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共済の支所の事務担当から出る請求の必要書類と支払いの目安の質問に、支払いの規程・事務の手引き・過去の照会の回答を根拠に答える

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

支所の事務担当が、組合員から「入院したので共済金を請求したい」「台風で屋根が壊れた」と相談を受けたときに、共済の種類と加入の時期を入れると、その版の規程と事務の手引きから必要書類と該当する条文を引用して返します。支払いの可否は本部の担当が決めます。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
その他/保険
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
問い合わせ対応/情報検索
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/検索時間短縮
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
70h/月
AI導入後
28h/月
想定削減
60%
年間削減
504h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 事務担当が、組合員から請求の相談を受け、共済の種類と出来事の内容を聞き取る
  2. 加入者の管理の仕組みで、加入の時期と共済の内容を確かめる
  3. その時期の規程の版を開き、支払いの事由と支払わない場合の条文を探す
  4. 事務の手引きで、必要書類と受付の手順を確かめる
  5. 判断に迷うものは、本部の支払いの担当に電話で照会する
  6. 組合員に必要書類を案内し、相談の記録を書く
導入後(After)
  1. 人事務担当が、相談の画面で共済の種類、加入者の番号、出来事の種類、出来事の日、相談の要点を入れて送る
  2. 自動中継プログラムが、加入者の番号から加入の時期と共済の内容を加入者の管理の仕組みで引く
  3. 自動規程は加入の時期、手引きは今日の日付で、検索の絞り込みの条件を作る
  4. 自動Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッドが、規程・手引き・回答集から、必要書類と該当する条文を探して引用付きで返す
  5. 自動中継プログラムが、出来事の日から3年に近いか、規程の改定をまたぐかなどを確かめ、回答を `answer`(必要書類を案内できる)/`refer`(本部の確認が要る)に分ける
  6. 人事務担当が引用を読み、組合員に必要書類を案内する。`refer` は本部に回し、組合員には本部の確認を待つことを伝える
  7. 人本部の支払いの担当が、書類がそろった請求の支払いを判断する。`refer` に答えた内容は回答集に登録する(翌晩に取り込まれる)
各工程の詳しい説明を読む
  1. 事務担当が、組合員から請求の相談を受け、共済の種類と出来事の内容を聞き取る
  2. 加入者の管理の仕組みで、加入の時期と共済の内容を確かめる
  3. その時期の規程の版を開き、支払いの事由と支払わない場合の条文を探す
  4. 事務の手引きで、必要書類と受付の手順を確かめる
  5. 判断に迷うものは、本部の支払いの担当に電話で照会する
  6. 組合員に必要書類を案内し、相談の記録を書く

(a)規程・手引き・過去の回答が3か所に分かれている。 支払いの事由は規程、必要書類は手引き、珍しい事例の扱いは過去の照会の回答にあります。3つを開いて突き合わせるあいだ、組合員を窓口や電話で待たせます。

(b)加入の時期で版を取り違える。 最新の規程で案内したところ、組合員の契約の版では条件が違っていた、ということが起きます。本部の判断の段階で分かると、組合員への案内をやり直すことになります。

(c)必要書類の案内が漏れる。 手引きの必要書類の一覧は、共済の種類と出来事の種類の組み合わせで変わります。案内が1つ漏れると、組合員が書類を出し直すことになり、支払いが遅れます。

(d)本部への照会が担当の経験しだい。 経験のある担当は手引きで済ませ、新しい担当は何でも本部に照会します。本部の支払いの担当の時間が、同じ照会への回答に取られます。

  1. 【人】 事務担当が、相談の画面で共済の種類、加入者の番号、出来事の種類、出来事の日、相談の要点を入れて送る
  2. 【自動】 中継プログラムが、加入者の番号から加入の時期と共済の内容を加入者の管理の仕組みで引く
  3. 【自動】 規程は加入の時期、手引きは今日の日付で、検索の絞り込みの条件を作る
  4. 【自動】 Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッドが、規程・手引き・回答集から、必要書類と該当する条文を探して引用付きで返す
  5. 【自動】 中継プログラムが、出来事の日から3年に近いか、規程の改定をまたぐかなどを確かめ、回答を answer(必要書類を案内できる)/refer(本部の確認が要る)に分ける
  6. 【人】 事務担当が引用を読み、組合員に必要書類を案内する。refer は本部に回し、組合員には本部の確認を待つことを伝える
  7. 【人】 本部の支払いの担当が、書類がそろった請求の支払いを判断する。refer に答えた内容は回答集に登録する(翌晩に取り込まれる)

2番目で加入の時期をAIに推し量らせないのが、この設計の前提です。 組合員が「10年くらい前に入った」と言っても、正確な加入の時期は加入者の管理の仕組みにしかありません。版を選ぶ鍵になる日付は、記録から引きます。

5番目の時効の確認を、AIではなく中継プログラムの日付の計算で行うのも同じ理由です。 保険法は、保険給付を請求する権利が、行使できる時から3年間行使しないときに時効で消えると定めています。いつから数えるかの判断は本部が行い、支所では「3年に近い」という印だけを機械的に付けます。

02今回想定するシステム構成

構成図
共済の規程(種類・版)  事務の手引き(版)  本部の照会の回答  
   │  種類・出来事・版の期間(規程は加入の時期、手引きは受付の日)を付ける
   ▼
Cloud Storage ── メタデータ(JSON Lines)
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)── データストア(レイアウト パーサー、見出しの付与)
   │   doc_kind/product/event/effective_from/effective_to
   ▼
支所の相談の画面 ──【トリガー】事務担当の送信
   ▼
中継プログラム(Python、Cloud Run)
   ├──▶ 加入者の管理の仕組みから加入の時期を引く
   ├──▶ 規程と手引きで別々の日付の絞り込み
   ├──▶ answer メソッド:必要書類と条文の引用
   └──▶ 時効・改定・結論の語を確かめて answer / refer
   ▼
支所の画面へ返信  /  本部の支払いの担当の照会の一覧
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、相談の画面・加入者の管理・検索・照会の一覧をつなぐ)Node.js で同じものを書く
保管Cloud Storage(規程・手引き・回答集の写しとメタデータ、相談の記録)─

加入者の管理の仕組みからは、加入の時期と共済の内容を読むだけです。 請求の受付や支払いの記録には、この構成から何も書き込みません。請求の受付は、これまでどおり書類がそろった時点で事務担当が行います。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 公式のドキュメントでは、引用を付ける設定(includeCitations、既定は無効)、関係の薄い内容で答えない設定(ignoreLowRelevantContent)、回答を求めていない書き込みや敵対的な問いに答えない設定、回答の作り方を指示する preamble、前の session を渡してやり取りを続ける機能があります。組合員が「手術もした」と言い足したときに、事務担当が続けて聞けるのは、この機能によります。

規程の取り込みには、レイアウト パーサーを使います。 公式では、段落・表・見出しを検出し、チャンクに上位の見出しを付ける設定(includeAncestorHeadings、既定は無効)があり、チャンクの大きさは100〜500トークンです。「支払わない場合」の条の1号が単独で引かれても、どの共済のどの条かが分かるように見出しを付けます。 チャンクの設定はデータストアの作成後に切り替えられないので、最初に決めます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、事務担当が支所の相談の画面で送信したことです。 窓口で組合員と話しながら入れるので、項目は選ぶものを中心にします。加入者の番号が欠けると加入の時期が決まらず、規程の版が選べません。 画面で必須にします。

画面の項目書き方使い道
共済の種類生命/医療/火災(加入者の番号から自動で入る)絞り込み
加入者の番号加入者の管理の番号加入の時期を引く
出来事の種類入院/手術/通院/死亡/障害/火災/風水害/その他絞り込み、必要書類の検索
出来事の日日付(分からなければ「不明」)時効の印
相談の要点自由記述(病名・人名は書かない)検索の質問文

相談の要点の欄には「病名や人名は書かない」と画面に表示し、中継プログラムでも検知します。 検索に要るのは「入院」「骨折による手術」のような出来事の区分で、診断名そのものは、本部が診断書で確かめれば足ります。

もう一つのトリガーは、規程の改定と手引きの改訂です。 本部が新しい版を置き、メタデータに版の期間を書きます。規程は改定の後も前の版を消さず、終わりの日を書いて残します。 古い契約の請求は、前の版で見るからです。取り込みは毎晩まとめて行います。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
相談画面の5項目と、事務担当支所の相談の画面
加入の情報加入の時期、共済の種類と内容、更新の履歴加入者の管理の仕組み
共済の規程共済金を支払う事由、支払わない場合、請求の手続き。種類ごと・版ごと本部の文書(PDF)
事務の手引き出来事の種類ごとの必要書類、受付の手順、書類の書き方本部の文書(PDF)
回答集過去の照会の要旨、本部の回答、根拠の条文、答えた日本部の照会と回答の一覧から作る

質を決めるのは、規程の版の期間と、更新の扱いです。 共済には、期間が満了すると更新するものがあり、更新のときに新しい版の規程に切り替わるかどうかは、共済の種類ごとの決まりによります。 加入者の管理の仕組みから「いまの契約が始まった日」を引き、その日に効く版で見る、という規則を本部が決めて中継プログラムに書きます。

回答集の1件ずつにも、どの版の規程を前提にした回答かを書きます。 回答の根拠の条文が改定で変わると、過去の回答がそのまま今の契約に当てはまらなくなります。

Step3

データの取得方法を決める

規程は共済の種類ごと・版ごとに章で分け、手引きは出来事の種類ごとに、回答は1件ずつファイルにして Cloud Storage に置きます。公式では、非構造化データは TXT・JSON・Markdown・PDF・HTML・DOCX・PPTX・XLSX・XLSM に対応し、1ファイルの上限は200MBです。メタデータは JSON Lines で、1行ごとに id、structData、content(mimeType と uri)を書きます。

{"id":"medical-rule-v5-ch3","structData":{"doc_kind":"rule",
 "product":["medical"],"event":["hospitalization","surgery"],
 "effective_from":"2021-04-01T00:00:00Z",
 "effective_to":"2025-03-31T23:59:59Z"},
 "content":{"mimeType":"application/pdf","uri":"gs://kyosai-docs/medical-rule-v5-ch3.pdf"}}
項目中身使い道
doc_kind規程/手引き/回答日付の当て方の切り替え、振り分けの規則
product共済の種類絞り込み
event出来事の種類絞り込み
effective_from/effective_to版の始まりと終わり規程は契約の始まった日、手引きは今日で版を選ぶ

問い合わせのたびに、中継プログラムが絞り込みの条件を作ります。 公式の構文では、文字の項目は ANY() に並べた値のどれかと完全に一致するかを見られ、日時の項目は ISO 8601 の文字列と比べられ、AND・OR と括弧で組み合わせられます。項目はスキーマで索引可能にしておかないと絞り込みに使えません。

product: ANY("medical") AND event: ANY("hospitalization")
AND (
 (doc_kind: ANY("rule") AND effective_from <= "2023-06-01T00:00:00Z"
  AND effective_to >= "2023-06-01T00:00:00Z")
 OR
 (doc_kind: ANY("manual","answer") AND effective_from <= "2026-10-20T00:00:00Z"
  AND effective_to >= "2026-10-20T00:00:00Z")
)

規程の日付は契約の始まった日、手引きと回答集の日付は今日です。 1つの絞り込みの中で、文書の種類ごとに違う日付を当てています。ここを1つの日付にまとめると、古い契約に新しい規程か、今の受付に古い手引きのどちらかが当たります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 規程を条ごとに見出しを付けて分ける … 共済の種類、版、章、条の番号が崩れないよう、本部の原稿からHTMLで書き出します
  2. 版の期間を付ける … 改定の履歴から、版ごとの始まりと終わりの日を書きます。更新で版が切り替わる共済かどうかも本部が書きます
  3. 手引きの必要書類の一覧を出来事ごとに分ける … 一覧の表が、共済の種類と出来事の種類の組み合わせで引けるようにします
  4. 回答集を整える … 過去の照会と回答を、根拠の条文と前提の版を確かめて1件ずつ文書にします。組合員の氏名・加入者の番号・病名は外します
  5. 相談の要点から個人の情報を外す … 氏名、加入者の番号、病名の候補の語が書かれていたら、検索の質問文から外して事務担当に知らせます

2番目の「更新で版が切り替わるか」は、機械に任せません。 共済の種類ごとの決まりで、取り違えると、更新した組合員に前の条件で案内することになります。 本部の支払いの担当が書き、中継プログラムはそれに従うだけにします。

Step5

AIに処理させる

させるのは、契約の版の規程と今の手引きから、必要書類と該当する条文を探し、引用して並べることです。

させること中身
必要書類を並べる手引きの一覧から、共済の種類と出来事の種類に当たる書類を、手引きの番号を付けて
支払いの事由の条文を引用する規程の名前、版、条の番号、本文をそのまま
支払わない場合の条文を引用する出来事に関係しうる号を、本文のまま
確かめる事実を挙げる本部の判断に要る事実(入院の日数、事故の原因、建物の用途)
させないこと理由
支払われるか・支払われないかの結論書類を見て本部の支払いの担当が決める
共済金の額の計算加入の内容と書類で本部が計算する
支払わない場合に当たるかの当てはめ事故の原因の確かめが要る
時効の起算点の判断本部が判断する。支所では印を付けるだけ
規程に無い扱いを一般論で補う「一般に保険では」と書くと根拠の無い案内になる

3つ目の「支払わない場合」の引用は、当てはめをさせずに条文だけを並べさせます。 事務担当が条文を知っておくと、確かめる事実を組合員に聞いておけます。しかし、当てはまるかを支所で伝えると、組合員にとってはそれが共済の答えになります。

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
includeCitations有効条文と書類の一覧に出典を付ける(既定は無効)
ignoreLowRelevantContent有効関係の薄い条文で答えない
filter共済の種類、出来事、文書ごとの版の期間契約と今日に効く文書だけを引く
includeGroundingSupports有効文ごとの根拠のスコア(0〜1)を受け取る
session同じ相談の続き言い足された事実で続けて聞く
preamble下の指示答え方の規則を与える
Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。中継プログラムは、共済の種類、出来事の種類、契約の始まった日、今日の日付を検索の文の先頭に付けます。

あなたは共済の本部の支払いの担当として、支所の事務担当からの
共済金の請求の相談に、規程と事務の手引きを根拠に案内の材料を
作る立場です。読むのは、窓口で組合員と話している職員です。

【前提】
検索の文の最初に、共済の種類、出来事の種類、契約の始まった日、
今日の日付が並んでいます。規程は契約の始まった日に効く版、
手引きと回答集は今日に効く版だけが検索の対象です。

【答え方】
1. 必要書類を、手引きの番号を付けて箇条書きにする
2. 支払いの事由に当たる条文を、規程の名前・版・条の番号を付けて
   本文のまま引用する
3. 出来事に関係しうる支払わない場合の条文を、本文のまま引用する
4. 本部の判断に要る事実を、組合員に聞いておくこととして3つまで挙げる

【厳守事項】
- 支払われる・支払われない、対象・対象外と書かないでください。
- 共済金の額を書かないでください。計算もしないでください。
- 支払わない場合に当たるかどうかを書かないでください。
  条文を並べるだけにしてください。
- 時効について、間に合う・間に合わないと書かないでください。
- 検索結果に無い条文、別の版の規程で答えないでください。
- 一般的な保険の扱いで補わないでください。
- 回答集だけが根拠のときは、そのことと答えた日を書いてください。
- 該当する条文や書類の一覧が見つからないときは、
  「該当する箇所は見つかりませんでした。本部が確認します」
  とだけ書いてください。

「支払わない場合に当たるかを書かない」を明記しないと、AIは相談の要点から当てはめを書きます。 「持病の悪化による入院」と聞くと、加入前の病気に関する条を引いて「お支払いの対象外となる可能性があります」と書きます。加入前の発病かは診断書を見ないと分からず、支所で伝えた「対象外」は組合員の請求をためらわせます。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの返り値と加入の情報を、中継プログラムが次の形にまとめます。

{
  "inquiry_id": "",
  "product": "medical | life | fire",
  "event": "",
  "contract_start": "",
  "event_date": "",
  "rule_version": "",
  "documents": [ { "name": "", "manual_ref": "", "quote": "" } ],
  "payment_clauses": [ { "title": "", "version": "", "article": "", "quote": "", "uri": "" } ],
  "exclusion_clauses": [ { "title": "", "version": "", "article": "", "quote": "", "uri": "" } ],
  "facts_to_confirm": [],
  "flags": { "near_time_limit": false, "revision_between": false },
  "route": "answer | refer",
  "refer_reason": []
}

引用は、answer メソッドの references から取ります。引用の位置(startIndex/endIndex)は UTF-8 のバイト数なので、日本語の文を文字数で切るとずれます。contract_start と flags はAIの返り値を使わず、加入者の管理の仕組みと中継プログラムの日付の計算で入れます。

route は次の規則で決めます。

refer_reason立てる条件
near_time_limit出来事の日から2年6か月を過ぎている、または出来事の日が不明
revision_between出来事の日と契約の始まった日の間に、更新で版が切り替わる決まりがある
judgement_words回答に「対象です」「対象外」「支払われます」「お支払いできません」などの語がある
amount回答に「円」と数字の並びがある
answer_only引用が回答集だけで、規程・手引きが無い
no_citation該当する箇所が無い、または answerSkippedReasons が返った
weak_support根拠のスコアが低い文がある

どれにも当たらないものだけが answer です。 answer でも、事務担当が組合員に伝えるのは必要書類と、本部が判断することだけです。near_time_limit の2年6か月は、本部が判断する時間を残すための余裕で、時効の判断ではありません。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
支所の相談の画面画面から中継プログラムを呼ぶ5項目を受け取り、案内の材料を返す
加入者の管理の仕組み読み出し加入の時期、契約の始まった日、更新の履歴を引く
Agent Searchanswer メソッド必要書類と条文の引用
本部の照会の一覧1行足すrefer を回す
回答集本部の担当が回答を登録翌晩に取り込む

照会の1行には、共済の種類、出来事、契約の始まった日、引用、refer_reason を付けます。 本部の担当は、規程を開くところからではなく、引用を読んで判断するところから始められます。

Step9

人が確認する

組合員に案内するのは、いつも事務担当です。 支払いを判断するのは、いつも本部の支払いの担当です。AIの回答が組合員に直接届く経路はありません。

  1. 規程の版を確かめる … 回答の rule_version が、加入者の管理の仕組みの契約と合っているかを見ます
  2. 必要書類を案内する … 手引きの一覧を読み、組合員の状況で要らない書類があれば本部に確かめます
  3. 事実を聞いておく … facts_to_confirm を組合員に聞き、相談の記録に書きます
  4. refer は本部に回す … 組合員には「本部が確認して連絡します」と伝えます

支払いについて組合員に聞かれたら、「書類がそろってから本部が判断します」と答えます。 引用の条文を読み上げて、当てはまるかどうかの見立てを伝えることはしません。

本部の支払いの担当は、毎週 refer の一覧を読みます。 同じ相談が続くものは回答集に登録し、手引きの書き足しの候補にします。運用を始めてから2か月は、answer の回答も本部が抜き取りで読みます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
加入者の番号から契約が引けない「契約を確かめられません」と返し、refer
契約の始まった日に効く規程の版が無いno_citation で本部へ。版の登録漏れを疑う
出来事の日が不明near_time_limit で本部へ。組合員に日付の分かる書類を案内する
相談の要点に病名や人名がある検索の文から外し、事務担当に書き直しを求める
回答に「対象外」などの語が出た語を消し、judgement_words で本部へ
複数の共済に同じ出来事で請求する共済ごとに分けて問い合わせる
検索の呼び出しが失敗した「本部に確認します」と返し、照会の一覧へ

5行目の語の検知は、プロンプトとは別に、中継プログラムの文字列の照合で行います。 最後の門は機械の照合に置きます。

Step11

記録を残す

  • 相談の内容(5項目。病名と人名は外したもの)、支所、事務担当、日時
  • 加入者の管理の仕組みから引いた契約の始まった日と、選ばれた規程の版
  • answer メソッドへの要求(絞り込みの条件、preamble の版)と返り値の全文
  • route と refer_reason、本部の回答と理由
  • 事務担当が組合員に案内した書類(相談の記録に本人が書く)

選ばれた規程の版を残すのは、後から案内の誤りを問われたときのためです。 どの版の条文を見て案内したかを示せないと、案内の誤りか、版の登録の誤りかを切り分けられません。

04実装レベルの3段階

最小構成:規程と手引きを手元のAIサービスに貼り、相談を1件ずつ入れる / 条文と必要書類を探して引用する
半自動化:上記+規程・手引き・回答集をデータストアに取り込み、本部の担当が照会を受けたときに検索画面で使う / 版で絞った検索と引用。支所は従来どおり照会する
本格構成:上記+支所の事務担当が相談の画面から聞き、加入の時期を自動で引き、時効の印と振り分けまで行う / 相談の受付から案内の材料、本部への切り分けまで

最小構成では件数がさばけません。 版ごとの規程を毎回貼る手間がかかり、確かめるための段階です。 半自動化で、10分が7分程度になります。 本部の調べる時間は減りますが、支所の事務担当が照会して待つ手間は残ります。本格構成で4分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、照会が refer の分だけになることと、加入の時期の確認が自動になることです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
15 名
月間件数
420 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  420件 × 10分 ÷ 60 = 70 時間/月
導入後 420件 × 4分 ÷ 60 = 28 時間/月
月間削減時間
42h
削減率
60%
年間削減時間
504h
年間金額換算(時間単価3,500円)
176万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 生命・医療・火災などの共済を扱い、支所の窓口と電話で組合員から共済金の請求の相談を受ける協同組合で、支所の事務担当が規程と事務の手引きを探すか、本部の支払いの担当に照会するかで時間がかかっている場合。共済の規程が何度か改定され、加入の時期によって見る版が違う場合。本部への照会と回答が記録として残っている場合。
向いていない
  1. 扱う共済が1種類だけで、規程の改定もほとんど無く、事務担当が必要書類を覚えていられる場合。共済金を支払うかどうかをAIの回答で決めたい場合(この構成は条文と必要書類を示すだけで、支払いの可否は本部の支払いの担当が書類を見て決めます)。組合員が自分でチャットに相談する形にしたい場合(職員だけが使う前提です)。

07最小構成で試す方法

  1. 相談の多い共済と出来事(医療共済の入院・手術、火災共済の風水害)について、規程の版ごとの章と、手引きの必要書類の一覧を集める
  2. 過去3か月の本部への照会から20件を拾う(古い版の契約のもの、支払わない場合が絡んだもの、出来事の日が古いものを数件入れる)
  3. 手元のAIサービスに規程と手引きを貼り、第7章の指示を貼って、契約の始まった日を添えて1件ずつ入れる
  4. 出てきた回答を、当時の本部の回答と突き合わせる
出てきた内容判断
当時と同じ条文と必要書類を引用した検索基盤への取り込みに進む
「対象外となる可能性があります」と書いた指示で直るか試す。直らなければ語の照合を最初から作る
新しい版の規程で答えた版の期間と、更新の扱いを書く作業が先

2行目が出ることは珍しくありません。 規程の「支払わない場合」の条を引くと、AIは相談の要点と結び付けて見立てを書きたがります。語の照合が要るかどうかが、ここで分かります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
古い契約に新しい規程で答える規程は契約の始まった日で絞る
今の受付に古い手引きが引かれる手引きと回答集は今日の日付で絞る
「対象外となる可能性があります」と書く当てはめを禁じ、語の照合で消して refer
共済金の額を計算する額を禁じ、数字と「円」の並びで refer
更新で版が切り替わるかを取り違える共済の種類ごとに本部が書き、機械に推し量らせない
時効を支所で判断してしまう中継プログラムが印を付けるだけにし、判断は本部
病名が検索の文に入る画面で書かないよう示し、中継プログラムでも外す
引用の位置がずれる位置は UTF-8 のバイト数。文字数で切らない

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、組合員に違う条件や見立てを伝えてしまう誤りです。版の当て方と語の照合を、AIの外の規則で守ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 共済の規程と事務の手引き(組合の文書)、本部の照会の回答、加入の情報、相談の内容(組合員の入院・手術・死亡などの出来事を含む)です。

  1. 共済も保険法の対象として扱う … 保険法は、保険契約・共済契約その他いかなる名称であるかを問わず、同じ定義の契約を保険契約とし、保険料に共済掛金を含めています。請求の権利の時効(行使できる時から3年)も、共済金に及ぶ前提で設計します
  2. 支払いの判断を急がせない … 保険法は、生命保険契約で保険給付を行う期限を、確認に必要な相当の期間に結び付けています。この構成で早くなるのは必要書類がそろうまでで、判断の確認の手順は省きません
  3. 病名と人名を検索に入れない … 相談の要点から外し、回答集にも残しません。病名は本部が診断書で確かめます
  4. 職員だけが使う … Google Cloud の Service Specific Terms は、18歳未満が対象または使いうるサービスの一部として生成AIのサービスを使うことを禁じています。加入者には子どももいるので、組合員が直接使う形にはしません
  5. データの置き場所を確かめる … 公式では、データストアの場所は global・us・eu で、日本のリージョンはありません。相談の記録と回答集をどこに置くかを、組合の個人情報の取扱いの規程と合わせて確かめてください

誤りが起きた場合のリスクは、組合員に違う版の条件や支払いの見立てを伝え、請求をためらわせたり、期待させたりすることです。 どちらも、支所の案内が共済の答えとして受け取られることから起きます。支所で伝えるのは必要書類と、本部が判断するということだけにします。

10まず何から始めるか

1週目:版の一覧を作る

共済の種類ごとに、規程の版と期間、更新で版が切り替わるかの決まりを一覧にします。いま有効な契約が使っている版を、加入者の管理の仕組みから数えます。

2週目:20件の照会で試す

手元のAIサービスに規程と手引きを貼り、過去の照会20件を入れます。「対象外」と書いていないか、契約の版の条文を引いているかを最優先で見ます。

3週目:回答集を整える

本部の照会と回答の一覧から、よく出る相談を30件ほど、根拠の条文と前提の版を付けて文書にします。

4週目:データストアを作り、本部が使う

規程・手引き・回答集を取り込み、本部の支払いの担当が照会を受けたときに検索画面で使う運用を始めます。

2か月目: 支所の相談の画面、加入の時期の読み出し、時効の印、語の照合、振り分けの規則を作り、2つの支所に広げます。3か月目以降: 残りの支所に広げます。規程の改定のたびに前の版に終わりの日が付き、どの支所でも契約の版で必要書類を案内できるのが当たり前になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドの includeCitations(既定は false)、ignoreAdversarialQuery・ignoreNonAnswerSeekingQuery・ignoreLowRelevantContent、preamble、検索の指定の filter、session で前のやり取りを続けられること。根拠のスコアが 0〜1 の範囲であること。answerSkippedReasons。引用の startIndex/endIndex が UTF-8 のバイト単位であることGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-14
絞り込みの ANY() が列挙した値との完全一致を見ること、AND/OR と括弧での組み合わせ、日時の項目を ISO 8601 の文字列と比べられること、項目を索引可能にする必要があることGoogle Cloud: Filter custom search for structured or unstructured data2026-10-14
非構造化データの対応形式と、1ファイル200MBの上限。メタデータを JSON Lines で id・structData・content(mimeType・uri)として書くことGoogle Cloud: Prepare data for ingesting2026-10-14
レイアウト パーサーが段落・表・見出しを検出すること。チャンクの大きさが100〜500トークンで、includeAncestorHeadings(既定は false)で見出しを付けられること。チャンクの設定がデータストアの作成後に切り替えられないことGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-14
データストアの場所が global・us・eu で、日本のリージョンが無いことGoogle Cloud: Locations2026-10-14
保険法第2条第1号(保険契約・共済契約その他いかなる名称であるかを問わない定義。保険料に共済掛金を含む)、第52条(生命保険契約の保険給付の履行期と確認に要する相当の期間)、第95条(保険給付を請求する権利は行使できる時から3年で時効)e-Gov 法令API: 保険法2026-10-14
Generative AI Services の Age Restrictions(20(d))で、18歳未満が対象または使いうるサービスの一部として生成AIのサービスを使うことが禁じられていることGoogle Cloud: Service Specific Terms2026-10-14

必要書類、支払いの事由、支払わない場合の当てはめと支払いの可否は、各組合の規程と本部の支払いの担当の判断に従ってください。 本記事は Google Cloud の公式ドキュメントと e-Gov の法令データで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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