet が2026年9月に発表したB2A(顧客の個人のAIエージェントを受け付ける仕組み)を例に、法人の窓口がAIの代理人を見分け、本人確認をさせ、答える情報と許す操作の線を引き、支払いや契約の変更を固定の処理に任せ、人に戻すまでの手順を整理します。
カメ先生顧客のAIエージェントが問い合わせてくるなんて、まだ先の話だと思われがちなんだけど、本当はもう予約や比較、解約の手続きを任せる人が出てきていて、窓口の側が備えていないだけなんだ。
カメ子AIが来たら、ロボット対策で弾いてしまえばよい、ということではないんですか。
カメ先生弾くと、その向こうにいる本物の顧客まで締め出すことになる。だから Lorikeet は、代理人には顧客本人と同じ権限しか渡さず、本人確認は本人に済ませてもらい、お金の動く処理はAIが変えられない固定の手順で動かす、という考え方を取っているんだよ。
カメ子通すか塞ぐかではなく、どこまで通すかを決めておく、ということですね。
- Lorikeet は、チャット・メール・音声などで判断して手続きまで進める顧客対応エージェント。2026年9月に顧客のAI代理人を受け付けるB2Aを発表し、10月に個人エージェント向けの取り決めへの対応を公表した
- 応じる手順は六つ。来訪を見分けて観察する、入口を決める、本人確認は本人に済ませてもらう、答える情報と許す操作を表にする、支払いと契約変更は固定の処理に任せる、人に戻す線を決める
- 代理人に渡すのは顧客本人の権限まで。代理人との会話も1件の問い合わせとして記録し、定期的に人が見直す
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Lorikeet は何をする会社か:判断して手続きまで進める顧客対応エージェント
Lorikeet は、オーストラリアのシドニーで創業した会社で、企業の顧客対応を担うAIエージェントを提供しています。公式サイトでは、電話・SMS・チャット・メール・メッセージアプリといった窓口を一つのエージェントで受け、社内の手順書に従い、企業の仕組みにつないで、質問に答えるだけでなく手続きまで済ませると説明しています。予約の変更、配送日の変更、解約、返金といった例が並びます。
顧客の中心は、フィンテック・保険・医療といった規制のある業種です。既存の顧客対応の管理基盤や、Salesforce、HubSpot の上で動かせるとし、料金は年間契約のうえで解決した問い合わせの件数に応じて払う形で、人に引き継いだ分は課金しないと公表しています。報道によれば、2025年8月には米国の投資会社が主導する3,500万ドルの資金調達を行っています。
問い合わせ対応にAIを入れること一般の考え方は別の記事で扱っているため、ここでは繰り返しません。この記事が扱うのは、窓口に来る相手が人ではなく、顧客が使っている個人のAIエージェントになったときに、企業の側がどこまで答え、どこまで手続きを許すかです。AIエージェントが企業のサイトを操作する話とも近いのですが、ここでは窓口の判断に絞ります。
2026年の動き:1月のコーチ機能、9月のB2A、10月の取り決め対応
Lorikeet の公式ブログを日付順に追うと、2026年は三つの動きがありました。まず1月に、利用企業の担当者と会話しながら手順を組み立て、結果を見直して改善を提案するコーチ機能を発表しました。返金の流れを言葉で説明すると、その手順を組み立てる、という使い方が紹介されています。4月には、会話の部分は柔軟に、手続きの部分は厳格に固定するという自社の設計の考え方を解説しています。
コーチ機能について、同社は担当者が言葉で手順を組み、問い合わせの原因を調べ、知識の抜けを点検し、成果を分析するのに使われていると紹介しています。代理人に応じる規則も、この種の機能で言葉から組み立てられるようになるはずですが、組み上がった手順を本番に出す前に、人が読んで承認する工程は省かないことを勧めます。言葉の指示と組み上がった手順の食い違いは、動かしてみるまで見えないからです。
9月17日には、顧客の個人のAIエージェントに応じる仕組みとしてB2Aを発表しました。B2Aは、企業と消費者の取引を指す言葉になぞらえ、企業と代理人の取引を表す造語です。公式の解説では、個人のAIエージェントは企業の既存の顧客が使っているものなので、新しい顧客層ではなく新しい窓口だと位置づけています。あわせて、代理人らしい会話を見分けて印を付ける機能を、まず観察と確認から始める形で試験的に提供するとしています。
10月12日には、個人のAIエージェントが企業を見つけ、顧客をログインさせ、その顧客の契約に即した答えを得るための取り決め(個人エージェント向けの公開の取り決めの草案)に対応したと公表しました。この取り決めは、米国の顧客対応AIの企業と Meta などが中心となって作っている草案で、どの代理人も話せるわけではなく、ChatGPT はまだ対応していないと同社自身が書いています。標準は固まっていない段階だと理解しておくのが妥当です。
同社の解説によれば、この草案には決済や小売、顧客対応の基盤の企業なども加わっており、誰でも実装できる公開の取り決めとされています。一方で、別の顧客対応AIの企業が独自の方式を発表しているとも書かれており、代理人と企業の話し方は一つにまとまっていません。窓口の側は、特定の方式に賭けるより、どの方式で来ても同じ本人確認と同じ権限の規則を当てはめられる作りにしておくほうが、方式の入れ替わりに振り回されずに済みます。
顧客のAI代理人はもう窓口に来ている:塞ぐか、規則で応じるか
代理人への最初の反応は、たいてい「ロボット対策で塞ぐ」です。けれども Lorikeet の解説は、一律に塞ぐと本物の顧客を締め出すと指摘し、2026年9月に米国の飲食予約サービスで、代理人を使った利用者のアカウントが停止され、のちに戻された件を例に挙げています。代理人の向こうには、お金を払う意思のある本人がいるからです。
一方で、すべてを通せばよいわけでもありません。窓口に来る自動の通信の中には、情報の抜き取りや不正な申し込みも混ざります。同社が勧めるのは、塞ぐか通すかの二択ではなく、規則を決めて応じる、という三つ目の道です。抜き取りや不正への対策はそのまま残し、そのうえで本人の代理として来た相手には、決めた範囲で答え、決めた操作だけを許します。
BtoBの窓口でも事情は変わりません。法人の顧客の担当者が、請求書の再発行、契約の更新日の確認、利用人数の変更、障害の問い合わせを自分のAIに任せる場面は、消費者より遅れても必ず来ます。そのとき窓口が何も決めていなければ、担当者ごとにばらばらの判断で、答えすぎたり断りすぎたりすることになります。
前提:代理人に渡すのは顧客の権限まで、それ以上ではない
手順に入る前に、すべての判断の土台になる原則を一つ置きます。Lorikeet の解説は、代理人は顧客本人の権限を受け取り、それ以上は受け取らないと書いています。名乗っていない代理人には公開の情報だけを渡し、特定の契約に関わる操作の前には、人が受けるのと同じ本人確認を、顧客本人に済ませてもらうという扱いです。
この原則の良いところは、代理人のために新しい権限の仕組みを作らなくてよい点です。人の顧客に対して、どの情報を誰に見せ、どの操作を誰に許しているかは、すでに社内に決まりがあるはずです。代理人は、その決まりの上に乗せるだけで済みます。逆に言えば、人の顧客向けの権限の決まりがあいまいな会社は、代理人に応じる前にそこを整える必要があります。
BtoBで特に注意したいのは、法人の顧客の中で誰が何をできるかです。請求の担当者は請求書を見られても契約を変えられない、管理者は利用人数を変えられても解約はできない、といった線が契約の中で決まっています。代理人は、その代理人を使っている担当者の権限を受け継ぐだけで、会社全体の権限を持つわけではないことを、窓口の規則に明記しておきます。
手順の全体像:AI代理人に応じる6つの手順
ここからは、法人の顧客窓口やサポートが、顧客のAI代理人に応じる仕組みを整える手順を六つに分けて示します。Lorikeet のB2Aの説明を土台にしていますが、他の製品を使う場合や、自社で仕組みを作る場合にも同じ順番で考えられます。順番には意味があり、見分けずに線を引いても、線が当てはまる相手が分からないため、まず観察から始めます。
代理人らしい会話に印を付け、どの窓口に、どんな用件で、どれだけ来ているかを数える。止めない。
画面を読ませるか、代理人向けの窓口を開くかを決める。同じ知識と手順で答える。
一般の質問は確認なし。契約に関わる操作の前は、人と同じ確認を本人に済ませてもらう。
公開の情報、本人確認後の情報、本人確認後の操作、代理人には許さない操作に分ける。
お金と契約が動く処理は、AIが手順を変えられない固定の処理だけで動かす。
苦情、判断の難しい相談、規則に当てはまらない依頼は、会話の経緯ごと人に渡す。
六つのうち、AIに任せてよいのは、来訪の見分けの候補づけ、一般の質問への回答、固定の処理の呼び出しです。どの代理人を許すか、どの操作を許すか、どこで人に戻すかは、人が決めて文書に残すことにします。
手順1:代理人の来訪を見分け、まず観察する
最初の手順は、代理人がどれだけ来ているかを知ることです。Lorikeet の解説は、一般的なロボット対策の規則が、代理人に自然に見られる振る舞い、たとえば速く繰り返される要求、同じ言い回し、深夜のログイン、ワンタイムの確認番号の要求を、不正の兆候として拾ってしまうと指摘しています。今の窓口のどこかで、代理人がすでに弾かれている可能性があるということです。
同社は、代理人らしい会話を見分けて印を付ける機能を、まず観察と確認から始める形で試験提供しています。この順番は自社で考える場合にも参考になります。見分けの精度が分からないうちに止める処理を入れると、本物の顧客を止めます。最初の一、二か月は、止めずに印を付け、どの窓口に、どんな用件で来ているかを数えるだけにとどめます。
観察で知りたいのは、件数よりも用件の内訳です。料金や仕様の質問が多いのか、請求書の再発行や契約の確認が多いのか、解約や変更の依頼が多いのかで、次の手順で線を引く場所が変わります。BtoBでは、購買の担当者のAIが、比較のために仕様や価格の条件をまとめて聞いてくるような用件が先に増えると考えられます。
手順2:入口を決める——画面を読ませるか、専用の窓口を開くか
代理人は、何もしなければ人向けの画面を読み取って操作しようとします。画面の作りが変わるたびに読み違え、問い合わせが重複し、同じ質問を何度も繰り返す原因になります。Lorikeet の解説は、代理人に画面を削り取らせるのではなく、企業が認めた入口を用意することを勧めています。
入口の候補として同社が挙げているのは、サイトの機能を代理人向けの道具として公開するウェブの標準案、誰でも呼べる公開の問い合わせ窓口、代理人に入口の場所を知らせる案内の文書です。標準案は対応したブラウザと代理人でしか動かないため、広く応じるには公開の窓口が要る、とも書いています。また、代理人向けの入口でも、人の顧客と同じ知識と手順で答えることを原則にしています。答えの元が別になると、片方だけ古くなるからです。
入口を開くときは、機械の相手ならではの決まりも要ります。同社は、呼び出しの回数の上限、返事を確かめに来る間隔、やり直しの要求を新しい問い合わせとして立てずに既存の会話につなぐこと、を挙げています。これを決めておかないと、一つの依頼から問い合わせの票が何十件も立つことになり、担当者の手が止まります。
手順3:本人確認は、顧客本人に済ませてもらう
Lorikeet の説明では、代理人との会話は名乗らない状態から始まります。料金、規約、営業時間のような一般の質問には確認なしで答え、特定の契約に関わる操作の前には、人の顧客が受けるのと同じ本人確認を、代理人が顧客本人に取り次ぎ、本人が済ませるという流れです。代理人に確認を代行させるのではなく、本人に済ませてもらうのが要点です。
10月に対応を公表した個人エージェント向けの取り決めは、まさにこの部分、つまり代理人が企業を見つけ、顧客をログインさせ、契約に即した答えを得る流れを定めようとするものです。ただし先に触れたとおり、対応している代理人はまだ限られています。当面は、取り決めに対応した代理人と、対応していない代理人の両方を想定して、確認の流れを用意しておく必要があります。
BtoBの窓口に読み替えると、本人確認は「この代理人は、どの会社の、どの担当者の代理か」を確かめることになります。法人の顧客の管理画面にログインした担当者が許可を与えた代理人だけを受け付ける、重要な操作の前には担当者の登録済みの連絡先に確認を送る、といった方法が考えられます。代理人が名乗った会社名や担当者名だけを根拠にしないことが最低限の線です。
手順4:答えてよい情報と許す操作の線を表にする
本人確認の仕組みができたら、確認の前後で何を答え、何を許すかを表にします。Lorikeet は、代理人を個別に許可したり止めたりでき、代理人に許す範囲を顧客の権限の内側に収める設計だと説明していますが、どの操作をどの段階で許すかを決めるのは、窓口を持つ企業の側です。製品の設定に入る前に、社内の言葉で線を引いておきます。
| 区分 | 法人窓口での例 | 代理人への扱い |
|---|---|---|
| 公開の情報 | 製品の仕様、標準の料金、規約、障害の発生状況 | 確認なしで答える |
| 本人確認後の情報 | 契約の更新日、利用人数、請求書の写し、問い合わせの進み具合 | 担当者の権限の範囲で答える |
| 本人確認後の操作 | 請求書の再発行、連絡先の変更、利用人数の小さな増減 | 固定の処理で実行し、担当者に通知する |
| 代理人には許さない操作 | 解約、契約条件の変更、支払い方法の変更、値引きの交渉 | 受け付けたうえで人に戻す |
表の四段目、代理人には許さない操作は、会社ごとに範囲が変わりますが、最初は広めに取るのが安全です。観察と運用の記録を見て、問題のなかった操作から一つずつ三段目へ移すのが、代理人への応じ方を広げる順番です。値引きや例外の扱いのように担当者の裁量で決めている事柄は、代理人に判断させず、人の判断として残します。
手順5:支払い・契約変更は固定の処理でしか動かさない
Lorikeet の設計の考え方で、法人の窓口にとって最も参考になるのがこの部分です。同社は、会話はAIが柔軟に進め、返金や本人確認のような重要な手続きは、AIが道具として呼び出す固定の処理の中で行うと説明しています。固定の処理は、前提の条件が満たされていなければ要求を断り、AIが言ったことではなく実際の仕組みの状態を確かめて動くとされています。
たとえば返金なら、AIが「この顧客は返金の対象です」と判断して返金を実行するのではなく、返金の処理の側が、注文の状態、期限、金額の上限を自分で確かめ、条件に合わなければ断ります。処理の内側の情報はAIに見せない作りにもなっていると説明されています。代理人がどれほど巧みに頼んでも、AIの判断で処理の条件を変えることはできない、という構えです。また同社の解説は、支払いそのものは決済の事業者が担い、代理人に応じる層は支払いを扱わないとしています。
法人の窓口に置き換えると、契約の変更、請求先の変更、利用人数の増減のように請求額が変わる操作は、すべて社内の正規の手続きを呼ぶ形にし、AIには手続きを呼ぶか呼ばないかだけを決めさせます。AIが金額や条件を自分で書き換える経路を作らないことが、代理人に応じる仕組みの安全の芯になります。
手順6:人に戻す線を決める
どれだけ規則を整えても、代理人の依頼の中には人が受けるべきものが混ざります。Lorikeet の解説は、苦情、支援が必要な顧客、規則に当てはまらない争いごとは人に届くべきだとし、人に渡すときは会話の経緯を途切れさせないことを求めています。同社は、AIが解決できないときに経緯を添えて人に引き継ぐ仕組みを、もともと製品の中心に置いています。
法人の窓口では、人に戻す線を次のように決めておくと運用が安定します。契約の継続にかかわる不満がにじむ依頼、通常と違う大きな変更、同じ代理人から短時間に繰り返される依頼、そして本人確認がうまくいかなかった依頼です。最後の一つは、不正の兆候である場合もあれば、本人が操作に慣れていないだけの場合もあるため、機械的に拒まず人が判断します。
- 代理人からの解約の依頼を、本人確認が済んだからとそのまま処理し、担当の営業が後から知った
- 代理人だと分かった時点で一律に会話を打ち切り、顧客は別の窓口で同じ説明を最初からやり直した
- 人に引き継ぐときに代理人との会話の経緯を渡さず、担当者が同じ質問を繰り返した
- 代理人の依頼の言い回しが不自然だという理由だけで、不正として記録した
BtoBでは、解約や大きな変更の依頼は、顧客の担当の営業や顧客成功の担当に必ず知らせる流れにしておきます。代理人の依頼が、顧客の不満の最初の兆しであることがあるからです。
記録:代理人との会話も1件の問い合わせとして残す
Lorikeet の説明では、代理人との会話はすべて1件の問い合わせとして記録され、どの取り決めで来たか、どの代理人かが印として付き、通常の引き継ぎの規則がそのまま適用されます。代理人の会話を人の会話と同じ帳簿に載せることで、窓口全体の件数や内容の中で、代理人がどれだけを占めるかが見えるようになります。
記録で残したいのは、代理人の種類、本人確認の結果、答えた情報の区分、実行した操作、人に戻した理由です。後から顧客に「そんな変更は頼んでいない」と言われたとき、誰の確認を経て、どの固定の処理が動いたかを示せることが、窓口を守ることになります。人の顧客の問い合わせ記録と同じ保存の決まりを当てはめるのが基本です。
記録は分析にも使います。Lorikeet の解説も、代理人の会話を用件ごとに分ければ、代理人が何を求め、どこで答えが足りないかが分かるとしています。代理人が同じ質問を繰り返している箇所は、公開の情報が足りていない箇所でもあり、人の顧客にとっても分かりにくい箇所である可能性が高いのです。
BtoBの法人窓口に読み替えるときの注意
Lorikeet の事例と解説は、フィンテックや保険、医療の消費者向けの窓口が中心です。法人の窓口に持ち込むときは、いくつかの違いを踏まえます。一つ目は、相手が一人の消費者ではなく、権限の違う複数の担当者を抱えた会社だという点です。代理人の権限は、会社ではなく担当者に結びつけます。
二つ目は、契約の重みです。消費者向けの解約や予約の変更と違い、法人の契約の変更は金額が大きく、社内の承認を経ていることが前提になっています。代理人が依頼してきた変更が、顧客の社内で承認されたものかどうかは、窓口からは分かりません。契約の条件に関わる変更は、代理人の依頼を受け付けたうえで、顧客の承認者に確認してから進めるのが安全です。
三つ目は、取引の記録の扱いです。法人との取引では、誰がいつ何を依頼したかが、請求や契約の争いの証拠になります。代理人を経た依頼は、代理人の種類と許可を与えた担当者を必ず記録に添えます。また、代理人に応じる仕組みは新しく、Lorikeet 自身も長い本番の運用の実績はまだないと書いていることを踏まえ、小さく始めて広げる計画にします。
費用の増え方と止め方
Lorikeet は、年間契約のうえで解決した問い合わせの件数に応じて払う料金の形を公表しており、人に引き継いだ分は課金しないとしています。代理人に応じ始めると、問い合わせの件数そのものが増える可能性があります。代理人は人より気軽に問い合わせ、比較のために複数の会社へ同じ質問を投げるからです。件数で払う形では、代理人の来訪がそのまま費用の増加になることを、予算の段階で見込んでおきます。
費用を抑える手は、公開の情報で済む質問を、問い合わせとして数えない入口で答えられるようにすることです。料金や仕様のように変わらない情報は、代理人が読みやすい形で公開しておけば、問い合わせに至らずに済みます。具体的な料金の水準は公表されていないため、代理人の会話が課金の対象になる条件を、契約前に文書で確かめる必要があります。
止め方も先に決めます。Lorikeet は代理人を個別に許可・停止できると説明しているので、問題が起きた代理人だけを止める、代理人向けの入口全体を閉じて人の窓口に戻す、の二段階を用意しておきます。誰がその判断をし、止めたことを顧客にどう伝えるかまで決めておけば、問題が起きても窓口全体を止めずに済みます。
導入の進め方についても、公式サイトはいくつかの手がかりを示しています。30日の無料の試用があり、導入の支援の担当が付いて、本番の前に実際の問い合わせで手順を試すこと、本番までの期間は平均で29日未満であること、顧客に出す前に手順を模擬の会話で試す機能と、すべての会話を自動で採点する機能があることです。代理人向けの入口を開く前にも、代理人の典型的な依頼を模擬で流し、許さない操作が本当に断られるかを確かめる工程を入れておくと、開いた後の手戻りを減らせます。
AIに判断させない部分と、人が見直す周期
代理人に応じる仕組みの中で、AIに判断させない部分をあらためて整理します。どの代理人を許すか、どの操作をどの段階で許すか、契約や金額の条件、例外の扱い、人に戻すかどうかの最終の判断、そして不正かどうかの判定です。AIが受け持つのは、一般の質問への回答、決めた規則への当てはめ、固定の処理の呼び出しまでです。
見直しは、最初の三か月は月次、その後は四半期ごとに行うのが目安です。見るのは、代理人の会話の件数と用件の内訳、本人確認で止まった割合、人に戻した理由の内訳、そして顧客からの「頼んでいない」という申し出の件数です。とくに最後の数字が出たら、許す操作の範囲を一段狭めてから原因を調べるのが順番です。
- 個人エージェント向けの取り決めは草案の段階で、対応する代理人も限られています。対応状況は変わるため、導入時点の公式の情報で確かめてください
- 本人確認の方法や、代理人を経た依頼の記録の保存については、業種ごとの決まりがある場合があります。法務と情報管理の担当の確認を経て決めてください
- Lorikeet の機能の説明は公式サイトとブログによるもので、第三者による検証は確認できていません
代理人への応じ方は、技術の標準も、顧客の使い方も、これから変わっていきます。だからこそ、権限は本人まで、お金は固定の処理、迷ったら人という三つの原則だけを先に固め、細かな線は記録を見ながら動かしていく運用が向いています。
まとめ
顧客が自分のAIエージェントに問い合わせや手続きを任せる場面は、消費者向けから始まり、法人の窓口にも広がっていきます。Lorikeet が2026年9月に発表したB2Aは、代理人を塞がず、規則で応じるための仕組みです。法人の窓口が備える手順は、来訪を見分けて観察する、認めた入口を用意する、本人確認は本人に済ませてもらう、答える情報と許す操作を表にする、支払いと契約変更は固定の処理に任せる、人に戻す線を決める、の六つです。代理人に渡すのは本人の権限までで、AIに条件を変えさせず、記録を残して人が定期的に見直してください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
