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仕入先の納期・品質・対応を毎月集計して、取引先評価の資料にする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

発注・検収の記録、受入検査の結果、不適合の報告、仕入先とのメールを入力に、納期遵守率や不適合率といった数字と、対応の質についての所見を合わせた月次のカルテを仕入先ごとに作ります。担当者の作業は、評価のたびに集計し直すことから、たまった記録を読んで判断することに変わります。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
商社/小売/建設/物流/製造
対象部門
品質管理/購買
対象業務
比較検討/集計・分析
主な課題
データ分析に時間がかかる/人手が足りない/属人化している
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
36h/月
AI導入後
10.5h/月
想定削減
71%
年間削減
306h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 購買システムから、仕入先別の発注・納入実績をエクスポートする
  2. 納期どおりに納入されたか、遅れたかを1件ずつ突き合わせる
  3. 品質管理システムから、受入検査の結果と不適合の記録を取り出す
  4. 仕入先ごとに、納期遵守率と不適合率を表計算で計算する
  5. 不適合があった仕入先について、是正報告の内容と、報告までにかかった日数を確認する
  6. 現場の担当者に「最近この会社はどうですか」と口頭で聞く
  7. 評価表に点数を入れ、所見の欄を埋める
  8. 年1回の取引先評価会議に向けて、180社分を並べた資料を作る
導入後(After)
  1. 自動毎月、購買システムから発注・納入実績を取り込む
  2. 自動当初納期と変更納期を区別し、遅延の要因(仕入先都合/自社都合/不可抗力)を分類する
  3. 自動品質管理システムから受入検査と不適合の記録を取り込む
  4. 自動納期遵守率、不適合率、平均遅延日数、是正報告までの日数を計算する
  5. 自動不適合報告と仕入先とのメールから、対応の質についての事実を拾う
  6. 自動定量の数字と定性の事実を合わせ、仕入先ごとの所見を5〜8行にまとめる
  7. 自動前月・前年同月と比べて悪化している仕入先を抽出する
  8. 購買担当が所見を確認し、必要なら現場の担当者に確かめる
  9. 悪化している仕入先について、面談や是正要求を行うかを決める
  10. 自動確定した所見を仕入先カルテへ記録し、年次評価の資料に積み上げる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 購買システムから、仕入先別の発注・納入実績をエクスポートする
  2. 納期どおりに納入されたか、遅れたかを1件ずつ突き合わせる
  3. 品質管理システムから、受入検査の結果と不適合の記録を取り出す
  4. 仕入先ごとに、納期遵守率と不適合率を表計算で計算する
  5. 不適合があった仕入先について、是正報告の内容と、報告までにかかった日数を確認する
  6. 現場の担当者に「最近この会社はどうですか」と口頭で聞く
  7. 評価表に点数を入れ、所見の欄を埋める
  8. 年1回の取引先評価会議に向けて、180社分を並べた資料を作る

問題は5つあります。

(a)集計が評価の時期に集中する。 年1回の評価の前に、12か月分をまとめて集計します。この時期は購買部の他の業務が止まります。

(b)納期の遅れの定義があいまい。 当初の納期に遅れたのか、変更後の納期に遅れたのかで数字が変わります。こちらの都合で納期を延ばした案件まで「遅延」に数えていることがあります。

(c)定性的な情報が拾えない。 「対応が早い」「連絡が遅い」といった評価は、現場の担当者の印象に依存します。評価会議で「あの会社は対応が悪い」と言われても、根拠になる記録がありません。

(d)評価の根拠が残らない。 点数だけが残り、なぜその点数にしたかが書かれていません。翌年の評価のときに、前年と比べて良くなったのか悪くなったのかが判断できません。

(e)悪化に気づくのが遅い。 ある仕入先の納期遅れが増え始めても、年1回の評価まで表に出ません。その間に生産計画への影響が広がります。

  1. 【自動】 毎月、購買システムから発注・納入実績を取り込む
  2. 【自動】 当初納期と変更納期を区別し、遅延の要因(仕入先都合/自社都合/不可抗力)を分類する
  3. 【自動】 品質管理システムから受入検査と不適合の記録を取り込む
  4. 【自動】 納期遵守率、不適合率、平均遅延日数、是正報告までの日数を計算する
  5. 【自動】 不適合報告と仕入先とのメールから、対応の質についての事実を拾う
  6. 【自動】 定量の数字と定性の事実を合わせ、仕入先ごとの所見を5〜8行にまとめる
  7. 【自動】 前月・前年同月と比べて悪化している仕入先を抽出する
  8. 【人】 購買担当が所見を確認し、必要なら現場の担当者に確かめる
  9. 【人】 悪化している仕入先について、面談や是正要求を行うかを決める
  10. 【自動】 確定した所見を仕入先カルテへ記録し、年次評価の資料に積み上げる

自動化されるのは「集める」「遅延の要因を分ける」「計算する」「事実を拾う」「所見を書く」の5つです。残るのは、対応を決めることと、仕入先とのやり取りです。

評価の点数はAIに付けさせません。 5段階の点数は取引の継続や発注量に影響します。この構成のAIは、点数を付ける材料をそろえるところまでです。

02今回想定するシステム構成

構成図
購買システム(発注・納入実績、当初納期・変更納期)
品質管理システム(受入検査、不適合、是正報告)
Outlook(仕入先とのやり取り)
   │
   ▼【トリガー】毎月第3営業日
Make のシナリオ
   │
   ├──▶ 3つのデータを取り込み、仕入先コードで突合
   │
   ├──▶ 【計算処理】納期遵守率/不適合率/平均遅延日数/是正報告日数
   │
   ├──▶ Iterator で仕入先ごとに処理
   │       │
   │       ├──▶ 不適合報告と往復メールを集める
   │       │
   │       └──▶ Claude API ── 対応の質についての事実を拾い、所見を5〜8行にまとめる
   │
   ├──▶ Array Aggregator で180社分をまとめる
   │
   ├──▶ 前月・前年同月との比較(悪化の検出)
   │
   └──▶ 仕入先カルテ(Google スプレッドシート)へ追記
   │
   ▼
購買部が確認 ──【人】所見の検証と対応の判断
   │
   ├──▶ 悪化 → 面談 / 是正要求 / 発注先の見直しの検討
   └──▶ 確定 → カルテへ記録 → 年次評価の資料へ積み上げ
役割想定する製品代替候補
ワークフローMakePower Automate、n8n、Zapier
生成AIClaude APIOpenAI API、Gemini API
集計Google スプレッドシートExcel
保管Google ドライブSharePoint、Box
購買システム既存の購買システム各社のERP

SRM(購買・調達管理)システムを導入しているなら、まずその機能を確認してください。 仕入先の実績集計とスコアリングは、こうした製品が持つ機能です。自前で組む価値があるのは、「メールと是正報告から対応の質を読み取る」部分です。ここは既製品でも自由記述の入力欄になっていることが多く、実際には誰も書いていません。

シナリオはスケジュールで動かします。 Make のスケジュール設定では、一定間隔・1日1回・平日・週次・月次・日付指定・オンデマンドから選べます。既定では15分ごとに実行される設定になっているため、月次で動かす場合は必ず変更してください。 また、シナリオは有効化しないと動きません。

180社を1件ずつ処理するため、Iterator で配列を個別のバンドルに分け、処理後に Array Aggregator でまとめる形になります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎月第3営業日を起点にします。前月の納入と検収がシステムに反映され終わったタイミングです。

月初すぐに動かすと、月末の検収が入力されていない状態で集計してしまいます。自社の入力の締めがいつかを確認して、その2〜3日後に設定してください。

もう1つの起点として、不適合が発生したときに、その仕入先のカルテを即時に更新する形も考えられます。月次を待たずに状況が見えるようになりますが、最初は月次だけで始めるほうが運用が安定します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
発注・納入実績発注番号、仕入先、品目、数量、当初納期、変更納期、実納入日購買システム
納期変更の記録変更の申し出がどちらからか、変更日、理由購買システム
受入検査の結果検査日、判定、数量、不適合の内容品質管理システム
不適合報告発行日、内容、仕入先からの是正報告の受領日、是正の内容品質管理システム
仕入先とのメール納期回答、問い合わせへの返信、遅延の連絡Outlook(購買部の共有メールボックス)
仕入先マスタ仕入先コード、名称、区分(部品/材料/外注加工/副資材)、担当者購買システム
発注金額年間の発注金額(重要度の重み付けに使う購買システム
Step3

データの取得方法を決める

発注・納入実績: 購買システムから月次でエクスポートします。当初納期と変更納期の両方が残っているかを確認してください。 変更後の納期しか残らないシステムでは、遅延の実態が測れません。残っていない場合、納期変更の履歴を別に取る仕組みが要ります。

納期変更の記録: ここが、この構成の精度を分けます。「こちらの都合で納期を延ばした」案件を仕入先の遅延に数えると、評価が不当になります。 変更の申し出がどちらからかが記録されていない場合、当面は「変更があった案件は遅延の判定から除外する」という扱いにして、記録の整備を並行して進めてください。

仕入先とのメール: 購買部の共有メールボックスから、仕入先のドメインで絞り込んで取得します。個人のメールボックスを見に行かないでください。 権限の問題もありますが、担当者ごとにやり取りが散っている状態自体を直すほうが先です。共有メールボックスへの集約が難しい場合、この構成では不適合の是正報告だけを定性の材料にするという割り切りもあります。

発注金額: 評価の重み付けに使います。年間の発注金額が数万円の仕入先と数億円の仕入先を同じ重さで見ても意味がありません。金額の上位30社は毎月見る、それ以外は四半期ごとに見る、といった運用の切り分けにも使えます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 納期の判定基準の適用 … 「当初納期を過ぎたか」「変更納期を過ぎたか」「変更の申し出はどちらからか」で、遅延を3つに分けます。分けたうえで、仕入先の評価に使うのは「仕入先都合の遅延」だけにします
  2. 分納の扱い … 1つの発注が複数回に分けて納入されることがあります。全数がそろった日を納入日とするか、初回の納入日とするかを決めます。決めておかないと、月によって数字がぶれます
  3. メールの絞り込み … 仕入先のドメインで絞り、さらに件名と本文から「納期」「不適合」「是正」に関わるものを抽出します。見積依頼や請求書の送付は除きます
  4. 署名と引用の除去 … メールの署名、過去のやり取りの引用を落とします。引用を残すと、同じ内容を何度も評価してしまいます
  5. 少量取引の除外 … 当月の発注が0件の仕入先は、カルテの更新をスキップします。数字が出ないのに所見だけ書かせても意味がありません
Step5

AIに処理させる

計算処理にさせること:

指標定義
納期遵守率仕入先都合の遅延がなかった納入件数 ÷ 全納入件数
平均遅延日数仕入先都合で遅れた案件の遅延日数の平均
不適合率不適合が出た受入件数 ÷ 全受入件数
是正報告日数不適合報告の発行から是正報告の受領までの日数の平均
事前連絡率遅延した案件のうち、納期前に連絡があった件数の割合

AI(Claude API)にさせること:

処理内容
対応の事実の抽出メールと是正報告から「いつ、何を、どう伝えてきたか」を事実として拾う
是正内容の要約是正報告の内容を2〜3行にまとめる
所見の作成定量の数字と定性の事実を合わせ、5〜8行の所見にする
変化の指摘前月・前年同月と比べて変わった点を挙げる
確認が要る点の列挙数字と記録だけでは判断できない点を挙げる

評価の点数はAIに付けさせません。また、取引の継続・停止についても書かせません。 これは発注の判断であり、購買部と品質保証部が決めることです。

「対応の質」を主観で評価させないことも重要です。 「対応が丁寧である」ではなく、「不適合報告から是正報告まで平均3日、直近は2日に短縮している」「納期変更の連絡は納期の5営業日前に届いている」という事実の形で書かせます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは購買部の取引先評価を支援する担当者です。
下の仕入先について、当月の実績と記録から、取引先評価の所見を作ってください。

【厳守事項】
- 数値は下に与えた計算済みの値をそのまま使ってください。
  独自に計算し直さないでください。
- 対応の質は「事実」として書いてください。主観的な形容(丁寧、誠実、不親切など)を
  使わないでください。「是正報告まで平均3日」のように、記録から確かめられる形にしてください。
- メールや報告に書かれていないことを書かないでください。
  仕入先の社内事情、担当者の能力、経営状況を推測しないでください。
- 評価の点数を付けないでください。取引の継続・停止・発注量の増減についても書かないでください。
- 前月・前年同月と比べて変わった点を必ず1つ挙げてください。
  比較できるデータがない場合は「比較可能な前期データなし」と書いてください。
- 数字と記録だけでは判断できない点があれば、needs_confirmation に列挙してください。
  例:「納期変更の申し出がどちらからか記録されていない案件が3件ある」
- 所見は5〜8行にしてください。良い点と課題の両方に触れてください。
  課題がない場合は無理に作らないでください。

【仕入先】
{supplier_context}

【当月の実績(計算済み)】
{metrics}

【前月・前年同月の実績】
{comparison}

【不適合報告と是正報告】
{quality_records}

【仕入先とのやり取り(署名・引用を除去済み)】
{correspondence}

「主観的な形容を使わない」の1行が効きます。 これを書かないと、所見が「対応が丁寧で信頼できる仕入先です」という文になります。その文は、翌年の評価のときに何の役にも立ちません。 事実の形で残っていれば、前年と比べられます。

「推測しない」の1行も必要です。 メールの返信が遅い仕入先について、AIは「人手が不足していると考えられます」と書きがちです。相手の社内事情は、こちらには分かりません。 そうした記述が評価資料に残り、それをもとに発注を減らせば、根拠のない判断になります。

Step7

出力形式を固定する

{
  "supplier_code": "",
  "supplier_name": "",
  "period": "",
  "metrics": {
    "delivery_compliance_rate": 0,
    "avg_delay_days": 0,
    "defect_rate": 0,
    "avg_corrective_action_days": 0,
    "advance_notice_rate": 0,
    "order_count": 0
  },
  "observations": {
    "delivery": [],
    "quality": [],
    "communication": []
  },
  "corrective_actions": [
    { "issued_on": "", "summary": "", "responded_on": "", "content": "" }
  ],
  "changes_from_previous": [],
  "summary_lines": [],
  "needs_confirmation": [],
  "data_gaps": []
}

JSON Schema を指定して出力を固定します。Claude API では output_config.formatjson_schema を渡すことで、応答をスキーマに沿った形に制約できます。

observations を3つに分けているのは、年次評価の区分(納期・品質・対応)にそのまま対応させるためです。12か月分を積み上げたとき、区分ごとに読めます。

needs_confirmation が、この構成でもっとも実務に効く項目かもしれません。「納期変更の申し出がどちらからか記録されていない」という指摘が毎月出るなら、それは仕入先の問題ではなく自社の記録の問題です。 そこを直せば、翌年から評価の精度が上がります。

Step8

システムへ連携する

仕入先カルテは、Google スプレッドシートに「1社1行 × 月次で列が増える」形ではなく、「1社1か月1行」で追記する形にします。年次評価のときにフィルタで抽出できるためです。

中身
年月 / 仕入先コード / 名称 / 区分キー
発注件数 / 発注金額規模
納期遵守率 / 平均遅延日数 / 事前連絡率納期
不適合率 / 是正報告日数品質
所見(5〜8行)AIが作った文を人が確定したもの
前期からの変化悪化した項目に色を付ける
要確認事項needs_confirmation
購買部の判断人が入れる(対応不要/確認中/面談予定/是正要求)
対応の記録人が入れる

年次評価の資料は、このカルテから作ります。 12か月分をフィルタで抽出し、区分ごとの推移を並べるだけです。評価の時期に集計をやり直す必要がなくなることが、この構成の主な効果です。

購買システムへの書き戻しは行いません。発注の停止や仕入先ランクの変更は、既存の手続きに従います。

Step9

人が確認する

全社分を購買担当が確認します。ただし、確認の深さは分けます。

  • 悪化している仕入先 … 所見と根拠を読み、現場の担当者に確かめる
  • 発注金額の上位30社 … 悪化していなくても所見を読む
  • それ以外で変化のない仕入先 … 数字だけ見て、所見は目を通す程度

全社について同じ深さで確認すると、削減効果が出ません。 180社のうち、毎月何らかの対応が要るのは10〜20社程度のはずです。

確認を速くするための設計が効きます。

  • 悪化した項目がある仕入先を最上部に並べる
  • 発注金額の上位30社に印を付ける
  • needs_confirmation に項目がある行を別に集める
  • 前月の所見と並べて表示する(同じ課題が続いているかが分かる
  • 「良い点しか書かれていない所見」を検出する(課題を拾えていない可能性がある
Step10

例外に対処する

起きること対応
当初納期の記録がない遅延の判定から除外し、data_gaps に入れる。変更後の納期だけで遅延を数えない
納期変更の申し出がどちらからか不明仕入先都合の遅延に数えず、needs_confirmation へ入れる
分納の扱いが案件ごとに違う判定基準を先に決める。決まるまでは分納案件を別集計にする
当月の発注が0件カルテの更新をスキップする。所見を無理に作らない
メールが共有メールボックスにない定性の材料を不適合報告だけに限る。data_gaps に記録する
不適合が0件で是正報告もない品質の所見は「当月は不適合なし」の1行にする
仕入先が合併・社名変更した仕入先コードの対応表を持ち、過去の実績を引き継ぐ
新規取引先で比較データがないchanges_from_previous を「比較可能な前期データなし」にする
所見に主観的な形容が混ざる検出して差し戻す。プロンプトを直す
是正報告が未受領のまま数か月経過是正報告日数を計算せず、「未受領(発行から◯日)」として指摘する
メールに他社の情報が含まれる前処理で除外する。仕入先のドメインで絞り込む
Step11

記録を残す

このカルテそのものが、取引先評価の根拠になります。

  • 月ごとの計算値と、その元になった発注・検収のデータ
  • AIが作った所見と、人が確定した所見(修正した場合は両方
  • 購買部の判断と、実際に取った対応
  • 仕入先への是正要求と、その結果
  • needs_confirmation に挙がった項目と、解消したかどうか

AIの所見と確定した所見の差分が、改善の材料になります。 「毎回この表現を直している」と分かれば、プロンプトを直せます。

年次評価で使った資料と、そのときの評価点も残してください。翌年、同じ仕入先について「前年は3点だったが今年は4点」と言えるようにするためです。 点数だけが残っていて根拠がない状態が、この業務でもっとも避けたいことです。

04実装レベルの3段階

最小構成:計算済みの数字と記録をチャット画面に貼り付け、所見を作らせる / 所見の作成
半自動化:月次で3つのデータを取り込み、計算・所見の作成・カルテへの追記まで / 集計と所見のすべて
本格構成:上記+メールからの定性情報の抽出+悪化の自動検出+年次評価資料の自動生成 / 評価資料の作成まで

半自動化の時点で、12分が5分程度になります。 集計と所見の作成が消えるためです。本格構成では3.5分になりますが、減るのはメールの確認と資料づくりです。 メールからの定性情報の抽出は、本格構成に回して構いません。 共有メールボックスの整備が前提になるためです。不適合報告だけを定性の材料にしても、この構成は成立します。 まず数字と不適合の記録で回し始め、メールは後から足すという順路をおすすめします。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
180 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
3.5 分
現在  180件 × 12分 ÷ 60 = 36 時間/月
導入後 180件 × 3.5分 ÷ 60 = 10.5 時間/月
月間削減時間
25.5h
削減率
71%
年間削減時間
306h
年間金額換算(時間単価3,000円)
92万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 継続的に取引する仕入先が100社以上あり、年1回以上の取引先評価を行っている企業。納期の遅れや不適合の記録がシステムに残っているが、評価のたびに集計し直している場合。現場の担当者が持っている「あの会社は対応が早い」といった情報が、評価に反映されていない場合。
向いていない
  1. 仕入先が20社程度で、購買担当が全社の状況を把握できている場合。SRM(購買・調達管理)システムを導入済みで、仕入先評価のスコアリングが標準機能で回っている場合。取引先評価そのものを実施していない場合(まず評価項目を決めるほうが先)。

07最小構成で試す方法

  1. 仕入先を10社選ぶ(発注金額の上位5社と、最近気になっている5社)
  2. その10社の直近3か月分の発注・納入実績、受入検査の結果、不適合報告をCSVで用意する
  3. 表計算で、納期遵守率・不適合率・是正報告日数を計算する
  4. 不適合報告と、その仕入先とのメールを数通コピーする
  5. 生成AIのチャット画面に、計算済みの数字と記録を貼り付ける
  6. 上記のプロンプトで、所見を5〜8行作らせる
  7. 購買担当が自分で書いた所見と突き合わせる

見るのは次の3点です。

見る点判断
主観的な形容が混ざっていないか1回でも混ざったらプロンプトを直す。 ここは妥協しない
担当者が知っている課題を拾えているか「あの会社は連絡が遅い」が記録から言えているか
needs_confirmation の中身ここに出てくる項目が、自社の記録の弱点です

3つ目が、この検証でもっとも価値のある発見になります。「納期変更の申し出がどちらからか記録されていない」が10社中8社で出るなら、それは購買システムの入力項目の問題です。 仕組みを作る前に、そこを直すほうが効果が大きいこともあります。

納期の判定基準を決めるのも、この段階でやってください。 当初納期と変更納期のどちらで見るか、分納をどう数えるか。この定義が決まっていないと、何を作っても数字が信用されません。 購買部と品質保証部で合意を取ってから進めます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
自社都合の納期変更を仕入先の遅延に数える変更の申し出がどちらからかを記録する。不明な案件は判定から除外する
所見が「対応が丁寧です」になる主観的な形容を禁止する。事実の形で書かせる
AIが仕入先の社内事情を推測する推測を禁止する。記録にないことを書かせない
分納の数え方が月によって変わる判定基準を先に決める。全数納入日か初回納入日かを固定する
発注0件の仕入先にも所見が作られる前処理でスキップする
評価の点数をAIが付けてしまうプロンプトで禁止する。点数は人が付ける
全180社を同じ深さで確認して効果が出ない悪化した社と上位30社に絞る。残りは数字だけ見る
個人のメールボックスを見に行こうとする共有メールボックスに集約する。できなければメールを材料にしない
仕入先の合併で実績が途切れる仕入先コードの対応表を持つ
カルテが「1社1行」で月次が列に増える形になる「1社1か月1行」で追記する。年次評価でフィルタできる
是正報告が未受領のまま日数が計算されない「未受領(発行から◯日)」として別に指摘する

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 仕入先の名称、納入実績、不適合の内容、担当者とのやり取り。取引先の業務品質に関する評価情報であり、取引条件に影響しうるものです。

  1. 取引先との秘密保持 … 不適合報告と是正報告には、仕入先の製造工程や原因分析が含まれます。取引基本契約の秘密保持条項を確認してから、外部のAIサービスへ渡してよいかを判断してください
  2. メールに含まれる個人情報 … 仕入先の担当者の氏名、連絡先、署名が含まれます。前処理で署名を除去し、氏名を扱う必要がなければ落としてください
  3. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます
  4. 評価情報の取り扱い … 仕入先の評価は、その会社の取引条件に影響します。根拠のない記述が残ると、不当な取引条件の変更につながる恐れがあります。 事実の形で書かせる設計は、この観点からも必要です
  5. 下請取引に当たる場合 … 仕入先が下請取引の相手方に当たる場合、評価を理由とした一方的な取引条件の変更には法令上の制約があります。評価の結果をどう使うかは、法務部と確認してください
  6. アクセス権限 … 仕入先カルテには全社の調達状況が集まります。閲覧を購買部と品質保証部に限定してください。仕入先本人に開示するかどうかも、あらかじめ方針を決めておきます
  7. 自動実行してよい範囲 … 集計、事実の抽出、所見の作成までです。評価点の付与、是正要求の発行、発注量の変更は人が行います

誤りが起きた場合のリスクは、不当な評価による取引先との関係悪化、実態を反映しない評価に基づく調達判断です。所見の根拠を記録し、人が確定した内容を残してください。

10まず何から始めるか

1週目:納期の判定基準を決める

購買部と品質保証部で、次の3点を決めます。当初納期と変更納期のどちらで遅延を見るか。自社都合の変更をどう扱うか。分納の納入日をいつとするか。この3点が決まらないと、何を作っても数字が信用されません。 30分の打ち合わせで決まる話ですが、決めずに進めると後で全部やり直しになります。

2週目:記録の状態を確かめる

上位10社について、直近3か月の発注データに「当初納期」「納期変更の申し出元」が入っているかを数えます。入っていない割合が3割を超えるなら、購買システムの入力項目から見直してください。 仕組みを作るより、そちらのほうが効果が大きい段階です。

3週目:10社で所見を作らせる

計算済みの数字と不適合報告を渡し、所見を作らせます。主観的な形容が混ざっていないか、担当者が知っている課題を拾えているかを見ます。needs_confirmation の中身を必ず読んでください。 自社の記録の弱点がここに出ます。

4週目以降: 上位30社で半自動化を作り、2か月運用します。メールからの抽出はまだ入れず、不適合報告だけを定性の材料にします。カルテの形(1社1か月1行)だけは最初から正しく作ってください。 後から直すのが面倒な部分です。

3か月目以降: 全180社へ広げます。同時に、共有メールボックスへの集約を進め、メールからの定性情報の抽出を足します。年次評価の時期が来たら、カルテからの抽出だけで資料が作れるかを確かめてください。 そこで作れれば、この構成は目的を果たしています。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-22/最終更新:2026-09-22
確認した内容情報源確認日
Make に Iterator(配列を個別のバンドルに分ける)と Array Aggregator(複数のバンドルを1つにまとめる)があり、要素ごとの処理と再集約ができることMake: Flow control2026-09-22
Make のシナリオのスケジュールが、一定間隔・1日1回・平日・週次・月次・日付指定・オンデマンドから選べること。既定では15分ごとに実行される設定であること。シナリオは有効化しないと動かないことMake: Schedule a scenario2026-09-22
Claude API で output_config.formatjson_schema を渡すと、応答をスキーマに沿った形に制約できることClaude Docs: Structured outputs2026-09-22

購買システムと品質管理システムからのエクスポート形式、納期変更の記録の持ち方は企業によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 仕入先が下請取引の相手方に当たる場合の評価結果の扱いについては、自社の法務部に確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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