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システムの更新で複数のベンダーから届いた提案書を、要件の充足・費用・体制・リスクで比較表にし、確かめる質問の一覧を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

システム更新の選定で複数のベンダーから届いた提案書を、自社の要件一覧の項目ごとに読み比べます。各社の記載を根拠のページ付きで比較表に並べ、書かれていない点を各社への質問の一覧にします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
商社/小売/物流/製造
対象部門
情報システム/購買
対象業務
比較検討/要約
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
54h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
67%
年間削減
432h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. ベンダーから提案書(PDF・Word・PowerPoint)と見積の明細を受け取り、案件の SharePoint のサイトに保存する
  2. 主担当が1社ずつ提案書を通読し、要件一覧の項目ごとに対応の記載を探す
  3. 見つけた記載を比較表のスプレッドシートに書き写す。見つからない項目は空欄のまま残る
  4. 見積の明細から初期費用・月額費用・保守費用を拾い、前提条件や別途見積の項目をメモする
  5. 体制図、スケジュール、前提条件・制約事項の章を読み、リスクと思うところを書き出す
  6. 空欄やあいまいな記載について、各社への質問を書く
  7. 比較表と質問の一覧を選定メンバーに共有し、質問をベンダーへ送る
導入後(After)
  1. 人提案書と見積の明細を、案件の SharePoint のサイトのベンダー別のフォルダに保存する
  2. 人案件ごとの Copilot Notebooks に、要件一覧、評価の観点の説明、各社の提案書と見積を参照として追加する
  3. 【AI】 要件一覧の項目ごとに、各社の記載を「標準機能/設定で対応/追加開発/代替案/対応不可と明記/記載なし」に分け、根拠の文書名とページを付けて要約する
  4. 【AI】 費用の項目、前提条件、別途見積の項目を、各社の記載のまま拾い出す
  5. 【AI】 体制・スケジュール・前提条件・制約事項から、確かめておくべき点を拾い出す
  6. 【AI】 「記載なし」「あいまい」「前提条件が要件と食い違う」項目を、各社への質問の案にする
  7. 人主担当が、Word の Copilot で比較表と質問の一覧の下書きを作り、根拠のページを開いて記載を確かめる
  8. 人費用は比較表の計算式で、前提をそろえた金額を出す
  9. 人質問を取捨し、ベンダーへ送る。回答が届いたら参照に追加し、3〜6を回答の分だけやり直す
各工程の詳しい説明を読む
  1. ベンダーから提案書(PDF・Word・PowerPoint)と見積の明細を受け取り、案件の SharePoint のサイトに保存する
  2. 主担当が1社ずつ提案書を通読し、要件一覧の項目ごとに対応の記載を探す
  3. 見つけた記載を比較表のスプレッドシートに書き写す。見つからない項目は空欄のまま残る
  4. 見積の明細から初期費用・月額費用・保守費用を拾い、前提条件や別途見積の項目をメモする
  5. 体制図、スケジュール、前提条件・制約事項の章を読み、リスクと思うところを書き出す
  6. 空欄やあいまいな記載について、各社への質問を書く
  7. 比較表と質問の一覧を選定メンバーに共有し、質問をベンダーへ送る

(a)読み比べが終わらない。 1社分を要件一覧に沿って読むだけで2時間以上かかります。案件が重なる月ほど通読が後回しになり、質問を送るのが遅れ、選定会議の日程がずれ込みます。

(b)比べ方が担当者ごとに違う。 ある担当者は機能対応表の「○」をそのまま写し、別の担当者は本文の説明まで読んで「標準機能かカスタマイズか」を書き分けます。同じ「○」でも、標準で動くのか、追加開発が要るのかで費用も期間も変わります。 比較表の粒度が案件ごとにばらつくため、選定会議で「この○は何の○か」という確認が毎回起きます。

(c)書かれていない要件を見落とす。 3番目で空欄のまま残った項目は、「書いていなかった」のか「担当者が見つけられなかった」のかが比較表から分かりません。 空欄を質問に回し忘れると、契約後に「その要件は提案の範囲外です」と言われます。情報システム部が最も避けたいのはこの事態です。

(d)費用の前提がそろわない。 「データ移行は別途」「保守は平日日中のみ」といった条件は、本文の前提条件の章に書かれています。合計金額だけを写すと、安く見える提案が条件をそろえると高いということが起きます。

  1. 【人】 提案書と見積の明細を、案件の SharePoint のサイトのベンダー別のフォルダに保存する
  2. 【人】 案件ごとの Copilot Notebooks に、要件一覧、評価の観点の説明、各社の提案書と見積を参照として追加する
  3. 【AI】 要件一覧の項目ごとに、各社の記載を「標準機能/設定で対応/追加開発/代替案/対応不可と明記/記載なし」に分け、根拠の文書名とページを付けて要約する
  4. 【AI】 費用の項目、前提条件、別途見積の項目を、各社の記載のまま拾い出す
  5. 【AI】 体制・スケジュール・前提条件・制約事項から、確かめておくべき点を拾い出す
  6. 【AI】 「記載なし」「あいまい」「前提条件が要件と食い違う」項目を、各社への質問の案にする
  7. 【人】 主担当が、Word の Copilot で比較表と質問の一覧の下書きを作り、根拠のページを開いて記載を確かめる
  8. 【人】 費用は比較表の計算式で、前提をそろえた金額を出す
  9. 【人】 質問を取捨し、ベンダーへ送る。回答が届いたら参照に追加し、3〜6を回答の分だけやり直す

7番目が、この設計の分かれ目です。 AIの要約をそのまま比較表に貼るのではなく、根拠のページを開いて「本当にそう書いてあるか」を確かめます。 確かめる手間を省くと、要約の取り違えがそのまま選定会議に出ます。

8番目を人の側に置いているのも意図してのことです。 合計をAIに計算させると、前提を読み飛ばした金額が表に紛れ込みます。足し算は計算式で行います。

02今回想定するシステム構成

構成図
ベンダーの提案書・見積の明細(PDF/Word/PowerPoint)
   │  案件の SharePoint のサイトに保存
   ▼【トリガー】主担当が提案書の受領を確認
Copilot Notebooks(案件ごとに1つ)
   │  参照:要件一覧、評価の観点、各社の提案書・見積、質疑の回答
   ├──▶ 要件ごとの対応の要約(区分+根拠のページ)
   ├──▶ 費用の項目・前提条件・別途見積の拾い出し
   ├──▶ 体制・スケジュール・リスクの拾い出し
   └──▶ 各社への質問の案
   ▼
Word の Copilot ── 比較表と質問の一覧の下書き(/ で参照を指定)
   ▼
【主担当が根拠を確かめ、費用を計算式でそろえる】
   ▼
選定メンバーへ共有(Teams)/ベンダーへ質問を送付(メール)
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Copilot Notebooks と Word の Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管SharePoint(案件ごとのサイト)社内のファイルサーバー
共有Microsoft Teams(選定メンバーのチャネル)Outlook のメール

新しく足すのは、情報システム部5名分の Copilot のライセンスだけです。 置き場所も道具も変えず、読み比べの工程にだけ Copilot を入れます。

Copilot Notebooks を使う理由は、参照する文書を案件ごとに閉じられることです。 公式のページでは、ノートブックの Copilot はノートブックに追加した参照だけを使って回答を作るとされています。選定案件Aの質問に、案件Bの提案書や過去の別のベンダーの資料が混ざらないことが、この業務では何より大事です。

参照にできる数と形式も足ります。 公式のページでは、Microsoft Copilot のユーザーはノートブックに300を超える参照を追加でき、回答の根拠に使われるのは最初の300まで、Copilot Chat のユーザーは50まで追加でき、50すべてが根拠に使われるとされています。対応する形式は .docx、.pptx、.xlsx、.pdf、.loop、.page、.txt、.rtf と OneNote のページです。1案件で4社分の提案書・見積・質疑の回答を入れても、数十の参照に収まります。

利用の条件も確かめておきます。 公式のページでは、Copilot Notebooks を使うには Microsoft Copilot か Copilot Chat のライセンスが必要で、ノートブックを作るアカウントには SharePoint または OneDrive のライセンス(サービスプラン)が要るとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

主担当が、提案の締切日に全社の提案書がそろったことを確かめた時点を起点にします。 ベンダーから届いた順に1社ずつ読ませると、先に届いた会社の要約だけが先に共有され、選定メンバーの印象が届いた順に左右されます。全社分がそろってから、同じ指示で一度に読ませます。

締切に遅れた会社があるときは、そろった分だけで先に進めません。遅れた会社の提案書が届くまで待つか、その会社を選定から外すかを、選定会議の責任者が決めてから始めます。 比較の起点を人が決めることで、比べる相手がそろっていない比較表が出回るのを防ぎます。

質疑の回答が届いたときが、2回目の起点です。 回答書をノートブックの参照に足し、「記載なし」だった項目と、質問を送った項目だけをもう一度読ませます。最初から全部をやり直すと、すでに確かめた項目の要約が変わり、確認の手間が増えます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
要件一覧要件の番号、区分(必須/推奨/任意)、要件の文、評価の観点案件のサイト(自社で作ったRFPの別紙)
各社の提案書本文、機能対応表、体制図、スケジュール、前提条件・制約事項の章案件のサイトのベンダー別のフォルダ
各社の見積の明細初期費用・月額費用・保守費用の項目と金額、数量、前提条件同上
評価の観点の説明「標準機能」「追加開発」などの区分の定義と、質問にすべき記載の型情報システム部で用意する1枚の文書
質疑の回答質問への各社の回答書同上(2回目以降)

質を決めるのは、いちばん上の要件一覧です。 要件の番号が振られていない、1つの文に3つの要件が入っている、といった要件一覧では、AIの要約も同じだけあいまいになります。「帳票をCSVとPDFで出力でき、出力の権限を部署ごとに設定できること」は、2つの要件に分けておきます。 分けておけば、「CSVは標準、権限設定は追加開発」という読み分けができます。

評価の観点の説明は、毎回同じものを使います。 区分の定義が案件ごとに変わると、比較表の粒度がまたばらつきます。この1枚が、第3章の(b)を直す道具です。

Step3

データの取得方法を決める

すべての文書は、案件の SharePoint のサイトにすでに置かれています。取得の仕組みを新しく作る必要はありません。 主担当がノートブックを作り、参照を追加するだけです。

取るものどこからどうやって
要件一覧・評価の観点案件のサイトノートブックの参照に追加
各社の提案書・見積ベンダー別のフォルダノートブックの参照に1ファイルずつ追加
質疑の回答ベンダー別のフォルダ2回目の起点で参照に追加
過去の同種の案件の評価表過去の案件のサイト追加しない(第13章)

参照は、フォルダではなくファイルを1つずつ追加します。 公式のページでは、共有の場所を参照に加えると、その中からプロンプトに関係の深い最大300のファイルが選ばれて根拠に使われるとされ、確実に含めたいファイルはノートブックに直接追加するよう案内されています。1社の提案書が選ばれずに抜け落ちると、その会社だけ「記載なし」が並びます。

ファイル名は、ベンダー名と文書の種類が分かるようにそろえます。 「A社_提案書_本文.pdf」「A社_見積明細.xlsx」のようにしておくと、AIが根拠として返す文書名から、どの会社のどの文書かがすぐに分かります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 要件一覧の分割 … 1つの文に複数の要件があれば分け、番号を振り直します
  2. 区分の定義の確認 … 評価の観点の説明が最新の版であることを確かめます
  3. 提案書の形式の確認 … 対応する形式は .docx、.pptx、.xlsx、.pdf などです。画像だけのPDF(スキャンしたもの)は、文字として読めるかを先に確かめます
  4. ファイル名の統一 … ベンダー名、文書の種類、版を付けます
  5. 版の整理 … 提案書の差し替えが届いたら、古い版を参照から外します
  6. ページ番号の確認 … 根拠のページを返させるため、ページ番号の無い文書はそのことを記録しておきます
  7. 機密の表示の確認 … 秘密保持の範囲で社内利用できる文書かを確かめます(第13章)

3番目と5番目を軽く見ないでください。 スキャンした体制図や、画像で貼り付けた機能対応表は、文字として読めないことがあります。読めない部分は「記載なし」として返ってくるため、ベンダーが書いていたのに質問を送ることになります。古い版を残したままにすると、差し替え前の金額が要約に混ざります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、要件一覧の項目ごとに、各社の記載を区分に分けて要約し、根拠の文書名とページを付けることです。 あわせて、費用・体制・リスクの記載を拾い、質問の案を作らせます。

見るものさせること判断できないときの扱い
要件ごとの対応区分(標準機能/設定で対応/追加開発/代替案/対応不可と明記/記載なし)と、記載の要約区分が決まらなければ「あいまい」とし、質問に回す
費用項目、金額、数量、単位(月額か年額か)、含まれないと書かれたもの金額が書かれていなければ「記載なし」
体制責任者、要員の人数、自社の役割分担、再委託の有無書かれていなければ「記載なし」
スケジュール主な工程と期間、自社に求められる作業自社の作業が書かれていなければ質問
前提条件・制約事項要件一覧と食い違う前提食い違いの有無が判断できなければ質問

右端の列が、この構成でいちばん大事な区別です。 「記載なし」は、提案書を読んでも見つからなかったということで、対応できないという意味ではありません。 逆に「対応不可と明記」は、ベンダーがはっきり書いたものです。この2つを分けておくと、比較表の空欄がすべて質問に変わります。

させないこと理由
評価の点数付け、順位付け選定会議の判断。AIの採点に引っ張られる
費用の合計・総額の計算前提条件の読み飛ばしと桁の取り違えが紛れ込む
「記載なし」を「対応不可」と読み替える書かれていないことと、できないことは違う
機能対応表の「○」だけで標準機能とする本文で追加開発と書かれていることがある
ベンダーの公開情報を調べて補う提案書に書かれた約束だけを比べる

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 機能対応表に「○」とあり、本文の別の章に「本機能はアドオン開発にて対応」と書かれている提案は珍しくありません。表の記号と本文の説明が食い違うときは、本文を根拠にし、食い違いそのものを質問にします。

Step6

指示内容を固定する

あなたは製造業の情報システム部で、システム更新の提案書を読み比べる担当です。
このノートブックの参照だけを使ってください。Webの情報や、参照にない知識で補わないでください。

【やること】
要件一覧の要件ごとに、各社の提案書の記載を読み、次の区分のどれか1つを選び、
記載の要約を1〜2文で書いてください。根拠にした文書名とページを必ず添えてください。

【区分】
- 標準機能 ........ 追加の開発や設定なしで対応すると書かれている
- 設定で対応 ...... パラメータや画面の設定で対応すると書かれている
- 追加開発 ........ カスタマイズ、アドオン、個別開発で対応すると書かれている
- 代替案 .......... 要件とは別の方法で同じ目的を満たすと書かれている
- 対応不可と明記 .. 対応しない、範囲外と書かれている
- 記載なし ........ 参照のどこにも、その要件に当たる記載が見つからない
- あいまい ........ 記載はあるが、上のどれに当たるか決められない

【厳守事項】
- 記載が見つからない要件は「記載なし」にしてください。対応できる・できないを推測しないでください。
- 機能対応表の「○」だけを根拠に「標準機能」にしないでください。
  本文に説明があればそちらを根拠にし、表と本文が食い違うときは「あいまい」にして、
  食い違いの内容を書いてください。
- 金額は書かれているとおりに写してください。合計、総額、年額への換算をしないでください。
  「別途」「含まない」「前提とする」と書かれた条件は、金額と同じ行に必ず写してください。
- 評価の点数、順位、おすすめのベンダーを書かないでください。
- 根拠の文書名とページが示せない要約は書かないでください。

【質問の案】
「記載なし」「あいまい」と、前提条件が要件一覧と食い違う項目について、
各社に送る質問の案を1項目1問で書いてください。要件番号を先頭に付けてください。
質問は、はい・いいえで答えられる形か、数値で答えられる形にしてください。

【参照する要件一覧】/要件一覧_第3版.docx
【区分の定義】/評価の観点の説明.docx

「参照だけを使う」と「Webの情報で補わない」を両方書いているのは、ノートブックの外へ出させないためです。 ベンダーの製品は公開の製品ページにも機能が書かれており、何も言わなければ、提案書に無い機能をそこから補って「標準機能」にします。比べたいのは製品の機能ではなく、提案書に書かれた約束です。

「金額は書かれているとおりに写す」は、費用の行を比較表の計算式につなぐための指示です。 月額と年額を勝手にそろえられると、比較表の計算式でもう一度12を掛けてしまう事故が起きます。単位は単位のまま写させ、換算は比較表で1回だけ行います。

Step7

出力形式を固定する

比較表は、要件ごとに1行、ベンダーごとに列を持つ表で受け取ります。 Word の Copilot で下書きを作るときも、ノートブックで受けるときも、同じ列にそろえます。

【要件ごとの対応の比較】
| 要件番号 | 区分 | 要件 | A社 | A社の根拠 | B社 | B社の根拠 |
| R-012 | 必須 | 帳票をCSVで出力できる | 標準機能:全帳票をCSV出力可 | A社_提案書_本文 p.34 | 記載なし | - |
| R-013 | 必須 | 帳票の出力権限を部署ごとに設定できる | 追加開発:権限制御はアドオンで対応 | A社_提案書_本文 p.35 | 設定で対応:ロール設定で可 | B社_提案書 p.22 |

【費用の拾い出し】
| ベンダー | 項目 | 金額 | 単位 | 数量 | 含まれない・前提とする条件 | 根拠 |
| A社 | ライセンス | 1,200,000 | 年額 | 100ユーザー | 101ユーザー目からは別途 | A社_見積明細 1行目 |
| A社 | データ移行 | 記載なし | - | - | 「別途お見積り」 | A社_提案書_本文 p.61 |

【各社への質問】
| ベンダー | 要件番号 | 質問 | 理由 |
| B社 | R-012 | 帳票のCSV出力は標準機能で対応できますか。 | 提案書に記載が見つからない |
| A社 | R-013 | 機能対応表は○ですが、本文ではアドオンとあります。追加の費用は見積に含まれますか。 | 表と本文の食い違い |

1つ目の理由は、根拠の列で確認が速くなることです。 主担当は、要約を読んで違和感のある行だけ、根拠のページを開けば済みます。根拠の列が空の行は、それだけで疑ってかかれます。

2つ目は、区分の語を固定しておくと、比較表の上で数えられることです。 「必須要件のうち追加開発がいくつあるか」「記載なしが何件か」を、表計算の集計で各社ごとに出せます。選定会議の最初の論点が、この件数になります。

3つ目は、費用を単位のまま受けることで、計算を1か所に集められることです。 年額・月額・一括を混ぜずに写しておけば、5年間の総額は比較表の計算式で出せます。前提条件の列が空でない行は、条件をそろえるための質問を必ず添えます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
案件の SharePoint のサイトノートブックの参照要件一覧、提案書、見積、質疑の回答を読む
WordWord の Copilot(/ で参照を指定)比較表と質問の一覧の下書きを作る
比較表の計算式人が転記費用を前提をそろえて計算する
Microsoft Teams共有選定メンバーに比較表を共有する
Outlook人が送信質問の一覧をベンダーへ送る

API の連携はありません。 この構成は、Copilot の画面で読ませ、Word で下書きを受け、人が確かめて共有する流れです。月12件の提案書なら、自動化の仕組みを作るより、画面の操作で回すほうが早く始められます。

Word の Copilot では、プロンプトの入力欄で / を入力してファイルを選ぶと、そのファイルを参照させられます。 公式のページの説明では、特定の情報源を使うときは / を入力してファイルを選ぶとされています。ノートブックで作った要約の文書と、比較表のひな形を指定して下書きを作ります。

ベンダーへの質問の送信は、人が行います。 質問の文面は、送る前に購買の担当者にも見せます。選定中のベンダーとのやり取りは、公平さが問われるからです。 1社にだけ詳しい質問を送ると、その会社にだけ提案を直す機会を与えることになります。

Step9

人が確認する

比較表のすべての行を人が確かめます。 ただし、確かめ方に濃淡を付けます。

  1. 必須要件の行を最初に見る … 区分と要約が根拠のページと合っているかを、ページを開いて確かめます
  2. 「標準機能」の行を疑う … 本文に追加開発の記載がないかを見ます。選定の結論に最も効くのは、この区分の誤りです
  3. 「記載なし」の行を確かめる … 提案書の目次から、該当しそうな章を自分でも探します。見つかれば、質問を送らずに済みます
  4. 費用の行を計算式に移す … 単位と前提条件を確かめてから転記します
  5. 質問を取捨する … 同じ趣旨の質問をまとめ、全社に同じ粒度で送ります

2番目を省かないでください。 「標準機能」と読み違えた要件は、契約後に追加開発の見積として戻ってきます。比較表の誤りの中で、後から最も高くつくのがこの型です。

目標は、1社分の確認を90分に収めることです。 必須要件と「標準機能」の行を丁寧に見て、任意要件は根拠の列を流し見ます。90分を大きく超える案件は、要件一覧の分け方か、提案書の形式に原因があります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
提案書がスキャンした画像のPDF文字として読めない部分は「記載なし」になる。ベンダーに文字の入ったPDFを依頼する
機能対応表が画像で貼られている同上。表の部分だけ、表計算のファイルでもらう
提案書の差し替えが届いた古い版を参照から外し、差し替えた会社の分だけ読ませ直す
1社の提案書だけ要約が薄い参照に追加されているか、共有の場所経由で選ばれていないかを確かめる
根拠のページが付いていない要約採用しない。もう一度、根拠を付けるよう指示する
要件番号が提案書側で振り直されているベンダーの番号と自社の番号の対応表を参照に足す
見積の明細が無く、本文に総額だけ内訳を質問する。総額だけでは比べない
提案書に「社外秘」「AI処理不可」の表示ノートブックに入れない。法務と扱いを決める(第13章)
回答書の内容が提案書と食い違う回答書を優先とせず、食い違いをもう一度質問する

上の2行が大半を占めます。 どちらもAIの問題ではなく、提案書の受け取り方の問題です。 RFPの段階で「提案書は文字の入ったPDFで、機能対応表は表計算のファイルで提出すること」と書いておけば、ほとんど起きません。

Step11

記録を残す

  • 案件ごとのノートブックと、そこで使った参照の一覧(文書名と版)
  • 比較表の下書きと、人が確かめた後の版
  • 人が区分を直した記録 … どの要件の、どの会社の区分を、何から何に変えたか
  • 各社に送った質問と、届いた回答の対応
  • 選定会議で使った比較表の最終版

3つ目の記録を残すのは、AIの癖を知るためです。 「標準機能」を「追加開発」に直した件数が多ければ、指示の書き方を変えます。直した記録が無いと、毎回同じところで同じ確認をすることになります。

ノートブックを消すときは注意します。 公式のページでは、Copilot のページやノートブックの削除は現時点で取り消せないとされています。選定の経緯を後から説明できるよう、比較表と質問の記録は案件のサイトに残してから消します。

04実装レベルの3段階

最小構成:過去の案件で、2社分の提案書を Copilot Notebooks に入れて読み比べさせる / 要件ごとの区分と要約の下書き
半自動化:上記+本番の案件ごとにノートブックを作り、評価の観点の説明を固定し、Word の Copilot で比較表と質問の一覧の下書きまで作る / 読み比べ、費用の拾い出し、質問の案
本格構成:上記+提案書の提出形式をRFPで指定し、要件一覧のひな形を全案件で統一し、区分の件数を比較表で自動集計する / 読み比べから比較表の集計まで

本記事の想定は、半自動化です。 本格構成で変わるのは、AIの処理ではなく、提案書と要件一覧の形です。 そろえば確認の手間がもう一段減ります。 段階を飛ばさないでください。 最小構成で区分の誤りの型を知り、評価の観点の説明を直してから本番に使います。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
12 件
1件あたり現在時間
270 分
1件あたり導入後時間
90 分
現在  12件 × 270分 ÷ 60 = 54 時間/月
導入後 12件 × 90分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
36h
削減率
67%
年間削減時間
432h
年間金額換算(時間単価4,000円)
173万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 本社と子会社・工場のシステム更新やクラウドサービスの導入の選定を情報システム部門がまとめて受け持ち、毎月いくつもの選定案件で複数社の提案書を読み比べている製造業・商社・物流業など。要件一覧(RFP)を自社で作っており、提案書をその要件に沿って評価する運用がある場合。Microsoft 365 を使っており、提案書を案件ごとの SharePoint のサイトにまとめられる場合。
向いていない
  1. 選定が年に1〜2件で、提案書を読む量が少ない場合。要件一覧を作らずに提案を受けており、何に照らして比べるかが決まっていない場合。提案書の社外のクラウドでの取り扱いを秘密保持契約で禁じられている場合。なお、どのベンダーを選ぶかの判断と、評価の点数付けはこの構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 終わった選定案件を1件選ぶ(当時の比較表と、契約後に「範囲外」と言われた要件があれば、それも用意する)
  2. その案件の要件一覧と、2社分の提案書・見積を Copilot Notebooks の参照に入れる
  3. 第7章の指示で、要件ごとの区分と要約、費用の拾い出し、質問の案を出させる
  4. 出てきた比較表を、当時の比較表と1行ずつ突き合わせる
  5. 契約後に「範囲外」と言われた要件が、どの区分で出てきたかを見る

5番目がいちばん大事な確認です。 当時見落とした要件が「記載なし」で出れば、質問の段階で拾えていたということです。

出てきた内容判断
当時の比較表と同じ区分が出た。見落とした要件が「記載なし」で出た本番の案件で使い始める
機能対応表の「○」を標準機能として写した指示の書き方で直る。構成は有効
根拠のページが付かない、または違うページを指す提案書の形式が先。 画像のPDFや、ページ番号の無い文書でないかを見る

3行目が出ても失敗ではありません。 RFPに提出形式を書き足す、という改善が先に見つかったことになります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「記載なし」が「対応不可」として要約される書かれていないことと、できないことを分ける。 区分の定義と指示に明記する
機能対応表の「○」がそのまま標準機能になる本文を根拠にさせ、食い違いは「あいまい」にさせる
製品の公開情報で提案書に無い機能が補われる参照だけを使わせ、Web検索を止める
費用の合計が計算されて出てくる金額は記載のまま写させ、計算は比較表の計算式で1回だけ
1社の提案書だけ要約が薄いフォルダではなくファイルを直接参照に追加する
画像のPDFで「記載なし」が並ぶRFPで文字の入ったPDFと表計算のファイルでの提出を指定する
根拠のページが付かない要約が混ざる採用しない。根拠の列が空の行は疑う
要件一覧の1文に複数の要件がある1文1要件に分けてから読ませる
AIに順位やおすすめを書かせてしまう指示で禁じる。評価は選定会議が行う
1社にだけ詳しい質問を送ってしまう全社に同じ粒度で送る。購買の担当者にも見せる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、提案書に書かれていないことを、AIが「どちらかに読んでしまう」ところから起きます。区分の定義に「記載なし」と「あいまい」を置いてあるかどうかで、比較表が使えるかが決まります。

最後の2行は、AIの問題ではありません。 AIが出すのは、書かれていることの整理までにしておきます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: ベンダーの提案書と見積(各社の価格、要員の単価、製品の仕様、体制)、自社の要件一覧(自社のシステム構成、業務の流れ、セキュリティの要件)です。どちらも外に出せない情報です。

  1. 秘密保持契約の範囲を先に確かめる … 提案書は、ベンダーとの秘密保持契約のもとで受け取っていることが多い文書です。社内で利用するクラウドのサービスで読ませることが契約の範囲に入るかを、法務に確かめてから始めます
  2. Web検索を止める … 公式のページでは、Web検索が有効なとき、Microsoft 365 のアプリの中でプロンプトを入れた場合や、特定の文書を指定した場合に、生成される検索語がその文書の内容の影響を受けうるとされています。また、生成された検索語には Microsoft の製品とサービスのデータ保護補遺(DPA)が適用されないとされています。管理者が Allow web search in Copilot のポリシーで、この業務を行う人の Web検索を止める前提にします
  3. 権限の設定を見直す … 公式のページでは、Copilot は利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを表示するとされています。逆に言えば、案件のサイトの権限が広すぎれば、関係のない人の Copilot にも提案書の内容が出てきます。案件のサイトは、選定メンバーだけが見られるようにします
  4. 過去の案件をノートブックに入れない … 別の案件の提案書を参照に入れると、ある会社の価格や提案の内容が、別の会社との比較に使われます。 選定の公平さにも、秘密保持にも反します
  5. 評価と選定をAIに任せない … 公式のページでは、生成AIの応答は100%事実であるとは保証されないとされています。比較表は判断の材料で、どの会社を選ぶかは選定会議が決めます
  6. 選定の経緯を残す … 比較表、質問、回答、人が直した記録を案件のサイトに残します。なぜその会社を選んだかを、後から説明できるようにしておきます

学習への利用について: 公式のページでは、プロンプト、応答、Microsoft Graph のデータは基盤モデルの学習に使われないとされています。

誤りが起きた場合のリスクは、対応できない要件を対応できると読み違えて選ぶことと、記載が見つからず不利に評価することの2つです。 どちらも、区分の定義と根拠のページの確認で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:区分の定義を1枚にまとめる

7つの区分を、部の全員が同じ意味で使えるように、例を添えて1枚の文書にします。 これが評価の観点の説明になります。

2週目:終わった案件で試す

契約まで終わった選定案件を1件選び、2社分の提案書で比較表を作らせます。当時の比較表と突き合わせ、契約後に「範囲外」と言われた要件がどの区分で出てくるかを見ます。

3週目:秘密保持と Web検索の扱いを決める

秘密保持契約の範囲を法務と確かめ、Web検索を止める範囲を管理者と決めます。 案件のサイトの権限も見直します。

4週目:本番の案件で1件使う

次に届く提案書から、ノートブックで読み比べ、Word の Copilot で比較表の下書きを作ります。この時点では、人が作った比較表と並べて、どこが違うかを見ます。

2か月目: 全案件で使い、人が区分を直した記録を毎週数えます。指示の書き方を直します。3か月目以降: RFPに提案書の提出形式を書き足し、要件一覧のひな形を統一します。1件270分が何分になったかを実測し、区分の件数を選定会議の最初の論点にできた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Copilot Notebooks の参照に対応する形式が .docx、.pptx、.xlsx、.pdf、.loop、.page、.txt、.rtf と OneNote のページであること。Microsoft Copilot のユーザーは300を超える参照を追加できるが根拠に使われるのは最初の300まで、Copilot Chat のユーザーは50まで追加でき50すべてが根拠に使われることMicrosoft Support: Add reference files to your Microsoft 365 Copilot Notebooks2026-10-14
ノートブックの Copilot が追加した参照だけを使って回答を作ること。共有の場所を加えると関係の深い最大300のファイルが選ばれ、確実に含めたいファイルは直接追加するよう案内されていること。ノートブックを作るには SharePoint または OneDrive のライセンスが要ること。ページやノートブックの削除が取り消せないことMicrosoft Support: How Microsoft 365 Copilot Notebooks works2026-10-14
Copilot Notebooks の利用に Microsoft Copilot か Copilot Chat のライセンスが必要なこと。参照の候補をファイル・会議・メール・サイトで絞り込めることMicrosoft Support: Get started with Microsoft 365 Copilot Notebooks2026-10-14
Word の Copilot で、特定の情報源を使うときは / を入力してファイルを選ぶこと。利用に対象の Microsoft 365 のサブスクリプションや Copilot のライセンスが要ることMicrosoft Support: Draft and add content with Copilot in Word2026-10-14
Copilot が利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを表示すること。プロンプト・応答・Microsoft Graph のデータが基盤モデルの学習に使われないこと。生成AIの応答は100%事実であるとは保証されないこと。Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたことMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-14
Web検索が有効なとき、アプリの中でのプロンプトや文書の指定によって生成される検索語が文書の内容の影響を受けうること。生成された検索語に DPA が適用されないこと。管理者が Allow web search in Copilot のポリシーで Web検索を止められることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for web search in Microsoft Copilot and Microsoft Copilot Chat2026-10-14

提案書の取り扱いが秘密保持契約の範囲に入るかは、法務と確かめてください。 本記事は、上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。Copilot の機能は段階的に提供されるものがあり、利用できる範囲はライセンスと組織の設定によって異なります。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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