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保険代理店に保険会社から届く異動・解約の処理完了の通知を、代理店で受けた依頼の記録と照らし、内容の違いと処理されていない依頼を募集人へ返す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

保険会社から届く異動・解約の処理完了の通知を読み、代理店で受けた依頼の記録と項目ごとに照らします。依頼と違う内容で処理されたものと、期日を過ぎても通知の来ない依頼を、担当の募集人へ返します。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/Power Automate/Zapier
対象業界
不動産/保険/金融
対象部門
営業
対象業務
内容確認・チェック/比較検討
主な課題
入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
判定
主な効果
入力漏れ削減/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
64h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
75%
年間削減
576h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 保険会社から届いた処理完了の通知のメールを開き、本文か添付のPDFを読む
  2. 証券番号と契約者名で、受付簿のリストから依頼を探す
  3. 依頼の内容と通知の内容を、異動の種類・異動の日・変更の後の内容・保険料の増減の順に見比べる
  4. 一致していれば受付簿の状態を「完了」にする
  5. 違いがあれば、担当の募集人へ Teams でメッセージを送る
  6. 月に数回、受付簿を「依頼済み」で絞り込み、日がたっているものを募集人に確かめてもらう
導入後(After)
  1. 人募集人が依頼を受けたら、これまでどおり受付簿のリストに記録する
  2. 自動保険会社から通知のメールが届くと、フローが動き、本文と添付のPDFを取る
  3. 自動プロンプトが通知から証券番号・異動の種類・異動の日・変更の後の内容・保険料の増減を取り出す
  4. 自動証券番号を正規化し、受付簿から依頼を探す
  5. 自動プロンプトが依頼と通知を項目ごとに照らし、`match` / `differ` / `not_in_notice` / `unclear` を付ける
  6. 自動項目ごとの結果から、`ok` / `return` / `needs_human` を規則で決める
  7. 自動`ok` は受付簿の状態を「完了(照合済み)」にする
  8. 自動`return` と `needs_human` は、違いの一覧を付けて業務課の確認の待ち行列へ入れる
  9. 人業務課が違いの一覧を確かめ、募集人へ返すものを選ぶ
  10. 自動返すと決めたものを、担当の募集人へ Teams で知らせる
  11. 自動毎朝、期日を過ぎても通知と結びつかない依頼を受付簿から拾い、募集人ごとにまとめて知らせる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 保険会社から届いた処理完了の通知のメールを開き、本文か添付のPDFを読む
  2. 証券番号と契約者名で、受付簿のリストから依頼を探す
  3. 依頼の内容と通知の内容を、異動の種類・異動の日・変更の後の内容・保険料の増減の順に見比べる
  4. 一致していれば受付簿の状態を「完了」にする
  5. 違いがあれば、担当の募集人へ Teams でメッセージを送る
  6. 月に数回、受付簿を「依頼済み」で絞り込み、日がたっているものを募集人に確かめてもらう

(a)違いは日付に出る。 依頼では11月1日からの車両入替なのに、通知では11月10日になっている。この9日間、新しい車には補償が付いていません。 項目の名前が「始期」「異動日」「変更日」と保険会社ごとに違い、急いで読むと別の日付を見比べてしまいます。

(b)受付簿を探す時間が長い。 証券番号は保険会社ごとに桁と区切りが違い、受付簿への書き方も募集人によってばらばらです。「ハイフンを抜いて検索し直す」「契約者名で探して証券番号を目で比べる」が、通知1件ごとに起きます。

(c)通知が来ないものに気づかない。 6番目は月に数回しかできません。依頼を書類で保険会社に送ったまま、不備で止まっていることがあります。気づくのは、契約者から「新しい車の証券が届かない」と言われたときです。

(d)見比べる基準が人によって違う。 ある担当は保険料の増減まで見て、別の担当は異動の日だけを見ます。募集人へ返すかどうかも、担当の判断に任されています。 どこまで見たかは、受付簿に残りません。

  1. 【人】 募集人が依頼を受けたら、これまでどおり受付簿のリストに記録する
  2. 【自動】 保険会社から通知のメールが届くと、フローが動き、本文と添付のPDFを取る
  3. 【自動】 プロンプトが通知から証券番号・異動の種類・異動の日・変更の後の内容・保険料の増減を取り出す
  4. 【自動】 証券番号を正規化し、受付簿から依頼を探す
  5. 【自動】 プロンプトが依頼と通知を項目ごとに照らし、match / differ / not_in_notice / unclear を付ける
  6. 【自動】 項目ごとの結果から、ok / return / needs_human を規則で決める
  7. 【自動】 ok は受付簿の状態を「完了(照合済み)」にする
  8. 【自動】 return と needs_human は、違いの一覧を付けて業務課の確認の待ち行列へ入れる
  9. 【人】 業務課が違いの一覧を確かめ、募集人へ返すものを選ぶ
  10. 【自動】 返すと決めたものを、担当の募集人へ Teams で知らせる
  11. 【自動】 毎朝、期日を過ぎても通知と結びつかない依頼を受付簿から拾い、募集人ごとにまとめて知らせる

9番目が、この設計の分かれ目です。 業務課が見るのは、違いがあったものと判断できなかったものだけです。一致したものは、件数を一覧で流し見て終わりにします。 全件を人が見直す設計にすると、64.0時間はほとんど減りません。

11番目は、通知の来たものとは別のフローで動かします。 通知が届いたことをきっかけにするフローは、通知が来ないものに永遠に気づけません。 受付簿の側から毎日数えるのが、この構成のもう半分です。

02今回想定するシステム構成

構成図
保険会社(処理完了の通知のメール:本文/添付のPDF)
   ▼【トリガー】共有メールボックスに新しいメールが届いたとき(差出人で絞る)
Power Automate(照合のフロー)
   ├──▶ 添付ファイルの取得
   ├──▶ AI Builder のプロンプト①:通知から異動の中身を取り出す(JSON)
   ├──▶ 証券番号の正規化と、受付簿(SharePoint のリスト)の検索
   ├──▶ AI Builder のプロンプト②:依頼と通知を項目ごとに照らす(JSON)
   ├──▶ 規則:ok / return / needs_human
   ├──▶ 受付簿の更新と、照合の記録
   └──▶ 業務課の確認の待ち行列 → 募集人へ Teams で通知
Power Automate(未着のフロー)
   ▼【トリガー】毎朝8時
   └──▶ 期日を過ぎた「依頼済み」を拾い、募集人ごとに Teams で通知
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウド フロー)Make、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(「プロンプトを実行する」アクション、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
受信Office 365 Outlook(共有メールボックス)―
保管SharePoint のリスト(受付簿、照合の記録、保険会社ごとの読み替えの表)Dataverse
通知Microsoft TeamsOutlook のメール

保険会社の代理店システムには、書き込みも読み取りもしません。 代理店システムは保険会社ごとに別で、外から自動でつなぐ仕組みが用意されているとは限りません。この構成が扱うのは、代理店に届いた通知と、代理店の受付簿だけです。 通知に内容が書かれていない保険会社については、第7章の例外処理で扱います。

メールの受信には、Office 365 Outlook コネクタのトリガー「新しいメールが届いたとき (V3)」を使います。 公式ドキュメントでは、監視するフォルダー、差出人、件名フィルター、添付ファイルのみ、添付ファイルを含める、そして共有メールボックスのアドレスを指定できるとされています。

取り出しと照合には、AI Builder のプロンプトを使います。 公式ドキュメントでは、Power Automate のフローに「プロンプトを実行する」アクションとして追加し、前のアクションの内容を入力に渡せるとされています。AI Builder は Azure OpenAI サービスを活用した GPT モデルで実行され、一部の地域に限定され、使用制限の対象となる場合があるとされています。

画像やドキュメントの入力で扱えるファイルは、PNG、JPG、JPEG、PDF です。 公式ドキュメントでは、すべてのファイルの合計が25 MB未満、ページ数が50ページ未満で、処理は最大100秒に制限されるとされています。保険会社の通知のPDFは1〜数ページなので、この範囲に収まります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

保険会社からの通知のメールが届いたことを起点にします。 通知は業務課の共有メールボックスで受けているので、トリガーの「元のメールボックス アドレス」にそのアドレスを入れます。差出人には、取扱う5社の通知の送信元アドレスをセミコロンで区切って並べます。 保険会社の営業担当からの連絡や、お知らせのメールは別のフォルダーに振り分け、このフローには入れません。

公式ドキュメントには、いくつか知っておくべき制限があります。 トリガーは受信日時に基づいて動くため、メールを別のフォルダーに移しても、最新の正常な実行より前に受信したメールはスキップされるとされています。また、「添付ファイルを含める」をはいにすると、添付のダウンロード中にタイムアウトすることがあるため、いいえにして「添付ファイルの取得 (V2)」で取ることが勧められています。まれにトリガーが動くまで最大1時間かかることも書かれています。

1時間の遅れは、この業務では問題になりません。 照合の目的は、違いを当日中に募集人へ返すことです。ただし、毎朝の未着のフローは、前日の通知の照合が終わった後に動くよう、時刻を朝8時に置きます。

もう1本のトリガーは「繰り返し」です。 毎朝、受付簿から状態が「依頼済み」のものを取り、期日を過ぎたものを拾います。通知を起点にするフローだけでは、届かない通知を数えられません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
通知のメール差出人、件名、受信日時、本文、添付のPDF共有メールボックス
受付簿証券番号、保険会社、契約者名、依頼の種類、依頼の内容(変更の後の値)、希望の異動の日、担当の募集人、受付日、状態SharePoint のリスト
読み替えの表保険会社ごとの項目の名前(「始期」「異動日」「変更日」)と、証券番号の書き方SharePoint のリスト
期日の表依頼の種類と保険会社ごとの、通知が届くまでの目安の日数SharePoint のリスト

質を決めるのは、受付簿の「依頼の内容」の欄です。 「車両入替」とだけ書かれていると、通知の型式や登録番号と照らす相手がありません。依頼の種類ごとに、受付簿に書く欄を決めます。 車両入替なら新しい車の車名・型式・登録番号と入替の日、住所変更なら新しい住所と変更の日、解約なら解約の日と理由です。

読み替えの表は、業務課の4名の頭の中にあるものを書き出したものです。 「A社は異動日を『変更日』と書く」「B社の証券番号は先頭にアルファベットが付く」。これをプロンプトへの入力として渡すと、保険会社が増えても指示文を書き換えずに済みます。

期日の表は、本記事のモデル条件として「代理店システムで手続きした依頼は3営業日、書類を送った依頼は10営業日」と置きます。 実際の日数は、保険会社ごとの処理の実績を1か月見てから決めます。

Step3

データの取得方法を決める

通知のメールは、トリガーの出力から本文を取り、添付は「添付ファイルの取得 (V2)」で取ります。添付がPDFでないもの(画像の通知など)も、PNG・JPG なら同じプロンプトに渡せます。 それ以外の形式は、例外処理へ回します。

取るものどこから何に使うか
本文トリガーの出力通知の中身(本文に書く保険会社)
添付のPDF添付ファイルの取得 (V2)通知の中身(PDFで送る保険会社)
依頼SharePoint の「複数の項目の取得」(証券番号で絞る)照らす相手
読み替えの表SharePoint のリストプロンプト①への入力

受付簿の検索は、証券番号を正規化してから行います。 ハイフン・空白・全角を落とし、英字を大文字にそろえた値を、受付簿の側にも別の列として持たせます。募集人が書いた証券番号はそのまま残し、検索には正規化した列を使います。 正規化の処理は Power Automate の式で書け、AIに任せません。

証券番号で見つからないときだけ、契約者名と保険会社で探します。 名前で見つかった候補が1件でも、自動で結びつけず、業務課の確認に回します。 同じ契約者が複数の契約を持つことは珍しくありません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 差出人と件名の確認 … 取扱う保険会社の送信元で、件名に「処理完了」「異動」「解約」などが含まれるかを見ます。外れるものは対象外のフォルダーへ移します
  2. 本文の掃除 … 署名、免責の定型文、配信停止の案内を落とします
  3. 添付の確認 … PDF・PNG・JPG か、ページ数が50ページ未満か、合計が25 MB未満かを見ます
  4. 「代理店システムでご確認ください」だけの通知の検知 … 中身の無い通知は、取り出しにかけずに例外へ回します
  5. 1通に複数の契約 … 1通の通知に複数の証券番号があるものは、プロンプト①で契約ごとに分けて返させます
  6. 重複の検知 … 同じ証券番号・同じ異動の種類・同じ異動の日の通知が直近にあれば、再送として印を付けます

4番目を前処理で拾うのは、空の通知をプロンプトに渡すと、もっともらしい中身を作るおそれがあるからです。 中身が無いことを最初に確かめ、AIに渡す前に人の作業へ分けます。

Step5

AIに処理させる

生成AIの仕事は2つです。 通知から異動の中身を取り出すことと、取り出した中身を依頼と項目ごとに照らすことです。募集人へ返すかどうかは、規則で決めます。

部品させることさせないこと
プロンプト①(取り出し)証券番号、異動の種類、異動の日、変更の後の値、保険料の増減を取り出す。読み替えの表で項目の名前をそろえる書かれていない値を補う、日付を推測する
プロンプト②(照合)依頼と通知を項目ごとに照らし、match / differ / not_in_notice / unclear を付け、根拠の文を写す保険会社の処理の正誤を判断する、契約者への説明を書く
規則(Power Automate)項目ごとの結果から ok / return / needs_human を決める―

照合する項目は、依頼の種類ごとに決めます。

依頼の種類照らす項目
車両入替異動の日、車名、型式、登録番号、保険料の増減の有無
住所・所在地の変更異動の日、新しい住所
補償・条件の変更異動の日、変更した項目(運転者の範囲・年齢条件・補償の有無など)とその値
解約解約の日、返れい保険料の有無

規則は次のとおりです。

verdict条件
ok照らす項目がすべて match
return異動の日・解約の日のどれかが differ、またはそれ以外の項目に differ が1つ以上
needs_humanunclear または not_in_notice が1つ以上、または依頼が見つからない

日付の differ を必ず return にするのは、補償の空白に直結するからです。 車両入替の日が依頼より遅ければ、その間の新しい車は補償の外です。日付の違いだけは、業務課の確認を経たうえで、当日中に募集人へ返します。

Step6

指示内容を固定する

プロンプト①(取り出し)は、次の指示です。

あなたは保険代理店の業務課で、保険会社から届いた異動・解約の処理完了の通知を読む立場です。
渡された通知の本文と添付の文書だけを読み、契約ごとに次の項目を取り出してください。

【取り出す項目】
- policy_no:証券番号(書かれたとおり)
- insurer:保険会社
- holder_name:契約者名
- change_type:異動の種類(vehicle_change / address_change / coverage_change / cancellation / other)
- effective_date:異動の日または解約の日(YYYY-MM-DD)
- changed_items:変更の後の値(項目名と値の組の配列)
- premium_change:保険料の増減(increase / decrease / none / not_stated)

【厳守事項】
- 書かれていない項目は空にしてください。他の項目から推測して埋めないでください。
- 日付が複数ある場合(受付日、処理日、異動日など)は、読み替えの表に従って異動の日を選び、
  選べない場合は effective_date を空にして date_candidates にすべて書いてください。
- 和暦は西暦に直してかまいませんが、元の書き方を effective_date_raw に残してください。
- 登録番号・型式・証券番号は、1文字も直さずに写してください。
- 1通に複数の契約がある場合は、契約ごとに分けてください。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

【通知の本文】{mail_body}
【添付の文書】{attachment}
【この保険会社の読み替えの表】{mapping}

プロンプト②(照合)は、次の指示です。

あなたは保険代理店の業務課で、代理店で受けた依頼が、その内容で保険会社に処理されたかを確かめる立場です。
依頼の記録と、通知から取り出した内容を、照らす項目ごとに比べてください。

【status の選び方】
- match ......... 依頼と通知の値が同じ。書き方の違い(全角と半角、和暦と西暦、
                  「丁目」と「-」)は同じとしてよい
- differ ........ 値が違う
- not_in_notice . 通知にその項目が書かれていない
- unclear ....... 通知の書き方からは同じか違うか決められない
迷ったときに match を選ばないでください。

【厳守事項】
- 書き方の違いとして同じとした場合は、reason にどの違いを同じとしたかを書いてください。
- 日付は1日でも違えば differ です。
- 通知に書かれていない項目を、依頼の値で埋めて match にしないでください。
- evidence に、判定の根拠にした通知の文をそのまま写してください。
- 保険会社の処理が正しいか誤りかを書かないでください。
- 契約者への説明や、募集人がすべきことを書かないでください。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

【照らす項目】{check_items}
【依頼の記録】{request}
【通知から取り出した内容】{notice}

「通知に書かれていない項目を依頼の値で埋めない」を明記しないと、match が増えます。 依頼の記録には値があり、通知には無い。何も言わなければ、モデルは依頼の値をそのまま「確認できた」としがちです。照合の意味は、通知の側に値があることを確かめる点にあります。

「書き方の違いを同じとしたら理由を書く」も同じ考えです。 「3丁目5-2」と「3-5-2」を同じとするのはよくても、「5-2」と「5-12」を同じとされては困ります。 理由が残っていれば、業務課が一覧で見たときに気づけます。

Step7

出力形式を固定する

プロンプトの出力は、JSON のカスタム形式で固定します。 公式ドキュメントでは、JSON の例を更新すると形式がカスタムになり、プロンプトを保存すると形式がロックされるとされています。フィールド キーの無い配列(["abc", "def"] の形)はサポートされないので、配列の要素は必ずキーを持つ形にします。

{
  "notice_id": "MAIL-20261007-0231",
  "request_id": "REQ-2026-09-1184",
  "policy_no": "AB-1234567-01",
  "change_type": "vehicle_change",
  "checks": [
    { "item": "effective_date", "request": "2026-11-01", "notice": "2026-11-10",
      "status": "differ", "reason": "", "evidence": "異動日 令和8年11月10日" },
    { "item": "model_code", "request": "6AA-XXXX", "notice": "6AA-XXXX",
      "status": "match", "reason": "", "evidence": "型式 6AA-XXXX" }
  ],
  "verdict": "return",
  "agent": "募集人のアカウント"
}

1つ目の理由は、status と verdict を別の層に置けることです。 checks はAIが埋め、verdict はフローが規則で決めます。「保険料の増減の違いは返さない」と代理店の方針が変わっても、直すのは規則だけです。

2つ目は、request と notice の値を並べて残すことです。 募集人が Teams の知らせを開いたとき、何が違うのかが1行で分かります。 通知の原文を開き直す手間がなくなります。

3つ目は、evidence で業務課の確認が速くなることです。 違いがあると出たものを、PDFを開かずに根拠の文で確かめられます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有メールボックスOffice 365 Outlook のトリガー通知の受信と添付の取得
受付簿SharePoint コネクタ依頼の検索、状態の更新
AI Builder「プロンプトを実行する」アクション取り出しと照合
業務課の確認SharePoint のリストのビューreturn と needs_human の待ち行列
募集人Microsoft Teams違いの知らせと、未着の依頼の一覧

受付簿の状態を「完了」にするのは、ok のときだけです。 return と needs_human は「照合で違いあり」「照合で確認待ち」という別の状態にします。募集人が保険会社や契約者に確かめて片が付いたら、募集人が「完了」にします。 フローが勝手に完了にしないことで、違いが放置されたまま受付簿から消えることを防ぎます。

保険会社への照会のメールは作りません。 照会するかどうか、どう書くかは、契約者の事情を知っている募集人が決めることです。

Step9

人が確認する

業務課が見るのは return と needs_human だけです。 ok は、件数と保険会社の内訳を日に1回流し見ます。

  1. 日付の differ を最初に見る … 補償の空白につながるものです。根拠の文を読み、本当に違うかを確かめて、その日のうちに募集人へ返します
  2. needs_human を片付ける … 多くは依頼が見つからないもの、通知に中身が無いものです。受付簿の記録漏れなら、募集人に記録を足してもらいます
  3. それ以外の differ を確かめる … 型式や住所の違いです。書き方の違いにすぎないものは、match に直して理由を残します
  4. 返すと決めたものを送る … 確認の待ち行列で「返す」を選ぶと、フローが募集人へ Teams で知らせます

3番目で直した記録は、読み替えの表を育てる材料です。 同じ保険会社で同じ書き方の違いが何度も出るなら、その書き方を表に足します。次からは match で通ります。

目標は、480件をならして1件2分です。 開くのは1〜2割という想定で、それより多い月は、受付簿の書き方がそろっていないか、新しい保険会社の書き方が表に入っていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
通知に中身が無い(代理店システムで確認する形)取り出しにかけず、業務課が代理店システムで確かめて受付簿を更新する
依頼が受付簿に見つからないneeds_human。募集人の記録漏れか、保険会社が契約者から直接受けた異動かを確かめる
名前でしか見つからない自動で結びつけず、業務課が候補から選ぶ
1通に複数の契約契約ごとに分けて照合する
異動の日の候補が複数date_candidates を見て業務課が選ぶ。選んだ結果を読み替えの表に足す
添付が PDF・画像でない業務課へ回し、保険会社に送り方を相談する
同じ通知の再送重複の印を付け、二重に照合しない
プロンプトがタイムアウトするメールを未処理のフォルダーに残し、次の実行で拾い直す
期日を過ぎても通知が来ない毎朝のフローで募集人ごとに知らせる。3回続けて知らせても動きが無ければ、業務課の責任者へ

最後の行は、知らせるだけで終わらせないための決まりです。 毎朝同じ依頼が一覧に載り続けると、一覧そのものが読まれなくなります。 知らせた回数を受付簿に数え、一定の回数で人を替えます。

Step11

記録を残す

  • 通知のメールのID、受信日時、差出人と、添付のファイル
  • プロンプト①の出力(取り出した内容)とプロンプト②の出力(checks)
  • 規則の結果(verdict)と、そのとき使った読み替えの表と期日の表の版
  • 業務課が判定を直した記録 … どの項目を、どちらに直したか、理由
  • 募集人へ知らせた日時と、募集人が「完了」にした日時
  • 未着の知らせの回数

判定を直した記録は、保険会社ごとに数えます。 特定の保険会社だけ直しが多いなら、読み替えの表が足りていません。直しの数が減っていけば、業務課が見る件数も減ります。

照合の記録は、受付簿の1件ごとに結びつけて残します。 後から契約者に「いつ、何を確かめたか」を聞かれたとき、受付簿の1行から通知と照合の結果までたどれるようにします。

04実装レベルの3段階

最小構成:手元のAIサービスに通知と依頼を貼り、項目ごとに照らさせる / 1件ごとの照合の確かめ
半自動化:上記+Power Automate で通知を受け、取り出した中身を受付簿の横に書き出す / 通知を読む作業と、依頼の検索
本格構成:上記+項目ごとの照合、規則の判定、募集人への知らせ、未着の依頼の毎朝の洗い出し / 照合から未着の追いかけまで

最小構成では件数はさばけません。 1件ずつ貼り付けるので、確かめるための段階です。 半自動化で、1件8分が5分程度になります。 通知を開いて依頼を探す手間は消えますが、項目ごとの見比べと、未着の洗い出しが残ります。本格構成で2分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、取り出しを誤る保険会社と、受付簿の書き方の癖が先に分かります。読み替えの表と受付簿の欄を直してから本格構成に進むほうが、needs_human が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
480 件
1件あたり現在時間
8 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  480件 × 8分 ÷ 60 = 64 時間/月
導入後 480件 × 2分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
48h
削減率
75%
年間削減時間
576h
年間金額換算(時間単価3,000円)
173万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店で、住所変更・車両入替・補償の変更・解約などの依頼が月に数百件あり、保険会社から届く処理完了の通知を事務の担当が受付簿と1件ずつ見比べている場合。通知がメールの本文と添付のPDFで届き、保険会社ごとに書き方が違う場合。Microsoft 365 と Power Automate を使える場合。
向いていない
  1. 取扱う保険会社が1社で、代理店システムの画面で依頼から完了までを追える場合。異動の依頼が月に数十件で、目視で足りる場合。依頼の受付を記録に残していない場合(照らす相手が無いので、受付簿づくりが先)。なお、保険会社の処理が正しいかどうか、契約者へどう説明するかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の通知から30件を選ぶ(うち数件は、依頼と違っていたと分かっているものを入れる)
  2. 30件それぞれの依頼の記録を、受付簿から書き出す
  3. 手元のAIサービスに、通知の本文かPDFと、依頼の記録を貼る
  4. 「この通知から、異動の種類・異動の日・変更の後の値を取り出し、依頼の記録と項目ごとに同じか違うかを判定してください。通知に書かれていない項目は『記載なし』とし、依頼の値で埋めないでください」と指示する
  5. 出てきた判定を、当時の業務課の確認の結果と突き合わせる

30件は必ずやってください。 フローを組む前に、保険会社ごとの書き方の違いを、AIがどこまで読み替えられるかを見ます。

出てきた内容判断
当時見つけた違いが同じように出たフローに進む
書かれていない項目を依頼の値で埋めた指示の書き方で直る。構成は有効
異動の日を別の日付と取り違えた読み替えの表を作るのが先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 業務課の4名が経験で読み替えていた部分が、ここで初めて書き出されます。 取り違えた保険会社の書き方を表にし、同じ30件でもう一度試してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
通知に無い項目が依頼の値で埋まり match になる埋めることを禁じ、not_in_notice を規則で人へ回す
異動の日と受付日・処理日を取り違える読み替えの表で項目の名前を渡す。候補が複数なら人へ
証券番号の書き方の違いで依頼が見つからない正規化した列を受付簿に持たせて検索する
名前で見つかった依頼を自動で結びつける自動で結びつけない。 業務課が選ぶ
書き方の違いを differ にしすぎる同じとしてよい違いを指示に書き、直した記録を表に足す
「5-2」と「5-12」を同じとしてしまう同じとした理由を reason に書かせ、一覧で見る
中身の無い通知から中身を作る前処理で検知し、取り出しにかけない
添付のダウンロードでトリガーがタイムアウトする「添付ファイルを含める」をいいえにし、添付ファイルの取得 (V2) を使う
フォルダーを移したメールが処理されないトリガーは受信日時で動く。移すのは処理の後にする
未着の知らせが毎朝同じで読まれなくなる知らせた回数を数え、一定の回数で責任者へ
フローが受付簿を「完了」にしてしまうok のときだけ。違いがあれば募集人が完了にする
保険会社への照会を自動で送りたくなる照会と契約者への連絡は募集人が行う

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、通知の側に何が書かれていたかを確かめずに判定してしまうという同じ形をしています。照合の根拠を通知の文に置き、evidence で残すことで防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 契約者の氏名、住所、証券番号、車の登録番号と型式、補償の内容、保険料の増減、解約の理由です。保険契約に関わる個人の情報がまとまって流れます。

  1. プロンプトに渡すのを照合に要る項目に絞る … 通知の本文には、契約者の電話番号や口座の情報が書かれていることがあります。前処理で落とせるものは落とし、照合に使わない項目は受付簿から渡しません
  2. AI Builder の地域と使用の制限を確かめる … 公式ドキュメントでは、AI Builder のプロンプトは一部の地域に限定されるとされています。自社の環境で使える地域と、データがどこで処理されるかを、導入の前に確かめます
  3. 共有メールボックスの権限を絞る … フローの接続に使うアカウントは、通知の共有メールボックスと受付簿だけに権限を持たせます
  4. Teams の知らせに契約者の情報を書きすぎない … 知らせには証券番号と違いのある項目だけを書き、住所の全文や解約の理由は受付簿を開いて見る形にします
  5. この構成は、保険会社の処理の正誤や契約者への説明を代替しません … 違いが見つかったときに、どちらが正しいか、契約者にどう伝えるかは、募集人と業務課が保険会社に確かめて決めることです
  6. 照合の記録を残す期間を決める … 照合の記録は契約の情報を含みます。代理店の文書の保存の決まりに合わせて、残す期間と消し方を決めます

誤りが起きた場合のリスクは、違う内容で処理されたものを見落とすことと、通知の来ない依頼を放置することの2つです。 前者は not_in_notice を match に混ぜると起き、後者は通知を起点にするフローだけで済ませると起きます。どちらも設計で防げる種類の誤りなので、そこだけは最初から作り込みます。

10まず何から始めるか

1週目:受付簿の欄を決める

依頼の種類(車両入替、住所・所在地の変更、補償・条件の変更、解約)ごとに、受付簿に書く欄を決めます。あわせて、証券番号を正規化した列を足します。募集人30名に、新しい書き方を案内します。

2週目:30件で試す

先月の通知から30件を選び、手元のAIサービスで取り出しと照合をさせます。当時の業務課の確認と同じ違いが出るか、書かれていない項目を埋めていないかを最優先で見ます。

3週目:読み替えの表と期日の表を作る

業務課の4名から、保険会社ごとの項目の名前と証券番号の書き方を聞き取って表にします。依頼の種類と保険会社ごとに、通知が届くまでの目安の日数も決めます。

4週目:通知から取り出しまでをつなぐ

Power Automate で共有メールボックスを見張り、プロンプト①で取り出した中身を受付簿の横に書き出すところまで作ります。この時点では verdict を出さず、取り出しの精度だけを見ます。

2か月目: プロンプト②と規則の判定、募集人への知らせを足します。return と needs_human の件数を毎週数えます。3か月目以降: 毎朝の未着のフローを足し、1件8分が何分になったかを実測します。未着の知らせから補償の空白を防げた件を業務課で共有し、期日の表を実績に合わせて直した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
トリガー「新しいメールが届いたとき (V3)」で、フォルダー、差出人、件名フィルター、添付ファイルのみ、添付ファイルを含める、元のメールボックス アドレス(共有メールボックス)を指定できること。トリガーが受信日時に基づき、フォルダーを移しても最新の正常な実行より前に受信したメールはスキップされること。添付ファイルを含めるとタイムアウトすることがあり、添付ファイルの取得 (V2) を使う回避策。まれに起動まで最大1時間かかることMicrosoft Learn: Office 365 Outlook コネクタ2026-10-07
「プロンプトを実行する」アクションでプロンプトを選び、前のアクションの内容を入力に渡せること。AI Builder が Azure OpenAI サービスを活用した GPT モデルで実行され、一部の地域に限定され、使用制限の対象となる場合があることMicrosoft Learn: Power Automate でプロンプトを使用する2026-10-07
画像またはドキュメントの入力で扱えるファイルが PNG、JPG、JPEG、PDF であること。合計25 MB未満、50ページ未満、処理が最大100秒に制限されることMicrosoft Learn: プロンプトに入力を追加する2026-10-07
JSON の例を更新すると形式がカスタムになり、保存すると形式がロックされること。「回答に JSON マークダウンを含めないでください」の対処。フィールド キーの無い配列がサポートされないことMicrosoft Learn: JSON 出力2026-10-07

通知が届くまでの期日(3営業日・10営業日)、違いと確認待ちの割合(2割前後)は本記事のモデル条件です。 実際の値は、取扱う保険会社ごとの処理の実績を見て決めてください。保険会社の代理店システムとの自動の連携は、本記事では扱っていません。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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