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社内システムの改修に合わせて、操作マニュアルの画面のキャプチャと手順の文を新しい画面と照らし、ボタン名・項目名・手順の食い違いを拾う

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社内システムを改修したとき、操作マニュアルのうち変わった画面を写した節を探し、古いキャプチャと手順の文を新しい画面と見比べます。ボタン名・項目名・手順の食い違いを、場所と根拠付きの指摘の一覧にします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Make/n8n
対象業界
IT・SaaS/自治体/製造/金融
対象部門
情報システム
対象業務
内容確認・チェック/比較検討
主な課題
人手が足りない/確認ミスが多い
AIで行う処理
校正
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
8h/月
想定削減
73%
年間削減
264h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 改修の担当者が、変更した画面と変更の内容を改修票に書く
  2. マニュアルの担当者が改修票を読み、マニュアルのPDFで該当しそうな節を探す
  3. 検証環境で新しい画面を開き、マニュアルのキャプチャと見比べる
  4. 手順の文に出てくるボタン名・項目名・メニュー名が、新しい画面と合っているかを1つずつ確かめる
  5. 食い違いをスプレッドシートに書き出す
  6. マニュアルの原稿を直し、キャプチャを撮り直して差し替える
  7. 改訂版のPDFを配布する
導入後(After)
  1. 人改修の担当者が、変更した画面の画面IDと変更の内容を改修票のフォームに書く
  2. 人検証環境で、変更した画面のキャプチャを画面IDのファイル名で撮り、決まったフォルダに置く
  3. 自動フォームの送信をきっかけにスクリプトが動き、マニュアルのPDFと新しいキャプチャをそろえる
  4. 自動マニュアルの画面IDの一覧から、変わった画面が写っている節を引く
  5. 自動節ごとに、古いキャプチャ・手順の文・新しいキャプチャ・改修の内容を Gemini API に渡す
  6. 自動Gemini API が食い違いを種類ごとに分け、場所と根拠付きで返す
  7. 自動改修票に書かれていない食い違いに印を付け、一覧に書き出す
  8. 人マニュアルの担当者が一覧を確かめ、原稿を直してキャプチャを差し替える
  9. 人印の付いた食い違いは、改修の担当者に確かめる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 改修の担当者が、変更した画面と変更の内容を改修票に書く
  2. マニュアルの担当者が改修票を読み、マニュアルのPDFで該当しそうな節を探す
  3. 検証環境で新しい画面を開き、マニュアルのキャプチャと見比べる
  4. 手順の文に出てくるボタン名・項目名・メニュー名が、新しい画面と合っているかを1つずつ確かめる
  5. 食い違いをスプレッドシートに書き出す
  6. マニュアルの原稿を直し、キャプチャを撮り直して差し替える
  7. 改訂版のPDFを配布する

(a)影響を受けた節を探しきれない。 改修票には画面の名前しか書かれておらず、その画面がマニュアルのどの節に写っているかの一覧がありません。 経費精算の「明細の入力」の画面は、通常の申請、出張の申請、立替金の申請の3つの節に写っています。探し方は担当者の記憶です。

(b)小さな名前の変更を見落とす。 [登録]が[保存]に、「取引先コード」が「取引先ID」に変わる程度の変更は、キャプチャを並べても目に入りにくいものです。手順の文の中の1語は、画面を見比べるだけでは気づきません。

(c)キャプチャが古いまま残る。 文は直したのに、キャプチャは前の画面のまま、という節が残ります。利用者は文よりキャプチャを見て操作するので、絵のほうが古いと迷います。

(d)改修票に書かれていない変更がある。 改修のついでに項目の並びが変わった、入力が必須になった、ということが改修票から漏れています。マニュアルの担当者が見比べて初めて気づき、そのときにはもう本番に出ています。

  1. 【人】 改修の担当者が、変更した画面の画面IDと変更の内容を改修票のフォームに書く
  2. 【人】 検証環境で、変更した画面のキャプチャを画面IDのファイル名で撮り、決まったフォルダに置く
  3. 【自動】 フォームの送信をきっかけにスクリプトが動き、マニュアルのPDFと新しいキャプチャをそろえる
  4. 【自動】 マニュアルの画面IDの一覧から、変わった画面が写っている節を引く
  5. 【自動】 節ごとに、古いキャプチャ・手順の文・新しいキャプチャ・改修の内容を Gemini API に渡す
  6. 【自動】 Gemini API が食い違いを種類ごとに分け、場所と根拠付きで返す
  7. 【自動】 改修票に書かれていない食い違いに印を付け、一覧に書き出す
  8. 【人】 マニュアルの担当者が一覧を確かめ、原稿を直してキャプチャを差し替える
  9. 【人】 印の付いた食い違いは、改修の担当者に確かめる

8番目で人が見るのは、指摘の一覧です。 節を1つずつ開いて見比べるのではなく、AIが「ここが違う」と出した箇所を、根拠の文字列と場所で確かめます。 指摘の無い節は、件数を流し見て終わりにします。

9番目を足しているのは、第3章の(d)のためです。 改修票に無い変更は、マニュアルの話で終わらせず、改修の側に戻して意図した変更かを確かめます。 意図しない変更なら、それはマニュアルではなくシステムの不具合です。

02今回想定するシステム構成

構成図
改修票(Google フォーム → スプレッドシート)
   │  画面ID、変更の内容
   ▼【トリガー】フォームの送信
Google Apps Script
   ├──▶ 画面IDの一覧から、変わった画面が写っている節を引く
   ├──▶ マニュアルのPDFから該当ページを切り出す
   ├──▶ 新しいキャプチャを画面IDで探す
   ▼
Gemini API ── 構造化出力で返させる
   │   ① 手順の文の名前と、新しい画面の表示の照合
   │   ② 古いキャプチャと新しいキャプチャの違い
   │   ③ 改修の内容との突き合わせ
   ▼
Google Apps Script ── 改修票に無い食い違いに印、指摘の一覧へ
   ▼
Google スプレッドシート(指摘の一覧)
   ├──▶【マニュアル担当】原稿を直し、キャプチャを差し替える
   └──▶【改修担当】改修票に無い変更を確かめる
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(画像と文の照合、食い違いの分類)Claude API、OpenAI API
連携Google Apps ScriptMake、n8n
受付Google フォーム(改修票)Microsoft Forms
保管Google ドライブ(マニュアルのPDFとキャプチャ)SharePoint、Box

マニュアルの原稿には、この構成から書き込みません。 出すのは指摘の一覧までです。どう書き直すかは、利用者が読む文章として、担当者が決めます。

土台になるのは、Gemini の画像の理解です。 PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF の画像を受け取れ、1回のリクエストで最大3,600枚の画像を渡せます。 画像をリクエストに直接埋め込む場合は、文章や指示も含めたリクエスト全体が20MBまでに制限されます。

画面の小さな文字を読むには、解像度の設定が効きます。 Gemini 3 では media_resolution で1枚の画像に割り当てるトークンの上限を決められ、高くすると細かい文字や小さな部分を読み取る力が上がる一方、トークンの量と待ち時間が増えるとされています。ボタン名の1語を読み違えないことがこの構成の要なので、キャプチャには高い解像度を使います。

場所を返させるのにも、画像の理解の機能を使います。 物体の検出では、枠の座標を0〜1000に正規化した値で返します。 食い違いのある部分を新しいキャプチャの上で囲んで示せるので、担当者が画面のどこを見ればよいかがすぐ分かります。

マニュアルはPDFのまま渡します。 Gemini はPDFをネイティブの視覚で処理し、図やレイアウトを含めて理解します。 PDFは最大1,000ページ・50MBまでで、1ページは258トークンに相当するとされています。ほかの形式(テキストやHTMLなど)は文字だけが抜き出され、図の中身は理解されないとされているので、キャプチャを含むマニュアルはPDFにします。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

改修票のフォームが送信されたときに動かします。 フォームの回答が入るスプレッドシートに、インストール型のフォーム送信のトリガーを付けます。フォーム送信のトリガーには、フォームそのものに付けるものとスプレッドシートに付けるものの2種類があり、ここではスプレッドシートの側を使います。 回答の行に処理の状態を書き戻せるからです。

送信された時点では、まだ新しいキャプチャが撮られていないことがあります。 そこで、フォームに「キャプチャを置いた」というチェックの項目を設け、チェックの無い送信では処理を始めず、状態を「キャプチャ待ち」にします。 1時間おきの時間主導型のトリガーで「キャプチャ待ち」の行を見直し、フォルダに画面IDのファイルがそろったら処理を始めます。

リリースの日ではなく、検証環境で改修が固まった時点で動かします。 本番に出る前に指摘が出れば、マニュアルの改訂版をリリースと同じ日に配れます。リリースの後に動かすと、第3章の(d)の食い違いが本番で見つかることになります。

トリガーは作った人のアカウントで動くので、情報システム部の共有アカウントで作ります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
改修票システム名、変更した画面の画面ID、変更の内容(変更前と変更後の名前)フォームの回答
新しいキャプチャ検証環境で撮った画面のPNG。ファイル名は画面ID決まったフォルダ
マニュアルのPDF現在配布しているものGoogle ドライブ
画面IDの一覧画面IDごとに、それが写っているマニュアルの節とページ情報システム部で作る一覧

質を決めるのは、いちばん下の画面IDの一覧です。 これが無いと、変わった画面がマニュアルのどこに写っているかを探すところから始まり、第3章の(a)がそのまま残ります。

一覧を作る最初の作業も、Gemini に手伝わせられます。 マニュアルのPDFを渡し、各ページのキャプチャがどの画面かを、画面のタイトルの文字から推定させて下書きを作ります。ただし確定は人が行い、以後はマニュアルのキャプチャの下に「画面ID:EX-120」のように書き込む運用にします。 書いてあれば、次からは推定ではなく文字で引けます。

改修票の「変更の内容」は、変更前と変更後の名前を対で書いてもらいます。 「[登録]→[保存]」の形です。この対が、意図した変更かどうかを分ける材料になります。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
画面IDと変更の内容フォームの回答の行対象の画面と、意図した変更の一覧
対象の節とページ画面IDの一覧マニュアルから切り出す範囲
該当ページマニュアルのPDF古いキャプチャと手順の文
新しいキャプチャ決まったフォルダ照らし合わせる相手

スクリプトは、画面IDの一覧から対象のページを引き、マニュアルのPDFからそのページだけを切り出したPDFを作ります。 450ページを毎回すべて渡すより、対象の節の前後1ページを含めた数ページに絞るほうが、照合の相手がはっきりし、トークンも少なく済みます。

手順が複数ページにまたがる節は、節の最初から最後までを切り出します。 途中のページだけを渡すと、「前のページで開いたメニュー」が分からず、写っていないボタンを「無い」と判断する原因になります。

新しいキャプチャは、ファイル名の画面IDで探します。1つの画面にタブやダイアログがある場合は、「EX-120_tab2」のように枝番で撮ってもらい、同じ画面IDの画像をすべて渡します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. キャプチャのそろい具合の確認 … 改修票の画面IDすべてについて、新しいキャプチャがあるかを確かめます
  2. 画像の形式と大きさの確認 … PNGかJPEGであること、リクエスト全体が20MBに収まることを確かめます。大きいものは縮小ではなく、ファイルのアップロードで渡します
  3. 向きと鮮明さの確認 … 回転していないか、ぼやけていないかを確かめます。画面の録画から切り出した画像は、ぼやけていることが多いので使いません
  4. 個人の情報の確認 … 検証環境でも、実在の社員名や取引先名が写っていることがあります。キャプチャの撮影には、決まった試験用のデータを使ってもらいます
  5. ページの切り出し … 対象の節の最初から最後までを1つのPDFにします
  6. 意図した変更の一覧化 … 改修票の「変更前→変更後」の対を、照合用の一覧にします
  7. 前回の指摘との突き合わせ … 同じ節に前回の改修の指摘が残っていれば、それも渡します

4番目を省かないでください。 マニュアルは全社員が読むものです。キャプチャに実在の名前が写ったまま差し替えると、マニュアルを通じて広く配られます。 試験用のデータで撮る決まりは、この構成と関係なく必要です。

7番目は、前回直し忘れた箇所を拾うためです。 前回の指摘が「未対応」のまま残っていれば、今回の照合で同じ食い違いがもう一度出ます。二重に数えないよう、前回の指摘の番号を付けて返させます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、手順の文とキャプチャに出てくる画面の要素を1つずつ新しい画面と照らし、食い違いを種類に分けて、場所と根拠を書き出すことです。

種類何を指すか判断できないときの扱い
label_changed手順の文やキャプチャの名前が、新しい画面では別の名前になっている読み取りに自信が無ければ uncertain
element_not_visible手順の文に出てくる要素が、新しいキャプチャに写っていない「無い」とは書かない。写っていないとだけ書く
new_element新しい画面に、手順で触れていない入力項目やボタンがある必須の印があるかどうかを添える
order_changed項目やタブの並びが変わり、手順の順番と合わない並びが一部しか写っていなければ uncertain
screenshot_outdated文は合っているが、キャプチャが前の画面のまま-
ok食い違いが見つからない-

element_not_visible の扱いが、この構成でいちばん大事な区別です。 新しいキャプチャに[再計算]が写っていないとき、それはボタンが消えたのか、メニューを開かずに撮ったのか、画像だけでは決められません。 AIには「写っていない」までしか書かせず、消えたかどうかは改修の担当者に確かめます。

種類と別に、改修票との関係を付けます。 改修票の「変更前→変更後」の対に一致するものは expected、一致しないものは unexpected です。unexpected が、第5章の9番目で改修の担当者に回すものです。

させないこと理由
マニュアルの書き直し利用者が読む文章として担当者が決める
写っていない要素を「削除された」と判断する画像だけでは決められない
改修票に無い変更を「不具合」と判断する意図した変更かは改修の担当者が知っている
読みにくい文字を、似た名前に寄せて読む1語の違いを見つけるための点検
キャプチャに写った人名や取引先名の書き出し指摘に必要ない

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 小さな文字の[確定]を、手順の文にある[決定]に寄せて「一致」と読むと、見つけたかった食い違いが消えます。 読みにくければ uncertain にさせます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは社内システムの操作マニュアルを点検する立場です。
マニュアルのページ(古いキャプチャと手順の文)と、改修後の新しい画面のキャプチャを
見比べて、食い違いを書き出してください。マニュアルを書き直す必要はありません。

【見るもの】
- 手順の文に出てくるボタン名・項目名・メニュー名・タブ名
- 古いキャプチャに写っている要素
- 新しいキャプチャに写っている要素

【type の選び方】
- label_changed ......... 名前が新しい画面では別の名前になっている
- element_not_visible ... 手順の要素が新しいキャプチャに写っていない
- new_element ........... 新しい画面に手順で触れていない項目・ボタンがある
- order_changed ......... 並びが変わり、手順の順番と合わない
- screenshot_outdated ... 文は合っているが、キャプチャが前の画面のまま
- ok .................... 食い違いが無い

【厳守事項】
- 写っていない要素を「削除された」と書かないでください。
  element_not_visible とし、「新しいキャプチャには写っていない」とだけ書いてください。
- 読みにくい文字を、手順の文にある似た名前に寄せて読まないでください。
  自信が無ければ confidence を low にしてください。
- 新しい画面の名前は、画面に表示されている文字をそのまま写してください。
- 改修の内容の一覧に一致する食い違いは relation を expected、
  一致しないものは unexpected にしてください。
- 不具合かどうか、意図した変更かどうかは判断しないでください。
- 場所は新しいキャプチャの上の枠として、0〜1000 に正規化した座標で返してください。
  写っていない要素には枠を付けないでください。
- キャプチャに写っている人名・取引先名を書き出さないでください。
- マニュアルの修正の文案は suggestion に1文だけ書いてください。

【改修の内容】{change_pairs}
【前回の未対応の指摘】{open_findings}
【マニュアルのページ】{manual_pdf}
【新しいキャプチャ】{new_screens}

「写っていない要素を削除されたと書かない」を明記しないと、AIは自然に「[再計算]ボタンは廃止されました」と書きます。その一文が手順の削除につながり、まだあるボタンの説明がマニュアルから消えます。

「似た名前に寄せて読まない」も同じ理由です。 照らし合わせの目的は1語の違いを見つけることで、似ているものを同じと見なす親切さは、この点検では害になります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "change_ticket_id": "",
  "screen_id": "",
  "manual_section": "",
  "manual_pages": [0],
  "findings": [
    {
      "type": "label_changed | element_not_visible | new_element | order_changed | screenshot_outdated | ok",
      "relation": "expected | unexpected",
      "manual_text": "",
      "new_screen_text": "",
      "box_2d": [0, 0, 0, 0],
      "new_screen_file": "",
      "confidence": "high | low",
      "previous_finding_id": "",
      "suggestion": ""
    }
  ]
}

1つ目の理由は、type と relation を enum で固定できることです。 構造化出力では値を決まった選択肢に限れるので、一覧の絞り込みで「unexpected だけ」「label_changed だけ」をそのまま使えます。

2つ目は、manual_text と new_screen_text を並べられることです。 担当者は画像を開く前に、「[登録]→[保存]」のように何が何に変わったかを一覧で読めます。

3つ目は、box_2d で場所を示せることです。 スクリプトがこの座標で新しいキャプチャに枠を描いた画像を作り、一覧から開けるようにします。element_not_visible には枠が無いので、枠の有無でも種類の取り違えを検知できます。

ただし、値はスクリプトの側で確かめます。 構造化出力は文法として正しいJSONを返しますが、値の中身が正しいことまでは保証されないので、アプリケーションで検証するよう案内されています。relation が改修票の対と本当に一致しているか、manual_text が切り出したページの文字に実在するかを、スクリプトが文字列で照らします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
改修票のスプレッドシートフォーム送信のトリガー画面IDと変更の内容を受け取り、状態を書き戻す
Google ドライブApps Script から読み取りマニュアルのPDF、新しいキャプチャ
画面IDの一覧スプレッドシートの読み取り対象の節とページ
Gemini APIApps Script から呼び出し照合と食い違いの分類
指摘の一覧スプレッドシートへの書き込み節ごとの指摘、枠を描いた画像へのリンク

マニュアルの原稿には書き込みません。 第6章のとおり、出すのは指摘までです。

画面IDの一覧も読むだけです。 新しい画面が増えたとき、一覧への追加は担当者が行います。AIが推定した画面IDを一覧に書き足すと、誤った対応がそのまま次の点検の土台になります。

Step9

人が確認する

マニュアルの担当者は、次の順で一覧を見ます。

  1. unexpected を先に見る … 改修票に無い食い違いです。改修の担当者に「意図した変更か」を確かめます
  2. element_not_visible を確かめる … 検証環境で実際に画面を開き、要素が消えたのか、写っていないだけかを見ます
  3. label_changed と screenshot_outdated を直す … 原稿の名前を直し、キャプチャを差し替えます
  4. confidence が low のものを確かめる … 枠の画像を開いて、文字を目で読みます
  5. 指摘を覆したら記録する … 誤った指摘の種類と理由を残します

2番目を省かないでください。 element_not_visible を「消えた」と読んで手順を削ると、まだあるボタンの説明がマニュアルから消えます。 確かめるのは検証環境で画面を開く数十秒です。

目標は、120節をならして1節4分です。 指摘の無い節は一覧で流し見て数秒、指摘のある節は原稿を直すので数分です。指摘が多い月は、改修票の書き方か、キャプチャの撮り方に問題があります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
新しいキャプチャが無い「キャプチャ待ち」にし、1時間おきに見直す
画面IDの一覧に載っていない画面対象の節が引けないので、担当者に一覧への追加を頼む
リクエストが20MBを超える画像をファイルとしてアップロードして渡す
キャプチャがぼやけている・回転している撮り直しを頼む。画面の録画からの切り出しは使わない
実在の人名や取引先名が写っている処理を止め、試験用のデータで撮り直してもらう
ダイアログやメニューが開いていないelement_not_visible のまま人へ。枝番のキャプチャを足してもらう
同じ画面IDで複数の版のキャプチャがある最新の日時のものを使い、古いものを別フォルダへ
manual_text がページに実在しないその指摘を捨て、担当者へ知らせる
応答がJSONとして読めない1回だけやり直す。2回目もだめなら節を手作業に戻す

上から5行目までが大半を占めます。 どれもAIの問題ではなく、キャプチャの撮り方と、画面IDの一覧の整備の問題です。 撮り方の決まり(試験用のデータ、ファイル名、枝番)を1枚の紙にして改修の担当者に渡すほうが、照合の精度を上げるより効きます。

Step11

記録を残す

  • 改修票の番号と、そのとき対象にした画面IDと節
  • 切り出したマニュアルのページと、渡した新しいキャプチャ
  • Gemini API の応答のJSONと、スクリプトの検証の結果
  • 枠を描いたキャプチャの画像
  • 担当者が指摘を覆した記録(種類と理由)
  • unexpected について、改修の担当者が答えた内容

最後の行は、改修の側の改善の材料になります。 unexpected のうち「意図した変更だったが改修票に書き忘れた」が多ければ、改修票の書き方を直します。「意図しない変更だった」が出たら、それはマニュアルの点検がシステムの不具合を拾ったということです。

指摘を覆した記録は、指示の直しどころを教えてくれます。 element_not_visible が多すぎるなら撮り方、label_changed の誤りが多いなら解像度の設定を見直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:手で切り出したページとキャプチャを画面に渡し、食い違いを出させる / 1節ごとの照合
半自動化:上記+画面IDの一覧を整え、スクリプトがページの切り出しと Gemini API の呼び出し、一覧への書き出しを行う / 対象の節の特定と照合、一覧化
本格構成:上記+改修票の送信を起点に動き、改修票との突き合わせ、枠を描いた画像、前回の指摘の引き継ぎまで行う / 点検の全体と、改修の側への確認の材料づくり

最小構成では120節はさばけません。 1節ずつ切り出して渡すので、確かめるための段階です。 半自動化で、1節15分が7分程度になります。 節を探す作業と見比べる作業は自動になりますが、改修票と照らして意図した変更かを分ける作業と、場所を画像で探す作業が残ります。本格構成で4分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1〜2か月見ると、画面IDの一覧の抜けと、キャプチャの撮り方の癖が先に分かります。そこを直してから改修票との突き合わせを足すほうが、unexpected の空振りが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  120件 × 15分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 120件 × 4分 ÷ 60 = 8 時間/月
月間削減時間
22h
削減率
73%
年間削減時間
264h
年間金額換算(時間単価4,000円)
106万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 社内で使う業務システムを毎月のように改修し、そのたびに操作マニュアルを直している情報システム部門。マニュアルが画面のキャプチャ付きで数百ページあり、どの節が改修の影響を受けたかを担当者が目で探している場合。改修後に「マニュアルのボタンが見当たらない」という問い合わせが続いている場合。
向いていない
  1. マニュアルが数ページで、改修も年に数回しか無い場合。画面のキャプチャを使わず、文章だけで手順を書いている場合(文章どうしの比較で足ります)。市販のパッケージをそのまま使い、マニュアルもベンダーが直している場合。なお、マニュアルをどう書き直すか、利用者にいつ周知するかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の改修票から1件を選び、変わった画面が写っているマニュアルの節を3つ探す
  2. その3節のページをPDFで切り出し、検証環境で新しい画面のキャプチャを撮る
  3. 手元のAIサービスの画面に、PDFとキャプチャと改修票の内容を渡す
  4. 「マニュアルの手順の文とキャプチャを新しい画面と見比べ、名前が変わったもの、写っていないもの、新しく増えたもの、並びが変わったものを書き出してください。写っていないものを削除されたとは書かないでください」と指示する
  5. 出てきた指摘を、先月担当者が実際に直した箇所と突き合わせる

先月の改修を使うのが要点です。 担当者がすでに直した箇所が「答え」になります。AIが拾えなかった食い違いと、拾いすぎた指摘の両方を数えます。

出てきた内容判断
担当者が直した箇所をおおむね拾えたスクリプトでの自動化に進む
小さな文字の名前を読み違えた解像度とキャプチャの撮り方を見直す。構成は有効
写っていないボタンを「削除」と書いた指示の書き方で直る
担当者が気づかなかった食い違いが出た改修票の書き漏れか、マニュアルの古さ。 改修の担当者に確かめる

4行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、第3章の(c)と(d)が実際に起きていたということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
写っていないボタンを「削除された」と書くelement_not_visible とし、写っていないとだけ書かせる
小さな文字を似た名前に寄せて読む寄せないことを指示に書き、解像度を上げる
画面IDの一覧が無く、対象の節が引けない一覧づくりを最初に終える
節の途中のページだけを渡す節の最初から最後までを切り出す
メニューやダイアログを開かずに撮る枝番で撮る決まりにする
キャプチャに実在の名前が写る試験用のデータで撮る決まりにする
画面の録画から切り出した画像がぼやける録画からの切り出しを使わない
改修票に変更前と変更後の名前が無い対で書く欄をフォームに設ける
unexpected をそのまま不具合として扱う意図した変更かは改修の担当者に確かめる
AIの推定した画面IDを一覧に書き足す一覧への追加は人が行う
存在しない手順の文を引用するmanual_text がページにあるかをスクリプトで照らす
指摘がそのままマニュアルの文になるsuggestion は1文の案まで。書き直しは担当者

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、画像から言えることの範囲を越えて答えてしまうことから起きます。写っていないものは写っていない、読めないものは読めない、と返させる指示と、それを確かめる人の手順で守ります。

下の2行も、早いうちに効いてきます。 AIの指摘の言い回しがそのままマニュアルに入ると、利用者に向けた文章ではなく点検の記録の文体になります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 社内システムの画面のキャプチャ(項目の名前、画面の構成、試験用のデータ)、操作マニュアル、改修票の内容です。

  1. キャプチャに実在の個人や取引先の情報を写さない … 検証環境でも本番のデータを複製していることがあります。試験用のデータで撮る決まりを先に作ります
  2. 画面の構成も社内の情報として扱う … 管理者向けの画面や権限の設定画面には、システムの仕組みが分かる情報が写ります。外部のAPIへ渡す画面の範囲を、社内の取り決めで確かめます
  3. マニュアルの原稿を自動で書き換えない … 出すのは指摘までで、直すのは担当者です
  4. unexpected を改修の側に戻す … マニュアルの話で終わらせると、意図しない変更が本番に残ります
  5. 画面IDの一覧を人が管理する … 一覧の誤りは、次の点検の対象漏れになります
  6. アップロードしたファイルの扱いを確かめる … Gemini API のファイルのアップロードでは、アップロードしたファイルは48時間保存されるとされています。社内の取り決めで外部に置いてよい期間と照らします

誤りが起きた場合のリスクは、まだあるボタンの説明をマニュアルから消してしまうことと、食い違いを見落としたまま改訂版を配ることの2つです。 前者は element_not_visible の扱いで防ぎ、後者は「似た名前に寄せない」指示と解像度の設定で防ぎます。どちらも、AIに見えている範囲だけを答えさせることで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:画面IDの一覧を作り始める

改修の多いシステム1つについて、マニュアルのキャプチャがどの画面かを一覧にします。Gemini にPDFを渡して下書きを作らせ、人が確定させます。 あわせて、マニュアルのキャプチャの下に画面IDを書き込む運用を決めます。

2週目:1件の改修で試す

先月の改修票から1件を選び、対象の3節で照合させます。担当者が実際に直した箇所と突き合わせ、写っていないボタンを「削除」と書いていないかを最優先で見ます。

3週目:撮り方の決まりを作る

試験用のデータ、ファイル名、枝番の付け方を、改修の担当者と決めます。 改修票のフォームに「変更前→変更後」の欄と「キャプチャを置いた」のチェックを足します。

4週目:改修票から指摘の一覧までをつなぐ

フォーム送信のトリガーで、ページの切り出し、Gemini API の呼び出し、一覧への書き出しまでを作ります。この時点では改修票との突き合わせを入れず、食い違いの種類だけを見ます。

2か月目: 残りの2システムの画面IDの一覧を作り、改修票との突き合わせで expected と unexpected を分けます。3か月目以降: 枠を描いた画像と前回の指摘の引き継ぎを足し、1節15分が何分になったかを実測します。unexpected を改修の担当者に戻す流れが定着し、改訂版をリリースの日に配れるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
Gemini が受け取れる画像の形式が PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF であること。1回のリクエストで最大3,600枚の画像を渡せること。画像を埋め込む場合はリクエスト全体が20MBまでであること。大きな画像は768×768のタイルに分けられ、1タイル258トークンとして数えられること。Gemini 3 の media_resolution で、高くすると細かい文字の読み取りが上がる一方トークンと待ち時間が増えること。物体の検出の枠の座標が0〜1000に正規化されること。画像の向きと鮮明さを確かめるよう案内されていることGoogle AI for Developers: Image understanding2026-10-06
Gemini がPDFをネイティブの視覚で処理し、文書全体を理解すること。PDFは最大1,000ページ・50MBで、1ページ258トークンに相当すること。PDF以外の形式は文字として抜き出され、図などは理解されないこと。アップロードしたファイルが48時間保存されること。ページの向きを直し、ぼやけたページを避けるよう案内されていることGoogle AI for Developers: Document understanding2026-10-06
構造化出力が JSON Schema に沿った応答を返させる機能で、enum で値を決まった選択肢に限れること。出力が文法として正しいJSONでも値はアプリケーションで検証するよう求めていることGoogle AI for Developers: Structured outputs2026-10-06
フォーム送信のトリガーに、フォームに付けるものとスプレッドシートに付けるものの2種類があること。時間主導型のトリガーが毎分から月1回までの間隔で動かせること。トリガーが作成者のアカウントで動くことGoogle Apps Script: Installable Triggers2026-10-06

マニュアルをどう書き直すか、利用者にいつ周知するかは、情報システム部で決めてください。 本記事は公式の案内で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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