インタラクティブ動画をAIで作る5工程|分岐の設計から計測まで

インタラクティブ動画をAIで作る5工程|分岐の設計から計測まで

「分岐する動画に興味はあるが、選択肢の数だけ撮影が増えると思うと踏み切れない」「動画を生成AIで作れるなら、分岐の場面もいくらでも増やせるのでは」。製品紹介や研修の動画を任された担当者からは、この正反対の2つの声が同時に聞こえてきます。一方は手間を重く見て、もう一方は軽く見ていますが、どちらも作る量の見積もりから入っている点は同じです。インタラクティブ動画で難しいのは、場面を作る量ではありません。本当は、見る人に何を選ばせるかの設計と、選ばれた道ごとに数えて直す仕組みです。この記事では、分岐の設計から計測までを5つの工程に分けて整理します。


カメ先生カメ先生

インタラクティブ動画は、見る人が途中で選んだ答えによって、次に流れる場面が変わる動画なんだ。生成AIで場面を作る手間が下がって、法人の製品紹介や研修でも手が届くようになってきたんだよ。


カメ子カメ子

場面が安く作れるなら、選択肢はたくさん用意したほうが喜ばれるのではないですか。


カメ先生カメ先生

そこが分かれ目でね。選択肢を増やすほど、確かめる台本も、数える道も増えていく。どこで分けるかを先に絞った動画のほうが、公開したあとに直しやすいんだ。


カメ子カメ子

分ける場所を決める仕事と、AIに作らせる仕事は、どこで線を引くものなのでしょうか。


この記事のポイント
  • 分岐は「見る人の違いで、次に見せる内容が本当に変わる所」だけに置く。どこで分けるかはAIに決めさせない
  • 台本の下書き・分岐ごとの場面・視聴データの集計はAIに任せられる。誇大な表現と誤った誘導の点検は人が持つ
  • 生成した人物と声の扱い、数える指標を作る前に決めておくと、公開後に道ごとに直せる

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目次

インタラクティブ動画とは:見る人が次の場面を選ぶ動画

インタラクティブ動画は、動画の中に押せる仕掛けを入れ、見る人が見ながら操作できるようにした動画を指します。仕掛けには、説明を画面に重ねて出すもの、途中で問いに答えさせるもの、答えによって次に流れる場面が変わるものがあります。この記事で扱うのは、最後の「分岐」の形です。

分岐の動画では、たとえば冒頭で「いちばん困っていることは何ですか」と問い、「採用」「育成」「定着」のどれかを押すと、それぞれに合った説明が流れます。人事の課題を扱う会社が、こうした3つの分岐で相手ごとに中身を変えた例が、制作会社の解説で紹介されています。1本の動画が、見る人に合わせて3本分の役割を持つわけです。

押された答えは、そのまま記録に残ります。どの選択肢が何回押されたか、どの道で見るのをやめたかが分かるため、見る人の関心を集める道具にもなります。一本道の動画では、再生が止まった位置は分かっても、なぜ止めたかは推し量るしかありませんでした。分岐の動画は、見る人が自分で理由を押して教えてくれる形です。

この記事では、製品紹介・営業資料・研修という法人の用途に絞って書きます。設問に答えると診断結果や試算が返る診断型のコンテンツは、診断コンテンツを扱った別の記事で整理しています。一本道の製品デモ動画の作り方、図解のアニメの作り方、使い方の動画の置き場所も、それぞれ別の記事に譲ります。

分岐させるべき動画と、一本道でよい動画

分岐が効くのは、見る人によって知りたいことがはっきり分かれる場面です。製品紹介なら、業種や会社の規模で、気にする機能や導入の手順が違う場合です。研修なら、受ける人の経験の長さで、飛ばしてよい説明が変わる場合です。どちらも、全員に同じ順番で見せると、半分の人が退屈する中身を含んでいます。

反対に、全員に同じことを伝えたい動画は、分岐させないほうが伝わります。規程の変更の周知、安全の注意、会社の紹介のように、見る人に選ばせてはいけない中身もあります。見てほしい場面を選択肢で飛ばせるようにすると、大事な説明を見ないまま終わる人が出てしまいます。

迷ったときは、分岐のない台本を先に1本書いてみます。その台本の中に「ここから先は人によって違う」と書きたくなる箇所が何か所あるかを数えます。1か所もなければ一本道で足ります。何か所もあるなら、そのうち差がいちばん大きい1か所から分岐を考えます。

分岐の動画は、一本道の動画より作る手間も直す手間もかかります。台本は分岐の数だけ要り、公開後の修正も道ごとに確かめる必要があります。分岐させる理由を1行で書けない動画は、一本道のまま磨くほうが割に合うことが多いのです。

生成AIで変わったのは、分岐の数だけ要る場面の手間

これまで分岐の動画が法人で広がりにくかった理由の1つは、場面の数でした。3つに分ければ、分かれた先の場面を3通り撮る必要があります。2段目でさらに分ければ、組み合わせで場面が増えます。撮影と編集の費用が分岐の数に比べて膨らむため、試す前に予算で止まることがありました。

生成AIが入ると、この手間の一部が下がります。分岐ごとの台本の下書きは文章を作るAIですぐに出せますし、説明の図や背景の映像、読み上げの音声も生成で用意できるようになりました。撮影をせずに差分の場面を作れる範囲が広がったことで、分岐を試す入口の費用は下がっています。

ただし、下がったのは作る手間であって、確かめる手間ではありません。分岐が3つあれば、確かめる台本も3本あります。生成した場面は、見た目は整っていても、製品の画面や手順と合わない説明が混ざることがあります。場面を増やすほど、人が見て確かめる量も増えることを、最初の見積もりに入れておきます。

もう1つ変わらないのは、どこで分けるかの設計です。AIは分岐の案をいくつも出せますが、どの問いが見る人の違いを最もよく分けるかは、営業の現場や研修の担当者が知っていることです。設計の判断は、見る人を知っている人の手元に残す。次の節から、この設計を最初に置いた5つの工程で進めます。

分岐の型は4つ:用途ごとの向き不向き

分岐の動画は、何を選ばせるかで4つの型に分けて考えると設計しやすくなります。見る人の立場を選ばせる型、困りごとを選ばせる型、知りたい深さを選ばせる型、問いに答えさせて正誤で先を変える型です。型によって、向く用途と、数えられるものが違います。

分岐の型選ばせるもの向く用途向かない用途数えられるもの
立場で分ける業種・役職・会社の規模製品紹介・展示会の案内全員に同じ説明が要る周知見ている人の立場の内訳
困りごとで分けるいま困っていること営業資料・商談前の案内困りごとが1つに決まる商材関心の多い課題の順位
深さで分ける概要だけか、詳しくか研修・製品の使い方の入口短く終える必要がある広告詳しい道に進んだ人の割合
問いで分ける問いへの答えの正誤研修の理解の確認答えの記録を嫌がる相手つまずいた問いと答え

立場で分ける型は作りやすい反面、立場を選んだあとに見る人が何を知りたいかまでは分かりません。困りごとで分ける型は、営業の会話に近い形になり、押された答えがそのまま商談の手がかりになります。営業資料として使うなら、困りごとの型が最も多くの手がかりを残します。

深さで分ける型は研修に向きます。経験のある人は概要だけで先へ進み、初めての人は詳しい説明に入ります。問いで分ける型は、答えの正誤で説明を足すため理解の確認に使えますが、答えを記録されることを嫌がる人もいます。記録を残すなら、何のために残すかを受ける人に先に伝えます。

最初の1本では、型を1つに決めて混ぜないようにします。冒頭で立場を選ばせ、途中で困りごとを選ばせ、最後に問いに答えさせる作りにすると、道の数が増えるうえに、どの選択で見るのをやめたのかが読み取りにくくなります。型を足すのは、1つの型で数字を見て、足りない情報がはっきりしてからで十分です。

5工程の全体像:設計から計測までの順番

ここからは、分岐の動画を作る流れを5つの工程に分けて進めます。順番は、分岐の問いを決める、台本を下書きする、場面を作る、組み込んで置く、分岐ごとに数えて直す、です。AIが働く工程と、人が決める工程を分けて並べると次のようになります。

STEP1
分岐させる問いを1つに絞る

どこで分けるか、選択肢をいくつにするかを決める。ここはAIに決めさせない。営業や研修の担当者が、見る人の違いを知っている人として決める。

STEP2
分岐ごとの台本をAIに下書きさせる

共通の部分と、道ごとに違う部分を分けて書かせる。誇大な表現と誤った誘導がないかは人が読む。

STEP3
分岐ごとの場面を作る

撮る場面と生成する場面を分ける。生成した人物と声の扱いは、作る前に決めておく。

STEP4
組み込んで置き場所を決める

分岐の仕掛けを作れる道具を選び、どこで見せるかと、答えの記録の扱いを決める。

STEP5
分岐ごとの視聴データを数えて直す

集計はAIに任せ、どの道を直すかは人が決める。直した日と中身を記録に残す。

5つのうち、1つ目と5つ目の工程に時間を多めに取るのがこつです。場面を作る工程はAIで短くなりましたが、問いの決め方がぶれていると、あとの工程をいくら速くしても使われない動画になります。最初の問いと最後の数え方が決まっていれば、途中の場面は何度でも作り直せるからです。

担当の分け方も先に決めておきます。問いを決めて台本を確かめる人、場面を作る人、数字を集めて読む人の3役です。1人で兼ねてもかまいませんが、台本を確かめる人は、場面を作る人と別にすると見落としが減ります。作った本人は、自分の作った場面の誤りに気づきにくいものです。

工程1:分岐させる問いを1つに絞る

最初の工程では、動画の中のどこで分けるかを決めます。最もよくある失敗は、分けられる所を全部分けようとすることです。業種で分け、規模で分け、困りごとで分けると、道の数は組み合わせで増えていきます。最初の1本は、分岐の問いを1つに絞るところから始めます。

問いを選ぶ手がかりは、営業や研修の現場の記録にあります。商談の最初によく聞かれる質問、問い合わせで多い困りごと、研修の後に出る質問の偏りです。こうした記録から「人によって答えが分かれる問い」を探します。記録の整理と候補の書き出しはAIに任せられますが、候補からどれを選ぶかは現場を知る人が決めます。

選択肢の数も、この工程で上限を決めます。選択肢が多いほど見る人は迷い、どれにも当てはまらない人が出ます。どれにも当てはまらない人のための「その他」や「まず全体を見る」の道を用意するかも、ここで決めます。選べない人が出ない選択肢になっているかを、現場の人に読んでもらいます。

問いが決まったら、その問いで何を知りたいのかを1行で書いておきます。「どの課題の関心が多いかを知り、次の資料の優先を決める」のような形です。この1行が、5つ目の工程で数える指標の元になります。問いと知りたいことが結び付いていないと、押された回数を集めても使い道がありません。

工程1の続き:分岐の深さと合流の点を決める

問いが1つに決まっても、分かれた先でさらに分けるかどうかという深さの問題が残ります。2段目で分けると、確かめる台本と場面は大きく増えます。最初の1本は、分かれた道が最後に同じ場面へ戻る「合流」の形にしておくと、確かめる量を抑えられます。

合流の点には、全員に見てほしい中身を置きます。製品紹介なら導入までの流れと問い合わせの案内、研修なら最後のまとめと確認です。分かれた道を必ず合流させると、どの道を選んでも大事な説明を見落とさない形になります。

分岐の地図は、台本より先に図で描きます。問い、選択肢、それぞれの道の場面、合流の点を、箱と矢印で1枚にします。図を描くと、行き止まりの道や、戻る先のない道が見つかります。図の下書きはAIに文章から起こさせることもできますが、道がすべて合流しているかは人が指でたどって確かめます。あわせて、各道の場面の数と、合流までにかかる見込みの長さを図の横に書いておくと、長すぎる道や、場面が1つしかない薄い道がその場で見つかります。

この工程の最後に、分岐の地図を営業や研修の担当者と一緒に読みます。見る人の立場で、選択肢を押したあとに期待どおりの説明が流れるかを確かめる場です。ここで合意しておくと、場面を作ったあとに「この道の説明は違う」と言われて作り直すことが減ります。

工程2:分岐ごとの台本をAIに下書きさせる

2つ目の工程では、分岐の地図に沿って台本を書きます。台本は、全員が見る共通の部分と、道ごとに違う部分に分けます。共通の部分を先に固め、差分の部分だけを道ごとに書くと、確かめる量が減り、道ごとの言い回しのずれも抑えられます。

下書きはAIに向く作業です。分岐の地図、製品の説明資料、よくある質問の一覧を渡し、道ごとの台本の案を出させます。このとき、台本の各文に「どの資料のどこを根拠にしたか」を添えさせます。根拠の書かれていない文は、確かめるまで使わない決まりにしておくと、資料にない機能の説明が紛れ込むのを防げます。

道ごとの長さもそろえます。ある道だけが極端に長いと、その道を選んだ人だけが途中でやめてしまいます。台本の段階で、道ごとの読み上げの長さを並べて比べておきます。長さの差が大きいときは、長い道の説明を合流の後ろへ移すか、2つに分けるかを考えます。

台本には、画面に出す字幕と、読み上げる言葉と、押す選択肢の文言を分けて書きます。選択肢の文言は短く、見る人が自分のことだと分かる言葉にします。「コスト」より「毎月の費用」、「効率化」より「作業の時間」のように、見る人の言葉で書いた選択肢のほうが押されやすくなります。

工程2の点検:誤った誘導と誇大な表現を人が止める

分岐の動画には、一本道の動画にない危うさがあります。選択肢の出し方しだいで、見る人を特定の答えへ誘導できてしまうことです。たとえば、どの選択肢を選んでも「今すぐ上位の料金の相談を」に行き着く作りは、見る人が選んだ意味をなくします。

生成した台本にも、誇大な表現が紛れ込みます。道ごとに「この課題なら必ず解決できます」と言い切る文や、根拠のない数字で効果を示す文です。広告として見せる動画なら、実際より良く見せる表示は景品表示法の問題にもなり得ます。道ごとの台本を、広告の表現を確かめる担当者が必ず読む流れにします。

次のような作りが台本や分岐の地図にあれば、場面を作る前に直します。

  • どの選択肢を選んでも、同じ申し込みの場面へ誘導している
  • 選択肢に「分からない」「その他」がなく、当てはまらない人が選べない
  • 道ごとに効果を言い切る文があり、根拠の資料が添えられていない
  • 特定の道だけ、他社の製品を劣るように見せる説明がある
  • 答えの記録を何に使うかを、見る人に伝えていない

点検は、AIに一次の洗い出しをさせてもかまいません。言い切りの表現や、数字の出てくる文を抜き出させると、人が読む箇所を絞れます。ただし、問題があるかどうかを決めるのはAIではなく、表現を確かめる担当者です。AIが問題なしとした文も、道ごとに一度は人が通して読みます。

工程3:分岐ごとの場面を作る

3つ目の工程では、台本に沿って場面を作ります。まず、撮る場面と生成する場面を分けます。製品の実際の画面や、実際の職場の様子は、撮るか画面を収録するほうが正確です。生成に向くのは、説明の図、背景の映像、差分の場面の前後のつなぎです。

分岐の動画では、共通の場面を使い回せるように作ると後が楽になります。冒頭、問いの場面、合流の後の場面は全ての道で同じにし、道ごとに違うのは中ほどの説明だけにします。共通の場面が決まっていれば、道を1本足すときも中ほどの場面だけ作れば済みます。

生成した場面は、製品の事実と照らし合わせます。生成した画面の中に、実在しない機能のボタンや、実際と違う手順が描かれることがあります。場面ごとに「どの台本の文に当たるか」を付けて並べ、台本を確かめた人がもう一度見ます。生成した場面の正しさは、見た目の自然さでは判断できないからです。

道ごとに見た目の調子もそろえます。ある道は撮った映像、別の道は生成の映像と混ざると、見る人は別の会社の動画を見ているように感じます。色、文字の大きさ、読み上げの声の調子を、共通の場面に合わせて決めておきます。

生成した人物と声の扱いを、作る前に決める

分岐の場面を増やすとき、説明する人物や読み上げの声を生成で作りたくなります。撮影の予定を組まずに場面を足せるからです。ただし、人物と声の扱いは、場面を作る前に社内で決めておきます。作ったあとで決めると、全ての道の場面を作り直すことになりかねません。

経済産業省は2024年7月に「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」を公表し、広告などでの生成AIの使い方について、著作権や肖像権などを侵害する可能性と、その避け方をまとめています。実在の人に似た人物や、実在の人に似た声を作らないことは、最初に決める線の1つです。社員の姿や声を使う場合は、本人の同意の範囲と、退職した後の扱いまで決めておきます。

生成した人物であることを、見る人に伝えるかも決めます。製品紹介や営業資料で、生成した人物が実在の担当者のように話すと、見る人は後で知ったときに不信を持ちます。動画の冒頭か説明欄に、生成した人物と声を使っていることを書いておくと、誤解を避けられます。書き方の細かな基準は、使う道具の利用条件と社内の法務に確かめます。

研修の動画では、別の気配りも要ります。同じ生成の人物が、ある道では正しい手順を、別の道では誤った手順の例を演じると、見る人がどちらを信じればよいか迷います。誤りの例を見せる場面は、画面の上で誤りの例と分かる形にしておきます。

工程4:分岐の仕掛けを組み込み、置き場所を決める

4つ目の工程では、作った場面をつなぎ、選択肢を押せる仕掛けを組み込みます。分岐の仕掛けは、一般的な動画の編集ソフトだけでは作れないことが多く、分岐の動画を作れる専用の再生の道具や、動画の配信サービスの機能を使います。道具ごとに作れる分岐の形が違うので、工程1の分岐の地図を持って選びます。

広く使われている動画共有サービスで足りるかも、ここで確かめます。たとえばユーチューブの終了画面は、動画の最後の5〜20秒に他の動画への案内を置ける機能で、公式のヘルプでは16対9の動画で最大4つの要素を置け、動画の長さが25秒以上必要とされています。終了画面は最後にしか出せないため、途中で分ける動画には向きません。最後に次の動画を選ばせる程度の分け方なら、これで足りることもあります。

置き場所は、見る人と用途で決めます。製品紹介ならサイトの製品の案内の近く、営業資料なら商談の前後に送る案内の中、研修なら社内の研修の仕組みの中です。どこに置くかで、答えの記録を誰の名前と結び付けられるかが変わります。社外の人の答えを名前と結び付けて残すなら、記録の扱いを案内の中に書き、個人情報の扱いの方針と合わせます。

公開の前には、全ての道を最後まで通して見ます。選択肢を押すと違う道に飛ぶ、合流の場面が二重に流れる、といった仕掛けの誤りは、道が増えるほど起きやすくなります。道の数だけ通しで見る手間を、公開の予定に入れておきます。

工程5:分岐ごとの視聴データを数える

最後の工程では、公開した動画の視聴データを道ごとに数えます。分岐の動画で取れるのは、選択肢ごとの押された回数、道ごとに最後まで見た割合、どの場面で見るのをやめたか、見た後に資料の請求や問い合わせに進んだか、です。何が取れるかは使う道具によって違うので、工程4で確かめておきます。

数える指標は、工程1で書いた「この問いで知りたいこと」から選びます。関心の多い課題を知りたいなら選択肢の内訳、道ごとの説明の出来を知りたいなら道ごとに最後まで見た割合です。取れる数字を全部並べるより、問いに結び付いた2〜3の数字を毎月同じ形で見るほうが、直す場所が見えます。

道ごとの数字を比べるときは、選んだ人の数に注意します。押された回数が少ない道は、最後まで見た割合が大きく上下します。人数の少ない道の割合だけを見て、その道の説明を直すと判断を誤ります。道ごとの人数を必ず割合の横に並べます。選ぶ人の少ない道は、1か月ごとではなく数か月分をまとめて見るか、ほかの道と比べる対象から外しておくと、たまたまの上下に振り回されずに済みます。

数えた結果は、営業や研修の担当者にも渡します。営業資料として送った動画なら、相手がどの困りごとを選んだかは商談の手がかりになります。ただし、選んだ答えは、その人の本当の課題を確かめた結果ではないので、商談では答えを入口にして改めて聞き取ります。

集計をAIに任せる範囲と、人が決めること

視聴データの集計は、AIに任せやすい作業です。道具から書き出した記録を渡し、道ごとの人数、最後まで見た割合、見るのをやめた場面の順位を表にさせます。前の月との差や、特に落ち込みの大きい場面を書き出させると、人が読む箇所を絞れます。

任せるときは、集計の条件を書かせます。どの期間の記録か、途中で見るのをやめた人をどう数えたか、社内の人の再生を除いたか、です。条件が書かれていない集計は、前の月と比べられません。AIが出した表は、合計の人数だけでも道具の画面の数字と手で突き合わせます。

どの道を直すか、分岐をやめて一本道に戻すかは、人が決めます。数字が低い道でも、選ぶ人が少ないだけで、選んだ人には役に立っていることがあります。反対に、数字の良い道でも、誘導の強い作りのせいで押されているだけかもしれません。数字の理由を確かめてから、直す場所を決めます。

直したときは、直した日、直した道、直した中身を記録に残します。分岐の動画は道ごとに直すので、どの時期のどの道の数字が、どの版の場面のものかがすぐに分からなくなります。記録があれば、直した効果を次の月に確かめられます。記録がなければ、数字を見ても何が効いたのか分からないままになります。

製品紹介・営業資料・研修の3つの用途で気をつけること

製品紹介の動画では、分岐をサイトの訪問者の入口として使います。業種や困りごとで分け、それぞれの道の最後に合う資料や事例を案内します。気をつけるのは、道ごとの案内先を増やしすぎないことです。案内先が道ごとに違うと、求められている資料は分かっても、担当者の手間は道の数だけ増えます。

営業資料としての動画では、商談の前に送り、相手に困りごとを選んでもらいます。商談で話す順番を、選ばれた答えに合わせて組み替えられます。ここでは、選んだ答えを営業担当が見られることを、案内の中で伝えておきます。相手が知らないうちに答えを使うと、商談の場で不信を招きます。

研修の動画では、深さで分ける型と問いで分ける型が向きます。経験のある人が同じ説明を何度も見なくて済むため、研修の時間を短くできます。一方で、誰がどの問いを間違えたかの記録は、人事の評価に使うかどうかで受ける人の受け止め方が変わります。評価に使わないなら、そう明記します。記録を見られる人も、研修の担当者に限るのか上司まで含めるのかを、公開の前に決めて案内に書いておきます。

どの用途でも、最初の1本は小さく作り、数字を1〜2か月見てから次の分岐を足します。始める前に、次の3つを確かめておきます。

  • 最初の1本は分岐の問いを1つにし、道は必ず合流させる
  • 道を足すのは、数字で直す場所が見えてから
  • 生成した人物と声の扱い、答えの記録の使い道は、公開前に案内に書く

まとめ

インタラクティブ動画は、見る人が選んだ答えで次の場面が変わる動画です。生成AIで分岐ごとの台本と場面を作る手間は下がりましたが、確かめる手間とどこで分けるかの設計は変わりません。分岐させる問いを1つに絞り、道を合流させる。台本はAIに根拠つきで下書きさせ、誇大な表現と誤った誘導は表現を確かめる担当者が止める。生成した人物と声の扱いを作る前に決め、置き場所と答えの記録の扱いを案内に書く。そして道ごとの人数と割合を毎月同じ形で数え、どの道を直すかは人が決めて記録に残す。この5つの工程を守れば、分岐の動画を、作って終わりではなく直しながら育てる資産にできます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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