【2026年】AIの技術を海外に出す前に|輸出管理で見る点

【2026年】AIの技術を海外に出す前に|輸出管理で見る点

「海外の拠点でも同じAIを使わせたいと言われました。物を送るわけではないので、輸出には当たらないという前提で話が進んでいます」「学習に使ったデータを海外のクラウドに移す計画があるのですが、誰に確認すればよいのかが分かりません」——AIを社内で広げ始めた会社から、半年ほど遅れて出てくる相談です。抜けているのは手続の知識ではありません。荷物を船や飛行機に載せることだけが「海外に出す」ではない、という一点です。技術を渡す行為そのものが、別の条文で規制の対象になっています。この記事では、AIに固有のものが国境を越える場面を5つに分け、誰が、どこで、何を確かめて止めるのかを、2026年時点の制度で整理します。


カメ先生カメ先生

輸出管理は輸出の部署が見るもの、と思われがちなんだ。でも対象になっているのは物だけではなくて、技術を渡す行為そのものも入っている。だからいまは、AIを扱う部署のほうが先に当たることが増えているんだよ。


カメ子カメ子

物を送っていなくても、対象になることがあるということですか。


カメ先生カメ先生

そこが分かれ目になるね。渡す手段のほうは問われていない。持って出ても、送っても、向こうから見られる状態に置いても、同じ枠の中で見られる。


カメ子カメ子

つまり、海外の拠点に画面を開かせるだけでも、確かめる必要が出てくる場合がある、という理解でよいでしょうか。


この記事のポイント
  • 海外に出すには物を送ることと技術を渡すことの2つがあり、見る条文が別になっている
  • AIで先に当たるのは、モデルの重み、データの置き場所、海外からの接続の3つ
  • 該非判定は輸出する側の責任。判定できないときに止める線を、先に決めておく

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目次

物を送っていないのに、輸出管理の話になるのはなぜか

輸出管理という言葉から思い浮かぶのは、貨物の箱と税関の手続でしょう。実際、多くの会社ではこの分野を貿易の部署が持っています。ところがAIを社内に広げ始めると、貿易の部署を1度も通らないまま、規制の入口に立ってしまうことが起きます。技術を渡す行為が、物を送る行為とは別の条文で規制されているからです。

渡し方は問われていません。持ち出しても、送っても、向こうから見られる状態に置いても、同じ枠で見られます。ここが理解の分かれ目になります。画面を開かせる、権限を付ける、共有の場所に置く。どれも「渡す」に入り得ます。荷物が動いていないので、社内では誰も輸出だと思っていない。それが事故の形です。

この記事で扱うのは、AIに固有のものが外に出る場面だけです。5つに絞ります。学習済みモデルの重みを海外の拠点に渡す。学習に使うデータを海外のクラウドに置く。海外の拠点から社内のAIに接続させる。海外の委託先に指示文と社内の資料を渡す。そして、渡す相手が日本国内にいる場合。人に向かって技術を説明する場面は、この記事では扱いません。誰に向かって説明するかで扱いが変わるという論点は、それだけで別の整理が要ります。

もう1つ、最初に1度だけ断っておきます。顧客や従業員の情報を海外に移す話は、これとは別の法律の話です。個人の情報を守る側の決まりと、ここで扱う安全保障の観点からの輸出管理は、目的も、見る相手も、根拠になる法律も違います。片方の確認をもって両方の確認としないでください。この記事で以降扱うのは、外為法の側だけです。

貨物と技術は、別の条文で別に見る

言葉をそろえます。この分野の話が社内で伝わらない最大の理由は、物を送るときと、技術を渡すときで、根拠になる条文が違うことが共有されていない点にあります。担当者の間でも、片方だけを知っている状態がよく起きます。

言葉何を指すか根拠になる条文AIの場面での当たり方
貨物の輸出物を国外に出すこと外為法48条1項モデルを記録した媒体を持ち出す、機器ごと送る
技術の提供技術を他者が利用できる状態に置くこと。役務取引と呼ばれる外為法25条1項・外国為替令17条2項海外の拠点や委託先に、モデルや手順を渡す。画面から使わせる
該非判定その貨物や技術が規制の対象に当たるかどうかを調べること輸出令別表第1・外為令別表と貨物等省令モデルや付随する技術の仕様を、項番ごとに照らす
リスト規制仕様が一定の水準に当たるものを個別に列挙して管理する仕組み輸出令別表第1の1項から15項先端の機器や、それに直結する技術が中心になる
補完的輸出規制リストに無くても、用途や相手によっては許可が要る仕組み輸出令別表第1の16項用途と相手を確かめるので、汎用の技術でも当たり得る

表の2行目にある「他者が利用できる状態に置くこと」という言い方が、この記事を通しての鍵になります。これは役務通達に置かれた提供の定義そのものです。渡したかどうかは、こちらの意図ではなく、相手が使える状態になったかどうかで見ます。共有の場所に置いて権限を付けた時点で、まだ誰も開いていなくても、使える状態にはなっています。

もう1つ押さえておきたいのは、貨物と技術が別々に判定されることです。機器そのものが規制の対象でなくても、その機器を作る技術や使う技術が対象になることがあります。逆もあります。片方を確かめて終わりにできる場面は、ほとんどありません

条文の中身をここで解説するつもりはありません。担当者が覚えておくべきなのは、相談を持ち込むときに「これは貨物の話か、技術の話か」を先に切って持っていくということだけです。この一言があるかないかで、社内の法務や貿易の部署が開く資料が変わり、返ってくる速さが変わります。切らずに持ち込まれた相談は、たいてい担当を1周してから戻ってきます。

リストに載っていなければ自由、ではない

該非判定を1度やった会社が、次にはまるのがここです。仕様を照らして、リストに当たらないと分かった。それで自由に出せると思って進めると、もう1段が残っています。リストに載っていなくても、用途と相手によっては許可が要る仕組みがあります

この2段目は、見るものが変わります。1段目のリスト規制が見るのは物や技術の仕様です。2段目が見るのは、それが何に使われるかという用途と、誰が使うかという相手です。仕様が同じでも、渡す相手が変われば結論が変わる、ということです。だから判定は、案件ごとにやり直しになります。1度作った判定の結果を、相手の違う案件にそのまま流用することはできません。

相手の確認には、公表されている一覧が使えます。経済産業省が公表している外国ユーザーリストのほか、取引の実務では海外の当局が公表している一覧と照らすことも定着しています。照らした日付と、その時点の版を記録に残すのを忘れないでください。一覧は更新されるので、いつの版で見たかが後になって効きます。

2026年の時点では、この2段目の側が動いています。補完的な輸出規制の改正が2025年10月9日に施行され、対象になる貨物が統計品目の番号で明確に指定される形になりました。加えて、工作機械についての見直しが2025年5月28日に施行されています。制度が動いている分野では、社内の手引きに「最終確認日」を書く欄を作っておくのが実務的です。日付が無い手引きは、古くなったことに誰も気づけません。

場面1:学習済みモデルの重みを、海外の拠点に渡す

最初の場面です。日本で作った学習済みのモデルを、海外の拠点でも使わせたい。ここで社内から必ず出るのが、「これは貨物なのか技術なのか」という問いです。答えは渡し方によって変わります。記録した媒体を持ち出せば物を出す形になり、回線を通して渡せば技術を渡す形になります。中身が同じでも、通る条文が違います。

実務では後者のほうが圧倒的に多く、そして見落とされます。物であれば箱を持って出る人がいるので、誰かが気づきます。回線を通した場合は、作業としては数分で終わり、記録も残りにくい。いちばん多い事故は、悪意のある持ち出しではなく、善意の共有です

判定に入る前に、社内で切り分けておくことが2つあります。1つは、渡すのはモデルそのものなのか、それを作るための手順や条件なのかです。もう1つは、渡した先で何をさせるのかです。使わせるだけなのか、手を入れて作り替えさせるのかで、渡す範囲が変わります。範囲が広いほど判定の手間が増えるので、ここを曖昧にしたまま依頼を出すと、判定の側で止まります。

AIを万能に扱わない線も、ここで引いておきます。当たるかどうかの判定をAIに出させてはいけません。仕様の一覧を読み込ませて「当たりません」と返ってきても、それは判定ではなく文章です。AIに任せてよいのは、社内の資料から仕様の記述を探して並べるところまでで、結論は人が出します。この分け方は記事の後半でもう一度出てきます。

重みだけ渡しても、技術は一緒について行く

場面1で残る問いが1つあります。重みの数値だけを渡せば、技術は渡していないことになるのか。実務の答えは、ほとんどの場合そうはならない、です。重みの並びだけを受け取っても、相手はそれを動かせません。動かすには、入力をどう整えるか、どの順で処理するか、出てきた値をどう読むかという手順が一緒に要ります。

だから、渡すものを数えるときに重みを1点と数えないでください。数えるのは4つです。重みそのもの、前の処理の手順、動かすための設定、そして精度を保つための調整の手引き。このうち後ろの3つは、渡す側が「付属品」だと思っているものです。付属品のほうが、技術としては中身が濃いことがよくあります。

逆に言えば、削る余地もここにあります。動かすのに要る最小限だけを渡し、調整の手引きは日本側に残す。すると渡す範囲が狭くなり、判定の対象も減ります。範囲を先に削ってから判定に出すほうが、全部を出して判定に時間を使うより早く終わります。削れるかどうかは、渡した先で何をさせるかを決めていないと判断できないので、場面1の切り分けがここで効いてきます。

もう1つ、見落とされるのが学習に使ったデータそのものです。重みは渡さず、データだけを渡す形も現場では起きます。データが単なる事実の集まりであれば技術には当たりませんが、そこに測定の条件や装置の設定値が含まれていれば、話が変わります。渡すものの名前ではなく、中に何が書かれているかで見ます。この見方は、後で出てくる委託先への資料の渡し方と同じです。

場面2:学習データを、海外のクラウドに置く

2つ目です。学習に使うデータや、モデルそのものを、海外にあるサーバーに置く。ここは多くの担当者の予想と結論が違う場所なので、丁寧に見ます。保管すること自体は、原則として技術の提供に当たらないという整理になっています

根拠は役務通達です。2013年に改正されたこの通達の別紙では、保管のためのサービスを利用する契約が、利用する側が自ら使うために事業者のサーバーに情報を保管することのみを目的とする契約である限りにおいて、外国のサーバーに規制対象の技術が保管される場合であっても、原則として許可は要らないとされています。置いただけでは渡したことにならない、という整理です。

ただし例外が3つ置かれています。保管した技術を事業者の側が閲覧・取得・利用することを知りながら契約を結ぶ場合。契約を始めた後に、事業者が閲覧・取得・利用していることが判明したのに、そのまま契約を続ける場合。そして、利用する側が第三者に技術を渡すためにそのサービスを使う場合です。3つとも、置いた場所ではなく「誰が閲覧できるか」で分かれています

3つ目の例外が、AIの場面ではいちばん現実的です。海外の拠点にも同じ保管場所へのアクセス権を付ければ、それは第三者に渡すために使っている形になります。国をどこにするかより先に、誰に権限を付けたかを数えてください。権限の一覧は、契約書よりも早く現実を映します。契約では日本国内の利用に限ると書いてあるのに、権限の一覧には海外の拠点の名前が並んでいる。この食い違いは、珍しくありません。

クラウドを使う前に、契約で確かめる点

では、置く前に何を確かめるのか。ここは公表されている整理があるので、そのまま使えます。経済産業省の質疑応答では、利用する側が契約の前に、保管する技術情報の機微さ、契約の文面、セキュリティの水準、サーバーが物理的に置かれている国について、公開されている情報を確認することが必要とされています。機微な技術を置くなら、この確認は欠かせないという書き方です。

  • 正当で特別な理由がなく、こちらの事前の了解も無いまま、保管した情報を閲覧・取得されることがないと契約で確かめられているか
  • 確実な情報セキュリティ上の措置が講じられているか
  • サーバーが置かれている国の政府機関等によって閲覧・取得されるおそれがないか。懸念があれば、設置する国を事業者に指定できるか
  • 暗号化によって、実質的に事業者の側へ技術が移らない形にできるか
  • 始めた後に、設置場所や閲覧の状況が変わったと分かったとき、契約を止めて情報を削除できる形になっているか

この一覧のもとになっているのは、一般財団法人 安全保障貿易情報センターが公表している自主管理のための指針です。経済産業省の意見も取り入れて作られています。公的な手続の要件ではありませんが、後から説明を求められたときに示せる根拠になります。社内でクラウドを選ぶときの基準に、そのまま組み込めます。

補足として押さえておきたいのが、例外に当たらない場合の整理です。法令に基づく司法機関の要請があれば情報を開示する可能性がある、と契約書に書かれている場合。セキュリティ対策の目的で、こちらの事前の了承を得たうえで閲覧する可能性があると書かれている場合。どちらも「閲覧することを知りながら契約した」には当たらないとされています。契約書に閲覧の可能性が書いてあること自体が、直ちに問題になるわけではありません

始めた後の運用も決めておきます。事業者が情報を閲覧・取得していることが判明した場合は、判明した時点から直ちに対応することが求められます。直ちにというのは、次の棚卸しの時期まで待たない、という意味です。誰がその判断をするのかを決めていないと、報告が上がったまま数か月が過ぎます。止めるのか、暗号化して残すのか、別の置き場所に移すのか。選べる手を先に3つ書いておくと、その場で動けます。

場面3:海外の拠点から、社内のAIに接続させる

3つ目です。モデルもデータも日本から動かさず、海外の拠点には画面から使わせる。持ち出していないので安心だ、と考えたくなる形です。ところが、ダウンロードさせることなく他者に使わせる形も、規制の対象に入っています。手元に落ちるかどうかは、判断の基準になっていません。

これも役務通達の別紙で整理されています。サーバー上にあるプログラムを、回線を通して他者がダウンロードせずに利用できる状態にするサービスは、規制の対象です。ただし、市販されているプログラムについての特例に当たる場合は許可が要らない、という道も用意されています。自社で作った社内向けのAIは、この特例からは外れやすいと考えておくほうが安全です

実務でいちばん使えるのは、該非判定の対象になる範囲が絞られているという整理です。規制の対象になるのは「他者が利用できる状態」にある機能に限られます。公表されている質疑応答には、人事のソフトが勤怠、給与計算、経費という3つの機能に分かれている場合に、海外の出向者に勤怠の機能しか使わせていないなら、判定が必要なのはその機能だけだ、という例が挙げられています。背後で動いている基盤の部分も、判定の対象にしなくてよいとされています。

この整理をAIの環境に当てはめると、やることがはっきりします。海外の拠点に開いている機能の一覧を先に作ることです。全部の機能を判定しようとすると終わりませんが、開いている機能だけなら数は限られます。誰にも開いていない機能は対象から外せます。機能の一覧が無い会社は、まずそこから作ります。作るのは情報システムの担当ですが、一覧の使い道がこれだと伝えておかないと、権限の一覧のままで終わります。

場面4:海外の委託先に、指示文と社内の資料を渡す

4つ目です。AIの開発や検証を海外の会社に頼む。渡すのは、指示文、評価に使うデータ、そして社内の手順書です。ここは、社内で誰も輸出管理だと思わない場所の代表格です。契約書の条項は法務が見ますが、添付する資料の中身までは見ていないことが多くあります。

渡すものを1つずつ見ると、性質が違うことが分かります。指示文そのものは、多くの場合、規制の対象にならない一般的な文章です。ところが、そこに製造の条件や、装置の設定値が具体的に書かれていると、話が変わります。危ないのはAIの技術ではなく、指示文の中に紛れ込んだ現場の数値のほうです

だから、渡す前の作業は判定ではなく仕分けになります。渡す資料を「一般的な手順」「自社の運用の記述」「装置や材料の具体的な条件」の3つに分け、3つ目だけを抜き出して判定に回します。全部をまとめて判定に出すと、量が多すぎて止まります。仕分けはAIに手伝わせてよい作業です。ただし、どの資料のどこを3つ目に入れたかを1行ずつ書かせ、人がその行だけを読み直します。

もう1つ、委託先の先を見る必要があります。受けた会社がさらに別の国の会社に投げる場合、こちらが確かめた相手と、実際に触る相手が違ってきます。再委託の可否と、再委託先を事前に知らせる義務を、契約に入れておくのが最低限です。入っていない契約では、確かめたことの効き目が1段で切れます。検証の作業は分割して外に出しやすいので、AIの案件ではとくに起こりやすい形です。

場面5:相手が日本国内にいても、対象になることがある

5つ目です。これまでの4つは、相手が海外にいる前提でした。最後は、相手が日本国内にいる場合です。国内で技術を渡す行為が、海外に渡すのと同じように扱われることがあります。社内のAIの環境に人を入れる作業は、情報システムの担当が日常的にやっているので、ここがいちばん気づかれません。

線がはっきりしたのは、2022年5月1日に施行された運用の明確化です。日本に住んでいる人であっても、一定の類型に当たる場合は、海外にいる人へ技術を提供するのと同じ枠で見られます。どういう類型かという中身は、それだけで別の整理が要る話なので、ここでは踏み込みません。押さえるのは、国内だから対象外とは言えなくなった、という一点です。

AIの現場でこれが起きる形は、3つに絞れます。1つ目は、社内のAIの環境に新しく席を付けるとき。2つ目は、共同での研究や受入れで来ている人に、社内のAIから技術の資料を引ける状態を渡すとき。3つ目は、海外の拠点から出向してきている人に、日本側の環境をそのまま使わせるとき。3つとも「人を入れる」作業で、物も回線も国境を越えていません

軽い対策は、席を増やすときの申請の様式に、確認を1行足すことです。席の一覧は情報システムの担当が持っていますが、その一覧が輸出管理の観点で見られたことは、たいていの会社で1度もありません。ここも判定をAIに任せてはいけない場所です。人の属性に関わる判断なので、誤りが本人の不利益に直結します。AIに任せてよいのは、申請の様式に必要な欄が埋まっているかを見るところまでで、該当するかどうかは人事と法務が一緒に見ます。

5つの場面を、1枚に並べる

ここまでの5つを1枚に並べておきます。相談が来たときに、この表のどの行かを先に決めてから中身に入ると、話が短くなります。行が決まらないまま議論を始めると、ほぼ確実に別の法律の話と混ざります。混ざったまま進むと、確認したはずの論点が両方とも中途半端に残ります。

場面先に決めること見るところ止まりやすい場所
モデルの重みを海外の拠点に渡す媒体で持ち出すのか、回線で渡すのか重みに付いていく手順と設定と調整の手引き回線で渡す形が、社内で輸出と認識されない
データを海外のクラウドに置く自分で使うために置くだけか、他者にも見せるか権限を付けた相手の一覧国の話に寄り、権限の一覧を誰も数えていない
海外の拠点から接続させるどの機能を開いているか開いている機能だけを判定の対象にする機能の一覧が無く、全体を判定しようとして止まる
委託先に資料を渡す渡す資料を3つに仕分ける装置や材料の具体的な条件が入っていないか契約は見ているが、添付の資料の中身を見ていない
相手が日本国内にいる席を増やす申請の様式に確認の欄があるか人事と法務が一緒に見る情報システムの担当だけで完結してしまう

表を眺めると、止まりやすい場所に共通点があるのが分かります。どの行も、技術の難しさではなく、見る人が居ないことで止まっています。輸出管理の知識が足りないのではなく、その案件を輸出管理の話として拾う人が居ない。だから対策も、知識を配ることではなく、拾う場所を作ることになります。

拾う場所として現実的なのは、既にある申請の流れに1行足すことです。AIの道具を新しく入れるときの申請、席を増やすときの申請、海外に委託するときの稟議。この3つに「海外に出る要素がありますか」という欄を足します。新しい手続を作るより、既にある手続に1行足すほうが、確実に回ります

欄を足すときの書き方にもこつがあります。「輸出管理に該当しますか」と聞かないことです。この聞き方だと、現場は該当するかどうかを判断しようとして、分からないので空欄にします。聞くのは判断ではなく事実にします。海外の拠点や海外の会社が関わりますか、日本国外のサーバーを使いますか、日本国外の人に画面を開きますか。この3つなら、現場が迷わずに答えられます。

該非判定は誰がやるか

ここからは運用の話です。まず押さえるべき前提が1つあります。該非判定は、輸出する側が自分でやる責任を負っています。どこかの役所が判定してくれるわけでも、道具を売っている会社が必ず保証してくれるわけでもありません。ここを誤解していると、確認の依頼を出したまま何か月も返事を待つことになります。

判定の進め方そのものは、確立した手順があります。経済産業省が公表している一覧表で、その品目がどの項番に当たりそうかを絞り、輸出令と外為令の別表で対象を確かめ、貨物等省令で仕様の水準を照らす。安全保障貿易情報センターが用意している確認用の様式も使えます。手順が確立しているぶん、社内で属人化させる理由はありません。1人しかできない状態になっているなら、それは手順を書いていないだけです。

STEP1
案件を1行で書く

何を、誰に、どの手段で渡すのか。この3つを1行にします。書けない案件は、まだ判定に出せる状態ではありません。

STEP2
貨物か技術かを切る

物として出るのか、技術として渡すのかを先に切ります。両方ある案件は、2件として扱います。

STEP3
仕様の記述を集める

設計書、仕様書、購入時の資料から、仕様に関する記述を集めます。この作業はAIに手伝わせてよい工程です。ただし、どの資料の何ページから取ったかを必ず書かせます。

STEP4
項番に照らす

集めた記述を、一覧表と省令に照らします。ここは人がやります。当たらないという結論を出すときほど、根拠の記述を残します。

STEP5
用途と相手を確かめる

リストに当たらなかった場合も、用途と相手の確認に進みます。相手の名称を公表されている一覧と照らし、照らした日付と版を記録します。

STEP6
結論と根拠を1枚にして残す

結論だけを残すと、次の案件で使い回されます。根拠の記述と、判定した日付と、判定した人の名前を一緒に残します。

3つ目の工程が、AIを使ってよい場所です。社内に散らばった資料から仕様の記述を探して並べる作業は、人がやると数日かかり、AIなら数十分で終わります。ただし出典を1行ずつ書かせるのが条件です。出典の無い記述は、判定の材料として使いません。ここを緩めると、もっともらしい仕様の文章が混ざり、後から見分けられなくなります。

4つ目と5つ目は人がやります。理由は、間違えたときに責任が発生するからです。責任が発生する判断は、責任を取れる人が出します。AIが出した結論を人が承認する形にすると、実際には誰も中身を見ないまま印だけが押される状態になります。作業の分け方として、結論はAIに出させないほうが安全です。

判定できないときに、どこで止めるか

実務でいちばん大事なのはここです。判定が終われば話は簡単です。問題は、判定できないまま時間が過ぎる案件のほうにあります。仕様の資料が見つからない、海外の拠点が既に使い始めている、相手の素性が確かめられない。こうした案件が、そのまま流れていきます。

だから、止める線を先に決めておきます。決め方は簡単で、止める条件を3つだけ書いて、それに当たったら自動的に止まる形にすることです。条件が多いと誰も覚えません。3つなら、現場が自分で判断できます。

  • 仕様の資料が社内に見つからないまま、大丈夫だろうという判断で渡してしまう
  • 判定の依頼を出したが返事が来ないので、期限を理由に先に渡してしまう
  • 前に似た案件で問題がなかったからという理由で、相手が違うのに同じ結論を使い回す
  • 海外の拠点が既に使い始めているので、いまさら止められないと考えて追認する
  • AIに仕様の一覧を読ませて、当たらないという回答が返ってきたので、それを判定の結論として扱う

止める線の3つは、たとえばこう書きます。仕様の根拠となる資料が示されていないとき。相手の名称が公表されている一覧と照らされていないとき。渡す範囲が1行で書けないとき。どれも、判定の結論ではなく、判定に入れる状態かどうかを見ています。入れる状態になっていない案件を止めるだけなので、止める側に専門の知識が要りません。

止めたときに誰が困るかも、先に決めておきます。困るのは現場なので、止めた後に誰がどう進めるかの道筋を同時に示さないと、次からは止めずに通されます。止める仕組みは、止めた後の道筋とセットでしか機能しません

止めた後に残っている3つの道

止めた案件は、そこで終わりではありません。進め方は3つあります。許可を取る、渡すものを削る、相手を変える。この3つを現場に示しておかないと、止めるという判断が「話が流れる」と同じ意味になります

1つ目の許可を取る道は、時間がかかります。だからこそ、早い段階で止まったほうが有利になります。案件が動き出す前に止まれば、申請にかかる時間を工程に織り込めます。止まるのが遅いほど、選べる道が減ります。この理屈を現場に共有しておくと、早い相談が増えます。止めることを罰のように扱うと、逆に相談が遅くなります。

2つ目の、渡すものを削る道は、AIの案件ではよく効きます。海外の拠点に開く機能を減らす。委託先に渡す資料から装置の条件の記述を抜く。重みは渡しても、調整の手引きは日本側に残す。全部か無かで考えると止まりますが、範囲を削ると動く案件は多くあります

3つ目の相手を変える道は、最後の手段です。ただ、選択肢として並べておく意味はあります。相手を変えれば済む案件を、無理に許可を取ろうとして何か月も止めている、という形が実際に起きます。3つを並べて、それぞれに費やす時間の見積もりを添えて出すのが、担当者の仕事になります。判断するのは現場の責任者で、担当者は選べる道を並べるところまでです。

止める仕組みを、社内のどこに置くか

最後に、置き場所の話をします。輸出管理の委員会を新しく作る、という答えは、ここでは勧めません。AIの案件は数が多く、1件あたりの判断が軽いものが大半です。重い仕組みを作ると、軽い案件が通らなくなり、結果として仕組みの外で処理されます

  • AIの道具を新しく入れるときの申請に、海外に出る要素があるかを問う欄を1つ足す
  • 海外の拠点に開いている機能の一覧を作り、開けた日付と開けた人を記録する
  • 海外にあるサーバーに置いているデータについて、権限を持つ人の一覧を四半期に1度数え直す
  • 海外への委託の稟議に、渡す資料の一覧と、再委託の可否の欄を足す
  • 席を増やすときの申請に、相手が日本国内かどうかとは別に、確認の1行を足す
  • 止める線を3つだけ書いて、当たったら自動的に止まる形にする
  • 判定の結論と根拠を1枚にして、判定した日付と人の名前とともに残す

この7つは、どれも新しい手続ではありません。既にある申請と稟議に欄を足すか、既に持っている一覧を数え直すだけです。手続を増やさずに拾う場所を増やすのが、この分野で続けられる唯一の形だと考えてください。増やした手続は、半年で誰かが飛ばし始めます。

持つ人は1人に決めます。委員会にすると、誰も一覧を数えません。決めるのは法務でも貿易の部署でもかまいませんが、AIの道具の導入に必ず関わる人にしておくのがこつです。関わらない人に持たせると、案件が流れてから知ることになります。

続いているかどうかの見分け方も置いておきます。半年経ったときに、止まった案件が1件も無いなら、その仕組みは動いていません。AIの環境を広げている会社で、海外に関わる案件が半年間1件も引っかからないということは、ほぼ起きません。引っかからないのは、案件が拾う場所を通っていないからです。そのときに見直すのは現場の意識ではなく、欄の置き場所のほうです。

まとめ

AIを海外に広げるときに止まるのは、荷物を送ることだけが海外に出すことだと思われているからです。技術を他者が利用できる状態に置く行為も、別の条文で規制の対象になっています。AIで先に当たる場面は5つあります。学習済みモデルの重みを渡す場面は、媒体で持ち出すか回線で渡すかで通る条文が変わり、回線で渡す形ほど社内で気づかれません。しかも重みだけでは動かないので、前の処理の手順、動かすための設定、調整の手引きが一緒について行きます。渡すものは4つと数えます。学習データを海外のサーバーに置くこと自体は、自分で使うために保管するだけなら原則として許可は要りませんが、事業者が見られる状態を知りながら契約する場合、後から判明しても続ける場合、第三者に渡すために使う場合の3つは例外です。だから見るのは国ではなく、権限を持つ人の一覧になります。海外の拠点から画面越しに使わせる形も対象で、判定が必要なのは開いている機能だけなので、機能の一覧を先に作ります。委託先には、指示文よりも、そこに紛れ込んだ装置や材料の具体的な条件のほうが問題になるので、渡す資料を3つに仕分けます。相手が日本国内にいても対象になる場合があることは、2022年5月1日の運用の明確化で線が引かれており、席を付けるとき、受入れのとき、出向で来ている人に環境を渡すときの3つで起きます。該非判定は輸出する側の責任なので、AIに任せてよいのは資料から仕様の記述を出典つきで並べるところまでで、当たるかどうかの結論は人が出します。そして、判定できないまま進む案件を止める線を3つだけ決め、止めた後に選べる3つの道を同時に示します。まずは、海外の拠点に開いているAIの機能の一覧が社内にあるかどうかを、1度確かめてみてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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