StensulでメールをAIに作らせていい?|触らせない部品と承認の関所

StensulでメールをAIに作らせていい?|触らせない部品と承認の関所

「AIエージェントに依頼書を渡せば、メールが1本できあがるらしい。もう制作の担当は要らないのでは」「でも、うちの会社名の表記や配信停止の案内まで、AIが勝手に書き換えたら誰が責任を取るのか」——メール配信を担う部署にAIエージェントの話が届くと、この二つの声がほぼ同時に出てきます。事実から見ると、米国の Stensul は2026年6月2日に MCP サーバーの先行提供を始め、10月6日の公式ブログでは、外のAIエージェントが承認済みの部品だけを使い、個別化の版まで含めたメールを組み立てられると説明しました。同じ発表の中で、確認と承認は人のチームが持ち続けるとも書いています。エージェントに任せられるようになったのは組み立てであり、送ってよいかの判断ではありません。この記事では、Stensul を通して外のAIエージェントにメールを作らせるとき、どの部品を触らせないか、承認の関所をどこに置くか、配信システムへの受け渡しを誰の権限にするか、個別化の版を誰が最後に確かめるかを、手順の順番で整理します。


カメ先生カメ先生

AIエージェントがメールを作れるようになると、制作の手間が消えると思われがちなんだけど、本当は手間の場所が移るだけなんだ。作る作業が軽くなるぶん、何を固めておき、どこで人が止めるかを先に決める仕事が増える。


カメ子カメ子

作るのが速くなっても、確かめる量は減らないということですか。


カメ先生カメ先生

むしろ増えることが多いよ。個別化で版が10倍になれば、確かめる版も10倍になる。だから Stensul のような基盤は、確かめ方そのものを部品と規則に埋め込もうとしているんだ。


カメ子カメ子

AIを止める仕組みというより、AIが外れられない型を先に作っておく話なんですね。


この記事のポイント
  • Stensul は大企業のマーケ部門向けのメール・ランディングページ制作基盤。2026年6月に MCP サーバーの先行提供を始め、10月には外のAIエージェントが承認済みの部品からメールを組み立てる機能を公表した
  • 外のエージェントに作らせる前に、会社名・法務文言・配信停止の案内などの触らせない部品と、承認の関所を先に固める。エージェントには送信の権限を渡さない
  • 個別化の版は、まとめた校正紙で人が全部の組み合わせを確かめる。AIの確認機能は見落としを減らす道具で、送ってよいかを決める役ではない

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目次

Stensul は、大企業のマーケ部門向けのメール制作基盤

Stensul は、大企業のマーケティング部門がメールとランディングページを作るための制作基盤です。公式サイトでは米国ニューヨークに本社を置き、メールの制作画面とランディングページの制作画面を中心に、配信システムから Figma まで100以上の連携を持つと説明しています。配信そのものは行わず、作ったメールを Salesforce や Adobe、Marketo、Braze などの配信システムに渡す前段を受け持つ道具です。日本語の解説はまだほとんどなく、国内では海外の大企業のメール運用の文脈で名前が出る程度にとどまっています。

この会社が2026年1月21日の公式ブログから打ち出しているのが、公式が「統制された制作」と呼ぶ考え方です。テンプレート、部品、ブランドの規則、法令や社内規程の確認、アクセシビリティの確認、承認の流れを制作の段階に組み込み、確認を最後にまとめて行うのではなく、作る途中で外れないようにするという設計思想です。6月26日の公式ブログでも、AIエージェントの出力は人が作ったものと同じ統制を通るべきだと書いています。

経営面では、創業者が10年以上率いたのち、マンリオ・カレッリ氏が最高経営責任者を引き継いだと公式に発表されています。メールの見た目を整える方法や、HTMLメールを生成AIで作る手順は別の記事で扱っているため、ここでは繰り返しません。この記事が扱うのは、社外のAIエージェントが MCP を通じて Stensul の中に入り、メールを組み立てるときに社内で何を決めるかです。

2026年の発表を日付で並べる:6月の先行提供から10月の組み立てまで

公式ブログを日付順に追うと、外のAIとの接続は段階的に広がっています。6月2日に MCP サーバーの先行提供の募集を始め、対象はメールからとしました。応募できるのは企業のマーケ組織の中で仕組みを作る担当者で、申込制です。翌日の6月の製品リリースでは、顧客が自社で契約した生成AIを Stensul の中で使う機能(ベータ)について「AIへの依頼はすべて顧客が管理する環境を経由する」と説明し、ウェブアクセシビリティの国際基準に沿った確認を制作画面に組み込みました。

7月8日のリリースでは、MCP の利用者側からアクセシビリティの確認を起動できるようにし、110以上のメールソフトと端末の組み合わせで表示を確かめる機能を加えました。8月4日には、顧客ごとに中身を出し分けるメールを組み立てる一連の機能を発表し、Microsoft 365 Copilot や Adobe の生成AI制作基盤からも、ChatGPT・Claude・Gemini と同じように統制の中で作れると説明しています。9月11日のリリースでは、エージェントが依頼書から始めて、承認済みのテンプレートと画像を選び、代替テキストと計測用の付加情報を付け、あらかじめ決めた顧客層向けの中身を作り、引き渡し前に表示を確かめる流れを示しました。

そして10月6日のリリースで、公式が「MCP を通じたエージェントによるメールの組み立て」と呼ぶ機能を公表しました。エージェントは依頼書から表示確認済みのメールのコードを作り、テンプレートや既存メールから始めなくても承認済みの部品だけで個別化込みのメールを組み、指摘に応じて部品を足したり並べ替えたりできると説明されています。提供は10月6日からで、設定と提供状況は個別に問い合わせる形です。つまり、ここで扱う機能はまだ新しく、自社の契約で何が使えるかは個別に確かめる段階にあります。

前提:「エージェントが作る」と「エージェントが送る」は別の話

10月の発表を読むときに最初に押さえたいのは、Stensul の公式説明のどこにも、エージェントが配信まで行うとは書かれていないことです。どの発表でも、確認と承認は人のチームが持つ、本番に進む前に人の確認と承認が必要だと繰り返しています。Stensul はもともと配信システムに渡す手前の制作基盤なので、エージェントの仕事は「承認待ちの下書きを置くところまで」と読むのが正確です。

社内で混乱が起きやすいのは、外のAI側では「メールを作って送っておいて」と一言で頼めてしまう点です。エージェントは、頼まれた範囲のうち自分がつながっている道具でできることを実行します。Stensul の中では送信できなくても、同じエージェントが別の MCP で配信システムにつながっていれば、送信まで進む経路ができてしまいます。したがって、Stensul の設定だけでなく、エージェントにどの道具をつなぐかの組み合わせで考える必要があります。

以下では、外のエージェントに作らせる前に決めておくことを八つの手順に分けます。Knak など他社の制作基盤でも、画面の中のAIに任せる工程の考え方は共通ですが、ここで扱うのは社外のエージェントが入口になる場合に特有の判断です。依頼書がどこから来るか、エージェントが誰の資格で入るか、出来上がった版を誰がどう確かめるかが中心になります。

手順1:エージェントが読む依頼書の出どころを一つに決める

10月のリリースでは、エージェントが依頼書をどこから取ってくるかを管理者が選べると説明しています。9月の発表では、Adobe の制作管理の道具に置かれた依頼書から始める例が示されました。ここが最初の判断点です。エージェントは依頼書に書かれたことを材料にメールを組むため、依頼書の置き場所が複数あると、誰の依頼で作ったメールなのかが追えなくなります。

おすすめは、エージェントに読ませる依頼書の置き場所を一つに絞り、そこに置ける人を決めることです。営業の担当者がチャットで直接エージェントに頼み、マーケの担当者は制作管理の道具に依頼書を置く、という二本立てにすると、承認の流れも二本になります。依頼書の型には、目的、対象の顧客層、配信日、使ってよい部品、必ず入れる文言、出し分けの条件、承認者を欄として用意しておくと、エージェントが勝手に補う部分を減らせます。

もう一つ大事なのは、依頼書に社外秘の情報や個人の名前を書き込まない決まりです。エージェントは依頼書の文章を外のAIの会話に読み込むため、そこに書いたことはAIの提供元の処理を通ります。顧客名の一覧や未発表の価格などは、依頼書ではなく配信システム側の顧客層の条件として扱い、エージェントには顧客層の名前だけを渡す設計にしておくと安全です。

手順2:つなぐ人と、エージェントが入れる範囲を分ける

MCP でつなぐとき、エージェントは Stensul の利用者の誰かの資格で中に入ります。9月の公式説明では、Figma から部品を公開できるのは権限を持つデザイナーで、マーケ担当とエージェントはその部品を組織の統制と権限の範囲で使うとされています。つまり、エージェントにできることは、つないだ人の権限に縛られると考えるのが基本です。

ここで避けたいのが、管理者の資格でエージェントをつなぐことです。管理者はテンプレートや部品の公開、顧客層の定義まで触れるため、エージェントが部品の差し替えや顧客層の作り直しまでできてしまいます。エージェント用には、下書きを作る権限だけを持つ利用者を用意し、その利用者が触れるテンプレートと部品の範囲も事業部ごとに絞るのが筋です。誰の資格で動いているかが記録に残るよう、エージェント用の利用者を人の利用者と分けて作ることも決めておきます。

つなぐ担当者も決めておきます。MCP の設定は外のAIの側で行うため、情シスが知らないうちに担当者個人の生成AIの契約から Stensul につながる、ということが起こりえます。社外のAIの道具をつないでよいのは、会社が契約し、会話の記録の扱いを確かめた道具だけに限る、という線を最初に引きます。個人の契約の生成AIからつなぐことは認めない、と明文化しておくのが現実的です。

手順3:触らせない部品を、部品の側で固める

メールの中には、エージェントが絶対に書き換えてはいけない部分があります。会社名と所在地、配信停止の案内、問い合わせ先、法務が承認した免責文、ロゴと配色、規約へのリンクなどです。Stensul は、テンプレートと部品をあらかじめ承認しておき、マーケ担当もエージェントもその中で作るという考え方をとっています。守りたい部分は、指示文で「変えないで」と頼むのではなく、部品として固めておくのが基本です。

指示文での禁止がなぜ弱いかというと、外のAIエージェントは依頼書や過去のやり取りを材料に、頼まれていない改善を加えることがあるからです。「文章を読みやすくして」と頼まれたエージェントが、配信停止の案内の言い回しまで整えてしまうことは十分に考えられます。部品として固めてあれば、エージェントはその部品を置くか置かないかしか選べません。

  • 法務文言を毎回依頼書に貼り付け、エージェントに「そのまま使って」と頼む
  • 配信停止の案内をテンプレートの本文に直書きし、部品として分けていない
  • エージェント用の利用者に、部品やテンプレートを公開する権限まで渡している
  • Figma から部品を公開できる人を絞らず、誰でも新しい部品を足せる

固める部品が決まったら、次は「必ず入れる部品」の確認です。9月のリリースで説明された品質確認の自動化では、件名の抜けや置き換え忘れの仮の文字を検出できるとされています。同じ考え方で、配信停止の部品が入っていない版を引き渡せないようにする確認を設定できるかを、自社の契約で問い合わせておくとよいでしょう。

手順4:ブランドの声と法務の言い回しを規則にする

10月のリリースでは、管理者が文章の声と口調の基準を一度設定すると、作っている最中に文章がその規則と照らし合わされ、確認に回る前に問題を見つけられる機能が加わりました。顧客層ごとに文章が変わっても、ブランドの印象をそろえるための仕組みだと説明されています。エージェントに文章まで書かせるなら、この規則づくりが事前の仕事の中心になります。

規則にしておくべきなのは、好みの言い回しよりも、言ってはいけないことのほうです。たとえば「必ず」「業界一」といった断定、根拠のない数字、競合の名指し、価格の約束、効果の保証などです。BtoBでは景品表示法の不当表示に当たるかどうかが問題になる表現もあるため、法務が線を引いた表現の一覧を、規則として先に登録する順番が大切です。

ただし、規則による照合は見落としを減らす道具であって、送ってよいかを決める役ではありません。規則に書いていない問題、たとえば事実と違う導入実績や、未発表の情報が依頼書から紛れ込んだ文章は照合では見つかりません。エージェントが書いた文章の事実関係は、依頼書を出した担当者が根拠と突き合わせて確かめる、という分担を決めておきます。エージェントには、文中の数字や事例について、依頼書のどこを根拠にしたかを書き添えさせると確認が速くなります。

手順5:個別化の版は、組み合わせを先に絞る

8月4日に発表された動的コンテンツの組み立ては、顧客ごとに中身を出し分けるメールを、統制の中で量産するための一連の機能です。公式の説明によれば、顧客層と出し分けの条件を再利用できる組として保存し、並べ替えや既定値の設定、固定ができます。条件は Adobe や Salesforce の顧客基盤から取り込み、承認の権限はマーケ運用の担当が持つとされています。

エージェントに個別化まで任せるとき、一番の落とし穴は組み合わせの数です。業種3つ、役職3つ、検討段階3つで出し分ければ、それだけで27通りの版になります。8月の発表で最高経営責任者は、企業の制作と確認の手順は「人の手で回せる規模の個別化」を前提に作られてきたと述べています。エージェントは版をいくらでも作れますが、人が確かめられる版の数には上限があります。

そこで、個別化の条件はエージェントに作らせず、マーケ運用の担当があらかじめ定義した顧客層だけを選ばせます。9月の公式説明でも、エージェントは「あらかじめ決めた顧客層」向けの中身を作るとされています。新しい顧客層や出し分けの条件を作る権限は人に残すことで、確認できる数の範囲に版を収められます。最初は2〜3通りの出し分けから始め、確認の手間を測ってから広げるのが無理のない進め方です。

手順6:承認の関所は、束ねた校正紙の上に置く

個別化したメールの確認で起きがちなのは、代表的な1版だけを見て承認し、残りの版の誤りを見落とすことです。Stensul は6月に、出し分けメールの組み合わせを全部プレビューし、その場でコメントして承認できる機能を提供済みとし、8月には、すべての出し分けの版を顧客層の名前付きで1つの校正用PDFにまとめる機能を発表しました。マーケ、ブランド、法務、コンプライアンスの担当が、別々のファイルや画面の写しではなく、文脈の中でキャンペーン全体を確かめられると説明されています。

承認の関所は、エージェントが組み立てた直後ではなく、この束ねた校正紙ができた段階に置きます。順番は次のとおりです。

STEP1
エージェントが下書きを置く

エージェント用の利用者の権限で、承認済み部品から下書きを組む。この段階では引き渡しの操作はできない設定にしておく。

STEP2
自動の確認を通す

表示確認、アクセシビリティ、件名の抜け、仮の文字、ブランドの声の規則を自動で照合する。ここで見つかった指摘は、エージェントに直させてもよい。

STEP3
依頼者が事実と根拠を確かめる

依頼書を出した担当者が、文中の数字・事例・日付を根拠と突き合わせる。エージェントに書かせた根拠の注記をここで使う。

STEP4
束ねた校正紙で全版を見る

出し分けのすべての版を1つの校正紙で確かめる。法務とブランドの担当は、固めた部品が全版に入っているかを見る。

STEP5
承認者が引き渡しを許可する

承認者は人に限り、承認の操作をエージェント用の利用者に持たせない。承認の記録は誰がいつ何を見たかが残る形にする。

自動の確認で見つかった指摘をエージェントに直させるのは合理的ですが、人が出した指摘をエージェントが直したあとは、もう一度人が見ることを決めておきます。10月の発表でも、エージェントは指摘に応じて部品を足したり並べ替えたりできるとされており、直した結果が指摘以外の場所に波及していないかは、人が確かめるしかありません。

手順7:配信システムへ渡す権限は、エージェントに持たせない

Stensul で作ったメールは、配信システムに引き渡されて初めて顧客に届きます。7月のリリースでは、Salesforce の次世代のマーケティング向けクラウドへの連携が予定として示され、Stensul で作成・確認・承認した中身を統制をやり直さずに渡せるようにすると説明されました。こうした連携は便利な反面、引き渡しの操作ができる人は、事実上の送信者になるという点を意識する必要があります。

エージェント用の利用者には、配信システムへの引き渡しの権限を持たせないのが原則です。同時に、外のエージェントに配信システムの MCP を別途つないでいないかを確かめます。Stensul の中で引き渡しを止めていても、エージェントが配信システムに直接つながっていれば、承認前の下書きを配信リストに載せる経路ができてしまいます。エージェントにつなぐ道具の一覧を作り、配信システムが入っていないことを情シスが確かめるところまでが、この手順の範囲です。

配信システム側でも、配信予約と即時送信を誰ができるかを見直しておきます。Stensul から渡ったメールが配信システムの中で再編集されると、Stensul 側の承認の記録と実際に送られた中身がずれます。配信システムでの再編集を禁止するか、再編集したら Stensul 側で承認をやり直す、という決まりを作っておくと、送られたメールと承認したメールが一致します。

手順8:記録を残し、エージェントを止める手順を決める

最後に、何かあったときに追える記録と、エージェントだけを止める手順を決めます。追いたいのは、どの依頼書から、どのエージェントが、誰の資格で、どの部品を使って下書きを作り、誰が承認し、いつ配信システムに渡したかです。Stensul 側の記録で何が残るかは公開資料では細部まで確かめられなかったため、自社の契約でどの操作の記録が残り、どれだけの期間保存されるかを導入前に問い合わせておきます。

止め方は、エージェント用の利用者を停止するのがもっとも単純です。人の利用者と分けて作っておけば、担当者の仕事を止めずにエージェントだけを外せます。外のAIの側でも、MCP の接続設定を外せる人を決めておきます。配信直前の誤りに気づいた場合に備え、配信システム側で配信予約を止める担当と連絡経路も、エージェントの導入と同時に決めておくと安心です。

  • エージェント用の利用者は、事業部ごと・用途ごとに分けると、止める範囲を絞れる
  • 外のAIの会話の記録に、依頼書や下書きの文章が残る。会話の記録の保存期間と学習への利用の有無は、AIの提供元の契約で確かめる
  • 先行提供の段階の機能は、仕様や提供条件が変わる可能性がある。定期的に公式の更新情報を確かめる

データの流れ:何が外のAIに渡り、何が渡らないか

外のエージェントから Stensul を使うとき、データは三つの場所を通ります。外のAIの会話、Stensul の制作基盤、配信システムです。外のAIの会話には、依頼書の文章、エージェントが作った文章の下書き、部品やテンプレートの名前、指摘の内容が入ります。Stensul には、組み立てたメールのコードと承認の記録が残ります。配信システムには、顧客の名簿と出し分けの条件が置かれます。

ここで大切なのは、顧客の個人情報を外のAIの会話に流さない設計にできるかです。公式の説明では、出し分けの条件は顧客基盤から取り込み、エージェントはあらかじめ決めた顧客層向けの中身を作るとされています。つまり、エージェントが扱うのは顧客層の名前と中身の文章であり、個々の顧客の名前や連絡先を扱う必要は本来ありません。差し込みの項目(氏名や会社名)は配信の時点で配信システムが埋めるようにし、エージェントには差し込みの目印だけを扱わせます。

もう一つは、Stensul の中で使う生成AIの扱いです。6月のリリースでは、顧客が自社で契約した生成AIを持ち込み、AIへの依頼はすべて顧客が管理する環境を経由すると説明されています。社外のエージェントを使う場合とは別に、Stensul の中の生成AIがどの提供元のどの契約で動いているかも確かめておきます。両方を確かめて初めて、メールの文章がどこを通るかを説明できるようになります。

国内で配信する場合に確かめておくこと

日本でメールを配信する場合、特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)の対象になる広告・宣伝のメールには、原則として受信者の事前の同意が必要で、送信者の氏名または名称、受信拒否の連絡先、送信者の住所などの表示が求められます。BtoBのメールも、営業目的で送る以上は対象になりうるとされています。エージェントに作らせる場合でも、この表示は手順3で固めた部品に入れ、エージェントが外せないようにするのが確実です。

同意の管理は、Stensul ではなく配信システムと顧客管理の側の仕事です。エージェントに作らせても、誰に送ってよいかの判断は変わりません。むしろ、エージェントが新しい顧客層向けの版を作れるようになると、同意を取っていない層に向けたメールが作られやすくなります。手順5で顧客層の定義を人に残したのは、この点も理由です。

また、景品表示法の不当表示や、業界ごとの広告規制にかかわる表現は、手順4の規則で事前に止めます。ここで紹介した法令の扱いは、執筆時点で一般に説明されている範囲です。個別のメールが法令に当たるかどうかは、自社の法務の判断を優先してください。エージェントに法令の判断を任せることはせず、判断の材料となる表現の一覧を規則として持たせるところまでにとどめます。

費用と、先行提供の段階で入れるかの判断

Stensul の料金は公式サイトで公開されておらず、問い合わせの形です。10月の新機能についても、設定と提供状況は問い合わせるよう案内されています。費用の見積もりでは、Stensul の契約に加えて、エージェント側の生成AIの利用料、配信システムの連携の費用、そして見落とされやすい人が確認する時間を数えます。版が増えるほど、確認の時間も増えるからです。

先行提供の段階で入れるかどうかは、すでに Stensul を使っているかで判断が分かれます。すでに使っていて、テンプレートと部品の承認の仕組みが回っている会社なら、エージェントの接続は追加の試験として始めやすいでしょう。これから導入する会社は、まず人が Stensul の中で作る運用を固め、部品と規則が整ってからエージェントをつなぐ順番のほうが安全です。部品と規則が固まっていない状態でエージェントをつなぐと、統制の仕組みが空のまま量産だけが始まります。

やめ方も考えておきます。エージェントの接続をやめても、Stensul の中のテンプレートと部品はそのまま人の制作に使えます。部品を固め、規則を書き、承認の流れを決めた作業は、エージェントの有無にかかわらず資産として残ります。逆に、エージェントがないと回らない運用、たとえば人では確認しきれない数の版を前提にした配信計画は、エージェントをやめたときに戻せなくなるため、最初から作らないようにします。

決めること持ち主エージェントに渡すか
依頼書の置き場所と型マーケ運用読むだけ
テンプレートと固める部品ブランド・法務使うだけ(変更・公開は不可)
ブランドの声と禁止表現の規則ブランド・法務照合を受ける側
顧客層と出し分けの条件マーケ運用選ぶだけ(新規作成は不可)
承認承認者(人)渡さない
配信システムへの引き渡し配信担当渡さない
接続の設定と停止情シス渡さない

よくある質問

Stensul を使っていない会社でも、この考え方は使えますか

使えます。触らせない部品を固める、顧客層の定義を人に残す、束ねた校正紙で全版を見る、引き渡しの権限をエージェントに渡さない、という四点は、どの制作基盤でも同じです。ただし、部品の固定や規則の照合を仕組みで強制できるかどうかは製品ごとに違うため、指示文での禁止に頼る部分が増えるなら、そのぶん人の確認を厚くします。

エージェントにメールの文章も書かせてよいですか

書かせてよいですが、事実関係の確認は人が持ちます。ブランドの声の規則は口調や禁止表現を見るもので、数字や導入実績が正しいかは見ません。エージェントには、文中の数字と事例について依頼書のどこを根拠にしたかを書き添えさせ、依頼者がそれを突き合わせる運用にします。根拠を示せない数字は使わない、という決まりも有効です。

アクセシビリティの自動確認があれば、目視の確認は要りませんか

要ります。公式の説明では、色のコントラストや代替テキストなどを制作中に確かめられるとされていますが、代替テキストの中身が画像の意味を正しく伝えているかは、人が読まないと分かりません。エージェントが代替テキストを自動で付ける場合はなおさら、少なくとも配信前に一度は読んでおきます。

まとめ

Stensul は2026年、MCP サーバーの先行提供から始め、10月には外のAIエージェントが承認済みの部品だけで個別化込みのメールを組み立てる機能まで公表しました。ただ、公式の説明は一貫して、確認と承認は人が持つという前提に立っています。社内で決めるべきことは、依頼書の出どころ、エージェント用の利用者の権限、触らせない部品、ブランドと法務の規則、顧客層の定義、束ねた校正紙での承認、引き渡しの権限、記録と止め方の八つです。エージェントに作らせる範囲を広げる前に、作ったものが外れられない型と、人が止める場所を先に置くこと。それができていれば、エージェントをやめても、整えた部品と規則は人の制作の資産として残ります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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