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入札公告と入札説明書・仕様書を公告の前に突き合わせ、日付・資格要件・提出書類・予定価格の扱いの食い違いと、競争を狭める記載を校正する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

公告の前に、入札公告・入札説明書・仕様書の3つを突き合わせ、日付・参加資格・提出書類・予定価格の扱いの食い違いと、競争を狭めるおそれのある記載を校正表にします。公告するかを決めるのは人です。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
医療/教育/自治体
対象部門
法務/総務
対象業務
内容確認・チェック/比較検討
主な課題
人手が足りない/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
校正
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
90h/月
AI導入後
40h/月
想定削減
56%
年間削減
600h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 事業課から仕様書と、入札の条件の案(履行期間、参加資格の案、予定価格の扱い)を受け取る
  2. 契約課の担当者が、ひな形から入札公告と入札説明書を作る
  3. 3つの文書を印刷し、日付・資格・提出書類・予定価格の扱いに蛍光ペンで印を付ける
  4. 公告と説明書、説明書と仕様書を、項目ごとに読み合わせる
  5. 法令と自治体の要領が求める記載がそろっているかを、手順書で確かめる
  6. 特定の製品の指定や、理由の分からない要件があれば、事業課に問い合わせる
  7. 直した文書を係長が読み、決裁に回して公告する
導入後(After)
  1. 人担当者が、入札公告・入札説明書・仕様書の案を、案件ごとのフォルダに置く
  2. 自動フォルダへの保存をきっかけに、文書をテキストかPDFに変換する
  3. 自動Claude API が、文書ごとに比べる項目を原文の引用と場所つきで抜き出す
  4. 自動プログラムが、抜き出した値を項目ごとに並べ、日付・番号・金額の食い違いを判定する
  5. 自動プログラムが、必ず書く記載の一覧に当たり、見つからないものに印を付ける
  6. 自動Claude API が、競争を狭めるおそれのある記載に印を付け、事業課に確かめる点を書く
  7. 自動校正表を作り、案件のフォルダに置く
  8. 人担当者が校正表を見て、原文で確かめ、文書を直す
  9. 人事業課に確かめる点を問い合わせる
  10. 人係長が校正表と直した文書を見て、決裁に回す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 事業課から仕様書と、入札の条件の案(履行期間、参加資格の案、予定価格の扱い)を受け取る
  2. 契約課の担当者が、ひな形から入札公告と入札説明書を作る
  3. 3つの文書を印刷し、日付・資格・提出書類・予定価格の扱いに蛍光ペンで印を付ける
  4. 公告と説明書、説明書と仕様書を、項目ごとに読み合わせる
  5. 法令と自治体の要領が求める記載がそろっているかを、手順書で確かめる
  6. 特定の製品の指定や、理由の分からない要件があれば、事業課に問い合わせる
  7. 直した文書を係長が読み、決裁に回して公告する

(a)食い違いは、文書の「あいだ」にある。 3番目と4番目の読み合わせは、1つの文書の中の誤りより、文書と文書のあいだの食い違いを探す作業です。質問の受付期限、回答の日、入札書の提出期間、開札日時。日付が10個前後あり、それが3つの文書に分かれて書かれます。

(b)提出書類の一覧が、様式番号でずれる。 公告には「参加申請書(様式1)」、説明書には「参加申請書(様式第1号)」、様式集には「様式2」。名前と番号のどちらかがずれると、応札する事業者は何を出せばよいか迷います。 事業者からの質問になり、回答を公表する手間が増えます。

(c)「必ず書く」記載が、ひな形の改訂で落ちる。 ひな形を直すたびに、古いひな形から作った説明書が残ります。予定価格の事前公表をやめたのに、古いひな形の「予定価格は公告で示す」が残る、といった誤りは、読み合わせでは見落としやすい型です。

(d)競争を狭める記載は、気づいても聞きにくい。 仕様書に特定の製品の型番があっても、事業課には事情があるかもしれません。誰が、どの基準で問い合わせるかが決まっていないと、担当者によって聞いたり聞かなかったりします。

  1. 【人】 担当者が、入札公告・入札説明書・仕様書の案を、案件ごとのフォルダに置く
  2. 【自動】 フォルダへの保存をきっかけに、文書をテキストかPDFに変換する
  3. 【自動】 Claude API が、文書ごとに比べる項目を原文の引用と場所つきで抜き出す
  4. 【自動】 プログラムが、抜き出した値を項目ごとに並べ、日付・番号・金額の食い違いを判定する
  5. 【自動】 プログラムが、必ず書く記載の一覧に当たり、見つからないものに印を付ける
  6. 【自動】 Claude API が、競争を狭めるおそれのある記載に印を付け、事業課に確かめる点を書く
  7. 【自動】 校正表を作り、案件のフォルダに置く
  8. 【人】 担当者が校正表を見て、原文で確かめ、文書を直す
  9. 【人】 事業課に確かめる点を問い合わせる
  10. 【人】 係長が校正表と直した文書を見て、決裁に回す

4番目と5番目をプログラムに置いているのは、意図してのことです。 日付が一致するか、様式番号が一致するかは、抜き出せれば比べるだけで決まります。 AIには、文書から値を探して抜き出す仕事と、文章を読まないと決まらない判断だけを任せます。

8番目で原文を開くのは、校正表の行だけです。 3つの文書を頭から読み合わせる作業は、校正表で挙がった箇所を確かめる作業に変わります。

02今回想定するシステム構成

構成図
入札公告・入札説明書・仕様書(案)
   │  案件ごとのフォルダに保存
   ▼
Python(変換・呼び出し・比較)
   ├── ワープロ文書 → テキスト、PDFはそのまま
   ▼
Claude API ── ① 項目の抜き出し(文書ごと)
   │   日付/参加資格/提出書類と様式番号/予定価格・最低制限価格の扱い
   │   /履行期間/無効の旨/質問と回答の方法
   ▼
Python ── 項目ごとに3文書を並べて比較(日付・番号・金額)
   │       必ず書く記載の一覧との照合
   ▼
Claude API ── ② 競争を狭めるおそれのある記載の指摘
   ▼
校正表(案件のフォルダ)
   ▼
【担当者が原文で確かめ、文書を直す/事業課に確かめる】
役割想定する製品代替候補
処理Claude API(項目の抜き出しと、競争を狭めるおそれのある記載の指摘)OpenAI API、Gemini API
連携Python(文書の変換、呼び出し、項目の比較、必ず書く記載との照合、校正表の作成)Google Apps Script
照合表必ず書く記載の一覧と、自治体の要領の条項契約課の手順書を表にしたもの
文書の置き場文書管理システムの案件フォルダ共有フォルダ

新しく作るのは、照合のプログラムと、必ず書く記載の一覧です。 電子入札システムには触れません。公告そのものは今までどおり担当者が登録します。

照合の土台は、地方自治法施行令です。 一般競争入札の公告では、入札に参加する者に必要な資格、入札の場所及び日時その他入札について必要な事項を公告しなければならず、資格のない者のした入札と、入札に関する条件に違反した入札は無効とする旨を明らかにしておかなければなりません(第167条の6)。参加資格については、経営の規模などの資格を定めたときは公示し(第167条の5)、契約の性質や目的から特に必要があるときは、事業所の所在地や、工事等の経験・技術的適性の資格を更に定めることができるとされています(第167条の5の2)。

予定価格の扱いは、自治体の判断で分かれる項目です。 総務省の資料では、予定価格の事前公表を禁止する法令の規定はないとしたうえで、適正化指針で入札の前には公表しないものとするとされ、事前公表には競争の制限や入札談合が容易になるなどの弊害があると整理されています。2024年12月16日の総務大臣・国土交通大臣の連名通知でも、事前公表に起因した疑いのある入札談合が発生していると指摘し、弊害が生じた場合は取りやめを含む対応を求めています。事前公表か事後公表かは自治体の要領に従うので、照合表には要領の扱いを入れ、3つの文書がそれと合っているかを見ます。

抜き出しは Claude API の構造化出力で行います。 output_config.format に JSON スキーマを指定すると、返答がスキーマに沿ったJSONになります。PDFは、テキスト・図・表をそのまま読めます。 ワープロ文書は文書のブロックに直接は入らないため、テキストかPDFに変換してから渡します。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

案件のフォルダに3つの文書がそろったことを起点にします。 1つ置かれるたびに動かすと、仕様書が届く前に公告と説明書だけを比べることになり、半分だけの校正表が出ます。 フォルダに置く文書の名前の付け方を決め、3種類がそろったら動かします。

直した版を置き直したら、もう一度動かします。 校正表には版を付け、前の版で挙がった行が消えたかどうかを比べられるようにします。消えていない行は、直し忘れです。

公告の予定日の3営業日前までに、1回目の校正表が出ている状態を目標にします。 事業課への問い合わせに時間がかかるためです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
入札公告(案)件名、参加資格、日付、提出書類、予定価格の扱い、無効の旨契約課が作る文書
入札説明書(案)手続きの詳細、様式の一覧、質問と回答の方法、入札書の金額の書き方契約課が作る文書
仕様書(案)履行期間・場所、業務の内容、使う機器や材料の指定、受注者の要件事業課が作る文書
案件の基本情報契約の種類(工事・委託・物品)、予定価格の事前・事後公表の別、最低制限価格の有無契約課の案件の一覧
必ず書く記載の一覧法令と自治体の要領が求める記載と、その条項契約課が作る表
過去の訂正公告の記録どの項目で訂正したか、原因契約課の記録

質を決めるのは、案件の基本情報と必ず書く記載の一覧です。 事前公表か事後公表かが分からなければ、説明書の「予定価格は公告で示す」が正しいのか誤りなのかを決められません。 校正の基準は、文書の外に置きます。

過去の訂正公告の記録は、重点を決めるために持ちます。 訂正の多い項目は、校正表の上に並べます。

Step3

データの取得方法を決める

文書管理システムの案件フォルダから、3つの文書を取り出します。フォルダを外から読めない場合は、共有フォルダに写す運用にします。

取るものどこから何に使うか
3つの文書案件フォルダ項目の抜き出し
契約の種類・公表の別案件の一覧照合表のどの行を当てるかの選択
必ず書く記載照合表漏れの判定
様式集案件フォルダ様式番号と名前の照合
訂正の記録契約課の記録校正表の並べ方

様式集も取り出すのは、提出書類の名前と番号の食い違いを見るためです。 公告と説明書が「様式1」と書いていても、様式集のファイルの見出しが「様式2」なら、事業者は迷います。様式集の各ファイルの見出しから名前と番号を抜き出し、3つ目の比較相手にします。

照合表は、契約の種類ごとに行を持たせます。 工事にだけ要る記載(配置する技術者、低入札価格調査の扱いなど)と、物品にだけ要る記載(納入場所、同等品の扱い)があるためです。行には、根拠の法令の条項か要領の条項を必ず書きます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 額の除去 … 予定価格・最低制限価格・低入札価格調査の基準価格の額が文書に入っていれば、伏せ字にします。AIに渡す前の最初の処理にし、伏せ字にできなかった文書は渡しません
  2. 形式の変換 … ワープロ文書はテキストかPDFに変換します。表は表のまま残すため、PDFへの変換を基本にします
  3. 版の確認 … 3つの文書の作成日と版を記録し、古い版が混ざっていないかを先に見ます
  4. 大きさの確認 … 1回のリクエストは32MBまで、ページは600ページまで(コンテキストが1M未満のときは100ページ)です。工事の仕様書で超えるものは、章で分けます
  5. パスワードの確認 … パスワードや暗号化の掛かったPDFは渡せないので、外してから置いてもらいます
  6. 照合表の行の選択 … 契約の種類と公表の別から、この案件に当てる行を選びます
  7. 日付の表記をそろえる準備 … 和暦・西暦、曜日の有無、「午前10時」と「10時00分」などの表記を、比較のときに同じ形に直す規則を用意します

1番目を前処理の先頭に置くのは、校正に額が要らないからです。 公表の別と、最低制限価格を設けるかどうかが分かれば、文書の記載が要領と合っているかは判断できます。額を伏せたまま校正が回ることを、最初の試行で確かめます。

7番目は、AIではなくプログラムの規則で行います。 抜き出した原文はそのまま残し、比較用の値だけを別の列で正規化します。校正表には、両方を載せます。

Step5

AIに処理させる

AIの仕事は2つに分けます。 1つ目は、文書ごとに比べる項目の値を、原文の引用と場所つきで抜き出すこと。2つ目は、競争を狭めるおそれのある記載に印を付けることです。

抜き出す項目中身見つからないときの扱い
日付公告日、参加申請の期間、質問の期限、回答日、入札書の提出期間、開札日時、履行期間not_found とし、推測で埋めない
参加資格等級・業種、所在地の要件、実績の要件、技術者の要件同上
提出書類書類の名前と様式番号、提出の方法同上
予定価格の扱い事前公表・事後公表、最低制限価格・低入札価格調査の有無、入札書の金額の書き方同上
無効の旨資格のない者の入札と条件に違反した入札を無効とする記載同上

not_found を正直に返させるのが、抜き出しの要です。 説明書に開札日時が書かれていないとき、AIは公告の日付を写して埋めがちです。埋めると、食い違いではなく一致として比較に回ってしまいます。

印を付ける記載見るところ返すもの
特定の製品の指定型番・商品名の指定があり、同等品を認める旨が無い事業課に確かめる点
理由の無い所在地の要件所在地を絞る要件に、契約の性質からの理由が書かれていない同上
実績の要件の狭さ件数・金額・期間の要件が、業務の内容に比べて厳しく見える同上
短い準備期間公告から提出までの期間が、要領の定めより短い要領の条項との差

ここでAIは、適切かどうかを判断しません。 所在地の要件は、施行令が「特に必要があると認めるとき」に定められるとしているもので、必要かどうかは事業課と契約課が決めることです。 AIは、理由が文書に書かれているかどうかを見て、書かれていなければ確かめる点として返します。

公正取引委員会は、2026年4月27日に、官製談合の防止に向けた発注機関の取組の実態調査をまとめ、官製談合防止マニュアルのチェックリストなどの支援ツールを公表しています。 発注機関の取組を見直すときの参考になります。本構成の指摘の項目を決めるときは、こうした資料と自治体の要領を突き合わせて、契約課が決めます。

Step6

指示内容を固定する

1つ目(抜き出し)の指示です。

あなたは市の契約課で、入札公告の公告前の校正を補助する担当です。
渡された1つの文書から、指定した項目の値を抜き出してください。

【抜き出す項目】
dates(公告日、参加申請の期間、質問の期限、回答日、入札書の提出期間、
開札日時、履行期間)、qualifications、required_documents(名前と様式番号)、
price_handling(予定価格の公表の別、最低制限価格・低入札価格調査の有無、
入札書の金額の書き方)、invalid_bid_clause

【厳守事項】
- 文書に書かれている値だけを抜き出してください。
- 書かれていない項目は status を not_found にし、value を空にしてください。
  他の文書や一般的な手続きから推測して埋めないでください。
- quote には、値の根拠にした文を文書からそのまま写してください。
- location には、ページ番号と、見出しや条の番号を書いてください。
- 日付や時刻の表記を直さないでください。文書の表記のまま写してください。
- 同じ項目が文書の中に2か所以上あり値が違う場合は、両方を values に入れ、
  status を conflict にしてください。
- 誤りを直した値を提案しないでください。

2つ目(競争を狭めるおそれのある記載)の指示です。

あなたは市の契約課で、公告前の文書を校正する担当の補助です。
仕様書と入札説明書を読み、次の4種類の記載に印を付けてください。

1. 型番・商品名の指定があり、同等品を認める旨が書かれていないもの
2. 所在地を絞る参加資格で、契約の性質や目的からの理由が書かれていないもの
3. 実績の要件で、件数・金額・期間が業務の内容に比べて厳しく見えるもの
4. 公告から提出までの期間が、渡した要領の定めより短いもの

【厳守事項】
- 適切か不適切かを判断しないでください。「違法」「不適切」「談合」の語を使わないでください。
- 印を付けるのは、理由が文書に書かれていない場合だけです。
  理由が書かれていれば、その文を reason_quote に写し、flag を false にしてください。
- question には、事業課に確かめる問いを1文で書いてください。
- quote と location は、1つ目と同じ決まりで書いてください。
- 4種類以外の指摘をしないでください。

【要領の条項】{rules}
【案件の基本情報】{case}

「理由が書かれていれば flag を false にする」が、2つ目の要です。 型番の指定は、既存の設備との互換のために必要なことがあります。理由が書かれているものまで挙げると、事業課は校正表を読まなくなります。

「違法」「談合」の語を禁じるのは、校正表が庁内で回るためです。 確かめる点に強い語が付くと、問い合わせが責める調子になります。

Step7

出力形式を固定する

1つ目の抜き出しは、構造化出力で次の形のJSONにします。

{
  "document": "notice | instructions | specification",
  "version": "",
  "items": [
    { "key": "bid_opening_datetime",
      "status": "found | not_found | conflict",
      "values": [ { "value": "", "quote": "", "location": "" } ] }
  ]
}

プログラムが、3つの文書のJSONを項目ごとに並べて比べます。

判定条件
mismatch2つ以上の文書で found で、正規化した値が違う
missing_required照合表で必ず書くとされた文書で not_found
conflict1つの文書の中で値が2つある
matchすべての文書で同じ値

引用の場所は、構造化出力の中で quote と location として返させます。 Claude API には、文書の該当箇所をページ番号つきで返す引用(Citations)の機能もありますが、構造化出力と同時には使えず、両方を指定すると400のエラーになります。 本構成は比較をプログラムで行うのでJSONが要り、引用は指示で写させる形にしています。 写した quote が原文に本当にあるかは、プログラムが文書のテキストと照らして確かめます。

2つ目の結果を足して、校正表はこの形になります。

列中身
区分食い違い/記載の漏れ/文書内の矛盾/確かめる点
項目開札日時、参加資格(所在地)、様式番号など
公告原文の引用とページ
説明書同上
仕様書同上
根拠照合表の条項(法令・要領)
担当者の判断直した/そのまま(理由)/事業課に確認中

校正表の行は、たとえば次のように並びます。

【食い違い】開札日時
  公告   :「開札日時 令和8年11月10日(火)午前10時」(2ページ 第5項)
  説明書 :「開札は令和8年11月11日午前10時に行う」(4ページ 第8条)
  仕様書 :記載なし(記載が求められない項目)
  根拠   :施行令第167条の6第1項(入札の場所及び日時)
【記載の漏れ】無効の旨
  説明書 :記載なし
  根拠   :施行令第167条の6第2項/市の要領 第12条
【確かめる点】型番の指定
  仕様書 :「○○社製 型番XX-100 を納入すること」(3ページ 2(1))
  問い   :同等品を認めない理由(既存設備との互換など)を仕様書に書けますか

「担当者の判断」の列を空のまま決裁に回せない作りにします。 校正表は、公告の前の審査の記録になります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
文書管理システムの案件フォルダ読み取り(または共有フォルダへの写し)3つの文書と様式集を取り出す
案件の一覧読み取り契約の種類、公表の別
照合表読み取り必ず書く記載と要領の条項
Claude APIAPI呼び出し抜き出しと、確かめる点の指摘
校正表書き込み案件フォルダに置く
電子入札システムつながない公告の登録は担当者

電子入札システムにつながないのは、公告が外に出る行為だからです。 校正表が出た後も、公告を登録するのは決裁を経た担当者です。

文書は直しません。 校正表に直し方の案を書くこともしません。直すのは担当者で、どちらの文書を正とするかは、案件の基本情報と事業課への確認で決めます。

Step9

人が確認する

  1. mismatch と missing_required を原文で確かめる … 校正表の引用をたどり、ページを開きます。どちらの文書を正とするかを決めて直します
  2. conflict を事業課と確かめる … 1つの文書の中で値が2つあるのは、たいてい修正の途中の版です
  3. 確かめる点を事業課に問い合わせる … 理由を聞き、理由を仕様書に書き足すか、要件を見直すかを事業課と決めます
  4. 直した版で校正表を出し直す … 前の版で挙がった行が消えたかを見ます
  5. 係長が校正表と文書を見る … 「担当者の判断」の列がすべて埋まっていることを確かめて決裁に回します

1番目でAIの引用を信じ切らないでください。 引用が原文にあるかはプログラムで確かめますが、同じ日付が別の文脈(たとえば説明会の日)で書かれていることがあります。 項目の取り違えは、原文を開けばすぐ分かります。

3番目の判断は、契約課だけで行いません。 要件を決めたのは事業課で、理由を知っているのも事業課です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
3つの文書がそろわない動かさない。そろわないまま公告予定日の5営業日前を過ぎたら担当者に知らせる
古い版の文書が置かれた作成日と版で判定し、校正表の先頭に「版の確認」を出す
PDFにパスワードが掛かっている外して置き直してもらう
仕様書が大きすぎる1回のリクエストは32MB・ページ数の上限がある。章で分けて抜き出す
抜き出しの quote が原文に無いその行を needs_check にして担当者が原文で確かめる
返答がスキーマに合わない拒否や出力の打ち切りでは合わないことがある。再実行し、だめなら手作業の読み合わせに戻す
照合表に行の無い契約の種類必ず書く記載の判定をせず、食い違いの比較だけを出す
要領が改正された照合表に改正日を持たせ、公告日で行を選ぶ

5行目を落とさないでください。 写させた引用が原文に無いということは、AIが文書を読み違えたか、埋めたかのどちらかです。 その行の判定は信じられません。

Step11

記録を残す

  • 案件ごとに、校正に使った3つの文書の版と作成日
  • 抜き出しのJSONの全文と、引用の照合の結果
  • 照合表の版と、当てた行
  • 校正表の各版と、担当者の判断とその理由
  • 事業課への問い合わせと回答
  • 公告後に訂正公告を出した場合の、訂正の項目と原因

最後の行が、照合表を育てます。 訂正公告が出たら、その項目が校正表で挙がっていたかを見ます。挙がっていなかったなら照合表かプログラムの穴、挙がっていて見落としたなら確認の手順の穴です。

担当者の判断の記録は、公告前の審査の証跡として、契約の記録と同じ期間残します。

04実装レベルの3段階

最小構成:3つの文書を手でAIの画面に渡し、項目の表を作らせる / 項目の抜き出し
半自動化:上記+プログラムで抜き出しを呼び、項目ごとの比較と必ず書く記載の照合まで行う / 抜き出し、食い違いと漏れの判定
本格構成:上記+競争を狭めるおそれのある記載の指摘、引用の照合、校正表の版の比較、判断の記録 / 公告前の校正の全体

最小構成では、比較を手でやるので時間は減りません。 抜き出しが当てになるかを確かめる段階です。 半自動化で、①の印付けと②の読み合わせの大半がなくなります。 ただし、確かめる点の洗い出しと版の比較が手作業で残り、1件90分が55分程度にとどまります。本格構成で40分になるのが、本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、not_found の多い項目と、ひな形の改訂で落ちた記載が分かります。 ひな形を先に直すほうが、校正表の行が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
90 分
1件あたり導入後時間
40 分
現在  60件 × 90分 ÷ 60 = 90 時間/月
導入後 60件 × 40分 ÷ 60 = 40 時間/月
月間削減時間
50h
削減率
56%
年間削減時間
600h
年間金額換算(時間単価3,500円)
210万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 一般競争入札を月に数十件公告している市区町村・都道府県の契約担当課。入札公告・入札説明書・仕様書を別々の担当(契約担当と事業課)が作り、公告の前に契約担当が読み合わせている場合。訂正公告を出した経験があり、その原因を記録している場合。公立大学や公立病院など、自治体と同じ手続きで入札を行う機関にも当てはまります。
向いていない
  1. 一般競争入札が月に数件で、担当者が全文を読み合わせる時間が取れる場合。公告・説明書・仕様書を電子調達の様式に入力するだけで作れ、日付や資格が1か所の入力から自動で入る場合。なお、参加資格や仕様の設定が適切かどうかの判断と、公告するかどうかの決定は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去に訂正公告を出した案件から10件、出さなかった案件から10件を選ぶ
  2. 各案件の公告・説明書・仕様書の、公告前の最終版を用意する
  3. 手元のAIサービスに3つの文書を渡し、「日付・参加資格・提出書類と様式番号・予定価格の扱いを、文書ごとに原文の引用とページつきで表にしてください。書かれていない項目は『記載なし』とし、推測で埋めないでください」と指示する
  4. 出てきた表を並べ、食い違いを手で拾う
  5. 訂正公告の原因が、表の上で見つかったかを確かめる

訂正公告を出した10件が試金石です。 原因の食い違いが表で見つかれば、抜き出しと比較の組み合わせで拾える誤りだったということです。

出てきた内容判断
訂正の原因の食い違いが表に出た照合表とプログラムの作成に進む
書かれていない項目を他の文書から埋めた指示の書き方で直る。構成は有効
訂正の原因が文書の外にあった(事業課との連絡の行き違いなど)校正では拾えない。 文書の受け渡しの手順を見直す

3行目が出たら、それも収穫です。 校正で減らせる訂正と、手順で減らす訂正が分かれます。

試すときも、予定価格などの額は伏せた文書を使ってください。 過去の案件でも、事後公表の前のものや、同じ条件で再び入札する予定のものがあります。試行の段階から、本番と同じ渡し方を守ります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
書かれていない日付を他の文書から埋めるnot_found を返すよう指示し、引用が原文にあるかをプログラムで確かめる
和暦と西暦、時刻の表記の違いで食い違いが出る比較用の値だけを規則で正規化し、原文はそのまま残す
同じ日付が別の文脈で拾われる項目の定義を細かく書き、校正表に引用を載せて人が確かめる
理由が書かれた指定まで挙がる理由があれば flag を false にする指示を入れる
引用の機能と構造化出力を同時に使う同時には使えず400になる。引用は指示で写させる
古い版の文書が混ざる作成日と版を先に記録し、校正表の先頭で知らせる
照合表が要領の改正に追いつかない改正日を持たせ、改正を確かめる担当を決める
校正表が読まれずに決裁に回る担当者の判断の列が空だと回せない作りにする
事業課への問い合わせが責める調子になる「違法」「談合」などの語を出さない指示を入れる
予定価格の扱いの正しさを判定できない案件の基本情報に公表の別を必ず入れる

上の2行が、校正の正確さを決めます。 埋めた値は一致に見え、表記の違いは食い違いに見えます。どちらも、引用と正規化を分けて持つことで防げます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 公告前の入札の条件、参加資格、履行の場所と期間、そして予定価格や最低制限価格に関わる情報です。

  1. 予定価格と最低制限価格の額を渡さない … 校正に要るのは公表の別と有無だけです。額は入札の前に外に出てはならない情報なので、文書から外してから渡します。 総務省の資料でも、予定価格を聞き出して入札の公正を害そうとする行為を抑止する措置が求められています
  2. 公告前の文書を外部へ渡すことを、自治体の情報の決まりに照らして決める … 公告前の条件は、特定の事業者に先に知られてはならない情報です。利用する契約と設定、ログの扱いを情報システムの担当と確かめます
  3. 適切かどうかの判断を代替しない … 参加資格や仕様の設定が適切かは、事業課と契約課が決めます。この構成が出すのは、食い違いと、理由が書かれていない点だけです
  4. 校正表を庁外に出さない … 確かめる点の一覧は、公告前の内部の検討の記録です
  5. 公告の登録を自動にしない … 電子入札システムにはつなぎません

誤りが起きた場合のリスクは、食い違いを見落として公告することと、公告前の情報が外に出ることの2つです。 前者は埋めた値から、後者は渡す範囲の決め方から起きます。額を外す処理を前処理の最初に置き、校正の作業と切り離してください。

10まず何から始めるか

1週目:訂正公告の記録を集める

過去2年の訂正公告を並べ、どの項目で、どの文書のあいだで食い違ったかを表にします。これが照合表と校正表の並べ方の出発点です。

2週目:20件で試す

訂正を出した10件と出さなかった10件で、手元のAIサービスに項目の表を作らせます。書かれていない項目を埋めていないかを最優先で見ます。

3週目:照合表を作る

物品と委託の2種類について、必ず書く記載を、根拠の条項(施行令・要領)つきで表にします。予定価格の扱いは、自治体の要領に合わせて行を作ります。

4週目:抜き出しから比較までをつなぐ

案件フォルダに3つの文書がそろったら抜き出しと比較を流し、校正表を出すところまで作ります。この時点では競争を狭める記載の指摘を入れず、食い違いと漏れだけを見ます。

2か月目: 指摘と引用の照合を足し、事業課への問い合わせの件数を数えます。3か月目以降: 工事の照合表を足し、1件90分が何分になったかを実測します。訂正公告の原因が校正表に挙がっていたかを毎回確かめ、挙がらなかった型が無くなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
一般競争入札の公告で、参加に必要な資格、入札の場所及び日時その他入札について必要な事項を公告しなければならないこと、資格のない者の入札と条件に違反した入札を無効とする旨を明らかにしなければならないこと(第167条の6)。経営の規模などの資格を定めたときは公示すること(第167条の5)。特に必要があるときに事業所の所在地や経験・技術的適性の資格を更に定められること(第167条の5の2)。最低制限価格を設けられること(第167条の10第2項)e-Gov 法令API: 地方自治法施行令2026-10-08
予定価格の事前公表を禁止する法令の規定はないこと。適正化指針で入札の前には公表しないものとし、競争の制限・見積努力の阻害・入札談合の容易化などの弊害があるとされていること。2024年12月16日の総務大臣・国土交通大臣の連名通知で、事前公表に起因した疑いのある入札談合が発生しているとして取りやめを含む対応を求め、予定価格等を聞き出す不正行為の抑止を求めていること総務省: 予定価格の公表について2026-10-08
公正取引委員会が2026年4月27日に官製談合防止に向けた発注機関の取組の実態調査をまとめ、官製談合防止マニュアルチェックリストなどの支援ツールを公表したこと公正取引委員会: 令和8年度官製談合防止に向けた発注機関の取組に関する実態調査について2026-10-08
output_config.format に JSON スキーマを指定すると返答がスキーマに沿ったJSONになること。拒否や max_tokens での打ち切りではスキーマに合わない出力になりうることClaude Docs: Structured outputs2026-10-08
引用の機能でPDFのページ番号つきの引用が返ること。引用と構造化出力は同時に使えず、両方を指定すると400のエラーになることClaude Docs: Citations2026-10-08
PDFのテキスト・図・表を扱えること。1回のリクエストが32MBまで、600ページまで(コンテキストが1M未満のときは100ページ)であること。パスワードや暗号化の無い標準のPDFが対象であること。ワープロ文書などは文書のブロックに直接入らず、テキストかPDFに変換が要ること。1ページあたり1,500〜3,000トークン程度で各ページが画像としても扱われることClaude Docs: PDF support2026-10-08

参加資格や仕様の設定が適切かどうかの判断と、予定価格の公表の扱いは、自治体の要領と契約課・事業課の判断に従ってください。 本記事は e-Gov・総務省・公正取引委員会・Anthropic の公開している情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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