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荷主から届く配送日時の変更依頼メールを、Make のAIエージェントが出荷と配車の状況に照らして、変更できるものは手配の案を作り、出荷済みや判断の要るものを担当へ回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

荷主から届く配送日時の変更依頼を、AIエージェントが出荷と配車の状況に照らして調べます。規則の範囲で変えられるものは手配の案を作り、出荷済みや判断の要るものは要点を付けて担当へ回します。

サマリー
生成AI
Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
商社/物流/製造
対象部門
カスタマーサポート/物流
対象業務
内容確認・チェック/問い合わせ対応
主な課題
人手が足りない/判断に時間がかかる/問い合わせが多い
AIで行う処理
エージェント
主な効果
判断支援/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 荷主窓口の担当が依頼のメールを読み、荷主と出荷を特定する
  2. 倉庫管理システムで出荷の進み具合を見る
  3. 配車表で、元の便と、新しい日の同じ方面の便の空きを見る
  4. 届け先の受け入れの時間(午前のみ、土曜不可など)を、過去のメールや担当の記憶で確かめる
  5. 変えられそうなら配車の担当に電話かチャットで相談し、倉庫に出荷の保留を頼む
  6. 荷主に返事を書き、倉庫管理システムと配車表を直す
導入後(After)
  1. 自動変更依頼のラベルが付いた新しいメールを、受付のシナリオが拾う
  2. 自動差出人から荷主を決め、AIエージェントに依頼の本文と荷主のコードを渡す
  3. 自動エージェントが道具で出荷を特定し、進み具合・便の空き・届け先の条件を調べる
  4. 自動規則に合えば、エージェントが手配案を作る道具を呼び、案の表に1行を書く
  5. 自動規則から外れるもの、判断の要るものは、エージェントが要点を付けて担当へ回す
  6. 自動荷主への返事の下書きを、元のメールのスレッドに作る
  7. 人配車の担当が手配案を確かめ、倉庫管理システムと配車表に反映する
  8. 人荷主窓口の担当が下書きを直して送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 荷主窓口の担当が依頼のメールを読み、荷主と出荷を特定する
  2. 倉庫管理システムで出荷の進み具合を見る
  3. 配車表で、元の便と、新しい日の同じ方面の便の空きを見る
  4. 届け先の受け入れの時間(午前のみ、土曜不可など)を、過去のメールや担当の記憶で確かめる
  5. 変えられそうなら配車の担当に電話かチャットで相談し、倉庫に出荷の保留を頼む
  6. 荷主に返事を書き、倉庫管理システムと配車表を直す

(a)出荷済みの確認が遅れる。 午後の便の出発の直前に届いた依頼は、窓口が倉庫管理システムを見に行く間に積込が終わることがあります。「変えられます」と返した後で積込済みと分かり、荷主に謝ることになります。

(b)新しい日の便の空きを見落とす。 配車表は方面ごとに分かれ、同じ日に同じ方面の便が2本あることもあります。 1本目が満載でも2本目に空きがあれば受けられますが、急いでいると1本目だけを見て断ってしまいます。

(c)届け先の条件を覚えている人しか分からない。 「この現場は午前しか荷を受けない」「この店舗は日曜に搬入口が閉まる」は、配車のベテランの記憶とメールの過去のやり取りにしかありません。 新しい担当が受けた変更で、届け先に着いても荷を降ろせないことが起きます。

(d)複数の出荷をまとめた依頼に時間がかかる。 「来週の3現場分を全部1日後ろへ」という1通は、出荷ごとに2〜4番目を繰り返すことになり、1通で30分を超えることがあります。

  1. 【自動】 変更依頼のラベルが付いた新しいメールを、受付のシナリオが拾う
  2. 【自動】 差出人から荷主を決め、AIエージェントに依頼の本文と荷主のコードを渡す
  3. 【自動】 エージェントが道具で出荷を特定し、進み具合・便の空き・届け先の条件を調べる
  4. 【自動】 規則に合えば、エージェントが手配案を作る道具を呼び、案の表に1行を書く
  5. 【自動】 規則から外れるもの、判断の要るものは、エージェントが要点を付けて担当へ回す
  6. 【自動】 荷主への返事の下書きを、元のメールのスレッドに作る
  7. 【人】 配車の担当が手配案を確かめ、倉庫管理システムと配車表に反映する
  8. 【人】 荷主窓口の担当が下書きを直して送る

7番目が、この設計の分かれ目です。 配車の担当は、2つのシステムを行き来して調べる代わりに、エージェントが調べた結果と案を表で読み、合っていれば反映します。 案を作るまでをエージェントに任せ、反映は人が行います。

6番目の下書きは、手配案ができたものも、回したものも作ります。 前者は「承りました。○日の便で手配します」、後者は「確認して改めてご連絡します」です。受け取ったことを早く返すだけで、荷主からの催促の電話が減ります。

02今回想定するシステム構成

構成図
荷主からの変更依頼(共有のアドレス)
   ▼【トリガー】Gmail の Watch emails(変更依頼のラベル、未読)
Make(受付のシナリオ)
   ├──▶ Google Sheets の Search Rows(荷主の一覧)
   ▼
Make AI Agents ── Run an agent
   │  指示:変更の扱いの規則
   │  道具(それぞれが Make のシナリオ)
   │   ├─ 出荷を探す ………… 出荷の進み具合の表
   │   ├─ 便を調べる ………… 配車表(元の便と新しい日の便)
   │   ├─ 届け先の条件を調べる … 届け先の受け入れの一覧
   │   ├─ 手配案を作る ……… 条件を確かめ直してから案の表に書く
   │   └─ 担当へ回す ………… 要点を付けて確認の表とチャットへ
   ▼
Gmail の Create a draft email(荷主への返事の下書き)
   ▼
【人】配車の担当が案を確かめ、倉庫管理システムと配車表に反映
役割想定する製品代替候補
ワークフローMake(シナリオと Make AI Agents)n8n、Zapier、Power Automate
生成AIClaude(Make AI Agents の接続先として選ぶ)OpenAI、Gemini
連携Google スプレッドシート(出荷の進み具合・配車表・届け先の一覧・手配案)Microsoft 365 のリスト
メールGmail(荷主窓口の共有のアドレス)Microsoft 365 のメール
通知社内チャットメール

中心になるのは、Make のAIエージェントです。 シナリオの中に Make AI Agent(New)アプリの Run an agent のモジュールを置き、接続(Connection)、モデル、指示(Instructions)を設定します。無料のプランでは Make's AI Provider を使い、有料のプランでは OpenAI や Anthropic Claude などの提供元をつなげます。 本構成では Anthropic Claude をつなぎます。

道具(tool)として、モジュール、シナリオ、MCP サーバー、ほかのエージェントを渡せます。 シナリオを道具にするときは Call a scenario を使い、データを返すシナリオは Return outputs のモジュールで終わらせ、On demand の切り替えを入れておきます。 本構成では道具をすべてシナリオにします。理由は第7章で書きます。

Run an agent には、入力(Input)、ファイル(Input files)、会話のID(Conversation ID)を渡せます。 会話のIDを渡すと同じスレッドのやり取りを覚えた状態で動き、覚える件数は Maximum conversation history で決めます。応答の形は Text か、自分で定義した Data structure から選べ、1ステップの待ち時間(Step timeout)は空欄なら300秒です。

新しい Make AI Agents のアプリは、オープンベータとされています。 機能と料金は変わりうると書かれており、Make's AI Provider 以外の提供元をつなぐのは有料プランに限られます。 本番に入れる前に、その時点の画面と料金を確かめてください。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

受付のシナリオを、Gmail の Watch emails で5分ごとに動かします。 対象は「変更依頼」のラベルが付いた未読のメールです。荷主のドメインから届き、件名か本文に「変更」「延期」「日時」「納品日」などの語があるメールにラベルを付ける Gmail のフィルターを置きます。取り込んだときに既読にする設定にはしません。 窓口が受信箱でも追えるようにします。

5分ごとにするのは、便の出発に間に合わせるためです。 午後の便が14時に出るなら、13時半に届いた依頼は30分以内に保留をかけないと積み込まれます。 1時間ごとの処理では、第3章の(a)がそのまま残ります。

受付のシナリオは、エージェントを呼ぶ前に荷主を決めます。 差出人のアドレスで荷主の一覧を Search Rows で引き、荷主のコードを決めます。荷主が決まらないメールはエージェントを呼ばずに担当へ回します。 別の荷主の出荷を調べる道を最初から作らないためです。

同じスレッドで続けて届いた依頼は、同じ会話として扱います。 スレッドのIDから会話のIDを作って Run an agent に渡します。「先ほどの件、やはり午後着で」という2通目を、前の依頼とつなげて読めるようにするためです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
依頼メール件名、本文(引用を除いたもの)、受信日時、スレッドのIDGmail(Watch emails)
荷主のコード差出人から決めた荷主荷主の一覧(受付のシナリオで引く)
出荷の進み具合出荷番号、届け先、品名と数量、重さと才数、配送予定日と時間帯、状態、書き出しの時刻倉庫管理システムから30分ごとに書き出した表(道具の中で引く)
配車表日、方面、便、出発の時刻、積載の空き(重さ・才数)、変更の締め時刻配車表(道具の中で引く)
届け先の条件受け入れの時間帯、受け入れない曜日、車両の大きさの制限届け先の受け入れの一覧(道具の中で引く)
規則案を作ってよい条件、担当へ回す条件エージェントの指示と、道具の中の条件

エージェントに最初から渡すのは、依頼の本文と荷主のコードだけです。 出荷・便・届け先は、エージェントが道具で取りに行きます。最初に全部を渡さないのは、依頼に書かれた出荷番号や届け先が正しいとは限らないからです。 道具の結果を見て、番号の書き間違いに気づけるようにします。

届け先の受け入れの一覧は、最初の準備で作ります。 配車のベテランの記憶と、過去のメールに書かれていた条件を1行ずつ書き出します。第3章の(c)を表に移す作業で、この構成の効果の半分はここで出ます。

Step3

データの取得方法を決める

道具中でしていることエージェントに返すもの
出荷を探す荷主のコードを条件に、出荷番号か届け先と予定日で表を引く出荷番号、届け先、予定日と時間帯、状態、書き出しの時刻
便を調べる日と方面で配車表を引く便ごとの出発の時刻、積載の空き、変更の締め時刻
届け先の条件を調べる届け先のコードで一覧を引く受け入れの時間帯、受け入れない曜日、車両の制限
手配案を作る条件を確かめ直し、案の表に1行を書く書いたか、書かなかった理由
担当へ回す確認の表に1行を書き、チャットで知らせる受付番号

どの道具も、Google Sheets の Search Rows で表を引き、Return outputs で必要な列だけを返します。 「出荷を探す」は、荷主のコードを必ず条件に入れます。 エージェントが渡す値ではなく、受付のシナリオで決めた荷主のコードを道具の入力の固定の値にします。エージェントが別の荷主の出荷を引く道を、道具の側で塞ぐためです。

出荷の進み具合には、いつ時点の状態かを必ず付けて返します。 表は30分ごとの書き出しなので、ピッキングが始まっていても、表の上ではまだ「引当済み」に見えることがあります。 このため、便の出発の60分前を過ぎた出荷は、表が「引当済み」でも案を作らずに担当へ回す規則を、手配案を作る道具の側に置きます。

道具をすべてシナリオにするのは、条件を道具の中に閉じ込めるためです。 Google Sheets のモジュールをそのまま道具に渡すと、エージェントがどの列をどの条件で引くかまで決めることになります。 シナリオにしておけば、引く条件も、返す列も、案を書く前の確かめ直しも、こちらで決めた形に固定できます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 引用の除去 … 返事のメールに付いている過去のやり取りを外し、最新の本文だけを渡します
  2. 添付の扱い … 依頼が表計算の添付で届いたときは、エージェントに渡さず担当へ回します。複数の出荷を一覧で送ってくる依頼は、人が確かめたほうが早いからです
  3. 出荷番号の候補を拾う … 本文から出荷番号の形の文字列を拾い、候補として添えます。確定はエージェントが道具で行います
  4. 会話のIDを作る … スレッドのIDから作ります
  5. 自動の通知を外す … 荷主のシステムから自動で送られる出荷の予定の通知などを、件名の語で外します

1番目を省くと、エージェントが古い依頼を読みます。 「先日20日への変更をお願いしましたが、やはり元の18日でお願いします」というメールで、引用された古い本文の「20日へ変更」を読んで案を作るのが、いちばん困る誤りです。

Step5

AIに処理させる

エージェントにさせるのは、依頼を読み、道具をどの順で使うかを決め、結果を見て次を選ぶことです。

判断の場面エージェントがすること決め手
依頼の中身日の変更/時間帯の変更/両方/その他に分ける本文
出荷の特定出荷番号か、届け先と予定日で出荷を探す道具の結果
進み具合状態と書き出しの時刻を確かめる道具の結果
便の空き新しい日の同じ方面の便を全部調べる道具の結果
届け先新しい日と時間帯が受け入れの条件に合うかを見る道具の結果
手配案全部が合えば、手配案を作る道具を呼ぶ規則と道具の結果
回す上のどれかが合わなければ、理由を付けて担当へ回す規則

手配案を作ってよいのは、次の4つがそろうときだけです。 手配案を作る道具も、書く前に同じ4つを表で確かめ直します。

条件内容
進み具合状態が「引当済み」で、元の便の出発の60分前より前
便の空き新しい日の同じ方面の便のどれかに、重さと才数の両方の空きがある
届け先新しい日と時間帯が、受け入れの時間帯と曜日に合う
締め時刻新しい日の便の変更の締め時刻より前
させないこと理由
倉庫管理システムや配車表の書き換え反映は配車の担当が案を確かめてから行う
積込済み・出荷済みの出荷の案持ち戻りや再配達の扱いは、配車の担当と荷主で決める
運賃・手数料の約束契約と料金の判断。返事の下書きにも金額を書かない
便を増やす・他社の車を手配する案費用の判断が要る
依頼に無い出荷の変更「同じ届け先の別の出荷も」を勝手に足さない

2行目を「させない」に置いているのは、運送の約款の扱いに関わるからです。 標準貨物自動車運送約款は、荷送人が運送の中止、返送、転送その他の処分を指図できること、運送上の支障が生ずるおそれがあると認めるときは指図に応じないことがあり、そのときは遅滞なく通知することを定めています。出発した後の変更をどう受けるかは、配車の担当が決めます。

Step6

指示内容を固定する

エージェントの指示(Instructions)に書く内容の例です。

あなたは物流会社の荷主窓口で、荷主から届いた配送日時の変更依頼を
調べる担当です。依頼の本文と、道具が返した結果だけを根拠にしてください。
推測で補わないでください。

【進め方】
1. 依頼が、日の変更/時間帯の変更/両方/その他のどれかを決める。
   その他(キャンセル、届け先の変更、数量の変更など)は担当へ回す。
2. 出荷を探す道具で出荷を特定する。出荷番号の候補があればそれで探し、
   無ければ届け先と元の予定日で探す。
   見つからない、または2件以上見つかって1つに決まらないときは担当へ回す。
3. 出荷の状態と書き出しの時刻を確かめる。
4. 便を調べる道具で、新しい日の同じ方面の便をすべて調べる。
   1本目が満載でも、2本目以降を必ず確かめる。
5. 届け先の条件を調べる道具で、新しい日と時間帯が合うかを確かめる。
6. 4つの条件(進み具合・便の空き・届け先・締め時刻)がすべて合うときだけ、
   手配案を作る道具を呼ぶ。1つでも合わなければ担当へ回す。

【厳守事項】
- 新しい日時は本文に書かれたものだけを使ってください。
  「来週あたり」「できるだけ早く」のように日が決まらない依頼は、
  日を決めずに担当へ回してください。
- 依頼に複数の出荷があれば、出荷ごとに2〜6を行い、
  出荷ごとに案を作るか回すかを決めてください。
- 運賃、手数料、追加の費用について書かないでください。
- 依頼に書かれていない出荷を変えないでください。
- 担当へ回すときは、reason に合わなかった条件と、道具が返した値
  (状態と書き出しの時刻、便の空き、受け入れの時間帯)を書いてください。

【荷主のコード】{shipper_code}
【依頼の件名】{subject}
【依頼の本文(引用を除いたもの)】{body}
【出荷番号の候補】{candidates}

「2本目以降を必ず確かめる」と書くのは、第3章の(b)を防ぐためです。 エージェントは最初に見つけた便が満載だと、そこで「空きなし」と結論しがちです。同じ方面の便を全部見ることを手順として書きます。

「日が決まらない依頼は回す」も明記します。 書かないと、エージェントは「来週あたり」を来週の月曜と読み、空いている便を見つけて案を作ります。荷主の顧客がいつを望んでいるかは、荷主に聞き返すしかありません。

Step7

出力形式を固定する

Run an agent の応答の形を Data structure にし、次の形で受け取ります。

{
  "request_type": "date | time | both | other",
  "items": [
    {
      "shipment_no": "",
      "original": { "date": "", "time_slot": "" },
      "requested": { "date": "", "time_slot": "" },
      "status_seen": "",
      "status_as_of": "",
      "result": "planned | escalated",
      "plan_row_id": "",
      "reason": ""
    }
  ],
  "reply_kind": "accepted | checking"
}

1つ目の理由は、出荷ごとに結果が分かれることです。 3つの出荷のうち2つは案ができ、1つは出荷済みで回した、という結果をそのまま items に並べられます。 返事の下書きも、出荷ごとに「手配します」「確認します」を書き分けます。

2つ目は、status_as_of で何時点の状態を見たかが残ることです。 配車の担当は案を反映する前に、その時刻から倉庫の状態が変わっていないかだけを確かめれば済みます。

3つ目は、返事の下書きをワークフローの側で組めることです。 reply_kind と items から、定型の文に出荷番号と日時を差し込んで下書きにします。 エージェントに返事の文を自由に書かせないので、費用の約束が紛れ込みません。

手配案の表には、手配案を作る道具が次の列を書きます。

列中身
案の番号・作った日時道具が付ける
出荷番号・届け先出荷の表から
元の便、新しい便配車表から(日、方面、便、出発の時刻)
新しい便の空き(書いた時点)重さと才数
確かめた条件4つの条件それぞれの値
状態案(配車の担当が 反映済み・差し戻し に変える)
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有のアドレスGmail の Watch emails変更依頼のラベルの未読のメールを拾う
荷主の一覧Google Sheets の Search Rows差出人から荷主を決める
AIエージェントMake AI Agents の Run an agent依頼を読み、道具を使い、結果を返す
出荷・便・届け先の表道具のシナリオの中の Search Rows状態・空き・条件を引く
手配案の表・確認の表道具のシナリオの中の Add a Row案と回したものを1行ずつ書く
荷主への返事Gmail の Create a draft email定型の文の下書き
社内チャットチャットのアプリ配車の担当に案の行へのリンクを知らせる

倉庫管理システムと配車表の元のデータには書き込みません。 道具が書くのは、手配案の表と確認の表の2枚だけです。配車表はコピーを引いて空きを見るだけにし、反映は配車の担当が元の配車表で行います。 エージェントが便の空きを使ったことにして、同じ空きに2件の案が載ることは起こりえます。手配案の表に「その便に載せた案の重さ・才数」の合計の列を置き、空きからその合計を引いた値で次の案の判定をするように道具の中で計算します。

Step9

人が確認する

  1. 手配案は配車の担当が見る … status_as_of から倉庫の状態が変わっていないかを確かめ、反映します
  2. 回したものは理由から見る … 出荷済み、便の空きなし、届け先の条件、日が決まらない、の順に多いはずです
  3. 出荷済み・積込済みは配車の担当と荷主窓口で決める … 持ち戻りか再配達か、費用をどうするかを決めて荷主に伝えます
  4. 下書きを直して送る … 送信は荷主窓口の担当が行います
  5. 差し戻した案は理由を書く … どの条件の見方が違ったかを残します

1番目を省かないでください。 案はエージェントが表を見た時点の判断で、その後の30分で倉庫の状態が変わっていることがあります。

目標は、400件をならして1件3分です。 手配案を確かめて反映するだけのものは1〜2分、回したものは配車の担当と相談して数分かかります。回すのが4割前後という想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
荷主が決まらないエージェントを呼ばずに担当へ回す
出荷が見つからない・2件以上に当たる候補を並べて担当へ回す
新しい日時が決まらない日を決めずに担当へ回し、下書きで荷主に聞き返す
表の書き出しが古い(60分以上前)案を作らずに担当へ回す。書き出しの仕組みを確かめる
依頼が表計算の添付で届くエージェントに渡さず担当へ回す
キャンセル・届け先の変更が混ざるその出荷は other として担当へ回す
エージェントの応答が待ち時間を超える「変更依頼」のラベルを残し、次の実行でもう一度呼ぶ。2回続けば担当へ
エージェントの応答が決めた形にならない担当へ回す。案の表に書かれた行があれば、それも併せて見る

上から4行目までが大半を占めます。 どれもエージェントの判断の問題ではなく、表の書き出しと、届け先の一覧の整い方の問題です。 書き出しが止まったことに気づく仕組みを、最初に作っておきます。

Step11

記録を残す

  • 受信したメールのID、受信日時、荷主のコード、会話のID
  • エージェントに渡した入力と、エージェントの応答の全文
  • 道具の呼び出しごとの入力と返した値 … 各シナリオの実行の履歴に残る
  • 手配案の表と確認の表の行、状態を変えた日時と人
  • 差し戻した案の理由

3つ目が、後から誤りをたどる材料になります。 「空きがあると判断した便に、実は空きが無かった」ときに、エージェントの読み違いか、表の値が古かったのかを、道具が返した値で切り分けられます。

04実装レベルの3段階

最小構成:本文と手で集めた状態をAIの画面に貼り、案か回すかを判断させる / 規則どおりに判断できるかの確かめ
半自動化:上記+Make のシナリオで出荷・便・届け先を決まった順で引き、結果の一覧を担当に送る / 調べる作業の自動化
本格構成:上記+AIエージェントが道具を選んで調べ、手配案と回す理由、返事の下書きまで作る / 調べることと案の作成の全体

半自動化は、出荷番号が書かれた依頼にしか向きません。 決まった順で引くシナリオでは、届け先と品名だけの依頼や、複数の出荷をまとめた依頼をさばけません。その残りをさばくのが、エージェントを入れる理由です。 半自動化で1件9分が5分程度になり、本格構成で3分になります。 本格構成がこの記事の想定です。段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、書き出しの遅れと届け先の一覧の抜けが先に分かります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
400 件
1件あたり現在時間
9 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  400件 × 9分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 400件 × 3分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価3,000円)
144万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 倉庫と自社の配車の両方を持ち、複数の荷主から企業向けの配送を受けている物流会社で、配送日時の変更の依頼がメールで月に数百件届き、窓口の担当が倉庫管理システムと配車表を1件ずつ見比べて返事をしている場合。出荷の進み具合と配車表を定期的に表に書き出せる場合。届け先ごとの受け入れの時間や曜日を一覧にできる場合。
向いていない
  1. 変更の依頼が月に数十件で、配車の担当がすぐに判断できている場合。荷主が倉庫管理システムや配送の予約の画面で自分で日時を変えられ、メールの依頼がほとんど無い場合。出荷の進み具合や配車表を書き出す手段が無い場合。なお、運賃や手数料をいくら請求するか、無理な変更を引き受けるかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の変更依頼のメールから30件を選ぶ(出荷済みで断ったもの、便の空きで断ったもの、日が決まらないもの、複数の出荷をまとめたものを入れる)
  2. 各メールについて、当時の出荷の状態、配車表の空き、届け先の条件を手で表にまとめる
  3. 手元のAIサービスに本文とその表を貼り、「4つの条件がすべて合うときだけ手配の案を作り、合わなければ理由を書いて担当へ回してください。日が決まらなければ回してください」と指示する
  4. 出てきた結論を、当時の配車の担当の判断と見比べる

30件は必ず試してください。 エージェントを組む前に、「材料がそろえば、規則どおりに判断できるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の判断とおおむね一致した道具のシナリオの構築に進む
2本目の便を見ずに断った手順を指示に書く。構成は有効
曖昧な日を決めて案を作った「回す」を指示に明記する
当時の判断が届け先の記憶頼みだった届け先の一覧が先。 AIの問題ではない

4行目が出ることは珍しくありません。 2番目で表を作るときに、届け先の条件が誰の頭の中にあったかが見えてきます。 その条件を一覧に書き出すことが、最初の成果になります。

当時の判断がそもそも規則と違っていた依頼も、記録してください。 締めを過ぎた依頼を受けていた、空きが足りないのに積み合わせで受けていた、といったものです。規則を実態に合わせて書き直すか、規則どおりに運用を戻すかを、エージェントを組む前に決めておく必要があります。決めないまま組むと、規則どおりに回したものを担当が毎回受けて、回した意味がなくなります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
引用の中の古い依頼で案を作る引用を外してから渡す
1本目の便が満載で断る同じ方面の便を全部見る手順を指示に書く
「来週あたり」で日を決める日が決まらなければ回す、と明記する
表の上では引当済みでも、実はピッキング中便の出発の60分前を過ぎたら回す規則を道具に置く
同じ便の空きに2件の案が載る案の合計を引いた空きで判定する
別の荷主の出荷を引く荷主のコードを道具の固定の入力にする
返事の下書きに費用を書く下書きはワークフローが定型の文で組む
書き出しが止まったのに気づかない書き出しの時刻が60分以上前なら回し、チャットで知らせる
エージェントの応答が待ち時間を超えるラベルを残して次の実行で呼び直す
届け先の条件が一覧に無い「条件なし」と扱わず回す。一覧を足す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらもエージェントが手元の材料で早く結論を出そうとするところから起きます。調べる範囲を手順として指示に書くことと、古い文を最初から渡さないことで防ぎます。

最後の行も早く効いてきます。 一覧に無い届け先を「条件なし」として案を作ると、第3章の(c)が自動で起きるようになります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 荷主の名前と担当者のアドレス、届け先の会社名と所在地、品名と数量、配送の予定と配車の状況です。

  1. エージェントに書き込ませる先を2枚の表に限る … 倉庫管理システムと配車表の元のデータには書き込ませません。道具が書けるのは手配案と確認の表だけにします
  2. 荷主をまたがない … 荷主のコードは受付のシナリオで決め、道具の固定の入力にします。ある荷主の依頼から、別の荷主の出荷や届け先が見えないようにします
  3. 費用の約束をさせない … 運賃や手数料は契約と料金の判断です。標準貨物自動車運送約款には、処分に応じた運賃・料金の収受や、運送の中止の指図に応じたときの中止手数料の定めがあります。どの定めや特約を当てはめるかは、配車の担当と営業が決めます
  4. 道具の呼び出しを残す … 各シナリオの実行の履歴で、エージェントが何を調べて何を返されたかを後から見られるようにします
  5. 届け先の情報を必要以上に渡さない … 道具が返すのは受け入れの時間帯と曜日、車両の制限だけにし、届け先の担当者の名前や電話番号はエージェントに返しません。 返事の下書きにも載せません
  6. オープンベータの機能であることを前提にする … 画面や料金の変更に備え、本番に入れる前と、変更の告知があったときに、道具の動きを30件の試験の依頼で確かめ直します

誤りが起きた場合のリスクは、積み込まれた後で「変えられます」と返すことと、空いている便があるのに断ることの2つです。 前者は状態の時刻と人の確認で、後者は同じ方面の便を全部見る手順で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:届け先の受け入れの一覧を作る

配車のベテランに、届け先ごとの受け入れの時間帯、曜日、車両の制限を聞き取り、1行ずつ書き出します。変更の依頼が多い上位50の届け先から始めます。

2週目:30件で試す

先月の依頼から30件を選び、当時の状態と空きを手で表にして、手元のAIサービスで判断させます。当時の配車の担当の判断と合うかを見ます。

3週目:出荷の状態の書き出しをつなぐ

倉庫管理システムから出荷の状態を30分ごとに表へ書き出す仕組みを作ります。書き出しの時刻の列を必ず持たせます。

4週目:道具のシナリオを作る

出荷を探す、便を調べる、届け先の条件を調べる、の3本を先に作り、決まった順で引く半自動化として動かします。

2か月目: 手配案を作る道具と担当へ回す道具を足し、Run an agent につなぎます。手配案の差し戻しの件数を毎週数えます。3か月目以降: 返事の下書きを足し、1件9分が何分になったかを実測します。差し戻しの理由が書き出しの遅れと届け先の一覧の抜けだけになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-09/最終更新:2026-10-09
確認した内容情報源確認日
Run an agent に接続・モデル・指示を設定し、無料のプランでは Make's AI Provider、有料のプランでは OpenAI や Anthropic Claude などをつなげること。道具としてモジュール、シナリオ(Call a scenario、Return outputs、On demand)、MCP サーバー、ほかのエージェントを渡せること。入力、ファイル、会話のID、Maximum conversation history。Step timeout の既定が300秒で、応答の形が Text と Data structure から選べることMake Help: Create your first AI agent2026-10-09
新しい Make AI Agents のアプリがオープンベータで、機能と料金が変わりうること。独自の提供元をつなぐには有料プランが要ることMake Help: Meet the new Make AI Agents app2026-10-09
Watch emails でフォルダとラベル、未読・既読、送信者などを指定でき、取り込んだときに既読にするかと1回の上限(500以下)を設定できること。Create a draft email があることMake: Gmail modules2026-10-09
Search Rows と Add a Row などのモジュールがあることMake: Google Sheets modules2026-10-09
荷送人が運送の中止、返送、転送その他の処分につき指図できること(第27条)、運送上の支障が生ずるおそれがあるときは指図に応じないことがあり、遅滞なく荷送人に通知すること(第28条)、処分に応じた運賃・料金等の収受(第37条)と中止手数料(第38条)の定め。令和6年国土交通省告示第210号による改正後の版四国運輸局: 標準貨物自動車運送約款2026-10-09

変更を引き受けるか、運賃や手数料をどうするかは、配車の担当と営業、荷主との契約で決めてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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