e-Govのパブリック・コメントに新しく出た案件のうち自社の事業に関わるものを拾い、論点と締切を要約して関係部署に知らせる
e-Govのパブリック・コメントに新しく出た意見募集の案件を毎朝拾います。エージェントが自社の事業に関わるものを選んで資料を読み、論点と締切を要約して関係部署へ知らせます。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- 商社/建設/物流/製造
- 対象部門
- 経営企画
- 対象業務
- 情報検索/要約
- 主な課題
- 判断に時間がかかる/情報が見つからない/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- エージェント
- 主な効果
- 判断支援/工数削減/機会損失防止
- 導入難易度
- ★★★☆☆
- 実装レベル
- 本格構成
- 費用感
- API連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 毎朝、e-Govのパブリック・コメントの意見募集案件の一覧を開く
- 前日から増えた案件を目で探し、題名とカテゴリーを読む
- 関わりそうな案件の詳細を開き、根拠の法令、受付締切日時、資料の一覧を見る
- 意見募集要項と命令などの案、概要のPDFを開いて、何が変わるかを読む
- 関係しそうな部署を考え、チャットで「この案件、御社の部署に関わりますか」と送る
- 締切の管理表に案件と締切と送った部署を書く
- 締切が近づいたら、部署に意見を出すかを確かめる
- 自動毎朝9時半、ワークフローが意見募集案件のRSSを取得する
- 自動前回までに見た案件を除き、新しい案件だけを残す
- 自動新しい案件ごとに詳細ページを取り、根拠の法令、受付締切日時、資料の一覧を取り出す
- 自動エージェントが、案件の情報と自社の事業の一覧を照らし、関わりの有無と読む資料を決める
- 自動関わりがありそうな案件は、エージェントが資料のPDFを読み、論点、施行の予定、締切、関係部署の候補をまとめる
- 自動結果を案件の台帳に書き、経営企画のチャットへ知らせる
- 人経営企画の担当者が、関わりありと出た案件の要約を資料と見比べて確かめる
- 人部署へ回すかを決め、回すものは一言を添えて送る
- 自動締切の10日前と3日前に、部署の回答が無い案件を担当者へ知らせる
各工程の詳しい説明を読む
- 毎朝、e-Govのパブリック・コメントの意見募集案件の一覧を開く
- 前日から増えた案件を目で探し、題名とカテゴリーを読む
- 関わりそうな案件の詳細を開き、根拠の法令、受付締切日時、資料の一覧を見る
- 意見募集要項と命令などの案、概要のPDFを開いて、何が変わるかを読む
- 関係しそうな部署を考え、チャットで「この案件、御社の部署に関わりますか」と送る
- 締切の管理表に案件と締切と送った部署を書く
- 締切が近づいたら、部署に意見を出すかを確かめる
(a)見る日が飛ぶ。 出張や繁忙で一覧を開けない日があると、翌日以降に何件増えたかを数え直す手間がかかり、見落としが起きます。
(b)題名から中身が分からない。 「〜の規定に基づき〜が指定する〜の一部を改正する件(案)」という題名は、どの物質・どの業種が対象かを示しません。関わらないと判断して開かなかった案件に、自社の取扱品が載っていることがあります。
(c)締切の読み違いが起きる。 「受付締切日時:2026年11月7日0時0分」を見て、7日に提出すればよいと部署に伝えてしまうことがあります。
(d)回した後が追えない。 チャットで送った後、部署が読んだか、意見を出すかが担当者のメッセージの履歴にしか残りません。
- 【自動】 毎朝9時半、ワークフローが意見募集案件のRSSを取得する
- 【自動】 前回までに見た案件を除き、新しい案件だけを残す
- 【自動】 新しい案件ごとに詳細ページを取り、根拠の法令、受付締切日時、資料の一覧を取り出す
- 【自動】 エージェントが、案件の情報と自社の事業の一覧を照らし、関わりの有無と読む資料を決める
- 【自動】 関わりがありそうな案件は、エージェントが資料のPDFを読み、論点、施行の予定、締切、関係部署の候補をまとめる
- 【自動】 結果を案件の台帳に書き、経営企画のチャットへ知らせる
- 【人】 経営企画の担当者が、関わりありと出た案件の要約を資料と見比べて確かめる
- 【人】 部署へ回すかを決め、回すものは一言を添えて送る
- 【自動】 締切の10日前と3日前に、部署の回答が無い案件を担当者へ知らせる
7番目が、この設計の分かれ目です。 エージェントが出すのは、「この案件は、この資料のこのページに、自社の取扱品に関わるこの記述がある」という記録と要約の案までです。意見を出すかどうかは、部署と経営企画が決めます。
関わりなしと出た案件も、題名と理由を一覧に残します。 担当者は朝の数分でこの一覧を流し見て、エージェントが落とした案件に気づけます。
02今回想定するシステム構成
e-Gov パブリック・コメント │ 意見募集案件一覧の RSS(RSS 1.0 の形式) ▼【トリガー】Schedule Trigger(毎日 9時30分、Asia/Tokyo) n8n のワークフロー ├──▶ HTTP Request で RSS を取る → XML ノードで JSON に ├──▶ Remove Duplicates(前回までに見た案件番号を除く) ├──▶ HTTP Request で詳細ページを取る → HTML ノードで項目を取り出す ├──▶ 受付締切日時の読み替え(0時0分 → 前日の終わり) ▼ AI Agent ノード(Tools Agent)+ Anthropic Chat Model │ 案件ごとに、道具を選んで使う │ ・資料のPDFを読む(サブワークフロー:HTTP Request+Extract From File) │ ・自社の事業の一覧を引く ・過去の案件の記録を引く │ Structured Output Parser で決まった形のJSONを返す ▼ 案件の台帳(スプレッドシート)→ 経営企画のチャットへ通知 ▼【人】要約の確認・部署へ回すかの判断 ▼ 締切の10日前・3日前の催促(別の Schedule Trigger)
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | n8n | Make、Zapier、Power Automate |
| 生成AI | Claude API(n8n の Anthropic Chat Model ノード) | OpenAI API、Gemini API |
| 連携 | Google スプレッドシート(事業の一覧・案件の台帳) | Microsoft 365 のリスト |
新しく足すのは、n8n のワークフローと、2つの一覧だけです。 自社の事業の一覧には、法令名、カテゴリー、手がかりの語、担当部署、関わる理由を書きます。
入口は、e-Govが配信する意見募集案件一覧のRSSです。 e-Govの「RSSフィードについて」のページでは、パブリックコメントの意見募集案件一覧と結果公示案件一覧のRSSが案内されています。意見募集案件一覧のRSSは RSS 1.0(RDF)の形で、案件ごとに題名、詳細ページのリンク、説明が入ります。 説明の中には、案の公示日、受付締切日時、カテゴリー、問合せ先(所管省庁・部局名等)が <br/> で区切られて並びます。
RSSに載るのは直近の数日分です。 本記事の確認の時点(10月8日)では、10月6日から8日に公示された9件が載っていました。毎日取らないと、載っている期間を過ぎた案件は RSS から消えます。 週1回では足りないので、毎日動かします。
詳細ページには、RSSに無い項目が並びます。 案件番号、定めようとする命令などの題名、根拠法令条項、行政手続法に基づく手続か、受付開始日時、受付締切日時、意見提出が30日未満の場合その理由、そして意見募集要領と命令などの案、関連資料のPDFへのリンクです。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
毎朝9時30分に、Schedule Trigger で動かします。 Schedule Trigger はワークフローのタイムゾーンを使い、無ければインスタンスのタイムゾーンを使います。セルフホストの既定は America/New York なので、ワークフローのタイムゾーンを Asia/Tokyo にします。 保存して公開しないと動きません。
9時30分にしているのは、RSSの更新の時刻を見てのことです。 確認の時点で、RSS全体の更新日時は当日の9時01分でした。それより前に取ると、前日の分しか載っていないことがあります。 毎朝の更新が終わった後に取り、部署の朝の会議の前に知らせます。
締切の催促は、別の Schedule Trigger で毎朝8時に動かします。 案件の台帳を読み、締切まで10日と3日の案件で、部署の回答が空のものを担当者へ知らせます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 意見募集案件一覧のRSS | 題名、詳細ページのURL、案の公示日、受付締切日時、カテゴリー、問合せ先 | e-Gov |
| 案件の詳細ページ | 案件番号、命令などの題名、根拠法令条項、手続の種類、受付開始・締切日時、30日未満の理由、資料の題名とURL | e-Gov |
| 資料の本文 | 意見募集要領、命令などの案、概要、新旧対照表などのPDFから取り出した文字 | e-Gov |
| 自社の事業の一覧 | 法令名、カテゴリー、手がかりの語(物質名、業種、設備)、担当部署、関わる理由 | 経営企画が作る |
| 過去の案件の記録 | 同じ法令の過去の案件、回した部署、意見を出したか | 案件の台帳 |
質を決めるのは、自社の事業の一覧です。 「化学物質」とだけ書くと、化学物質に触れた案件がすべて関わりありになります。「毒物及び劇物取締法:自社の取扱品のうち〇〇と〇〇が劇物。指定の追加は品質保証部と物流子会社に影響」のように、関わる理由まで書きます。 エージェントは、この説明を読んで判断します。
過去の案件の記録は、同じ法令の案件が繰り返し出るときに効きます。 毎年のように改正される告示では、前回どの部署に回し、意見を出したかを見れば、回す先がすぐ決まります。
データの取得方法を決める
RSSは HTTP Request ノードで取ります。 Response を Text にして、XML ノードの XML to JSON で JSON にします。RSS 1.0 では項目が rdf:RDF の下に並ぶ形なので、RSS 2.0 を前提にした取り出し方では空になります。 XML ノードの Explicit Array を有効にして、案件が1件の日も配列で受け取ります。
新しい案件の検出は、Remove Duplicates ノードの Remove Items Processed in Previous Executions で行います。 Keep Items Where を Value Is New にし、Value to Dedupe On に詳細ページのURLから取り出した案件番号(id= の値)を入れます。履歴は既定で10,000件まで持つとされています。
詳細ページは HTTP Request で取り、HTML ノードの Extract HTML Content で項目を取り出します。 項目名と値が並ぶ表から、CSS Selector で各項目を取ります。資料のリンクは、Return Value を Attribute にして href を、Text にして資料の題名を取り、Return Array を有効にします。 資料のURLは /pcm/download?seqNo=... の相対パスなので、https://public-comment.e-gov.go.jp と結んで絶対パスにします。
PDFは、エージェントが道具として呼ぶサブワークフローで読みます。 HTTP Request の Response を File にしてPDFを受け取り、Extract From File の Extract From PDF で文字を取り出します。エージェントには Call n8n Workflow Tool として渡します。 サブワークフローは公開しておかないと、本番で呼び出しが失敗します。
詳細ページとPDFの取得は、Batching で Items per Batch を1、Batch Interval を数秒にして、間隔をあけて順に取ります。
AIへ渡す前に整形する
- 案件番号を取り出す … 詳細ページのURLの
id=の値を案件番号とし、重複の判定と台帳の鍵に使います - 公示日はRSSの説明から取る … RSSの各案件の
dc:dateは2026-10-07T15:00:Zのように秒が欠けたUTCの形でした(10月8日公示の案件)。日付の処理が失敗しうるので、説明の中の「案の公示日」を使います - 受付締切日時を読み替える … 「0時0分」で終わる締切は、前日の23時59分として台帳に書きます。 部署へ伝える締切は、さらに社内の取りまとめの日数を引いた日にします
- 30日未満の理由を拾う … 「意見提出が30日未満の場合その理由」に記載があれば、期間が短い案件として印を付けます
- 資料の一覧を作る … 資料の区分(意見募集要領、命令などの案、関連資料)、題名、URLを表にします
- 事業の一覧と結ぶ … カテゴリーと根拠の法令で、事業の一覧の該当行を引き、エージェントに渡す入力に付けます
3番目を省くと、締切の当日に提出しようとして間に合いません。 e-Govの案内では、意見の提出期間は原則として案の公示日から起算して30日以上とされています。社内で取りまとめる日数を考えると、知らせが1日遅れるだけで部署の検討の時間が目に見えて減ります。
AIに処理させる
させるのは、案件ごとに自社との関わりを判断し、関わりがありそうなものは資料を読んで、論点と施行の予定と関係部署の候補を、根拠付きでまとめることです。
| 手順 | エージェントがすること | 使う道具 |
|---|---|---|
| 1 | 題名、根拠の法令、カテゴリー、資料の題名を見て、関わりの見込みを付ける | なし(入力だけで判断) |
| 2 | 事業の一覧の該当行と、関わる理由を確かめる | 事業の一覧を引く |
| 3 | 見込みがあれば、概要、命令などの案の順にPDFを読む | 資料のPDFを読む |
| 4 | 自社の取扱品・業種・設備に当たる記述を探し、資料とページと抜き書きを残す | なし |
| 5 | 同じ法令の過去の案件を確かめ、回した部署を参考にする | 過去の案件の記録を引く |
| 6 | 何が変わるか、施行の予定、関係部署の候補をまとめる | なし |
手順1で関わりなしとした案件も、理由を1行で残させます。 「船舶による危険物の運送の基準。自社は海上輸送を委託しておらず事業の一覧に該当なし」のように書かせると、担当者は一覧で判断を確かめられます。
読む資料には上限を置きます。 Tools Agent の Max Iterations は既定で10とされています。1件で読むPDFは最大3本とし、それを超えて読む必要があれば needs_human を立てて止めさせます。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 意見を出すべきかの判断 | 部署と経営企画が決める |
| 自社への影響の大きさを決める | 取扱量や取引先の事情は資料に無い |
| 資料に無い施行日を書く | 「来年4月施行」などの推測が社内で事実として広まる |
| 意見の文案を作る | 意見の中身は部署が書く。この構成の範囲外 |
| 読んでいない資料の中身を題名から書く | 読んだ資料と読まなかった資料を混ぜない |
3行目がいちばん起きやすい失敗です。 概要に「公布の日から施行」「令和〇年〇月〇日から施行予定」と書かれていれば写せますが、書かれていないときに、前回の改正の時期から推し量って書きます。 書かれていなければ「資料に記載なし」とさせます。
指示内容を固定する
あなたは化学品と電子部品のメーカーの経営企画部で、e-Govの
パブリック・コメントに新しく出た案件が、自社の事業に関わるかを
調べる担当です。道具を使って資料を読み、読んだ資料に書かれている
ことだけで答えてください。
【入力】
- 案件番号・題名・カテゴリー・所管:{case}
- 根拠法令条項・手続の種類:{basis}
- 締切(社内の読み替え済み)・30日未満の理由:{deadline}
- 資料一覧(区分・題名・URL):{documents}
- 事業の一覧の該当行:{business_rows}
【使える道具】
- read_document:資料のURLを渡すと、ページ番号付きの本文を返す
- get_business:法令名か語を渡すと、事業の一覧の行を返す
- get_past_cases:法令名を渡すと、過去の案件と回した部署を返す
【進め方】
1. 題名・根拠法令・カテゴリー・資料の題名から、関わりの見込みを
high / possible / none で付けてください。none の理由を1行で。
2. high と possible は、概要、命令などの案の順に読んでください。
1件で読むのは最大3本です。超える必要があれば needs_human を
true にして止めてください。
3. 自社の取扱品・業種・設備に当たる記述があれば、資料の区分、
ページ、原文の抜き書き(そのまま写す)を残してください。
4. 何が変わるか、施行の予定、関係部署の候補をまとめてください。
【厳守事項】
- 施行日・適用日は、資料に書かれていれば写し、なければ
「資料に記載なし」としてください。推し量らないでください。
- 意見を出すべきか、影響が大きいかを書かないでください。
- 締切は入力の値をそのまま使ってください。書き換えないでください。
- 関わる記述が見つからなければ、無理に関わりを作らず
relevance を none にしてください。
- 本文が取り出せなかった資料は、読めなかったとして記録してください。
「締切は入力の値をそのまま使う」を明記するのは、0時0分の読み替えを規則の側で済ませているからです。 何も言わなければ、エージェントは資料の中の「〇月〇日まで」を拾い直し、読み替える前の日付で上書きします。
「関わる理由」を入力の事業の一覧から渡しているのは、判断の根拠をそろえるためです。 エージェントの一般的な知識で関わりを決めると、同じ案件でも日によって判断が揺れます。
出力形式を固定する
Structured Output Parser で、次の形のJSONを受け取ります。
{
"case_no": "495260197",
"title": "",
"category": "厚生",
"ministry": "",
"deadline_internal": "2026-11-06T23:59",
"short_period": false,
"relevance": "high | possible | none",
"relevance_reason": "",
"documents_read": [
{ "kind": "概要", "url": "", "read_status": "read | unreadable" }
],
"findings": [
{ "business_row": "", "doc_kind": "", "page": 0, "quote": "" }
],
"what_changes": "",
"effective_date": "",
"departments": ["品質保証部"],
"needs_human": false,
"needs_human_reason": ""
}
1つ目の理由は、quote と page で確認が速くなることです。 担当者は資料の該当ページを開いて抜き書きと見比べるだけで済みます。ワークフローの側で、quote が取り出した本文にそのまま含まれるかを確かめ、含まれなければ印を付けます。
2つ目は、relevance_reason で判断の根拠が一覧に並ぶことです。 none の理由を流し見れば、事業の一覧の書き漏れが見えてきます。
3つ目は、deadline_internal と short_period を台帳に書けることです。 催促のワークフローはこの2つの項目だけを見て動きます。
Structured Output Parser の Generate From JSON Example では、すべての項目が必須として扱われるとされています。空のときは空文字や空の配列を返させる前提で例を作ります。 スキーマを自分で書く場合、$ref は使えないとされています。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| e-Gov のRSS | HTTP Request ノード+XML ノード | 新しい案件を取る |
| e-Gov の詳細ページ | HTTP Request ノード+HTML ノード | 項目と資料の一覧を取る |
| 資料のPDF | サブワークフロー(HTTP Request+Extract From File) | 本文を取り出してエージェントに返す |
| Claude API | Anthropic Chat Model ノード | 関わりの判断と要約 |
| 事業の一覧・案件の台帳 | Google Sheets ノード | 事業の一覧を読み、結果を1行ずつ書く |
| 経営企画のチャット | n8n のチャットのノード | 新しい案件の件数と high の案件を知らせる |
部署へは自動で送りません。 台帳に「回す」の列を置き、担当者が「回す」にした案件だけを、別のワークフローで部署のチャットへ送ります。要約が誤っていたときに、部署の判断まで一息に進むことを止めるためです。
人が確認する
人が見るのは、relevance が high と possible の案件と、needs_human が立った案件です。 none の案件は、題名と理由を流し見ます。
needs_humanを先に見る … 資料が多い案件、PDFが読めなかった案件、詳細ページが取れなかった案件ですhighの根拠を確かめる … 資料の該当ページを開き、quoteが原文どおりかと、事業の一覧の行が合っているかを見ますnoneの理由を流し見る … 自社の名前の出る業種や物質が題名にあるのにnoneのものだけ、自分で開きます- 部署へ回すかを決める … 回すなら、自社にとっての意味を一言添えます。この一言は担当者が書きます
- 事業の一覧を直す … 判断が外れた案件から、手がかりの語と関わる理由を書き足します
5番目を毎週続けることが、判断の質を上げる唯一の手段です。 エージェントの指示を直すより、事業の一覧を直すほうが確実に効きます。
目標は、120件をならして1件4分です。 high の案件は15分以上かかり、none の案件は数十秒で終わります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| RSSが取れない・空 | 前日まで取れていたのに空なら、担当者へ知らせ、その日は一覧の画面を手で見る |
| 詳細ページの項目が取れない | ページの作りが変わった恐れ。案件番号と題名だけで台帳に書き、needs_human |
| 資料がPDFでない | 文書のファイルなどは、題名と一緒に担当者へ回す |
| PDFから文字が取れない | 画像のPDFの恐れ。unreadable にして担当者へ |
| 資料が無い・「資料の入手方法」だけの案件 | 資料の入手方法と備考を読み、needs_human |
| 受付締切日時が延長・訂正された | 同じ案件番号で締切が変わっていれば、台帳を書き換え、部署へ知らせ直す |
| 任意の意見募集の案件 | 行政手続法に基づく手続かの欄で分け、同じように判断する |
quote が本文に見つからない | 要約を採らず、needs_human にする |
| Claude API が応答しない | 案件を未処理として残し、次の実行で再び渡す |
6行目に気づくには、案件番号での重複の判定とは別の仕組みが要ります。 Remove Duplicates は新しい案件番号だけを通すので、同じ番号の締切の変更は落ちます。 台帳にある募集中の案件は、締切の催促のワークフローで詳細ページを取り直し、受付締切日時を比べます。
記録を残す
- 実行の日時、RSSの更新日時、取れた案件の数
- 新しく拾った案件(案件番号、題名、公示日、締切の原文と読み替えた値)
- エージェントの入力と、読んだ資料と読まなかった資料
- 道具の呼び出しの記録と、結果のJSONの全文、
quoteの照合の結果 - 担当者の判断(回したか、どの部署へ)と、部署の回答(意見を出したか)
- 締切の変更を見つけた記録
3つ目と4つ目は、判断の外れを見直すために残します。 Tools Agent の Return Intermediate Steps を有効にすると、途中の手順を出力に含められます。
5つ目は、翌年の同じ法令の案件で、回す先を決める材料になります。
04実装レベルの3段階
半自動化で、第4章の①がほぼ無くなります。 新しい案件だけが台帳に並び、締切の読み替えも済んでいます。本格構成で②と③が確認の作業に変わり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、②の「関わらない案件の資料を開いて確かめる時間」がエージェントに移るからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、詳細ページの取り出しが外れる案件と、資料がPDFでない案件が分かります。そこを片付けてからエージェントを足します。
05工数削減シミュレーション
導入後 120件 × 4分 ÷ 60 = 8 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 化学物質・廃棄物・安全・物流・建設などの規制が事業に響く製造業・物流業・建設業・商社で、経営企画や法務の担当者がe-Govのパブリック・コメントの一覧を手で見て、関係しそうな案件を部署へ回している場合。担当者が1〜2名に限られ、休みや繁忙で見る日が飛ぶ場合。自社の事業に関わる法令とその担当部署を一覧にできる場合。
- 関わる法令が数本に限られ、所管の府省のページを見ていれば足りる場合。業界団体から意見募集の案内と論点の整理を受け取っている場合。なお、案件が自社にどう響くか、意見を出すか、何を書くかの判断は、この構成では代替できません。
07最小構成で試す方法
- 先月e-Govに出た意見募集の案件から、担当者が部署に回した5件と、回さなかった15件を選ぶ
- 自社の事業の一覧を、10行ほどで作る(法令名、手がかりの語、担当部署、関わる理由)
- 手元のAIサービスに、事業の一覧と、20件の題名・根拠法令・カテゴリーを貼り、関わりの見込みと理由を答えさせる
- 見込みありとされた案件の概要のPDFを渡し、「事業の一覧に当たる記述を、ページと原文の抜き書き付きで出してください。施行日は書かれていなければ記載なしとしてください」と指示する
- 担当者の当時の判断と見比べる
20件は必ず試してください。 ワークフローを組む前に、「題名と根拠法令から関わりを見分けられるのか」を確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 担当者が回した5件を拾った | ワークフローの構築に進む |
| 担当者が回さなかった案件に関わりを見つけた | 構成は有効。事業の一覧の書き方を見直す価値がある |
| 関わりの無い案件ばかり拾う | 事業の一覧の説明が短すぎる。関わる理由を書き足す |
2行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、題名だけで飛ばしていた案件があったということです。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| RSSから案件が1件も取れない | RSS 1.0 の形。XML ノードで JSON にしてから取り出す |
| 公示日の処理で失敗する | dc:date は秒の欠けた形。説明の「案の公示日」を使う |
| 締切の当日に提出しようとする | 0時0分は前日の終わり。 規則で読み替える |
| 週1回の実行で案件が漏れる | RSSは直近の数日分。毎日取る |
| 締切の延長に気づかない | 募集中の案件の詳細ページを取り直して比べる |
| 施行日を推し量って書く | 書かれていなければ「資料に記載なし」 |
| 事業の一覧が「化学物質」だけ | 関わる理由まで書く |
| 部署へ要約がそのまま流れる | 台帳の「回す」の列を担当者が付けたものだけ送る |
上の4行が、見回りの失敗のほとんどです。 どれもエージェントの賢さとは関係が無く、e-Govの配信の形と締切の書き方の読み違いから起きます。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: e-Govで公開されている案件と資料と、自社の事業の一覧、案件の台帳、部署の回答です。公開資料に機密はありませんが、事業の一覧は、自社がどの規制を気にしているか、どの物質を扱っているかの一覧です。
- 事業の一覧を外へ出す範囲を絞る … エージェントに渡すのは、案件のカテゴリーと根拠の法令に当たる行だけにします。一覧の全体や部署の回答を、毎回まとめて渡さないでください
- e-Govの利用の条件を守る … e-Govのコンテンツには、特記の無い限り公共データ利用規約(第1.0版)が適用されるとされ、出典の記載と、編集・加工したときはその旨と主体の記載が求められています。社内向けの要約にも、案件名と詳細ページのURLを付けます
- 加工した要約を国の資料のように見せない … 同じ規約では、編集・加工した情報を国が作成した未加工のもののように公表・利用してはいけないとされています。要約には「経営企画部が作成した要約」と明記します
- e-Govに負荷をかけない … RSSは1日1回、詳細ページとPDFは間隔をあけて順に取ります
- 意見の提出は人が行う … この構成は意見の文案を作らず、提出もしません。何を出すかは部署と経営企画が決めます
誤りが起きた場合のリスクは、関わる案件を見落とすことと、締切を誤って伝えることの2つです。 前者は none の理由を人が見ることで、後者は締切の読み替えを規則に置くことで防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:自社の事業の一覧を作る
経営企画がいま頭の中で持っている「この法令はこの部署」を、関わる理由まで書いて一覧にします。最初は10〜20行で足ります。
2週目:20件で試す
先月の案件20件で、手元のAIサービスに関わりを判断させます。担当者が回した案件を拾えているか、施行日を推し量っていないかを最優先で見ます。
3週目:RSSの取得と台帳をつなぐ
n8n でRSSを毎朝取り、新しい案件と読み替えた締切を台帳に書き出すところまで作ります。この時点ではエージェントを入れず、案件の漏れと締切の読み替えだけを1週間見ます。
4週目:詳細ページの取り出しを固める
詳細ページから項目と資料の一覧が取れない案件を洗い出し、取り出しの指定を直します。
2か月目: エージェントを足し、関わりの判断と根拠付きの要約を台帳に書きます。none の理由を毎週見て、事業の一覧を直します。3か月目以降: 締切の催促と延長の検知を足し、1件12分が何分になったかを実測します。部署に回すべきだった案件の見落としが0件の月が続いた時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
RSS 1.0 の形、説明に案の公示日・受付締切日時・カテゴリー・問合せ先が並ぶこと、直近の数日分が載ること、dc:date の形、更新日時 | e-Gov: 意見募集案件一覧のRSS | 2026-10-08 |
| 詳細ページの項目(案件番号、根拠法令条項、受付締切日時「0時0分」、30日未満の理由、資料のリンク) | e-Gov: 案件の詳細ページの例 | 2026-10-08 |
| 提出期間が原則30日以上であること、任意の意見募集があること | e-Gov: パブリック・コメント制度について | 2026-10-08 |
| 意見募集案件一覧と結果公示案件一覧のRSSの配信 | e-Gov: RSSフィードについて | 2026-10-08 |
| 公共データ利用規約(第1.0版)の適用、出典と加工の旨の記載 | e-Gov: 利用規約 | 2026-10-08 |
| タイムゾーンの扱いと、公開が要ること | n8n Docs: Schedule Trigger | 2026-10-08 |
| Response の形式、Batching | n8n Docs: HTTP Request | 2026-10-08 |
| XML to JSON と Explicit Array | n8n Docs: XML | 2026-10-08 |
| Extract HTML Content の CSS Selector、Return Value、Return Array | n8n Docs: HTML | 2026-10-08 |
| 前回までの実行で見た値を除く操作、History Size の既定 | n8n Docs: Remove Duplicates | 2026-10-08 |
| Extract From PDF | n8n Docs: Extract From File | 2026-10-08 |
| Max Iterations の既定が10、Return Intermediate Steps | n8n Docs: Tools Agent | 2026-10-08 |
| サブワークフローを道具にすること、本番では公開が要ること | n8n Docs: Call n8n Workflow Tool | 2026-10-08 |
例から作ったスキーマは全項目が必須、$ref が使えないこと | n8n Docs: Structured Output Parser | 2026-10-08 |
案件が自社にどう響くか、意見を出すかは、経営企画と関係部署で判断してください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
自社の業務に使えるAI活用候補を整理します
このユースケース(UC-1126)についてのご相談はこちらから。
