営業に渡した資料が使われない原因|現場で選ばれる形に直す

「渡した資料が使われないのは、作りが悪いからだと言われました」「営業向けに配った提案の資料が、半年たっても開かれた形跡がありません」——資料を作る側から見て、いちばん報われない場面がこれです。ただ、ここで起きているのは作り手の努力不足ではありません。本当は、渡した後にその資料がどこへ置かれ、どの場面で誰が選ぶのかが決まっていない、というだけのことです。渡すところまでは設計されていて、選ばれるところが設計されていません。この記事では、使われない原因を5つに切り分ける表と、直す順番、そして場面ごとの作り分けにAIをどこまで任せてよいかを整理します。
カメ先生作った資料が営業の現場で使われない、という相談はとても多いんだ。ただ、理由を出来の良し悪しに求めると、たいてい次の資料も使われない。効いているのは、渡した後の置かれ方のほうだからね。
カメ子同じ資料でも、置かれ方が変わると使われるようになるということですか。
カメ先生そう。商談のどの場面で、誰が、何を見て選ぶのかが決まっていれば使われる。決まっていなければ、どれだけ丁寧に作っても、現場は自分で用意した1枚を出してしまう。
カメ子使われるかどうかは、資料の中身より先に、選ぶときの状況で決まっているのですね。それはどこから確かめればよいのでしょう。
- 使われない原因は5つに分かれる。場面に合っていない/どれを出すか選べない/中身が古い/その場で直せない/使われたかが分からない
- 直す順番は中身からではない。選べないことと古いことを先に片づけると、資料を1文字も書き換えずに使われる本数が動く
- AIに任せてよいのは、元の1本から差し替える箇所を作らせるところまで。数字と事例と比較は人が入れ、確かめる範囲を先に決める
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「出来が悪いから使われない」という説明が、次の資料も使われなくする
使われない資料の話は、たいてい出来の話に流れます。図が分かりにくい、文字が多い、要点が後ろにある。どれも直せば良くなる指摘ですが、直した資料も同じ場所に置かれて、同じように使われません。出来を原因に据えると、打ち手が「もっと良いものを作る」に固定され、渡した後の扱いには一度も手が入らないためです。作り直しの回数だけが増えて、実際の商談では相変わらず担当者が自分で用意した1枚が出てきます。
そもそも「使われない」という一語が、2つの違う状態をまとめて指しています。一度も開かれていない資料と、開かれてはいるが商談の場では出されない資料です。前者は存在を知られていない問題で、後者は知られたうえで選ばれなかった問題です。打ち手はまったく別なのに、報告はどちらも「使われていません」の一言で上がってきます。受け取る側が出来の話に読み替えてしまうのは、この段階で中身が分からなくなっているからでもあります。
最初にやるのは作り直しではありません。どの資料が、どの場面で、誰に選ばれているのかを知ることです。選ばれ方が分かると、直す場所は資料の中ではなく、資料の外に見つかります。この記事では原因を5つに切り分けますが、そのうち4つまでは資料の中身を1文字も変えずに手を打てます。なお、資料そのものの作り方と、生成の指示文の書き方は別の記事の領分なので、ここでは扱いません。
渡した側には、使われていないことがそもそも届かない
資料は渡した時点で、作り手の視界から消えます。商談で開かれたかどうかも、途中で1枚抜かれたかどうかも、作った側には何も返ってきません。戻りの導線が無いまま、次の資料の企画だけが始まります。これは誰かの怠慢ではなく、渡して終わる形になっているというだけのことです。渡した本数と作った本数は記録に残るのに、出された回数はどこにも残りません。
現場に直接聞いても、実態は出てきにくいところがあります。「使っています」という答えは、半年前に1回使った記憶でも成立してしまうからです。聞き方を「使っているか」から「直近の3件で出したか」に変えるだけで、返ってくる答えが変わります。件数と直近の期間を指定しない質問は、事実ではなく印象を聞いていることになります。
だから最初に測るのは、満足度でも評価でもありません。直近の商談で出された回数と、出されたときの場面の2つです。この2つは営業にほとんど負担をかけずに取れます。取り方は後半で1つだけ決めますが、ここで押さえておきたいのは、測らないまま作り直すと原因が永久に分からないままになる、ということです。作り直しは、原因が分かってから始めても遅くありません。
使われない原因は5つに分かれる。切り分けから始める
切り分けずに手を打つと、効かない直し方に何か月も使います。原因は次の5つで、現場に出る合図がそれぞれ違います。合図が分かっていれば、聞き取りを1回するだけで、どこが詰まっているかが決まります。
| 原因 | 現場に出る合図 | 最初に打つ手 | 放っておくと起きること |
|---|---|---|---|
| 場面に合っていない | 商談の前に、担当者が自分で1枚作り直している | 1本を商談の段階で割り、どの場面で出すかを決める | 資料の本数だけが増え、どれも中途半端な内容で残る |
| どれを出すか選べない | 「あの資料はどこでしたか」という問い合わせが繰り返される | 一覧を10本以内にし、使いどころを1行で添える | 探す時間が惜しくなり、手元の古い資料が使い回される |
| 中身が古い | 数字の入った頁だけを飛ばして説明している | 更新日と次の見直し日を、数字が載る頁に書く | 誤った数字が商談で出て、訂正の連絡が発生する |
| その場で直せない | この1枚を抜きたいが触れない、という声が出る | 差し替えてよい範囲と、触ってはいけない箇所を決めて渡す | 各自が独自の版を持ち、どれが最新か分からなくなる |
| 使われたかが分からない | 改訂してほしいという要望が、誰からも上がってこない | 戻りの仕組みを1つだけ作る | 次の改訂が、作り手の想像だけで進む |
この5つは同時に起きます。ただし直す順番は決まっていて、選べないことと古いことを先に片づけます。この2つは資料の中身を作り直さずに直せるうえ、直った瞬間に使われる本数が動くためです。場面に合っていない問題は作り分けが要るので、いちばん手間がかかります。手間の大きいものから着手すると、途中で予算も関心も切れます。
切り分けの材料は、聞き取り3問で足ります。直近3件の商談で出した資料、出さなかった資料とその理由、その場で足した内容の3つです。理由は自由記述にせず、5つの原因のどれに当たるかを選んでもらう形にします。自由記述にすると回答は「分かりにくかった」に集まり、また出来の話に引き戻されます。選択肢にした瞬間、同じ質問が次の四半期にもそのまま使えます。
原因1 1本で全部を賄おうとした資料は、どの商談でも半分が余る
業種も、検討の段階も、相手の役職も違う商談に、1本の資料で対応しようとすると、内容は必ず汎用化します。汎用化した資料は、どの商談でも半分が余分になります。余分な頁を飛ばしながら話すことになるので、担当者は自分で必要な部分だけを抜いた1枚を作ります。作り直しが起きている時点で、原因はここだと見てよいです。
割る軸は、業種からではなく商談の段階からにします。初めて話す場面、他社と比べている場面、社内で通すための場面の3つです。同じ相手でも、必要な情報がこの順に入れ替わります。業種で割ると本数が一気に増えるうえ、段階が混ざったままなので、割った後も同じ問題が残ります。業種の違いは、冒頭の課題の書き出しだけを差し替えれば足りることがほとんどです。
買い手の準備が変わっていることも、割り方に効きます。ハブスポットが2025年10月30日と31日に日本全国で行った「日本の営業に関する意識・実態調査2026」では、生成AIで得た情報がきっかけで当初検討していなかった製品を候補に加えたと答えた買い手が52.4%、得た情報が最終的な意思決定に影響したと答えた買い手が55.3%でした。初めて話す場面で一般的な説明だけを並べた資料は、相手がすでに読んできた内容と重なります。
原因2 選ぶ手間そのものが、使わない理由になっている
資料が増えるほど、探す時間が増えます。ヘルプフィールが2022年9月に、従業員2,000人以上の企業に勤める正社員400名へ行ったインターネット調査では、業務で社内情報を調べている時間は1日あたり平均1時間5分でした。ほしい情報が見つかって自己解決できていると答えた割合は約22%で、残る約77%は自己解決できていません。見つからなかったときは70.8%が上司や同僚に、59.8%が関連部署に問い合わせています。
商談の前に使う資料を探して見つからなければ、担当者は誰かに問い合わせるか、手元にある古い資料で済ませます。探す手間が2分を超えたあたりで、自分で用意するほうが早いという判断に変わります。本数を増やすほど使われなくなる、という逆転はここで起きます。作り手から見ると本数は充実の指標ですが、選ぶ側から見ると負担の指標です。
直し方は2つです。一覧に並ぶ本数を10本以内に抑えること、そして1本ごとに、いつ誰に出すかを1行で添えることです。10本を超えたら、内容ではなく場面で束ね、束の名前を先に決めます。名前が場面の言葉になっていれば、中身を開かずに選べます。逆に、名前が資料の題名のままだと、開いて確かめる作業が毎回発生します。
原因3 更新日が分からない資料は、怖くて出せない
数字と事例が入った資料は、古くなると出せなくなります。誤った数字を商談で出したときに、その場で説明するのは作り手ではなく営業担当者だからです。自信の持てない資料は、開かれても該当の頁だけ飛ばして使われます。飛ばされた頁は、作り手の側からは「使われた資料」に見えてしまいます。
直し方は、資料の中に更新日と次の見直し日を書くことです。表紙ではなく、数字が載っている頁そのものに書きます。古いかどうかを毎回誰かに確かめさせる状態が、そのまま使わない理由になっています。見直し日を過ぎた資料は一覧から外し、外したという事実を一覧に残します。黙って消えると、現場は手元の版を使い続けます。
もう1つ効くのは、数字だけを別の1枚に集めることです。実績の値、導入した社数、価格の帯のように更新の周期が短いものを1枚にまとめ、本体の資料は更新しなくてよい形にします。更新の手間が1枚に集まるので、見直しが続きます。本体ごと毎回作り直す形にすると、3か月で更新が止まり、また同じ状態に戻ります。
原因4 その場で1枚抜くことも足すこともできない
商談の直前に、相手の関心に合わせて1枚抜く。事例を1枚足す。この手直しができない資料は、使われる場面が一気に狭くなります。形式が固まっていて編集できない、頁の順番が動かせない、差し替え用の素材が用意されていない。この3つのどれかが起きています。
直し方は、触ってよい範囲を先に決めて渡すことです。差し替えてよい頁、順番を変えてよい範囲、書き換えてはいけない箇所の3つを、資料の中に印として置きます。自由に触らせないほうが安全だという前提が、そのまま使われない理由になっています。触れる範囲が明示されていれば、範囲の外を勝手に書き換える動きはむしろ減ります。
触ってはいけない箇所は、はっきり限定します。価格、契約の条件、実績の数字、他社との比較に関する記述の4つです。この4つ以外は現場で動かしてよいと決めてしまうほうが、結果として版の管理は楽になります。動かした形跡は次の改訂の材料として戻ってくるので、作り手にとっても損がありません。
原因5 使われたかが分からないので、直す材料が戻ってこない
最後の原因は、作り手の側にあります。使われたかどうかが分からないので、次の改訂が想像で進みます。想像で直した資料は、現場から見ると「また違うものが来た」という受け取られ方になります。改訂のたびに信用が減る、という悪い回り方はここから始まります。
戻りの仕組みは、記録か聞き取りのどちらか1つに決めます。両方作ると、どちらも続きません。記録は取れる会社だけが取ればよく、取れないなら聞き取りの定型で十分です。大事なのは頻度のほうで、月に1回、同じ3問を同じ人数に聞きます。四半期に1回にすると、答えが記憶ではなく印象になります。
聞き取りの3問は、直近3件の商談で出した資料、出さなかった資料とその理由、その場で足した内容です。3問目が最も価値があります。その場で足された内容は、次の資料に入れるべき中身がそのまま現れた形だからです。足された内容が3人から同じように出てきたら、それは1本の資料として立てられる材料になります。
切り分けを飛ばすと、直しても使われない
原因を切り分けずに手を打つと、次のような外し方をします。どれも実際に起きる形です。
- 商談の段階が合っていないことが原因なのに、図解の作り直しに2か月かけた。図はきれいになったが、初めて話す場面では相変わらず使われなかった
- 選べないことが原因なのに、場面別の資料を8本追加した。一覧が18本になって探す時間が増え、使われる本数はむしろ減った
- 数字が古いことが原因なのに、表紙と目次の体裁をそろえた。数字の頁は引き続き飛ばして説明され、訂正の連絡も止まらなかった
- 使われたかが分からないことが原因なのに、閲覧の記録を取る仕組みを3種類入れた。記録は増えたが、誰も読み返さない状態が続いた
外し方に共通しているのは、手を動かしやすいところから直していることです。体裁と本数は作り手の側だけで動かせるので着手が早く、場面の割り直しと戻りの仕組みは営業の協力が要るので後回しになります。効く順番と、着手しやすい順番が正反対になっている、という形です。
見分けの合図は、直した後に何が変わるはずかを1行で言えるかどうかです。「見やすくなる」は合図になりません。「初めて話す場面で出される本数が増える」なら合図になります。言えないまま着手した直しは、終わった後の効果も判定できません。1行が書けない直しは、今回は見送るという判断でよいです。
相手に送る資料と、手元で見る資料を分ける
使われない資料をよく見ると、1本で2つの役目を負っていることがあります。相手に送って読んでもらうための資料と、担当者が説明の順番や想定される質問を確かめるための資料です。役目が2つ混ざった資料は、どちらの場面でも中途半端になります。送るには社内向けの注記が邪魔になり、手元で見るには背景の説明が長すぎます。
混ざっている合図は分かりやすく出ます。送る前に毎回いくつかの頁を削っている、あるいは説明のときだけ別の手控えを開いている。どちらかが起きていれば、1本を2つに分ける段階に来ています。分けると本数は増えますが、選ぶときの迷いはむしろ減ります。原因2で扱った、本数を減らすという話と逆に見えて、実際には両立します。役目で分けた2本は、迷う対象にならないためです。
分け方の基準は1つだけにします。相手に送るものには、相手が読んで分かる言葉だけを残す。手元で見るものには、想定される質問とその答え、数字の出どころ、触れてはいけない箇所の3つを入れる。基準を1つにしておくと、どちらに入れるか迷う内容が出たときに、送る側から外すという判断で片づきます。迷った内容が手元側に集まるのは、運用としては正しい形です。
分けた後は、一覧での並べ方も変えます。送るものと手元のものを混ぜて並べると、探す時間がまた増えるからです。束を2つに分け、束の名前に送る用か手元用かを入れておきます。この並べ替えだけで、商談の直前に開く回数が変わります。手元用の資料は更新の周期を別に持てるので、数字が変わったときの手当ても軽くなります。
場面ごとの作り分けに、AIをどこまで使うか
割る作業そのものには手間がかかります。ここでAIを使いますが、任せるのは元の1本から、差し替える箇所だけを作らせることです。資料の全体を作り直させると、数字も事例も一緒に書き換わり、確かめる手間が元の作業を超えます。差し替える箇所を先に決めておけば、確認するのはその箇所だけで済みます。
| 差し替える箇所 | AIに任せてよいか | 人が確かめること | 任せたときに起きる事故 |
|---|---|---|---|
| 冒頭の課題の書き出し(業種ごと) | 任せてよい | その業種で実際に起きている課題になっているか | 一般的すぎて、どの業種にも当てはまる文章になる |
| 言い換えと呼び名(相手の役職ごと) | 任せてよい | 社内と取引先で実際に使われている呼び名か | 現場で誰も使っていない言葉に置き換わる |
| 事例の紹介文 | 下書きまで | 掲載の許諾の範囲と、社名の表記 | 許諾を得ていない社名や、脚色された成果が入る |
| 実績の数字と価格 | 任せない | 人が原典から入れる | 元の資料に無い数字が、それらしい形で作られる |
| 他社との比較の記述 | 任せない | 人が原典から入れる | 出どころの無い比較が、断定の形で書かれる |
任せる範囲を狭くするほど、確かめる時間は短くなります。全体を作らせてから確認すると、どこが変わったのかを探すところから始めることになり、作り分けた本数が増えるほど確認が追いつきません。差し替える箇所を3つ以内に決めてから着手します。
材料の側にも用意が要ります。総務省が2026年に公表した令和8年版情報通信白書では、生成AIに社内データを学習させたり、参照できるデータベースを構築したりしていると答えた日本企業は24.5%で、米国の57.2%、ドイツの54.4%、中国の73.0%を下回りました。元の資料と過去の商談の記録を渡さないまま作らせると、出てくるのは一般論だけになります。渡す材料が無いうちは、作り分けの工程そのものを後ろに回します。
数字と事例は、AIに触らせない
前の章の表で「任せない」に入れた2つは、線を引く場所として大事です。実績の数字、価格、他社との比較は、出どころと更新日を持っている情報です。持ち主が決まっている情報を作らせると、出どころが切れた数字がそのまま資料に残ります。残った数字は、商談の場で営業担当者が説明することになります。
下書きを作らせる場合も、必ず根拠を書かせます。元の資料の何頁から取ったのかを出力に添えさせ、添えられないものは使いません。根拠が書けない出力は、正しく見えても使わないという線を先に決めておきます。書かせる欄を1つ作るだけで、作れないものを作らなくなります。
人が確かめる範囲も、始める前に決めます。全部を人が見るのか、数字と社名が入った箇所だけを見るのかです。決めずに始めると、確認は全件になるか、ゼロになるかのどちらかに振れます。範囲を決めておけば、1本作り分けるのに何分かかるかを先に見積もれますし、その見積もりがそのまま次の四半期の計画に使えます。
戻りの仕組みは、1つだけ作る
使われた資料が戻ってくる形を作ります。選択肢は2つで、送った記録や共有の記録を残す形と、聞き取りを定型にする形です。どちらか1つに決めて、もう一方は作りません。2つ動かすと、どちらも半端になって半年で止まります。止まった仕組みは、次に作るときの反対の材料にもなります。
記録の形を選ぶなら、見る数字を先に3つに固定します。出された本数、出された場面、出されなかった資料の本数です。記録は取れる量が多いほど、読み返さない言い訳が増えます。3つ以外は集計しないと決めておくと、毎月の作業が5分で終わります。5分で終わる作業だけが、1年後も残ります。
聞き取りの形を選ぶなら、聞く相手を固定します。営業の全員ではなく、同じ5人に月1回、同じ3問です。相手が入れ替わると、返ってきた内容を月ごとに比べられません。5人のうち2人は、資料をよく使う人ではなく、あまり使わない人を入れます。使わない理由のほうが、直す材料としては濃いためです。
配るのをやめて、商談の準備の手順に置く
ここまでの直しをしても、渡し方が配布のままだと定着しません。同じ構造は、道具の定着でも観測されています。ハブスポットの「日本の営業に関する意識・実態調査2026」では、生成AIを週1回以上使っている営業の割合が、組織の支援が無い場合は35.6%、利用を許可しただけの場合は47.2%、研修を行った場合は56.9%、業務の流れに組み込んだ場合は74.8%でした。
許可と組み込みの差が、2倍を超える開きとして出ています。渡すことと、業務の流れに置くことは、定着の観点ではまったく別の行為です。資料も同じで、共有の場所に置いただけでは選ばれません。準備の手順の中に、どの資料をどこで選ぶかを書き込みます。
手順に置くとは、具体的には3か所です。商談を設定したときに開く準備の手引き、初めて話す場面の前の確認の項目、上長が同席を判断する場面の3つです。この3か所に資料の名前が出てくれば、探す作業そのものが発生しません。手引きが無い組織では、まず1枚だけ作ります。1枚に収まらない手引きは、結局読まれません。
直す順番を5工程に固定する
ここまでの材料を、実行の順番に並べ直します。4週間を目安にします。工程ごとにやることを1つに絞ってあるので、途中で止まっても次の週から再開できます。
一覧に並んでいる本数、最後に更新した日、置いてある場所を1枚に書き出します。10本を超えていたら、この時点で束ね方を決めます。
出した資料、出さなかった資料とその理由、その場で足した内容の3問です。理由は5つの原因から選んでもらいます。
一覧の本数を減らし、使いどころを1行で添え、数字が載る頁に更新日と次の見直し日を書きます。ここまでは中身を書き換えません。
商談の段階で割り、差し替える箇所と触ってはいけない箇所を決めます。AIに作らせるのは差し替える箇所だけです。
記録か聞き取りのどちらか1つに決めます。見る数字は3つに固定し、次に見る日と担当者の名前を書いて閉じます。
3工程目までで、使われる本数は動きます。作り分けは手間がかかるので、動いたことを確かめてから着手するほうが、社内の協力も得やすくなります。順番を逆にすると、割った資料が選べないまま増えるだけになり、原因2をこちらから作り出すことになります。
- 聞き取りの相手は最初に5人を指名し、途中で入れ替えない
- 一覧の本数を減らす判断は、作り手ではなく営業側の1人に持ってもらう
- 差し替える箇所を決める会議は1回にし、決まらない箇所は今回の対象から外す
- 4週間で終わらない工程が出たら、範囲を狭めて期間は延ばさない
この4つは、期間を守るための決めです。とくに最後の1つが効きます。期間を延ばすと、聞き取りの相手も担当者も入れ替わり、最初の3問の答えが比べられなくなります。範囲を狭めれば、次の4週間でもう一度回せます。
よくある質問
資料の本数を減らすと、対応できない商談が出ませんか
減らすのは一覧に並べる本数で、資料そのものを捨てるわけではありません。一覧から外したものは、名前と使いどころを書いた索引にだけ残します。年に数回しか出ない資料が一覧の上位にあることのほうが、選ぶ手間を増やしています。外した後に必要になった場合は、索引から取り出せば済みます。
使われているかどうかを、営業に負担をかけずに測れますか
聞き取りの形なら、5人に月1回、3問で終わります。1人あたり3分もかかりません。記録の形を選ぶ場合も、見る数字を3つに固定しておけば、営業の側の作業は増えません。負担が増えるのは、集計の項目を後から足したときです。足したくなったら、代わりに1つ減らします。
現場が自分で作った資料は、やめさせるべきですか
やめさせるのではなく、材料として集めます。自分で作った1枚は、使われる資料に何が足りなかったかを最も具体的に示しています。月に1回の聞き取りの3問目で出てきたものを並べ、3人から同じ内容が出たら、こちらの資料に取り込みます。禁止から入ると、作った事実そのものが見えなくなります。
作り分けをAIに任せると、表現がばらつきませんか
差し替える箇所を3つ以内に決めておけば、ばらつくのはその3か所だけです。全体を作り直させたときに、初めて全体がばらつきます。呼び名の言い換えを任せる場合は、使ってよい呼び名の一覧を先に渡し、一覧に無い言葉が出てきたら人が戻します。一覧は10語もあれば足ります。
5つの原因を直しても使われないときは、何を疑えばよいですか
疑う先は2つです。1つは、その資料が想定している相手と、実際に商談している相手がずれていること。もう1つは、資料を使う場面が商談の中に無いことです。前者は聞き取りの2問目に相手の役職を足せば分かります。後者は、準備の手引きに資料の名前が書かれているかどうかで分かります。
まとめ
渡した資料が使われないのは、作り手の出来の問題ではなく、渡した後にどこへ置かれ、誰がどの場面で選ぶのかが決まっていないからでした。原因は5つに分かれます。場面に合っていない、どれを出すか選べない、中身が古い、その場で直せない、使われたかが分からない。直す順番は決まっていて、選べないことと古いことを先に片づけると、資料を1文字も書き換えずに使われる本数が動きます。場面ごとの作り分けにはAIを使えますが、任せるのは差し替える箇所だけで、実績の数字と価格と他社との比較は人が入れます。そして、戻ってくる仕組みを1つだけ作って、配るのをやめて準備の手順に置きます。まずは今ある資料を数えて、1枚に書き出すところから始められます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
リード獲得・育成の打ち手として、ウェビナーの集客と運営でお困りですか?
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