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市役所の各課に国・県から届く通知・事務連絡を要約し、自課で対応が要る事項・期限・照会への回答の要否を一覧にして課長に回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

課に届いた国・県の通知・事務連絡・照会のPDFを Gemini API に読ませ、自課で対応が要る事項、回答と提出の期限、照会への回答の要否を原文の一文付きで一覧にします。庶務の担当が確かめ、担当の係の候補を添えて課長に回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Power Automate/Python
対象業界
介護/医療/教育/自治体
対象部門
総務
対象業務
内容確認・チェック/要約
主な課題
人手が足りない/判断に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
90h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
67%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 文書管理システムの回付と、課の共有メールボックスを朝と昼に確かめる
  2. 届いた文書の鑑文、本文、別紙を開き、何についての文書かを読む
  3. 照会であれば、回答の期限、様式、提出先、回答の要否の条件を探して書き出す
  4. 通知であれば、事務の変更点、施行の日付、住民への周知の要否を書き出す
  5. 前年度に同じ照会が来ていれば、そのときの回答のファイルを共有フォルダから探す
  6. 要点のメモを付けて課長に回す。課長が担当の係を決めて書き込む
  7. 照会は管理簿に件名・期限・担当の係を書く
導入後(After)
  1. 人庶務の担当が、回付された文書とメールの添付を、課の「受付」フォルダに件ごとに保存する
  2. 自動午前9時と午後1時に処理が動き、受付フォルダの新しい件を拾う
  3. 自動件ごとに鑑文・本文・別紙を並べ、PDFにそろえる
  4. 自動Gemini API が、文書の種類、対応の種類、期限、回答の要否の条件、様式と提出先を、原文の一文付きで返す
  5. 自動期限の種類と出どころから、課にとっての期限を規則で決める
  6. 自動照会の名称と発出元で、管理簿から前年度の同じ照会と回答の保存先を引く
  7. 自動課の事務分掌から担当の係の候補を付け、課長向けの一覧を作る
  8. 人庶務の担当が一覧の各行を原文と照らし、印の付いた行を確かめる
  9. 人課長が一覧を見て、担当の係と対応の方針を書き込む
  10. 自動課長が「回答要」とした照会を管理簿に書き込む
各工程の詳しい説明を読む
  1. 文書管理システムの回付と、課の共有メールボックスを朝と昼に確かめる
  2. 届いた文書の鑑文、本文、別紙を開き、何についての文書かを読む
  3. 照会であれば、回答の期限、様式、提出先、回答の要否の条件を探して書き出す
  4. 通知であれば、事務の変更点、施行の日付、住民への周知の要否を書き出す
  5. 前年度に同じ照会が来ていれば、そのときの回答のファイルを共有フォルダから探す
  6. 要点のメモを付けて課長に回す。課長が担当の係を決めて書き込む
  7. 照会は管理簿に件名・期限・担当の係を書く

(a)1件ずつ読んで要点を書く時間が取れない。 鑑文1枚に本文が数ページ、別紙にQ&Aや様式が数十ページ付く文書もあります。庶務の担当は、予算・議会・人事の事務と並行してこれを読んでいます。 議会の会期中や予算の時期は、要点のメモが「件名だけ」になりがちです。

(b)「該当なし」の回答を出し忘れる。 「該当がない場合も、その旨を回答願います」という一文は、本文の末尾や別紙の様式の欄外に書かれていることが多く、件名と本文の冒頭だけを読むと見落とします。 見落とした照会は管理簿に載らないので、催促が来て初めて分かります。

(c)県の取りまとめの期限を見落とす。 国の本文には国への提出期限、県の鑑文にはそれより早い県への提出期限が書かれています。要点のメモに本文の期限だけを写すと、課長も係も、県の期限を知らないまま作業します。

(d)前回の回答が見つからない。 毎年同じ時期に来る調査は、前年度の回答を見れば半分は埋まります。ところが、前年度の回答をどこに保存したかは、そのとき担当した職員しか知らないことが多く、探すのに時間がかかるうえ、見つからずに一から作り直すこともあります。

  1. 【人】 庶務の担当が、回付された文書とメールの添付を、課の「受付」フォルダに件ごとに保存する
  2. 【自動】 午前9時と午後1時に処理が動き、受付フォルダの新しい件を拾う
  3. 【自動】 件ごとに鑑文・本文・別紙を並べ、PDFにそろえる
  4. 【自動】 Gemini API が、文書の種類、対応の種類、期限、回答の要否の条件、様式と提出先を、原文の一文付きで返す
  5. 【自動】 期限の種類と出どころから、課にとっての期限を規則で決める
  6. 【自動】 照会の名称と発出元で、管理簿から前年度の同じ照会と回答の保存先を引く
  7. 【自動】 課の事務分掌から担当の係の候補を付け、課長向けの一覧を作る
  8. 【人】 庶務の担当が一覧の各行を原文と照らし、印の付いた行を確かめる
  9. 【人】 課長が一覧を見て、担当の係と対応の方針を書き込む
  10. 【自動】 課長が「回答要」とした照会を管理簿に書き込む

8番目が、この設計の分かれ目です。 庶務の担当は文書を一から読むのではなく、一覧に写された原文の一文が本当にその文書にあるか、印の付いた行の期限と要否の条件が正しいかを確かめます。 全文を読み直す設計にすると、時間はほとんど減りません。

10番目を課長の判断の後に置いているのも、意図してのことです。 「回答要」の判断を AI の出力のまま管理簿に入れると、AIが要否を読み違えた照会が、管理簿の上で正しいものとして扱われます。管理簿は課の判断の記録なので、判断した人の後に書きます。

02今回想定するシステム構成

構成図
文書管理システムの回付 / 県の主管課からのメール
   │  庶務の担当が件ごとに受付フォルダへ保存
   ▼【トリガー】午前9時・午後1時の定時の実行
Python(課の共有フォルダを読む)
   ├──▶ 件ごとに鑑文・本文・別紙を並べ、PDFにそろえる
   ▼
Gemini API ── 文書のPDFを読む
   │   ① 文書の種類       ② 対応の種類と原文の一文
   │   ③ 期限と出どころ   ④ 回答の要否の条件
   │   ⑤ 様式・提出先・提出方法
   ▼
Python ── 課にとっての期限を規則で決める
   ├──▶ 管理簿から前年度の同じ照会と回答の保存先を引く
   ├──▶ 事務分掌から担当の係の候補を付ける
   ▼
課長向けの一覧(スプレッドシート)
   ▼
【庶務の担当が原文と照らす → 課長が係と方針を書き込む】
   ▼
照会の回答の管理簿へ(課長が「回答要」としたものだけ)
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(文書のPDFの要約、対応・期限・回答の要否の条件の抽出)Claude API、OpenAI API
連携Python(定時の実行、件のまとめ、期限の規則、管理簿の照合、一覧の作成)Google Apps Script、Power Automate
保管課の共有フォルダ(受付・処理済み・一覧)文書管理システムの添付

文書管理システムと共有メールボックスには、この構成からつながりません。 庶務の担当が件ごとに受付フォルダへ保存する手作業を1つ残しています。外部のAPIへ送ってよい文書かどうかを、保存するときに人が選ぶためです。非公開の照会や個人の情報を含む文書は受付フォルダに入れず、これまでどおり手で読みます。

土台になるのは、Gemini API がPDFをそのまま読めることです。 公式の説明では、PDFをネイティブのビジョンで処理し、文字だけでなく画像、図、表も読めるとされています。上限は1ファイル50MBまたは1,000ページで、1ページは258トークンとして数えられます。 鑑文・本文・別紙を1件にまとめても、多くの文書はこの範囲に収まります。

受け取りの形は、構造化出力で決めます。 /v1beta/interactions に送るリクエストの response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れると、JSONで返ります。スキーマでは enum と required が使えます。ただし公式のページは、JSONとして正しくても値が誤っていることがあるので、アプリケーションの側で値を検証するよう案内しています。この構成で原文の一文との照合を Python に置いているのは、そのためです。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

午前9時と午後1時の、1日2回の定時の実行を起点にします。 受付フォルダに件のフォルダが置かれるたびに動かすのではなく、まとめて動かします。課長が一覧を見る時間を、朝と昼過ぎの2回に決めておくためです。届くたびに一覧が変わると、課長はいつ見ればよいかが分からなくなります。

午後1時の実行で、その日の午前に届いたものまでを課長に渡します。 期限の近い照会は、午後のうちに係が決まれば、翌朝から作業に入れます。午後1時以降に届いた文書は、翌朝9時の実行で拾います。県から「本日中」と書かれた照会が午後に届いたときは、庶務の担当がその場で課長に口頭で伝えます。 定時の実行を待たせない例外として、運用の決まりに書いておきます。

処理が終わった件のフォルダは、処理済みフォルダへ移します。 移すのは一覧への書き込みまで成功したときだけです。受付フォルダに残っている件の数が、そのまま未処理の件数になります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
文書鑑文、本文、別紙、様式。発出元、日付、文書番号受付フォルダ(件ごとのフォルダ)
受付の情報届いた日、経路(回付/メール)、メールの件名と送信元庶務の担当が置く受付票(1行のテキスト)
課の事務分掌係ごとの所掌の事務と、よく受ける通知の分野課で用意する表
照会の回答の管理簿過去の照会の件名、発出元、期限、担当の係、回答日、回答の保存先課の管理簿(スプレッドシート)

質を決めるのは、課の事務分掌の表です。 組織規則の「〇〇に関すること」という文言だけでは、国の事務連絡の件名と結びつきません。係ごとに、よく受ける通知の分野(介護保険の給付、障害福祉サービスの報酬、国民健康保険の保険料など)を数行ずつ書き足します。 これが担当の係の候補の精度を決めます。

管理簿は AI には渡しません。 前年度の同じ照会を探すのは Python の文字列の照合で行います。AI に過去の照会の一覧を見せると、件名の似た過去の照会に引きずられて、今回の文書の中身を読まずに要約することがあります。 今回の文書の要約と、過去の記録の照合を分けておくと、どちらが誤ったかを後から切り分けられます。

Step3

データの取得方法を決める

Python が受付フォルダを読み、件のフォルダごとにファイルを集めます。

取るものどこから何に使うか
鑑文・本文・別紙のPDF件のフォルダ要約、対応、期限、回答の要否の条件
受付票件のフォルダ経路と届いた日の記録
事務分掌の表課の共有フォルダ担当の係の候補
過去の照会の行管理簿前年度の同じ照会と回答の保存先

鑑文と本文は、1回のリクエストでまとめて渡します。 県の鑑文と国の本文で期限が違うことがあり、別々に渡すと、どちらの期限がどちらの文書のものかを比べられません。 ファイル名の先頭に 01_鑑文、02_本文、03_別紙1 のように番号を付けてもらい、その順に並べて渡します。

別紙が数百ページに及ぶ文書は、本文までを先に渡します。 Q&A集や様式集が付く文書は、本文で対応と期限が分かります。本文に「別紙様式により回答」とある場合だけ、様式の部分を足して渡します。 上限の1,000ページに収まっていても、要らない別紙を渡すと読む範囲が広がり、要否の条件の一文を取り違えやすくなります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … PDFであることを確かめます。Word や Excel の様式はPDFにしたものを足し、元のファイルも残します
  2. 大きさの確認 … 50MBまたは1,000ページを超えるものは、本文と別紙に分けます
  3. 並びの確認 … ファイル名の番号の順に並べ、鑑文が無い件は「鑑文なし」と記録します
  4. 受付票の確認 … 受付票が無い件、経路が書かれていない件は処理から外し、庶務の担当に戻します
  5. 件名の正規化 … 年度、日付、全角と半角の違いを取り除き、管理簿の照合に使う鍵を作ります
  6. 訂正・追加の検知 … 件名の「(訂正)」「(追加)」「(再周知)」を拾い、前の件を管理簿から探します

4番目は、外部へ送ってよい文書かどうかの確認を兼ねています。 受付票は、庶務の担当が「この件は送ってよい」と判断した印でもあります。受付票の無い文書がフォルダに紛れ込んでも、送らないようにしておきます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、文書ごとに、何を求めていて、いつまでに、どの条件で回答が要るのかを、原文の一文と出どころを添えて返すことです。

見るもの判定の仕方判断できないときの扱い
文書の種類照会(回答・資料の提出を求める)、通知(制度・運用の変更)、周知の依頼、参考の送付、訂正・追加から選ぶ決められなければ unclear
要旨何の事務について、何が変わるか・何を求めるかを本文の言葉で3文以内本文に書かれていなければその項目を空にする
対応の種類回答、資料の提出、住民・事業者への周知、事務処理の変更、対応なしから選び、該当する原文の一文を写す「御了知願います」「参考まで」は none
期限日付、何の期限か(回答・提出・施行・申請・その他)、どの文書の何ページか書かれていなければ not_stated。推測しない
回答の要否の条件「該当がない場合も回答」「該当がある場合のみ回答」「全団体回答」などの条件を写す条件の記載が無ければ not_stated
様式と提出先様式の名前、提出の方法(メール、電子申請の仕組みなど)、提出先書かれていなければ空

5行目が、この構成でいちばん大事な項目です。 「該当なしの場合も回答」と書かれた照会を「対象外」と読むと、回答が出ません。条件の一文を写させ、要否を AI に判断させないことで、課長が一文を読んで決められるようにします。

期限の行も同じ考え方です。 県の鑑文の回答の期限と、国の本文の施行の日付は、どちらも日付ですが意味が違います。何の期限か、どの文書に書かれていたかを返させれば、課にとっての期限は規則で選べます。

させないこと理由
通知が自課の事務に当てはまるかの判断課の事務と制度を知る課長と係が決める
回答が要るかどうかの結論条件の一文までを返し、要否は課長が決める
期限の推測(「通常は2週間程度」など)書かれていない期限を作ると、管理簿の期限が崩れる
照会への回答の下書き回答は係が事実を確かめて作る
担当の係の決定候補までを規則で付け、決めるのは課長

3行目が、いちばん起きやすい失敗です。 「速やかに回答願います」「追って連絡します」のような文を渡すと、AI は具体的な日付に直しがちです。作られた日付は一覧の上で本物の期限と見分けがつかず、課長がそれを信じて係に振ると、本当の期限は誰も知らないままになります。

Step6

指示内容を固定する

あなたは市役所の課の庶務の担当として、国・県から課に届いた文書を読み、
課長に回す一覧の材料を作ります。
渡された文書に書かれていることだけを整理してください。
書かれていないことを推測しないでください。

【文書】ファイル名の番号順(01_鑑文、02_本文、03_別紙…)。ページ番号つき
【受付の情報】{receipt}

【返すこと】
- doc_type:inquiry(照会)/notice(通知)/inform_request(周知の依頼)/
  reference(参考の送付)/correction(訂正・追加)/unclear
- issuer:鑑文と本文それぞれの発出元、日付、文書番号
- summary:何の事務について、何が変わるか・何を求めるかを3文以内
- actions:対応ごとに kind(answer/submit/inform/change_procedure/none)と、
  その対応を求めている原文の一文を quote に
- deadlines:期限ごとに date、kind(answer/submit/effective/apply/other)、
  source(cover/main/annex)、page、原文の一文を quote に
- answer_condition:回答の要否の条件を書いた原文の一文と、その種類
  (answer_even_if_none/answer_only_if_applicable/all_must_answer/not_stated)
- forms:様式の名前、提出の方法、提出先

【厳守事項】
- 期限は、文書に日付として書かれているものだけを返してください。
  「速やかに」「追って」などは日付にせず not_stated とし、その文を quote に入れてください。
- 鑑文と本文で期限が違うときは、両方を返してください。どちらが優先かを決めないでください。
- 施行日や適用日を、回答や提出の期限として扱わないでください。
- 回答の要否の条件は、本文の末尾、別紙の欄外、様式の注記まで探してください。
  見つからないときは not_stated とし、要否を推測しないでください。
- quote には原文をそのまま写してください。言い換えたり、まとめたりしないでください。
- 通知が当課に当てはまるか、回答が要るかの結論を書かないでください。
- 照会への回答の内容を書かないでください。
- 個人の氏名、住所、電話番号が文書にあっても、出力に書き写さないでください。

「本文の末尾、別紙の欄外、様式の注記まで探す」を明記しないと、本文の冒頭だけで not_stated を返します。 回答の要否の条件は、人が見落とすのと同じ場所に書かれています。AI にも探す範囲を指示しておかないと、人と同じところで落とします。

「quote には原文をそのまま写す」を書くのは、後段の照合のためです。 言い換えた一文は、原文の中に見つかりません。Python が quote を原文のテキストの中から探し、見つからない行に印を付けるので、写していないと全行に印が付きます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "case_id": "",
  "doc_type": "inquiry | notice | inform_request | reference | correction | unclear",
  "issuer": { "cover": "", "main": "" },
  "summary": "",
  "actions": [ { "kind": "answer | submit | inform | change_procedure | none", "quote": "" } ],
  "deadlines": [
    { "date": "2026-11-06", "kind": "answer | submit | effective | apply | other",
      "source": "cover | main | annex", "page": 1, "quote": "" }
  ],
  "answer_condition": {
    "type": "answer_even_if_none | answer_only_if_applicable | all_must_answer | not_stated",
    "quote": ""
  },
  "forms": [ { "name": "", "method": "", "to": "" } ]
}

スキーマでは doc_type・kind・source・type を enum にし、date には日付の format を指定します。deadlines が空の文書もそのまま受け取ります。

1つ目の理由は、課にとっての期限を規則で決められることです。 Python は deadlines のうち kind が answer と submit のものを選び、source が cover(鑑文)のものがあればそれを、無ければ本文のものを、一覧の期限の列に出します。 決め方が規則の側にあるので、AI の返し方が揺れても一覧の期限は揺れません。

規則一覧での扱い
回答・提出の期限があり、あと3開庁日以内一覧の先頭に置き「至急」の印
answer_condition が answer_even_if_none「該当なしでも回答」の印。課長が要否を決めるまで管理簿の候補に残す
doc_type が inquiry なのに期限が not_stated「期限の確認」の印。庶務の担当が原文を見る
quote が原文のテキストに見つからない「原文の確認」の印
管理簿に前年度の同じ照会がある前回の担当の係と回答の保存先を並べる

2行目が要です。 該当なしでも回答が要る照会は、課長が「回答要」と書くまで、一覧の上で消えないようにします。見落としが起きるのは、要否を決める前に一覧から外れたときだからです。

2つ目は、原文の一文で確認が速くなることです。 一覧には quote とページ番号が並ぶので、庶務の担当はPDFを開く前に、対応と期限が原文でどう書かれていたかを読めます。課長も、要約ではなく原文の一文で要否を判断できます。

3つ目は、管理簿にそのまま渡せることです。 課長が「回答要」とした行は、件名、期限、様式の場所、担当の係を管理簿の列にそのまま写せます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
受付フォルダPython がファイルを読む件のフォルダを拾い、処理済みへ移す
Gemini APIAPI呼び出し(/v1beta/interactions)文書のPDFを渡し、構造化出力で受け取る
課の事務分掌の表Python が読む担当の係の候補
照会の回答の管理簿Python が読み、課長の判断後に書く前年度の照会の照合と、「回答要」の行の追加
課長向けの一覧スプレッドシートに書く1行1件。課長が係と方針を書き込む欄を持つ

担当の係の候補は、AI ではなく規則で付けます。 事務分掌の表の「よく受ける通知の分野」の語と、要旨の語の一致を数え、上位2つの係を候補にします。管理簿に前年度の同じ照会があれば、その担当の係を先頭に置きます。 規則で付けるので、候補が外れたときに表のどの語を足せばよいかが分かります。

文書管理システムには書き込みません。 回付の処理や収受の記録はこれまでどおりの操作で行い、この構成が出すのは課の中の一覧までです。

Step9

人が確認する

庶務の担当が見るのは、一覧の全行の要旨と、印の付いた行の原文です。 印の無い行は、要旨と原文の一文を読んで違和感が無ければ課長に回します。

  1. 「至急」の行を先に見る … 期限と出どころが原文のとおりかを、PDFの該当ページで確かめます
  2. 「該当なしでも回答」の行を確かめる … 条件の一文が原文にあるかを見ます。課長が見落とさないよう、一覧の上で色を変えます
  3. 「期限の確認」「原文の確認」の行を開く … 別紙や様式の欄外に期限や条件が書かれていないかを探します
  4. 課長に回す … 課長は担当の係、対応の方針、回答の要否を書き込みます
  5. 課長が判断を変えた行を記録する … 候補の係と違う係にした、AI が none とした文書に対応を求めた、などを残します

2番目を省かないでください。 「該当なしでも回答」は、それが本当に原文にあれば課の負担が増え、無ければ不要な回答を出すことになります。どちらに誤っても県とのやり取りに残るので、一文を目で確かめます。

目標は、360件をならして1件5分です。 参考の送付は1分もかからず、印の付いた照会は10分以上かかります。印の付く件が全体の2割を大きく超える月は、受付票の付け方か、事務分掌の表の語が足りていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
PDFが50MBまたは1,000ページを超える本文と別紙に分け、本文を先に渡す
パスワード付きのファイル処理から外し、庶務の担当に戻す。県に解除した版を頼むか、手で読む
鑑文が無く、本文だけが届いた「鑑文なし」と記録し、本文の期限を一覧に出す
同じ文書が回付とメールの両方で届いた発出元と文書番号と件名で照合し、2件目は「重複」として処理しない
訂正・追加の文書前の件を管理簿と一覧から探し、前の行に「訂正あり」の印を付ける
quote が原文に見つからない「原文の確認」の印。要約の内容も原文で確かめる
期限が過去の日付になっている「期限の確認」の印。届くのが遅れたか、読み違いかを人が見る
Gemini API が応答しない、エラーを返す件のフォルダを受付に残し、次の定時で再試行。2回続けて失敗したら手で読む

上から5行目までは、AI の問題ではありません。 文書の届き方の問題です。重複と訂正の扱いを先に決めておかないと、同じ照会が一覧に2行並び、片方だけが管理簿に載ります。

Step11

記録を残す

  • 件ごとの元のファイル(PDFと Excel の様式)と受付票
  • Gemini API に渡したファイルの一覧と、返ってきたJSONの全文
  • 規則で決めた課にとっての期限と、付けた印
  • 課長が書き込んだ担当の係、対応の方針、回答の要否
  • 課長と庶務の担当が AI の出力を変えた記録 … どの項目を、どう変えたか
  • 管理簿に書き込んだ日時と、回答した日

5つ目の記録は、指示の見直しに使います。 同じ種類の文書で answer_condition の取り違えが続くなら、指示の探す範囲が足りていません。3か月分たまったら、取り違えた文書を並べて指示を直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:文書のPDFを手でAIの画面に添付し、対応・期限・要否の条件を整理させる / 1件ごとの要点の書き出し
半自動化:上記+受付フォルダを定時に読み、APIで要約して一覧に書き出す / 要点の書き出しと一覧の作成
本格構成:上記+期限の規則、管理簿との照合、担当の係の候補、課長の判断後の管理簿への書き込み / 一覧の作成から管理簿の更新まで

最小構成では件数がさばけません。 1課で月60件を1件ずつ添付するのは、読む時間がそのまま添付の時間に変わるだけです。確かめるための段階です。 半自動化で、1件15分が8分程度になります。 要点の書き出しは自動になりますが、期限の選び方、前年度の回答の検索、係の候補は人の作業として残ります。本格構成で5分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、管理簿の照合と期限の規則が、件数に比例する手作業だからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、not_stated が多い発出元、受付票の付け忘れ、事務分掌の表の語の不足が先に分かります。そこを直してから規則と管理簿の照合を足すほうが、印の付く件が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
360 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
5 分
現在  360件 × 15分 ÷ 60 = 90 時間/月
導入後 360件 × 5分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
67%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,000円)
216万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 福祉・保健・税・教育など、国の制度に沿った事務が多く、県の主管課から課へ直接届く通知・事務連絡・照会が1課あたり月に数十件ある市町村の課。課の庶務の担当が届いた文書を読み、課長に回す前に要点を書き出している場合。「該当なし」の回答の出し忘れや、県の取りまとめの期限の見落としが毎年何件か起きている場合。
向いていない
  1. 課に届く文書が月に数件で、課長が直接読んで足りる場合。文書がすべて総務課の文書の担当を経由し、すでに要点と期限を付けて回付されている場合。外部のAIサービスに庁内の文書を送ることを、自団体の情報セキュリティポリシーや生成AIの利用ガイドラインがまだ認めていない場合。なお、通知が自課の事務に当てはまるか、照会に何と回答するかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月課に届いた文書から20件を選ぶ(うち数件は、「該当なしでも回答」の照会と、県の鑑文に期限がある照会を入れる)
  2. その20件について、当時の要点のメモと、課長が決めた担当の係を集める
  3. 1件ずつ、鑑文・本文・別紙のPDFを、組織で利用を認められたAIの画面に添付する
  4. 「この文書が求めている対応、期限(何の期限か、どの文書に書かれていたか)、回答の要否の条件を、原文の一文を写して整理してください。書かれていない期限は推測しないでください」と指示する
  5. 出てきた結果を、当時のメモと並べて見る

20件は、期限と条件の取り違えを見るためのものです。 要旨がきれいかどうかより、期限の種類と出どころ、要否の条件の一文が原文と一致しているかを数えます。

出てきた内容判断
当時のメモに無かった県の期限や「該当なしでも回答」が出た一覧の作成に進む
書かれていない期限を日付で返した指示の書き方で直る。構成は有効
原文の一文が言い換えられていた指示に「写す」を足す。照合の規則で拾える

1行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、これまでのメモで何が落ちていたかが分かったということです。 その件の当時の対応を確かめ、県への回答が遅れていなかったかも見てください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「該当なしでも回答」の一文を拾わない探す範囲(本文の末尾、別紙の欄外、様式の注記)を指示に書く
施行日が回答の期限として一覧に出る期限の種類を返させ、answer と submit だけを期限の列に出す
県の期限ではなく国の期限が一覧に出る出どころを返させ、鑑文の期限を優先する規則にする
書かれていない期限が日付で返る推測を禁じ、not_stated と原文の一文を返させる
原文の一文が言い換えられる「写す」を指示し、Python で原文の中から探して照合する
回付とメールで同じ文書が2件になる発出元・文書番号・件名で重複を見る
担当の係の候補が外れ続ける事務分掌の表に「よく受ける通知の分野」を足す
前年度の照会が管理簿で見つからない件名から年度と日付を除いた鍵で照合する
非公開の照会がAIに送られる受付票を置いた件だけを処理する。置くのは人
課長の判断の前に管理簿に載る管理簿への書き込みは課長の「回答要」の後に限る

上の4行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「期限と条件を、どこに何として書かれていたかを付けずに取り出す」ことから起きます。出どころと種類を返させ、選ぶのは規則にする設計で、まとめて防げます。

下の2行は、運用の決まりで守ります。 受付票の置き方と、管理簿へ書く順序は、作った後に崩れやすい部分です。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 国・県からの通知・事務連絡・照会の本文と別紙、課の事務分掌、照会の回答の管理簿です。多くは公表される性格の文書ですが、照会の中には調査の途中で公表されないもの、個別の事業所や住民に関わるものも混ざります。

  1. 外部へ送る文書を人が選ぶ … 受付フォルダに保存し、受付票を置いた件だけを送ります。個人の情報を含む文書、非公開の扱いの照会は送らず、手で読みます
  2. 自団体の手続きを先に通す … 総務省は「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」の第4版を令和7年12月に公表し、生成AIの利用の留意事項と、自治体が作る生成AIシステム利用ガイドラインのひな形を加えています。自団体のガイドラインと情報セキュリティポリシーで、どの端末から、どの文書を外部のAPIへ送ってよいかを決めてから始めます
  3. 有料の枠で使う … Gemini API の追加利用規約では、無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあり、機密や個人の情報を送らないよう書かれています。有料の枠ではプロンプトと応答を製品の改善に使わず、違反の検知などのために限った期間だけ記録するとされています。どの国でも一時的に保存・キャッシュされうるとも書かれているので、送る範囲を決める材料にしてください
  4. 要否と解釈を AI に決めさせない … 通知が当てはまるか、回答が要るかは、課長と係が決めます。この構成が出すのは、原文に何が書かれていたかの整理だけです
  5. 出力に個人の情報を写させない … 指示で禁じ、一覧に氏名や住所が出ていないかを規則でも見ます

誤りが起きた場合のリスクは、回答の要否を見落として回答しないことと、書かれていない期限を信じて動くことの2つです。 前者は条件の一文を拾わないと起き、後者は期限を推測させると起きます。どちらも、原文の一文と出どころを付けて返させ、選ぶのを規則と人に残す設計で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:受付の決まりを作る

課の共有フォルダに受付フォルダを作り、件ごとにフォルダを分け、ファイル名に 01_鑑文 からの番号を付け、受付票を置くという決まりを書きます。外部へ送ってよい文書かどうかの判断の目安も、課長と一緒に決めます。

2週目:20件で試す

先月の文書から20件を選び、組織で利用を認められたAIの画面で整理させます。当時のメモと並べ、県の期限と「該当なしでも回答」の条件が拾えているかを最優先で見ます。

3週目:事務分掌の表と管理簿を整える

係ごとに「よく受ける通知の分野」を書き足し、管理簿の件名の付け方をそろえます。ここが整わないうちに担当の係の候補を出すと、外れた候補ばかりが並びます。

4週目:一覧の作成までをつなぐ

Python で受付フォルダを定時に読み、Gemini API に渡し、課長向けの一覧に書き出すところまで作ります。この時点では期限の規則と管理簿の照合を入れず、AI の出力をそのまま並べます。

2か月目: 期限の規則、原文の一文の照合、前年度の照会の照合を足し、印の付く件数を週ごとに数えます。3か月目以降: 担当の係の候補と、課長の判断後の管理簿への書き込みを足し、1件15分が何分になったかを実測します。課長が判断を変えた記録を見て指示と事務分掌の表を直した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
地方自治法第245条の4で、各大臣や都道府県知事その他の都道府県の執行機関が、市町村に対して技術的な助言・勧告をし、資料の提出を求めることができると定められていることe-Gov 法令API: 地方自治法2026-10-13
総務省が令和7年12月16日に「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(第4版)」を公表し、生成AIの利用における留意事項等の記述と、生成AIシステム利用ガイドラインのひな形を加えたこと総務省: 報道資料2026-10-13
Gemini API がPDFをネイティブのビジョンで処理し、文字・画像・図・表を読めること。上限が50MBまたは1,000ページであること。1ページが258トークンとして数えられること。例が /v1beta/interactions で書かれていることGemini API: Document understanding2026-10-13
構造化出力を /v1beta/interactions の response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れて指定すること。enum・required・日付の format が使えること。JSONとして正しくても値はアプリケーションの側で検証するよう案内されていることGemini API: Structured output2026-10-13
無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあり、機密や個人の情報を送らないよう書かれていること。有料の枠では製品の改善に使わず、限った期間だけ記録すること。どの国でも一時的に保存・キャッシュされうることGemini API Additional Terms of Service2026-10-13

通知の解釈と照会への回答の要否は、課長と担当の係で決めてください。 本記事は上記の公式情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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