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国・都道府県のサイトに載る自治体向けの通知・事務連絡を毎日見回り、新しく載ったものを要約して担当課に振り分ける

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

国の省庁と都道府県のウェブサイトにある自治体向けの通知の掲載ページを毎日見回り、前日から新しく載ったものだけを拾います。本文を読んで要点と期限をまとめ、事務分掌の表から担当課の候補を付けて振り分けます。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/ChatGPT/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
介護/医療/教育/自治体
対象部門
総務
対象業務
分類・仕分け/情報検索
主な課題
人手が足りない/情報が見つからない/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
エージェント
主な効果
工数削減/検索時間短縮/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
75%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 各課の担当者が、それぞれの分野の掲載ページを毎朝開く
  2. 前日から新しく載ったものを、一覧の日付で探す
  3. 新しいものがあれば、PDFを開いて読み、自課の事務に関係するかを判断する
  4. 関係するものは課内のチャットで共有し、期限があれば課の予定に書く
  5. 自課に関係しないが、ほかの課に関係しそうなものは、思いついた課に連絡する(連絡しないことも多い)
  6. 県の担当から「あの通知は見ましたか」と問い合わせが来て、初めて気づくものがある
導入後(After)
  1. 自動毎営業日の7時30分と13時に、ワークフローが登録した掲載ページを順に取りに行く
  2. 自動ページから通知のリンクと題名、発出の日、発出元を取り出す
  3. 自動前回までに見たリンクと比べ、新しく載ったものだけを残す
  4. 自動新しい通知のPDFを取り、文字を取り出す
  5. 自動エージェントが、通知ごとに対象の事務・期限・求められている対応を取り出し、事務分掌の表と過去の振り分けを道具で引いて、担当課の候補を出す
  6. 自動文書管理の仕組みにすでに同じ通知が届いていないかを照らし、届いていれば「収受済み」と付ける
  7. 自動8時30分に、新しく載った通知の一覧を総務課の文書の担当に通知する
  8. 人文書の担当が、担当課の候補と要約を確かめ、担当課の連絡の担当へ回す
  9. 人担当課が、対応の要否を決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 各課の担当者が、それぞれの分野の掲載ページを毎朝開く
  2. 前日から新しく載ったものを、一覧の日付で探す
  3. 新しいものがあれば、PDFを開いて読み、自課の事務に関係するかを判断する
  4. 関係するものは課内のチャットで共有し、期限があれば課の予定に書く
  5. 自課に関係しないが、ほかの課に関係しそうなものは、思いついた課に連絡する(連絡しないことも多い)
  6. 県の担当から「あの通知は見ましたか」と問い合わせが来て、初めて気づくものがある

(a)同じページを何人もが見ている。 介護保険最新情報には、介護保険の課だけでなく、高齢福祉、地域包括、医療、障害福祉に関わる通知も載ります。それぞれの課が同じページを毎日開き、同じ一覧を目で追っています。

(b)自課に関係しない通知が宙に浮く。 見た担当者が「これは自分の課ではない」と判断すると、その通知はどこにも回りません。 ほかの課の誰かが見ていることを期待して終わります。

(c)掲載だけの通知の期限を見落とす。 照会や調査の協力依頼が掲載ページに載り、都道府県からの連絡が後から来る、あるいは来ないことがあります。掲載の日に気づかないと、準備の時間が削られます。

(d)一覧の日付だけでは、新しいかどうか分からない。 掲載ページの通知には発出の日が書かれていますが、掲載された日とは限りません。 数日前の日付の通知が今日追加されることがあり、日付で探すと見落とします。

  1. 【自動】 毎営業日の7時30分と13時に、ワークフローが登録した掲載ページを順に取りに行く
  2. 【自動】 ページから通知のリンクと題名、発出の日、発出元を取り出す
  3. 【自動】 前回までに見たリンクと比べ、新しく載ったものだけを残す
  4. 【自動】 新しい通知のPDFを取り、文字を取り出す
  5. 【自動】 エージェントが、通知ごとに対象の事務・期限・求められている対応を取り出し、事務分掌の表と過去の振り分けを道具で引いて、担当課の候補を出す
  6. 【自動】 文書管理の仕組みにすでに同じ通知が届いていないかを照らし、届いていれば「収受済み」と付ける
  7. 【自動】 8時30分に、新しく載った通知の一覧を総務課の文書の担当に通知する
  8. 【人】 文書の担当が、担当課の候補と要約を確かめ、担当課の連絡の担当へ回す
  9. 【人】 担当課が、対応の要否を決める

8番目が、この設計の分かれ目です。 エージェントが出すのは担当課の候補で、回すのは文書の担当です。候補が2つ以上ある通知や、事務分掌の表に当てはまらない通知は、文書の担当が決めます。

6番目で「収受済み」を付けるのは、UC-0913 の受け付けとの重複を避けるためです。 同じ通知が都道府県からメールでも届いていれば、そちらの流れで回ります。この構成が拾うべきなのは、掲載だけで届いていないものです。

02今回想定するシステム構成

構成図
【トリガー】Schedule Trigger(毎営業日 7:30・13:00、Asia/Tokyo)
n8n のワークフロー
   ├──▶ 見回り先の一覧(約30ページ。URL・抜き出しの決まり・担当分野)
   ├──▶ HTTP Request:掲載ページを取る(間隔を空けて1ページずつ)
   ├──▶ HTML ノード:通知のリンク・題名・発出の日・発出元を取り出す
   ├──▶ Remove Duplicates:前回までに見たリンクを除く
   ├──▶ HTTP Request:新しい通知のPDFを取る
   ├──▶ Extract From File(Extract From PDF)で文字を取り出す
   ▼
AI Agent ノード(Tools Agent)+ Claude
   │  通知ごとに要点を取り出し、道具を引いて担当課の候補を出す
   │   ・事務分掌の表を引く    ・過去の振り分けを引く
   │   ・文書管理の収受の記録を引く
   ▼
新しく載った通知の一覧(要約・期限・担当課の候補・元のページへのリンク)
   ▼
総務課の文書の担当への通知 →【人】確かめて担当課へ回す
役割想定する製品代替候補
ワークフローn8nMake、Power Automate、Zapier
生成AIClaude API(n8n の Anthropic Chat Model ノード)OpenAI API、Azure OpenAI
保管n8n の Data table(見回り先の一覧、通知の一覧、振り分けの記録)PostgreSQL
通知庁内のチャットメール

見回りには、n8n の HTTP Request ノードと HTML ノードを使います。 HTTP Request ノードには、入力をまとめて送るバッチの設定(1回に送る件数と、送る間隔をミリ秒で)があります。1ページずつ間隔を空けて取りに行くことで、相手のサイトに負荷をかけません。HTML ノードの「Extract HTML content」は、CSS セレクタで要素を指定し、テキスト・属性・HTML・値のどれかを取り出せます。

新しく載ったものの判定は、Remove Duplicates ノードに任せます。 このノードの「Remove Items Processed in Previous Executions」は、今回の入力を、以前の実行で処理した項目と比べて取り除きます。 比べる値には通知のPDFのリンクを使います。覚えておく件数の既定は10,000件で、見回り先が多い場合は増やすか、古い記録の扱いを決めます。

RSS は使いません。 厚生労働省の「RSSによる情報配信について」では、RSS で配信した情報に基づくホームページ・メールマガジンの作成や情報の再配布を、営利・非営利を問わず断っています。 庁内への振り分けは再配布ではないと考える余地はありますが、掲載ページを直接見て、元のページへのリンクを回すほうが、決まりとの関係がはっきりします。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

トリガーは Schedule Trigger で、毎営業日の7時30分と13時です。 7時30分の分で前日の夕方以降の掲載を拾い、始業前に一覧を作ります。13時の分は、午前中の掲載を拾うためです。ワークフローのタイムゾーンを Asia/Tokyo にします。n8n の公式の説明では、ワークフローにタイムゾーンが無ければインスタンスのタイムゾーンが使われ、自分でホストする場合の既定は America/New_York とされています。保存して公開しないと、予定どおりに動きません。

見回りの回数を増やしすぎないでください。 1時間ごとに見ても、掲載の数は増えません。1日2回で足りるのは、通知の多くが数日から数週間の準備期間を置いているからです。

休日には動かしません。 休日に載った通知は、翌営業日の7時30分の分で拾えます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
見回り先の一覧ページのURL、発出元(省庁・県の部局)、分野、抜き出しの決まり(CSS セレクタ)、最後に取れた日時Data table(総務課が管理)
掲載ページ通知のリンク、題名、発出の日、発出元と種別(通知・事務連絡など)各ページ
通知の本文PDFから取り出した文字Extract From File
事務分掌の表課ごとの所掌事務、関係する法令・制度の名前、よく出る言葉Data table
過去の振り分け過去の通知の題名・発出元と、最終的に回した課Data table
収受の記録文書管理の仕組みで収受した文書の題名・発出元・日付毎晩の書き出し

質を決めるのは、事務分掌の表です。 規則に書かれた所掌事務の文言だけでは、「介護情報基盤」「ケアプランデータ連携」のような新しい言葉がどの課の事務かが分かりません。過去の振り分けの記録と、課ごとの「よく出る言葉」の列で補います。

見回り先の一覧には、抜き出しの決まりをページごとに持たせます。 例えば厚生労働省の介護保険最新情報の掲載ページは、通知ごとにPDFへのリンクがあり、リンクの文字に号数と題名、その次の行に発出の日と発出元・種別(事務連絡、局長通知など)が書かれる形です。ページごとに形が違うので、ページごとにセレクタを決めます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
掲載ページHTTP Request(GET、応答の形式はテキスト、バッチの間隔を設定)通知の一覧
リンク・題名・日付HTML ノード(Extract HTML content。リンクは属性、題名はテキスト)新しい通知の候補
新しく載ったものRemove Duplicates(以前の実行と比べる。比べる値はリンク)差分
通知のPDFHTTP Request(応答の形式はファイル)本文
本文の文字Extract From File(Extract From PDF)エージェントへの入力

HTTP Request ノードは、応答の形式を自動判別・ファイル・JSON・テキストから選べます。 掲載ページはテキストで受け、PDFはファイルで受けます。取得に失敗したページは「Never Error」で止めずに受け、ステータスを見て見回り先の一覧に失敗を記録します。 1ページの失敗で全体が止まると、ほかの29ページの新着も拾えません。

HTML ノードのオプションには、前後の空白と改行を取り除く「Trim Values」と、連続する空白を1つにする「Clean Up Text」があります。 題名の比較が空白の違いでずれないように、両方を有効にします。

比べる値は、題名ではなくリンクにします。 題名は後から直されることがありますが、PDFのリンクは号ごとに別のものになっていることが多いからです。題名が直っただけのものを新着として二重に回さずに済みます。

取りに行くときは、どこの誰が取りに来ているかが相手に分かるようにします。 HTTP Request のヘッダーに、市の名前と問い合わせ先を入れた名乗りを付けておけば、相手のサイトの管理者が負荷を気にしたときに連絡が届きます。見回り先の一覧には、そのサイトの利用規約と robots.txt を確かめた日も列として持たせ、半年に1回見直します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ページの取得を確かめる … ステータスが成功で、取り出したリンクが0件でないかを見ます。0件なら、ページの形が変わったと見なして総務課に知らせます
  2. リンクを絶対パスにそろえる … ページの中のリンクは相対パスのことがあるので、ページのURLを付けて完全な形にします
  3. 差分を取る … Remove Duplicates で、以前の実行で処理したリンクを除きます
  4. 初回の取り込みを分ける … 見回り先を新しく足した日は、そのページの既存の通知をすべて「既読」として記録するだけにし、一覧には出しません
  5. PDFの文字を確かめる … 取り出せた文字が極端に少なければ、画像のPDFと見なし、題名だけで一覧に出します
  6. 収受の記録と照らす … 題名・発出元・日付で、文書管理の仕組みに同じものが届いていないかを見ます

4番目を忘れると、初日に数百件の「新着」が出ます。 掲載ページには過去の通知が並んでいるので、足した日の分はすべて見たことにしてから、翌日から差分を取ります。

1番目は、黙って止まるのを防ぐためです。 相手のサイトのページの作りが変わると、セレクタが何も拾わなくなります。エラーにはならず「新着0件」が続くので、0件のページを毎日数えて知らせます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、新しく載った通知1件ごとに、要点と期限を原文の箇所付きで取り出し、道具を引いて担当課の候補を出すことです。

組み立てるもの中身
要約何についての通知か、何が変わるか、誰に何を求めているかを2〜3文で
種別対応を求めるもの(照会・調査・提出・手続きの変更)/情報提供・周知/会議・研修の案内
期限回答・提出・手続きの期限と、施行や適用の日を、原文の箇所付きで
担当課の候補第1候補と、関係しうる課。それぞれの根拠(事務分掌の表のどの事務か、過去のどの通知か)
道具中身呼ぶ場面
search_duties言葉で事務分掌の表を引き、課と所掌事務を返すすべての通知
get_past_routing同じ発出元・似た題名の過去の通知と、回した課すべての通知
check_received題名・発出元・日付で収受の記録を引くすべての通知

エージェントにするのは、道具の引き方が通知ごとに変わるからです。 介護保険の通知なら過去の振り分けで足りることが多く、新しい制度の通知は事務分掌の表を言葉を変えて何度か引く必要があります。

させないこと理由
対応するかどうかの判断担当課が決める
通知の解釈や、自団体への当てはめ担当課の仕事。AIが結論を書くと、読まずに済ませてしまう
期限の計算や読み替え原文の日付を写す
担当課の確定回すのは文書の担当
本文の全文の転記一覧に載せるのは要約と元のページへのリンクまで

2行目が見落とされやすい失敗です。 「本市では対応不要と考えられる」のような一文を、エージェントは自然に書き足します。その一文があると、担当課は本文を開かなくなります。

Step6

指示内容を固定する

AI Agent ノードの System Message に次を入れます。

あなたは市役所の総務課で、国・県のウェブサイトに新しく載った通知を読み、
要点と期限をまとめて、担当課の候補を出す立場です。

【取り出すもの】
- summary:何についての通知か、何が変わるか、誰に何を求めているかを2〜3文で。
- kind:request(照会・調査・提出・手続きの変更)/info(情報提供・周知)/
  event(会議・研修の案内)から1つ。迷ったら request にしてください。
- deadlines:回答・提出・手続きの期限、施行や適用の日。
  日付は原文の書き方のまま写し、根拠にした原文を quote に入れてください。
  期限を計算したり、読み替えたりしないでください。書かれていなければ空にしてください。

【担当課の候補の出し方】
- まず get_past_routing で、同じ発出元・似た題名の過去の通知を見てください。
- 次に search_duties で、通知の中の制度・事務の名前を使って事務分掌の表を引いてください。
  当たらなければ、言葉を変えて2回まで引き直してください。
- 候補の課ごとに、根拠(事務分掌の表のどの事務か、過去のどの通知か)を書いてください。
- 根拠が見つからない課を候補にしないでください。見つからなければ candidates を空にし、
  needs_routing を true にしてください。

【書かないこと】
- 本市で対応が要るかどうか、どう対応すべきかを書かないでください。
- 通知の本文を長く写さないでください。quote は期限の根拠の部分だけにしてください。

【通知】
発出元:{issuer} / 種別:{doc_type} / 発出の日:{issued_on} / 題名:{title}
掲載ページ:{page_url} / 本文:{text}

「迷ったら request」にするのは、取りこぼしの重さが違うからです。 情報提供を照会と取り違えても、担当課が読んで「対応不要」とするだけです。照会を情報提供と取り違えると、回答の期限を逃します。

「根拠が見つからない課を候補にしない」を書かないと、もっともらしい課を当てます。 「総務課」「企画課」のような広い課に寄せがちで、寄せられた課は自分の事務ではないと判断して放置します。 空にして人に決めてもらうほうが、宙に浮きません。

Step7

出力形式を固定する

Tools Agent の「Require Specific Output Format」を有効にし、Structured Output Parser をつなぎます。 次の形のJSONで受け取ります。

{
  "notice_url": "",
  "page_url": "",
  "issuer": "",
  "title": "",
  "issued_on": "",
  "kind": "request | info | event",
  "summary": "",
  "deadlines": [
    { "type": "reply | submit | effective | other", "date_text": "", "quote": "" }
  ],
  "candidates": [
    { "department": "", "basis": "duties | past_routing", "basis_detail": "" }
  ],
  "needs_routing": false,
  "already_received": false
}

1つ目の理由は、candidates に根拠が付くことです。 文書の担当は、候補の課が事務分掌のどの事務から出てきたかを見て、短い時間で回付を決められます。 根拠が「過去の振り分け」だけなら、過去の回し方が正しかったかも見ます。

2つ目は、kind と deadlines で並べ替えられることです。 ワークフローの側で、照会で期限が近いものを一覧の上に出します。

3つ目は、already_received で二重の回付を防げることです。 収受済みのものは一覧の下に「参考」として出し、担当課には回しません。

一覧の並び付ける条件(ワークフローの規則)
至急kind が request で、期限が10営業日以内
要振り分けneeds_routing が true、または候補が3課以上
通常上記以外で already_received が false
参考already_received が true、または kind が event
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
国・県の掲載ページHTTP Request+HTML ノード(1日2回、間隔を空けて)通知の一覧
通知のPDFHTTP Request+Extract From File本文
見回り先の一覧・事務分掌の表・過去の振り分けData table(道具は読み取りのみ)抜き出しの決まりと担当課の候補
収受の記録文書管理の仕組みの毎晩の書き出し二重の回付の防止
庁内のチャット通知毎朝の一覧と、文書の担当が確かめた後の担当課への連絡

担当課へは、文書の担当が確かめてから回します。 エージェントの候補のまま自動で回すと、誤った課に回った通知は、その課で止まります。

文書管理の仕組みには書き込みません。 掲載だけの通知を正式な収受として扱うかは、自団体の文書の決まりに従って文書の担当が決めます。

Step9

人が確認する

総務課の文書の担当が見るのは、毎朝8時30分の一覧です。

  1. 「至急」を最初に見る … 照会で期限の近いもの。要約と期限の quote を見て、その日の午前のうちに担当課へ回します
  2. 「要振り分け」を見る … 候補の無いもの、候補の多いもの。題名と本文の冒頭を読み、回す課を決めます
  3. 「通常」を流し見る … 候補の課と根拠が合っていれば、そのまま回します
  4. 振り分けの結果を記録する … 最終的に回した課を残します。これが次の get_past_routing の中身になります
  5. 見回り先の失敗を見る … 0件が続くページ、取得に失敗したページを確かめ、セレクタを直します

4番目を続けると、候補の当たり方が良くなります。 新しい制度の通知も、一度人が回した記録があれば、次の号からは過去の振り分けで候補が出ます。

回された担当課の側にも、確かめることがあります。 要約は本文の代わりではないので、照会や手続きの変更は必ず元のPDFを開いて読みます。 一覧に元のページへのリンクを付けているのは、そのためです。担当課が「自課の事務ではない」と返してきたものは、文書の担当が回し直し、その結果も振り分けの記録に残します。

目標は、1件2分です。 至急と要振り分けは丁寧に見て、通常は根拠を確かめて回すだけにします。

Step10

例外に対処する

起きること対応
ページが取れない失敗を記録し、次の回で取り直す。2回続けば総務課に知らせる
リンクが0件になったページの形が変わったと見なし、セレクタを直すまで人が見る
PDFが画像だけで文字が無い題名と発出元だけで一覧に出し、「本文未読」と付ける
期限が書かれていない、日付に直せないdeadlines を空にし、照会なら「要振り分け」に回す
担当課の候補が無いneeds_routing を立てて人が決める
同じ通知が別のページにも載ったリンクが同じなら Remove Duplicates で除く。違えば題名と発出の日で寄せる
題名が後から直されたリンクが同じなら新着にしない。直った題名は一覧の記録だけ更新する
見回り先を新しく足した初回は既存の通知を既読として記録するだけにする

2行目が、この構成でいちばん起きやすい止まり方です。 相手のサイトのページの作りは、予告なく変わります。黙って0件が続く状態を、毎日の数字で見つけます。

Step11

記録を残す

  • 見回りの結果(ページごとの取得の成否、取り出したリンクの数、新着の数)
  • 新しく載った通知のリンク、題名、発出元、取った日時、PDFから取り出した文字
  • エージェントの入力、呼んだ道具とその結果、出力のJSON
  • 文書の担当が回した課と、候補から変えた場合は変える前の候補
  • 担当課が決めた対応の要否

1つ目の「ページごとの取得の成否」は、見落としを説明するために残します。 「なぜあの通知が回ってこなかったのか」と聞かれたとき、その日にそのページが取れていたか、セレクタが拾えていたかを確かめられます。

04実装レベルの3段階

最小構成:担当者が掲載ページを見て、新しい通知を生成AIの画面に貼り、要点と担当課の候補を出させる / 1件ずつの要約と候補
半自動化:上記+n8n で掲載ページを見回り、新しく載ったものだけを一覧にして総務課に送る / 見回りと差分の把握
本格構成:上記+エージェントが本文を読み、事務分掌・過去の振り分け・収受の記録を道具で引いて、要約・期限・担当課の候補まで出す / 見回りから振り分けの候補まで

半自動化で、1件8分が5分ほどになります。 30ページを開いて探す①が新着の一覧に置き換わりますが、本文を読んで関係する課を判断し、回す作業は人に残ります。 本格構成で2分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、ページの形が変わりやすい見回り先と、新着の多い見回り先が分かります。セレクタが安定してからエージェントをつなぐと、要約の材料が欠ける日が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
8 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  300件 × 8分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 300件 × 2分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
75%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,000円)
108万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 国の省庁や都道府県が、市町村向けの通知・事務連絡・情報提供をウェブサイトに掲載するだけで、個別のメールや文書では届かないものがあり、各課の担当者がそれぞれ掲載ページを見に行っている市町村。介護保険・医療・福祉・教育など、掲載の頻度が高い分野を抱える課が複数ある場合。インターネットにつながる環境でワークフローを動かすことが、自団体の情報セキュリティの決まりで認められる場合。
向いていない
  1. 必要な通知がすべて都道府県経由のメールや文書で届き、ウェブサイトを見に行く必要が無い場合(届いた文書の振り分けは UC-0913 の構成が合う)。見回る掲載ページが数か所で、担当者が毎朝見ても負担にならない場合。インターネットにつながる環境でワークフローを動かすことが認められない場合。なお、通知をどう解釈するか、対応するかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 見回り先の候補を5ページ選ぶ(介護保険最新情報の掲載ページと、県の市町村向けのお知らせのページを含める)
  2. 先月それらのページに載った通知から、20件を選ぶ(照会、情報提供、会議の案内を混ぜる)
  3. 手元の生成AIの画面に、通知の本文と、事務分掌の表のうち関係しそうな数課の所掌事務を貼る
  4. 「この通知の要点と期限を原文の箇所付きで取り出し、所掌事務から担当課の候補を根拠付きで挙げてください。根拠が無ければ候補を挙げないでください。本市で対応が要るかは書かないでください」と指示する
  5. 当時実際に対応した課と見比べる

この段階で確かめたいのは、候補の課に根拠が付くかと、照会を情報提供と取り違えないかです。

出てきた内容判断
当時の課と同じ候補が根拠付きで出た見回りの部分の組み立てに進む
根拠の無い広い課を候補にした、対応の要否を書いた指示の書き方で直る。構成は有効
所掌事務の文言が古く、どの課も当たらない事務分掌の表に「よく出る言葉」を足すのが先。 AIの問題ではない

3行目は、新しい制度の通知で必ず出ます。 20件で当たらなかった言葉を、事務分掌の表に足していきます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
ページの作りが変わり、黙って0件になるページごとのリンクの数を毎日数え、0件を知らせる
見回り先を足した初日に数百件が新着になる初回は既存の通知を既読として記録するだけにする
発出の日で新着を判定して見落とすリンクの差分で判定する。 掲載の日と発出の日は違う
根拠の無い広い課に候補を寄せる根拠の無い課を候補にさせず、空なら人が決める
「対応不要と考えられる」と書く指示で禁じる。対応の要否は担当課が決める
照会を情報提供と取り違える迷ったら request にさせる
届いた文書と二重に回す収受の記録と照らし、収受済みは参考に回す
短い間隔で何度も取りに行く1日2回、バッチの間隔を空けて1ページずつ
RSS を取り込んで庁内に配るRSS の再配布を断っているサイトがある。 掲載ページを見て、リンクを回す

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれもエラーにならずに、新着が出ないか、出すぎる形で起きます。数を毎日見ることで気づけるようにします。

下の2行は、相手のサイトとの付き合い方です。 見回りの回数とやり方を、相手の決まりと負荷に合わせて最初に決めておきます。 見回り先を足すときは、そのサイトの利用規約と robots.txt を確かめます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 国・都道府県が公開している通知・事務連絡の本文、自団体の事務分掌の表、過去の振り分けの記録、文書管理の収受の記録(題名・発出元・日付)です。住民の個人情報は扱いません。

  1. 公開されている通知だけを扱う … 見回るのは誰でも見られる掲載ページだけです。都道府県から個別に届いた非公開の照会の本文は、この構成に入れません
  2. 相手のサイトの利用の決まりを守る … 厚生労働省のホームページのコンテンツは、公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した利用条件で、利用するときは出典を書き、編集・加工した情報を国が作成したかのような態様で公表・利用してはならないとされています。一覧には元のページへのリンクと「要約は本市で作成」を書きます
  3. RSS を使わない … 厚生労働省は RSS の情報に基づくメールマガジンの作成や再配布を断っています。見回りは掲載ページを直接見る形にします
  4. 負荷をかけない … 1日2回、間隔を空けて取りに行きます。見回り先を足すときは、そのサイトの決まりを確かめます
  5. 実行環境の置き場所を決める … インターネットにつながる環境で動かすことになるので、自団体の情報セキュリティの決まりに合わせて、どの環境に置き、庁内の環境へ何を渡すかを情報政策の担当と決めます
  6. 対応の判断をAIにさせない … AIが出すのは要約と担当課の候補までです。通知の解釈と対応の要否は担当課が決めます

誤りが起きた場合のリスクは、新しく載った通知を見落とすことと、誤った課に回して止まることの2つです。 前者はページの作りが変わって黙って0件になると起き、後者は根拠の無い候補で回すと起きます。どちらも数と根拠を一覧に出すことで、人の目に届く形にしています。

10まず何から始めるか

1週目:見回り先を決める

各課に、毎日または毎週見に行っている掲載ページを聞き取り、一覧にします。重複しているページと、誰も見ていない分野が分かります。あわせて、実行環境の置き場所を情報政策の担当と相談します。

2週目:20件で試す

先月の通知から20件を選び、手元の生成AIの画面で要点と担当課の候補を出させます。根拠の無い課を候補にしないか、照会を情報提供と取り違えないかを最優先で見ます。

3週目:事務分掌の表を整える

20件で当たらなかった言葉を、課ごとの「よく出る言葉」の列に足します。過去3か月の振り分けの記録があれば、Data table に入れます。

4週目:n8n で見回りと新着の一覧までをつなぐ

見回り先5ページで、HTTP Request、HTML ノード、Remove Duplicates をつなぎ、新着の一覧を毎朝総務課に送ります。この時点ではエージェントをつながず、読むのは担当者です。

2か月目: 見回り先を30ページに広げ、エージェントをつないで要約と担当課の候補を出します。needs_routing の数を毎週数えます。3か月目以降: 1件8分が何分になったかを実測します。「要振り分け」がほとんど出なくなり、各課が自分で掲載ページを見に行かなくても通知が回るようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
令和3年1月1日以降の介護保険最新情報の掲載一覧があり、通知ごとにPDFへのリンク(号数と題名)と、発出の日・発出元・種別(事務連絡、局長通知など)が書かれていること。令和2年12月31日までのものは WAM.NET を参照するとされていること厚生労働省: 介護保険最新情報掲載ページ2026-10-13
ホームページのコンテンツが公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した利用条件で利用でき、出典の記載が必要で、編集・加工した情報を国が作成したかのような態様で公表・利用してはならないこと。原則リンクフリーであること厚生労働省: 利用規約・リンク・著作権等2026-10-13
RSS で配信した情報について、営利・非営利を問わず、その情報に基づいたホームページ・メールマガジンの作成、情報の再配布を断っていること厚生労働省: RSSによる情報配信について2026-10-13
Schedule Trigger のタイムゾーンがワークフロー、無ければインスタンスの設定で、自分でホストする場合の既定が America/New_York であること。保存して公開しないと動かないことn8n Docs: Schedule Trigger node2026-10-13
HTTP Request ノードのバッチの設定(1回の件数と、ミリ秒での間隔)、応答の形式(自動判別・ファイル・JSON・テキスト)、Never Error の設定があることn8n Docs: HTTP Request node2026-10-13
HTML ノードの Extract HTML content で、CSS セレクタを指定し、Attribute・HTML・Text・Value を取り出せること。Trim Values と Clean Up Text のオプションがあることn8n Docs: HTML node2026-10-13
Remove Duplicates ノードの Remove Items Processed in Previous Executions が以前の実行の項目と比べて取り除くこと。履歴の件数の既定が10,000であることn8n Docs: Remove Duplicates node2026-10-13
Extract From File ノードに Extract From PDF などの操作があることn8n Docs: Extract From File2026-10-13
Tools Agent に System Message、Return Intermediate Steps、Require Specific Output Format(Structured Output Parser 等をつなぐ)があることn8n Docs: Tools AI Agent node2026-10-13

どの通知に対応するか、どの課の事務とするかは、自団体の事務分掌と文書の決まりに従って決めてください。 本記事は上記のページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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