グループ会社の担当から出る「この案件は親会社の承認・報告が要るか」の質問に、グループ会社管理規程と決裁権限表を根拠にチャットで答え、判断の要るものを経営企画へ回す
グループ会社の担当が「この案件は親会社の承認か、報告で足りるか」をチャットに入れると、規程と決裁権限表から案件の区分の候補と根拠の条を返し、金額の閾値との比較はプログラムが行って手続きの区分を出します。問い合わせの往復が減ります。
- 生成AI
- Gemini
- AIサービス
- Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
- 連携・自動化
- Python
- 対象業界
- IT・SaaS/その他/商社/製造
- 対象部門
- 経営企画
- 対象業務
- 内容確認・チェック/問い合わせ対応
- 主な課題
- 判断に時間がかかる/情報が見つからない/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 検索(RAG)
- 主な効果
- 判断支援/品質標準化/対応スピード向上
- 導入難易度
- ★★★☆☆
- 実装レベル
- 本格構成
- 費用感
- RAG・個別開発(大)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- グループ会社の担当から、メールか電話で案件の概要と金額が届く
- 親会社の担当が、規程の置き場から今の版のグループ会社管理規程と決裁権限表を開く
- 案件の種類を決め、決裁権限表の行を探す
- その会社に個別の取り決めがあるかを、会社ごとの取り決めの置き場で確かめる
- 金額を閾値と比べ、承認・事前協議・報告・不要のどれかを決める
- 決まらなければ、課長や法務部に聞く
- 回答をメールで返し、承認が要るものは申請の受付の手順を案内する
- 人グループ会社の担当がグループ内のチャット画面で、案件の概要・金額・予定の決定日を入れて質問する
- 自動中継プログラムが、ログインした担当の所属会社から会社の区分(100%子会社/合弁会社/海外子会社)を引き、絞り込みの式を作る
- 自動Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドが、規程・決裁権限表の注記・その会社の個別の取り決め・運用のQ&Aを探し、案件の種類の候補と根拠を返す
- 人担当が、候補の中から案件の種類を1つ選ぶ(迷うときは「決まらない」を選ぶ)
- 自動中継プログラムが、決裁権限表のデータから選んだ種類の行を引き、金額と予定の決定日で承認・事前協議・報告・不要の区分を出す
- 自動区分と根拠の条、申請の手順を画面に返す
- 自動種類が決まらない、閾値の近く、個別の取り決めと規程が食い違うものは、親会社の経営企画の待ち行列へ回す
- 人親会社の担当が回ってきた案件の区分を決め、必要なら運用のQ&Aに書き足す
- 自動質問・候補・選んだ種類・区分・根拠を記録に残す
各工程の詳しい説明を読む
- グループ会社の担当から、メールか電話で案件の概要と金額が届く
- 親会社の担当が、規程の置き場から今の版のグループ会社管理規程と決裁権限表を開く
- 案件の種類を決め、決裁権限表の行を探す
- その会社に個別の取り決めがあるかを、会社ごとの取り決めの置き場で確かめる
- 金額を閾値と比べ、承認・事前協議・報告・不要のどれかを決める
- 決まらなければ、課長や法務部に聞く
- 回答をメールで返し、承認が要るものは申請の受付の手順を案内する
(a)規程・表・個別の取り決めが分かれている。 区分は規程の本文、閾値は決裁権限表、合弁会社の例外は合弁契約と覚書です。1件の問い合わせで、3か所の文書を開きます。
(b)案件の種類で迷う。 生産設備の更新は「設備投資」か「修繕」か、ソフトウエアの利用契約は「重要な契約」か「設備投資」か。種類が決まらないと、表のどの行を見るかが決まりません。 迷った案件ほど、課長に聞くまで止まります。
(c)閾値を読み違える。 「単体で」「年間の総額で」「税抜で」「同一の案件の分割を合算して」といった但し書きが、表の注記に書かれています。金額が閾値に近い案件ほど、注記の読み違いで区分が変わります。
(d)子会社の機関決定と親会社の手続きが混ざる。 子会社の担当は、子会社の取締役会に付議するかと、親会社の承認が要るかを同時に考えています。会社法は取締役会設置会社の重要な財産の処分や多額の借財を取締役会で決めるとしており、それは子会社の機関の話で、親会社の決裁権限表とは別の話です。 混ぜて聞かれ、混ぜて答えてしまうことがあります。
- 【人】 グループ会社の担当がグループ内のチャット画面で、案件の概要・金額・予定の決定日を入れて質問する
- 【自動】 中継プログラムが、ログインした担当の所属会社から会社の区分(100%子会社/合弁会社/海外子会社)を引き、絞り込みの式を作る
- 【自動】 Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドが、規程・決裁権限表の注記・その会社の個別の取り決め・運用のQ&Aを探し、案件の種類の候補と根拠を返す
- 【人】 担当が、候補の中から案件の種類を1つ選ぶ(迷うときは「決まらない」を選ぶ)
- 【自動】 中継プログラムが、決裁権限表のデータから選んだ種類の行を引き、金額と予定の決定日で承認・事前協議・報告・不要の区分を出す
- 【自動】 区分と根拠の条、申請の手順を画面に返す
- 【自動】 種類が決まらない、閾値の近く、個別の取り決めと規程が食い違うものは、親会社の経営企画の待ち行列へ回す
- 【人】 親会社の担当が回ってきた案件の区分を決め、必要なら運用のQ&Aに書き足す
- 【自動】 質問・候補・選んだ種類・区分・根拠を記録に残す
4番目と5番目が、この設計の条件です。 種類は担当が選び、区分は決裁権限表のデータから出します。 モデルは候補と根拠を出すだけで、閾値の比較に関わりません。
7番目で「閾値の近く」を回すのは、注記の但し書きで区分が変わりうるからです。 決裁権限表の閾値の前後一定の幅(たとえば閾値の8割以上)に入る金額は、区分を出したうえで親会社の担当にも確かめさせます。
02今回想定するシステム構成
グループ会社の担当(グループ内のチャット画面。案件の概要・金額・予定の決定日を入れて質問) │ ▼【トリガー】質問の送信 中継プログラム(Python/Cloud Run) ├──▶ 所属会社から会社の区分を引く ├──▶ 絞り込みの式を作る ▼ Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッド │ 規程/決裁権限表の注記/その会社の個別の取り決め/運用のQ&A から探す │ 案件の種類の候補と根拠を返す ▼ 担当が種類を選ぶ ▼ 中継プログラム ── 決裁権限表のデータで閾値と比べる ▼ 承認/事前協議/報告/不要 + 根拠の条 + 申請の手順 ├──▶ 画面へ └──▶ 親会社の経営企画の待ち行列へ(種類が決まらない・閾値の近く・食い違い)
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 検索基盤 | Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッド | Azure AI Search、Amazon OpenSearch Service |
| 生成AI | Gemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル) | ─ |
| 連携 | 中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、画面・所属会社・検索・決裁権限表のデータ・記録をつなぐ) | Node.js で同じものを書く |
| 保管 | Cloud Storage(規程・取り決め・Q&Aの原本とメタデータ)、決裁権限表のデータ(案件の種類・閾値・区分・適用期間の表) | ─ |
規程の置き場と申請の受付は、新しく足すものではありません。 中継プログラムは申請の受付に書き込みません。 承認が要る案件は、担当がこれまでどおり申請を出します。最初の準備は、決裁権限表を案件の種類・閾値・区分・適用期間の表データにし、注記を文として残すことです。
検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作って出典を付け、前のセッションの ID を渡すとやり取りを続けられます。 回答の主張ごとに根拠のスコアを返す設定と、根拠の弱い回答を落とす設定があります。
親会社への報告の仕組みの土台は、会社法と会社法施行規則です。 会社法第362条第4項は、取締役会設置会社の取締役会が、重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができないとし、第6号に当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するための体制の整備を挙げています。会社法施行規則第100条第1項第5号イは、その体制の1つとして子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当該株式会社への報告に関する体制を挙げています。グループ会社管理規程と決裁権限表は、この体制の具体的な形の1つです。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
起点は、グループ会社の担当がグループ内のチャット画面で質問を送ったことです。 画面はグループ共通の ID でログインした、各社の経営企画・総務の担当と親会社のグループ管理課だけが使います。案件の概要、金額、予定の決定日を入れないと送信できない作りにします。
金額は数値の欄と、但し書きの選択肢で入れさせます。 「税抜か税込か」「単年度か複数年の総額か」「同じ案件を分けて発注する予定があるか」を選ばせます。決裁権限表の注記が問うのは、この3つが多いからです。予定の決定日は、決裁権限表の改定の前後を分けるのに使います。
1件の案件は1つのセッションで続け、「リースで調達する場合は」と聞き足すと同じセッションで絞り直します。別の案件は、新しいセッションで始めます。 担当が種類を選んだ時点で、区分の計算に進みます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 質問 | 案件の概要、金額と但し書き、予定の決定日 | 画面 |
| 所属会社と会社の区分 | 会社のコード、100%子会社/合弁会社/海外子会社 | グループ共通の ID と会社の一覧 |
| グループ会社管理規程 | 承認・事前協議・報告の定義、手続き、期限 | 規程の置き場 |
| 決裁権限表の注記 | 金額の数え方、合算の扱い、種類の説明 | 規程の置き場 |
| 決裁権限表のデータ | 案件の種類、閾値、区分、適用期間(表データ) | グループ管理課が作る |
| 個別の取り決め | 合弁会社との取り決め、海外子会社の補足の定め | 会社ごとの取り決めの置き場 |
| 運用のQ&A | グループ管理課が過去に答えた種類の迷いと答え | グループ管理課 |
質を決めるのは、決裁権限表を2つに分けて持つことです。 閾値と区分は表データにしてプログラムが引き、注記と種類の説明は文として検索の対象に入れます。表のまま検索に入れると、モデルが閾値を読んで区分を答え始めます。
文書ごとのメタデータは、会社のコード、会社の区分、文書の種類(規程/注記/取り決め/Q&A)、適用開始日、適用終了日です。 個別の取り決めにはその会社のコードだけを付け、規程と注記には all を付けます。
データの取得方法を決める
文書は Cloud Storage に置き、メタデータ付きでデータストアへ取り込みます。 規程は Word、決裁権限表は Excel、取り決めは PDF で持っていることが多く、レイアウトの解析は PDF・HTML・DOCX・PPTX・XLSX・XLSM の配置を検出します。 注記の段落と見出しを見分けられます。
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 会社のコード | メタデータ company_id | その会社の取り決めだけを引く |
| 会社の区分 | メタデータ company_type | 合弁会社・海外子会社の補足を引く |
| 文書の種類 | メタデータ doc_type | 規程・注記・取り決め・Q&Aを分けて根拠に示す |
| 適用開始日・終了日 | メタデータ valid_from・valid_to | 予定の決定日に効いている版だけに絞る |
絞り込みの式は、会社と日付で書きます。 項目を索引可能にしておけば、company_id: ANY("JV02", "all") AND valid_from <= "2026-11-20" AND valid_to >= "2026-11-20" のように、合弁会社2の、11月20日に効いている規程と取り決めを引けます。日付は ISO 8601 の文字列で比べられます。索引可能にしても絞り込みに使えない項目があるとされているので、 項目ごとに確かめます。
会社ごとに見せる文書を分けるには、データストアのアクセス制御を使います。 合弁会社の取り決めは、他のグループ会社の担当に見せない文書です。アクセス制御はデータストアの作成時に選ぶ設定で、既存のデータストアで切り替えることはできません。 Cloud Storage の文書ではメタデータの acl_info に読める人を書き、1つの文書の読み手は3,000までで、グループは1つの読み手として数えられます。会社ごとに担当のグループを作り、その会社の取り決めの読み手にします。
AIへ渡す前に整形する
- 決裁権限表を表データにする … 案件の種類、閾値、区分、金額の数え方の区分、適用期間を1行ずつにし、グループ管理課が確かめます
- 注記を文として残す … 表の欄外の注記と種類の説明を、表データとは別の文書にします
- 規程を版ごとに分ける … 改定のたびに上書きされた規程と決裁権限表は、版ごとに適用期間を付けます
- 個別の取り決めに会社のコードを付ける … 合弁契約のうち親会社の承認・事前協議に関わる条を抜き出し、その会社のコードで取り込みます
- 運用のQ&Aを作る … グループ管理課が過去に答えた「この案件はどの種類か」を、問いと答えと根拠の形にします
- 見出しを断片に含める … データストアの作成時に分割を有効にし、
includeAncestorHeadingsを有効にします
1番目が、この構成でいちばん大事な作業です。 閾値をプログラムで比べるために、表の1行1行を、人が読んで決めたデータにします。 案件の種類は数十で、一度作れば改定のたびに直すだけです。
6番目は、データストアを作る前に決めます。 分割はデータストアの作成後に有効にも無効にもできず、見出しを含める設定は既定では無効です。 「税抜で判定する」とだけ書かれた断片は、見出しが無いとどの種類の注記か分かりません。 分割の大きさは100〜500トークンで、既定は500です。
AIに処理させる
させるのは、案件の概要から、決裁権限表のどの種類に当たりうるかの候補を、根拠の条と注記付きで並べることです。 区分を決めること、閾値と比べること、承認してよいかを言うことはさせません。
| 項目 | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 案件の種類の候補 | 決裁権限表の種類の名前(1〜3個) | 規程・注記・Q&A |
| 候補ごとの理由 | 規程と注記の文のどこに当たるか | 規程・注記 |
| 金額の数え方 | 税抜・総額・合算の注記 | 注記 |
| 個別の取り決め | その会社の取り決めで扱いが変わるか | 取り決め |
| 子会社側の手続きとの区別 | 親会社の手続きと別に、子会社の機関決定が要りうる旨 | 規程 |
answer メソッドの設定は次のようにします。
| 設定 | 値 | 理由 |
|---|---|---|
session | 案件ごとのセッション | 聞き足した条件で絞り直す |
includeCitations | 有効(既定は無効) | 規程の条と注記を付ける |
ignoreLowRelevantContent | 有効 | 規程に無い種類を答えない |
groundingSpec の filteringLevel | FILTERING_LEVEL_HIGH | 根拠の弱い答えを出さない |
filter | 会社のコード、予定の決定日 | 他社の取り決めと古い版を混ぜない |
preamble | 下の指示 | 答え方の規則を与える |
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 承認・報告の区分を答える | 区分は決裁権限表のデータから出す |
| 金額を閾値と比べる | 注記の読み違いがもっともらしい形で出る |
| 承認されそうかを言う | 承認は親会社の決裁者が決める |
| 子会社の取締役会への付議の要否を答える | 子会社の機関の話で、親会社の規程とは別 |
| 他社の取り決めで補う | 取り決めは会社ごとに違う |
1行目と2行目がいちばん起きやすい失敗です。 注記を読んだモデルは、「5,000万円以上は承認のため、本件は承認です」と書きたがります。 区分の文が画面に出ると、プログラムの出した区分と並び、食い違ったときにどちらを信じるかで迷います。 区分はプログラムの1か所でだけ出します。
指示内容を固定する
answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。
あなたは持株会社の経営企画部グループ管理課で、グループ会社の担当からの
「この案件は親会社の手続きが要るか」の問い合わせを手伝う立場です。
検索結果に出た、グループ会社管理規程・決裁権限表の注記・この会社の個別の取り決め・
運用のQ&Aだけを根拠に答えます。読むのはグループ会社の担当です。
【答え方】
1. 案件が決裁権限表のどの種類に当たりうるかの候補を、1〜3個挙げてください。
種類の名前は、決裁権限表の注記に書かれた名前のまま書いてください。
2. 候補ごとに、当たりうる理由と、根拠の条または注記の箇所を書いてください。
3. 金額の数え方(税抜・総額・合算)の注記があれば、その文のまま書いてください。
4. この会社の個別の取り決めで扱いが変わる場合は、その条を書いてください。
【厳守事項】
- 承認・事前協議・報告・不要のどれに当たるかを書かないでください。
区分は別の仕組みが決裁権限表から出します。
- 金額を閾値と比べないでください。「閾値を超えるので」と書かないでください。
- 承認されるかどうか、問題がないかどうかを書かないでください。
- 子会社の取締役会に付議が要るかは答えないでください。
「子会社の機関決定は別に確認が要る」とだけ書いてください。
- 他の会社の取り決めや、一般的なグループ管理の慣行で補わないでください。
- 候補が決まらないときは「種類が決まらない」と書き、迷う理由を並べてください。
「区分を書かない」を書くのは、区分が正しくても困るからです。 区分の文がモデルとプログラムの2か所から出ると、担当はモデルの文のほうを読みます。 注記の但し書きを読み落とした区分が、文として信じられます。
「子会社の機関決定は別」と書かせるのは、第3章の(d)を防ぐためです。 担当が混ぜて聞いても、答えの側で2つを分けて見せます。
出力形式を固定する
answer メソッドの応答と、担当の選択、決裁権限表のデータからの区分を、中継プログラムが次の形にまとめて画面と記録に渡します。
{
"query_id": "",
"session_id": "",
"requester_id": "",
"company_id": "JV02",
"company_type": "wholly_owned | joint_venture | overseas",
"decision_date": "2026-11-20",
"amount": { "value": 48000000, "tax": "excluded", "basis": "single_year", "split_order": false },
"question": "",
"category_candidates": [
{ "category": "", "reason": "", "refs": [ { "doc_type": "rule | note | agreement | qa",
"location": "", "uri": "" } ] }
],
"selected_category": "",
"procedure": "approval | prior_consultation | report | none | undetermined",
"rule_row_id": "",
"near_threshold": true,
"conflicts": [ { "summary": "", "refs": [""] } ],
"status": "answered | routed",
"hq_review": { "confirmed_procedure": "", "note": "" }
}
1つ目の理由は、category_candidates と procedure を別の層に置けることです。 候補はモデルが出し、selected_category は担当が選び、procedure と rule_row_id は中継プログラムが決裁権限表のデータから入れます。閾値が改定されても、直すのは表データだけです。
2つ目は、near_threshold で回し先を機械的に決められることです。 金額が閾値の近くにあれば、区分を出したうえで親会社の待ち行列にも載せます。 注記の但し書きで区分が変わりうる案件を、人の目に通します。
3つ目は、amount を数値と但し書きに分けて持つことです。 決裁権限表の注記は金額の数え方を問うので、入力の段階で数え方をそろえておけば、比較はプログラムで確実にできます。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| グループ内のチャット画面 | グループ向けの画面 | 質問、候補の表示、種類の選択、区分と根拠の表示 |
| グループ共通の ID | ログイン | 担当と所属会社を特定する |
| Agent Search | answer メソッドの呼び出し | 会社と日付で絞って候補と根拠を返す |
| 決裁権限表のデータ | 読み取り | 種類・金額・日付から区分を出す |
| 親会社の待ち行列 | 書き込み | 種類が決まらない・閾値の近く・食い違いの案件を載せる |
| 質問の記録 | 書き込み | 質問・候補・選択・区分・根拠を残す |
申請の受付(ワークフロー)には、つなぎません。 区分が「承認」と出ても、申請は担当がこれまでどおり出します。 画面から申請が自動で起きると、種類の選び間違いがそのまま親会社の決裁に流れます。
親会社の担当が回ってきた案件の区分を決めたら、運用のQ&Aに足すかを決めます。 同じ種類の迷いが2回来たら、Q&Aに書いて取り込むところまでを1件の完了とします。
人が確認する
人が確かめるのは、種類の選択と、回ってきた案件です。
- 担当が種類を選ぶ … 候補と根拠を読み、1つを選びます。迷えば「決まらない」を選びます
- 親会社の担当が回ってきた案件の区分を決める …
undetermined、near_threshold、conflictsのもの - 「承認」「事前協議」と出た案件は、申請の段階で親会社が区分を確かめる … 画面の区分は、申請の受付の点検の代わりになりません
- 月に1回、「報告」「不要」と出た案件から20件を抜いて読む … 種類の選び間違いで手続きを飛ばしていないかを見ます
4番目を省かないでください。 「不要」と出た案件は、親会社に何も届かないので、誤りに気づく機会がありません。 抜き取りで読むのは、届かない側の案件です。
目標は、120件をならして1件9分です。 親会社の担当の時間は、回ってきた案件の判断と抜き取りの確認に使う想定です。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 候補が決まらない | undetermined。親会社の待ち行列へ |
| 根拠のスコアが低く答えが落ちた | LOW_GROUNDED_CONTENT。取り込み漏れを疑い、グループ管理課で確かめる |
| 規程と個別の取り決めが食い違う | conflicts に並べて親会社へ。どちらが優先かは決めない |
| 金額が閾値の近く | 区分を出したうえで親会社の待ち行列にも載せる |
| 選んだ種類が表データに無い | 区分を出さず、表データの整備をグループ管理課へ |
| 予定の決定日が改定日をまたぐ | 改定の前と後の区分を並べ、親会社へ回す |
| 金額が決まっていない | 種類の候補だけを返し、金額が決まってから区分を出す |
| 検索が応答しない | 画面に「後で再送」を出し、質問の文は消さずに残す |
4行目が、件数の割に重い行です。 閾値の近くの案件は、区分の誤りが親会社の承認の漏れに直結します。 幅をどこまでにするかは、運用の最初の数か月の件数を見て決めます。
記録を残す
- 質問の文、担当の ID、会社のコード、金額と但し書き、予定の決定日、日時、セッションの ID
- 絞り込みの式と、answer メソッドの応答の全文(出典と根拠のスコアを含む)
- 種類の候補、担当が選んだ種類、決裁権限表のデータの行と版、出した区分
- 親会社の担当の確認の結果と、運用のQ&Aに足した文
- 記録の閲覧の履歴
3つ目で「担当が選んだ種類」を残すのは、後から手続きの漏れが見つかったときのためです。 監査で「この案件はなぜ報告で済ませたのか」と問われたとき、どの候補が出て、誰がどれを選び、どの版の表で区分が出たかを示せます。
記録は、グループ会社ごとに閲覧を分けます。 案件の記録には、他のグループ会社に見せない投資や取引の情報が入ります。
04実装レベルの3段階
最小構成では、グループ会社の担当は使えません。 親会社の担当が自分の調べものに使う段階で、確かめるための段階です。 半自動化で、1件30分が18分程度になります。 種類を探す時間は減りますが、閾値と注記を人が読み合わせ、回答を書いて返す作業が残ります。本格構成で9分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、閾値の比較を人が読むか、表データで出すかの違いです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化で1か月使うと、種類の迷いが多い案件と、表データにしにくい注記が先に分かります。
05工数削減シミュレーション
導入後 120件 × 9分 ÷ 60 = 18 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 子会社と関連会社が十数社から数十社あり、グループ会社管理規程と決裁権限表で、親会社の承認・事前協議・報告の対象を案件の種類と金額で決めている会社。子会社の担当が入れ替わり、どの案件を親会社に上げるかの問い合わせが親会社の経営企画に毎月集まる場合。合弁会社や上場子会社のように、会社ごとに個別の取り決めがある場合。
- 子会社が数社で、親会社の経営企画が全案件を個別に把握している場合。決裁権限表が無く、親会社への付議の範囲が慣行で決まっている場合(先に規程と決裁権限表を文書にするのが先です)。承認するかどうかの判断や、子会社の取締役会への付議の要否の判断までAIに任せたい場合(この構成は親会社への手続きの区分と根拠を示すだけで、承認は親会社の決裁者が、子会社の機関決定は子会社が行います)。
07最小構成で試す方法
- グループ会社管理規程、決裁権限表、合弁会社1社の個別の取り決めを集める(注記の多い種類を必ず入れる)
- 過去3か月の問い合わせから30件を選び、当時の区分と理由を書き出す(閾値の近くの案件と、種類で迷った案件を5件以上入れる)
- 規程と注記と取り決めを手元のAIサービスに読み込ませる(決裁権限表の閾値の列は、試験のために消したものを使う)
- 「この案件が決裁権限表のどの種類に当たりうるかの候補を、根拠の条と注記付きで挙げてください。承認・報告の区分は書かないでください」と指示する
- 出てきた候補を、当時の種類と突き合わせ、当時の区分を表から人が引いて比べる
30件は必ずやってください。 データストアを組む前に、「規程と注記だけで種類の候補が絞れるのか」を確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時の種類が候補に入っていた | 表データとデータストアの構築に進む |
| 区分を書いた、閾値と比べた | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| 当時の種類が規程にも注記にも無い運用で決まっていた | 運用のQ&Aを作るのが先。 AIの問題ではない |
3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、課長に問い合わせが集まっていた理由が1つ分かったということです。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| モデルが区分を答える | 区分は表データから出す。 指示で禁じ、候補と根拠だけを出させる |
| 注記の但し書きで閾値を読み違える | 金額を数値と但し書きで入れさせ、比較はプログラムで行う |
| 閾値の近くの案件で区分を誤る | near_threshold で親会社にも回す |
| 合弁会社の取り決めが他社に見える | アクセス制御で会社ごとの担当のグループを読み手にする。作成時に選ぶ |
| 他社の取り決めで答える | 会社のコードを ID から引き、絞り込みの式に必ず入れる |
| 改定前の決裁権限表で区分を出す | 表データと文書に適用期間を持たせ、予定の決定日で引く |
| 子会社の取締役会の付議と混ぜる | 指示で答えさせず、「子会社の機関決定は別」と書かせる |
| 「税抜で判定」が何の注記か分からない | includeAncestorHeadings を有効にする。作成後は変えられない |
| 「不要」と出た案件の誤りに気づけない | 月に1回、抜き取りで読む |
| 区分から申請を自動で起こしたくなる | 申請の受付にはつながない。申請は担当が出す |
上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも区分を外す失敗で、答えの文は正しく見えます。 閾値の比較を、モデルの読み方ではなく表データとプログラムで守っているかで、運用に乗るかが決まります。
4行目と5行目は、会社ごとの文書の扱いの失敗です。 区分の誤りより先に、他のグループ会社の取引が見える事故として表に出ます。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: グループ会社管理規程、決裁権限表、合弁会社との取り決め、そしてグループ会社の投資・借入れ・契約の案件の概要と金額です。
- 会社ごとに見せる文書を分ける … 合弁会社の取り決めと各社の案件は、他のグループ会社に見せない情報です。 アクセス制御で会社ごとの担当のグループを読み手にし、記録の閲覧も会社ごとに分けます
- この構成は承認しません … 承認するかどうかは、親会社の決裁者が申請を見て決めることです。 画面の区分は、申請の要否の目安です
- 子会社の機関決定は子会社が決める … 会社法第362条第4項の取締役会の決議事項は、子会社自身の取締役会の話です。 親会社の決裁権限表の区分とは別に、子会社の法務と取締役会事務局が確かめます
- 公表前の重要な情報を扱う … 出資や事業の譲受けの案件は、公表前の重要な情報に当たることがあります。質問の記録の閲覧を限り、保存の期間を決めます
- 決裁権限表の表データの変更を記録する … 閾値を変えると過去の区分の意味が変わります。表データの版を残し、 変更は取締役会や経営会議で決めた改定に合わせて行います
- 海外子会社の現地の法令は別に確かめる … 補足の定めにない現地の手続きは、この構成の外で現地の担当と確かめます
誤りが起きた場合のリスクは、承認が要る案件を報告で済ませることと、他のグループ会社の案件が見えることの2つです。 前者は企業集団の業務の適正を確保する体制の穴に、後者は取引先との信頼の問題になります。表データとアクセス制御という、モデルの外の仕組みで止めます。
10まず何から始めるか
1週目:決裁権限表を表データにする
決裁権限表の1行1行を、案件の種類・閾値・区分・金額の数え方・適用期間のデータにします。グループ管理課が元の表と突き合わせます。この作業で、注記に頼っていた行が見えます。
2週目:30件で試す
過去の問い合わせ30件を、閾値の列を消した規程と注記で、手元のAIサービスに種類の候補を出させます。区分を書いていないか、閾値と比べていないかを最優先で見ます。
3週目:会社ごとの文書と読み手を決める
合弁会社の取り決めから親会社の手続きに関わる条を抜き出し、会社ごとの担当のグループを作ります。運用のQ&Aを、過去に種類で迷った案件から作ります。
4週目:データストアと表データをつなぐ
アクセス制御・分割・見出しの設定を決めてデータストアを作り、文書を取り込みます。中継プログラムで会社と日付の絞り込みと表データの区分を入れ、親会社のグループ管理課だけが使う形で候補・区分・根拠を画面に出すところまで作ります。
2か月目: グループ管理課の5名で使い、undetermined と near_threshold を毎週数えます。3か月目以降: 国内子会社3社の担当に開き、1件30分が何分になったかを実測します。種類の迷いがQ&Aに書き足される手順が定着し、抜き取りで「不要」の誤りが見つからなくなった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドが検索結果から回答を作ること。前のセッションの ID でやり取りを続けられること。includeCitations(既定は無効)、ignoreLowRelevantContent、preamble、searchSpec の filter。groundingSpec の filteringLevel(FILTERING_LEVEL_LOW/HIGH)と主張ごとの根拠のスコア、answerSkippedReasons の LOW_GROUNDED_CONTENT | Google Cloud: Get answers and follow-ups | 2026-10-08 |
絞り込みの ANY()、比較の演算子、AND/OR、日付を ISO 8601 の文字列で比べられること、項目を索引可能にする必要があること、索引可能でも絞り込みに使えない項目があること | Google Cloud: Filter search for structured or unstructured data | 2026-10-08 |
レイアウトの解析が PDF・HTML・DOCX・PPTX・XLSX・XLSM の配置を検出すること。分割の大きさが100〜500トークン(既定500)、includeAncestorHeadings が既定で無効、分割はデータストアの作成後に切り替えられないこと | Google Cloud: Parse and chunk documents | 2026-10-08 |
データソースのアクセス制御がデータストアの作成時に選ぶ設定で、既存のデータストアで切り替えられないこと。Cloud Storage の文書ではメタデータの acl_info に読める人を書くこと。1つの文書の読み手が3,000までで、グループや個人が1つの読み手として数えられること | Google Cloud: Use data source access control | 2026-10-08 |
| 会社法第362条第4項(重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財等の決定を取締役に委任できないこと。第6号の企業集団の業務の適正を確保するための体制の整備) | e-Gov 法令検索 法令API: 会社法 | 2026-10-08 |
| 会社法施行規則第100条第1項第5号イ(子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当該株式会社への報告に関する体制) | e-Gov 法令検索 法令API: 会社法施行規則 | 2026-10-08 |
親会社の承認・報告の範囲と、子会社の機関決定の要否は、各社の規程と取締役会の決定、法務の判断に従ってください。 本記事は Google Cloud と e-Gov 法令検索で確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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