HubSpotを入れても使われない原因|定着とAIの順番

「導入して半年たちますが、結局もとの表計算に戻ってしまいました」「営業が入力してくれないので、定着が進まないんです」——半年から1年たった会社で、この2つはかなりの確率で出てきます。原因として真っ先に挙がるのは、現場のやる気と教育の不足です。けれども、そう説明できる場面は多くありません。使われない状態のほとんどは、意欲ではなく、入力の手数と決裁の流れで説明がつきます。前のやり方が残っているのは、前のやり方のほうが早いからです。この記事ではHubSpotを例に、入れた後に使われなくなる4つの型と、その見分け方、移行するデータの直し方、最初に動かす業務の絞り方、そしてAIを足す順番と縮める条件までを順に整理します。
カメ先生道具を入れても使われない、という話は、担当者の熱意の差で説明されることが多いね。でも同じ会社の同じ人が、前に使っていた表計算はきちんと更新していた、ということがよく起きるんだ。
カメ子同じ人なのに、道具が変わると更新しなくなる、ということですか。
カメ先生そう。だから見るべきは人ではなく2つある。1件を登録し終えるまでに何回操作するか。そして、その記録を誰が読むか。手数が増えて、読む人がいなければ、どんな道具でも止まるよ。
カメ子使われているかどうかは、感想ではなく回数で見る、という整理でしょうか。
- 使われない原因は4つの型に割れる。入力の手数が増えた、前の道具が二重に残った、決裁の流れが変わらない、出した記録を誰も見ない
- 移行の前に直すのは表記のゆれ、重複、持ち主のいない記録の3つ。同じ1件をどの項目で決めるかを先に決める
- AIを足すのは定着した後。記録が空のまま要約させると、空白を埋めた文章が返ってくる
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「使われない」は、やる気の問題ではない
使われていない、という言葉が指しているものには、実は3つが混ざっています。そもそも開かれていない。開くが入力されない。入力されるが読まれない。この3つは、原因も打ち手も別のものです。開かれていないなら入口と権限の問題で、入力されないなら手数の問題で、読まれないなら場の問題です。混ぜたまま議論すると、研修と入力の決まりごとを同時に増やすことになり、手数がさらに増えて、結局3つ目の状態に落ちます。
現場のやる気で説明したくなるのは、この3つを分けていないからです。同じ担当者が、前に使っていた表計算は毎週きちんと更新していた、という話はよく出ます。人が入れ替わっていないのに行動だけが変わったのであれば、変わったのは人の側ではありません。道具の側の手数と、その記録が使われる場面の有無です。やる気を原因に置くと、対策は研修と声かけにしかならず、どちらも1件あたりの操作を1回も減らしません。
見る順番は決まっています。まず開かれているか、次に入力されているか、最後に読まれているか。上から順にたどって、詰まっている場所を1つだけ特定し、そこだけを直す。全部を同時に直そうとすると、必ず入力の側に負担が寄ります。負担が寄った施策は3か月で元に戻り、戻ったという事実が次の改善の足を引っ張ります。一度戻ってしまった道具を立て直すほうが、最初に入れるより時間がかかります。
使われているかどうかを、3つの数で見る
感覚で議論すると、いつまでも終わりません。見る数は3つで足ります。席を配った人のうち実際に開いている人の数、1件を登録し終えるまでの操作の回数、そして作った画面を開いた人の数です。どれも1週間で出せますし、新しい道具を足す必要もありません。3つとも、良し悪しを判定する数ではなく、どこで止まっているかを指す数として使います。目標値を先に置く必要はありません。前の月と比べて動いたかどうかだけを見ます。
1つ目は記録から出ます。HubSpotにはアカウントアクティビティー履歴があり、アカウント内や設定から、一元化された監査の記録を表示したり、絞り込んだり、書き出したりできます。誰がいつ何をしたかが残るので、席を配った人数と、実際に触っている人数の差が数字で出ます。会議でやる気の話が出たときにこの差を先に置くと、議題が人の話から仕組みの話に移ります。
2つ目は記録には出ないので、人が数えます。実際に1件を最後まで登録してもらい、押した回数を横で数える。15回を超えたあたりから、商談の直後には終わらなくなります。3つ目は読む側の数です。入力を増やす前に、入力されたものを読む人がいるかどうかを先に数える。読む人がいない記録は、どんな仕組みを足しても続きません。3つの数は月に一度、同じ取り方で取り直します。取り直さないと、直した手が効いたのかどうかが最後まで分かりません。
原因1 入力の手数が、前より増えている
最も多い型です。前のやり方では1行だった記録が、新しい道具では、人の記録と会社の記録と案件の記録に分かれます。分かれること自体は正しい設計です。後から集計する側にとっては、分かれているほうが都合がよい。ただし設計の正しさは、入力の速さを補償しません。入力する人から見れば、同じ内容を入れるのに触る画面が増えただけ、という事実は変わらないからです。
これを悪化させるのが、立ち上げのときに項目を増やしてしまう形です。後で分析したいから、いまのうちに取っておこう。この判断が、1件あたりの操作を一気に押し上げます。そして取った項目の大半は、半年後も使われていません。使う予定のない項目を必須にするのは、入力する人から時間を借りているのと同じです。借りたまま返さないので信用が減り、減った信用は次の変更のときに抵抗として返ってきます。
直し方は、必須を減らし、必要なときだけ出す形に移すことです。HubSpotには列挙プロパティーの条件付きロジックがあり、列挙や日時の項目で特定の値が選ばれたときにだけ、追加の項目を表示したり必須にしたりできます。全員に全部を聞くのをやめ、その道を選んだ人にだけ追加で聞く形にする。集まる情報の量は変わらないのに、1件あたりの操作は目に見えて減ります。外す候補は、直近3か月で一度も絞り込みに使われていない項目から選びます。
原因2 前の道具が、二重に残っている
2つ目は並走です。新しい道具に移したのに、表計算の一覧も更新され続けている。正しい数字はそちらにある、という状態が定着を止めます。人は正しいほうを見るので、新しい側は写しの置き場になります。写しは更新が遅れ、遅れるとさらに見られなくなり、見られないからもっと遅れる。おおむね3か月でこの循環に入ります。
並走が続く理由は、たいてい1つに絞れます。新しい側に、前の側でできていたことが1つだけ足りない。集計の形、印刷の体裁、社外に渡す一覧の見た目、部門ごとの合計の出し方。この1つが解けないまま、全体の移行だけが進んでいます。足りない1つを先に解かないと、研修を何度やっても戻ります。研修は、できないことをできるようにはしません。まず、現場が何を理由に前の側を開いているのかを、1人ずつ聞き取ります。
手を打つ順番は、日付を決めることからです。この日以降はこちらを正とする、と決め、前の側を読み取り専用にします。片方を消すのではなく、書けなくする。消してしまうと、足りない1つが露見したときに戻る先が無くなり、抵抗が一気に強くなります。読み取り専用なら、過去を見る用途は残ります。並走を止める判断は、現場ではなく決める側が日付で出すものです。現場に任せると、忙しい月は必ず前の側に戻ります。
原因3 決裁の流れが、変わっていない
3つ目が最も根の深い型です。承認は会議と口頭のままで、記録は決まった後に写しているだけ。この状態では、入力は仕事ではなく事務になります。事務は後回しになり、月末にまとめて埋められ、埋められた内容は実態とずれます。ずれた記録は読まれなくなり、読まれない記録はさらに雑になる。次に挙げる原因4と地続きです。
見分けるのは簡単です。直近の承認20件が、どこで決まったかをたどります。会議の場で決まっていたなら、道具の中の記録は決定の写しです。写しである限り、正確さを必要とする人がいません。記録が決定の材料になって初めて、入力は仕事になります。ここを変えずに入力率だけを上げようとすると、数字だけが埋まった記録が増え、集計の見た目は良くなり、判断の質は前より落ちます。
全部の決裁を移す必要はありません。承認の1工程だけを先に移します。値引きの申請でも、案件の登録でも、見積の承認でも構いません。会議の資料を、道具の中の記録からしか作らない形にする。この一手で、入力していない案件が議題に上がらなくなり、順番が逆転します。決まりごとを増やすより、はるかに速く効きます。移す工程は、月に何度も回るものを選んでください。年に数回しか回らない決裁を移しても、習慣にはなりません。
原因4 出した記録を、誰も見ていない
4つ目は静かに効きます。入力しても反応がない。作った画面を開く人がいない。返ってこないものは続きません。人は、読まれることが分かっている記録だけを丁寧に書きます。これは意欲の問題ではなく、限られた時間をどこに使うかという優先順位の問題です。読まれない仕事は、誰にとっても最後に回されます。
よくあるのは、画面を作ったところで止まる形です。画面は作られ、共有もされ、そして開かれていません。ここでも数で見ます。その画面を開いた人の数と、開かれた回数。0が並んでいたら、その画面は無いのと同じです。作り直しても、開く理由が生まれない限り同じことが起きます。先に要るのは、良い画面ではなく、読む場のほうです。画面の数が多いこと自体も、開かれない理由になります。まず3つに絞り、残りは必要になったときに作り直すほうが、結局はよく見られます。
直すのは画面ではなく場です。見る人と見る日を決めます。週に1度、15分で足ります。見た結果が次の週に返る形にする。返らない場は3回で消える。加えて、見る人には、入力されていない項目を指摘する役ではなく、入力された内容を使って判断する役を持たせてください。指摘する役にすると、入力は避けられる対象になります。同じ15分でも、向きが逆だと効果まで逆になります。
4つの型は、1週間で見分けられる
型が分かれば、打つ手は自動的に決まります。次の表は、4つの型と、その現れ方、1週間で確かめる方法、先に打つ手を並べたものです。複数に当てはまっても、最も上流の1つだけを選んでください。同時に手を打つと、どれが効いたのかが分からなくなり、次の判断ができなくなります。
| 使われない型 | 現場での現れ方 | 1週間で確かめる方法 | 先に打つ手 |
|---|---|---|---|
| 入力の手数が増えた | 商談の直後に入力が回らず、月末にまとめて埋める。項目が空のまま先に進む | 1件を登録し終えるまでの操作の回数を、人が横で数える | 必須の項目を減らす。選んだ内容に応じて後から出す形に移す |
| 前の道具が二重に残った | 表計算の一覧が更新され続け、正しい数字はそちらにあると誰もが言う | 同じ案件を10件抜き出し、両方に入っているか、どちらが新しいかを突き合わせる | どちらを正とするかの日付を決め、片方を読み取り専用にする |
| 決裁の流れが変わらない | 承認は会議と口頭のまま。記録は決まった後に写しているだけ | 直近の承認20件が、どこで決まったかをたどる | 承認の1工程だけを先に移し、会議の資料をそこからしか作らない |
| 出した記録を誰も見ない | 入力しても反応がない。作った画面を開く人がいない | 画面が開かれた回数と、開いた人の数を出す | 見る人と見る日を決める。見た結果が次の週に返る形にする |
2列目には、会議で実際に出てくる言葉をそのまま書いてあります。現場から出た言葉を、この列に当てはめるだけで型が決まります。判断に要るのは分析ではなく、聞いた言葉の分類です。1週間あれば、4行のうちどれかに落ちます。落ちなければ、聞き方が足りていないので、入力する人に直接15分だけ話を聞いてください。型を決めないまま打つ手だけを決めると、手が増えて数は動かない。
入れる前に直すのは、表記のゆれと重複と持ち主のいない記録
移行の失敗は、道具の設定ではなく、持ち込んだ中身で起きます。直す対象は3つです。表記のゆれ、重複、そして持ち主のいない記録。この3つを持ち込むと、移した直後から探す時間が前より延びます。探すのに時間がかかる道具は、最初の1か月で見放されます。しかもここは、移行の前にしか安く直せません。
表記のゆれは、法人格の位置、旧社名、部署の付いた名前、全角と半角の混在、支店名の付いた社名です。ゆれたまま持ち込むと、同じ会社が別々の行として増えます。重複には、ゆれの結果として生まれるものと、もともと二重に登録されていたものの2種類があります。持ち主のいない記録は、担当者の欄が空のままの記録です。退職と異動のたびに増え、誰も減らしません。
直す順番は、持ち主のいない記録が最初です。理由は単純で、持ち主がいない記録は、移しても誰も直さないからです。移す前に、割り当てるか、落とすかを決めます。全部を持っていくという判断が、いちばん高くつく。2年以上動きのない記録は、移さないという選択肢を最初に検討してください。落とす判断が重いなら、別の場所に書き出して残しておけば足ります。持ち込まないことと、捨てることは別の判断です。
「同じ1件」を、どの項目で決めるか
重複を直すには、何をもって同じ1件とするかを先に決める必要があります。HubSpotは、コンタクトはメールアドレス、会社は会社ドメイン名を見て、既存の記録と一致するかを判定します。フォームの送信や取り込みのときに一致すれば、新しく作らずに既存の記録を更新する動きになります。裏を返せば、この2つの項目が空の行は、送るたびに新しい行として増えていきます。
取引やチケット、独自に作った対象については、レコードIDや、一意の値が必須になる独自の項目を使って、手作業で重複を整理する形になります。この判定の仕組みを知らないまま移すと、同じ会社が別々の行として増えます。増えた後に統合するのは、増やさないようにするより手間がかかりますし、統合の作業そのものが新しい事故の入口になります。
実務で効くのは、移す前に照合の主キーを1つ決めておくことです。法人番号を持っているならそれが最も強く、無ければドメインです。電話番号と住所を主キーにすると、支店と本社が同じ行になったり、代表番号で別の会社が混ざったりする。なお、統合するかどうかの最終の判断は人が決めます。機械が出せるのは候補までで、確定まで任せると、過去のやりとりが別の相手にぶら下がります。
移行のときに、持ち込んではいけないもの
移行の場では、全部持っていくという判断が最も選ばれやすく、最も後で効きます。持ち込む量が増えるほど、取り込みにかかる時間も、後から直す手間も増えます。次の5つは、持ち込んだ後に必ず作業を生むものです。移す前のふるい分けで落としてください。
- 担当者の欄が空のまま持ち込む:移した後も誰も直さず、放置された行として増え続ける
- 2年以上動きのない記録を全部持ち込む:一覧と検索の邪魔になり、探す時間が前より延びる
- 照合の主キーを決めずにまとめて取り込む:同じ会社が別々の行になり、後から統合する手間が発生する
- 自由記述の欄をそのまま移す:書き方がばらばらで絞り込みに使えず、読む人がいなくなる
- 前の道具の項目名をそのまま持ち込む:使う予定のない項目が最初から並び、入力する人が必須と任意を見分けられなくなる
落とす判断が難しいときの目安は、その記録を直近1年で誰かが開いたかどうかです。開かれていない記録は、移しても開かれません。加えて、本番の取り込みの前に、最も汚い20件だけで試し取り込みを1回やってください。照合の主キーが効いて既存の行が更新されたか、新しく作られてしまった行はどれかが、その20件で先に分かります。試した20件の後始末の仕方も、試す前に決めておきます。
最初に動かす業務を、1つに絞る
全社で一斉に始める形は、4つの型のすべてを同時に踏みます。最初に動かす業務は1つに絞り、4週間だけ動かして数を取り直すのが確実です。絞る根拠は、いちばん困っているところではありません。いちばん短い経路で、入力から読む人まで届くところです。困っている業務は関わる人が多く、経路が長いので、効果が出るまでに人が飽きます。
開かれていない、入力されない、読まれないの3つのうち、どこで止まっているかを決めます。複数当てはまっても、最も上流の1つだけを選びます。
実際に1件を最後まで登録してもらい、押した回数を横で数えます。数えた回数が、そのまま目標値の出発点になります。
いま必須にしている項目のうち、直近3か月で実際に使ったものだけを残します。使っていない項目は、必要なときだけ出す形に移します。
週に1度、15分。読む人は、入力の不足を指摘する役ではなく、入力された内容を使って判断する役にします。
開いている人の数、1件あたりの操作回数、画面を開いた人の数。動かす前と後で並べます。改善していなければ、広げずに手を1つ戻します。
4週間という期間には理由があります。月に1度の業務が最低1回は回る長さだからです。2週間だと、月末の処理を含まないまま判断することになります。逆に3か月にすると、途中で担当者が入れ替わり、何が効いたのかが分からなくなります。動かす前の3つの数を控えていないと、4週間後に何も判断できない。始める日より前に、必ず数を取っておいてください。
実務仕様 席を配る前に決める4つ
席の配り方は費用の話に見えますが、実際には定着の話です。HubSpotの席にはコアシートと表示のみのシートがあり、コアシートは購入したサブスクリプションの機能やツールへのアクセス権を、表示のみのシートは閲覧の権限を与えます。誰に何を配るかで、記録を書く人と読む人の構成が決まります。ここを費用だけで決めると、読む人のほうが先に消えます。
- コアシートを配るのは、記録を作る人と直す人。作らない人には配らない
- 読む側には表示のみのシートを配る。読む人がいない記録は続かないので、ここを削らない
- 席の数は、入っている人の数ではなく、直近1か月で実際に開いた人の数で見直す
- 退職と異動のたびに、担当者の欄が空の記録が出る。席を外す手順に、引き継ぎ先の指定を必ず入れる
表示のみのシートを軽く見ないでください。原因4で挙げた、読む人がいないという状態を直す手が、ここにあります。入力する人より先に、読む人の席を決める。読む側に席が無いまま入力だけを求めると、書く人と読む人が同じ集団になり、記録が内側で閉じます。閉じた記録は、四半期のうちに更新が止まります。上長や隣の部門にこそ、先に席が要ります。
AIを効かせるのは、定着した後
順番の話です。記録が入っていない状態で要約させると、空白を埋めた文章が返ってきます。材料が無いところから、それらしい文が出る。これが最も高くつく失敗で、しかも出てきた文章がきれいなぶん、気づくのが遅れます。空欄の多い記録から作られた要約は、読んだ人に、記録が埋まっているという誤解まで与えます。
仕組みの側から見ても、同じ順番になります。HubSpotのAIの機能は上位の契約で使える形になっており、ワークフローの中でAIの処理が実行されたときなど、動いた分だけクレジットが消費されます。クレジットを使えるのは有料の席を持つ利用者で、無料の利用者と表示のみのシートの利用者は使えません。席を配り、記録が入り、読まれるようになってから足す位置に置かれている、と読めます。
順番を先に決めておくと、判断が楽になります。開かれている、入力されている、読まれている。この3つが揃った業務から順にAIを足し、揃っていない業務には足さない。足す順番を守るだけで、使われない機能に費用を払い続ける形を避けられます。逆に、AIを入れれば入力が進むという期待だけは持たないでください。要約は入力の代わりにはならず、入力が薄い場所ほど、要約はもっともらしく仕上がります。
AIに任せてよい範囲と、人が決める範囲
定着した後であれば、任せられる作業ははっきりしています。記録の要約、次に取る行動の候補出し、問い合わせの内容の分類、文面の下書き。どれも材料が手元にあり、出てきたものを人がその場で確かめられる作業です。逆に言えば、確かめようのない作業は任せない、という線引きになります。確かめるために元の記録を全部読み直す必要があるなら、それはまだ任せる段階ではありません。
- 記録の要約と、次に取る行動の候補出しは任せてよい。ただし元の記録に無いことが書かれていないかを人が見る
- 入っていない項目は要約に出てこない。空欄の多い対象には、AIを足す前に入力の側を直す
- 誰に何の席を配るか、どの業務を先に動かすかは人が決める。使った回数と費用の記録は残しておく
- 顧客の名前や連絡先を含む一覧を外の仕組みに渡すときは、入力した内容が学習に使われない設定かを先に確かめる
任せてはいけないのは、どの記録を正とするかの確定と、統合するかどうかの決定です。前の節で触れた重複の統合がその代表で、機械が出せるのは候補までです。確定まで任せると、過去のやりとりが別の相手にぶら下がったり、配信を止める設定が消えたりします。元に戻す作業は、統合そのものより手間がかかります。
もう1つ、出てきた案をそのまま根拠として扱わないことです。次に取るべき行動の候補は、記録に書かれている範囲からしか出てきません。相手の社内の事情、担当者が替わったこと、同じ時期に動いている別の話。記録に書かれていない材料のほうが、判断を左右する場面は多いのです。だから候補は候補として扱い、決めた人と日付を残します。採らなかった候補についても、採らなかった理由を1行だけ同じ場所に残しておくと、次の判断が速くなります。
広げるか、縮めるか。席を減らす条件
4週間動かした後の判断は、広げる、続ける、縮めるの3つです。数が動いていないのに広げるのが、いちばん多い失敗です。広げた先で同じ型の詰まりが起き、今度は原因が2か所になるので、どちらが効いていないのかを切り分けられなくなります。広げるのは、3つの数のうち少なくとも2つが動いてからにしてください。
- 3つの数のどれも動いていないうちは、別の業務へ広げない
- 4週間動かして操作の回数が減らなければ、研修ではなく必須の項目を疑う
- 1か月まったく開いていない席が全体の3割を超えたら、機能を足す前に席数を見直す
- 減らす前に、その人が読む側なのか作る側なのかを確かめる。読む側なら表示のみのシートに移す
- 縮める判断は、契約の更新月の2か月前までに決める。更新月に入ってからでは選べる形が減る
縮めることは失敗ではありません。使う人数に合わせて席を戻し、使う業務に絞って続けるほうが、全社に配ったまま誰も開かない状態より、次に広げるときの土台になります。開いていない席の数は、入っている人の数より正直な数字です。縮めた事実を社内に伏せると、次に広げるときに同じ反対がもう一度出る。何を止めたのかを、止めた理由と一緒に残しておいてください。
まとめ
入れたのに使われない状態は、やる気の話に見えて、ほとんどが手数と流れと読む人の話です。入力の手数が増えていないか、前の道具が二重に残っていないか、決裁の流れが変わっているか、出した記録を読む人がいるか。この4つのどれかに必ず落ちます。移行の前には、表記のゆれと重複と持ち主のいない記録を直し、同じ1件をどの項目で決めるかを先に決める。動かすのは1つの業務から、4週間だけ。そしてAIを足すのは、開かれ、入力され、読まれるようになってからです。今日できることを1つ選ぶなら、1件を登録し終えるまでの操作の回数を、実際に横で数えてみてください。その数字が出た時点で、議論の土俵が人の話から仕組みの話に移ります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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